JPH0695933B2 - 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法 - Google Patents

担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法

Info

Publication number
JPH0695933B2
JPH0695933B2 JP63257855A JP25785588A JPH0695933B2 JP H0695933 B2 JPH0695933 B2 JP H0695933B2 JP 63257855 A JP63257855 A JP 63257855A JP 25785588 A JP25785588 A JP 25785588A JP H0695933 B2 JPH0695933 B2 JP H0695933B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
medium
mycelium
low temperature
starch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63257855A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02104278A (ja
Inventor
璋 山崎
Original Assignee
璋 山崎
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 璋 山崎 filed Critical 璋 山崎
Priority to JP63257855A priority Critical patent/JPH0695933B2/ja
Publication of JPH02104278A publication Critical patent/JPH02104278A/ja
Publication of JPH0695933B2 publication Critical patent/JPH0695933B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、きの子類が属する担子菌や、酵母類が属す
る子嚢菌の菌糸体培養法に関する。
〔従来の技術〕
近年、シイタケやヒラタケ、ナメコ、イノキタケ等の食
用きの子ばかりでなく、マンネンタケ、カワラタケ、コ
フキサルノコシカケ等の所謂制ガンきの子も栽培される
ことになり、その需要が大きいことから、これら担子菌
類の能率的な菌糸体培養法の開発が進められている。
担子菌類の培養は、培養槽に液体培地を入れて殺菌し、
その液体培地に担子菌類の種菌を植え付け、菌に適した
温度に保温し撹拌しながら好気的条件下で行なわれる。
液体培地の成分には材料として種々のものが用いられる
が、澱粉、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等の混合成
分が一般的であって、培養中はそれらが停滞しなように
撹拌がなされる。培養温度は一般的に25℃〜33℃であっ
て、培養日数は菌の種類によって異なり、例えばヒラタ
ケ菌では4〜8日、シイタケ菌では8〜13日、カワラタ
ケ菌では6〜8日である。
また、子嚢菌としての酵母には、例えばアルコール酵
母、清酒酵母、ビール酵母、パン酵母等があり、その種
類は多様であるが、一般的にその培養法は、澱粉を主成
分とする液体培地に酵母菌を植え付け、25℃〜33℃の温
度で撹拌しながらなされる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のように、従来の担子菌類や子嚢菌類の菌糸体培養
法においては、培地の好気的環境を得るために撹拌培養
が行なわれるので、撹拌時に他の雑菌が培地に侵入しや
すく、雑菌の侵入が原因で奇形のきの子が発生したり、
品質不良の酒が出来ることがあった。
また、澱粉は水に溶け難くその溶解度は7重量%程度を
限度とする。植物の最終生産物は普通は澱粉であり澱粉
が利用できれば良いが、バイオの場合は水中に溶けてい
るべきものが約12%位ないと菌体を100%固化ができな
い。しかも水分の量を考慮すると15〜18重量%必要であ
って、澱粉の可溶限度7%位をはるかに超えるので菌体
を良好に固化するためには澱粉は使用不能となる。ま
た、可溶限度7%の範囲内においても、澱粉の率が多く
なるに従って保水性が不良となり培地の液性を保持し難
くなる等の問題があった。
この発明は、上記のような実情に鑑みて、菌糸体の培養
においては、培地を必ずしも撹拌する必要がないために
無菌培養に適し、また培地の成分として澱粉を多量に仕
込んでもそれが菌糸体の増殖に利用されやすく、しかも
培地が安定しているために、培地に対する菌の収穫量が
多くなる菌糸体の培養法を提供することを目的としたも
