JPH0697485A - 半導体素子 - Google Patents
半導体素子Info
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- JPH0697485A JPH0697485A JP5111465A JP11146593A JPH0697485A JP H0697485 A JPH0697485 A JP H0697485A JP 5111465 A JP5111465 A JP 5111465A JP 11146593 A JP11146593 A JP 11146593A JP H0697485 A JPH0697485 A JP H0697485A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 入射光を吸収して電子・正孔対を発生するn
- −InGaAs光吸収層2と、該領域からの光キャリ
アによりアバランシェ増倍を起こすn−InP増倍層4
とを備えたアバランシェフォトダイオードにおいて、上
記増倍層4の最大電界強度EM の変動に関わらず、上記
光吸収層2での最大電界を一定の最適な値に保持する。 【構成】 n−InP増倍層4とn- −InGaAs光
吸収層2との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の電界で束
縛電子を放出するInP/InGaAs/InP量子井
戸層3を備えた。
- −InGaAs光吸収層2と、該領域からの光キャリ
アによりアバランシェ増倍を起こすn−InP増倍層4
とを備えたアバランシェフォトダイオードにおいて、上
記増倍層4の最大電界強度EM の変動に関わらず、上記
光吸収層2での最大電界を一定の最適な値に保持する。 【構成】 n−InP増倍層4とn- −InGaAs光
吸収層2との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の電界で束
縛電子を放出するInP/InGaAs/InP量子井
戸層3を備えた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は半導体素子に関し、特
にバイアス印加により形成される空乏層内の電界分布を
印加バイアスに対し任意に設定可能な半導体素子に関す
るものである。
にバイアス印加により形成される空乏層内の電界分布を
印加バイアスに対し任意に設定可能な半導体素子に関す
るものである。
【0002】またこの発明は、光ファイバー通信におけ
る増巾作用をもつ受光素子、高速光通信に使用する受光
素子等の半導体素子に関するものである。
る増巾作用をもつ受光素子、高速光通信に使用する受光
素子等の半導体素子に関するものである。
【0003】
【従来の技術】以下、従来の半導体素子の一例としてI
nGaAs/InP系アバランシェフォトダイオード
(以下APD素子ともいう。)について説明する。図9
は従来のAPD素子の説明図で、図9(a) はその半導体
層構造を、図9(b) はその半導体層中での電界分布を示
している。図において、50はAPD素子を構成する半
導体層構造で、n+ −InP基板1と、その上に形成さ
れ、入射光を吸収して電子・正孔対を発生するn- −I
nGaAs光吸収層2と、該光吸収層2上に形成され、
この層2から注入された正孔によりアバランシェ倍増を
起こすn−InP増倍層4とから構成されており、該倍
増層4の表面部分にはZnやCd等によるp形拡散領域
5が形成されている。なおここでは図示していないが、
上記p形拡散領域5及びn+ −InP基板1にはこれら
の間に逆方向電圧を印加するための電極が形成されてい
る。
nGaAs/InP系アバランシェフォトダイオード
(以下APD素子ともいう。)について説明する。図9
は従来のAPD素子の説明図で、図9(a) はその半導体
層構造を、図9(b) はその半導体層中での電界分布を示
している。図において、50はAPD素子を構成する半
導体層構造で、n+ −InP基板1と、その上に形成さ
れ、入射光を吸収して電子・正孔対を発生するn- −I
nGaAs光吸収層2と、該光吸収層2上に形成され、
この層2から注入された正孔によりアバランシェ倍増を
起こすn−InP増倍層4とから構成されており、該倍
増層4の表面部分にはZnやCd等によるp形拡散領域
5が形成されている。なおここでは図示していないが、
上記p形拡散領域5及びn+ −InP基板1にはこれら
の間に逆方向電圧を印加するための電極が形成されてい
る。
【0004】次に動作について説明する。上記APD素
子のp形拡散領域5とn+ −InP基板1の間に逆方向
電圧を印加し、図9(b) に示すような電界分布を得る。
図9(b) では、x=0は、p形拡散領域5とn−InP
増倍層4とがなすpn接合Jの位置を示しており、xは
このpn接合Jの位置から半導体層構造50の深さ方向
(紙面下方向)への距離を示している。
子のp形拡散領域5とn+ −InP基板1の間に逆方向
電圧を印加し、図9(b) に示すような電界分布を得る。
図9(b) では、x=0は、p形拡散領域5とn−InP
増倍層4とがなすpn接合Jの位置を示しており、xは
このpn接合Jの位置から半導体層構造50の深さ方向
(紙面下方向)への距離を示している。
【0005】このような電圧の印加状態でp形拡散領域
5側より入射した信号光(波長1.0〜1.6μm)
は、上記n−InP増倍層4を透過し、その下側のn−
InGaAs光吸収層2で吸収され、電子,正孔対を発
生する。そして発生した両キャリアは空乏層電界により
移動し、正孔はn−InP増倍層4へ注入される。注入
正孔は、この増倍層4中の強電界にて加速され、アバラ
ンシェ増倍を起こし、増倍光電流として出力される。こ
こで重要なポイントは、n−InP増倍層4のみでアバ
ランシェ増倍を実現しなければならないという点にあ
る。
5側より入射した信号光(波長1.0〜1.6μm)
は、上記n−InP増倍層4を透過し、その下側のn−
InGaAs光吸収層2で吸収され、電子,正孔対を発
生する。そして発生した両キャリアは空乏層電界により
移動し、正孔はn−InP増倍層4へ注入される。注入
正孔は、この増倍層4中の強電界にて加速され、アバラ
ンシェ増倍を起こし、増倍光電流として出力される。こ
こで重要なポイントは、n−InP増倍層4のみでアバ
ランシェ増倍を実現しなければならないという点にあ
る。
【0006】ところが図11に示すように大きな増倍率
Mを得るために、逆電圧を増し、増倍層最大電界EM を
高めると、n−InGaAs光吸収層2にかかる最大電
界、つまり、n−InP増倍層4とn−InGaAs層
2との境界部分のヘテロ電界EH も大きくなる(図9
(b) 参照)。このようにヘテロ電界EH がある程度以上
大きくなると、n−InGaAs光吸収層2中でアバラ
ンシェ増倍が発生してしまい、このような状態では、周
波数の特性や雑音等の特性が劣化する。
Mを得るために、逆電圧を増し、増倍層最大電界EM を
高めると、n−InGaAs光吸収層2にかかる最大電
界、つまり、n−InP増倍層4とn−InGaAs層
2との境界部分のヘテロ電界EH も大きくなる(図9
(b) 参照)。このようにヘテロ電界EH がある程度以上
大きくなると、n−InGaAs光吸収層2中でアバラ
ンシェ増倍が発生してしまい、このような状態では、周
波数の特性や雑音等の特性が劣化する。
【0007】例えば、増倍層最大電界EM をEM1からE
M2まで高めた結果、上記ヘテロ電界EH が最適値EH0よ
り大きくなって電界値EH1になると、図10に示すよう
に、同一増倍率M(=20)に対して遮断周波数fcが
低下し、高い周波数の信号に対して応答しなくなる。な
おここで、ヘテロ電界EH が小さい領域でのfc劣化
は、ヘテロ接合におけるホールパイルアップ現象、つま
りヘテロ接合部分で正孔が一時的に停滞することにより
高い周波数の信号に対して応答しなくなる現象によるも
のと説明される。
M2まで高めた結果、上記ヘテロ電界EH が最適値EH0よ
り大きくなって電界値EH1になると、図10に示すよう
に、同一増倍率M(=20)に対して遮断周波数fcが
低下し、高い周波数の信号に対して応答しなくなる。な
