JPH0694163B2 - ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法

Info

Publication number
JPH0694163B2
JPH0694163B2 JP61056681A JP5668186A JPH0694163B2 JP H0694163 B2 JPH0694163 B2 JP H0694163B2 JP 61056681 A JP61056681 A JP 61056681A JP 5668186 A JP5668186 A JP 5668186A JP H0694163 B2 JPH0694163 B2 JP H0694163B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypropylene
stretched
stretching
polymer
hydroxyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61056681A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62212125A (ja
Inventor
良雄 松本
敏雄 藤井
史章 竹内
清 福田
Original Assignee
三菱化成株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三菱化成株式会社 filed Critical 三菱化成株式会社
Priority to JP61056681A priority Critical patent/JPH0694163B2/ja
Publication of JPS62212125A publication Critical patent/JPS62212125A/ja
Publication of JPH0694163B2 publication Critical patent/JPH0694163B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は機械的特性、透明性、延伸性及び割れ特性の改
善されたポリプロピレン一軸延伸物の製造方法に関する
ものである。
〔従来技術〕
ポリプロピレンの一軸延伸フイルム、延伸テープ、ヤー
ン、バンド及びモノフイラメント等の一軸延伸物は光沢
等の光学的特性、耐熱性、耐薬品性及び電気的特性に優
れ、且つ、引張強度(延伸強度)、クリープ特性、剛性
等の機械的特性も良好であることから、各種の包装用フ
イルム及び織物等に広く使用されている。しかしなが
ら、用途によつては、これらの特性が十分に満足されて
いるとは言えない場合があり、そのため具体的用途の拡
大が制限されている。例えば、ポリプロピレンの延伸テ
ープやヤーンはポリエチレンに比較して耐クリープ性が
大幅に優れ、且つ延伸倍率基準の強度が大きく、しかも
滑りにくいことからフレキシブルコンテナー基布、シー
ト基布等に使用されている。しかしながらポリプロピレ
ンの剛性が不十分なもの(アイソタクチツクペンタツド
分率の低いもの)は延伸した場合、収縮しやすく、ま
た、剛性が高いもの(アイソタクチツクペンタツド分率
の高いもの)は高延伸倍率(7〜8倍以上)に延伸した
場合、割れやすいという欠点がある。
ポリプロピレンの延伸強度及び剛性は延伸倍率及びその
構造によつて大きく影響を受ける。ポリプロピレンには
プロピレンの単独重合体からなるホモポリマーと小量の
エチレンを共重合させるランダム共重合体とがあり、延
伸強度及び剛性はホモポリマーが優れているので、延伸
強度又は剛性を必要とする用途には通常ホモポリマーを
延伸して用いている。そして更に剛性を改良する方法と
してアイソタクチツクインデツクス(I.I)が98.0%
以上のものを用いる方法(特開昭57−103819号公報)が
提案されている。また、ホモポリマーの延伸性を改良す
る方法としてランダム共重合体を用いる方法、例えば
四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、さら
に活性化した三塩化チタンおよび有機アルミニウム化合
物からなる触媒を用いてプロピレン重合時に少量のエチ
レンを供給してエチレン含有量が0.1〜1.0重量%のポリ
プロピレンを用いる方法(特開昭56−32512号公報)が
提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記の方法では、ホモポリマーでいくら
I.Iを高くしても、延伸強度又は剛性は改良されるが、
逆に割れ特性はますます低下するので高倍率の延伸が困
難となり、結果として左程延伸強度又は剛性に優れた延
伸物(テープ、ヤーンまたはフイルム)は得られない。
また、上記の方法では、かかる従来の触媒を用いてラ
ンダム共重合体を製造しても、多少割れ特性は改良され