のである。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、種々実験を重ねた結果、この発明者等が先に独
自に開発した培地を用い、それに遠赤外線を照射するこ
とにより上記目的を達成できることを見い出しこの発明
を完成するに至った。
すなわち、この発明の構成は、可溶性澱粉10〜25重量
%、尿素2〜6重量%、液体肥料2〜5重量%からなる
水性液体培地を用い、この水性液体培地に担子菌または
子嚢菌の胞子菌または菌糸を植え付け、培地に遠赤外線
照射体シートを使用して低温で遠赤外線を照射しながら
培養し、その培養液を低温乾燥することをその要旨とす
る。
また、このようにして得られた培養液を低温減圧乾燥ま
たは凍結乾燥することによって、低温乾燥した目的物を
得ることができる。
〔作用〕
可溶性澱粉は、例えば馬鈴薯澱粉や甘藷澱粉等を原料と
し、それを酸で加水分解したもので、単なる澱粉とは異
なる特性を有する。つまり、弱酸性を呈し熱水に完全に
溶けて溶解率も極めて高く安定した物質である。また尿
素は、優れた保水性と液性変化を抑制する安定化作用が
あり、しかも他の窒素源化合物よりも吸収率が高いの
で、窒素源の補充としては最適な化合物である。そし
て、遠赤外線の照射によりこの溶解率や保水性、液性の
保持能力が向上させられ、また培養液を活性化するため
に撹拌が不要となり、しかも低温においても培養が進行
する。
培地に対する可溶性澱粉の濃度は、10%以下であると培
地に対する菌糸体の収穫量を多く望めなく、この発明の
目的に適合しなくなり、また25%以上であると培地が安
定し難くなる。
また、遠赤外線は、セラミック製照射体を用いて照射さ
れるが、5μ〜14μの波長のものが効果的であって、そ
のような波長の照射体は、シリコン、アルミナ、ジルコ
ニア等を主成分とするセラミック材料を使用することが
望ましく、常温において5μ〜14μの波長の遠赤外線を
発生する。
ちなみに、遠赤外線は、ここ数年において高温で発生す
るものばかりでなく、低温で発生するものが、食品の保
鮮や熟成、さらには人体の健康増進に効果があることで
注目されている。例えば、2枚の透明なプラスチックシ
ートの間にセラミックの微粉末の層をサンドイッチした
遠赤外線の照射体シートを近づけておくと、それを加熱
しないにもかかわらず、「ウイスキーが美味しくな
る」、「ごはんが美味しく炊き上がる」、「刺身の鮮度
が長時間変わらない」、「肉が柔らかく焼き上がる」、
等のことが経験的に知られている。
遠赤外線のこのような効果が現われるメカニズムについ
ては研究が余り進んでいないこともあって不明な点が多
いが、次のように説明されている。
物質は全て分子で構成され、その分子構造は原子の質量
および構造上の集合や配列の状態、さらに個々の結合力
等の違いにより、個別に特有の振動数および周波数を持
っている。そこで、ある振動数を持った遠赤外線が、そ
れと同じ振動数を持った分子に照射された場合、その分
子は遠赤外線のネルギーを吸収して激しく振動し、この
共振によって様々な作用が引き起こされる。
この発明は正にこの共振作用に注目し、これを撹拌の代
用として考えて見たものである。少なくとも食品、医薬
品として口に入れるものは、微生物であればなおさら汚
染に対して気を付けなければならないからである。しか
も、大量に継代培養を続ける必要から、外部からの微生
物の侵入や繁殖を極力防止する必要がある。そして、前
記の遠赤外線照射体シートを使用した場合、恒温6〜12
℃の冷蔵庫内でも2〜4日程度で培養が完成する。
冷蔵庫の中は予め殺菌しておくことにより無菌に近い状
態に保持できるので、培地への雑菌の侵入の予防に適す
ることはもちろん、培養期間中は培地が冷温に保持され
るため、雑菌の繁殖が抑制される。冷温においても担子
菌や子嚢菌の菌糸は、遠赤外線の照射により共振作用で
発生した熱エネルギーを吸収することにより増殖する。
〔実施例〕
可溶性澱粉(商品名スタピローズS)150g、尿素45g、
液体肥料45mlをそれぞれ計量し、セラミック剤を吹き付
けた容量2lのホウロウ鍋(大阪高木金属工業株式会社
製)を容器としてそれに入れ、70〜80℃に加温した1000
mlの湯に充分溶かし粒子がなくなるまで均一に撹拌す
る。そうすると白色乳状の液になるので、さらに撹拌を
続けると透明な白色の液となる。そこで、冷却し、カワ
ラタケの種菌を植え付けてから、さらに8〜12℃に冷却
し、容器の上部をガーゼで被覆し、さらにその上に遠赤
外線の照射シート(昭和パッケージ工業株式会社製)を
重ねて蓋をする。
これをそのまま3日間冷蔵庫において8〜12℃の温度に
保冷しておくと、菌糸体が固化しているので、そのまま
低温減圧乾燥して製品とした。
また、培養したカワラタケの菌糸の一部を次の培養に使
用し、同様の培養法により同様に培養することができ
た。
このように継代培養ができるため、原材料が少量で良
く、種菌そのものを選別でき、品質、純度、効能の高い
