JPH0696942A - 酸化物系超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents
酸化物系超電導コイル及びその製造方法Info
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- JPH0696942A JPH0696942A JP26920992A JP26920992A JPH0696942A JP H0696942 A JPH0696942 A JP H0696942A JP 26920992 A JP26920992 A JP 26920992A JP 26920992 A JP26920992 A JP 26920992A JP H0696942 A JPH0696942 A JP H0696942A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強磁場を発生させるのに最適な酸化物系超電
導コイル及びその製造方法を提供することにある。 【構成】 酸化物系超電導体2とそれを支持する基板1
及び絶縁体とから構成される超電導コイルにおいて、前
記超電導体2と超電導体2の間を超電導厚膜3で接続し
たものであり、前記酸化物系超電導体及び超電導厚膜
は、(Y、Ba、Cu、O)、(Bi、Sr、Ca、C
u、O)、(Tl、Ba、Ca、Cu、O)、(Tl、
Pb、Sr、Ca、Cu、O)から選ばれた1種以上を
主な構成元素とし、また基板は、耐酸化性に優れた金属
又は可とう性のあるセラミックスが使用できる。 【効果】 長尺線材においても短尺線材と同様の大きな
臨界電流密度を有する酸化物系超電導コイルを再現良く
得ることができる。
導コイル及びその製造方法を提供することにある。 【構成】 酸化物系超電導体2とそれを支持する基板1
及び絶縁体とから構成される超電導コイルにおいて、前
記超電導体2と超電導体2の間を超電導厚膜3で接続し
たものであり、前記酸化物系超電導体及び超電導厚膜
は、(Y、Ba、Cu、O)、(Bi、Sr、Ca、C
u、O)、(Tl、Ba、Ca、Cu、O)、(Tl、
Pb、Sr、Ca、Cu、O)から選ばれた1種以上を
主な構成元素とし、また基板は、耐酸化性に優れた金属
又は可とう性のあるセラミックスが使用できる。 【効果】 長尺線材においても短尺線材と同様の大きな
臨界電流密度を有する酸化物系超電導コイルを再現良く
得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物系超電導体及び
それを支持する基板とから構成される酸化物系超電導コ
イル及びその製造方法に係わり、特に強磁場を発生させ
るのに最適な超電導コイル及びその製造方法に関するも
のである。
それを支持する基板とから構成される酸化物系超電導コ
イル及びその製造方法に係わり、特に強磁場を発生させ
るのに最適な超電導コイル及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】1986年、高い臨界温度を持つ銅酸化
物系のLa−Ba−Cu−Oペロブスカイト系構造の超
電導体が発見され(例えば、特開昭63−260853
号公報など)、さらに翌年臨界温度がより高いY−Ba
−Cu−O系 ( Phys. Rev. Lett., 58 (1987) 908 )が
発見され、これは液体窒素を冷媒とする高温超電導体の
応用技術が期待されるような90K級超電導体であっ
た。さらに臨界温度の高いBi−Sr−Ca−Cu−O
系(Tc:110K,: Jpn. J. Appl. Phys.27 (1988)
L209 ) ,Tl−Ba−Ca−Cu−O系(Tc:12
0K,: Nature 322(1988) 55 ) と新しい超電導体の研
究開発がめざましかった。
物系のLa−Ba−Cu−Oペロブスカイト系構造の超
電導体が発見され(例えば、特開昭63−260853
号公報など)、さらに翌年臨界温度がより高いY−Ba
−Cu−O系 ( Phys. Rev. Lett., 58 (1987) 908 )が
発見され、これは液体窒素を冷媒とする高温超電導体の
応用技術が期待されるような90K級超電導体であっ
た。さらに臨界温度の高いBi−Sr−Ca−Cu−O
