JPH1133406A - 炭化水素油の分解用触媒 - Google Patents

炭化水素油の分解用触媒

Info

Publication number
JPH1133406A
JPH1133406A JP21132097A JP21132097A JPH1133406A JP H1133406 A JPH1133406 A JP H1133406A JP 21132097 A JP21132097 A JP 21132097A JP 21132097 A JP21132097 A JP 21132097A JP H1133406 A JPH1133406 A JP H1133406A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
mass
zeolite
alumina
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21132097A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuya Watanabe
克哉 渡辺
Hidenaga Yamada
英永 山田
Akihiro Kitatsume
章博 北爪
Mitsuru Oi
満 大井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by COSMO SOGO KENKYUSHO KK, Cosmo Oil Co Ltd filed Critical COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Priority to JP21132097A priority Critical patent/JPH1133406A/ja
Publication of JPH1133406A publication Critical patent/JPH1133406A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化水素油の接触分解の際に、水素、コーク
の生成を抑制しつつ中間留分を増産することができる触
媒を提供する。 【解決手段】 1)シリカアルミナ比5〜15、 2)単位格子寸法24.30〜24.55Å、 3)ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比0.
2〜0.9、 4)アルカリ金属量が酸化物で0.02〜2質量%、 5)強熱減少率0.5〜20質量%、 6)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有する 結晶性アルミノ珪酸塩、アルミナゾル、シリカゾルおよ
び粘土鉱物を混合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油の分解
用触媒に関し、特に、炭化水素油の接触分解の際に、水
素、コークの生成を抑制しつつ中間留分を増産すること
ができる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】石油精製、特に流動接触分解(FCC)
による石油精製においては、一般に、ガソリン留分を収
率よく製造することが最も重要な役割とされている。し
かし、最近は、原油事情や石油製品の市場動向から、常
圧蒸留残渣油や減圧蒸留残渣油(以下、残渣油という)
の得率を減少させる必要が生じている。従って、上記の
石油精製、特に流動接触分解による石油精製は、残渣油
を分解してより有用な中間留分を得る白油化技術として
の利用が重要な役割となりつつある。
【0003】ところで、上記の白油化技術に使用される
触媒、特に残渣油を分解させ中間留分の収率を増加させ
る触媒においては、一般に、中間留分を増加させるのみ
ならず、コークや水素の生成をも増加させてしまうとい
う問題がある。
【0004】例えば、この残渣油の分解向上を目的とし
て、マトリックス中にアルミナを含有させ、酸性質を付
与させた触媒が提案されている(特開昭58−1634
39号)が、コークの生成が多くなるという欠点があ
る。また、特開平9−108577号では、重質油の接
触分解に際し、マトリックス中にシリカアルミナを含有
させ、細孔容積を最適化させることにより、中間留分収
率を増加させる触媒が提案されているが、ガソリン収率
が低下するという欠点がある。
【0005】一方、本発明者らは、先に提案した特開平
4−59616号、同5−178609号、同5−17
8610号公報(以下、先提案と言う)に記載の方法に
より得られる結晶性アルミノ珪酸塩を含有する接触分解
用触媒は、残渣油分解性に優れ、かつ水素やコークの収
率が低いことを見出している。また、本発明者らは、特
開平9−150060号において、残渣油の分解性を低
下させることなく、水素、コークの生成を低減させるこ
とを目的として、先提案で得られる結晶性アルミノケイ
酸塩、粘土鉱物、およびこれらの結合材としての特定粒
径のシリカゾルを用いた触媒を提案している。
【0006】
【発明の目的】本発明は、先提案で得られる結晶性アル
ミノケイ酸塩を用い、水素、コークの生成を抑制しつ
つ、特開平9−150060号で提案した触媒に比べ中
間留分の収率をより一層増加させることができる炭化水
素油の分解用触媒を提供することを目的とする。
【0007】
【発明の概要】上記目的を達成するために、本発明の触
媒は、 1)シリカアルミナ比5〜15、 2)単位格子寸法24.30〜24.55Å、 3)ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比0.