ものが大量に安価に提供できる。
また、可溶性澱粉を使用することにより11倍の収量とな
り、しかも従来は澱粉の大部分が培地に残ったのに対し
て、この実施例の場合であると、全く残らなく100%近
く商品として利用されたことになる。
したがって、自然のものが品不足のため、子実体ならな
んでも集めなければならない現状のカワラタケの菌糸体
の培養法には最適である。
なお、液体肥料については、商品名;大正園芸肥料であ
って、成分として窒素5w/v%、リン酸8w/v%、カリ7w/v
%、微量要素としてマグネシウム、ホウ素、マンガン、
鉄、銅、亜鉛、モリブデンを配合したものを使用した。
また、培養後の固化した菌糸体を低温減圧乾燥すること
なく、固化した生のままの状態(チーズ様の固さ)でア
ルミホイル等で包装し、オーブン又は電子レンジなどで
70〜80℃位に加熱して食用とすることができる。
更に、調理用添加物(調味料)として使用するときは、
70〜80℃位で乾燥し、粉末にするとよい。
このように70〜80℃に加熱した場合は、ビタミンD2が合
成される。加えて、蛋白質が酵素分解により、きの子独
特の味を示すグアニル酸などの旨味成分に変化するの
で、蛋白質が52%も含まれている本発明品にあっては、
非常な珍味が得られる。
なお上記加熱は、熱湯で処理しても70〜80℃で10分間以
上処理すればよいので、本実施例の如き低温減圧乾燥品
でも、また凍結乾燥(フリーズドライ)品であっても、
調理用添加物としては充分に利用できるものである。
〔他の実施例〕
他のきの子類や酵母の菌糸体についても、上記と同じよ
うな方法で同じく有効に培養することができる。
カワラタケの場合、培養温度は8〜12℃であったが、他
のきの子類については次の温度条件が適当である。
シイタケ、冬虫夏草 8〜10℃ マツタケ 8〜12℃ レイシ、ブクリヨウ、シメジ 10〜12℃ また、前記実施例の場合について、培養日数は2〜5日
であるが、安定剤として砂糖を使用すると、培養日数は
1日に短縮され、収量は約170g/lである。しかも培地は
固化し、これ以上の収穫量は望めない程に成分が100%
近く利用された。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、担子菌類や子
嚢菌類の菌糸体の培養において、その培養中において撹
拌する必要がないので、撹拌を原因とする雑菌の侵入を
防止でき、しかも低温による培養であるので、この点で
も雑菌の侵入や繁殖が防止される結果、食品や医薬品に
使用するのに適した高純度、高品質の製品を生産するこ
とができ、また、短い日数で培養が完了するばかりか、
格段に多収穫が得られ、しかも継代培養に適する等、量
産上優れた効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/14 C12R 1:645)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可溶性澱粉10〜25重量%、尿素2〜6重量
    %、液体肥料2〜5重量%からなる水性液体培地を用
    い、この水性液体培地に担子菌または子嚢菌の胞子菌ま
    たは菌糸を植え付け、培地に遠赤外線照射体シートを使
    用して低温で遠赤外線を照射しながら培養し、その培養
    液を低温乾燥することを特徴とする担子菌または子嚢菌
    の菌糸体培養法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の培養液を低温減圧乾燥する
    ことを特徴とする担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の培養液を凍結乾燥すること
    を特徴とする担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法。
JP63257855A 1988-10-13 1988-10-13 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法 Expired - Lifetime JPH0695933B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63257855A JPH0695933B2 (ja) 1988-10-13 1988-10-13 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63257855A JPH0695933B2 (ja) 1988-10-13 1988-10-13 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02104278A JPH02104278A (ja) 1990-04-17
JPH0695933B2 true JPH0695933B2 (ja) 1994-11-30