おここで、ヘテロ電界EH が小さい領域でのfc劣化
は、ヘテロ接合におけるホールパイルアップ現象、つま
りヘテロ接合部分で正孔が一時的に停滞することにより
高い周波数の信号に対して応答しなくなる現象によるも
のと説明される。
【0008】また、図12は従来のInGaAs/In
P系APD素子の他の構造を示している。図12におい
て、図9と同一符号は同一のものを示し、60は従来の
APD素子を構成する半導体層構造(以下APD半導体
層構造ともいう。)で、これは、n+ −InP基板1と
n- −InGaAs光吸収層2との間に形成されたn−
InPバッファ層1aを有しており、その他の点は図9
(a) に示すAPD半導体層構造50と同一である。なお
ここでは、上記n+ −InP基板1の濃度は1018cm-3
台、n−InPバッファ層1aの濃度は1016〜1017
cm-3台、n- −InGaAs光吸収層2の濃度は1014
〜1015cm-3台、n−InP増倍層6の濃度は1016cm
-3台となっている。
P系APD素子の他の構造を示している。図12におい
て、図9と同一符号は同一のものを示し、60は従来の
APD素子を構成する半導体層構造(以下APD半導体
層構造ともいう。)で、これは、n+ −InP基板1と
n- −InGaAs光吸収層2との間に形成されたn−
InPバッファ層1aを有しており、その他の点は図9
(a) に示すAPD半導体層構造50と同一である。なお
ここでは、上記n+ −InP基板1の濃度は1018cm-3
台、n−InPバッファ層1aの濃度は1016〜1017
cm-3台、n- −InGaAs光吸収層2の濃度は1014
〜1015cm-3台、n−InP増倍層6の濃度は1016cm
-3台となっている。
【0009】また図13(a) は上記APD半導体層構造
60における電界分布の様子を示す図であり、縦軸は電
界強度E、横軸はpn接合Jの位置からの上記半導体層
構造60の深さ方向の距離xである。またEM は動作時
のInP増倍層4の最大電界(pn接合(J)位置の電
界)、ET は動作時のn- −InGaAs光吸収層2中
の最大電界(ヘテロ電界)である。
60における電界分布の様子を示す図であり、縦軸は電
界強度E、横軸はpn接合Jの位置からの上記半導体層
構造60の深さ方向の距離xである。またEM は動作時
のInP増倍層4の最大電界(pn接合(J)位置の電
界)、ET は動作時のn- −InGaAs光吸収層2中
の最大電界(ヘテロ電界)である。
【0010】ここでは、通常、ヘテロ電界ET の値が1
×105 V/cm以上と大きくなりすぎると、n−InG
aAs光吸収層2中の増倍が顕著になり、上述のように
周波数特性を劣化させるため、ヘテロ電界ET は1×1
05 V/cm以下に低くするのが望ましいが、このヘテロ
電界ET が低すぎると、ホールパイルアップ現象による
周波数劣化が生じるため、ヘテロ電界ET は最適値に設
定されている。
×105 V/cm以上と大きくなりすぎると、n−InG
aAs光吸収層2中の増倍が顕著になり、上述のように
周波数特性を劣化させるため、ヘテロ電界ET は1×1
05 V/cm以下に低くするのが望ましいが、このヘテロ
電界ET が低すぎると、ホールパイルアップ現象による
周波数劣化が生じるため、ヘテロ電界ET は最適値に設
定されている。
【0011】次に動作について説明する。上記APD半
導体層構造60においてpn接合(J)に動作時の大き
な逆バイアスを印加すると、空乏層端(D)は低濃度の
n型半導体側へ延び、比較的高濃度のn−InPバッフ
ァ層1aにて止まる。この時電界分布は図13(a) のよ
うになる。
導体層構造60においてpn接合(J)に動作時の大き
な逆バイアスを印加すると、空乏層端(D)は低濃度の
n型半導体側へ延び、比較的高濃度のn−InPバッフ
ァ層1aにて止まる。この時電界分布は図13(a) のよ
うになる。
【0012】この状態でp形拡散領域5の上方より光信
号(波長:1.0〜1.6μm)を入射すると、図9の
APD半導体層構造50の場合と同様、n- −InGa
As光吸収層2にてホール・電子対を発生する。この時
電子はn−InPバッファ層1a中にすみやかに移動
し、一方ホールは電界により、p形拡散領域5側へ移動
し、n−InP増倍層4へ注入される。そして該増倍層
4に注入されたホールは該層4中の大きな電界により加
速されて、アバランシェ増倍を起こし、つまり結晶格子
を衝突電離して、なだれ的にホールを発生する。これに
より増巾された光電流信号が得られる。
号(波長:1.0〜1.6μm)を入射すると、図9の
APD半導体層構造50の場合と同様、n- −InGa
As光吸収層2にてホール・電子対を発生する。この時
電子はn−InPバッファ層1a中にすみやかに移動
し、一方ホールは電界により、p形拡散領域5側へ移動
し、n−InP増倍層4へ注入される。そして該増倍層
4に注入されたホールは該層4中の大きな電界により加
速されて、アバランシェ増倍を起こし、つまり結晶格子
を衝突電離して、なだれ的にホールを発生する。これに
より増巾された光電流信号が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来のI
nGaAs/InP系APD半導体層構造では、図1
0,図11からわかるように、大きな増倍率Mを得るた
めに逆電圧を増し、増倍層最大電界EM を高めると、ヘ
テロ電界EH が最適値EH0より上昇し、周波数,雑音特
性を劣化させてしまうという問題点があった。
nGaAs/InP系APD半導体層構造では、図1
0,図11からわかるように、大きな増倍率Mを得るた
めに逆電圧を増し、増倍層最大電界EM を高めると、ヘ
テロ電界EH が最適値EH0より上昇し、周波数,雑音特
性を劣化させてしまうという問題点があった。
【0014】この問題は、より大きな増倍率までヘテロ
電界EH が最適値EH0を満足するように設計しても、実
際の製造プロセスではp形拡散フロントを0.1μm以
下に制御することが困難なため、ヘテロ電界が最適値E
H0に制御された大きな増倍率のデバイスを得ることが困
難であるというものである。
電界EH が最適値EH0を満足するように設計しても、実
際の製造プロセスではp形拡散フロントを0.1μm以
下に制御することが困難なため、ヘテロ電界が最適値E
H0に制御された大きな増倍率のデバイスを得ることが困
難であるというものである。
【0015】また、周波数特性はヘテロ電界ET が狭い
範囲でのみ良好であり、ヘテロ電界ET の広い範囲、す
なわち増倍率Mの広い領域で良好な周波数特性を得るこ
とは困難であった。
範囲でのみ良好であり、ヘテロ電界ET の広い範囲、す
なわち増倍率Mの広い領域で良好な周波数特性を得るこ
とは困難であった。
【0016】さらに従来のAPD半導体層構造では、n
- −InGaAs光吸収層2が厚いと、InGaAs光
吸収層2でもある不必要な増倍をおこす領域が広く、周
波数特性向上に不利であるため、上記光吸収層2を、充
分な光吸収が可能な充分薄いものとするのが好ましい
が、この場合、光吸収層2で空乏層を充分延すことがで
きなくなり、素子の静電容量が大きくなるという問題が
あった。
- −InGaAs光吸収層2が厚いと、InGaAs光
吸収層2でもある不必要な増倍をおこす領域が広く、周
波数特性向上に不利であるため、上記光吸収層2を、充
分な光吸収が可能な充分薄いものとするのが好ましい
が、この場合、光吸収層2で空乏層を充分延すことがで
きなくなり、素子の静電容量が大きくなるという問題が
あった。
【0017】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、増倍層の最大電界強度EM の変
動に関わらず、光吸収層での最大電界を一定の最適な値
に設定することができる半導体素子を得ることを目的と
する。
ためになされたもので、増倍層の最大電界強度EM の変
動に関わらず、光吸収層での最大電界を一定の最適な値
に設定することができる半導体素子を得ることを目的と
する。
【0018】またこの発明は、比較的高いヘテロ電界E
T においても充分な周波数特性を得ることができる半導
体素子を得ることを目的とする。