2〜0.9、 4)アルカリ金属量が酸化物で0.02〜2質量%、 5)強熱減少率0.5〜20質量%、 6)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有する 結晶性アルミノ珪酸塩、アルミナゾル、シリカゾル、お
よび粘土鉱物を混合してなることを特徴とする(すなわ
ち、特開平9−150060号で提案した触媒の成分
に、さらにアルミナゾルを加えることを特徴とする)。
このとき、希土類金属、アルカリ土類金属の一方または
双方を、触媒基準、酸化物換算で、合計0.01〜10
質量%含有することが好ましい。
【0008】従来、触媒に固体のアルミナを添加する
と、このアルミナがどのような結晶形態のものであって
も、生成油中のコーク収率の増加を促すため、固体のア
ルミナは、触媒の構成成分として適当なものとはされて
いなかった。しかし、本発明者等による検討の結果、微
粒子であるアルミナゾルを用いた触媒であれば、中間留
分の収率は増加させるが、同時にコークの生成は抑制さ
せ得ることを見出した。
【0009】本発明の触媒においては、詳細は不明であ
るが、特定の物性を有する結晶性アルミノ珪酸塩とアル
ミナゾルとを併用することが必須であり、いずれか一方
を使用するだけでは中間留分の収率を効果的に増加させ
ることができない。
【0010】本発明の触媒における結晶性アルミノ珪酸
塩の出発原料としては、安定化Yゼオライトが使用され
る。安定化Yゼオライトは、結晶化度の劣化に対し耐性
を示すものであり、一般には、いわゆるYゼオライト
を、高温での水蒸気処理を数回行った後、必要に応じて
塩酸等の鉱酸、水酸化ナトリウム等の塩基、フッ化カル
シウム等の塩、エチレンジアミン4酢酸等のキレート剤
で処理することにより得られる。このような処理で得ら
れる安定化Yゼオライトに限らず、Yゼオライトをアン
モニウムヘキサフルオロシリケート〔(NHSi
〕や四塩化珪素(SiCl)等のケイ素化合物で
処理して得られるもの、あるいはEDTAやホスゲン
(COCl)のようなケイ素を含まない化合物で処理
して得られるもの等を用いても何ら支障ない。
【0011】上記安定化Yゼオライトは、(1’)化学
組成分析によるバルクのシリカ/アルミナ比が5〜1
5、好ましくは5〜8、(2’)単位格子寸法が24.
45〜24.72Å、好ましくは24.45〜24.7
0Å、(3’)アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.
01〜2質量%、好ましくは0.02〜1質量%のもの
を用いる。この安定化Yゼオライトは、天然のフォージ
ャサイトと基本的に同一の結晶構造を有し、酸化物とし
て化1に示す組成式を有する。
【0012】
【化1】(0.02〜1.0)R2/mO・Al
・(5〜11)SiO・(5〜8)HO R:Na、K、その他のアルカリ金属イオン、アルカリ
土類金属イオン M:Rの原子価
【0013】本発明に用いる結晶性アルミノ珪酸塩は、
先提案に記載の方法に従い、上記安定化Yゼオライト
を、1〜15℃/分の速度で、300〜1200℃、好
ましくは400〜1000℃、より好ましくは600〜
900℃まで昇温し、該温度で5〜300分間、好まし
くは5〜100分間、かつ数1に示す結晶化度低下率が
20%以下となる条件で焼成した結晶性アルミノ珪酸塩
(ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩)であり、
(1)化学組成分析によるバルクのシリカ/アルミナ比
が5〜15、好ましくは5〜8、(2)単位格子寸法が
24.30〜24.55Å、好ましくは24.30〜2
4.45Å、(3)ゼオライト骨格内Alの全Alに対
するモル比が、数2に示す式(A)〜(C)による計算
値で、0.2〜0.9、好ましくは0.3〜0.6、
(4)アルカリ金属含有率が酸化物換算で0.02〜
2.0質量%、好ましくは0.02〜1.0質量%、
(5)数3に示す強熱質量減少率が0.5〜20質量%
であって、(6)図1及び表1に示すYゼオライトの主
要なX線回折パターンを有するものである。
【0014】
【数1】結晶化度低下率(%)=(安定化Yゼオライト
の結晶化度−ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩の結
晶化度)×100/安定化Yゼオライトの結晶化度
【0015】
【数2】 ・NAl=(a−2.425)/0.000868 ・・・(A) a:単位格子寸法/nm NAl:単位格子あたりのAl原子数 2.425:単位格子骨格内の全Al原子が骨格外に脱
離したときの単位格子寸法 0.000868:実験により求めた計算値であり、a
とNAlについて1次式で整理したとき(a=0.