系(Tc:110K,: Jpn. J. Appl. Phys.27 (1988)
L209 ) ,Tl−Ba−Ca−Cu−O系(Tc:12
0K,: Nature 322(1988) 55 ) と新しい超電導体の研
究開発がめざましかった。
【0003】このような新材料開発とともに、高温超電
導体を超電導コイル等に応用するための線材開発も進め
られた。その中で、これらの高温超電導体を用いて、線
材に加工する方法として、単なる線引き或いは押し出し
等の加工方法では高Jc線材が得られないことが分かっ
てきた。そこで、高Jc線材を実現する方法として、圧
延或いはプレス等を行うことにより、単尺線では高いJ
cを有する線材が得られることが知られている。金属シ
ース線材にこの手法を用いると、シース断面が偏平とな
り、ソレノイド状に線材を巻く方法よりもパンケーキ状
に作製する方法が用いられている。また、これらのコイ
ル作製方法以外にヘリコイド面を有することを特徴とす
る酸化物系超電導コイル構造なども提案されている。
導体を超電導コイル等に応用するための線材開発も進め
られた。その中で、これらの高温超電導体を用いて、線
材に加工する方法として、単なる線引き或いは押し出し
等の加工方法では高Jc線材が得られないことが分かっ
てきた。そこで、高Jc線材を実現する方法として、圧
延或いはプレス等を行うことにより、単尺線では高いJ
cを有する線材が得られることが知られている。金属シ
ース線材にこの手法を用いると、シース断面が偏平とな
り、ソレノイド状に線材を巻く方法よりもパンケーキ状
に作製する方法が用いられている。また、これらのコイ
ル作製方法以外にヘリコイド面を有することを特徴とす
る酸化物系超電導コイル構造なども提案されている。
【0004】上記の金属シースを用いたパンケーキ状の
コイルやヘリコイド面を有するコイルにおいてパンケー
キ間やヘリコイド面間の接続は大きな問題となる。接続
部に特開昭63−285813号公報或いは特開昭63
−273367号公報などで記述されているAgやAu
などの金属及び合金を付着する方法や、特開昭63−2
98983号公報などで記述されているIn−Ga合金
を用いる方法などが公開されている。しかし、これらは
導電導体であり抵抗が存在する。そのため、大電流に対
し電圧及び熱が発生する。このようなことが原因となり
超電導コイルがクエンチしてしまい、超電導状態が破壊
する結果となる。
コイルやヘリコイド面を有するコイルにおいてパンケー
キ間やヘリコイド面間の接続は大きな問題となる。接続
部に特開昭63−285813号公報或いは特開昭63
−273367号公報などで記述されているAgやAu
などの金属及び合金を付着する方法や、特開昭63−2
98983号公報などで記述されているIn−Ga合金
を用いる方法などが公開されている。しかし、これらは
導電導体であり抵抗が存在する。そのため、大電流に対
し電圧及び熱が発生する。このようなことが原因となり
超電導コイルがクエンチしてしまい、超電導状態が破壊
する結果となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、パン
ケーキ間やヘリコイド面間の接続方法には、従来技術で
は問題があり早急に解決する必要があった。本発明は、
この問題点を解決するための臨界温度が高く特に磁場中
での臨界電流密度の高い新しい酸化物系超電導コイル及
びその製造方法を提供することを目的としたものであ
る。
ケーキ間やヘリコイド面間の接続方法には、従来技術で
は問題があり早急に解決する必要があった。本発明は、
この問題点を解決するための臨界温度が高く特に磁場中
での臨界電流密度の高い新しい酸化物系超電導コイル及
びその製造方法を提供することを目的としたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、酸化物系超電導体とそれを支持する基
板及び絶縁体とから構成される超電導コイルにおいて、
前記超電導体と超電導体の間が超電導厚膜で接続されて
いることとしたものである。本発明において、酸化物系
超電導体及び超電導厚膜は、(Y、Ba、Cu、O)、
(Bi、Sr、Ca、Cu、O)、(Tl、Ba、C
a、Cu、O)、(Tl、Pb、Sr、Ca、Cu、
O)から選ばれた1種以上を主な構成元素として、その