T においても充分な周波数特性を得ることができる半導
体素子を得ることを目的とする。
【0019】さらにこの発明は、低バイアスにおける感
度や周波数特性等の諸特性を損なうことなく、素子の静
電容量を低減できる半導体素子を得ることを目的とす
る。
度や周波数特性等の諸特性を損なうことなく、素子の静
電容量を低減できる半導体素子を得ることを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明に係る半導体素
子は、複数の半導体層を積層してなる半導体積層構造に
おけるバイアス印加により空乏層が広がる領域に配置さ
れ、特定電界強度にて束縛キャリアを放出する所定量の
不純物イオンを含む量子井戸層を備えたものである。
子は、複数の半導体層を積層してなる半導体積層構造に
おけるバイアス印加により空乏層が広がる領域に配置さ
れ、特定電界強度にて束縛キャリアを放出する所定量の
不純物イオンを含む量子井戸層を備えたものである。
【0021】この発明に係る半導体素子は、入射光を吸
収して電子・正孔対を発生する光吸収領域と、該光吸収
領域上に形成され、該領域からの光キャリアによりアバ
ランシェ増倍を起こす増倍領域とを備え、バイアス印加
により上記各領域に電界を発生させた状態で入射光の検
出を行うアバランシェフォトダイオードにおいて、上記
増倍領域と光吸収領域との間に設けられ、特定電界強度
にて束縛キャリアを放出する所定量の不純物イオンを含
む量子井戸層を備え、光吸収領域内に発生する最大電界
を最適値に固定するようにしたものである。
収して電子・正孔対を発生する光吸収領域と、該光吸収
領域上に形成され、該領域からの光キャリアによりアバ
ランシェ増倍を起こす増倍領域とを備え、バイアス印加
により上記各領域に電界を発生させた状態で入射光の検
出を行うアバランシェフォトダイオードにおいて、上記
増倍領域と光吸収領域との間に設けられ、特定電界強度
にて束縛キャリアを放出する所定量の不純物イオンを含
む量子井戸層を備え、光吸収領域内に発生する最大電界
を最適値に固定するようにしたものである。
【0022】この発明は上記半導体素子において、上記
量子井戸層を、量子井戸のサイズが異なる複数の単位量
子井戸層を組み合わせて構成し、各単位量子井戸層の不
純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び数の設定に
より、各量子井戸が束縛キャリアを放出する特定電界強
度を調整可能としたものである。
量子井戸層を、量子井戸のサイズが異なる複数の単位量
子井戸層を組み合わせて構成し、各単位量子井戸層の不
純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び数の設定に
より、各量子井戸が束縛キャリアを放出する特定電界強
度を調整可能としたものである。
【0023】この発明に係る半導体素子は、光吸収層の
キャリア濃度を0.5×1016cm-3以上となるよう高濃
度化したものである。
キャリア濃度を0.5×1016cm-3以上となるよう高濃
度化したものである。
【0024】この発明に係る半導体素子は、n- −In
GaAs光吸収層とn−InPバッファ層との間に低キ
ャリア濃度でかつ厚いn- −InP層を挿入し、さらに
該n- −InP層とn- −InGaAs光吸収層の間に
比較的高濃度でかつ薄いn−InP層を挿入したもので
ある。
GaAs光吸収層とn−InPバッファ層との間に低キ
ャリア濃度でかつ厚いn- −InP層を挿入し、さらに
該n- −InP層とn- −InGaAs光吸収層の間に
比較的高濃度でかつ薄いn−InP層を挿入したもので
ある。
【0025】
【作用】この発明においては、半導体積層構造における
バイアス印加により空乏層が広がる領域に、特定電界強
度にて束縛キャリアを放出する量子井戸層を配置したか
ら、印加バイアスが限界値を越えるまでは該バイアスレ
ベルに関係なく、半導体積層構造における所定の領域の
電界を一定レベルに固定することができる。
バイアス印加により空乏層が広がる領域に、特定電界強
度にて束縛キャリアを放出する量子井戸層を配置したか
ら、印加バイアスが限界値を越えるまでは該バイアスレ
ベルに関係なく、半導体積層構造における所定の領域の
電界を一定レベルに固定することができる。
【0026】この発明においては、光電流の増倍領域と
光吸収領域との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の電界で
束縛電子を放出する量子井戸層を備えているため、光吸
収層の最大電界,つまりヘテロ電界が最適値EH0となっ
たバイアスより高いバイアスに対し、量子井戸が電子を
放出してバイアス増大分を相殺することとなり、これに
より電界強度の増加は上記増倍領域中のみで起こり、光
吸収層の電界は一定に保たれる。
光吸収領域との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の電界で
束縛電子を放出する量子井戸層を備えているため、光吸
収層の最大電界,つまりヘテロ電界が最適値EH0となっ
たバイアスより高いバイアスに対し、量子井戸が電子を
放出してバイアス増大分を相殺することとなり、これに
より電界強度の増加は上記増倍領域中のみで起こり、光
吸収層の電界は一定に保たれる。
【0027】またこの発明においては、上記量子井戸層
を、量子井戸のサイズが異なる複数の単位量子井戸層を
組み合わせて構成したので、各単位量子井戸層の不純物
濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び数の設定によ
り、各量子井戸が束縛キャリアを放出する特定電界強度
を調整することが可能となり、これにより上記印加バイ
アスのレンジを制御できる。
を、量子井戸のサイズが異なる複数の単位量子井戸層を
組み合わせて構成したので、各単位量子井戸層の不純物
濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び数の設定によ
り、各量子井戸が束縛キャリアを放出する特定電界強度
を調整することが可能となり、これにより上記印加バイ
アスのレンジを制御できる。
【0028】この発明においては、InGaAs光吸収
層のキャリア濃度を高めたから、キャリア濃度の低い場
合に比べ、InGaAs光吸収層での平均的な電界強度
を小さくすることができ、該光吸収層中での増倍を抑え
て周波数特性を向上することができる。
層のキャリア濃度を高めたから、キャリア濃度の低い場
合に比べ、InGaAs光吸収層での平均的な電界強度
を小さくすることができ、該光吸収層中での増倍を抑え
て周波数特性を向上することができる。
【0029】この発明においては、n- −InGaAs
光吸収層下に低キャリア濃度でかつ厚いn- −InP層
を挿入したので、光吸収層の下側に空乏層を充分延ばす
ことができ、これにより素子の静電容量を低減すること
ができる。また、該n- −InP層と、n- −InGa
As光吸収層の間に比較的高濃度でかつ薄いn−InP
層を挿入しているため、低バイアス状態においてヘテロ
界面近傍で電子が流れ易くなり、低バイアス状態での光
感度の劣化を回避することができる。
光吸収層下に低キャリア濃度でかつ厚いn- −InP層
を挿入したので、光吸収層の下側に空乏層を充分延ばす
ことができ、これにより素子の静電容量を低減すること
ができる。また、該n- −InP層と、n- −InGa
As光吸収層の間に比較的高濃度でかつ薄いn−InP
層を挿入しているため、低バイアス状態においてヘテロ
界面近傍で電子が流れ易くなり、低バイアス状態での光
感度の劣化を回避することができる。
【0030】
【実施例】実施例1.図1はこの発明の第1の実施例に
よるInGaAs/InP系APD素子を説明するため
の図であり、図1(a) はそのAPD半導体層構造を示す
図、図1(b)はその一部を拡大して示す図、図1(c) は
上記APD半導体層構造中の電界分布を示す図である。
よるInGaAs/InP系APD素子を説明するため
の図であり、図1(a) はそのAPD半導体層構造を示す
図、図1(b)はその一部を拡大して示す図、図1(c) は
上記APD半導体層構造中の電界分布を示す図である。
