JPH06120025A - 酸化物超電導コイルの製造方法 - Google Patents

酸化物超電導コイルの製造方法

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JPH06120025A
JPH06120025A JP11193192A JP11193192A JPH06120025A JP H06120025 A JPH06120025 A JP H06120025A JP 11193192 A JP11193192 A JP 11193192A JP 11193192 A JP11193192 A JP 11193192A JP H06120025 A JPH06120025 A JP H06120025A
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coil
superconducting
oxide
oxide superconductor
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JP11193192A
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Tsuneyuki Kanai
恒行 金井
Takashi Yoshida
吉田  隆
Yukio Saito
幸雄 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化物超電導体及びそれを支持する基板とか
ら構成される酸化物超電導コイルの製造方法に関するも
ので、特に強磁場を発生させるのに最適な酸化物超電導
コイルを製造する。 【構成】 製造されるコイルの中心軸に対してコイルの
内径と外形とを結ぶ直線が中心軸に対して回転したとき
に、その直線と中心軸との交点が、中心軸の上下一定方
向に移動するらせん状の連続面(ヘリコイド面)を有す
る非超電導体製基板1を用意し、該基板を酸化物超電導
体が懸濁した溶液中に浸漬しディップコート法により該
基盤上に酸化物超電導体を製膜2し、次いで必要な熱処
理を行う。 【効果】 ディップコート法を用いることにより超伝導
体結晶のC面の基板状に対する配向を基板面に沿った状
態とすることが可能となり、良好な超伝導特性を持つコ
イルを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導コイルの
製造方法に係わり、特に、酸化物超電導体をヘリコイド
面を有する常電導体製基板上に形成することにより、良
好な超電導特性を有し、かつ強磁場を発生させるのに最
適な酸化物超電導コイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超電導材料としてはNb3Sn やNb3G
e 等の金属間化合物が知られており、実用化されてい
る。これら金属間化合物は、超電導状態が得られる臨界
温度(Tc)が最も高いNb3Ge ではも23K であり、冷却に
は液体ヘリウムを用いることが必要であった。ところが
1987年になってY-Ba-Cu-O 系酸化物は臨界温度が約90K
と従来の金属間化合物に比べ飛躍的に高いことが見い出
されて以来、Bi-Sr-Ca-Cu-O 、Tl-Ba-Ca-Cu-O 系超電導
体が次々に発見された。これら超電導体の臨界温度は液
体窒素の沸点である77K を大きく上回っており、超電導
状態を得るのに液体ヘリウムを用いずに安価な液体窒素
を用いることができることから、この酸化物超電導体
は、電子デバイス、超電導コイル等の広範な用途に応用
されるものと期待されている。
【0003】従来の金属間化合物を用いた超電導コイル
は、金属間化合物と金属シースとを線引き或いは押し出
し等の加工法によって線材とし、ソレノイド状に巻いた
ものを使用している。しかしながら、酸化物超電導体の
場合には、高Jc線材を得るために緻密化及び二次元的な
配向化を必要とし、単なる線引き或いは押し出し等の加
工法だけでは高Jc線材を実現できないことが分かってき
た。高Jc線材を実現する手法として、圧延或いはプレス
等を行うことで短尺線材に於いては高いJcを有する線材
が得られることが知られている。
【0004】金属シース線材にこの手法を用いると、シ
ース断面が偏平となり、ソレノイド状に線材を卷くこと
が不可能である。このため、シース線材を用いて酸化物
超電導コイルを製造する場合には、パンケーキ状のコイ
ルとならざるをえない。金属シース線材でのパンケーキ
状コイルの他に、酸化物超電導コイルとしては、特開昭
63−255905号公報或いは特開昭63−255906号公報で開示
されているように、セラミックス或いは金属基板上に酸
