JPH0694348B2 - ラチスマスト型クレーン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はラチスマスト型クレーンであつて、このラチス
マスト型クレーンの、複数の構成部材に分解可能なブー
ムが尖端片を有しており、この尖端片が昇降ロープのた
めに少なくとも１つの変向ローラを有するブームヘツド
に剛性結合されている形式のものに関する。

かさばつた貨物をクレーンを用いて、傾斜して配置され
たブームによつて持上げる場合に、貨物はブームに当接
してはならない。この条件は貨物を所定の高さにまで持
ち上げたい場合には、例えばブームを適当に伸長させる
ことによつて満たされる。しかしながらこのような手段
によつては伸長片とその組付けに著しい費用がかかるば
かりではなく、クレーンの支持能力も減少させられる結
果となる。

従来の技術 ドイツ連邦共和国特許出願公開第2807415号明細書から
はブームの尖端部に、折曲げ可能な補助ブーム（尖端ブ
ーム）を取付けることが公知である。この補助ブームに
よつては昇降ロープの、引掛けられた貨物の荷重がかか
る方向で見て第１の変向ローラをブームの軸線から離す
ことによつてブームの長さが短かくても当接することな
しにかさばる貨物も持上げることができる。この場合の
欠点は支持能力が著しく制限されるか又は尖端ブームを
相応に補強するために多大な構造的手間が必要とされ、
ひいては著しい製作費用がかかることにある。

この目的のためにはブームの尖端にハンマヘツド（つち
形クレーンのヘツド）を取付けることも公知である。こ
のハンマヘツドによつては尖端ブームと同じように昇降
ロープのための第１の変向ローラがブームの軸線から離
される。このハンマヘツドは通常の場合にはクレーンの
支持能力を制限する度合いは尖端ブームにおけるよりも
僅かである。しかしながらこのような公知の手段は、ハ
ンマヘツドを使用したい場合にはその都度著しい取付け
の手間がかかり、しかもこのハンマヘツドを取付けるた
めに適合する受容装置が必要とされる。それ故に、最初
から特別にハンマヘツドの使用に合わせて設計されてい
ないクレーンのブームにこのようなハンマヘツドを配置
することは手間のかかる構造上の変化なしでは不可能で
ある。その上、大きい支持能力を有する従来のハンマヘ
ツドは著めて大きな構成部材であつて、貯蔵時及び使用
場所への搬送時にかなり多くのスペースを必要とし、ひ
いては生産費を上回る程の別の著しい費用を必要とする
ことになる。

発明が解決しようとする問題点 それ故に本発明の課題はブームを伸長させることなしに
貨物をブームに当接させないでかさばる貨物を持上げる
ことができるように簡単な手段で、かつ、多くの手間を
かけないで使用ケースに応じて調整することができるよ
うに、ラチスマスト型クレーンを改良することにある。
同時にクレーンの支持能力に可能な限り僅かにしか影響
を与えず、しかも本発明の形式によるこの組立てを、現
在使用しているクレーンにおいても著しい手間をかける
ことなしに実施することができるようにしたい。

問題点を解決するための手段 この課題は本発明によれば特許請求の範囲第１項に記載
した特徴を有する、ラチスマスト型クレーンによつて解
決された。

本発明は課題の解決を目的として、ハンマヘツドによつ
てブームの上側部分にかけられる付加的な力を吸収する
ことができるように、公知構造に較べて簡単に組立てる
ことができ、かつ、現在使用しているラチスマスト型ク
レーンも構成部材を変える必要のないハンマヘツドを使
用するという思想から出発している。このために本発明
によればまず、ブームヘツドとブームの尖端片との間に
中間片が配置される。この中間片は高い強度を有する扁
平な箱形構造体として構成されており、その横断面は尖
端片の横断面に相応している。この中間片にはハンマヘ
ツドの主要部材がそれぞれブームの軸線に対して直角な
軸線を中止として、有利にはピン結合部材を介して回転
運動可能に支承されているので、ハンマヘツドによつて
かけられる押圧力は問題なく吸収されることができる。
このハンマヘツドを可能な限り万能に、すなわちハンマ
ヘツドがそれ自体設けられていないような現在使用して
いるクレーンにも使用することができるようにするため
には、この中間片が組込み状態で見て、その下面にブー
ムヘツドの下側端部と同じ固定部材を有していて、か
つ、その上面に尖端片の上側端部と同じ固定部材を有し
ている。従つてこの中間片はブームヘツドと尖端片との
間に取付けることができ、かつ、このハンマヘツドが必
要とされない場合にも取付けられたままにとどめられ
る。

このハンマヘツドの主要部材は有利には扁平な枠組み
（例えば鋼管溶接構造体）として構成された２つの横桁
であつて、これら横桁は中間片の両側に支承されてい
て、かつ、それぞれブームの縦軸線に対してほぼ直角に
このブームから拡開されている。

