JPH103829A - 超電導テープ材の製造方法 - Google Patents

超電導テープ材の製造方法

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JPH103829A
JPH103829A JP8175827A JP17582796A JPH103829A JP H103829 A JPH103829 A JP H103829A JP 8175827 A JP8175827 A JP 8175827A JP 17582796 A JP17582796 A JP 17582796A JP H103829 A JPH103829 A JP H103829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非常に高い超電導特性を必要とする超電導磁石
や広範囲の超電導特性を必要とする超電導スイッチ、超
電導ヒューズなどに酸化物超電導体を応用するため、結
晶粒径および/または不純物量を制御することにより、
所望の超電導特性が得られる様な新規な超電導テープ材
の製造方法を提供することを主な目的とする。 【解決手段】Bi、Sr、Ca、CuおよびOからなり、Bi2Sr2C
aCu2O8構造を有する超電導体粉末からなる少なくとも1
つの層が銀シート層間に積層配置され、積層面に垂直な
全ての側面で超電導体粉末が外気と接しているサンドウ
ィッチ構造体を810〜900℃、0〜90%の酸素分圧下で加熱
して超電導粉末層を溶融させた後、これを溶融温度と同
温度に保持しつつ且つ酸素分圧を高めて結晶化を行うこ
とを特徴とする、Bi2Sr2CaCu2O8構造を有する酸化物超
電導テープ材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導テープ材の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の酸化物超電導体に関する研究の進
展には、基礎・応用両分野において、目覚ましいものが
ある。基礎分野においては、新組成超電導体の発見、新
合成法の発明、超電導発現機構の解明についての研究に
ついての発表などが相次いでいる。また、応用分野にお
いても、電気・電子材料から医療分野での応用まで、そ
の研究分野は広がっており、様々な分野から酸化物超電
導材料の開発、機能性向上への期待が高まりつつある。
【0003】現在、超電導材料として広く利用されてい
るものは、ニオブ・チタン合金などの非酸化物超電導材
料であり、このような超電導材料を用いて15テスラを超
える超電導磁石が作製されている。しかしながら、この
ような超電導体の臨界温度は低く、冷却のためには液体
ヘリウムが必要となり、冷却コストが高くなる。また臨
界磁場も低いため、20テスラを超える非酸化物超電導磁
石は、作製されていない。化学分析などに用いられる核
磁気共鳴測定装置(NMR)、医療用磁気共鳴画像診断装置
(MRI)などの分解能を現在の仕様以上にするためには、2
0テスラ以上の磁場を発生する磁石が必要となる。この
ような超電導磁石用の超電導材料には、高臨界電流密度
(105A/cm2以上)だけではなく、高臨界磁場(30テスラ以
上)が要求される。
【0004】以上の様な非酸化物超伝導材料に関する技
術の現状を背景として、酸化物超電導体は、臨界温度、
臨界磁場ともに高いため、低冷却コストでの作動と高磁
場発生が可能な超電導磁石のみでなく、超電導磁石へ電
流を供給する電流リード、大電流を送電する超電導ケー
ブルなどへの応用も、期待されている。この様な分野で
の応用を可能とするためには、酸化物超電導体物質の線
材化、テープ材化などが必要となる。
【0005】現在、金属(主に銀)で被覆された形態で
酸化物超電導体の線材化およびテープ材化が行われてい
る。線材化或いはテープ材化された酸化物超電導材料
