JPH0699756B2 - 高強度高r値冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度高r値冷延鋼板の製造方法

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JPH0699756B2
JPH0699756B2 JP61149966A JP14996686A JPH0699756B2 JP H0699756 B2 JPH0699756 B2 JP H0699756B2 JP 61149966 A JP61149966 A JP 61149966A JP 14996686 A JP14996686 A JP 14996686A JP H0699756 B2 JPH0699756 B2 JP H0699756B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、表面疵のない高強度高値冷延鋼板を製造す
る方法に関するもので、特に付加工程を含まない通常の
工程で経済的に製造することのできるものである。
(従来の技術) 近年、安全対策や省エネルギーの観点から自動車用鋼板
の高強度化が進み、各種高強度鋼板の研究開発が行なわ
れ現在に至るもまだ活発である。自動車用鋼板にとって
の生命は高度の成形性と表面美麗度である。しかし、合
金化等によって高強度化されると、これら特性、特に成
形性は劣化するのが普通であり、自動車用鋼板の高強度
化にあたってはこれら特性の維持が大きな課題となる。
薄鋼板の成形性には、伸びで代表される延性と値で代
表される深絞り性とがある。(注.値は塑性異方性を
表わす指標で、ある方向に引っ張った時にr=〔幅対数
ひずみ〕/〔板厚対数ひずみ〕で定義され、=〔r
(圧延方向)+r(圧延方向と直角)+2r(圧延方向に
45度)〕÷4である。値と深絞り性とは良く対応する
と言われている。) このうち、伸び〜強度関係については研究開発が進み、
相当に強度が高い場合でも伸びの大きいいわゆるTS〜El
バランスの優れた鋼板が開発されている。(注.TS;引張
強度,El:伸び)しかし、値〜強度関係については、そ
れほど高強度側にまで開発されていない。すなわち≧
1.5を有する深絞り用と言えるものではせいぜい引張強
度40kgf/mm2級までが現状実用化されているに過ぎな
い。
しかし、高強度〜高値の達成手段としてCu添加は知ら
れている。すなわち特開昭59−76824号公報、特開昭59
−76825号公報および特公昭58−42248号公報記載の技術
がそれである。これらの技術により、引張強度が50kgf/
mm2級で=1.5以上のものが得られる。
しかしながら、これらの技術においてはCuを有効に作用
させるために、熱延板の焼鈍および/または熱延板の析
出処理を必須としており、これは鋼板の生産性を著しく
損ない、そのため、鋼板のコスト上昇をもたらし、実用
化を困難なものにしていた。
すなわち、特開昭59−76824号公報では、その特許請求
の範囲(2),(3)にはCu添加鋼が記載されている
が、熱延板を850〜950℃という極めて高温度で溶体化処
理した後さらに500℃以上の温度で焼鈍し、しかる後に
冷延・焼鈍することが要件となっている。特開昭59−76
825号公報ではやはり、その特許請求の範囲(2)〜
(4)にはCu添加鋼が記載されているが、500℃以上の
温度で熱延板を焼鈍した後、冷延・焼鈍することが要件
となっている。さらにまた、特公昭58−42248号公報で
は特許請求の範囲には付加工程に関する記載はないが、
高値を示す実施例では熱延板の付加熱処理を行なって
いる。このように従来技術では大量生産素材としてはま
ず避けるべき工程付加を必須要件としている。
冷延鋼板としてもう一つの重要な要件である表面美麗度
にとってCu添加はこれまで必ずしも好適ではなく、これ
もまたCu添加鋼の実用化阻害要因と言える。Cu添加鋼で
はCuへげと呼ばれる表面疵が生じる。このため、Cu添加
量の制限やNi複合添加により防止が計られている。そう
すると強度や値が不十分になったり、コストアップに
なるというような欠点が重畳される。特に、自動車外板
や準外板には不向きであった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明はこの様な状況に鑑み、50kgf/mm2以上の引張強
度と1.5以上の値を有し、かつ自動車外板にも耐える
表面美麗度を兼ね備える高強度冷延鋼板を、特別な付加
工程のない通常の工程においてその工程条件を特定し、
かつ特定の添加成分との組合わせによって供給しようと
するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは、C:0.03〜0.10%、Si:0.2
%以下、Mn:0.9〜2.0%、P:0.1%以下、Cu:0.6〜1.5
%、Al:0.01〜0.1%、N:0.0070%以下を含み、残部不可