他La系、Nd系等を含む酸化物系超電導体がよく、ま
た、基板は銀、金、ハステロイ等の耐酸化性に優れた金
属又はYSZ、アルミナ、マグネシア等の可とう性のあ
るセラミックスから選ばれるのがよい。
に、本発明では、酸化物系超電導体とそれを支持する基
板及び絶縁体とから構成される超電導コイルにおいて、
前記超電導体と超電導体の間が超電導厚膜で接続されて
いることとしたものである。本発明において、酸化物系
超電導体及び超電導厚膜は、(Y、Ba、Cu、O)、
(Bi、Sr、Ca、Cu、O)、(Tl、Ba、C
a、Cu、O)、(Tl、Pb、Sr、Ca、Cu、
O)から選ばれた1種以上を主な構成元素として、その
他La系、Nd系等を含む酸化物系超電導体がよく、ま
た、基板は銀、金、ハステロイ等の耐酸化性に優れた金
属又はYSZ、アルミナ、マグネシア等の可とう性のあ
るセラミックスから選ばれるのがよい。
【0007】また、上記他の目的を達成するために、本
発明では、酸化物系超電導体とそれを支持する基板及び
絶縁体とから構成される超電導コイルの製造方法におい
て、前記超電導体と超電導体の間を基板上に溶射法を含
む成膜法で酸化物系超電導厚膜を成膜して該超電導体間
を接続した後、熱処理を施すこととしたものである。上
記製造方法において、必要に応じて熱処理工程の間でプ
レスし、圧延等の圧密化工程を施こしてもよい。
発明では、酸化物系超電導体とそれを支持する基板及び
絶縁体とから構成される超電導コイルの製造方法におい
て、前記超電導体と超電導体の間を基板上に溶射法を含
む成膜法で酸化物系超電導厚膜を成膜して該超電導体間
を接続した後、熱処理を施すこととしたものである。上
記製造方法において、必要に応じて熱処理工程の間でプ
レスし、圧延等の圧密化工程を施こしてもよい。
【0008】次に、本発明を詳細に説明する。本発明
は、酸化物系超電導体とそれを支持する基板及び絶縁体
とから構成される超電導コイルにおいて、図1の概念図
で示すように、超電導体と超電導体の間を超電導厚膜で
接続した。このコイル構造においては、接続面での電圧
発生による超電導コイルのクエンチなどが防げるため、
実用に耐えうる高い磁場を発生するために極めて容易と
なる。酸化物系超電導体を支持する基板としては、銀、
金、ハステロイなどの耐酸化性に優れた金属、或いは可
とう性のあるYSZ、アルミナ、マグネシアなどのセラ
ミックスを用いることができる。場合によっては、これ
らの基板に超電導体との反応を避けるため、或いは基板
と酸化物系超電導体との熱膨張差を緩和するために、バ
ッファ層を挟むことができる。
は、酸化物系超電導体とそれを支持する基板及び絶縁体
とから構成される超電導コイルにおいて、図1の概念図
で示すように、超電導体と超電導体の間を超電導厚膜で
接続した。このコイル構造においては、接続面での電圧
発生による超電導コイルのクエンチなどが防げるため、
実用に耐えうる高い磁場を発生するために極めて容易と
なる。酸化物系超電導体を支持する基板としては、銀、
金、ハステロイなどの耐酸化性に優れた金属、或いは可
とう性のあるYSZ、アルミナ、マグネシアなどのセラ
ミックスを用いることができる。場合によっては、これ
らの基板に超電導体との反応を避けるため、或いは基板
と酸化物系超電導体との熱膨張差を緩和するために、バ
ッファ層を挟むことができる。
【0009】酸化物系超電導体としては、(Y、Ba、
Cu、O)、或いは(Bi、Sr、Ca、Cu、O)、
或いは(Tl、Ba、Ca、Cu、O)、或いは(T
l、Pb、Sr、Ca、Cu、)を主な構成元素とし
て、その他La系、Nd系などを含む酸化物系超電導体
が代表的なものである。酸化物系超電導体、超電導厚膜
は支持基板に対して、片面、両面、またはシース内に含
まれてあってもいずれでも良い。酸化物系超電導厚膜を
構成する成分を支持基板と一体化する代表的な方法とし
ては、溶射法、デイップコート法を含む成膜法がある。
このようにして、上記に記載された方法及び装置を用い
て、超電導コイル、特に強磁場を必要とするMRI、N
MRなどの医療用、理化学用装置に用いることができ
る。
Cu、O)、或いは(Bi、Sr、Ca、Cu、O)、
或いは(Tl、Ba、Ca、Cu、O)、或いは(T
l、Pb、Sr、Ca、Cu、)を主な構成元素とし
て、その他La系、Nd系などを含む酸化物系超電導体
