JP6066338B2 - 誘導結合プラズマ質量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導結合プラズマ質量分析方法に関する。
高感度かつ高精度の質量分析が可能であり、ppt以下の元素分析に威力を発揮する誘導結合プラズマ質量分析装置(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:以下、「ICP−MS装置」とする)が知られる。また、特許文献1には誘導結合プラズマ質量分析法によりSi単結晶の不純物を分析する分析方法が開示される。
このような誘導結合プラズマ質量分析法に用いられるICP−MS装置では一般的にアルゴンガスによるアルゴンプラズマが利用され、その装置に導入された試料はアルゴンプラズマ中でイオン化し、イオン化した試料はプラズマインターフェース部(サンプリングコーンとスキマコーン)を経て質量分析計に導かれる。その質量分析計においては、導かれたイオンの質量分離が行われた後、分離されたイオンを検出する。
このように試料をイオン化するイオン源にアルゴンプラズマを用いると、そのプラズマの中心部分の中心温度が8000〜10000Kにも及び、イオン化ポテンシャルの高いアルゴン等の不活性ガスをはじめほとんどの元素がイオン化される可能性がある。そのため、試料をイオン化する際に分析に不要な成分(例えば、空気中の酸素、窒素等)もイオン化し、分析する元素(質量)によっては不要な成分(分析対象の元素とほぼ同じ質量数の多原子又は分子イオン)が干渉(妨害)し、バックグラウンドの上昇を引き起こす。
この干渉を引き起こすイオンの生成を抑制するため、プラズマを生成・維持するために印加される高周波の出力(電力)を下げるとともに、試料の溶液をプラズマ冷却媒体として利用することで、プラズマの中心温度を約5000〜6000Kに下げる方法がある。この方法によりアルゴンガスに起因するArOやArN等の妨害イオンの生成を抑制でき、元素分析時のバックグラウンドが減少して高感度な測定が可能となる。
このようなICP−MS装置の高感度化は非常に重要であり、様々な取組みがなされる。その中のひとつに試料をイオン化するプラズマトーチに導入される試料の導入効率を向上させるものがある。
一般的なICP−MS装置では、試料(溶液)がネブライザー等により噴霧され、キャリアガスで搬送可能な粒径のみがスプレーチャンバー等を経由してプラズマトーチに搬送される。一方、粒径が大きくキャリアガスで搬送できない試料は廃液とされる。よって、試料(溶液)の粒径を縮小させてキャリアガスによる搬送効率(導入効率)を向上させるべく、試料(溶液)に超音波を与えて微細な霧にできる超音波ネブライザーを用いることが考えられる。しかし、超音波ネブライザーはSi半導体試料に用いられるフッ化水素酸等に対するフッ酸耐性がないものが多く、更に微小量の試料を安定して霧化できない場合もある。
そのため、通常のネブライザーから導入された試料(溶液)の溶媒を加熱チャンバーで蒸発させ、粒径が小さくなった(脱溶媒して気化した)試料をキャリアガスでプラズマトーチに搬送する加熱気化(溶媒脱離)型の試料導入装置がある。この試料導入装置によればプラズマトーチへ導入される試料の導入効率が向上し、通常のネブライザーにより試料を導入する場合に比べて約10倍、感度が向上する。
特開平05−26803号公報
しかし、試料(溶液)の溶媒を気化させて離脱させる試料導入装置では、溶媒が気化するため、試料の溶液をプラズマ冷却媒体として利用できない。よって、プラズマの中心温度が高温となり、アルゴンガスに起因する妨害イオン(ArOやArN等)の生成を抑制できない。その結果、分析対象の元素とほぼ同じ質量数の多原子又は分子イオン(妨害イオン)の干渉を受ける元素を分析する場合には、別途、ICP−MS装置の質量分解能を向上させる必要が生じる。即ち、加熱気化(溶媒脱離)型の試料導入装置を用いると、試料導入効率の向上と妨害イオンの抑制がトレードオフとなり、その装置特有の試料導入効率が向上するメリットを十分に得られない。
本発明の課題は、加熱により脱溶媒して気化した試料を導入して質量分析する場合でも分析対象の元素に干渉する妨害イオンの生成を抑制できる誘導結合プラズマ質量分析方法を提供する。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の誘導結合プラズマ質量分析方法は、