避的不純物元素からなる鋼を連続鋳造してスラブとし、
これを直接、もしくは1000〜1080℃に加熱後熱間圧延を
行ない、860〜930℃で圧延を終了し、620〜750℃に巻取
り、続いて、65〜85%の圧下率で冷間圧延を行った後昇
温速度10〜100℃/時、焼鈍温度650〜800℃、焼鈍保定
時間2〜20時間で箱焼鈍を行うことを特徴とする高強度
高値冷延鋼板の製造方法にある。
すなわち、本発明は、比較的多量のCuを添加した鋼を出
発材としこれを連続鋳造し、かつ熱延条件を特定するこ
とでCuの溶体化状態を確保しつつCuへげの防止を達成
し、続いて、熱延後コイルを高温巻取することで適正な
Cu析出状態を得ることに成功したものである。
次に、本発明構成要件の数値限定理由について述べる。
まず、Cは0.03〜0.10%必要である。0.03%未満では強
度が得られず、0.1%を越えると値、伸びが低くな
る。
Siは値を劣化させずに鋼を強化するが、焼鈍時に板表
層にテンパーカラーを生じ易く、表面美麗度を重んじる
本発明では0.2%以下に限定した。厳しい自動車外板に
適用する場合には0.03%以下とすることが好ましい。
Mnは強度を確保するために必要であるが、それ以外にC
とあいまって鋼の変態点を調整し、Cuの溶体・析出挙動
を補助する効果をもたらす。0.9%未満ではこれらの効
果が少なく、2.0%超ではかえって値を低下させる。
Pは、値を損なうことなしに鋼を強化する。しかし、
Pは鋼を脆化させ、加工後の粒界破壊を発生させる可能
性があるので上限を0.1%とする。この加工脆化が問題
となる場合には0.01%以内の高純度にすることが好まし
い。
Alは脱酸およびNの固定のために0.01〜0.1%必要であ
る。下限値未満ではこれらの作用が不十分であり、上限
を越えると不純物が増し、鋼の延性を劣化させる。
Nは低炭素アルミキルド鋼ほどではないが、AlN析出時
に補助的に値を高める作用がある。このため、0.0070
%以内添加する。これを越えるとAlN析出量が増し延性
を劣化させる。
次にCuは本発明において基本をなす元素である。すなわ
ち、Cuは鋼の強度を高め、値を高めるために必要な反
面、Cu添加鋼の害であるCuへげの原因ともなる。本発明
では付加工程をなくすためにCuは比較的多量に添加す
る。0.6%未満では付加工程省略は困難である。好まし
くは0.9%以上とすべきである。一方、1.5%超程度で強
度、値に必要なCu析出物量としては飽和し、また鋼の
経済性を損なうので、上限は1.5%とした。
なお、硫化物系介在物は圧延により展伸しその切欠効果
のために鋼板の曲げ成形性などの成形性を劣化させる。
そのため、Sを0.010%以下とすることは望ましい。さ
らに、Ca,REM,Mgの1種以上を添加して硫化物の組成を
変え、圧延による展伸を抑えることが好ましい。その場
合、之等の各元素は0.0010〜0.0100%の添加が必要であ
る。いずれも下限値未満では効果がなく、上限値を越す
とかえって全介在物量が増し材質を劣化させる。
次に製造工程であるが、まず、鋳造は連続鋳造でなけれ
ばならない。連続鋳造ではスラブ厚が小さく比較的速や
かに冷却されるのでCuへげに繋がるCu表面濃化が少な
い。そしてこのスラブはそのままか、あるいは加熱炉に
入れる場合は1000〜1080℃に加熱してから熱延を行う。
1000℃未満の加熱では熱延がしがたく、また、1080℃を
越えるとCuへげが生ずる。熱延は比較的高温で行ない、
860〜930℃で終了する。860℃未満ではCu析出が生じ、
付加工程なしでは高値・高強度とはならない。また、
930℃を越えると、フェライト結晶粒が粗大化し値、
伸びが劣化する。熱延後ランアウトテーブル上で冷却を
行ない、620〜750℃の温度範囲で巻取る。620℃未満で
はCu析出が十分でなく、750℃超ではCu析出物が粗大化
してしまい、いずれも高値・高強度とならない。ラン
アウトテーブルでの冷却は通常で良いが、巻取での析出
促進の意味で20〜60℃/sで急冷することは好ましい。続
いて、熱延コイルは冷延・焼鈍されるが、冷延圧下率は
十分な値を確保するには65%以上必要である。圧下率
は通常の範囲では高いほど良いが、上限値は工業的に圧
下可能な値である85%とした。焼鈍昇温速度は100℃/
時以下としなければならない。これより大きくなると良
好な値が得られない。下限値は10℃/時とした。この
値で十分に特性が得られるが、いたずらに時間をかけて
昇温することは経済性を損なうからである。焼鈍温度は
650〜800℃、焼鈍保定時間は2〜20時間でなければなら
ない。いずれも下限値未満ではフェライト結晶の再結晶
・成長が十分でなく低値・低延性となる。それぞれの
上限値付近で特性は飽和し、 また、高温長時間ほどコストアップとなるので800℃お
よび20時間を上限値と定めた。焼鈍はタイトコイル、オ
ープンコイルを問わないが、生産性の高いタイトコイル