000868NAl+2.425)の傾き ・(Si/Al)計算式=(192−NAl)/NAl ・・・(B) 192:Yゼオライトの単位格子寸法あたりの(Si+
Al)の原子数 ・ゼオライト骨格内Al/全Al =(Si/Al)化学組成分析値/(Si/Al)計算式・・・(C)
【0016】
【数3】強熱質量減少率(質量%)=L/W×100 L:試料を1000℃にて1時間、空気雰囲気の電気炉
中に保持した際に減少した質量 W:試料の最初の質量
【0017】安定化Yゼオライトおよびヒートショック
結晶性アルミノ珪酸塩の結晶化度は、ASTM D−3
906(Standard Test Method
for Relative Zeoraito Dif
fraction Intensities)法によっ
て求められる。例えば、標準試料をY型ゼオライト(S
i/Al比5.0、単位格子寸法24.58Å、Na
O含有量0.3質量%)とし、試験試料と標準試料との
相対X線回折の強度比として求められる。本発明におい
て、焼成等による安定化Yゼオライトの結晶化度低下率
は、数1から求められるものである。
【0018】本発明における全Alに対するゼオライト
骨格内Alのモル数は、化学組成分析によるSiO
Al比および単位格子寸法から数2の式(A)〜
(C)を用いて算出された値である。なお、式(A)
は、H.K.Beyer et al.,J.Che
m.Soc.,Faraday Trans.1,19
85(81),2899に記載の式を採用したものであ
る。
【0019】また、本発明におけるヒートショック結晶
性アルミノ珪酸塩は、実質上、図1に示すX線回折パタ
ーンを有する。図1中、1,2および3は、最も強い回
折を示す格子面間隔のピークであり、それぞれ14.1
±0.2、5.61±0.1、および3.72±0.1
である。さらに、図1のX線回折図は、代表例としては
表1のような値を有する。
【0020】
【表1】 格子面間隔d(Å) 相対強度(I/Io) 14.1 ±0.2 強いないし極めて強い 8.6 ±0.2 強いないし普通 7.4 ±0.1 強いないし普通 5.61±0.1 強いないし極めて強い 4.70±0.1 強いないし普通 4.32±0.1 強いないし普通 3.86±0.1 弱いないし普通 3.72±0.1 強いないし極めて強い 3.42±0.1 弱いないし普通 3.26±0.1 強いないし普通 2.98±0.1 弱いないし普通 2.87±0.1 弱いないし普通 2.82±0.1 強いないし普通 2.72±0.1 弱いないし普通 2.68±0.1 弱い 2.60±0.1 弱いないし普通 2.56±0.1 弱い 2.35±0.1 弱い
【0021】本発明における結晶性アルミノ珪酸塩は、
プロトン型である必要はなく、希土類金属、アルカリ土
類金属、またはアンモニウムイオンでイオン交換されて
いてもよい。
【0022】アルミナゾルは、無定形のアルミナゾルと
擬ベーマイト型のアルミナゾルとが知られているが、本
発明で用いるアルミナゾルは、どのようなものであって
もよい。また、本発明で用いるアルミナゾルは、粒子サ
イズが、小さければ小さい程よいが、本発明では、長さ
0.005〜0.2μm、好ましくは0.01〜0.0
15μm、直径0.001〜0.05μm、好ましくは
0.005〜0.03μmの範囲内のものであれば使用
することができる。
【0023】さらに、アルミナゾルは、陽性電荷を帯び
ているため、一般には、陰性の安定剤が使用されるが、
本発明で用いるアルミナゾルの安定剤としては、塩素イ
オン、硝酸イオン、酢酸イオン等が挙げられ、好ましく
は塩素イオンである。
【0024】本発明におけるシリカゾルは、主として、
結晶性アルミノケイ酸塩、アルミナゾル、および粘土鉱
物を結合させる目的で用いる。このシリカゾルの原料と
しては、種々の珪素化合物が使用できるが、水溶性のシ
リカゾルが好ましい。また、シリカゾルには、幾つかの
種類が知られており、コロイダルシリカを例に挙げれ