加熱により脱溶媒して気化した試料を搬送するキャリアガスを流すプラズマトーチに高周波を印加して誘導結合プラズマを点灯し、誘導結合プラズマによりイオン化した試料を質量分析する誘導結合プラズマ質量分析方法において、
高周波の出力を700〜850Wにして、キャリアガスの周囲を流れ、誘導結合プラズマの点灯を補助する補助ガスの流量を1.1〜1.5L/minにすることを特徴とする。
本発明者は、脱溶媒して気化した試料をプラズマトーチに導入すると、その試料がプラズマの冷却媒体として利用できず、プラズマの中心温度が高温となり、分析対象の元素に干渉する妨害イオンが生成される点に着眼した。そして、ICP−MS装置を用いてプラズマの中心温度を下げるべく試行錯誤する中でキャリアガスの周囲を流れ、誘導結合プラズマの点灯を補助する補助ガスの流量と高周波の出力がプラズマの中心温度に強く影響を与えるとの知見を得て精査した。
その結果、誘導結合プラズマの中心に導入されるキャリアガスの周囲を流れる補助ガスの流量がプラズマの中心温度を低下させる一要因となり、更にプラズマを生成・維持する高周波の出力を調整することで分析対象に干渉する妨害イオンの生成を効果的に抑制できるとの結論に到達した。
具体的には、高周波の出力を700〜850Wにし、補助ガスの流量を1.1〜1.5L/minにすることで妨害イオンの生成を抑制し、その影響を低減できる。
本発明の実施態様では、キャリアガスに添加する添加ガスの流量を0.30〜0.45L/minにしてキャリアガスを流すことで効果的に妨害イオンの影響を低減できる。このとき、添加ガスの流量を0.35〜0.40L/minにし、補助ガスの流量を1.2〜1.4L/minにし、高周波の出力を750〜800Wにすると、より効果的に妨害イオンの影響を低減できる。そして、S/N比の向上によりICP−MS装置の検出限界値を向上させ、高感度の誘導結合プラズマ質量分析ができる。
本発明に使用するICP−MS装置における試料導入装置とプラズマトーチの一例を示す模式図。 27Alの質量スペクトルを測定した従来例と実施例のスペクトル図。 56Feの質量スペクトルを測定した従来例と実施例のスペクトル図。 63Cuの質量スペクトルを測定した従来例と実施例のスペクトル図。 従来例における検出下限値(DL値)及びバックグラウンド等価濃度値(BEC値)を示す表。 高周波の出力が1200Wのときのイオンの強度(cps)を1として、高周波の各出力でのイオンの強度比を示したグラフ。 プラズマガスの流量が16.0L/minのときのイオンの強度(cps)を1として、プラズマガスの各流量でのイオンの強度比を示したグラフ。 補助ガスの流量が0.9L/minのときのイオンの強度(cps)を1として、補助ガスの各流量でのイオンの強度比を示したグラフ。 キャリアガスの流量を0.8L/minのときのイオンの強度(cps)を1として、キャリアガスの各流量でのイオンの強度比を示したグラフ。 添加ガスの流量が0.20L/minのときのイオンの強度(cps)を1として、添加ガスの各流量でのイオンの強度比を示したグラフ。 実施例における検出下限値(DL値)及びバックグラウンド等価濃度値(BEC値)を示す表。
図1は本発明の誘導結合プラズマ質量分析法に用いられるICP−MS装置(図示省略)の一部を構成する試料導入装置1とプラズマトーチ2の一例を示す。試料導入装置1からプラズマトーチ2に導入された試料は、プラズマトーチ2の先端部(図示右側)に点灯する誘導結合プラズマでイオン化される。イオン化された試料は、図示しない周知のインターフェース部(サンプリングコーン及びスキマコーン)を通過して質量分析計に導かれ、質量分離がされた後、検出される。
試料導入装置1は、試料(例えば溶液)を加熱して脱溶媒して気化する加熱チャンバー1aと、加熱チャンバー1aとプラズマトーチ2を接続する接続管1bを備える。加熱チャンバー1a内には、脱溶媒して気化した試料(乾燥エアロゾルの試料)を、接続管1bを経由してプラズマトーチ2に搬送するキャリアガス(例えば窒素ガス)が流れる。また、接続管1bの途中にはプラズマトーチ2に向かって流れるキャリアガスの流れに合流するように添加ガス(例えば窒素ガス)がキャリアガスに添加され、キャリアガスとともに添加ガスがプラズマトーチ2に導入される。
