JP3234076B2 - 重質炭化水素油の接触分解方法 - Google Patents
重質炭化水素油の接触分解方法Info
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Description
分解方法に関し、詳細には、ニッケルやバナジウムを含
む重質炭化水素油の接触分解において、ニッケルやバナ
ジウムが触媒を汚染する状態のときに特定の物性を示す
結晶性アルミノ珪酸塩と、無機酸化物マトリックスとか
らなる接触分解触媒を用いる、分解活性の高い、水素や
コークの生成が少なく、ガソリン留分や軽質分解留分
(以下、LCO)などの液状製品を高収率で得ることが
できる、接触分解方法に関する。
に、接触分解は、炭化水素油を触媒と接触させて分解
し、分解ガソリンを収率良く製造することを目的とした
技術であり、この技術においては、炭化水素油の接触分
解によって、ガソリン留分を高収率で得ると同時に、L
COなどの望ましい液状製品の収率を高めることも重要
である。
ら、減圧軽油(VGO)が主として用いられて来ている
が、近年の原油事情や石油製品の市場動向から、常圧蒸
留残渣油や減圧蒸留残渣油(以下、残渣油という)をも
原料油として使用せざるを得ない状況となってきてい
る。
よりもはるかに多い量のニッケルやバナジウムなどの金
属類が含まれており、これらの金属類が循環使用される
触媒に堆積して、触媒の分解活性を著しく低下させると
ともに、水素やコークの生成をも増加させ、液状製品の
収率を低下させることが知られている。
を少なくするためには、循環使用される触媒の一部を抜
出し、新しい触媒を補充する方法が行われる。ただし、
この方法では、重質炭化水素油に含まれるニッケルやバ
ナジウムの含有量が多くなる程、循環使用触媒(以下、
平衡触媒という)の抜出し量および新触媒の補充量を多
くしなければ、ニッケルやバナジウムによる触媒汚染の
影響を回避できないため、新触媒の使用量が増加すると
いう問題が発生し、必ずしも好ましい方法とは言えな
い。
分解性の向上を目指した触媒について、その構成要素の
一つである無機酸化物マトリックスを改良する方法が、
従来から提案されている。
ルミナ−マグネシアを用い、これと結晶性アルミノシリ
ケートとを混合した触媒を使用して、ニッケルやバナジ
ウムを0.5ppm以上含む重質油を接触分解する方法
が提案されている(特開昭64−47449号、特開平
1−111446号、同1−207138号、同2−2
73544号、同4−200641号参照)。
ナ、γ−アルミナ、ベーマイトなどを使用し、これと安
定化Y型ゼオライトを混合した触媒が提案されている
(特開昭58−163439号公報参照)。
イト、エータアルミナを含有させた触媒(特開平2−2
77548号公報参照)、結晶性カルシウムアルミネー
ト、結晶性カルシウムシリケートを無機酸化物マトリッ
クス中に分散させた触媒(特開平3−293037号、
同3−293038号公報参照)、燐の化合物で処理し
た金属酸化物を含有させた触媒(特開平4−20074
4号公報参照)を使用して、重質油の接触分解を行う方
法が提案されている。
金属酸化物で被覆して、接触分解に使用される供給原料
油中の汚染金属を補足する方法が提案されている(特開
平1−258742号、同4−310239号公報参
照)。
−アルミナやγ−アルミナなどを使用した触媒を用い
て、重質炭化水素油を接触分解した場合、水素、コーク
の生成量が増加し、ガソリンやLCOといった望ましい
液状製品の収率が減少する傾向が見られるとともに、接
触分解装置を構成する触媒再生塔の負荷が過大になるな
ど、装置の運転を困難にするといった問題が生じること
もある。
媒表面を被覆する場合、触媒の製造工程が増え、生産
量、コストの面から好ましくない。
ゼオライトに熱的負荷を加えることにより得られる特有
の物性を有する結晶性アルミノ珪酸塩と、無機酸化物マ
トリックスとからなる触媒が、炭化水素油、特に残渣油