ば、ナトリウム型、リチウム型、酸型等があり、本発明
ではいずれの型のものを用いてもよい。さらに、商業的
規模での生産の場合、希釈水ガラス水溶液と硫酸水溶液
とを反応させて得られるシリカヒドロゾル等を用いるこ
ともできる。
【0025】また、本発明における粘土鉱物としては、
モンモリロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ベン
トナイト、アタパルガイト、ボーキサイト等を用いるこ
とができ、好ましくはカオリナイトである。
【0026】以上のような成分からなる本発明の触媒
は、種々の手法により調製することができ、一例として
は、次のような手順を挙げることができる。先ず、結晶
性アルミノ珪酸塩、アルミナゾル、シリカゾル、および
粘土鉱物を混合容器内で混合し、均一な水性スラリーを
得る。
【0027】このときの結晶性アルミノ珪酸塩、アルミ
ナゾル、シリカゾル、および粘土鉱物の混合割合は、触
媒乾燥基準で、結晶性アルミノ珪酸塩が20〜50質量
%、好ましくは25〜45質量%、アルミナゾルが1〜
20質量%、好ましくは3〜15質量%、シリカゾルが
10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、粘土
鉱物が1〜67質量%、好ましくは10〜57質量%の
範囲内とすることが好ましい。
【0028】結晶性アルミノ珪酸塩の量が20質量%未
満であると、所期の分解活性が得られず、逆に50質量
%を超えると、相対的に粘土鉱物やシリカゾルの量が少
なくなりすぎて、次のような好ましくない現象が生じ
る。すなわち、粘土鉱物の量が少なすぎると、触媒強度
が低下するのみならず、触媒の嵩密度が小さくなり、装
置の運転において好ましくない結果を生じる。
【0029】結合剤であるシリカゾルの量が10質量%
未満であると、触媒の強度が低下して、触媒の散飛、生
成油中への混入等の好ましくない現象が生じ、やはり装
置の運転を困難にし、シリカゾルが30質量%より多く
ても、目立った触媒強度の向上は認められず、経済性を
考慮すれば不利となる。
【0030】アルミナゾルの量が1質量%未満である
と、添加量が少なすぎ、アルミナゾルを添加する技術的
意義が発現せず、アルミナゾルの添加量が20質量%を
超えると、水性スラリーの粘度が高くなり、スラリーの
輸送が困難になり、後述する噴霧乾燥に支障をきたすと
ともに、触媒調製に要するコストが増大し、経済的にも
不利となる。
【0031】上記成分を混合してなる水性スラリー中の
固形分の割合は、約5〜60質量%が好ましく、より好
ましくは10〜50質量%である。固形分の割合が少な
すぎると、蒸発させる水分量が多くなり、噴霧乾燥に支
障をきたし、また固形分の割合が多すぎると、スラリー
の粘度が高くなり、スラリーの輸送が困難になる。
【0032】次いで、上記の水性スラリーを噴霧乾燥
し、微小球体(触媒あるいは触媒前駆体)を得る。この
噴霧乾燥は、噴霧乾燥装置により、約200〜400℃
のガス入口温度、および約100〜200℃のガス出口
温度で行うことが好ましい。噴霧乾燥により得られる微
小球体は、約20〜150μmの粒子径、および約10
〜30質量%の水分含有量を有している。
【0033】この微小球体を、必要に応じて、公知の方
法でイオン交換し、引き続き洗浄して、各種の原料から
持ち込まれる過剰のアルカリ金属や可溶性の不純物等を
除去し、その後乾燥する。なお、微小球体に過剰のアル
カリ金属や可溶性の不純物等が存在しない場合には、イ
オン交換等を行うことなく、そのまま乾燥してもよい。
【0034】上記のイオン交換は、具体的には、硫酸ア
ンモニウム水溶液や硝酸ランタン水溶液のようなアンモ
ニウム塩や希土類塩の水溶液を用いて行い、このイオン
交換によって微小球体に残存するアルカリ金属を低減さ
せる。
【0035】イオン交換に引き続いて、水で洗浄を行う
ことによって、可溶性不純物の量を低減させる。アルカ