が代表的なものである。酸化物系超電導体、超電導厚膜
は支持基板に対して、片面、両面、またはシース内に含
まれてあってもいずれでも良い。酸化物系超電導厚膜を
構成する成分を支持基板と一体化する代表的な方法とし
ては、溶射法、デイップコート法を含む成膜法がある。
このようにして、上記に記載された方法及び装置を用い
て、超電導コイル、特に強磁場を必要とするMRI、N
MRなどの医療用、理化学用装置に用いることができ
る。
【0010】
【作用】本発明の酸化物系超電導コイル構造は、酸化物
系超電導体で構成されたパンケーキ状単層コイル間及び
ヘリコイド面を有したデイスク状単層コイル間での接続
部を超電導厚膜を用い連続的に接続した構造になってい
る。そのため、接続部での熱発生による超電導コイルの
クエンチなどを防ぐことができる。以上のような構造を
有した超電導コイルの製造方法を以下に記載する。酸化
物系超電導体の組成を混合した原料に関しては、各成分
が均質に混合していれば特に限定はなく、その一つとし
て原料物質の固体を直接混合、粉砕する方法から合成す
る方法がある。上記の方法で混合、粉砕した後、混合粉
砕のままあるいはペレット状に成形して500℃以上で
焼成することによって、合成することができる。この
時、より高い超電導特性を得るため、雰囲気は酸素、空
気、アルゴン、窒素などから選ばれる。また、このよう
な焼成法で合成するときは焼成体を再度粉砕、混合を繰
り返すことにより、均質で体積率の高い、特性の優れた
超電導体を得ることができる。上記で記載された方法に
より作製された材料を粉砕し超電導膜製造の原料粉末と
する。
系超電導体で構成されたパンケーキ状単層コイル間及び
ヘリコイド面を有したデイスク状単層コイル間での接続
部を超電導厚膜を用い連続的に接続した構造になってい
る。そのため、接続部での熱発生による超電導コイルの
クエンチなどを防ぐことができる。以上のような構造を
有した超電導コイルの製造方法を以下に記載する。酸化
物系超電導体の組成を混合した原料に関しては、各成分
が均質に混合していれば特に限定はなく、その一つとし
て原料物質の固体を直接混合、粉砕する方法から合成す
る方法がある。上記の方法で混合、粉砕した後、混合粉
砕のままあるいはペレット状に成形して500℃以上で
焼成することによって、合成することができる。この
時、より高い超電導特性を得るため、雰囲気は酸素、空
気、アルゴン、窒素などから選ばれる。また、このよう
な焼成法で合成するときは焼成体を再度粉砕、混合を繰
り返すことにより、均質で体積率の高い、特性の優れた
超電導体を得ることができる。上記で記載された方法に
より作製された材料を粉砕し超電導膜製造の原料粉末と
する。
【0011】さらに、ドクターブレード、プラズマ溶
射、塗布法などの厚膜成膜法を用い、原料粉末を基板上
に厚さ10μm以上の超電導厚膜によるパンケーキ状単
層コイル、及びヘリコイド面を有したデイスク状単層コ
イルを製造する。その際、単層コイルの0.5mm以上の
端部は超電導厚膜を成膜せず、基板表面が析出した状態
にする。強磁場を必要とする超電導コイルは、上記で記
載された単層コイルを複数接続する必要がある。そこ
で、単層コイルの基板表面が析出した接続部を積層、ま
たは接続し、さらに上記で記載した超電導厚膜の原料粉
末を用い、厚膜成膜法により基板上に被覆する。その
際、厚膜成膜法は特に同一にする必要はない。また、本
研究に用いられる基板、酸化物系超電導体、及び成膜方
法は前述のものに何ら限定されるものではない。また、
上記に記載されたコイルを用いて、超電導コイル、特に
強磁場を必要とするMRI、NMRなどの医療用、理化
学用装置を構成することにより、高性能な超電導応用装
置およびシステムを実用化することができる。
射、塗布法などの厚膜成膜法を用い、原料粉末を基板上
に厚さ10μm以上の超電導厚膜によるパンケーキ状単
層コイル、及びヘリコイド面を有したデイスク状単層コ
イルを製造する。その際、単層コイルの0.5mm以上の
端部は超電導厚膜を成膜せず、基板表面が析出した状態
にする。強磁場を必要とする超電導コイルは、上記で記
載された単層コイルを複数接続する必要がある。そこ
で、単層コイルの基板表面が析出した接続部を積層、ま
たは接続し、さらに上記で記載した超電導厚膜の原料粉