の接触分解能に優れ、ガソリンや灯・軽油に相当する中
間留分(LCO)の収率を高めることができるととも
に、水素やコークの生成を効果的に抑制することができ
ることを見出し、種々の提案をしている(特開平4−5
9616号、同4−305248号、同5−17860
9号公報参照、以下、これらを「先提案」ということも
ある)。
量のニッケルやバナジウムに汚染される状態において、
炭化水素油、特に残渣油を含む重質炭化水素油を接触分
解する際に、優れた効果を発揮し得る特定の触媒を使用
して、これらの炭化水素油を接触分解する方法を提供す
ることを目的とするものである。
は、上記の目的を達するために鋭意検討を重ねた結果、
化学組成分析によるバルクのSiO2/Al2O3モル
比、ゼオライト骨格内のAlの全Alに対するモル比お
よび単位格子寸法において特有の値を示す結晶性アルミ
珪酸塩と、無機酸化物マトリックスとの混合物である接
触分解用触媒が、触媒汚染物質であるニッケルやバナジ
ウムを多量に含有する条件下で、重質炭化水素油の接触
分解を行ったところ、分解活性が高く、水素、コークの
生成が少なく、ガソリン留分、LCOなどの液状製品を
高収率で得ることができるとの知見を得、本発明を完成
するに至った。
ムの一方または双方を含む重質炭化水素油を接触分解す
る方法において、平衡触媒が平均して3000〜130
00ppmのニッケル、バナジウムの一方または双方に
より汚染される状態に際して、化学組成分析によるバ
ルクのSiO2/Al2O3モル比が5.5〜6.9、
単位格子寸法が24.36〜24.41Å、ゼオラ
イト骨格内のAlの全Alに対するモル比が下式(1)
〜(3)による計算値で0.25〜0.3、る計算値で
0.2〜0.4、Y型ゼオライトの主要なX線回折パ
ターンを有する結晶性アルミノ珪酸塩と、無機酸化物マ
トリックスとからなる触媒を使用することを特徴とする
接触分解方法を要旨とする。
yer et al.,J.Chem.Soc.,Fa
raday Trans.1,1985,(81),2
899に記載の式を採用したものである。
て、希土類金属、アルカリ土類金属からなる群より選ば
れる少なくとも1種の金属を、触媒を基準にして酸化物
として0.01〜5重量%含有するものを使用すること
をも特徴とする。
本発明の接触分解方法で使用される触媒に用いる結晶性
アルミノ珪酸塩を、詳細に説明する。
触媒は、結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸化物マトリック
スとの混合物である。この結晶性アルミノ珪酸塩は、化
学組成分析によるバルクのSiO2/Al2O3モル比
が5.5〜6.9で、単位格子寸法が24.34〜2
4.46Åで、ゼオライト骨格内のAlの全Alに対す
るモル比が0.2〜0.4であり、かつY型ゼオライト
の主要なX線回折パターンを有するものである。なお、
この結晶性アルミノ珪酸塩は、強熱重量減少率が0.5
〜20重量%であることが好ましい。
としては、Y型ゼオライト、あるいは通常のY型ゼオラ
イトを種々の方法で脱アルミニウムすることによって得
られる超安定Y型ゼオライトや安定化Y型ゼオライト
に、熱的負荷をかけて得られるゼオライトなどが挙げら
れるが、特に安定化Y型ゼオライトに熱的負荷をかけて
得られるゼオライトが好ましい。
ける場合の一例について、詳細に説明する。安定化Y型
ゼオライトは、SiO2/Al2O3モル比が5.5〜
6.9、単位格子寸法が約24.50〜24.69Åで
ある。
5〜300分間行えばよい。温度が低すぎたり、焼成時
間が短すぎると、上記した所定の特性を有する結晶性ア
ルミノ珪酸塩が得られず、逆に高すぎたり、焼成時間が
長すぎると、やはり上記した所定の特性を有する結晶性
アルミノ珪酸塩が得られない。
気または窒素雰囲気下または水蒸気雰囲気下で与えれば
よい。なお、適当な湿度は、脱アルミを起こし易くする
ため、上記温度範囲内の低温度でも、上記した所定の特