焼鈍が好ましい。その場合、焼鈍温度の上限は750℃程
度である。
(実施例−1) 第1表に示す成分の鋼を溶製し、連続鋳造−熱延を行な
った。鋼A,Bは直送、鋼C〜Fはスラブを1050℃に再加
熱して熱延した。鋼A,C,Eは本発明にしたがった鋼成分
であるが、鋼BはCuが、鋼DはC,Mnが、鋼FはC,Siがそ
れぞれ本発明範囲と異なる。これらの鋼をFT(仕上温
度)=880〜910℃で熱延した後、直ちに約30℃/sの平均
冷却速度で冷却し、660〜680℃で巻取った。この鋼を酸
洗後80%の冷延を行ない、続いて、昇温速度30℃/時、
保定720℃、12時間の焼鈍をおこない最後に1.0%のスキ
ンパス圧延を行なった。結果の機械的性質および表面検
定評点を第2表に示す。機械試験はJIS Z 2201 5号試験
片を用い、JIS Z 2241記載の方法にしたがって実施し
た。表面検定は出荷時検査に準じて行なった。評点は1
から5まであり、数値が大きくなるほどへげ、すり疵、
介在物露出等の表面欠陥が著しい。評点1は欠陥を認め
得なかったことを示し、通常評点2以下が出荷可能であ
る。
第2表より明らかなように、本発明にしたがった鋼A,C,
Eは50kgf/mm2以上の引張強度と1.5を越える値を有
し、延性も良好である。表面状態も全く問題がない。こ
れに対し、鋼Bでは強度、値が足りず、鋼Dでは強度
が大幅に低下している。鋼Fは値が低い上に、テンパ
ーカラーのために評点が落ちている。これより本発明の
成分条件の必要性が明らかである。
(実施例−2) 第1表に示す鋼の内符号A〜CおよびEの鋼を用い、第
3表に示す熱延条件で熱延を行なった。No.1〜4では直
送熱延を、No.5〜11では再加熱後熱延を行なった。No.1
2ではインゴット法で鋳込み、再加熱後熱延を行なっ
た。なお、No.7では熱延後、900℃、2時間のCu溶体化
処理と650℃、12時間の析出処理を行なった。すなわ
ち、これは従来の典型的なCu添加鋼における付加工程で
ある。熱延板はこの後78.6%ないし80%の冷延が施さ
れ、続いて昇温速度:30℃/時、焼鈍温度:720℃/時、
焼鈍時間:12時間の焼鈍が施された。1.0%スキンパス圧
延後の材質・表面状態を同じく第3表に示す。この実施
例では主としてCC→熱延の条件の影響を見ているが、N
o.1,3,4,8の例が本発明にしたがっており、その他はい
ずれかの条件において本発明と異なる。そして本発明と
異なったものは強度、延性、値、表面状態のいずれか
ひとつ以上において劣化している。ただし、No.7の鋼の
ように特別の付加処理を施したものは良好な特性を示
す。言い替えれば、本発明で付加工程省略が実現された
ことを示している。
この実施例より、CC、熱延、巻取条件の影響は明らかで
ある。
(実施例−3) 次に、冷延・焼鈍条件の影響を示す実施例について述べ
る。
冷延・焼鈍条件と結果を第4表に示す。用いた鋼は第1
表鋼Aである。No.2〜4の鋼は本発明条件に従っており
本発明が目的とする良好な特性を有する。それに対し
て、No.1の鋼では冷延率が、No.5の鋼では昇温速度が、
No.6の鋼では焼鈍温度が、No.7の鋼では焼鈍時間がそれ
ぞれ本発明と相違しており、その結果、低値あるいは
低強度となっている。この実施例より、本発明における
冷延・焼鈍条件の効果は明らかである。
(発明の効果) 自動車を中心とする材料の高強度化は、素材の有効利用
の観点から当然進展するものでなければならない。しか
しながら、薄鋼板においては成形性劣化がネックとなり
その進展が阻まれていた。本発明によって、この制限が
引張強度60kgf/mm2級まで緩和され、これによって、一
種の飽和状態にあった鋼板の高強度化に新展開が開けた
のであって、その経済的な効果は大きい。
また、鋼中Cuは、鋼の耐食性を高めると推定され、高強
度化に伴う薄手化によって生ずる耐食寿命を補うことが
期待される。すなわち、高強度化、高耐食性化という二
大課題の両立という展開が可能でこの意味からも本発明
の効果は極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.03〜0.10%、Si:0.2%以下、Mn:0.9〜
    2.0%、P:0.1%以下、Cu:0.6〜1.5%、Al:0.01〜0.1
    %、N:0.0070%以下を含み、残部不可避的不純物元素か
    らなる鋼を連続鋳造してスラブとし、これを直接、もし
    くは1000〜1080℃に加熱後熱間圧延を行ない、860〜930
    ℃で圧延を終了し、620〜750℃に巻取り、続いて、65〜
    85%の圧下率で冷間圧延を行った後昇温速度10〜100℃
    /時、焼鈍温度650〜800℃、焼鈍保定時間2〜20時間で
    箱焼鈍を行うことを特徴とする高強度高値冷延鋼板の
    製造方法。
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