は、多結晶体であるため、その超電導特性(臨界温度、
臨界電流密度など)を決定する主な要因の一つとして、
粒界での超電導結合が挙げられる。この超電導結合が弱
い場合には、材料の超電導特性は低下してしまう。結晶
粒間の超電導結合が強い線材或いはテープ材の作製法と
して、超電導材料原料粉を溶融した後、徐冷することに
より結晶化させる溶融法(以下、溶融徐冷法という)が
有効であることが分かっている。
【0006】しかしながら、従来の溶融徐冷結晶化法に
は、大きな問題点がある。すなわち、酸化物超電導材料
は、分解溶融系であるため、溶融時には、原料超電導体
相とは異なる液相と固相とが生成しており、その後の徐
冷による結晶化は、包晶反応により進行する。そのた
め、液相と固相とを完全に反応させるためには、超電導
体生成温度で長時間保持する必要がある。溶融徐冷結晶
化法の問題点は、液相と固相との反応が完了する前に、
加熱炉内温度が超電導結晶生成の温度以下になり、生成
物中に不純物相が残留して、超電導特性が低下してしま
うことである。
【0007】また、溶融徐冷結晶化法で作製された線材
は、超電導体部分が銀チューブによって完全に被覆され
ているため(以下、銀シース線材という)、焼成時に超
電導体や有機バインダーからの気体の発生により、銀被
覆の破裂、膨張、変形などが生じるという問題がある。
また、テープ面の一方のみが銀で覆われているテープ材
についても、焼成時の気体の発生による変形はないもの
の、超電導体が直接外気と接する面積が広いため、焼成
の結果、銀と超電導体との界面と銀が被覆されていない
超電導体の表面との間で組成および結晶粒径が異なって
しまう。これら材料の不均一性も、超電導特性の低下を
導き、さらに、超電導特性の制御を困難にする。
【0008】一方、材料の臨界温度或いは臨界電流密度
前後での超電導-常電導転移を用いる超電導スイッチ、
超電導ヒューズ、超電導センサーなどへの応用のために
は、使用条件に応じた超電導特性(臨界温度、臨界電流
密度など)を有する超電導材料を作製する必要がある。
酸化物超電導材料では、結晶粒径や不純物量の制御によ
り、超電導特性を制御することが可能である。しかしな
がら、結晶粒径制御のためには、試料全体で結晶粒径を
均一にしなければならないので、上記の銀シース線材や
テープ面の一方のみが銀で覆われているテープ材では、
結晶粒径を均一にすることが非常に困難であり、未だ成
功するにいたっていない。また、溶融徐冷結晶化法で
は、不純物量および結晶粒径は、溶融温度、溶融時間、
徐冷速度などの多くの作製パラメーターにより決定され
るため、任意に不純物量および結晶粒径の制御を行うこ
とは、手法が非常に複雑となり、極めて困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、非
常に高い超電導特性を必要とする超電導磁石や広範囲の
超電導特性を必要とする超電導スイッチ、超電導ヒュー
ズなどに酸化物超電導体を応用するため、結晶粒径およ
び/または不純物量を制御することにより、所望の超電
導特性が得られる様な新規な超電導テープ材の製造方法
を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて種々研究を重ねてきた。その結果、
Bi2Sr2CaCu2O8構造を有する超電導体粉末層を銀シート
間に積層したサンドウィッチ構造体を特定の条件下に加
熱処理して粉末を溶融させた後、特定の条件下に保持す
る場合には、保持温度および/または保持時間により生
成する結晶の粒径および/または不純物量の制御が可能
となり、広い範囲で超電導特性を制御できる(臨界電流
密度:105〜102A/cm2程度、臨界温度:77〜90K程度)Bi
2Sr2CaCu2O8構造を有する超電導体材料の製造方法を完
成するにいたった。
【0011】即ち、本発明は、下記の超電導テープ材の