化物超電導体を渦巻状に配置すると共に、その右渦巻状
のものと左渦巻状のものとを交互に積層した超電導コイ
ル構造が示されている。
【0005】上記の金属シース線材を用いたパンケーキ
状コイルでは、高Jc線材を得るためのプレス或いは圧延
を、場合によっては複数回の超電導体にするための熱処
理をはさんで、長尺線材に対して行われなければならな
い。このため、均質な高性能線材を得ることが困難であ
る。更に、パンケーキコイル間の接続も大きな問題で、
実用に値する強い磁場を発生するコイルを製造すること
は極めて困難である。一方、特開昭63−255905号公報或
いは特開昭63−255906号公報で記述されている従来技術
では、渦巻状の超電導体を高密度に製造する技術、及び
各渦巻状コイル間の接続が問題となり、実用的な磁場を
発生するには解決すべき問題点が多い。
【0006】そのような問題点を解決する手段として、
半径方向に所定の幅を有しかつ軸線方向に厚さを有する
セラミックス系の高温超電導材料をらせん状に巻き、そ
れにより細線化が難しい超電導材料の表面積を増大し大
電流を流すことを可能とした超電導コイルが提案された
(特開平2-114606号公報参照)。さらに、所定の堅さと
絶縁性を持つ例えばステンレス鋼のような材料で形成し
た螺旋状のセパレーションフィラーを用い、該セパショ
ンフィラーを筒状の圧縮空間を備えた金型内に収容した
後、螺旋間の空間に超電導材料を充填し、圧縮及び熱処
理を施す超電導コイルの製造方法も提案されている(特
開昭63-287010号公報参照)。また、常温電導体として
用いる螺旋状の金属バンド上に超電導体粉末を塗布する
かあるいはプレス加工して超電導体コイルを製造する方
法及び基材上に超電導薄膜と常電導薄膜とを物理蒸着法
により相互に螺旋状に積層して超電導体コイルを製造す
る方法も提案されている(特開昭64-19702号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように超電導材
料を半径方向に所定の幅を有しかつ軸線方向に所定の厚
さを有する超電導材料をらせん状に成形したコイル、あ
るいは絶縁性を持つ螺旋状フィラーの表面に超電導材料
を充填し熱処理したコイルは、大きな表面積を得ること
ができ大電流を流すことが可能となることからコイルと
しての性能を向上させたものであるが、なお解決すべき
課題を有している。
【0008】すなわち、超電導材料、特に酸化物超電導
体をそれを支持する基材のない状態で比較的均一な数十
〜数百μm厚さの螺旋状コイル形状に形成することは極
めて困難であり、酸化物超電導体自体で自己の姿勢を安
定した状態で維持するためには数mm以上の厚さのものと
ならざるを得ない。一方、酸化物超電導体は異方性の強
い結晶構造を持ち、超電導電流は結晶のc面を流れる特
性を有している、数mm程度の厚い材料の場合には、結晶
の方位はランダムなものとなり良好な超電導特性は得に
くいものとなる。
【0009】ところで、所定の堅さと絶縁性を持つ材料
で形成した螺旋状のセパレーションフィラーを用い、該
セパションフィラーを筒状の圧縮空間を備えた金型内に
収容した後、螺旋間の空間に超電導材料を充填し、圧縮
及び熱処理を施して得られる超電導コイルの場合は、セ
パションフィラーを有することにり姿勢の安定性は補償
されるものの、圧縮成形により超伝導材材料膜を形成し
ていることから膜の厚さに制限があり、満足な超電導特
性を得ることはやはり困難である。
【0010】常温電導体の螺旋状金属バンド上に超電導
体粉末を塗布するかあるいはプレス加工して得られる超
電導体コイルの場合も前記のものと同様であり、超伝導
材料層の厚さが薄くならず、一方、基材上に超電導薄膜
と常電導薄膜とを蒸着法により相互に螺旋状に積層して
超電導体コイルを製造する場合には、薄くかつ均一な厚
さの超伝導体膜を基材上に形成することが可能である
が、蒸着法のもつ技術的制限からコイルの大きさにも制
限がありまた製膜速度もせいぜい10ミクロン/1h程
度ときわめて遅いものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
で問題となった問題点を解決する方法として、新規な酸
化物超電導コイルの製造方法を開示する。すなわち、超
電導コイルの製造方法であって、製造されるコイルの中
心軸に対してコイルの内径と外形とを結ぶ直線が中心軸
に対して回転したときに、その直線と中心軸との交点
が、中心軸の上下一定方向に移動するらせん状の連続面
(ヘリコイド表面)を有する非超電導体製基板を用意す
る工程、該基板を酸化物超電導体が懸濁した溶液中に浸
漬しディップコート法により該基盤上に酸化物超電導体
を製膜する工程、及び熱処理を行う工程とにより超電導
コイルを製造する方法を開示する。