【0031】図において、100は、特定値以上のバイ
アスに対し光吸収層の最大電界が最適値に固定される、
本実施例のAPD素子の半導体層構造であり、従来のA
PD半導体層構造50において、n- −InGaAs光
吸収層2とその上のn−InP増倍層4との間に、In
P/InGaAsP/InP構造の量子井戸層3を設け
たものであり、その他の構成は従来のものと同一であ
る。
アスに対し光吸収層の最大電界が最適値に固定される、
本実施例のAPD素子の半導体層構造であり、従来のA
PD半導体層構造50において、n- −InGaAs光
吸収層2とその上のn−InP増倍層4との間に、In
P/InGaAsP/InP構造の量子井戸層3を設け
たものであり、その他の構成は従来のものと同一であ
る。
【0032】ここで上記量子井戸層3には、1016〜1
017cm-3台のドナー不純物を添加してある。またこの量
子井戸層3の深さと幅は、その位置における電界強度が
1〜2×105 V/cm程度となった時、束縛電子を放出
するサイズとしている。
017cm-3台のドナー不純物を添加してある。またこの量
子井戸層3の深さと幅は、その位置における電界強度が
1〜2×105 V/cm程度となった時、束縛電子を放出
するサイズとしている。
【0033】次に動作を図2のバンド構造図により説明
する。本実施例のAPD半導体層構造100における基
本的な動作,つまり光吸収を行い、キャリアを発生し、
そのうち正孔をInP増倍層に注入し、アバランシェ増
倍を起こし、増倍光電流を得る動作は従来のものと同じ
であるので、以下は、光吸収層2の最大電界(ヘテロ電
界)EH が最適値EH0となったバイアスより高いバイア
スに対しても、この最適値EH0に保たれる動作について
詳述する。
する。本実施例のAPD半導体層構造100における基
本的な動作,つまり光吸収を行い、キャリアを発生し、
そのうち正孔をInP増倍層に注入し、アバランシェ増
倍を起こし、増倍光電流を得る動作は従来のものと同じ
であるので、以下は、光吸収層2の最大電界(ヘテロ電
界)EH が最適値EH0となったバイアスより高いバイア
スに対しても、この最適値EH0に保たれる動作について
詳述する。
【0034】図2(a) は量子井戸層3にかかる電界強度
が束縛電子を放出しない程度に低い場合(増倍層最大電
界EM =EM1,ヘテロ電界EH =EH0)のバンド図であ
る。この状態において、量子井戸層3は束縛電子の負電
荷とドナーイオンの正電荷が相殺し、中性となってい
る。よって、バイアス増加によるp拡散領域5における
アクセプタイオン(負電荷−図中における4つの負電
荷)の増加はInGaAs光吸収層2のドナーイオン
(正電荷)の増加で補われる。即ち、バイアス増加によ
りInGaAs光吸収層2の空乏層が延び、電界強度が
増加する。
が束縛電子を放出しない程度に低い場合(増倍層最大電
界EM =EM1,ヘテロ電界EH =EH0)のバンド図であ
る。この状態において、量子井戸層3は束縛電子の負電
荷とドナーイオンの正電荷が相殺し、中性となってい
る。よって、バイアス増加によるp拡散領域5における
アクセプタイオン(負電荷−図中における4つの負電
荷)の増加はInGaAs光吸収層2のドナーイオン
(正電荷)の増加で補われる。即ち、バイアス増加によ
りInGaAs光吸収層2の空乏層が延び、電界強度が
増加する。
【0035】図2(b) は量子井戸層3にかかる電界強度
が束縛電子を放出する程度に高い場合(増倍層最大電界
EM =EM2 or EM3,ヘテロ電界EH =EH0)のバンド
図である。この状態においては、量子井戸層3中の束縛
電子(負電荷)が放出するため、後にドナーイオン(固
定正電荷)が残される。即ち、量子井戸層3にかかる電
界強度を束縛電子を放出する程度に高くした場合、p拡
散領域5のアクセプタイオン(図2(a) に対し、増加し
た1つの負電荷)の増加は、量子井戸層3のドナーイオ
ン(正電荷)で補われる。この状態では、バイアス変化
に対してInGaAs光吸収層2の電界は図1(c) に示
すように一定に保たれる。
が束縛電子を放出する程度に高い場合(増倍層最大電界
EM =EM2 or EM3,ヘテロ電界EH =EH0)のバンド
図である。この状態においては、量子井戸層3中の束縛
電子(負電荷)が放出するため、後にドナーイオン(固
定正電荷)が残される。即ち、量子井戸層3にかかる電
界強度を束縛電子を放出する程度に高くした場合、p拡
散領域5のアクセプタイオン(図2(a) に対し、増加し
た1つの負電荷)の増加は、量子井戸層3のドナーイオ
ン(正電荷)で補われる。この状態では、バイアス変化
に対してInGaAs光吸収層2の電界は図1(c) に示
すように一定に保たれる。
【0036】このように本実施例のアバランシェフォト
ダイオード100では、n−InP増倍層4と、n- −
InGaAs光吸収層2の間に最適ヘテロ電界EH0以上
の電界で、束縛電子を放出しかつドナーイオン(正に帯
電)を適量含む量子井戸層3を備えたので、ヘテロ電界
がEH0となったバイアスより高いバイアスに対し、量子
井戸は電子を放出し、正に帯電することとなり、電界強
度の増加はn−InP増倍層4中のみで起こり、n−I
nGaAs光吸収層2での電界強度は一定に保たれる。
この結果光吸収層アバランシェ増倍による周波数特性や
雑音特性の劣化のない、高い増倍率のアバランシェフォ
トダイオードを得ることができる。
ダイオード100では、n−InP増倍層4と、n- −
InGaAs光吸収層2の間に最適ヘテロ電界EH0以上
の電界で、束縛電子を放出しかつドナーイオン(正に帯
電)を適量含む量子井戸層3を備えたので、ヘテロ電界
がEH0となったバイアスより高いバイアスに対し、量子
井戸は電子を放出し、正に帯電することとなり、電界強
度の増加はn−InP増倍層4中のみで起こり、n−I
nGaAs光吸収層2での電界強度は一定に保たれる。
この結果光吸収層アバランシェ増倍による周波数特性や
雑音特性の劣化のない、高い増倍率のアバランシェフォ
トダイオードを得ることができる。
【0037】なお、上記実施例では、単一の量子井戸層
3を用いた場合について説明したが、これは異なるサイ
ズの量子井戸を持つ量子井戸層を組み合わせ、各量子井
戸に適度な位置的分布を持たせることにより、広いバイ
アスレンジ(増倍層電界レンジ)に対し、InGaAs
光吸収層2にかかる電界(即ちヘテロ電界)を適切な値
に保つことが可能となる。
3を用いた場合について説明したが、これは異なるサイ
ズの量子井戸を持つ量子井戸層を組み合わせ、各量子井
戸に適度な位置的分布を持たせることにより、広いバイ
アスレンジ(増倍層電界レンジ)に対し、InGaAs
光吸収層2にかかる電界(即ちヘテロ電界)を適切な値
に保つことが可能となる。
【0038】実施例2.図3はこのような構成の本発明
の第2の実施例によるAPD半導体層構造を説明するた
めの図であり、この構造における量子井戸層部分のバン
ド構造を示している。
の第2の実施例によるAPD半導体層構造を説明するた
めの図であり、この構造における量子井戸層部分のバン
ド構造を示している。
【0039】ここでは図1に示すAPD半導体層構造1
00において、量子井戸層3に代えて、量子井戸のサイ
ズが異なる複数の単位量子井戸層を組み合わせて構成し
た複合量子井戸層を用いている。なおD1及びD2は量
子井戸の深さ、w1〜w3は量子井戸の幅,つまり該井
戸部分のエピタキシャル層の厚みを示しており、またΔ
E1 〜ΔE4 は各量子井戸から束縛電子が放出される電
界強度を示している。
00において、量子井戸層3に代えて、量子井戸のサイ
ズが異なる複数の単位量子井戸層を組み合わせて構成し
た複合量子井戸層を用いている。なおD1及びD2は量
子井戸の深さ、w1〜w3は量子井戸の幅,つまり該井
戸部分のエピタキシャル層の厚みを示しており、またΔ
E1 〜ΔE4 は各量子井戸から束縛電子が放出される電
界強度を示している。
【0040】このような第2の実施例では、各単位量子
井戸層の不純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び
数の設定により、各量子井戸が束縛キャリアを放出する