末を用い、厚膜成膜法により基板上に被覆する。その
際、厚膜成膜法は特に同一にする必要はない。また、本
研究に用いられる基板、酸化物系超電導体、及び成膜方
法は前述のものに何ら限定されるものではない。また、
上記に記載されたコイルを用いて、超電導コイル、特に
強磁場を必要とするMRI、NMRなどの医療用、理化
学用装置を構成することにより、高性能な超電導応用装
置およびシステムを実用化することができる。
【0012】
【実施例】以下には、本発明を実施例により具体的に説
明するが、本発明は何らこれに限定するものではない。 実施例1 酸化物系超電導膜の溶射粉末を作製するため、Bi2 O
3 ,SrCO3 ,CaCO3 ,CuOを出発原料として
それぞれのモル比がBi:Sr:Ca:Cu=2.4:
2.0:1.0:2.0になるようにメノウ製乳鉢を用
いたライカイ機で20分ほど混合粉砕する。これを磁性
体アルミナルツボにより大気中800℃、20時間で焼
成する。ふるいにより粒度調整を行い目的の溶射粉末を
得る。内径20mm、外径50mmのヘリコイド面を有した
デイスク型銀基板の中心より図2のように2mm程の幅で
径方向に切断部を入れ、そのカットの両サイド1mm部分
をマスクをする。この基板上に溶射粉末を用い、大気中
プラズマ溶射装置にて膜厚50μm程度の溶射膜を成膜
する。その際、溶射条件は、出力:50kW、プラズマ電
流:800A、溶射時間:200min とし、プラズマガ
スはAr、2次ガスとしてH2 を用いた。
明するが、本発明は何らこれに限定するものではない。 実施例1 酸化物系超電導膜の溶射粉末を作製するため、Bi2 O
3 ,SrCO3 ,CaCO3 ,CuOを出発原料として
それぞれのモル比がBi:Sr:Ca:Cu=2.4:
2.0:1.0:2.0になるようにメノウ製乳鉢を用
いたライカイ機で20分ほど混合粉砕する。これを磁性
体アルミナルツボにより大気中800℃、20時間で焼
成する。ふるいにより粒度調整を行い目的の溶射粉末を
得る。内径20mm、外径50mmのヘリコイド面を有した
デイスク型銀基板の中心より図2のように2mm程の幅で
径方向に切断部を入れ、そのカットの両サイド1mm部分
をマスクをする。この基板上に溶射粉末を用い、大気中
プラズマ溶射装置にて膜厚50μm程度の溶射膜を成膜
する。その際、溶射条件は、出力:50kW、プラズマ電
流:800A、溶射時間:200min とし、プラズマガ
スはAr、2次ガスとしてH2 を用いた。
【0013】このようにして作製された100枚のデイ
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルを部分溶融処理にて超電導体にし
た。部分溶融処理は、885℃まで3時間で昇温して、
10分間保持し、更に815℃まで降温した後、10時
間保持し、その後3時間で室温まで冷却した。このよう
にして得られた、ら旋状連続面の面間に外径50mm、内
径10mmのデイスク状の円板の一部を、径方向に切断部
を入れた厚さ0.1mmのアルミナシートを絶縁シートと
して1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の絶縁を図った。
さらに、銀基板上の酸化物系超電導体にクラックがない
程度の500g/cm2 の力を中心軸方向に加えて圧縮し
た。この形状を保持したまま、エポキシ樹脂を真空含浸
により、図2のような酸化物系超電導コイルを製造し
た。このコイルは液体窒素の沸点である77Kにおい
て、1c=130Aが流れ、0.3Tの最大磁場が発生
した。一方、液体ヘリウムの沸点である4.2Kにおい
ては、1c=1020Aが流れ、2.3Tの最大磁場が
発生した。
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルを部分溶融処理にて超電導体にし
た。部分溶融処理は、885℃まで3時間で昇温して、
10分間保持し、更に815℃まで降温した後、10時
間保持し、その後3時間で室温まで冷却した。このよう
にして得られた、ら旋状連続面の面間に外径50mm、内
径10mmのデイスク状の円板の一部を、径方向に切断部
を入れた厚さ0.1mmのアルミナシートを絶縁シートと
して1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の絶縁を図った。