ハンマヘツドが必要とされない場合には横桁は中間片に
このように支承されていることによつて、ブームに接触
するまで旋回させることができ、かつ、その位置にとど
められる。運転状態ではこれら横桁はそれぞれ、ブーム
ヘツドに係合する解離可能な張設部材（例えば単数又は
複数のロープ又は有利には引張りロツド）によつて、拡
開された位置に保持される。ブームの前面側で中間片に
枢着された方の横桁の前方端部には昇降ロープの、持上
げ荷重のかかる方向で見て第１の変向ローラ（昇降ロー
プが多数ある場合にはローラユニツト）が支承されてい
る一方、第２の横桁の後方端部にはブームの保持ロープ
が係合されている。

従つてこのハンマヘツドは僅かな時間と費用で取付け可
能であり、かつ、取外し可能である。しばしばそうであ
るように、横桁をハンマヘツドに張設する張設部材を固
定するために必要とされる受容箇所（孔）が設けられて
いる場合には本発明の形式で形成されたハンマヘツドを
ラチスマスト型クレーンに設けられている構成部材に後
から取付けるには構造的な変化ですら必要とされない。

本発明の有利な１実施態様はハンマヘツドの構成部材を
用いてこの第１の変向ローラの回転軸線に、ブームの縦
軸線に対して選択的に２つの異なる間隔が与えられるこ
とを目的にしている。このためには両横桁の長さを互い
に異なるように形成すると共にこの両横桁を相互に交換
することができるようになつており、しかも、変向ロー
ラ及びブームの保持ロープの枢着部材も相互に交換可能
である。

横桁のピン結合部材及び変向ローラ若しくは保持ロープ
枢着部材の固定部材はそれぞれ同じ形式で固定されてお
り、かつ、横桁の張設部材の長さは両横桁がブームの前
面側でも、また、背面側でもブームの縦軸線に対してほ
ぼ直角に向けることができるように、調節可能である。
本発明のハンマヘツドの著しい利点は製作費用が比較的
に僅かであり、所要スペースが僅かであり（ブームに接
触するまで旋回可能）、しかもその取付けと取外しが容
易であることにある。

実施例 ラチスマスト型クレーンの第１図に示されたブーム６は
最上部が尖端片１である詳しくは図示されていない多数
のラチスマスト型構成部材から構成されている。この尖
端片１及び同軸的にこの尖端片１の上方に配置されたブ
ームヘツド２は両部材の間にある中間片４によつて固定
部材（ピン結合部材）3a,3bを介して剛性結合されてい
る（第２図、第３図参照）。この中間片４は薄鋼片を溶
接した、高い強度を有する扁平な箱形構造体を有してお
り、その横断面は尖端片１の横断面に相応する。

この固定部材3a,3bはハンマヘツドを取付けないときに
ブームヘツド２を尖端片１に結合させるために尖端片１
の上側端部及びブームヘツド２の下側端部に設けた固定
部材に相応する。この中間片４の、持上げ荷重がかかる
方向で見て前面側には扁平な枠組みとして鋼管溶接構造
体の形状で構成された横桁７（第４図参照）がピン結合
部材13a,13bを介して、それぞれブーム６の縦軸線に対
して直角な軸線を中心として回転運動可能に支承されて
いる。ブーム６の縦軸線に対してほぼ直角に拡開された
この横桁７は固定点16でブームヘツド２に解離可能に例
えばねじか又は迅速に解離可能なピン結合部材によつて
結合された、横桁７の前方の（自由な）端部に枢着され
た２つの引張りロツド14によつてこの位置状態に保持さ
れる。

この横桁７の前方端部には図示されていない貨物の引掛
けられた昇降ロープのための変向ローラ９が回転可能に
支承されている。中間片４の、横桁７とは反対の側には
横桁７のためのピン結合部材13a,13bと同じ形式で固定
されたピン結合部材13a,13bを介して、第２の横桁８
（第５図参照）が同様にブーム６の軸線に対して直角な
軸線を中心として回転運動可能に支承されている。この
横桁８は扁平な枠組みとして鋼管溶接構造体の形状でも
構成されていて、かつ、ブーム６の軸線に対してほぼ直
角に拡開されている。この横桁８は固定点17でブームヘ
ツド２に解離可能に結合された、横桁８の後方の（自由
な）端部に枢着されている引張りロツド15によつてこの
位置で保持される。この横桁８の後方端部にはブーム６
の保持ロープ12のための枢着部材11が固定されている。
この枢着部材11のための受容部18若しくは、変向ローラ
９のための受容部（第４図に略示されている）は、両横
桁7,8のところに同じ形式で固定されている。横桁８の
長さ（動作範囲）は横桁７の長さの約２倍である。さら
に引張りロツド14,15の長さは図示されていない二分構
造によつてねじ結合部材を用いて調節可能である。