性を有する結晶性アルミノ珪酸塩を得ることができる。
化Y型ゼオライトは、上記温度到達後の焼成炉内に入れ
てもよいし、あるいは安定化Y型ゼオライトを焼成炉内
に置いた後、室温から徐々に昇温して所定温度に到達さ
せてもよい。
的負荷によって得ることができ、下記のような所定の特
性するものである。すなわち、化学組成分析によるバル
クのSiO2/Al2O3モル比が、5.5〜6.9で
ある。
4.41Åである。この単位格子寸法の測定は、AST
M D−3942/85に準拠し、X線回折のピークを
用いて計算することができる。
Alのモル比は、上記した数2の式(1)〜(3)を使
用し、上記化学組成分析によるSiO2/Al2O3モ
ル比および単位格子寸法から算出された値で、0.25
〜0.30である(前出のH.K.Beyer et
al.,J.Chem.Soc.,FaradayTr
ans.1,1985,(81),2899参照)。な
お、全Alに対するゼオライト骨格内のAlのモル比
は、他の式によっても算出できるが、他の式を使用する
場合は、上記の値にはならない。
一の場合、全Alに対するゼオライト骨格内のAlのモ
ル比が大きすぎると、ニッケルやバナジウムの影響を受
け易く、金属汚染による活性低下が見られる。また、こ
のモル比が小さすぎると、金属汚染の影響は少ないもの
の、触媒活性は低くなる傾向にある。
学分析によるバルクのSiO2/Al2O3モル比が大
きすぎると、ニッケルやバナジウムの金属汚染による活
性低下が起こり、このモル比が小さすぎると、触媒活性
が低くなる傾向を示す。
バルクのSiO2/Al2O3モル比で示される結晶性
アルミノ珪酸塩全体に占める全Alの量と、骨格内Al
/全Alのモル比で示される骨格内Alの量の比率(換
言すれば、骨格外Al比率)が、触媒活性とともに耐メ
タル性にも関係し、骨格外Al量が多くなれば、メタル
耐性には良いものの、骨格外Alが過多に存在する結晶
性アルミノ珪酸塩を用いた触媒では、接触分解の主な活
性種である結晶性アルミノ珪酸塩自体の活性低下を引き
起こすものと考えられる。
0重量%、好ましくは約1〜10重量%、さらに好まし
くは約1.5〜8重量%である。この強熱重量減少率
は、数3に示す式により求められる。
ノ珪酸塩が水を保持し易くなり、水熱安定性が低下して
しまい、結果として本発明の接触分解方法において充分
な分解活性が得られないという問題が生じる。
る結晶性アルミノ珪酸塩は、前述したように、代表的に
は安定化Y型ゼオライトに一定の熱的負荷をかけること
により得られるが、その大きな特徴は、単位格子寸法
が、約24.36〜24.41Åであって、安定化Y型
ゼオライトの約24.50〜24.69Åと比べて、小
さくなっていること、全Alに対するゼオライト骨格内
Alのモル比が約0.25〜0.3であることが挙げら
れる。なお、以上の結晶性アルミノ珪酸塩の特性を表1
にまとめて示す。
酸塩は、実質上、図1に示すX線回折パターンを有す
る。図1中、1、2および3は、最も強い回折を示す格
子面間隔(d)のピークであり、それぞれ14.1±
0、2Å、5.61±0.1Åおよび3.72±0.1
Åである。そして、図1のX線回折図は、代表例として
は表2のような値を有する。
珪酸塩は、アルカリ金属の含有量が、酸化物換算で約
0.02〜2重量%、好ましくは約0.05〜1重量%
のものが好適である。アルカリ金属の含有量が酸化物換
算で約0.02重量%を下回ると、結晶構造の崩壊が起
き易くなることがある。逆に、アルカリ金属が多量に存
在すると、本発明で使用する結晶性アルミノ珪酸塩を用
いた触媒の分解活性を低下させることがあるとともに、
ニッケルやバナジウムが触媒に付着した場合に、活性劣
化し易くなると言う問題も生じる。
スを詳細に説明する。本発明で使用する無機酸化物マト
リックスは、例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、クロ
ミア、マグネシア、ジルコニア、チタニア、シリカ−ア
ルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ク
ロミア−アルミナ、チタニア−アルミナ、チタニア−シ
リカ、チタニア−ジルコニア、アルミナ−ジルコニアな
ど、あるいはこれらの混合物であり、粒子同士の結合剤
として作用する通常の接触分解用触媒に使用されるもの
である。
に、カオリン、モンモリロナイト、ハロイサイト、ベン
トナイト、アタパルガイトなどの少なくとも1種の粘土
鉱物を含有することもできる。
種類によっては、例えば、アルミナでは、水素、コーク
の生成量が増加するなどの影響が考えられるため、使用
目的にあったものを選択することが必要である。
を詳細に説明する。触媒は、無機酸化物マトリックスと
して、例えば、シリカ−アルミナヒドロゲル、シリカゾ
ル、アルミナゾルなどの水性スラリーを用い、それに上
述の結晶性アルミノ珪酸塩を加え、よく攪拌混合した
後、得られる混合物スラリーを噴霧乾燥することによっ
て製造することができる。
晶性アルミノ珪酸塩が、約10〜50重量%、好ましく
は約15〜45重量%、無機酸化物マトリックスが、約
50〜90重量%、好ましくは約55〜85重量%の割
合になるように、これら結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸
化物マトリックスとの所定量を混合する。結晶性アルミ
ノ珪酸塩が約10重量%未満であれば、本発明において
必要な分解活性が得られず、逆に約50重量%より多い
と、相対的に無機酸化物マトリックスの量が少なくなり
すぎて、触媒の強度が低下し、触媒の飛散、生成油中へ
の混入といったような装置の運転に支障を来すなどの問
題が生じる。
金属、アルカリ土類金属の含有について、詳細に説明す
る。上記の触媒として、希土類金属、アルカリ土類金属
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有す
るものを使用することも、本発明の1つの特徴である。
トリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジ
ム、サマリウム、ガドリニウムなどが使用され、これら
は単独で、あるいは2以上の混合物として使用される。
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、ラジウムが使用され、これらは単独で、あるいは2
以上の混合物として使用され、好ましくはマグネシウ
ム、カルシウムの単独あるいは混合物である。
と、アルカリ土類金属の少なくとも1種とを混合して使
用することもできるが、好ましくは希土類元素である。
記の触媒への含有形態としては、該触媒の一方の構成成
分である結晶性アルミノ珪酸塩の一部または全部をこれ
らの金属でイオン交換するか、もしくは結晶性アルミノ
珪酸塩にこれらの金属を担持するかした、いわゆる金属
修飾型結晶性アルミノ珪酸塩とするか、あるいは上記の
触媒自体をこれらの金属でイオン交換するか、もしくは
触媒にこれらの金属を担持する態様が採用される。
の金属でイオン交換する場合、また結晶性アルミノ珪酸
塩あるいは触媒に上記の金属を担持させる場合は、従来
公知の方法により行うことができる。
も、希土類金属、アルカリ土類金属の塩化物、硝酸塩、
硫酸塩、酢酸塩などの化合物の1種以上を含有する水溶
液を、結晶性アルミノ珪酸塩あるいは触媒に含浸させる
か、あるいはこれらの水溶液中にこれらを浸漬し、さら
に必要に応じて加熱することにより行うことができる。
の金属量は、結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸化物マトリ
ックスとの混合体触媒基準で、酸化物として約0.01
〜5重量%、好ましくは約0.05〜4重量%、さらに
好ましくは約0.1〜3重量%である。上記の金属のイ
オン交換あるいは担持により、高い分解活性を得ること
ができるが、金属量が少なすぎるとこの効果は現れず、