さらに、銀基板上の酸化物系超電導体にクラックがない
程度の500g/cm2 の力を中心軸方向に加えて圧縮し
た。この形状を保持したまま、エポキシ樹脂を真空含浸
により、図2のような酸化物系超電導コイルを製造し
た。このコイルは液体窒素の沸点である77Kにおい
て、1c=130Aが流れ、0.3Tの最大磁場が発生
した。一方、液体ヘリウムの沸点である4.2Kにおい
ては、1c=1020Aが流れ、2.3Tの最大磁場が
発生した。
【0014】実施例2 酸化物系超電導膜の溶射粉末を作製するため、Y
2 O3 ,BaO,CuOを出発原料としてそれぞれのモ
ル比がY:Ba:Cu=1.0:2.0:3.0になる
ようにメノウ製乳鉢を用いたライカイ機で20分ほど混
合粉砕する。これを磁性体アルミナルツボにより大気中
850℃、20時間で焼成する。ふるいにより粒度調整
を行い目的の溶射粉末を得る。内径20mm、外径50mm
のヘリコイド面を有したデイスク型銀基板の中心より図
2のように2mm程の幅で径方向に切断部を入れ、そのカ
ットの両サイド1mm部分をマスクをする。この基板上に
溶射粉末を用い、大気中プラズマ溶射装置にて膜厚50
μm程度の溶射膜を成膜する。その際、溶射条件は、出
力:50kW、プラズマ電流:800A、溶射時間:20
0min とし、プラズマガスはAr、2次ガスとしてH2
を用いた。
2 O3 ,BaO,CuOを出発原料としてそれぞれのモ
ル比がY:Ba:Cu=1.0:2.0:3.0になる
ようにメノウ製乳鉢を用いたライカイ機で20分ほど混
合粉砕する。これを磁性体アルミナルツボにより大気中
850℃、20時間で焼成する。ふるいにより粒度調整
を行い目的の溶射粉末を得る。内径20mm、外径50mm
のヘリコイド面を有したデイスク型銀基板の中心より図
2のように2mm程の幅で径方向に切断部を入れ、そのカ
ットの両サイド1mm部分をマスクをする。この基板上に
溶射粉末を用い、大気中プラズマ溶射装置にて膜厚50
μm程度の溶射膜を成膜する。その際、溶射条件は、出
力:50kW、プラズマ電流:800A、溶射時間:20
0min とし、プラズマガスはAr、2次ガスとしてH2
を用いた。
【0015】このようにして作製された100枚のデイ
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルを部分溶融処理にて超電導体にし
た。部分溶融処理は、885℃まで3時間で昇温して、
10分間保持し、更に815℃まで降温した後、10時
間保持し、その後3時間で室温まで冷却した。このよう
にして得られた、ら旋状連続面の面間に外径50mm、内
径10mmのデイスク状の円板の一部を、径方向に切断部
を入れた厚さ0.1mmのアルミナシートを絶縁シートと
して1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の絶縁を図った。
さらに、銀基板上の酸化物系超電導体にクラックがない
程度の500g/cm2 の力を中心軸方向に加えて圧縮し
た。この形状を保持したまま、エポキシ樹脂を真空含浸
により酸化物系超電導コイルを製造した。このコイルは
液体窒素の沸点である77Kにおいて、1c=90Aが
流れ、0.15Tの最大磁場が発生した。一方、液体ヘ
リウムの沸点である4.2Kにおいては、1c=700
Aが流れ、1.2Tの最大磁場が発生した。
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルを部分溶融処理にて超電導体にし
た。部分溶融処理は、885℃まで3時間で昇温して、
10分間保持し、更に815℃まで降温した後、10時
間保持し、その後3時間で室温まで冷却した。このよう
にして得られた、ら旋状連続面の面間に外径50mm、内
径10mmのデイスク状の円板の一部を、径方向に切断部
を入れた厚さ0.1mmのアルミナシートを絶縁シートと
して1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の絶縁を図った。
さらに、銀基板上の酸化物系超電導体にクラックがない
程度の500g/cm2 の力を中心軸方向に加えて圧縮し
た。この形状を保持したまま、エポキシ樹脂を真空含浸