それ故に横桁7,8並びに変向ローラ９及び枢着部材11は
相互に交換可能であり、この時、ブーム６の縦軸線に対
して直角なその向きは引張りロツド14,15の長さを適当
に調整することによつて変わらないままである。従つて
本発明の構成によつては、他の構成部材を必要とするこ
となしに変向ローラ９の回転軸線がブーム６の縦軸線か
ら２つの異なる間隔を選択的にもつことのできるハンマ
ヘツドをブーム６に取付けることができるようになつ
た。このハンマヘツドが必要とされない場合には引張り
ロツド14、15が除かれ、かつ横桁７及び８はブーム６に
接触するまで旋回させられる。次いで保持ロープ12が再
びブームヘツド２の、最初に与えられた位置に枢着され
ると共に昇降ロープ10はブームヘツド２の元の変向ロー
ラ５を介して案内される。その他の点では昇降ロープ10
のロープガイドは使用ケースが異なつても変わらない。

ラチスマスト型クレーンの本発明の構成によればかさば
る貨物を、ブーム６の伸長を必要としないで所望された
高さに持上げることができる。この場合に使用されたハ
ンマヘツドの各主要構成部材は、ハンマヘツドが必要と
されない場合には、ブーム６に接触するまで旋回させら
れた位置にとどめられるので、このハンマヘツドの取付
け及び取外しが著しい手間をかけないで可能になる。

特に有利にはこのハンマヘツドを万能に使用することが
できる。つまり、その構成部材を著しく変えないで、大
抵は全く考えることなしにこの手段を現在使用している
クレーンに問題なく利用することができる。この利点は
特に本発明による中間片４を使用することによつて与え
られる。

【図面の簡単な説明】 第１図はハンマヘツドを備えたブームの側面図、第２図
は中間片の平面図、第３図は第２図に示された中間片の
側面図、第４図は前方の横桁の平面図、第５図は後方の
横桁の平面図である。 １……尖端片、２……ブームヘツド、3a,3b……固定部
材、４……中間片、５……変向ローラ、６……ブーム、
7,8……横桁、９……変向ローラ、10……昇降ロープ、1
1……枢着部材、12……保持ロープ、13a,13b……ピン結
合部材、14,15……引張りロツド、16,17……固定点、18
……受容部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ラチスマスト型クレーンであって、このラ
   チスマスト型クレーンの、複数の構成部材に分解可能な
   ブームが尖端片を有しており、この尖端片が昇降ロープ
   （10）のために少なくとも１つの変向ローラを有するブ
   ームヘッドに剛性結合されている形式のものにおいて、 尖端片（１）とブームヘッド（２）との間に、固定部材
   （3a,3b）を備えた、高い強度を有する扁平な箱形構造
   体として構成された中間片（４）が配置されており、こ
   の中間片（４）の横断面が尖端片（１）の横断面にほぼ
   相応しており、中間片（４）の固定部材（3a,3b）のう
   ち、尖端片（１）に向いた側の固定部材はブームヘッド
   （２）の下側に設けた固定部材と同形に形成されてお
   り、かつ、ブームヘッド（２）に向いた側の固定部材は
   尖端片（１）の上側に設けた固定部材と同形に形成され
   ており、 ブーム（６）の前面側に横桁（７）が、かつ、ブーム
   （６）の背面側に横桁（８）がそれぞれブーム軸線に対
   して直角な軸線を中心として回転運動可能に中間片
   （４）に固定されており、かつ、各横桁（7,8）とブー
   ム（６）の縦軸線との間の角度がそれぞれほぼ90°であ
   るように横桁（7,8）がブームヘッド（２）に解離可能
   に張設されており、横桁（７）の前方端部に昇降ロープ
   （10）のための変向ローラ（９）が、かつ、横桁（８）
   の後方端部にブーム（６）の保持ロープ（12）のための
   枢着部材（11）が配置されている、ラチスマスト型クレ
   ーン。
2. 【請求項２】前記横桁（7,8）が扁平な枠組みとして構
   成されている、特許請求の範囲第１項記載のラチスマス
   ト型クレーン。
3. 【請求項３】前記横桁（7,8）がピン結合部材（13a,13
   b）を介して中間片（４）に固定されている、特許請求
   の範囲第１項記載のラチスマスト型クレーン。
4. 【請求項４】前記各横桁（7,8）が引張りロッド（14,1
   5）を介してブームヘッド（２）に張設されている、特
   許請求の範囲第１項記載のラチスマスト型クレーン。
5. 【請求項５】前記各横桁（7,8）が異なる長さを有して
   おり、この横桁（7,8）がピン結合部材（13a,13b）を介
   して同じ形式で固定されており、横桁（７）に変向ロー
   ラ（９）が、かつ、横桁（８）にブーム（６）の保持ロ
   ープ（12）のための枢着部材（11）が同じ形式で固定さ
   れており、前記引張りロッド（14,15）が長さ調節可能
   に構成されている、特許請求の範囲第４項記載のラチス
   マスト型クレーン。