JPH0694385B2 - セラミックス成形物およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス成形物およびその製造方法

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JPH0694385B2
JPH0694385B2 JP1098529A JP9852989A JPH0694385B2 JP H0694385 B2 JPH0694385 B2 JP H0694385B2 JP 1098529 A JP1098529 A JP 1098529A JP 9852989 A JP9852989 A JP 9852989A JP H0694385 B2 JPH0694385 B2 JP H0694385B2
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宗之 岩渕
健 福田
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はセラミックスの泥漿を用いて成形されたセラミ
ックス成形物、およびその製造方法に関する。
(従来技術) 近年、ファインセラミックスの粉体を原料とするセラミ
ックス成形体においては金属材料、有機材料からなる成
形物に比して優れた機械的、化学的、熱的特性が注目さ
れ、各種の分野でその用途開発がなされている。
しかして、セラミックス成形物において機械的、熱的特
性を向上させるには、均質かつ緻密で微細な結晶構造を
持つ焼結体であることが要求され、これに対処するには
セラミックス原料が均質かつ微細であることが必要であ
り、これに伴いセラミックスの原料のより一層の微粉末
化が要求される。
一方、伝統的なセラミックスの成形法の一つとして泥漿
鋳込成形法を代表例とする泥漿を用いた泥漿成形法があ
り、当該成形法は大型の構造、複雑な構造のセラミック
ス成形物の成形に適し、その重要性が再認識されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) このように、セラミックス成形物の機械的、熱的特性を
向上させるにはセラミックス原料の微粉末化が必要であ
るが、セラミックス成形物を成形する面からすれば原料
が微粉であるほどその成形が難しい。特に、泥漿成形法
においては、セラミックス原料が微粉であるほど下記の
理由により内部欠陥の少ない比較的均一な成形体を得る
ことが難しい。
(a)一般に、泥漿鋳込成形法においては、セラミック
ス粉末に有機結合剤(解膠剤、結合剤)および水を加え
て泥漿化し、この泥漿を石膏、樹脂等からなる鋳込用型
に鋳込んで成形するものであり、鋳込みに先立って成形
体中に気孔等による内部欠陥の発生を防止するために、
泥漿は脱気等の前処理に付される。しかしながら、かか
る方法により成形された成形体を乾燥、焼成しても高密
度、強度等の特性が十分に発現されない。特に、プレス
成形にて得られた焼結体と比較した場合には強度特性が
劣り、鋳込成形にて得られた焼結体では5〜20%の特性
劣化が認められる。この特性低下の原因は、鋳込成形時
泥漿中の水分が鋳込型に吸収されて成形体として固化す
る際、および乾燥工程において原料粒子間に存在する水
分が飛散した際に、成形体内部に微細な気孔が内部欠陥
として残存するためと推定される。
(b)泥漿鋳込成形法においては、離型時、乾燥時成形
体は収縮等により切れ、クラック等の損傷を発生させや
すい。特に複雑かつ肉厚差の大きい大型の成形体になる
ほど成形体の密度は不均一になりやすく、密度差に起因
して成形体の固化、乾燥時の収縮率が異なり切れ、クラ
ック等の損傷が発生しやすい。
(c)鋳込成形体は有機結合剤を多く使用した場合には
仮焼されることが多いが、この場合添加した有機結合剤
の燃焼によるガス発生時に成形体に切れ、クラック等の
損傷が発生しやすい。特に、セラミックス原料が微粉に
