JPH0696724A - 誘導結合プラズマ質量分析装置 - Google Patents

誘導結合プラズマ質量分析装置

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JPH0696724A
JPH0696724A JP4242084A JP24208492A JPH0696724A JP H0696724 A JPH0696724 A JP H0696724A JP 4242084 A JP4242084 A JP 4242084A JP 24208492 A JP24208492 A JP 24208492A JP H0696724 A JPH0696724 A JP H0696724A
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良知 中川
Tetsumasa Itou
哲雅 伊藤
Toru Eto
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    • H01J49/10Ion sources; Ion guns
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ICPーMSの分子イオンの生成を抑制す
る。 【構成】 第二ガス流量制御部を設置して、プラズマト
ーチの中心にネブライザーガスと第二ガス流量制御部で
流量制御するスプレーチャンバーガスを流し、かつスプ
レーチャンバーガスにアルゴンを使用した構成。 【効果】 分子イオンが低減するため、分子イオンの干
渉を受ける鉄やカリウム等の分析性能が大幅に向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、試料溶液中の微量不
純物の同定・定量を行なう誘導結合プラズマ質量分析装
置(ICP−MSと呼ぶ)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を図2を用いて説明する。図
2は、ICP−MSの主に試料導入部を示した図であ
る。図2において、1は試料溶液、2はキャピラリーチ
ューブ、3はネブライザー、4はアダプター、5はスプ
レーチャンバー、6はドレイン、7はプラズマトーチ、
8はワークコイル、9はガス流量制御部、10は高周波
電源、11はプラズマ、12は質量分析部である。
【0003】分析する試料溶液1は細管状のキャピラリ
ーチューブ2を通してネブライザー3に導かれる。ネブ
ライザー3の中心にはキャピラリーチューブ2に接続さ
れた細管があり、その周囲はガス流量制御部9からのガ
ス(ネブライザーガスと呼ぶ:通常アルゴン)が流れる
構造をしている。ネブライザー3にネブライザーガスを
流すと、先端から試料溶液1が霧状に噴霧される。この
ネブライザー3は、同軸型ネブライザーと呼ばれるもの
であるが、クロスフロー型ネブライザーと呼ばれるもの
もある。ネブライザー3の先端は、アダプター4を介し
てスプレーチャンバー5に接続されている。
【0004】すなわち試料溶液1は、スプレーチャンバ
ー5内に噴霧される。スプレーチャンバー5は、噴霧さ
れた試料溶液1の霧状粒子のうち特定の粒径のものをネ
ブライザーガスと共にプラズマトーチ7に導き(分級と
呼ぶ)、他はドレイン6に排出する働きをしている。プ
ラズマトーチ7は3重管構造をしている。プラズマトー
チ7の中心の管はスプレーチャンバー5に接続されてお
り、最外殻および第二殻には各々プラズマガス、補助ガ
スがガス流量制御部9より供給される。プラズマガス、
補助ガスには、通常アルゴンが使用される。
【0005】プラズマトーチ7の先端には、ワークコイ
ル8が巻かれており、高周波電源10で発生する高周波
電力が印加できるようになっている。高周波電力は、通
常0.8から2.0kWの間で使用される。プラズマト
ーチ7にガスを流した状態で高周波電力を印加すると、
ガスはワークコイル8の近傍に形成される交番磁場と誘
導結合してプラズマ11が発生・維持される。プラスマ
トーチ7の中心に導入された試料溶液1の霧状粒子は、
プラズマ11内でイオン化される。イオン化された試料
溶液1は、質量分析部12内に導かれる。質量分析部1
2は、導かれたイオンの質量を分離して検出する働きを
している。測定する試料溶液1中の微量不純物は、検出
された質量数から同定が行われ、検出強度から濃度がわ
かる。ICP−MSの構造は、例えば「ICP発光分析
の基礎と応用」(原口/著、講談社サイエンティフィ
ク)に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来技術におい
ては、プラズマを構成するガス(アルゴン)および試料
溶液1の構成成分とが結合した分子イオンが生成する。
分子イオンとしては例えば、ArO+ (質量数56)、