るが、極く少量のエチレンを共重合させるだけで急激に
I.Iが低下し、引張強度及び剛性が低く、腰の弱い延伸
物(テープ、ヤーンまたはフイルム)しか得られない。
さらに、ポリプロピレンの延伸テープ及びヤーンは延伸
倍率基準の引張強度又は剛性を得るために、I.Iを96%
以上に、かつ高延伸倍率(7倍以上)に延伸することを
試みたが、この場合には延伸テープ及びヤーンが延伸方
向に割れる現象が発生する。この割れ防止のために炭酸
カルシウム、タルク等の無機フイラーをマスターバツチ
で添加しても、マスターバツチの分散性が不良のため得
られる延伸テープ及びヤーンは透明性が低下し、かつ、
安定したものが得られない。
このようにポリプロピレンの引張強度、剛性、延伸性あ
るいは割れ防止をそれぞれ改良する方法は提案されてい
るものの引張強度、剛性、延伸性及び割れ防止の全てが
改良されたポリプロピレンの一軸延伸物は未だ開発され
ていない。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は上記従来技術に鑑み、ポリプロピレン一軸
延伸物の機械的特性、延伸性及び割れ防止を改良すべ
く、鋭意検討した結果、特定のポリプロピレンに特定の
炭化水素ポリマーを少量配合したものを用いて成形し、
一軸延伸物にすることにより該ポリプロピレンの剛性を
保持したまま、延伸性、透明性及び割れ防止が大幅に改
良されたポリプロピレンの一軸延伸物が得られることを
見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は沸騰ヘプタン不溶部の立体規
則性が13C−NMRで求められるアイソタクチツクペンタツ
ド分率として0.960以上のポリプロピレンホモポリマー1
00重量部に対し、末端に少くとも1個の水酸基を有する
主鎖の飽和した又は部分的に飽和した炭化水素ポリマー
0.01〜2重量部を配合してなる組成物を用いて未延伸物
を成形し、次いで該未延伸物を縦方向に2〜10倍の延伸
倍率で延伸してなることを特徴とするポリプロピレン一
軸延伸物の製造方法に存する。
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。本発明にお
いて用いられるポリプロピレンは、プロピレンの単独重
合体のホモポリマーであつて、沸騰ヘプタン不溶部の立
体規則性が13C−NMRで求められるアイソタクチツクペン
タツド分率で0.960以上、好ましくは0.970以上、さらに
好ましくは0.975以上のものである。このようなポリプ
ロピレンは特開昭56−59285及び特開昭59−13630号公報
等に記載された方法によつて製造することができる。上
記ポリプロピレンのアイソタクチツクペンタツド分率が
0.960未満では延伸物(フイルム、テープ及びヤーン)
の引張強度及び割れ防止の改良効果が少なくなるので好
ましくない。
本発明において、上記ポリプロピレンの沸騰ヘプタン不
溶部のアイソタクチツクペンタツド分率は次のようにし
て求められる。
ポリプロピレン5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解さ
せた後、20℃まで放冷する。その後、別し20℃キシレ
ン可溶部と不溶部に分離する。次いで、20℃キシレン不
溶部をさらに沸騰ヘプタンで6時間ソツクスレー抽出残
渣と抽出物に分離する。この抽出残渣を沸騰ヘプタン不
溶部とする。
アイソタチツクペンタツド分率とは13C−NMRを使用して
測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタツド単位で
のアイソタクチツク分率であり、Macromole cules 8 68
7(1975)に記載されている方法に基づいて測定され
る。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域
の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソ
タクチツクペンタツド分率を測定する。
本発明で使用するポリプロピレンのメルトフロレートイ
ンデツクス(MFiと略称する)は延伸フイルム、延伸テ
ープ及びヤーン分野で用いられる任意のものでよいがJI
S K−7210の方法に従い、230℃、荷重2160gで測定した
値で0.2〜10の範囲のものが好ましく、さらに好ましく
は0.5〜6範囲のものである。
一方、上記ポリプロピレンに配合して用いられる末端に
少なくとも1個の水酸基を有する主鎖の飽和した又は部
分的に飽和した炭化水素系ポリマーとは具体的には、例
えば次のようなものをいう。
このポリマーは、少くとも末端に1個の水酸基を有し、
主鎖の飽和された、分子量500〜200,000の常温で液体、
半固体、固体のポリマーが含まれる。1分子当りの平均
水酸基数は1.5〜8.0のものが好ましい。また、本発明に
