JPH0699847A - 車体フレーム構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 フレーム構造の車両において、車体の低周波
数の振動を防止し、車内騒音を十分に低下させることの
できる車体フレーム構造を提供する。 【構成】 中空断面を有し、車体前後方向に延びる左右
一対のシャシーフレーム１と、シャシーフレーム１上に
ラバーマウントを介して載せたキャビンフレームを備え
たキャビン２とから成り、第１実施例であるシャシーフ
レーム１ａは、下側の断面Ｕ字形のロアフレーム10ａ
と、上側の断面Ｕ字形のアッパフレーム11ａとを、開放
側を対向させて重合し、一方の側でロアフレーム10ａの
側壁が外側に、他方の側でアッパフレーム11ａの側壁が
外側に位置するように成し、外側に位置するアッパフレ
ーム11ａの側壁を延長して複数のフラップ12ａを設け、
該フラップ12ａと内側に位置するロアフレーム10ａの側
壁との間に弾性材13ａを充填し、フラップ12ａと反対側
の両フレーム10ａ、11ａの側壁は溶接で固着されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両特に車体前後方向
に延びる一対のシャシーフレームを備え、該シャシーフ
レーム上に、キャビンフレームを備えたキャビンをラバ
ーマウントして成るフレーム構造の車両における車体フ
レーム構造に関するものであり、シャシーフレーム並び
にキャビンフレームを車体フレームと総称する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車の車体構造として、乗用
車に多く用いられるモノコック構造と、トラック類に多
く用いられ、車体前後方向に延びる左右一対のスチール
製中空構造のシャシーフレームを備え、該シャシーフレ
ーム上にキャビンフレームを備えたキャビンをラバーマ
ウントして成るフレーム構造とが用いられており、フレ
ーム構造の車両（一例として実公平２− 48296号公報参
照）は、ラバーマウントしてあることによりモノコック
構造の車両に較べて振動騒音を軽減させることができ
る。

【０００３】ところが、このようなフレーム構造の車両
においては、車輪等の足回り或いはエンジンからの振動
がシャシーフレームに伝播すると、シャシーフレームが
共振して伝達された振動が拡大され、シャシーフレーム
は振動伝達系として作用し、ラバーマウントによりある
程度低減された振動が、キャビンフレームを介してキャ
ビンに伝達されて騒音を発生するものであり、シャシー
フレーム及びキャビンフレームを含む車体フレーム自体
の振動減衰能力（ダンピング能力）が小さいために、車
体フレームの共振点において車内騒音に悪影響を及ぼし
ている。そこで、中空構造の車体フレームの内部空間
に、プラスチック発泡体を注入発泡により固化させた心
材を充填することにより、車体フレーム壁面の振動を防
止するものが提案されている（特開昭62− 77292号公報
参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両の車体フレーム構造においては、周波数の高い
振動に対しては減衰効果を有するが、周波数の低い振動
（約20Hz）であるブルブル振動を十分に低減させること
ができず、乗員の乗り心地を悪化させるという問題があ
った。

【０００５】本発明の目的は、車体の低周波数のブルブ
ル振動を防止し、車内騒音を十分に低下させることので
きる車体フレーム構造を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の車体フレーム構
造は、中空断面に形成された車体フレーム（シャシーフ
レーム並びにキャビンフレームを含む）において、車体
フレーム内壁面に当接して該車体フレーム内壁面を外方
に付勢押圧する振動ダンピング部材を設けたものであ
り、車体フレームの見かけ上の剛性が高くなって変形し
にくくなるから、エンジンからの振動、ロードノイズ等
の低周波数の振動、特に20Hz前後一次曲げ周波数のブル
ブル振動を減衰させる。上記振動ダンピング部材とし
て、キャビンを載置するキャブマウントを車体フレーム
にボルト等で固定する際に、キャブマウントと共締めさ
れることにより変形して車体フレーム内壁面を外方に付
勢押圧する部材を用いることによって、キャビンへの振
動伝達経路であるキャブマウント設置箇所の見かけ上の
剛性を高め、低周波数のブルブル振動を減衰させる。ま
た、上記振動ダンピング部材として、長手方向に波型を
連続した形状に成形して成る波状スプリング部材、或い
は内部に空気を充填すると外面が車体フレーム内壁面に
当接する可撓性のチューブを用いることにより、構造を
簡単化することができる。