特定電界強度を調整することが可能となり、これにより
上記印加バイアスのレンジを制御できる効果がある。
井戸層の不純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び
数の設定により、各量子井戸が束縛キャリアを放出する
特定電界強度を調整することが可能となり、これにより
上記印加バイアスのレンジを制御できる効果がある。
【0041】実施例3.図4は本発明の第3の実施例に
よるAPD半導体層構造を示し、図5(a) は図13(a)
と同様、上記半導体層構造における深さ方向の電界分布
を示している。
よるAPD半導体層構造を示し、図5(a) は図13(a)
と同様、上記半導体層構造における深さ方向の電界分布
を示している。
【0042】図において、110は本実施例のAPD半
導体層構造、12は該半導体層構造110を構成する高
濃度化n- −InGaAs光吸収層で、そのキャリア濃
度は約0.5×1016cm-3以上の、素子容量が許容限界
を越えない程度の値にしている。その他の構成は従来の
APD半導体層構造60と同一である。
導体層構造、12は該半導体層構造110を構成する高
濃度化n- −InGaAs光吸収層で、そのキャリア濃
度は約0.5×1016cm-3以上の、素子容量が許容限界
を越えない程度の値にしている。その他の構成は従来の
APD半導体層構造60と同一である。
【0043】次に作用効果について説明する。この実施
例のAPD半導体層構造110においても、光信号を受
けて光電流を発生する動作は従来と同一であるのでここ
では省略する。
例のAPD半導体層構造110においても、光信号を受
けて光電流を発生する動作は従来と同一であるのでここ
では省略する。
【0044】上記APD半導体層構造110では、pn
接合(J)に動作時の大きな逆バイアスを印加すると、
n- −InGaAs光吸収層(2) のキャリア濃度が高い
ため、空乏層端(D)は該光吸収層(2) 中にて止まる。
接合(J)に動作時の大きな逆バイアスを印加すると、
n- −InGaAs光吸収層(2) のキャリア濃度が高い
ため、空乏層端(D)は該光吸収層(2) 中にて止まる。
【0045】図5(b) は、実験による、遮断周波数fc
と、InGaAs光吸収層のキャリア濃度Nの相関を示
している。このデータは増倍率が比較的高い20倍の時
のもので、ヘテロ電界ET は1.5×105 V/cm付近
である。この図より明らかに、N>0.5×1016cm-3
の領域にて、通常使用される遮断周波数である2GHz
以上の値が得られている。
と、InGaAs光吸収層のキャリア濃度Nの相関を示
している。このデータは増倍率が比較的高い20倍の時
のもので、ヘテロ電界ET は1.5×105 V/cm付近
である。この図より明らかに、N>0.5×1016cm-3
の領域にて、通常使用される遮断周波数である2GHz
以上の値が得られている。
【0046】このように本実施例では、InGaAs光
吸収層12のキャリア濃度を高めたので、キャリア濃度
の低い場合に比べ、InGaAs光吸収層12中の平均
的な電界強度を小さく抑えることができ、これにより該
光吸収層12での増倍を抑えて遮断周波数を高めること
ができる。
吸収層12のキャリア濃度を高めたので、キャリア濃度
の低い場合に比べ、InGaAs光吸収層12中の平均
的な電界強度を小さく抑えることができ、これにより該
光吸収層12での増倍を抑えて遮断周波数を高めること
ができる。
【0047】実施例4.図6は本発明の第4の実施例に
よるAPD素子の半導体層構造を示し、図7は上記第3
実施例で用いた図5(a) と同様、動作時の上記半導体層
構造における深さ方向の電界分布を示している。
よるAPD素子の半導体層構造を示し、図7は上記第3
実施例で用いた図5(a) と同様、動作時の上記半導体層
構造における深さ方向の電界分布を示している。
【0048】図において、図12と同一符号は従来のA
PD半導体層構造と同一のものを示し、120は本実施
例のAPD半導体層構造で、従来のAPD半導体層構造
60のn−InPバッファ層1aとn- −InGaAs
光吸収層2との間に、比較的高濃度の薄いn−InP層
14と低濃度の厚いn- InP層13とをそれぞれ上下
に挿入した、リーチスルー形APD素子の半導体層構造
となっている。
PD半導体層構造と同一のものを示し、120は本実施
例のAPD半導体層構造で、従来のAPD半導体層構造
60のn−InPバッファ層1aとn- −InGaAs
光吸収層2との間に、比較的高濃度の薄いn−InP層
14と低濃度の厚いn- InP層13とをそれぞれ上下
に挿入した、リーチスルー形APD素子の半導体層構造
となっている。
【0049】ここで上記低濃度の厚いn- −InP層1
3の厚さは2〜10μm程度、その濃度は1014〜10
15cm-3台であり、比較的高濃度の薄いn−InP層14
の厚さは100オングストローム〜1μm、その濃度は
1016〜1017cm-3台であり、その禁制帯幅は、上記光
吸収層,及びn- −InP層13の禁制帯幅の中間の値
となっている。
3の厚さは2〜10μm程度、その濃度は1014〜10
15cm-3台であり、比較的高濃度の薄いn−InP層14
の厚さは100オングストローム〜1μm、その濃度は
1016〜1017cm-3台であり、その禁制帯幅は、上記光
吸収層,及びn- −InP層13の禁制帯幅の中間の値
となっている。
【0050】次に作用効果について説明する。光信号を
受けn- −InGaAs光吸収層5で発生したホールを
n−InP増倍層4中で増巾する過程は、図12に示す
従来のものと同じである。
受けn- −InGaAs光吸収層5で発生したホールを
n−InP増倍層4中で増巾する過程は、図12に示す
従来のものと同じである。
【0051】また本実施例のAPD構造120では、動
作時の逆バイアスにより、空乏層端Dは、およそn−I
nP層13の厚み分だけ余分に延びることとなる。これ
により素子容量の大部分を占める空乏層容量を、従来と
同じ増倍特性において低減することができる。
作時の逆バイアスにより、空乏層端Dは、およそn−I
nP層13の厚み分だけ余分に延びることとなる。これ
により素子容量の大部分を占める空乏層容量を、従来と
同じ増倍特性において低減することができる。
【0052】ここで、n−InP層13の厚みが厚い
程、素子容量を小さくすることができるが、InGaA
s光吸収層2で発生した電子が空乏層端Dまで走行する
時間を考慮する必要があり、上記電子の走行時間の増大
による周波数劣化を生じさせない程度に上記n−InP
層13の厚さを設定する必要がある。
程、素子容量を小さくすることができるが、InGaA
s光吸収層2で発生した電子が空乏層端Dまで走行する
時間を考慮する必要があり、上記電子の走行時間の増大
による周波数劣化を生じさせない程度に上記n−InP
層13の厚さを設定する必要がある。
【0053】また、空乏層端Dが、InGaAs光吸収
層2に到達しないような低バイアスで感度を評価するこ
とがあるが、InGaAs光吸収層2と低濃度(1014
〜1015cm-3)のInP層13とを直接接合した構造で
は、図13(b) に示す、感度とInGaAs光吸収層2
の下側にあるInP層のキャリア濃度の相関についての
実験結果から分かるように、充分な感度が得られない。
層2に到達しないような低バイアスで感度を評価するこ
とがあるが、InGaAs光吸収層2と低濃度(1014
〜1015cm-3)のInP層13とを直接接合した構造で
は、図13(b) に示す、感度とInGaAs光吸収層2
の下側にあるInP層のキャリア濃度の相関についての
実験結果から分かるように、充分な感度が得られない。
【0054】ところが、本実施例ではn- −InGaA
s光吸収層2と低濃度(1014〜1015cm-3)のInP
層13との間に比較的高濃度(1016〜1017cm-3台)
でかつ薄いn−InP層14を挿入しているため、低バ
イアス状態においてヘテロ界面近傍で電子が流れ易くな
り、低バイアス状態での光感度の劣化を回避することが
できる。これにより充分な感度を有する低容量APD素
子を得ることができる。さらに、n−InP層14での