おいて用いられる末端に少くとも1個の水酸基を有する
主鎖の飽和した又は部分的に飽和した炭化水素系ポリマ
ー(以下単に「末端に少くとも1個の水酸基を有する主
鎖の飽和した炭化水素系ポリマー」と略す。)は、主鎖
の炭化水素類が完全に或は部分的に飽和されているもの
をいう。1,4−ポリブタジエンについていえば、水添の
割合は少くとも20%、好ましくは50%以上、更に好まし
くは80%以上である。
これら末端に少くとも1個の水酸基を有する主鎖の飽和
した炭化水素系ポリマーは、ジエンを原料として周知の
方法、例えばラジカル重合法、アニオン重合法などによ
つて製造されたジエン系ポリマー及び/又はジエン系コ
ポリマーを、通常、水素添加することにより得られる。
しかしアニオン重合の場合には、条件によつてポリジエ
ン骨格の交互炭素原子上に主要量の、たとえば50%以
上、特に70%以上のビニル基を有し、主鎖が飽和した炭
化水素系ポリマー、即ち、1,2−ポリブタジエンが得ら
れるので、このものは更に水素添加する必要はない。
末端に少くとも1個の水酸基を有するジエン系ポリマー
の製造法は、ラジカル重合による場合、過酸化水素を重
合開始剤としてジエン系モノマーを重合することにより
容易に得られる。アニオン重合法によつて末端に水酸基
を有するポリマーを得るにはリビングポリマーに、例え
ばモノエポキシ化合物、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒドもしくはアセトン、又はハロゲノアルキレンオキ
シド、ポリエポキシドを反応させれば良い。
なお、ここでいうリビングポリマーとは、周知の方法に
従つて、共役ジエン単独又は共役ジエンとビニルモノマ
ーとをアニオン重合触媒、例えばアルカリ金属又は有機
アルカリ金属化合物を用いて重合させることにより製造
されるポリマーであつて、その両末端の少くとも一つに
アルカリ金属が結合した構造を有するものをいう。
これらポリマーの原料モノマーとしては少なくとも1種
類の共役ジエンモノマーが使用される。共役ジエンモノ
マーとしては、ブタジエン−1,3、イソプレン、クロロ
プレン、ペンタジエン−1,3、2,3−ジメチルブタジエン
−1,3、1−フエニルブタジエン1,3等が挙げられる。一
方、共役ジエン系コポリマーの共重合成分としては、ビ
ニルモノマーが目的により1種又は2種以上使用され
る。これらのビニルモノマーとしてはスチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合
物;メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチル
メタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル化合物;2
−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリ
ジン;メチルビニルエーテル、2−クロルエチルビニル
エーテル等のビニルエーテル;塩基ビニル、臭化ビニル
等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル等のビニルエステル
等が使用できる。また、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、アクリル酸、アクリルアミドのような活性水素
を有するビニルモノマーも使用出来る。共役ジエン系モ
ノマーと併用する場合、ビニルモノマーの使用量は最終
目的物の物性を考慮した場合には総モノマー量に対し50
重量%以下が好ましい。
これらジエン系ポリマー及び/又はジエン系コポリマー
の主鎖の不飽和二重結合は、全部又は部分的に水素添加
して使用される。しかし主鎖に不飽和結合を実質的に含
まない1,2結合のポリブタジエン、3,4結合のポリイソプ
レンポリマーの場合は、そのまま使用される。上記の水
素添加は、完全な水素化飽和でもよく、部分的な水素添
加でも差支えない。しかしながら、1,4−ポリブタジエ
ンについていえば、水添の割合は、少なくとも20%、好
ましくは30%以上である。水添率が20%未満では接着性
が不充分で、また多少の接着力があつても接着面にむら
があつて好ましくない。1,4ポリブタジエンは主鎖中に
2重結合に関与する炭素原子は50%存在するので、本発
明にあつてはこれを40%以下にすることが必要である。
また、すでに前述したように、たとえば1,2結合50%に
1,2ポリブタジエンは主鎖中に2重結合に関与する炭素
原子が33%しか存在していないので、このものは特に水
添しなくともそのまま本発明に用いるポリマーとして使
用することができる。
水素化は一般に使用される接触水素化処理の手段を採用
することができる。即ち、水素添加触媒としては、古く
から使用されているニツケル触媒(たとえばラネーニツ