なるほどその傾向が強い。
以上の事項は鋳込成形以外の泥漿成形、例えばドクター
ブレード、コーティング等の成形法においてもほぼ該当
するものである。
従って、本発明の目的はたとえ大型、複雑な構造であっ
ても機械的、熱的特性の優れた実質的に無孔質のセラミ
ックス成形物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明はセラミックス成形物およびその製造方法に関
し、本発明に係るセラミックス成形物は、セラミックス
の微粉体を凝集して形成されかつ泥漿用媒体に対する親
和性物質を含有する造粒体を原料とする泥漿を用いて成
形しかつ焼成してなるセラミックス成形物であり、当該
成形物は実質的に無孔質で均一な緻密構造を有してい
る。
また、本発明に係るセラミックス成形物の製造方法は、
セラミックスの微粉体を凝集して形成された造粒体を原
料とする泥漿を用いて成形しかつ焼成してなるセラミッ
クス成形物の製造方法であり、その第1の方法は前記造
粒体として泥漿用媒体に対する親和性物質を含有する造
粒体を採用し、成形後乾燥された成形体を焼成に先立っ
てアイソスタティックプレスに付すことを特徴とし、そ
の第2の方法は上記第1の方法において、乾燥された成
形体を焼成またはアイソスタティックプレスに先立って
仮焼することを特徴とするものである。
(解決手段の説明) 泥漿用媒体は一般に水またはアルコールであり、従って
親和性物質としては一般に親水性物質であって、具体的
には以下の親水性基を持つ有機化合物、Y2O3等の希土類
金属化合物、MgO,CaO等の土類金属化合物、水ガラス、
木節粘土等親水性無機物質を挙げることができる。
−COOH,−OOH,−CSOH,−SOH,−CSSH,−SO3H,−SO2H,
−SOH,−COOM*1,−OOM*1,−CO−O−CO−,−COOR
*2,−COX*3,−OX,−CONX2,−ONH2,−CO-NHNH2
−CONHCO,−C(NH)NH2,−C=N,−NC,−OCN,−NCO,−SC
N,−NCS,−CHO,−OH,−CHS,−SH,−OOH,−NH2,=NH,−
NH4,−NHNH2,−OR*2,−O2R*2(但し、*1:M=金
属、*2:R=アルキル基、*3:X=ハロゲン、シアン、ア
ジド) 本発明における造粒体はZrO2、Al2O3、その他のセラミッ
クスの微粉体を親和性物質とともに凝集して造粒したも
ので、造粒法としては下記の公知の方法を採用すること
ができる。すなわち、(1)加湿した粉体に転動作用を
付与して球形粒子に凝集させる転動式造粒法、(2)原
料粉体の一定量を一定の大きさ、形状に圧縮成形して粒
状物を作る圧縮造粒法、(3)粉体を流動化させてこれ
にスプレーノズルから液を噴霧し粒子表面を液コーティ
ングして造粒する流動層造粒法、(4)スラリーを加圧
型ノズルまたは2流体ノズルを用いて微粉化し造粒塔内
で空冷固化して球状造粒物を得る噴射造粒法、(5)原
料粉体をスラリー化して噴霧乾燥すると同時に造粒する
噴霧乾燥造粒法等を採用し得る。
これらの造粒法においては噴霧乾燥造粒法、流動層造粒
法が好ましい。また、造粒体の形状は特に限定されるも
のではないが球状が好ましく、かつ平均粒子径は10〜10
00μm特に20〜100μmのものが好ましい。平均粒子径
が10μm未満の場合には鋳込成形時の着肉時間が長くな
り、かつ内部の固化が遅くて均一な成形体が得られな
い。また、乾燥時、仮焼時の水分の飛散や発生ガスの飛
散が不充分となる。一方、平均粒子径が1000μmを越え
る場合には泥漿の調整が難しく、成形が行えなくなる。
本発明の泥漿はかかる造粒体を原料とし、一般には有機
結合剤を添加して調製され、泥漿成形に供される。泥漿
成形された成形体は乾燥され、乾燥された成形体をアイ
ソスタティックプレスまたは焼成に先立って仮焼に付さ
れ、かかる製造方法により実質的に無孔質で均一な緻密
構造を有するセラミックス成形物が得られる。