電界降下量を調節することにより、n- −InP層13
における電子の増倍の抑制と、電子の走行時間とを最適
化することができる。
s光吸収層2と低濃度(1014〜1015cm-3)のInP
層13との間に比較的高濃度(1016〜1017cm-3台)
でかつ薄いn−InP層14を挿入しているため、低バ
イアス状態においてヘテロ界面近傍で電子が流れ易くな
り、低バイアス状態での光感度の劣化を回避することが
できる。これにより充分な感度を有する低容量APD素
子を得ることができる。さらに、n−InP層14での
電界降下量を調節することにより、n- −InP層13
における電子の増倍の抑制と、電子の走行時間とを最適
化することができる。
【0055】このように本実施例では、n- −InGa
As光吸収層2の下に低キャリア濃度でかつ厚いn- −
InP層13を挿入したので、光吸収層の下側に空乏層
を充分延ばすことができ、これにより素子の容量を低減
することができる。また、該n- −InP層13と、n
- −InGaAs光吸収層2の間に比較的高濃度でかつ
薄いn−InP層を挿入したため、低バイアス状態にお
いてヘテロ界面付近で電子が流れ易くなり、感度の劣化
を回避することができる。
As光吸収層2の下に低キャリア濃度でかつ厚いn- −
InP層13を挿入したので、光吸収層の下側に空乏層
を充分延ばすことができ、これにより素子の容量を低減
することができる。また、該n- −InP層13と、n
- −InGaAs光吸収層2の間に比較的高濃度でかつ
薄いn−InP層を挿入したため、低バイアス状態にお
いてヘテロ界面付近で電子が流れ易くなり、感度の劣化
を回避することができる。
【0056】なお、上記実施例では受光素子として、A
PD素子を示したが、これは、n形半導体領域上にi形
光吸収層及びp形半導体層を順次形成してなるpin型
フォトダイオードでもよく、上記光吸収層とn形半導体
領域との間に、比較的高濃度の薄い半導体層と、低濃度
の厚い半導体層とを上下に挿入することにより、上記実
施例と同様の効果が得られる。
PD素子を示したが、これは、n形半導体領域上にi形
光吸収層及びp形半導体層を順次形成してなるpin型
フォトダイオードでもよく、上記光吸収層とn形半導体
領域との間に、比較的高濃度の薄い半導体層と、低濃度
の厚い半導体層とを上下に挿入することにより、上記実
施例と同様の効果が得られる。
【0057】実施例5.図8は本発明の第5の実施例に
よるAPD半導体層構造を示し、図において、130は
本実施例のAPD半導体層構造で、これは上記第4の実
施例の半導体層構造120におけるn−InPバッファ
層1aと低濃度の薄いn- −InP層13との間に、屈
折率の異なる半導体結晶の多層構造によるブラッグ反射
膜8を配置したものである。
よるAPD半導体層構造を示し、図において、130は
本実施例のAPD半導体層構造で、これは上記第4の実
施例の半導体層構造120におけるn−InPバッファ
層1aと低濃度の薄いn- −InP層13との間に、屈
折率の異なる半導体結晶の多層構造によるブラッグ反射
膜8を配置したものである。
【0058】ここで上記ブラッグ反射膜8は、例えば各
々数100オングストローム程度の厚みのInGaAs
又はInGaAsPからなる層8a及びInP層8bを
交互に積層したもので、この厚みと薄膜の層数は、信号
光の波長や反射率により決まり、ここではこの反射率が
90%以上になるようにし、また反射した光信号が、n
−InGaAs光吸収層2内で100%吸収され、受光
部分より外部にでないようにしている。
々数100オングストローム程度の厚みのInGaAs
又はInGaAsPからなる層8a及びInP層8bを
交互に積層したもので、この厚みと薄膜の層数は、信号
光の波長や反射率により決まり、ここではこの反射率が
90%以上になるようにし、また反射した光信号が、n
−InGaAs光吸収層2内で100%吸収され、受光
部分より外部にでないようにしている。
【0059】このように本実施例では、上記第4実施例
の効果に加えて、n−InPバッファ層1aと低濃度の
薄いn- −InP層13との間に、屈折率の異なる半導
体結晶の多層構造によるブラッグ反射膜8を挿入したの
で、光吸収量を低下させることなく、n−InGaAs
光吸収層2の厚みを半分以下に薄くすることができ、I
nGaAs光吸収層2による増倍領域を狭めることがで
きる効果がある。
の効果に加えて、n−InPバッファ層1aと低濃度の
薄いn- −InP層13との間に、屈折率の異なる半導
体結晶の多層構造によるブラッグ反射膜8を挿入したの
で、光吸収量を低下させることなく、n−InGaAs
光吸収層2の厚みを半分以下に薄くすることができ、I
nGaAs光吸収層2による増倍領域を狭めることがで
きる効果がある。
【0060】
【発明の効果】以上のようにこの発明に係る半導体素子
によれば、半導体積層構造におけるバイアス印加により
空乏層が広がる領域に、特定電界強度にて束縛キャリア
を放出する量子井戸層を配置したので、印加バイアスが
限界値を越えるまでは該バイアスレベルに関係なく、半
導体積層構造における所定の領域の電界を一定レベルに
固定することができる効果がある。
によれば、半導体積層構造におけるバイアス印加により
空乏層が広がる領域に、特定電界強度にて束縛キャリア
を放出する量子井戸層を配置したので、印加バイアスが
限界値を越えるまでは該バイアスレベルに関係なく、半
導体積層構造における所定の領域の電界を一定レベルに
固定することができる効果がある。
【0061】またこの発明によれば、入射光を吸収して
電子・正孔対を発生する光吸収領域と、該光吸収領域上
に形成され、該領域からの光キャリアによりアバランシ
ェ増倍を起こす増倍領域とを備え、バイアス印加により
上記各領域に電界を発生させた状態で入射光の検出を行
うアバランシェフォトダイオードにおいて、光電流の増
倍領域と光吸収層との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の
電界で束縛電子を放出する量子井戸層を備えたので、光
吸収層の最大電界,つまりヘテロ電界が最適値EH0とな
ったバイアスより高いバイアスに対し、量子井戸は電子
を放出してバイアス増大分を相殺することとなり、これ
により電界強度を上記増倍領域中でのみ増大させ、光吸
収層の電界を一定に保つことができ、この結果、周波
数,雑音特性の劣化がなく、高い増倍率を有する半導体
素子を得ることができる。
電子・正孔対を発生する光吸収領域と、該光吸収領域上
に形成され、該領域からの光キャリアによりアバランシ
ェ増倍を起こす増倍領域とを備え、バイアス印加により
上記各領域に電界を発生させた状態で入射光の検出を行
うアバランシェフォトダイオードにおいて、光電流の増
倍領域と光吸収層との間に、最適ヘテロ電界EH0以上の
電界で束縛電子を放出する量子井戸層を備えたので、光
吸収層の最大電界,つまりヘテロ電界が最適値EH0とな
ったバイアスより高いバイアスに対し、量子井戸は電子
を放出してバイアス増大分を相殺することとなり、これ
により電界強度を上記増倍領域中でのみ増大させ、光吸
収層の電界を一定に保つことができ、この結果、周波
数,雑音特性の劣化がなく、高い増倍率を有する半導体
素子を得ることができる。
【0062】またこの発明によれば上記半導体素子にお
いて、上記量子井戸層を、量子井戸のサイズが異なる複
数の単位量子井戸層を組み合わせて構成したので、各単
位量子井戸層の不純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,
幅及び数の設定により、各量子井戸が束縛キャリアを放
出する特定電界強度を調整することが可能となり、これ
により上記印加バイアスのレンジを制御できる効果があ
る。
いて、上記量子井戸層を、量子井戸のサイズが異なる複
数の単位量子井戸層を組み合わせて構成したので、各単
位量子井戸層の不純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,
幅及び数の設定により、各量子井戸が束縛キャリアを放
出する特定電界強度を調整することが可能となり、これ
により上記印加バイアスのレンジを制御できる効果があ
る。