ケル)、コバルト、白金、パラジウム、ルテニウム、ロ
ジウム触媒、これらの混合又は合金系触媒が使用でき
る。これらの触媒は単独で、固体又は可溶性均一錯体と
して、或いはカーボン、シリカ、珪そう土などに担持さ
れた形で使用できる。さらに、ニツケル、チタン、コバ
ルトなどを含む化合物を有機金属化合物(たとえばトリ
アルキルアミニウム、アルキルリチウムなど)で還元し
て得られる金属錯体を用いて水素添加してもよい。使用
水素としては、通常は分子状水素が用いられるが、触媒
毒となる物質を含まない限り水素含有ガスを使用するこ
ともできる。水素圧は常圧ブローでも、加圧系のいずれ
でも差支えない。温度は室温〜200℃、好ましくは180℃
以下である。ジエン系ポリマー及び/又はジエン系コポ
リマーは単独でも、或いは溶媒溶液としても使用でき
る。かかる溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化
水素、芳香族炭化水素、アルコール類、脂肪族カルボン
酸などが単独で、或いは混合系で使用できる。
本発明の組成物を調製するに当つて使用される飽和炭化
水素系ポリマーのその他の製法としては、α−オレフイ
ンと他のモノマーとの共重合体を酸化・分解処理し、次
で還元する方法が挙げられる。たとえば、イソブチレン
とブタジエン又は1,3−ペンタジエンをカチオン重合さ
せて得られるブチルゴム系の重合体をオゾン分解処理
し、次でリチウムアルミニウムハイドライドで還元すれ
ばポリヒドロキシポリイソブチレンが得られる。また、
エチレン単独で、又はプロピレンとの共存下でジエン類
と共重合させて得られる不飽和結合を有するポリ−α−
オレフインをオゾン分解処理し、次で還元することによ
りポリヒドロキシポリオレフインが得られる。
本発明において、上記ポリプロピレンの割れ防止、透明
性を改良するために添加する上記の末端に少なくとも1
個の水酸基を有する主鎖の飽和した炭化水素系ポリマー
の配合量は核ポリプロピレン100重量部に対し0.01〜2
重量部、通常0.1〜2重量部、好ましくは0.3〜1.2重量
部の範囲で使用される。上記末端に少なくとも1個の水
酸基を有する主鎖の飽和した炭化水素系ポリマーの配合
量が上記範囲未満ではポリプロピレンの割れ防止及び透
明性の改良効果が少なく、また上記範囲を超えた場合に
は割れ防止及び透明性の改良効果がそれ以上増加せず、
逆に耐溶剤性が低下してくるので好ましくない。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂組成物は前記したポ
リプロピレンと末端に少なくとも1個の水酸基を有する
主鎖の飽和した炭化水素系ポリマーをブレンダーなどで
ドライブレンドするか、或はドライブレンドした後通常
の溶融混練法、例えば、バンバリーミキサー、コンテイ
ニユアスミキサー、ミキシングロール、押出機等によつ
て、190〜300℃の温度で溶融混合しペレツト化すること
により得られる。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂組成物には、必
要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、アン
チブロツキング剤、滑剤、その他の添加剤などポリプロ
ピレンに使用される公知の各種添加剤を加えてもよい。
本発明においては、上記で得られたポリプロピレン樹脂
組成物を用いて未延伸フイルムまたはシートを成形し、
次いで該未延伸フイルムまたはシートを特定の条件下で
一軸延伸して一軸延伸フイルム、テープまたはヤーンを
製造する。
未延伸フイルムまたはシートの成形は通常のフイルムま
たはシートの成形装置及び成形方法、例えば円形ダイに
よるインフレーシヨン成形法、TダイによるTダイ成形
法等を採用し、上記の組成物を樹脂温度190〜300℃、ト
ラフト率1〜50の範囲の成形条件で行なわれる。
インフレーシヨン成形する場合には樹脂温度を180〜270
℃、ブローアツプ比を1.5〜4、ドラフト率を1〜50の
範囲の条件で行なうのが望ましい。
なお、本発明においてドラフト率とは下記によつて得ら
れる。
式中、記号は下記の通り なお、Tダイ成形の場合はBUR=1として表わされる。
ドラフト率が1未満の場合には製膜フイルムの成形性が
不良となり、また、50より大きい場合には延伸時に縦裂
けし易くなるので好ましくない。
また、Tダイ成形する場合には樹脂温度を190〜300℃、
ドラフト率を1〜10、冷却ロール温度を30〜120℃の範
囲の条件で行なうのが望ましい。
上記のようにして得られた未延伸フイルムまたはシート
はそのまま或は所定の幅にスリツトしたものをオーブン
加熱、ロール加熱または熱板加熱法により縦方向に1段
または2段以上の多段で延伸を行う。
延伸条件としては延伸温度150〜200℃、好ましくは155
〜175℃、延伸倍率2〜10倍、好ましくは4〜9倍の範