により酸化物系超電導コイルを製造した。このコイルは
液体窒素の沸点である77Kにおいて、1c=90Aが
流れ、0.15Tの最大磁場が発生した。一方、液体ヘ
リウムの沸点である4.2Kにおいては、1c=700
Aが流れ、1.2Tの最大磁場が発生した。
【0016】実施例3 酸化物系超電導膜の溶射粉末を作製するため、BaO,
SrO,CaO,CuOを出発原料としてそれぞれのモ
ル比がBa:Sr:Ca:Cu=1.6:0.4:2.
0:3.0になるようにメノウ製乳鉢を用いたライカイ
機で20分ほど混合粉砕する。これを磁性体アルミナル
ツボにより大気中880℃、20時間で焼成する。ふる
いにより粒度調整を行い目的の溶射粉末を得る。内径2
0mm、外径50mmのヘリコイド面を有したデイスク型銀
基板の中心より図2のように2mm程の幅で径方向に切断
部を入れ、そのカットの両サイド1mm部分をマスクをす
る。この基板上に溶射粉末を用い、大気中プラズマ溶射
装置にて膜厚50μm程度の溶射膜を成膜する。その
際、溶射条件は、出力:50kW、プラズマ電流:800
A、溶射時間:200min とし、プラズマガスはAr、
2次ガスとしてH2 を用いた。
SrO,CaO,CuOを出発原料としてそれぞれのモ
ル比がBa:Sr:Ca:Cu=1.6:0.4:2.
0:3.0になるようにメノウ製乳鉢を用いたライカイ
機で20分ほど混合粉砕する。これを磁性体アルミナル
ツボにより大気中880℃、20時間で焼成する。ふる
いにより粒度調整を行い目的の溶射粉末を得る。内径2
0mm、外径50mmのヘリコイド面を有したデイスク型銀
基板の中心より図2のように2mm程の幅で径方向に切断
部を入れ、そのカットの両サイド1mm部分をマスクをす
る。この基板上に溶射粉末を用い、大気中プラズマ溶射
装置にて膜厚50μm程度の溶射膜を成膜する。その
際、溶射条件は、出力:50kW、プラズマ電流:800
A、溶射時間:200min とし、プラズマガスはAr、
2次ガスとしてH2 を用いた。
【0017】このようにして作製された100枚のデイ
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルをTl雰囲気中810℃まで3時間
で昇温し、20時間保持した後、3時間で室温まで冷却
した。このようにして得られた、ら旋状連続面の面間に
外径50mm、内径10mmのデイスク状の円板の一部を、
径方向に切断部を入れた厚さ0.1mmのアルミナシート
を絶縁シートとして1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の
絶縁を図った。さらに、銀基板上の酸化物系超電導体に
クラックがない程度の500g/cm2 の力を中心軸方向
に加えて圧縮した。この形状を保持したまま、エポキシ
樹脂を真空含浸により酸化物系超電導コイルを製造し
た。このコイルは液体窒素の沸点である77Kにおい
て、1c=80Aが流れ、0.1Tの最大磁場が発生し
た。
スク型単層コイルのマスクを剥がし、銀基板の端部をA
gロウで接続する。さらに上記同様の溶射条件で再度膜
厚50μm程度の溶射膜を成膜する。このようにして作
製された積層コイルをTl雰囲気中810℃まで3時間
で昇温し、20時間保持した後、3時間で室温まで冷却
した。このようにして得られた、ら旋状連続面の面間に
外径50mm、内径10mmのデイスク状の円板の一部を、
径方向に切断部を入れた厚さ0.1mmのアルミナシート
を絶縁シートとして1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面の
絶縁を図った。さらに、銀基板上の酸化物系超電導体に
クラックがない程度の500g/cm2 の力を中心軸方向
に加えて圧縮した。この形状を保持したまま、エポキシ
樹脂を真空含浸により酸化物系超電導コイルを製造し
た。このコイルは液体窒素の沸点である77Kにおい
て、1c=80Aが流れ、0.1Tの最大磁場が発生し
た。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物系超電導体の接
続面における超電導特性の低下を改善することができ
る。さらにこの発明は超電導コイルなどのエネルギー分
野に応用することができる。
続面における超電導特性の低下を改善することができ