(発明の作用・効果) 造粒体は粒径が大きくて沈澱し易いことから、常法にて
造粒した造粒体を用いて泥漿成形に適した安定な泥漿を
得ることは難しいが、本発明の造粒体はその内部または
内外両部に媒体に対する親和性物質を有しているため、
同親和性物質が媒体を吸着して造粒体の表面に媒体の層
を形成させる。従って、本発明に係る造粒体は媒体中で
の分散性に優れ、同造粒体により泥漿成形に適した安定
な泥漿を得ることができる。
従って、粒径が大きい造粒体を原料としかつ極めて安定
な泥漿を用いる泥漿成形においては、成形体の可塑性が
増大し複雑かつ肉厚差のある成形体であっても未着肉部
の発生や離型時の切れ等の損傷の発生が少ない。また、
成形体内での粒子間の間隙が比較的大きいために、乾燥
時成形体内の水分が蒸発飛散され易く、水分の蒸発飛散
に伴う収縮量が少ないため、乾燥時の成形体の切れ、ク
ラック等の損傷が少ない。仮焼を必要とする成形体にお
いても、成形体内での粒子間の間隙が比較的大きいこと
から有機結合剤の燃焼により発生するガスが飛散し易
く、ガス発生に起因する切れ、クラック等の損傷の発生
も少ない。
従って、かかる成形体は内部欠陥の皆無または極めて少
ないものとなり、かかる成形体をアイソスティックプレ
スに付すことにより、同成形体は同プレス工程にて全面
から等軸加圧されて造粒体相互の粒子間隙を消失して強
固に結合され、これを焼成して得られるセラミックス成
形物は機械的、熱的特性にすぐれたものとなる。
(実施例) 本実施例においては各種の泥漿を調製し、各種の泥漿の
成形性および各種の成形体を焼成してなる成形物の熱処
理前後の強度を測定した。
(1)泥漿用原料(造粒体:平均粒子径50μm) 原料粉体:平均粒子径0.4μm) a1:3mol%のY2O3を含有するZrO2 a2:Al2O3 a3:ZrO2 添加物質: b1:ポリカルボン酸NH4(親水性)、添加量(添加物 wt/原料粉体wt…以下同じ)=1/100 b2:木節粘土(親水性)、添加量=2/98 b3:Y2O3(親水性)、添加量…a3(ZrO2)に対して のみ添加、添加量は3/97(mol%) b4:MgO(親水性)、添加量=0.1/100 b5:CaO(親水性)、添加量=0.5/100 b6:ポリビニルアルコール(熱処理…非親水性) 、添加量=1/100 b7:ワックス(エマルジョンタイプ…非親水性) 、添加量=1/100 造粒方法 c1:噴霧乾燥造粒法 c2:流動層造粒法 c3:未造粒 (2)泥漿の調製 各種の造粒体(平均造粒径50μm)と水を用い、解膠剤
(ポリカルボン酸NH4、1wt%)、保形剤(メチルセルロ
ース1wt%)、消泡剤(0.05wt%)を添加して真空混練
機にて泥漿を調製した。泥漿濃度は65wt%である。
(3)鋳込成形 各種の泥漿を原料として第1図に示す上下両型1,2から
なる鋳込用テスト型を用いて5kg/cm2の圧力にて加圧鋳
込成形を行った。
(4)成形後の処理 成形体を温度80℃以下、湿度60%以上の恒温恒湿の条件
下で乾燥を開始し、漸次温度を下げて乾燥した。乾燥後
各成形体に対してd1またはd2の処理を施した。
d1:アイソスタティックプレス→焼成 d2:焼成 なお、アイソスタティックプレスを施す際には成形体に
ラテックスを塗布して乾燥し成形体の全面をゴム膜にて
被覆し、次いで1200kg/cm2の圧力にてプレスする。その
後成形体を酸化雰囲気(ZrO2)、還元雰囲気(Al2O3
にて1400℃で焼成した。
(5)試験 d1,d2処理にて得られた第2図に示す形状の成形物eに
ついて大きさの中心部e1と外周部e2のサンプルを切出
し、同サンプルの熱処理前後の曲げ強度をJISR1601の4
点曲げ試験法にて測定した。この結果を第1表に示すと
ともに、判定基準としてプレス成形法にて得たサンプル
の曲げ強度の値を示す。なお、熱処理はオートクレープ
内で250℃飽和水蒸気圧中で行い、熱処理時間はAl2O3