リ金属や、可溶性不純物は、乾燥触媒基準でそれぞれ約
1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、約
2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下にまで
低減させることが活性を高める上で好ましい。
【0036】その後、この微小球体を約100〜200
℃の温度で乾燥し、水分含有量を約5〜25質量%、好
ましくは5〜20質量%にして、本発明の触媒を得るこ
とができる。
【0037】本発明の触媒は、希土類金属から選ばれる
少なくとも一種の金属を含有させることもできる。この
希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウ
ム、ガドリニウム、ディスプロシウム、ホルミウム等が
使用され、これらは単独で、あるいは2種以上を併用し
て含有させることができる。好ましい希土類金属は、ラ
ンタン、セリウムである。
【0038】また、本発明の触媒は、希土類金属ととも
に、あるいは希土類金属に代えてアルカリ土類金属から
選ばれる少なくとも一種の金属を含有したものであって
もよい。このアルカリ土類金属としては、ベリリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、ラジウムが使用され、これらは単独で、あるいは2
種以上を併用して含有させることができる。好ましく
は、マグネシウム、カルシウムの単独あるいは両者の併
用である。
【0039】希土類金属、アルカリ土類金属の本発明触
媒への含有態様としては、結晶性アルミノ珪酸塩の一部
または全部を上記金属イオンで交換するか、もしくは結
晶性アルミノ珪酸塩にこれらの金属を担持するかした、
いわゆる金属修飾型結晶性アルミノ珪酸塩とするか、あ
るいは触媒自体をこれらの金属でイオン交換するか、触
媒にこれらの金属を担持する態様が採用される。
【0040】結晶性アルミノ珪酸塩あるいは触媒を上記
金属でイオン交換する場合、また結晶性アルミノ珪酸塩
あるいは触媒に上記金属を担持させる場合は、従来公知
の方法により行うことができる。例えば、イオン交換、
担持、いずれの場合も、ランタン、セリウム、マグネシ
ウム、カルシウム等の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩
等の化合物の1種以上を含有する水溶液を、乾燥状態に
ある結晶性アルミノ珪酸塩あるいは触媒に含浸し、必要
に応じて加熱することにより行うことができる。
【0041】上記の金属量は、イオン交換、担持、いず
れの場合も、上記結晶性アルミノ珪酸塩と無機金属酸化
物マトリックスとの混合体である触媒基準で、酸化物と
して約0.01〜10質量%、好ましくは約0.05〜
7質量%である。上記金属のイオン交換あるいは担持に
より、炭化水素油の転化率の向上、ならびに水素収率、
コーク収率、およびガソリン中のオレフィン収率の減少
等の効果が現れるが、金属量が少なすぎるとこの効果は
現れず、多すぎてもこの効果はそれ程向上しない。
【0042】本発明の触媒を使用して炭化水素油を接触
分解するには、ガソリンの沸点以上で沸騰する炭化水素
油(炭化水素混合物)を、本発明の触媒に接触させれば
よい。このガソリン沸点範囲以上で沸騰する炭化水素混
合物とは、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油
留分や、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油を意味
し、もちろんコーカー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アス
ファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液
化油をも包括するものである。