多すぎてもこの効果はそれほど向上しない。
詳細に説明する。本発明の接触分解方法で分解される重
質炭化水素油とは、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得ら
れる軽油留分、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、直脱
生成油、あるいはこれらの混合油を意味し、もちろん、
コーカー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アスファルト、タ
ールサンド油、シェールオイル、石炭液化油をも包含す
る。しかも、金属汚染物質として、ニッケル、バナジウ
ムの一方または双方を0.5ppm以上含有している。
特に、ニッケルやバナジウムを多量に含有する残渣油や
直脱生成油などを、全量または一部混合した重質炭化水
素油も含まれる。
据え付けられたクラッキング反応器と、触媒再生器(リ
ジェネレーター)との2種の容器からなる接触分解装置
に、上記した触媒を連続的に循環させて行われる。リジ
ェネレーターから出で来る熱い再生触媒は、分解される
重質炭化水素油と混合されて、クラッキング反応器内を
上方に導かれる。クラッキング反応器内での反応によ
り、一般にコークと呼ばれる炭素質が触媒上に析出し、
触媒は失活した状態となるが、この触媒は分解生成物か
ら分離されて、ストリッピングの後、リジェネレーター
に移される。リジェネレーターに移された使用済みの触
媒は、触媒上のコークが空気焼成によって除去されるこ
とで再生され、再びクラッキング反応器に循環されて再
使用される。
油を接触分解する場合は、触媒がニッケルやバナジウム
に汚染され、触媒活性が低下するため、通常、コークを
空気焼成した再生触媒、すなわち平衡触媒を一部抜き出
し、補充として新触媒が供給される。
ムの量は、重質炭化水素油中のニッケルやバナジウムの
量、および新触媒の供給量に関係し、重質炭化水素油中
のニッケル、バナジウムの量が多い程、また新触媒の供
給量が少ない程、平衡触媒上のニッケルやバナジウムの
量が多くなる。この関係については、社団法人石油学会
発行“ペトロテック”第5巻、第1号(1982年)
p.82〜83に詳細に記載されている。
G、ガソリン留分、および例えば軽質サイクル油(LC
O)、重質サイクル油(HCO)あるいはスラリー油の
ような1種以上の重質留分に分離される。もちろん、こ
れらの重質留分を、クラッキング反応器に再循環させる
ことによって、分解反応をより進めることも可能であ
る。
定されないが、例えば、反応温度が約450〜570
℃、好ましくは約470〜550℃、反応圧力が約常圧
〜5kg/cm2、触媒/原料重質炭化水素油の重量比
が約2〜20重量部/重量部、好ましくは約4〜15重
量部/重量部、接触時間が約0.3〜6秒、触媒再生温
度が約550〜850℃である。
の物性を有する結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸化物マト
リックスとからなる接触分解触媒を用いた場合に、重質
炭化水素油に含まれるニッケルやバナジウムにより、平
衡触媒が、これらの金属の合計量で、約3000〜13
000ppm、好ましくは約3000〜10000pp
m汚染された状態において、分解性能の低下を抑制し、
水素、コークの低減、すなわち望ましい液状製品の収率
を高める効果が現れる。ニッケルやバナジウムによる汚
染が約3000ppmを下回る場合には、これらの効果
が少ないが、約3000ppmを上回る場合には、汚染
量の増大とともに分解性能低下の抑制や、水素、コーク
の低減効果が顕著となり、これらの効果は、ニッケルや
バナジウムによる汚染が約13000ppm、好ましく
は約10000ppmになるまで良好に表れる。
24.62Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.