【0012】ここで、図1は上記ヘリコイド表面の概念
図であり、コイルの中心軸aに対してコイルの内径Riと
外径Roとを結ぶ直線が、中心軸aに対してθだけ回転し
たときに、その直線と中心軸との交点が、中心軸の上あ
るいは下の一定方向に移動する連続面となる。酸化物超
伝導体を支持する基盤としては、銀、金、ハステロイ等
の耐酸化性に優れた金属、可とう性のあるYSZ、又は
アルミナ等のセラミックス等を用いることができる。こ
れらの材料を用いて従来知られた任意の手法によりヘリ
コイド表面を有する非超電導体製基板を用意する。
【0013】酸化物超電導体としては、(Y、Ba、C
u、O)系酸化物、(Bi、Sr、Ca、Cu、O)系
酸化物、(Tl、Ba、Ca、Cu、O)系酸化物、又
は(Tl、Pb、Sr、Ca、Cu、O)系酸化物のい
ずれかを主な構成元素とし、その他微量のLa系物質、
Nd系物質等を含む酸化物超電導体であることが好まし
い態様である。
【0014】前記基板を前記のような酸化物超電導体の
一種類が懸濁した溶液中に浸漬しディップコート法によ
り該基盤上に酸化物超電導体を製膜する。酸化物超電導
体は、支持基板に対して、その片面にのみ製膜してもよ
く、両面に製膜してもよい。さらに、該基盤に対して酸
化物超電導体が互いに平行な複数本の帯状体の層として
積層されるようにしてもよい。そのための手段として
は、基材の表面の超伝導体薄膜を成形することを望まな
い部分にテープ等を貼着しておき、基板全体をディップ
コートした後に該テープを剥離する手段、また、ディッ
プコート溶液と濡れ性の小さい材料を超伝導体を性膜し
たくにい基材部分に形成した後、基板全体をディップコ
ートする手段等によってもよい。さらには、基板全体を
ディップコートした後、半導体素子の製造等で用いられ
るフォトレジストを塗布し必要なマスクパターンをレジ
スト正面と重ね、光の照射及び現像によってレジストに
パターンを形成し、化学エッチング、イオンミリング等
によって不要な超伝導体を除去するようにしてもよい。
【0015】さらに、場合によっては、これら基板と超
電導体との反応を避けるため、あるいは基板と酸化物超
電導体との熱膨張差を緩和するために、両者の間にバッ
ファ層を挟むようにしてもよく、また、熱処理工程中
に、プレス、圧延等の圧密化工程をさらに行ってもよ
く、これによりさらに緻密で配向性の良い高Jc線材を得
ることは極めて容易となる。また、従来技術で問題とな
った酸化物超電導体同士の接続がないために、実用に耐
え得る高い磁場を発生することは極めて容易になる。
【0016】図2は本発明の方法により得られる酸化物
超伝導コイルのヘリコイド面の断面構造のいくつかの例
をその一方の面のみを強調して示している。図2aは基
板1の上に酸化物超電導体層相2を製膜したもの、図2
bは基板1の上に酸化物超電導体層が平行に複数本存在
するように製膜したものを示している。さらに、図2
c、dは基材1と酸化物超伝導体層2との間にバッフア
層3を介在したものを示している。なお、いずれの場合
も、電流リード線はヘリコイド端部の超電導体に接続さ
れる。
【0017】このような本発明の酸化物超電導コイル構
造は、強磁場を必要とするMRI、NMR等の医療用、
理科学用装置等に用いることができる。
【0018】
【作用】本発明の方法により製造される酸化物超電導コ
イル構造は、酸化物超電導体同士の接続がなく、しかも
薄膜状に製膜された酸化物超電導体のヘリコイド面が互
いに重なり合う構造になっている。このため、超電導体
にするための複数回の熱処理工程の間に行う、高Jc線材
を得るための緻密化に不可欠な、プレス或いは圧延が極
めて容易である。例えは、図1に示すようなヘリコイド
状コイルを、熱処理の中間段階で上下方向からプレス或
いは圧延を行うことにより緻密な超電導線材を得ること
ができる。
【0019】また、酸化物超電導材料を支持する堅さを
持つ基板を用い、かつディップコート法により酸化物超
電導材料を製膜するようにしたので、比較的均一厚さの
数十〜数百μmの層をその基板上に容易にかつ迅速に形
成することが可能となり、超電導体結晶のC面が基板面
に沿って配向した良好な超電導特性を有する超伝導コイ
ルを得ることができる。さらに、基板として金属を用い
た場合には、超電導状態が何らかの原因で常電導状態に
転移(クエンチ)した場合の、電流のバイパスとしての
働きも合わせ持つ。このため、超電導状態に対する外乱
にたいして非常に安定した線材となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0021】
【実施例1】厚さ0.3mm の銀板を用いて、図1に示す形
状の、内径Ri=10mm、外径Ro=50mmでヘリコイド面を10
0 枚有するヘリコイド状の銀基板を作製した。この銀基