【０００７】

【実施例】図１において、フレーム構造の車両は、中空
断面を有し、車体前後方向に延びる左右一対のシャシー
フレーム１と、シャシーフレーム１上にラバーマウント
を介して載せたキャビンフレームを備えたキャビン２と
から成る。

【０００８】シャシーフレーム１の構造について述べる
と、第１実施例であるシャシーフレーム１ａは、図２に
示されるように、下側の断面Ｕ字形のロアフレーム10ａ
と、上側の断面Ｕ字形のアッパフレーム11ａとを、開放
側を対向させて重合し、一方の側でロアフレーム10ａの
側壁が外側に、他方の側でアッパフレーム11ａの側壁が
外側に位置するように成し、外側に位置するアッパフレ
ーム11ａの側壁を延長して複数のフラップ12ａを設け、
外側に位置するフラップ12ａと内側に位置するロアフレ
ーム10ａの側壁との間に弾性材13ａを充填し、フラップ
12ａと反対側の両フレーム10ａ、11ａの側壁は溶接で固
着されている。

【０００９】この構成によると、変形時に弾性材13ａと
フラップ12ａ及びロアフレーム10ａとの間に生じるズリ
効果によって振動を吸収するとともに、弾性材13ａがフ
ラップ12ａを介してアッパフレーム11ａをフラップ12ａ
側に、ロアフレーム10ａを反対方向に常時押圧するか
ら、フレームの見かけ上の剛性が高くなって変形しにく
くなるから、エンジンからの振動、ロードノイズ等の低
周波数の振動、特に20Hz前後一次曲げ周波数のブルブル
振動を減衰させる。

【００１０】第２実施例であるシャシーフレーム１ｂ
は、図３に示すように、下側の断面Ｕ字形のロアフレー
ム10ｂと、上側の断面Ｕ字形のアッパフレーム11ｂと
を、開放側を対向させて重合して溶接等で固着し、内部
に長い波板状のスプリング12ｂをシャシーフレーム１ｂ
の全長にわたって配設し、ロアフレーム10ｂとアッパフ
レーム11ｂとを引き離す方向、即ち上下方向にロアフレ
ーム10ｂとアッパフレーム11ｂの内壁面を押圧してい
る。この構成によると、波板スプリング12ｂがロアフレ
ーム10ｂとアッパフレーム11ｂの内壁面を外方に常時押
圧するから、フレームの見かけ上の剛性が高くなって変
形しにくくなるから、エンジンからの振動、ロードノイ
ズ等の低周波数の振動、特に20Hz前後一次曲げ周波数の
ブルブル振動を減衰させる。

【００１１】第３実施例であるシャシーフレーム１ｃ
は、全長にわたって内部にゴム等の弾性材から成るチュ
ーブ11ｃを配置し、チューブ11ｃにバルブ12ｃから空気
を充填したものであり、チューブ11ｃが膨張することに
よって、ロアフレーム10ｂとアッパフレーム11ｂの内壁
面を外方に常時押圧するから、フレームの見かけ上の剛
性が高くなって変形しにくくなるから、エンジンからの
振動、ロードノイズ等の低周波数の振動、特に20Hz前後
一次曲げ周波数のブルブル振動を減衰させる。

【００１２】また、図４に示される第４実施例であるシ
ャシーフレーム１ｄは、下側の断面Ｕ字形のロアフレー
ム10ｄと、上側の断面Ｕ字形のアッパフレーム11ｄと
を、開放側を対向させてロアフレーム10ｄがアッパフレ
ーム11ｄ内に嵌まり込むように重合させ、両フレーム10
ｄ、11ｄの間に弾性材12ｄを充填して溶接で固着してお
り、弾性材12ｄがロアフレーム10ｄを内側に、アッパフ
レーム11ｄを外側に押圧してフレームの見かけ上の剛性
を高くするとともに、変形時に弾性材12ｄと両フレーム
10ｄ、11ｄとの間に生じるズリ効果によって振動を吸収
する。

【００１３】図５において第５実施例を説明すると、シ
ャシーフレーム１の上面のラバーマウント３を取り付け
る位置に、シャシーフレーム１の内方へ略球面状に膨ら
んだ膨出部15を形成し、該膨出部15に対向して作業孔14
を穿設する。膨出部15の外側の凹所内に一方の面が略球
面状、他方の面が平面状に形成された弾性材31が嵌合さ
れ、弾性材31上にラバー32とプレート33を重合しボルト
34を貫通させてラバーマウント３を形成したものであ
り、ボルト34を締めつけることによって弾性材31が変形
し、その反力が膨出部15に均一に作用してこの部分の見
かけの剛性を高くする。