【0043】商業的規模での接触分解は、通常、垂直に
据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との2
種の容器からなる接触分解装置に、上記した本発明の触
媒を連続的に循環させて行う。すなわち、触媒再生器か
ら出てくる熱い再生触媒を、分解すべき炭化水素油と混
合し、クラッキング反応器内を上向の方向に導く。その
結果、触媒上に析出したコークによって失活した触媒
を、分解生成物から分離し、ストリッピング後、触媒再
生器に移す。触媒再生器に移した使用済みの触媒を、該
触媒上のコークを空気燃焼による除去で再生し、再びク
ラッキング反応器に循環する。一方、分解生成物は、ド
ライガス、LPG、ガソリン留分、中間留分、および重
質サイクル油(HCO)あるいはスラリー油のような1
種以上の重質留分に分離する。もちろん、これらの重質
留分を、クラッキング反応器内に再循環させて分解反応
をより進めることもできる。
【0044】上記の接触分解装置におけるクラッキング
反応器の運転条件としては、圧力が常圧〜5Kg/cm
、温度が約400〜600℃、好ましくは約450〜
550℃、触媒/原料炭化水素油の質量比が約2〜2
0、好ましくは約4〜15とすることが適している。
【0045】
【実施例】
〔触媒調製例〕 調製例1 結晶性アルミノ珪酸塩として表2の物性を有するフォー
ジャサイト型ゼオライトを、シリカゾルとして水ガラス
(JIS3号水ガラスSiO濃度28.9質量%)水
溶液を、粘土鉱物としてカオリナイトを、アルミナゾル
として触媒化成社製商品名AS−2(粒子サイズ0.1
×0.01μm)を、それぞれ使用した。
【0046】
【表2】 シリカアルミナ比(モル比) 5.28 単位格子寸法(Å) 24.42 アルカリ金属含有量(質量%) 0.32 Al骨格内/AlTotal(モル比) 0.30 強熱質量減少率(質量%) 4.50
【0047】希硫酸に水ガラス138gと純水の混合溶
液を滴下し、シリカゾル水溶液(SiO濃度10.2
質量%)を調製した。一方、表2の物性を有するフォー
ジャサイト型ゼオライト70g(乾燥基準)に蒸留水を
加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のシリカゾ
ル水溶液に、カオリナイト75g(乾燥基準)、アルミ
ナゾル200g(Al濃度10質量%)を加えて
混合し、さらに上記のゼオライトスラリーを添加し、さ
らに5分間混合した。得られた水性スラリーを210℃
の入口温度、および140℃の出口温度の条件で噴霧乾
燥し、得られた微小球体を触媒前駆体とした。触媒前駆
体を、5質量%の硫酸アンモニウム水溶液3リットル
(以下、「L」と記す)で2回イオン交換した後、さら
に3Lの蒸留水で洗浄した。洗浄した触媒ケーキを、
0.1mol/Lの硝酸ランタン水溶液0.5Lで15
分間イオン交換した後、3Lの蒸留水で洗浄した。その
後、乾燥機中、110℃で一晩乾燥し、触媒Aを得た。
【0048】調製例2 アルミナゾル200gを20gに、カオリナイト75g
を93gに、硝酸ランタン水溶液濃度を0.03mol
/Lに変える以外は、調製例1と同様にして触媒Bを得
た。
【0049】調製例3 アルミナゾル200gを400gに、カオリナイト75
gを50gに、0.1mol/Lの硝酸ランタン水溶液
1Lに変える以外は、調製例1と同様にして触媒Cを得
た。
【0050】調製例4 硝酸ランタンイオン交換を行わない以外は、調製例1と
同様にして触媒Dを得た。
【0051】比較調製例1 アルミナゾルを使用せず、カオリナイト75gを95g
に変える以外は、調製例1と同様にして触媒Eを得た。
【0052】比較調製例2 アルミナゾル200gをγ−アルミナ(粒径10μm)
20gに変える以外は、調製例1と同様にして触媒Fを
得た。
【0053】比較調製例3 結晶性アルミノ珪酸塩として表3の物性を有するフォー
ジャサイト型ゼオライトを使用する以外は、実施例1と