板上にBi- Sr- Ca- Cu- O系超電導体をディプ
コート法によって付着させた。
【0022】粉末は、Bi2O3 、SrO 、CaO 、CuO を出発
原料とし、それぞれの金属塩のモル比がBi:Sr:Ca:Cu =
2.5:2.0:1.0:2.0 になるようにメノウ乳鉢を用いたライ
カイ機で混合した後、大気中800 ℃、20時間で焼成し
た。これの粉末を再び粉砕し、粉末の粒度調製を5μm
の超電導溶射粉末とした。この粉末100gに対して、ポリ
ブチルブチラール10g 、フタル酸エステル5g、ブタノー
ル100gを加えて混合し、酸化物超電導体が懸だくした溶
液を調製した。
【0023】この溶液中に、上記ヘリコイド面を有する
銀基板を浸し、Y系超電導体を銀基板上の両面にディッ
プコート法によって付着させ、図2aの構造を有するヘ
リコイド状コイルを製造した。このヘリコイド状コイル
を、ヘリコイド面の間隔が2mm程度になるように銀板を
成形した後、部分溶融によって酸化物を超電導体とし
た。部分溶融は、885 ℃まで3時間で昇温して10分間保
持し、更に815 ℃まで降温した後、この温度で20時間保
持し、その後3時間で室温まで冷却する、という温度プ
ロファイルで行った。
【0024】このようにして得られた、螺旋状連続面の
面間に内径10mm、外径50mmのドーナツ状の円板の一部を
径方向に切断した、厚さ0.1mm のアルミナシートを絶縁
シートとして1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面間の絶縁
を図った。このヘリコイド状コイルの上下のヘリコイド
面の端部に、電流リード線を接続した後、銀基板上の酸
化物超電導体にはクラック等の発生がない程度の、500g
/cm2の力を中心軸方向に加えて圧縮した。この形状を保
ったまま、エポキシ樹脂を真空含侵によりコイルを製造
した。
【0025】このコイルを77Kに冷却したところ、Ic=9
8Aが流れ、0.2Tの最大磁場を発生できた。一方、4.2 K
では、Ic=830A が流れ、1.8Tの最大磁場を発生できた。
【0026】
【実施例2】実施例1と全く同様の方法で、ヘリコイド
状の銀板及び溶射粉末を製造した。ただし、粉末の元素
及び組成が異なる。すなわち、粉末の仕込組成として
は、Tl:Ba:Ca:Cu=2:2:2::3になるようにTl2O3 、BaO 、
CaO 及びCuを秤量した。これら粉末を混合、粉砕してア
ルミナるつぼに入れ、800 ℃−10時間の仮焼成を行な
い、粉砕後、粒度調製を行いディップコート法粉末とし
た。この粉末を実施例1と全く同様の条件でディップコ
ートを行った。
【0027】このようにして得られた、ヘリコイド面を
有す銀基板を810 ℃で20時間の第一回目の熱処理を行っ
た。このヘリコイドコイルを上下方向から、20トン/cm
2 の圧力を加えて加圧を行い酸化物超電導体の緻密化を
行った。このコイルに再び860 ℃−20時間の熱処理、20
トン/cm2 のプレス、860 ℃−20時間の熱処理を施し
た。
【0028】このようにして得られたヘリコイド面の面
間に、実施例1と全く同様に内径10mm、外径50mmのドー
ナツ状の円板の一部を径方向に切断した、厚さ0.1mm の
アルミナシートを絶縁シートとして1枚ずつ挟み込み、
ヘリコイド面間の絶縁を図った。このヘリコイド状コイ
ルの上下のヘリコイド面の端部に、電流リード線を接続
した後、銀基板上の酸化物超電導体にはクラック等の発
生がない程度の、約500g/cm2の力を中心軸方向に加えて
圧縮した。この形状を保ったまま、エポキシ樹脂を真空
含侵によりコイルを製造した。
【0029】このコイルを77Kに冷却したところ、Ic=4
20A が流れ、0.8Tの最大磁場を発生できた。一方、4.2
Kでは、Ic=760A が流れ、1.6Tの最大磁場を発生でき
た。
【0030】
【実施例3】実施例1と全く同様の方法でヘリコイド状
の銀板を製造した。ただし、粉末の元素、組成が異な
る。Y1Ba2Cu3Ox の組成になるようにY2O3、BaO及びCuO
粉末を秤量した後、混合、粉砕してアルミナるつぼに入
れ、900 ℃−10時間の仮焼成を2回行なった後、ボール
ミルによって粉砕し、平均粒径10μmの超電導粉末を得
た。この粉末100gに対して、ポリブチルブチラール10g
、フタル酸エステル5g、ブタノール100gを加えて混合
し、酸化物超電導体が懸だくした溶液を調製した。この
溶液中に、上記ヘリコイド面を有する銀基板を浸し、Y
系超電導体を銀基板上の両面にディップコート法によっ
て付着させ、図2aの構造を有するヘリコイド状コイル
を製造した。
【0031】このヘリコイド面を有するコイルを、920