プラズマトーチ2は中心管2aと補助管2b(中間管ともいう)と最外管2cを有する三重管構造である。補助管2b(中間管)と最外管2cにプラズマ源となるガスを導入し、最外管2cの先端部(図示右側)外周に巻き付くように配置される同心円状の誘導コイル2dに高周波を印加し、プラズマトーチ2の先端部(図示右側)に誘導結合プラズマを点灯する。点灯した誘導結合プラズマには、中心管2aから試料が導入され、試料がイオン化される。
プラズマトーチ2は、キャリアガス及び添加ガスを流す中心管2aを軸とするように中心管2aの周囲(外部)に中心管2aを覆うように補助管2b、補助管2bの周囲(外部)に補助管2bを覆うように最外管2cが同心円状に配置される。
中心管2aは、一端に接続管1bに接続される接続口と、他端に接続管1b側から流れる乾燥エアロゾルの試料、添加ガス及びキャリアガスを放出する開口を備える。補助管2bは一端に誘導結合プラズマの点灯を補助する補助ガス(中間ガスともいう:例えばアルゴンガス)の導入口と、他端に中心管2aを軸とするように一端側から他端側に向けて中心管2aの外周をらせん状に流れる補助ガスを放出する開口を備える。最外管2cは一端に誘導結合プラズマを生成・維持するためにプラズマガス(例えばアルゴンガス)の導入口を備え、補助管2bを軸とするように一端側から他端側に向けて補助管2bの外周をらせん状にプラズマガスを流す。
プラズマトーチ2の各管2a、2b、2cは、石英ガラス(SiO)又は耐熱ガラス(例えば、SiOとBを混合したホウケイ酸ガラス)製であり、各管2a、2b、2cに流れるキャリアガス、添加ガス、補助ガス、プラズマガスの流量は図示しないコントローラーにより制御される。各管2a、2b、2cに流れる流量としては、例えば、キャリアガスが0.65〜1.00L/min、添加ガスが0.15〜0.50L/min、補助ガスが0.8〜1.5L/min、プラズマガスが14.0〜18.0L/minの範囲で制御される。
また、最外管2cの先端部(図示右側)の外周に巻かれる誘導コイル2dには高周波電源が接続される。誘導コイル2dに高周波を印加することで、最外管2cの先端部を流れるプラズマガス(アルゴンガス)中の原子を衝突させ、ドーナツ状のアルゴンプラズマ(誘導結合プラズマ)を生成する。誘導コイル2dに印加される高周波の出力(電力)としては、例えば、700〜1200Wである。
以上のように構成された試料導入装置1の加熱チャンバー1aに試料(溶液)を導入する。導入された試料は、加熱チャンバー1a内で加熱されて乾燥エアロゾルとなり、キャリアガスと添加ガスとともにプラズマトーチ2に導入される。また、プラズマトーチ2は、最外管2cと補助管2bにアルゴンガスが導入され、かつ、誘導コイル2dに高周波が印加され、プラズマトーチ2にドーナツ状のアルゴンプラズマが点灯する。試料導入装置1からキャリアガス及び添加ガスとともに、乾燥エアロゾルの試料がドーナツ状のアルゴンプラズマの穴部分に導入される。導入された試料はアルゴンプラズマにより励起・イオン化され、図示しないサンプリングコーン、スキマコーンを通過し、周知の質量分離部により質量分離された後、検出されて質量スペクトルが得られる。
本発明の実施態様のように脱溶媒して気化した試料をプラズマトーチ2に導入すると、試料をプラズマの冷却媒体として利用できず、プラズマの中心温度が高温となる。よって、プラズマの熱エネルギーにより分析対象の元素に干渉する妨害イオンの生成が活発となる。本発明者の知見では、誘導結合プラズマの中心に導入されるキャリアガスの周囲を流れる補助ガスの流量がプラズマの中心温度を低下させる一要因となる。更にプラズマを生成・維持する高周波の出力を調整することで、プラズマの中心温度を効果的に低下させ、妨害イオンの生成を効果的に抑制できる。
本発明の効果を確認するために以下に示す実験を行った。
試料導入装置1により試料をプラズマトーチ2に導入する導入条件(キャリアガス及び添加ガスの流量)とプラズマを生成・維持するためのプラズマ設定条件(高周波の出力、補助ガス及びプラズマガスの流量)を変化させ、質量スペクトル及びイオン強度を調べた。