Family

ID=17312103

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63257855A Expired - Lifetime JPH0695933B2 (ja) 1988-10-13 1988-10-13 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0695933B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999024555A2 (en) * 1997-11-10 1999-05-20 Dschida William J A Fungal cell wall production and utilization as a raw resource for textiles
NZ538183A (en) * 2002-07-16 2007-02-23 Abr Llc Formulation comprising a sterilised culture filtrate recovered from fungal spawn aka peat moss, carbohydrate, potassium ions and carotene used to grow plants
JP2006254893A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Takashi Miyake 針葉樹さるのこしかけ培養液

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5817440Y2 (ja) * 1978-08-10 1983-04-08 株式会社八光電機製作所 培養皿
JPS6363314A (ja) * 1986-09-02 1988-03-19 大地物産株式会社 霊芝栽培方法
JPS6398318A (ja) * 1986-10-15 1988-04-28 大地物産株式会社 食用茸類の原木栽培方法
JPS6398321A (ja) * 1986-10-16 1988-04-28 大地物産株式会社 椎茸菌種駒及びその製造方法
JPS63116624A (ja) * 1986-11-05 1988-05-20 大地物産株式会社 食用茸類のボトル栽培方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02104278A (ja) 1990-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019513402A (ja) 菌糸体処理された高タンパク質食品組成物の生産のための方法及び使用
WO2009074004A1 (fr) Procédé destiné à la préparation d'un vin de santé à base de cordyceps
AU2014207955B2 (en) Process of producing a lactate ferment
CN104649816A (zh) 一种茶树菇专用培养基
KR20200091788A (ko) 발효된 곡물 분말 및 버섯 배지를 이용하여 균사체 분말을 제조하는 방법
JP2012060974A (ja) キノコの人工栽培方法、及びガノデリン酸類の製造方法
Wang et al. Nutritional value and volatiles of the edible mushroom Leucocalocybe mongolica
JPH0695933B2 (ja) 担子菌または子嚢菌の菌糸体培養法
JP3544921B2 (ja) キノコを原料とした酢
US4369253A (en) Growth promoting method for basidiomycetes
JP3790453B2 (ja) 藻類を用いたシママンネンタケの効率的な培養方法
KR20010103256A (ko) 모나스쿠스속 균류에 의해 발효된 곡물을 포함하는 다류의제조방법
KR0136838B1 (ko) 소 혀 버섯의 자실체 생육방법
KR20160087509A (ko) 느타리버섯의 재배방법 및 배지조성물
KR20030072417A (ko) 버섯 균사체와 균사배양액 유래의 기능성 다당류의 추출법및 추출물을 이용한 기능성 차 또는/및 식품의 제조방법
KR890003066B1 (ko) 표고 균사체의 인공배양과 음료화 방법
CN109730293A (zh) 一种食用菌高产鲜味物质、提取方法及其应用
JPS6214759A (ja) 食品素材の製造方法
KR100384150B1 (ko) 바나나 농축액을 배지로 한 버섯균사체의 생산방법
JPH06343415A (ja) 強化食酢の製造法
CN102283009A (zh) 用于培养冬虫夏草的培养基、冬虫夏草人工培育方法及冬虫夏草产物
KR20060110435A (ko) 톱밥과 원목을 이용한 꽃송이버섯의 인공 재배방법
KR20200106660A (ko) 표고버섯 균사체 및 꽃송이버섯 균사체를 포함하는 막걸리의 제조방법 또는 이에 의해 제조된 막걸리
JP2759409B2 (ja) カンゾウタケの栽培方法
Bechara et al. Cultivation of Agaricus bisporus and Agaricus blazei on substrates composed of cereal grains and oilseeds

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term