【００１４】図６及び図７において第６実施例を説明す
ると、シャシーフレーム１の上面のラバーマウント３を
取り付ける位置に対向して作業孔14を穿設するととも
に、一方の脚を長くした略Ｖ字形に形成され、両脚端に
屈曲部41, 43を有する２枚のバネ材４の頂点部42をラバ
ーマウント３側の内壁面に当接させ、長い方の脚の屈曲
部43を反対側の内壁面に当接させ、短い方の脚の屈曲部
41を、ラバーマウント３のボルト31により、ラバーマウ
ント３側に締めつけると、長い方の脚の屈曲部43が内壁
面を押圧し、この部分の見かけの剛性を高くする。

【００１５】図８において第７実施例を説明すると、シ
ャシーフレーム１の上面のラバーマウント３を取り付け
る位置に対向して作業孔14を穿設するとともに、中央短
辺部51の両側に斜めに拡開する脚部を有し、該脚部の先
端52が内側に曲げられているバネ材５を形成し、バネ材
５の中央短辺部51に通孔を設けてラバーマウント３のボ
ルト31を貫通させ、ボルト31を締めつけることにより、
バネ材５の両脚部が外側に押し広げられ、脚部の先端52
がシャシーフレーム１の側壁内面を押圧することによっ
てこの部分の見かけの剛性を高くする。

【００１６】以上、シャシーフレームの構造についての
み述べてきたが、上記構造をキャビンフレームに用いて
も良いものであり、特にラバーマウントとの接点部分に
だけキャビンフレーム内に空気を充填したチューブを配
置する、或いは波板状のスプリングを配置しても良い。

【００１７】

【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているか
ら、以下に述べるとおりの効果を奏する。中空断面の車
体フレームにおいて、車体フレーム内壁面に当接して該
車体フレーム内壁面を外方に付勢押圧する振動ダンピン
グ部材を設けたものであり、車体フレームの見かけ上の
剛性が高くなって変形しにくくなるから、エンジンから
の振動、ロードノイズ等の低周波数の振動、特に20Hz前
後一次曲げ周波数のブルブル振動を減衰させる。上記振
動ダンピング部材として、キャビンを載置するキャブマ
ウントを車体フレームにボルト等で固定する際に、キャ
ブマウントと共締めされることにより変形して車体フレ
ーム内壁面を外方に付勢押圧する部材を用いることによ
って、キャビンへの振動伝達経路であるキャブマウント
設置箇所の見かけ上の剛性を高め、低周波数のブルブル
振動を減衰させる。また、上記振動ダンピング部材とし
て、長手方向に波型を連続した形状に成形して成る波状
スプリング部材、或いは内部に空気を充填すると外面が
車体フレーム内壁面に当接する可撓性のチューブを用い
ることにより、構造を簡単化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１乃至第３実施例の側面図である。

【図２】図１におけるII−II線断面図である。

【図３】本発明の第２実施例の分解図である。

【図４】本発明の第４実施例の断面図である。

【図５】本発明の第５実施例の断面図である。

【図６】本発明の第６実施例の断面図である。

【図７】本発明の第６実施例の底面図である。

【図８】本発明の第７実施例の断面図である。

【符号の説明】 １ シャシーフレーム ２ キャビン ３ ラバーマウント ４，５ バネ材 11ｃ チューブ 12ａ フラップ 12ｂ 波板スプリング 13ａ 弾性材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大田 哲也 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 池田 浩志 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空断面に形成された車体フレームにお
   いて、該車体フレーム内壁面に当接して車体フレーム内
   壁面を外方向に付勢押圧する振動ダンピング部材を車体
   フレーム内部に設けたことを特徴とする車体フレーム構
   造。
2. 【請求項２】 上記振動ダンピング部材として、キャブ
   マウントと共締めされることにより変形して車体フレー
   ム内壁面を外方に付勢押圧する部材を用いることを特徴
   とする請求項１に記載された車体フレーム構造。
3. 【請求項３】 上記振動ダンピング部材として、波状ス
   プリング部材を用いたことを特徴とする請求項１に記載
   された車体フレーム構造。
4. 【請求項４】 上記振動ダンピング部材として、内部に
   空気を充填したチューブを用いたことを特徴とする請求
   項１に記載された車体フレーム構造。