ArH+ (質量数39)等がある。このため分子イオン
と質量数が重なる元素(例えば、56Fe、39K)
は、干渉を受けて分析性能が著しく低下していた。
【0007】本発明の目的は、分子イオンの生成を抑制
して、FeやKといった従来技術では分析性能が損なわ
れていた元素の分析を大幅に性能向上させることであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は試料溶液を霧状に噴霧するネブライザー
と、前記ネブライザーで前記試料溶液を霧状に噴霧させ
るためのガスを制御して供給するガス流量制御部と、前
記ネブライザーで噴霧された前記試料溶液の分級を行な
うスプレーチャンバーと、三重管構造をしていて中心が
前記スプレーチャンバーに接続されたプラズマトーチ
と、前記プラズマトーチでプラズマを発生・維持するた
めのエネルギーを供給する高周波電源およびワークコイ
ルと、前記プラズマトーチで維持されたプラズマ中でイ
オン化した前記微量不純物を質量分離して検出する質量
分析部からなる誘導結合プラズマ質量分析装置におい
て、第二ガス流量制御部を設置して、前記プラズマトー
チの中心に流すガスを前記ネブライザーを通して行なう
前記ガス流量制御部および前記第二ガス流量制御部によ
り制御し、かつ前記第二ガス流量制御部に流すガスにア
ルゴンを使用したことを特徴とする誘導結合プラズマ質
量分析装置である。
【0009】本発明により、分子イオンの生成を抑制し
て、鉄やカリウムといった従来技術では分析性能が損な
われていた元素の分析を大幅に性能向上させた。
【0010】
【作用】上記のように構成された誘導結合プラズマ質量
分析装置においては、プラズマトーチの中心に流すガス
をネブライザーガス以外に第二ガス流量制御部によりア
ルゴンを流すことにより、プラズマの構造(プラズマ温
度や電子密度)が変化して分子イオンが生成し難い状態
にした。その結果、鉄やカリウムといった分子イオン
(ArO+ やArH+ )の干渉を受ける元素のブランク
レベルが低減し、分析性能が大幅に向上する。
【0011】
【実施例】以下に、この発明の実施例を図1に基づいて
説明する。図1において、試料溶液1、キャピラリーチ
ューブ2、ネブライザー3、スプレーチャンバー5、ド
レイン6、プラズマトーチ7、ワークコイル8、ガス流
量制御部9、高周波電源10、プラズマ11、質量分析
部12は、図2を用いて説明した従来技術と同等であ
る。4aはアダプター、13は第二ガス流量制御部、1
4は継手、15はチューブである。
【0012】アダプター4aは、スプレーチャンバー5
とネブライザー3を接続できる構造に加えて、側面に継
手14を取り付けられる構造をしている。そして第二ガ
ス流量制御部13で流量制御されたガス(スプレーチャ
ンバーガスと呼ぶことにする)は、チューブ15、継手
14、アダプター4aを介してスプレーチャンバー5内
に流入する。即ち試料溶液1(の一部)は、ネブライザ
ーガスおよびスプレーチャンバーガスと共にスプレーチ
ャンバー5を通してプラズマトーチ1の中心の管に導入
される。試料溶液1の溶媒には、硝酸や弗酸等の酸やキ
シレンやMIBKといった有機溶媒が使用される。従っ
てアダプター4a、継手14、チューブ15の材質は、
酸や有機溶媒に耐性を持つPTFE等の弗素系の樹脂が
適当である。
【0013】また、ガス流量制御部9および第二ガス流
量制御部13で制御するガス流量は、スプレーチャンバ
ーガス0から1l/min、ネブライザーガス0から2
l/min、プラズマガス0から20l/min、補助
ガス0から2l/min程度が適当である。もちろん、
ガス流量制御部9と第二ガス流量制御部13を一つもモ
ジュール内に組み込むことは可能であり、本発明が有効
であることは云うまでもない。
【0014】次にアルゴンのスプレーチャンバーガスを
流したときの分子イオンの干渉の様子を図3を用いて説
明する。図3は、スプレーチャンバーガス流量を変化さ
せたときの、ブランク液の56amu(ArO+ )およ
び39amu(ArH+ )強度の変化を示している。図
3からスプレーチャンバーガスを流すことにより、鉄と
干渉するArO+ は千分の一以下、カリウムと干渉する
ArH+ は百分の一以下に低減できることがわかる。こ
れは、アルゴンのスプレーチャンバーガスを導入する
と、プラズマの構造(プラズマ温度や電子密度)が変化
して分子イオンが生成し難い状態になったためと考えら
れる。つまり、アルゴンガスをスプレーチャンバー内5
にどうにをすることにより、プラズマの温度は低下す
る。この温度経過により、アルゴンガスはイオン化しに
くくなり(試料原子はイオン化温度が低いのでアルゴン
に比べ影響されない)従って、アルゴンは反応しにくく
なる。つまりアルゴンとの分子イオンが発生しにくくな
る。
【0015】その結果本発明によると、鉄の測定は0.