具体的には、検出対象の元素をAl、Fe、Cuとし、1ppbのAlの標準溶液、1ppbのFeの標準溶液及び1ppbのCuの標準溶液を用意し、これらの標準溶液を含む5%硝酸溶液を調製した。調製した溶液を高分解能のICP−MS装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製(ELEMENT2)により、質量分解能4000として測定した。
(従来例)
従来例として、高周波の出力を1200W、プラズマガスの流量を16.0L/min、補助ガスの流量を0.9L/min、キャリアガスの流量を0.80L/min及び添加ガスの流量を0.20L/minとして、27Al(Mass27)、56Fe(Mass56)、63Cu(Mass63)の質量スペクトルを測定した。
図2〜4の左側の図(従来例)に示すように測定した質量スペクトルは、各図の左側に目的とする質量スペクトル(27Al、56Fe、63Cu)が検出され、そのスペクトルに隣接するように、その右側に妨害分子イオンのピークが現れる。図2の27Alの測定に関しては、図示左側から27Al、1215N、1116Oの順に検出される。図3の56Feの測定に関しては、図示左側から56Feと40Ar16Oが検出される。図4の63Cuの測定に関しては、図示左側から63Cuと28Si1619Fが検出される。この中で特に図3の56Feの質量スペクトルは40Ar16Oの巨大なピークが56Feイオンのピークと干渉するのが分かる。また、図5は同じ条件で測定したときのDL値(検出下限値:ブランク試料を繰り返し測定した際のばらつき(標準偏差)の3倍に相当する濃度値)及びBEC値(バックグラウンド等価濃度値)である。
(実施例)
本発明の効果を確認するために、先ず、プラズマトーチ2に印加する高周波の出力と測定されるイオンの強度の関係を調べた。従来例の条件から高周波の出力のみを変えて検出対象の元素のイオン(27Al、56Fe、63Cu)の強度(cps)と妨害イオン(40Ar1116O、28Si40Ar16O、28Si1619F)の強度(cps)を測定した。最初に各種ガスの流量及び高周波の出力を従来例と同じ条件1200Wに設定してイオンの強度を測定した。次に1000Wから50W毎に高周波の出力を下げ、1000〜700Wの範囲で50W毎にイオンの強度を取得した。図6(高周波の出力が1200Wのときのイオンの強度を1としている)に示すように高周波の出力が850W辺りから妨害イオンの強度が減少し始める。特に、800〜750Wで妨害イオンの強度が大幅に減少する。よって、800〜750Wで検出対象の元素のイオンの強度が多少減少していても妨害イオンの干渉(質量干渉)の影響を効果的に低減できる。
次に誘導結合プラズマを生成・維持するプラズマガスの流量と測定されるイオンの強度の関係を調べた。プラズマガスの流量を可変させ、高周波の出力を800Wに固定した以外は、従来例と同様(補助ガスの流量:0.9L/min、キャリアガスの流量:0.80L/min、添加ガスの流量:0.20L/min)にしてイオンの強度を測定した。最初にプラズマガスの流量を従来例と同じ16.0L/minに設定してイオンの強度を測定した。次に16.0L/minを起点に前後0.5L/min毎にプラズマガスの流量を増加又は減少させて、14.0〜18.0L/minの範囲でイオンの強度を取得した。図7(プラズマガスの流量が16.0L/minのときのイオンの強度を1としている)に示すようにプラズマガスの流量を変化させても検出対象の元素のイオンと妨害イオンの強度が分離する最適値が見出せなかった。
次に誘導結合プラズマの点灯を補助する補助ガスの流量と測定されるイオンの強度の関係を調べた。補助ガスの流量を可変させ、高周波の出力を800W及びプラズマガスの流量を16.0L/minに固定した以外は、従来例と同様(キャリアガスの流量:0.80L/min、添加ガスの流量:0.20L/min)に設定してイオンの強度を測定した。最初に補助ガスの流量を従来例と同じ0.9L/minに設定してイオンの強度を測定した。次に0.9L/minを起点に前後0.1L/min毎に補助ガスの流量を増加又は減少させて0.8〜1.5L/minの範囲でイオンの強度を取得した。図8(補助ガスの流量が0.9L/minのときのイオンの強度を1としている)に示すように補助ガスの流量が増加すると妨害イオンの強度が減少する傾向が見られる。特に、補助ガスの流量が1.2〜1.5L/minの範囲で検出対象の元素のイオンのイオン強度を維持したまま妨害イオンの強度が減少する。よって、妨害イオンの干渉(質量干渉)の影響を効果的に低減できる。