【0063】またこの発明に係る半導体素子によれば、
APD半導体層構造を構成するInGaAs光吸収層の
キャリア濃度を高めたので、比較的ヘテロ電界が高い、
すなわち増倍率が高い状態でも、InGaAs光吸収層
中の平均的な電界強度を小さく抑えて、該光吸収層中で
の増倍低減により周波数特性の向上を図ることができる
効果がある。
APD半導体層構造を構成するInGaAs光吸収層の
キャリア濃度を高めたので、比較的ヘテロ電界が高い、
すなわち増倍率が高い状態でも、InGaAs光吸収層
中の平均的な電界強度を小さく抑えて、該光吸収層中で
の増倍低減により周波数特性の向上を図ることができる
効果がある。
【0064】この発明に係る半導体素子によれば、n-
−InGaAs光吸収層下に低キャリア濃度でかつ厚い
n- −InP層を挿入したので、光吸収層の下側に空乏
層を充分延ばすことができ、これにより素子の静電容量
を低減することができ、しかも、該n- −InP層とn
- −InGaAs光吸収層との間に比較的高濃度でかつ
薄いn−InP層を挿入したため、低バイアス下でのヘ
テロ界面における電子の流れがスムーズになり、光感度
の劣化を回避することができ、この結果、低容量でかつ
高感度のリーチスルー型APD素子を得ることができ
る。
−InGaAs光吸収層下に低キャリア濃度でかつ厚い
n- −InP層を挿入したので、光吸収層の下側に空乏
層を充分延ばすことができ、これにより素子の静電容量
を低減することができ、しかも、該n- −InP層とn
- −InGaAs光吸収層との間に比較的高濃度でかつ
薄いn−InP層を挿入したため、低バイアス下でのヘ
テロ界面における電子の流れがスムーズになり、光感度
の劣化を回避することができ、この結果、低容量でかつ
高感度のリーチスルー型APD素子を得ることができ
る。
【図1】この発明の第1の実施例によるInGaAs/
InP系アバランシェフォトダイオードを説明するため
の図であり、図1(a) はその半導体層構造を示す図、図
1(b) はその一部を拡大して示す図、図1(c) は上記半
導体層構造中での電界分布を示す図である。
InP系アバランシェフォトダイオードを説明するため
の図であり、図1(a) はその半導体層構造を示す図、図
1(b) はその一部を拡大して示す図、図1(c) は上記半
導体層構造中での電界分布を示す図である。
【図2】上記アバランシェフォトダイオードの動作を説
明するためのバンド構造図である。
明するためのバンド構造図である。
【図3】本発明の第2の実施例によるアバランシェフォ
トダイオードを説明するためのバンド構造図である。
トダイオードを説明するためのバンド構造図である。
【図4】図4は本発明の第3の実施例によるAPD素子
の半導体層構造を示す断面図である。
の半導体層構造を示す断面図である。
【図5】上記半導体層構造における深さ方向の電界分
布、及び遮断周波数fc とInGaAs光吸収層のキャ
リア濃度Nとの相関を示す図である。
布、及び遮断周波数fc とInGaAs光吸収層のキャ
リア濃度Nとの相関を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施例によるAPD素子の半導
体層構造を示す断面図である。
体層構造を示す断面図である。
【図7】第4実施例の半導体層構造における動作時の深
さ方向の電界分布を示す図である。
さ方向の電界分布を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施例によるAPD素子の半導
体層構造を示す断面図である。
体層構造を示す断面図である。
【図9】従来のInGaAs/InP系アバランシェフ
ォトダイオード構造を示す図であり、図9(a) は半導体
層構造を示す図、図9(b) はこの半導体層構造中での電
界分布を示す図である。
ォトダイオード構造を示す図であり、図9(a) は半導体
層構造を示す図、図9(b) はこの半導体層構造中での電
界分布を示す図である。
【図10】アバランシェフォトダイオードにおける遮断
周波数特性とヘテロ電界との相関を示す図である。
周波数特性とヘテロ電界との相関を示す図である。
【図11】アバランシェフォトダイオードにおける増倍
率と増倍層に発生する電界強度との関係を示す図であ
る。
率と増倍層に発生する電界強度との関係を示す図であ
る。
【図12】従来のInGaAs/InP系APD素子の
他の構造を示す断面図である。
他の構造を示す断面図である。
【図13】従来のAPD素子の半導体層構造における電
界分布、及び感度とInPキャリア濃度との相関を示す
図である。
界分布、及び感度とInPキャリア濃度との相関を示す
図である。
1 n+ −InP基板 1a n−InPバッファ層 2 n- −InGaAs光吸収層 3 InP/InGaAsP/InP量子井戸層 4 n−InP増倍層 5 p形不純物拡散領域 8 ブラッグ反射膜 8a InGaAs層 8b InP層 12 高濃度化n- −InGaAs光吸収層 13 n- −InP層 14 n−InP層 100,110,120,130 APD半導体層構造
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】ここで上記低濃度の厚いn- −InP層1
3の厚さは2〜10μm程度、その濃度は1014〜10
15cm-3台であり、比較的高濃度の薄いn−InP層14
の厚さは100オングストローム〜1μm、その濃度は
1016〜1017cm -3台である。また上記n−InP層1
4のかわりに禁制帯幅が、上記光吸収層,及びn- −I
nP層13の禁制帯幅の中間の値となるn−InGaA
sP層等を挿入してもよい。
3の厚さは2〜10μm程度、その濃度は1014〜10
15cm-3台であり、比較的高濃度の薄いn−InP層14
の厚さは100オングストローム〜1μm、その濃度は
1016〜1017cm -3台である。また上記n−InP層1
4のかわりに禁制帯幅が、上記光吸収層,及びn- −I
nP層13の禁制帯幅の中間の値となるn−InGaA
sP層等を挿入してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】また、空乏層端Dが、n - −InGaAs
光吸収層2の中、またはInGaAs光吸収層2に到達
しないような低バイアスで感度を評価することがある
が、InGaAs光吸収層2と低濃度(1014〜1015
cm-3)のInP層13とを直接接合した構造では、図1
3(b) に示す、感度とInGaAs光吸収層2の下側に
あるInP層のキャリア濃度の相関についての実験結果
から分かるように、充分な感度が得られない。
光吸収層2の中、またはInGaAs光吸収層2に到達
しないような低バイアスで感度を評価することがある
が、InGaAs光吸収層2と低濃度(1014〜1015
cm-3)のInP層13とを直接接合した構造では、図1
3(b) に示す、感度とInGaAs光吸収層2の下側に
あるInP層のキャリア濃度の相関についての実験結果
から分かるように、充分な感度が得られない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】実施例5.図8は本発明の第5の実施例に
よるAPD半導体層構造を示し、図において、130は
本実施例のAPD半導体層構造で、これは上記第4の実
施例の半導体層構造120におけるn−InPバッファ
層1aと低濃度の薄いn- −InP層13との間に、屈
折率の異なる半導体結晶の多層構造によるブラッグ反射
膜8を配置したものである。またブラッグ反射膜8は、
n−InPバッファ層1aとn + −InP基板1の間に
あってもよい。
よるAPD半導体層構造を示し、図において、130は
本実施例のAPD半導体層構造で、これは上記第4の実
施例の半導体層構造120におけるn−InPバッファ
層1aと低濃度の薄いn- −InP層13との間に、屈
折率の異なる半導体結晶の多層構造によるブラッグ反射
膜8を配置したものである。またブラッグ反射膜8は、
n−InPバッファ層1aとn + −InP基板1の間に
あってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】このように本実施例では、上記第4実施例