ついては500時間、ZrO2については250時間である。
(6)結果 第1表から明らかなように、親水性物質を含む造粒体を
泥漿用原料としかつ泥漿中に解膠剤を添加して鋳込成形
してなる成形体を焼成に先立ってアイソスタティックプ
レスしたものについては、熱処理前、熱処理後の強度共
にプレス成形物と同等のものが得られる。これに対して
親水性物質を含まない造粒体を泥漿用原料とした場合
(試験No5,No6,No13,No27,No28,No34)、鋳込成形によ
り成形体を形成することができない。なお、親水性物質
を含む造粒体を泥漿用原料とした場合においても泥漿中
に解膠剤を添加しない場合には、親水性物質の種類によ
っては鋳込成形が不可能な場合がある(試験No9,No10,N
o31,No32,No49)。また、泥漿用原料として未造粒の粉
体を用いた場合(試験No20,No21,No40,No41,No51,No5
2)、熱処理前、熱処理後の強度共に低く、特に熱処理
後は崩壊するものが多い。
(実施例2) 実施例1における原料である平均粒子径0.4μm、0.8μ
mのものを採用するとともに造粒体の平均粒子径を50μ
m、100μmとし、実施例1と同様にしてセラミックス
成形物を得た。但し、仮焼を施した場合の仮焼条件は酸
化雰囲気で500℃である。得られた成形物の熱処理前、
熱処理後の強度を第2表に示す。
第2表から明らかなように、造粒体の造粒径を50μmか
ら100μmに変更しても焼結体の強度に大きな影響はな
く、またアイソスタティックプレスに先立って仮焼した
場合には強度が若干低下することが認められる。仮焼に
より強度が低下する理由は添加剤の焼失により成形体中
の粒子間の潤滑性が低下し、アイソスタティックプレス
による粒子の充填が若干不充分となり、微小な欠陥が発
生するためと推定される。
焼結体の強度は原料の粒子径が小さい程、大きく、Zro2
(a1)の粒子径が0.8μmと大きくなると熱安定性のみが
悪くなる(No70〜No74,No80〜84,No102〜No104,No108〜
No110)。Al2O3(a2)を原料とする場合はZro2(a1)に比較
してその強度が約50%であるが、逆に熱安定性には優れ
ていて原料の粒子径が0.8μmと大きな場合(No75〜No7
9,No85〜No89,No105〜No107)においても、熱処理後の
崩壊は認められない。なお、その他の結果については実
施例1と同様である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例に用いた鋳込み型の縦断面、第2図は成
形物側面図である。 符号の説明 1……上型、2……下型、e……成形物。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックスの微粉体を凝集して形成され
    かつ泥漿用媒体に対する親和性物質を含有する造粒体を
    原料とする泥漿を用いて成形しかつ焼成してなるセラミ
    ックス成形物であり、当該成形物は実質的に無孔質で均
    一な緻密構造を有していることを特徴とするセラミック
    ス成形物。
  2. 【請求項2】セラミックスの微粉体を凝集して形成され
    た造粒体を原料とする泥漿を用いて成形しかつ焼成して
    なるセラミックス成形物の製造方法であり、前記造粒体
    として泥漿用媒体に対する親和性物質を含有する造粒体
    を採用し、かつ成形後乾燥された成形物を焼成に先立っ
    てアイソスタティックプレスに付すことを特徴とするセ
    ラミックス成形物の製造方法。
  3. 【請求項3】第2項に記載の製造方法において、乾燥さ
    れた成形物を焼成またはアイソスタティックプレスに先
    立って仮焼することを特徴とするセラミックス成形物の
    製造方法。
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