製造方法を提供するものである: 1.Bi、Sr、Ca、CuおよびOからなり、Bi2Sr2CaCu2O8
造を有する超電導体粉末からなる少なくとも1つの層が
銀シート層間に積層配置され、積層面に垂直な全ての側
面で超電導体粉末が外気と接しているサンドウィッチ構
造体を810〜900℃、0〜90%の酸素分圧下で加熱して超電
導粉末層を溶融させた後、これを溶融温度と同温度に保
持しつつ且つ酸素分圧を高めて結晶化を行うことを特徴
とする、Bi2Sr2CaCu2O8構造を有する酸化物超電導テー
プ材の製造方法。
【0012】2.結晶化過程での酸素分圧を溶融過程で
の酸素分圧よりも5%以上高める上記項1に記載の酸化物
超電導テープ材の製造方法。
【0013】3.結晶化過程での保持温度および/また
は保持時間により、結晶粒径および/または不純物量を
制御して、超電導特性の制御を行う上記項1または2に
記載の酸化物超電導テープ材の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明によれば、非常に高い水準
から低い水準までの広い範囲で超電導特性を制御でき、
種々の分野での実用化に当たって必要とされる超電導特
性を有する酸化物超電導テープ材を容易に得ることがで
きる。
【0015】本発明による超電導テープの製造方法は、
酸化物超電導体の融点が酸素分圧の増加と共に上昇する
という性質を利用したものである。すなわち、酸化物超
電導体を一定温度で溶融させた後、同温度に保持しつつ
酸素分圧を制御する(酸素分圧を高める)だけでその結
晶化を行う製造方法である。
【0016】以下に、本発明で超電導テープ材の製造に
使用する超電導原料粉末の製造方法、本発明による超電
導テープ材の製造方法、得られた超電導テープなどにつ
いて詳細に説明する。
【0017】I.超電導原料粉末の製造方法 本発明の超電導テープ材の製造に際して原料として使用
する超電導粉末は、原子組成比がBi=1.00としたとき、S
r=0.90〜1.20、Ca=0.35〜0.60、Cu=0.9〜1.20となるよ
うに原料物質を混合し、焼成した後、粉砕することによ
り得られる。この超電導粉末の製造方法自体は、公知で
ある。
【0018】原料物質の原子組成比は、Bi2Sr2CaCu2O8
構造の超電導結晶が単相で生成するものであれば良く、
上記の範囲内であれば、特に限定されるものではない
が、一例としてBi=1.00、 Sr=1.20、Ca=0.35、Cu=1.00
である。また焼成温度と時間についても、Bi2Sr2CaCu2O
8構造の超電導結晶が単相で得られれば良く、特に限定
されないが、通常800〜870℃程度で20〜60時間程度であ
り、例えば、800℃程度で10時間程度焼成した後、850℃
程度で24時間程度焼成する。この超電導原料粉末製造の
ための原料物質は、焼成により酸化物を形成し得るもの
であれば、特に限定されず、金属単体、酸化物、各種化
合物(炭酸塩など)が使用できる。また上記の原子を二
種以上を含む化合物を使用してもよい。原料物質の焼成
手段は、特に限定されず、電気加熱炉、ガス加熱炉など
の任意の手段を採用し得る。
【0019】II.超電導テープ材の製造方法 本発明による超電導テープの製造方法の1例を示すフロ
ーチャートを第2図に示し、製造条件の1例を第3図に
示す。
【0020】図2に示す様に、上記の方法で得られたBi
2Sr2CaCu2O8構造の超電導原料粉末を有機溶媒中に懸濁
させ、銀シート基材上に塗布し、予備的に乾燥させた
後、他の銀シートを超電導粉末上に載せ、超電導原料粉
末層が均一厚さとなる様軽く加圧して、前駆成形体を得
る。このとき用いる有機溶媒は、超電導粉末と反応しな
いものであれば、特に限定されず、具体的には、エチル
アルコール、α-テルピネオール、トルエン、ヘキサン
などが例示される。2種以上の有機溶媒を混合して使用