の効果に加えて、n−InPバッファ層1aと低濃度の
薄いn- −InP層13との間に、屈折率の異なる半導
体結晶の多層構造によるブラッグ反射膜8を挿入したの
で、光吸収量を低下させることなく、n−InGaAs
光吸収層2の厚みを半分以下に薄くすることができ、I
nGaAs光吸収層2による増倍領域を狭めることがで
きる効果がある。なお、本発明は倍増層と光吸収層の間
に両者の中間の禁制帯幅をもつ結晶を挿入したAPD素
子や超格子APD素子にも応用可能である。
の効果に加えて、n−InPバッファ層1aと低濃度の
薄いn- −InP層13との間に、屈折率の異なる半導
体結晶の多層構造によるブラッグ反射膜8を挿入したの
で、光吸収量を低下させることなく、n−InGaAs
光吸収層2の厚みを半分以下に薄くすることができ、I
nGaAs光吸収層2による増倍領域を狭めることがで
きる効果がある。なお、本発明は倍増層と光吸収層の間
に両者の中間の禁制帯幅をもつ結晶を挿入したAPD素
子や超格子APD素子にも応用可能である。
Claims (9)
- 【請求項1】 複数の半導体層を積層してなる半導体積
層構造を有し、該半導体積層構造にバイアスを印加して
所定の動作を行う半導体素子において、 上記半導体層積層構造における、バイアス印加により空
乏層が広がる領域に配置され、特定電界強度にて束縛キ
ャリアを放出する所定量の不純物イオンを含む量子井戸
層を備えたことを特徴とする半導体素子。 - 【請求項2】 入射光を吸収して電子・正孔対を発生す
る光吸収領域と、該光吸収領域上に形成され、該領域か
らの光キャリアによりアバランシェ増倍を起こす増倍領
域とを備え、バイアス印加により上記各領域に電界を発
生させた状態で入射光の検出を行うアバランシェフォト
ダイオードにおいて、 上記増倍領域と光吸収領域との間に設けられ、特定電界
強度にて束縛キャリアを放出する所定量の不純物イオン
を含む量子井戸層を備え、 光吸収領域内に発生する最大電界を最適値に固定するよ
うにしたことを特徴とする半導体素子。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体素子におい
て、 上記量子井戸層は、量子井戸のサイズが異なる複数の単
位量子井戸層を組み合わせてなり、各単位量子井戸層の
不純物濃度、並びに各量子井戸の深さ,幅及び数の設定
により、各量子井戸が束縛キャリアを放出する特定電界
強度を調整可能に構成したものであることを特徴とする
半導体素子。 - 【請求項4】 入射光を吸収して電子・正孔対を発生す
る光吸収領域と、該光吸収領域上に形成され、該領域か
らの光キャリアによりアバランシェ増倍を起こす増倍領
域とを備え、バイアス印加により上記各領域に電界を発
生させた状態で入射光の検出を行うアバランシェフォト
ダイオードにおいて、 上記光吸収領域のキャリア濃度を0.5×1016cm-3以
上であって、本素子の静電容量が許容値内に収まる程度
の濃度にしたことを特徴とする半導体素子。 - 【請求項5】 半導体基板上に形成され、入射光を吸収
して電子・正孔対を発生する光吸収層を備え、バイアス
印加により上記光吸収層に電界を発生させた状態で入射
光の検出を行う受光素子において、 上記半導体基板と光吸収層との間に形成され、所望の光
信号を吸収しない低キャリア濃度の半導体層を備えたこ
とを特徴とする半導体素子。 - 【請求項6】 半導体基板上に形成され、入射光を吸収
して電子・正孔対を発生する光吸収層と、該光吸収層上
に形成され、該層からの光キャリアによりアバランシェ
増倍を起こす増倍層とを備え、バイアス印加により上記
各領域に電界を発生させた状態で入射光の検出を行うA
PD素子において、 上記半導体基板と光吸収層との間に形成され、所望の光
信号を吸収しない低キャリア濃度の半導体層を備えたこ
とを特徴とする半導体素子。 - 【請求項7】 請求項5又は6記載の半導体素子におい
て、 上記低キャリア濃度の半導体層と上記光吸収層との間に
形成され、該半導体層より薄く、所望の光信号を吸収し
ない比較的キャリア濃度の高い半導体薄膜を備えたこと
を特徴とする半導体素子。 - 【請求項8】 請求項5又は6記載の半導体素子におい
て、 上記光吸収層と半導体基板との間に設けられ、2種以上
の半導体薄膜を積層してなるブラッグ反射膜を備え、 該光吸収層を通過した光を上記ブラッグ反射膜により反
射して、反射光を光吸収層にて吸収するようにしたこと
を特徴とする半導体素子。 - 【請求項9】 請求項5又は6記載の半導体素子におい
て、 上記光吸収層と低キャリア濃度の半導体層との間に挿入
され、禁制帯幅がこれらの半導体層の禁制帯幅の中間の
値をもつ半導体層を備えたことを特徴とする半導体素
子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5111465A JPH0697485A (ja) | 1992-05-19 | 1993-05-13 | 半導体素子 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-152655 | 1992-05-19 | ||
JP15265592 | 1992-05-19 | ||
JP5111465A JPH0697485A (ja) | 1992-05-19 | 1993-05-13 | 半導体素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0697485A true JPH0697485A (ja) | 1994-04-08 |
Family
ID=26450860
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5111465A Pending JPH0697485A (ja) | 1992-05-19 | 1993-05-13 | 半導体素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0697485A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009290161A (ja) * | 2008-06-02 | 2009-12-10 | Mitsubishi Electric Corp | 光半導体装置 |
JP2011071252A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Mitsubishi Electric Corp | 半導体受光素子 |
KR20180086667A (ko) * | 2017-01-23 | 2018-08-01 | 서울시립대학교 산학협력단 | 양자우물 구조를 채용한 광자 검출기 |
WO2023233719A1 (ja) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | 浜松ホトニクス株式会社 | 半導体受光素子 |
-
1993
- 1993-05-13 JP JP5111465A patent/JPH0697485A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009290161A (ja) * | 2008-06-02 | 2009-12-10 | Mitsubishi Electric Corp | 光半導体装置 |
JP2011071252A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Mitsubishi Electric Corp | 半導体受光素子 |
KR20180086667A (ko) * | 2017-01-23 | 2018-08-01 | 서울시립대학교 산학협력단 | 양자우물 구조를 채용한 광자 검출기 |
WO2023233719A1 (ja) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | 浜松ホトニクス株式会社 | 半導体受光素子 |
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