次に試料をプラズマトーチ2に搬送するキャリアガスの流量と測定されるイオンの強度の関係を調べた。キャリアガスの流量を可変させ、高周波の出力を800W、プラズマガスの流量を16.0L/min、補助ガスの流量を1.3L/minに固定する以外は従来例と同様(添加ガスの流量:0.20L/min)にしてイオンの強度を測定した。最初にキャリアガスの流量を従来例と同じ0.80L/minに設定してイオンの強度を測定した。次に0.80L/minを起点に前後0.05L/min毎にキャリアガスの流量を増加又は減少させて0.65〜1.00L/minの範囲でイオンの強度を取得した。図9(キャリアガスの流量が0.80L/minのときのイオンの強度を1としている)に示すようにキャリアガスの流量を変化させても検出対象の元素のイオン強度が大きくなり、妨害イオンのイオン強度が小さくなるように分離する最適値が見出せなかった。
次にキャリアガスに添加される添加ガスの流量と測定されるイオンの強度の関係を調べた。添加ガスの流量を可変させ、高周波の出力を800W、プラズマガスの流量を16.0L/min、補助ガスの流量を1.3L/min、キャリアガスの流量を0.80L/minに固定してイオンの強度を測定した。最初に添加ガスの流量を従来例と同じ0.20L/minに設定してイオンの強度を測定した。次に0.20L/minを起点に前後0.05L/min毎に増加又は減少させて0.15〜0.50L/minの範囲でイオン強度を取得した。図10(添加ガスの流量が0.20L/minのときのイオンの強度を1としている)に示すように添加ガスの流量が0.30〜0.45L/minの範囲で妨害イオンの強度が減少した。この範囲において、検出対象の元素のイオン強度が多少減少するが、それ以上に妨害イオンの強度が減少することで、妨害イオンの干渉(質量干渉)の影響を低減できる。
以上のように図6に示す高周波の出力及び図8に示す補助ガスの流量、さらに図10に示すキャリアガスに添加される添加ガスの流量が妨害イオンの干渉(質量干渉)の影響を低減する大きな要因となることが裏付けられる。
図2〜4の右側の図(実施例)は、高周波の出力が800W、プラズマガスの流量が16.0L/min、補助ガスの流量が1.3L/min、キャリアガスの流量が0.8L/min、及び添加ガスの流量が0.35L/minにし、従来例と同じ5%硝酸溶液をICP−MS装置(質量分解能4000)で測定した質量スペクトルである。バックグラウンドが改善され、妨害イオンが抑制されることがみてとれる。また、図11は同じ条件で測定したDL値及びBEC値を示し、図5に示す従来例よりも改善される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 試料導入装置 1a 加熱チャンバー
2 プラズマトーチ 2a 中心管
2b 補助管 2c 最外管
2d 誘導コイル

Claims (3)

  1. 加熱により脱溶媒して気化した試料を搬送するキャリアガスを流すプラズマトーチに高周波を印加して誘導結合プラズマを点灯し、前記誘導結合プラズマによりイオン化した前記試料を質量分析する誘導結合プラズマ質量分析方法において、
    前記高周波の出力を700〜850Wにし、前記キャリアガスの周囲を流れ、前記誘導結合プラズマの点灯を補助する補助ガスの流量を1.1〜1.5L/minにすることを特徴とする誘導結合プラズマ質量分析方法。
  2. 前記キャリアガスに添加する添加ガスの流量を0.3〜0.45L/minにして前記キャリアガスを流す請求項1に記載の誘導結合プラズマ質量分析方法。
  3. 前記添加ガスの流量を0.35〜0.40L/minにし、前記補助ガスの流量を1.2〜1.4L/minにし、前記高周波の出力を750〜800Wにする請求項2に記載の誘導結合プラズマ質量分析方法。
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