しても良く、1例としてエチルアルコールとα-テルピ
ネオールの体積比1:1の混合液を挙げることができる。
【0021】基材として用いる銀シートの長さ、幅、厚
さおよび形状は、特に限定されないので、任意の大きさ
と形状とを有する超電導テープ材が製造可能である。ま
た、図1に示す様に、超電導体が一層のみではなく、複
数の超電導体層が銀シートを介して積層された銀-超電
導体交互積層サンドウィッチ構造となるように、n層
(n≧3)の銀シートと(n−1)層の超電導原料粉末
を積層しても良い。ただし、積層面に垂直な全ての面
(側面)では、超電導原料粉末が外気と直接面している
必要がある。
【0022】次いで、上記の銀-超電導体前駆成型体を3
00〜500℃で1〜5時間加熱して、有機溶媒を完全に除去
する。次いで、810〜900℃程度において相対的に低い酸
素分圧下(0〜90%)で5〜60分間超電導原料粉末を溶融
した後、溶融時と同じ温度で雰囲気をより高い酸素分圧
(5〜100%)に変換し、3〜60時間加熱保持(焼成)し
て、超電導結晶粒を生成させる。加熱溶融時および加熱
保持時の炉内気圧は、限定されないが、加圧或いは減圧
する必要はなく、1気圧で良い。炉内雰囲気は、炉内気
圧を所定値(例えば、1気圧)に保つため、酸素と他の
気体の混合雰囲気とする。酸素以外の気体としては、超
電導体および銀シートと反応しないものであれば、限定
されず、任意の気体(窒素、希ガスなど)を使用でき
る。1例として、前駆成形体を500℃で3時間空気中で加
熱して有機溶媒を完全に除去した後、865℃、酸素分圧0
%(窒素分圧100%)で5分間溶融し、次いで酸素分圧20%
(窒素分圧80%)に雰囲気を変換し、865℃で24時間保持
する(図3参照)。
【0023】加熱手段は、特に限定されず、電気加熱
炉、ガス加熱炉などの任意の手段を採用し得る。
【0024】III.超電導テープ 図2のフローに従って、厚さ150mmの銀シート2枚を用
い、長さ20mm、幅2.0mmで、超電導体層が一層の短冊状
の超電導テープ材を製造した例を図1の上方に斜面図と
して示す。
【0025】また、後述の本発明の実施例において得ら
れた超電導テープ材の液体ヘリウム中(4.2K)での臨界電
流密度を図4に示す。なお、全ての試料の焼成時間は、
24時間である。焼成温度の上昇に伴い、臨界電流密度も
高くなっている。特に焼成温度865℃で得られた試料
(実施例1)は、ゼロ磁場で3.0x105A/cm2、8テスラの
高磁場中でも1.0x105A/cm2と非常に高い臨界電流密度を
示している。この値は、高磁場発生超電導磁石や超電導
リードへの応用が十分に可能な値である。またこの試料
は、液体窒素温度(77K)、ゼロ磁場でも104A/cm2を超え
る高い臨界電流値を有し、ゼロ磁場中で用いる超電導ケ
ーブルへの応用も可能である。
【0026】焼成温度による臨界電流密度の変化は、超
電導テープ材中の結晶粒径の差違によるものである。本
発明の実施例1および実施例6で得られた超電導テープ
材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に示す。865℃で
焼成した試料(実施例1)の結晶粒径は、約300μmであ
ったのに対し、830℃で焼成した試料(実施例6)では
約50μmであった。
【0027】図6は、焼成温度と結晶粒径および臨界電
流密度との関係を示すグラフである。このグラフは、焼
成温度が低い試料ほど超電導結晶粒径が小さいことを示
している。すなわち、本発明方法においては、焼成温度
のみを変化させるだけで、超電導テープ中の結晶粒径を
数10〜数100μmまでという広い範囲で任意に制御可能で
あり、このことにより臨界電流密度も制御できることが
わかる。
【0028】図7は、結晶化時間を6時間としたときの
超電導テープ材の焼成温度と臨界電流密度および臨界温
度との関係を示すグラフである。焼成温度が高くなるに