6重量%の安定化Y型ゼオライトを、電気炉で、空気雰
囲気下、常圧下、750℃で、20分間焼成して、結晶
性アルミノ珪酸塩(以下、HZ−1)を製造した。この
HZ−1を分析したところ、Y型ゼオライトの主要なX
線回折パターンを示し、かつ表3の物性を有していた。
を、焼成温度を850℃とする以外は、実施例1と同様
に焼成して、結晶性アルミノ珪酸塩(以下、HZ−2)
を製造した。このHZ−2を分析したところ、Y型ゼオ
ライトの主要なX線回折パターンを示し、かつ表4の物
性を有していた。
を、焼成温度を650℃とする以外は、実施例1と同様
に焼成して、結晶性アルミノ珪酸塩(以下、HZ−3)
を製造した。このHZ−3を分析したところ、Y型ゼオ
ライトの主要なX線回折パターンを示し、かつ表5の物
性を有していた。
を、焼成温度を540℃とする以外は、実施例1と同様
に焼成して、結晶性アルミノ珪酸塩(以下、HZ−4)
を製造した。このHZ−4を分析したところ、Y型ゼオ
ライトの主要なX線回折パターンを示し、かつ表6の物
性を有していた。
24.68Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.
7重量%の安定化Y型ゼオライトを、焼成温度を700
℃とする以外は、実施例1と同様に焼成して、結晶性ア
ルミノ珪酸塩(以下、HZ−5)を製造した。このHZ
−5を分析したところ、Y型ゼオライトの主要なX線回
折パターンを示し、かつ表7の物性を有していた。
24.59Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.
4重量%の安定化Y型ゼオライトを、焼成温度を800
℃とする以外は、実施例1と同様に焼成して、結晶性ア
ルミノ珪酸塩(以下、HZ−6)を製造した。このHZ
−6を分析したところ、Y型ゼオライトの主要なX線回
折パターンを示し、かつ表8の物性を有していた。
とを攪拌混合し、これに硫酸を加えてpHを1.8とし
た後、カオリンを乾燥基準で1681g、実施例1で得
たHZ−1を乾燥基準で1121gおよび水を4000
g加えてさらに攪拌混合した。得られた混合物をスプレ
ードライヤーで乾燥微粒化し、25リットル(以下、
L)の蒸留水にて洗浄した。洗浄後の乾燥微粒化物を、
115℃で、16時間、空気中にて乾燥し、本発明で使
用する触媒(以下、触媒A)を得た。
は、実施例2と同様にして、触媒(以下、触媒B)を得
た。
は、実施例2と同様にして、本発明で使用する触媒(以
下、触媒C)を得た。
微粒化物を触媒前駆体とし、この前駆体の全量を、10
0ミリリットル(以下、mL)当たり10gの希土類塩
化物を含有する希土類塩化物水溶液30Lを用いて、イ
オン交換を行った。希土類塩化物は、表9の組成を有す
るものを使用した(以下、希土類塩化物はこの組成のも
のを使用した)。イオン交換は、90℃に加温した上記
の水溶液中に30分間浸漬することにより行った。浸漬
後、濾過し、水洗し、次いで115℃で、16時間、空
気中にて乾燥し、本発明で使用する触媒(以下、触媒
D)を得た。この触媒D中の希土類金属含有量は、酸化
物として触媒基準で1.43重量%であった。
は、実施例2と同様にして比較触媒(以下、触媒E)を
得た。
は、実施例2と同様にして比較触媒(以下、触媒F)を
得た。
は、実施例2と同様にして比較触媒(以下、触媒G)を
得た。
は、実施例3と同様にして比較触媒(以下、触媒H)を
得た。この触媒Hの希土類金属含有量は、酸化物として
触媒基準で1.58重量%であった。
規模の接触分解装置をスケールダウンした装置であっ
て、クラッキング反応器と触媒再生器とを備えた循環式
流動床反応装置であるベンチスケールプラントを使用
し、上記の触媒A〜Hを用いて、重質炭化水素油の接触
分解を試験した。
せるべく、各触媒を500℃にて5時間乾燥した後、各
触媒に、NiとVとの重量比が1対2で、Ni+Vの合
計で4000ppmおよび9000ppmとなるよう
に、ナフテン酸ニッケルおよびナフテン酸バナジウムを
含むシクロヘキサン溶液を吸収させ、乾燥し、500℃
にて5時間の焼成を行った。引き続き、各触媒を、10
0%水蒸気雰囲気中、785℃にて6時間処理し、模擬
平衡化触媒を得た。
有する脱硫減圧軽油75重量%と直脱生成油25重量%
との混合油を使用し、反応温度が510℃、触媒循環量
が60g/分の条件下で、触媒/原料油(重量比)を
4、7、9.5、12.5と変化させて行った。分解活
性の比較は、原料油の転化率60%を基準にして行っ
た。この評価結果を、表11〜表14にまとめて示し
た。なお、表11,13において、参考例2,3で得た
参考触媒B,Cのデータも合わせて示してある。
らにNi+Vの合計で1500ppmとする以外は、上
記と同様の方法で、模擬平衡化触媒を得、上記と同じ試
験方法で試験を行い、参考例とした。この結果を、表1