同様にして触媒Gを得た。
【0054】
【表3】 シリカアルミナ比(モル比) 6.85 単位格子寸法(Å) 24.60 アルカリ金属含有量(質量%) 0.21 Al骨格内/AlTotal(モル比) 0.91 強熱質量減少率(質量%) 15.19
【0055】比較調製例4 アルミナゾルを使用せず、カオリナイト75gを90g
に変え、硝酸ランタンによるイオン交換を行わない以外
は、調製例1と同様にして触媒Hを得た。
【0056】比較調製例5 1mol/Lの硝酸ランタン水溶液1Lを用いたイオン
交換を3回繰り返す以外は、調製例1と同様にして触媒
Iを得た。
【0057】以上の調製例1〜4および比較調製例1〜
5で得た触媒の組成を表4にまとめ示す。
【0058】
【表4の1】
【0059】
【表4の2】
【0060】〔触媒の評価例〕調製例1〜4および比較
調製例1〜5で得た触媒につき、ASTM基準の固定床
マイクロ活性試験(Micro Activity T
est)装置を使用して、同一原料油、同一測定条件
で、接触分解特性を試験した。なお、試験に先立ち、上
記触媒について、実際の使用状態に近似させるべく、す
なわち平衡化させるべく、500℃にて5時間乾燥した
後、各触媒にニッケルおよびバナジウムがそれぞれ10
00pppm、2000ppmとなるようにナフテン酸
ニッケル、ナフテン酸バナジウムを含むシクロヘキサン
溶液を吸収させ、乾燥し、500℃で5時間の焼成を行
い、引き続き、各触媒を100%水蒸気雰囲気中、80
0℃で6時間処理した。
【0061】原料油として表5に示す性状の脱硫減圧軽
油を使用し、反応温度500℃、反応時間75秒、触媒
/原料油比(質量比)2.3、3.0、3.8として、
評価試験を行い、この結果をグラフ化し、このグラフ
(図示省略)から転化率が60質量%となる触媒/原料
油比(質量比)を算出し、得られた触媒/原料油比(質
量比)の値に対応する水素、コーク、ガソリン等の値
を、このグラフから読みとった。この読みとり結果を製
品組成として表6に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6の1】
【0064】
【表6の2】
【0065】表6から明らかなように、調製例1〜4で
得られた触媒を使用した場合は、比較調製例1〜5で得
られた触媒を使用した場合に比べ、同一転化率におい
て、水素およびコークの生成を抑制しつつ、中間留分の
収率が増加していることが分かる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、特定の物性を有す
る結晶性アルミノ珪酸塩、アルミナゾル、シリカゾル、
および粘度鉱物を含む本発明の触媒によれば、炭化水素
油の接触分解において、水素、コークの生成を抑制しつ
つ、中間留分の収率を効果的に増加することができる。
本発明の触媒を使用して行うFCCは、その性質上、わ
ずかな中間留分の増加により生み出される利益は非常に
大きい。また、このFCC装置の運転にかかるコストお
よび負担を減少させることができる。このように、本発
明の触媒を使用すれば、より多くの残渣油を含む原料油
の分解を良好に行うことができ、実用上極めて有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における結晶性アルミノ珪酸塩のX線回
折パターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北爪 章博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 大井 満 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)シリカアルミナ比5〜15、 2)単位格子寸法24.30〜24.55Å、 3)ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比0.