℃で10時間酸素中で第一回目の熱処理を行った後、この
コイルの螺旋面の上下方向から、全圧20トンの圧力を
加えて加圧を行い緻密化を行った。このコイルに再び同
じ上記と同一の熱処理、プレス、熱処理を施した。この
ようにして得られたヘリコイド面の面間に、実施例1と
全く同様に内径10mm、外径50mmのドーナツ状の円板の一
部を径方向に切断した、厚さ0.1mm のアルミナシートを
絶縁シートとして1枚ずつ挟み込み、ヘリコイド面間の
絶縁を図った。このヘリコイド状コイルの上下のヘリコ
イド面の端部に、電流リード線を接続した後、銀基板上
の酸化物超電導体にはクラック等の発生がない程度の、
約500g/cm2の力を中心軸方向に加えて圧縮した。この形
状を保ったまま、エポキシ樹脂を真空含侵によりコイル
を製造した。
【0032】このコイルを77Kに冷却したところ、Ic=3
30A が流れ、0.7Tの最大磁場を発生できた。一方、4.2
Kでは、Ic=770A が流れ、1.6Tの最大磁場を発生でき
た。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、長尺線
材においても短尺線材と同様の大きな臨界電流密度を有
する酸化物超電導コイルを再現性良く得ることができ、
特に本発明においては、ディップコート法を用いること
により容易にかつ迅速に超伝導体結晶のC面が基板面に
沿って配向した良好な超伝導特性を持つコイルを得るこ
とができ酸化物超電導コイルの工業化に際して大きな効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 螺旋状連続面を有するコイルの説明図。
【図2】 ヘリコイド面の断面を示す図。
【符号の説明】
Ri─コイル内径、Ro─コイル外径、θ─コイルの中
心軸に対する回転角、1─基板、2─酸化物超電導体、
3─バッファ層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導コイルの製造方法であって、製造
    されるコイルの中心軸に対してコイルの内径と外形とを
    結ぶ直線が中心軸に対して回転したときに、その直線と
    中心軸との交点が、中心軸の上下一定方向に移動するら
    せん状の連続面(ヘリコイド面)を有する非超電導体製
    基板を用意する工程、該基板を酸化物超電導体が懸濁し
    た溶液中に浸漬しディップコート法により該基盤上に酸
    化物超電導体を製膜する工程、及び熱処理を行う工程を
    有することを特徴とする、超電導コイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 該基板が、銀、金、ハステロイ等の耐酸
    化性に優れた金属、可とう性のあるYSZ、又はアルミ
    ナ等のセラミックスのいずれかであることを特徴とす
    る、請求項1記載の超電導コイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化物超電導体が、(Y、Ba、Cu、
    O)系酸化物、(Bi、Sr、Ca、Cu、O)系酸化
    物、(Tl、Ba、Ca、Cu、O)系酸化物、又は
    (Tl、Pb、Sr、Ca、Cu、O)系酸化物のいず
    れかを主な構成元素とし、微量のLa系物質、Nd系物
    質等を含む酸化物超電導体であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の超電導コイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 該基板と酸化物超電導体との間にバッフ
    ァ層を形成する工程をさらに有することを特徴とする、
    請求項1ないし3いずれか記載の超電導コイルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 該基盤に対して酸化物超電導体が互いに
    平行な複数本の帯状体の層として積層されることを特徴
    とする、請求項1ないし4いずれか記載の超電導コイル
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 該基盤の片面にのみ酸化物超電導体を製
    膜することを特徴とする、請求項1ないし5いずれか記
    載の超電導コイルの製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理工程中に、プレス、圧延等の圧密
    化工程をさらに有することを特徴とする、請求項1ない
    し6いずれか記載の超電導コイルの製造方法。
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