5にまとめて示した。
ッケルやバナジウムを含有する原料油の分解に際して、
特定の物性を有する結晶性アルミノ珪酸塩を使用する本
発明の実施例によれば、この物性以外の結晶性アルミノ
珪酸塩を使用する比較例に比して、分解活性が高いこと
が明らかである。この物性(SiO2/Al2O3モル
比、単位格子寸法、骨格内Al/全Alモル比)と分解
活性との関係を、図2〜図4に示す。また、本発明の触
媒Aと比較の触媒Eの選択性(表11〜表15に示す結
果)をまとめて図5〜図6に示す。なお、図2〜図6中
の(A)〜(G)は、触媒A〜触媒Gを示す。
方法によれば、使用する触媒が、多量のニッケルやバナ
ジウムに汚染される状態において、重質炭化水素油を接
触分解する際に優れた効果を発揮して、分解性能の低下
を抑制し、水素、コークの生成を低減し、望ましい液状
製品の収率を高めることができる。また、本発明の接触
分解方法で使用する上記の触媒は、製造工程が容易であ
って、生産量も良好で、製造コストや材料コストも低廉
である。さらに、本発明の接触分解方法では、装置の運
転を困難にするといった事態も発生しない。これらの結
果として、本発明は、近年の石油事情や石油製品の市場
動向に適した接触分解方法と言える。
回折パターンを示す図である。
2O3モル比)と分解活性との関係を示すグラフであ
る。
と分解活性との関係を示すグラフである。
Alモル比)と分解活性との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 ニッケル、バナジウムの一方または双方
を含む重質炭化水素油を接触分解する方法において、 平衡触媒が平均して3000〜13000ppmのニッ
ケル、バナジウムの一方または双方により汚染される状
態に際して、 化学組成分析によるバルクのSiO2/Al2O3モ
ル比が5.5〜6.9、 単位格子寸法が24.36〜24.41Å、 ゼオライト骨格内のAlの全Alに対するモル比が下
式(1)〜(3)による計算値で0.25〜0.3、 Y型ゼオライトの主要なX線回折パターンを有する結
晶性アルミノ珪酸塩と、 無機酸化物マトリックスとからなる触媒を使用すること
を特徴とする重質炭化水素油の接触分解方法。 【数1】 NAl=(a0−2.425)/0.000868 (1) a0 :単位格子寸法(nm) NAl:単位格子当たりのAl原子の数 (Si/Al)計算式=(192−NAl)/NAl (2) 192:Y型ゼオライトの単位格子寸法当りの(Si+Al) の原子数 ゼオライト骨格内Al/全Al =(Si/Al)化学組成分析/(Si/Al)計算式 (3) - 【請求項2】 触媒が、希土類金属、アルカリ土類金属
からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を、触媒
を基準にして酸化物として0.01〜5重量%含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30100393A JP3234076B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 重質炭化水素油の接触分解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30100393A JP3234076B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 重質炭化水素油の接触分解方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07126661A JPH07126661A (ja) | 1995-05-16 |
JP3234076B2 true JP3234076B2 (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=17891665
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30100393A Expired - Lifetime JP3234076B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 重質炭化水素油の接触分解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3234076B2 (ja) |
-
1993
- 1993-11-05 JP JP30100393A patent/JP3234076B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07126661A (ja) | 1995-05-16 |
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