従い、臨界電流密度は低下している。これらのことは、
超電導テープ材中の不純物量に関係していることが、SE
M観察およびX線回折測定から確認された。
【0029】図8は、830℃焼成試料(実施例12)と8
60℃焼成試料(実施例8)のSEMを用いた反射電子像写
真であり、結晶粒の原子組成によりコントラストが異な
る。また、SEM付属の特性X線分析装置により、組成分析
を行った。図8に示す両試料において、広く白い領域
は、超電導体結晶であるBi2Sr2CaCu2O8相によるもので
あり、大きな黒い領域は、銀シートを超電導体層から分
離するときに生じた空孔である。830℃焼成試料では、
不純物相は殆ど観察されないが、極く僅かに溶融時固相
である(Sr,Ca)1.2CuOx相が観察された(図8(a))。焼
成温度の上昇により、不純物相の結晶粒数が増え、860
℃焼成試料では、上記不純物相の他に、溶融時液相と思
われる Bi2Sr2CuOx相も観察された(図8(b))。すなわ
ち、焼成温度の上昇により、未反応物として残留した不
純物の量が増加している。また、X線回折測定からも、
同様の結果が得られた。また、焼成温度の上昇ととも
に、Bi2Sr2CuOx相の回折ピークが強くなるのがわかった
(図9)。
【0030】また、本発明方法によれば、焼成時間によ
っても、超電導特性を制御できる。図10は、焼成温度
を865℃で、焼成時間を6〜24時間として作製した超電導
テープ材の臨界電流密度および臨界温度を示すグラフで
ある。焼成時間の増加とともに臨界電流密度および臨界
温度が増加している。これは、焼成時間が長いほど、溶
融時に生じた固相と液相との反応が進行し、不純物量が
減少するためである。これらのデータは、本発明におい
ては、焼成時間の制御によっても臨界電流密度(105〜10
2A/cm2) が広い範囲で制御できることを示している。
【0031】従来の銀シースや片面だけを銀で被覆した
テープ材に対して、本発明による溶融および焼成条件を
適用したとしても、非常に高い超電導特性を得ること
も、超電導特性を制御することも、非常に困難である。
また、サンドウィッチ構造を有するテープ材を用いて
も、従来の溶融徐冷結晶化法では、本発明で可能になっ
たほど精密で広範囲の超電導特性制御を行うことは、困
難である。これは焼成温度、溶融時間および徐冷速度な
どの作製条件の最適化が複雑なためである。
【0032】これに対し、本発明で広範囲の超電導特性
制御が可能になったのは、超電導体と銀シートが交互に
積層し(超電導体層数は一層以上)、積層面に垂直な全
ての面(側面)で原料粉末が外気と接しているサンドウ
ィッチ構造を有するテープ材(前駆成形体)を一定温度
条件下で雰囲気を制御しつつ溶融と結晶化を行うことに
より、精密な結晶粒径若しくは不純物量の制御が可能に
なったためである。
【0033】
【発明の効果】本発明方法によれば、超電導テープ材の
製造に際し、焼成温度および/または焼成時間による結
晶粒径および/または不純物量の制御が可能であり、そ
の結果、広範囲にわたって超電導特性を容易に制御でき
る。
【0034】より詳細には、本発明方法によれば、臨界
電流密度が105〜102A/cm2、臨界温度が77〜90Kの広範囲
にわたる超電導テープ材の作製を容易に行える。
【0035】従って、本発明方法は、酸化物超電導体の
応用範囲を磁場発生超電導磁石のみではなく、送電用電
流リード、送電用超電導ケーブル、超電導スイッチ、超
電導ヒューズ、超電導センサーなどへも拡大することを
可能にするものである。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0037】実施例1 図2に示す製造手順および図3に示す焼成パターンに従
って本発明方法を実施した。
【0038】Bi=1.00として、Sr=1.20、Ca=0.35、Cu=1.