01ppb以下、カリウムの測定は0.1ppb以下ま
で可能になる。従来技術では鉄は1ppb程度、カリウ
ムは数十ppb程度迄しか測定できなかったことと比較
すると、大幅な進歩である。また、アルゴンのスプレー
チャンバーガスを流したときに低減できる分子イオン
は、ArO+ 、ArH+ の他に、ArC+ (52Crに
干渉)やArNH+ (55Mnに干渉)等がある。とこ
ろで、スプレーチャンバーガスにアルゴンを使用する
と、上記のように分子イオンを大幅に低減できる効果が
得られるとともに、スプレーチャンバーガス導入により
新たな分子イオンが生じるといったデメリットがない
(例えば窒素を導入すると、Ti、V、Crと干渉する
ClNが生じることがある)ことも付け加えておく。
【0016】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、プラズマ
トーチの中心に流すガスをネブライザーを通して行なう
ガス流量制御部および第二ガス流量制御部により制御
し、かつ第二ガス流量制御部に流すガスにアルゴンを使
用した構成としたので、分子イオンが低減でき、分子イ
オンの干渉を受ける鉄やカリウム等の元素の測定性能を
大幅に向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示したブロック図である。
【図2】従来技術のICP−MSの主に試料導入部を示
したブロック図である。。
【図3】アルゴンのスプレーチャンバーガスを流したと
きの鉄およびカリウムと干渉する分子イオンの変化を示
したグラフである。
【符号の説明】
1 試料溶液 2 キャピラリーチューブ 3 ネブライザー 4,4a アダプター 5 スプレーチャンバー 6 ドレイン 7 プラズマトーチ 8 ワークコイル 9 ガス流量制御部 10 高周波電源 11 プラズマ 12 質量分析部 13 第二ガス流量制御部 14 継手 15 チューブ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体試料中の微量不純物の同定・定量を
    する目的として、試料溶液を霧状に噴霧するネブライザ
    ーと、前記ネブライザーで前記試料溶液を霧状に噴霧さ
    せるためのガスを制御して供給するガス流量制御部と、
    前記ネブライザーで噴霧された前記試料溶液の分級を行
    なうスプレーチャンバーと、三重管構造をしていて中心
    が前記スプレーチャンバーに接続されたプラズマトーチ
    と、前記プラズマトーチでプラズマを発生・維持するた
    めのエネルギーを供給する高周波電源およびワークコイ
    ルと、前記プラズマトーチで維持されたプラズマ中でイ
    オン化した前記微量不純物を質量分離して検出する質量
    分析部からなる誘導結合プラズマ質量分析装置におい
    て、第二ガス流量制御部を設置して、前記プラズマトー
    チの中心に流すガスを前記ネブライザーを通して行なう
    前記ガス流量制御部および前記第二ガス流量制御部によ
    り制御し、かつ前記第二ガス流量制御部で制御するガス
    にアルゴンを使用したことを特徴とする誘導結合プラズ
    マ質量分析装置。
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