る。さらにこの発明は超電導コイルなどのエネルギー分
野に応用することができる。
【図1】酸化物系超電導コイルにおける超電導厚膜を用
いた接続部の断面図。
いた接続部の断面図。
【図2】接続部に超電導厚膜を用いて作製した、ヘリコ
イド面を有した超電導コイルの外観図。
イド面を有した超電導コイルの外観図。
1…基板、2…酸化物系超電導体、3…超電導厚膜を用
いた接続部
いた接続部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 幸雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 赤田 広幸 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 大川 令 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内
Claims (5)
- 【請求項1】 酸化物系超電導体とそれを支持する基板
及び絶縁体とから構成される超電導コイルにおいて、前
記超電導体と超電導体の間が超電導厚膜で接続されてい
ることを特徴とする酸化物系超電導コイル。 - 【請求項2】 前記酸化物系超電導体及び超電導厚膜
が、(Y、Ba、Cu、O)、(Bi、Sr、Ca、C
u、O)、(Tl、Ba、Ca、Cu、O)、(Tl、
Pb、Sr、Ca、Cu、O)から選ばれた1種以上を
主な構成元素とすることを特徴とする請求項1記載の酸
化物系超電導コイル。 - 【請求項3】 前記基板が、耐酸化性に優れた金属又は
可とう性のあるセラミックスであることを特徴とする請
求項1又は2記載の酸化物系超電導コイル。 - 【請求項4】 前記基板が、銀、金、ハステロイ、YS
Z、アルミナ、マグネシアから選ばれたものであること
を特徴とする請求項3記載の酸化物系超電導コイル。 - 【請求項5】 酸化物系超電導体とそれを支持する基板
及び絶縁体とから構成される超電導コイルの製造方法に
おいて、前記超電導体と超電導体の間を基板上に成膜法
で酸化物系超電導厚膜を成膜して該超電導体間を接続し
た後、熱処理を施したことを特徴とする酸化物系超電導
コイルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26920992A JPH0696942A (ja) | 1992-09-14 | 1992-09-14 | 酸化物系超電導コイル及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26920992A JPH0696942A (ja) | 1992-09-14 | 1992-09-14 | 酸化物系超電導コイル及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0696942A true JPH0696942A (ja) | 1994-04-08 |
Family
ID=17469196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26920992A Pending JPH0696942A (ja) | 1992-09-14 | 1992-09-14 | 酸化物系超電導コイル及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0696942A (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04181664A (ja) * | 1990-11-14 | 1992-06-29 | Fujikura Ltd | 酸化物超電導導体の接続方法および接続装置 |
-
1992
- 1992-09-14 JP JP26920992A patent/JPH0696942A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04181664A (ja) * | 1990-11-14 | 1992-06-29 | Fujikura Ltd | 酸化物超電導導体の接続方法および接続装置 |
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