00となるように出発原料を十分に混合した後、アルミナ
坩堝に入れ、電気炉中で800℃で10時間焼成し、粉砕
し、加圧成形した後、850℃で24時間焼成した。次い
で、得られた焼結体を十分に粉砕してBi2Sr2CaCu2O8
造を有する超電導原料粉末を作製した。
【0039】次いで、この超電導原料粉末をエチルアル
コールとα-テルピネオールの体積比1:1の混合溶媒中に
懸濁させ、長さ20mm、幅2.0mm、厚さ150mmの銀シート上
に塗布した後、混合溶媒を乾燥させ、さらに同じ大きさ
の銀シートを超電導粉末層上に載せ、軽く加圧して、前
駆成型体を得た。
【0040】次いで、得られた前駆成型体を500℃で3時
間加熱して、有機溶媒を完全に除去し、続いて、865
℃、酸素分圧0%(窒素分圧100%)で5分間加熱して超電
導原料粉末を溶融させた後、同温度で雰囲気を酸素分圧
20%(窒素分圧80%)に変換し、24時間焼成した。
【0041】得られた超電導テープ材は、長さ20mm、幅
2.0mm、超電導体層(1層)の厚さは18mmであった。
【0042】なお、本実施例および以下の実施例におい
て用いた超電導体の製造原料は、下記の通りである。
【0043】Bi源:酸化ビスマス(Bi2O3) Sr源:炭酸ストロンチウム(SrCO3) Ca源:炭酸カルシウム(CaCO3) Cu源:酸化銅(CuO) 実施例2〜25 表1に示す様に超電導体層数、焼成温度、焼成時間およ
び酸素分圧を変えた以外は実施例1の手法に準じて、本
発明による超電導テープを製造した。表1には、参考ま
でに、実施例1についての条件を合わせて示す。
【0044】なお、超電導体層数は、実施例1〜22が
1層であり、実施例23〜25が4層である。従って、
実施例23〜25においては、銀シートに対する超電導
原料粉末懸濁液の塗布と乾燥および銀シートの載置とい
う一連の操作を4回繰り返した後、原料粉末の溶融と焼
成を行った。
【0045】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により製造される超電導テープ材の
構造(超電導体層1層および4層)を示す斜面図であ
る。
【図2】本発明による超電導テープ材の製造手順を示す
フローチャートである。
【図3】実施例1の超電導テープ材の製造における焼成
パターンを示すグラフである。
【図4】実施例1〜6で得られた超電導テープ材の4.2K
における臨界電流密度と磁場依存性を示すグラフであ
る。
【図5】実施例1および6でそれぞれ得られた超電導テ
ープ材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】実施例1〜6で得られた超電導テープ材におけ
る焼成温度と結晶粒径、および4.2K、ゼロ磁場における
臨界電流密度との関係を示すグラフである。
【図7】実施例7〜12で得られた超電導テープ材の焼
成温度と4.2K、ゼロ磁場における臨界電流密度と臨界温
度との関係を示すグラフである。
【図8】実施例8および12で得られた超電導テープ材
のSEMを用いた反射電子像写真である。
【図9】実施例10〜12で得られた超電導テープ材の
X線回折パターンを示すチャートである。
【図10】実施例1、7、13および14で得られた超
電導テープ材の焼成時間と4.2K、ゼロ磁場における臨界
電流密度および臨界温度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 博 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Bi、Sr、Ca、CuおよびOからなり、Bi2Sr2C
    aCu2O8構造を有する超電導体粉末からなる少なくとも1
    つの層が銀シート層間に積層配置され、積層面に垂直な
    全ての側面で超電導体粉末が外気と接しているサンドウ
    ィッチ構造体を810〜900℃、0〜90%の酸素分圧下で加熱
    して超電導粉末層を溶融させた後、これを溶融温度と同
    温度に保持しつつ且つ酸素分圧を高めて結晶化を行うこ
    とを特徴とする、Bi2Sr2CaCu2O8構造を有する酸化物超
    電導テープ材の製造方法。
  2. 【請求項2】結晶化過程での酸素分圧を溶融過程での酸
    素分圧よりも5%以上高める請求項1に記載の酸化物超電
    導テープ材の製造方法。
  3. 【請求項3】結晶化過程での保持温度および/または保
    持時間により、結晶粒径および/または不純物量を制御
    して、超電導特性の制御を行う請求項1または2に記載
    の酸化物超電導テープ材の製造方法。
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