    2〜0.9、 4)アルカリ金属量が酸化物で0.02〜2質量%、 5)強熱減少率0.5〜20質量%、 6)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有する 結晶性アルミノ珪酸塩、アルミナゾル、シリカゾルおよ
    び粘土鉱物を混合してなることを特徴とする炭化水素油
    の分解用触媒。
  2. 【請求項2】 希土類金属、アルカリ土類金属の一方ま
    たは双方を、触媒基準、酸化物換算で、合計0.01〜
    10質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化
    水素油の分解用触媒。
JP21132097A 1997-07-22 1997-07-22 炭化水素油の分解用触媒 Pending JPH1133406A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21132097A JPH1133406A (ja) 1997-07-22 1997-07-22 炭化水素油の分解用触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21132097A JPH1133406A (ja) 1997-07-22 1997-07-22 炭化水素油の分解用触媒

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1133406A true JPH1133406A (ja) 1999-02-09

Family

ID=16604005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21132097A Pending JPH1133406A (ja) 1997-07-22 1997-07-22 炭化水素油の分解用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1133406A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006305490A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Petroleum Energy Center 炭化水素油の接触分解用触媒及び接触分解方法
JP2007119529A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Petroleum Energy Center 高オクタン価ガソリン基材の製造方法
JP2007181777A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Petroleum Energy Center 炭化水素油の接触分解触媒及び炭化水素油の接触分解方法
WO2023051588A1 (zh) * 2021-09-30 2023-04-06 中国石油化工股份有限公司 抗金属污染催化剂及其制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006305490A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Petroleum Energy Center 炭化水素油の接触分解用触媒及び接触分解方法
JP2007119529A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Petroleum Energy Center 高オクタン価ガソリン基材の製造方法
JP2007181777A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Petroleum Energy Center 炭化水素油の接触分解触媒及び炭化水素油の接触分解方法
WO2023051588A1 (zh) * 2021-09-30 2023-04-06 中国石油化工股份有限公司 抗金属污染催化剂及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6710006B2 (ja) 流動接触分解の方法
US4259212A (en) Octane improvement cracking catalyst
JPH10146529A (ja) ギブサイトおよび希土類酸化物を配合したメソ細孔性流動接触分解触媒
US5646082A (en) Crystalline aluminosilicate, process for producing the same, and catalyst employing the same for catalytic cracking of hydrocarbon oil
US4987110A (en) Attrition resistant cracking catalyst
JP2022527909A (ja) 接触分解触媒およびその調製方法
US9861966B2 (en) Catalytic cracking catalyst, process for producing the same, and method of catalytic cracking of hydrocarbon oil
US4308129A (en) Octane improvement cracking catalyst
JP4689472B2 (ja) 炭化水素油の接触分解触媒及び炭化水素油の接触分解方法
EP1377375B1 (en) Bayerite alumina coated zeolite and cracking catalysts containing same
JP4115843B2 (ja) 極めて高い動的変換活性をもったゼオライト・ベースの触媒
CA1131193A (en) Octane improvement cracking catalyst
US5298153A (en) Cracking process using an attrition resistant catalyst
JPH1133406A (ja) 炭化水素油の分解用触媒
JPH11156197A (ja) 炭化水素油の分解触媒
JP2007529310A (ja) Zn含有FCC用触媒およびそれをガソリン中の硫黄を減少させる目的で用いる使用
JP2759099B2 (ja) 炭化水素油の流動接触分解用触媒組成物ならびにそれを用いる流動接解分解法
JPH0421546B2 (ja)
JP4272868B2 (ja) 炭化水素接触分解用触媒組成物の製造方法
JP4773420B2 (ja) 炭化水素油の接触分解触媒及び炭化水素油の接触分解方法
JP2547141B2 (ja) 結晶性アルミノ珪酸塩、その製造方法及びそれを用いる炭化水素油接触分解用触媒
JPH10195453A (ja) 炭化水素油の接触分解用触媒
JPH09150060A (ja) 炭化水素油の接触分解用触媒
JP5445779B2 (ja) 炭化水素油の接触分解触媒及びその製造方法、並びに炭化水素油の接触分解方法
JP2549332B2 (ja) 結晶性アルミノケイ酸塩の製造方法