囲である。
延伸温度が150℃未満では分子鎖の運動性が乏しいた
め、延伸時に切断しやすく、たとえ延伸できても延伸倍
率が上がらず、物性のすぐれた延伸物を得ることができ
ない。また200℃より高い温度では該樹脂組成物が一部
溶けかかり延伸配向を起すことができず、見かけ上延伸
されても延伸斑がひどく、また透明性も損なわれてしま
い、商品価値のある延伸物とはならない。
さらに、縦方向への延伸倍率が2倍未満では得られる延
伸フイルムの厚みムラが大きくなり均一な延伸物が得ら
れず、また10倍より大きいと延伸操作性が悪化し、満足
した延伸物が得られないので好ましくない。
上記延伸処理して得られた延伸物(延伸フイルム、テー
プまたはヤーン)は伸びが大きく、且つ熱収縮しやすい
ので、通常80〜150℃の温度で0.1〜10秒熱処理(アニー
リング)し、通常10%以下、望ましくは5〜7%熱収縮
させておくのが望ましい。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明につき更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に
よつて限定されるものではない。
実施例1〜4 (1)末端に水酸基を有する飽和炭水素系ポリマーの製
造 容量10lのオートクレーブにポリヒドロキシポリブタジ
エン(Arco Chem.社製品R−45HT、〔−OH〕=0.82meq/
g、シス1,4:15%、トランス−1,4:58%、ビニル:27%)
3Kg、シクロヘキサン3Kg及びカーボン担持ルテニウム
(5%)触媒〔日本エンゲルハルト(株)製〕300gを仕
込み、系内を精製アルゴンガスで置換した後、高純度水
素ガスをオートクレーブ内に供給し始め、同時に加熱を
開始する。約30分を要してオートクレーブ内は定常条件
(内温100℃、内圧150Kg/cm2)に達した。この条件で15
時間経過後、水添反応を停止し、以下常法に従つてポリ
マーを精製、乾燥した。
得られたポリマーは赤外吸収スペクトルによる分析の結
果、殆んど二重結合を含まぬ炭化水素系ポリマーであつ
た。水添物の−OH基は0.81meq/gであり、蒸気圧法で測
定した分子量は3000であつた。
(2)ポリプロピレン樹脂組成物の製造及び一軸延伸フ
イルムの製造 メルトフロレートインデツクスが2.5g/10分及びアイソ
タクチツクペンタツド分率が0.980のポリプロピレンホ
モポリマー100重量に上記(1)で得られた末端に水酸
基を有する飽和炭化水素系ポリマーを第1表に示す配合
量で添加し、これをドライブレンドした後、シリンダー
径40mmφの単軸押出機で190℃の温度で溶融混練して押
出ペレツト化した。
得られたポリプロピレン樹脂組成物をT−ダイ式成形機
を用いて260℃の樹脂温度で冷却ロール温度90℃、巻取
速度2.0m/分、ドラフト率1.5の条件下でシート状に押出
し、厚み0.2mmのシートを成形した。このシートをロー
ル延伸機を用いて、160℃で縦方向に5倍延伸して厚み
約40μの一軸延伸フイルムを製造した。この際、下記方
法により延伸性、剛性及び透明性の測定を行つた。その
結果を第1表に示す。
アイソタクチツクペンタツド分率の測定法 試料のPP5gを500ccのp−キシレンで5分間reflux処理
し、放冷后の析出分を200ccのn−ヘプタンで6hr reflu
x処理した不溶分をC-13NMR測定に供した。
C-13NMRの測定及びスペクトルの解析定量はMacromolecu
les 8 687(1975)の示される方法に拠つた。
延伸性の評価 上記(2)の一軸延伸フイルム製造時において、縦方向
延伸時の機械的応力を記録した。延伸応力が小さい程延
伸性が優れている。
一軸延伸フイルムの剛性の測定 25mm×140mmの短冊状のフイルム試験片を用いて引張試
験機でクロスヘツドスピード10mm/mmで引張り初期弾性
率を求めた。(縦方向) 一軸延伸フイルムの透明性の測定 ASTM D−1003−52Tに準じてヘーズメータで測定した。
比較例1 実施例1において、末端に水酸基を有する飽和炭化水素
系ポリマーを全く添加せずに行つたこと以外は実施例1
と同様に行つた。
その結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1において、末端に水酸基を有する飽和炭化水素
系ポリマーの配合量を3重量部に変えたこと以外は実施
例1と同様に行つた。
その結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1において、ポリプロピレンをMFiが2.0g/10分で
アイソタクチツクペンタツド分率が0.967のポリプロピ
レンホモポリマーにかえ、末端に水酸基を有する飽和炭
化水素系ポリマーを全く添加せずに行つたこと以外は実
施例1と同様に行つた。
その結果を第1表に示す。
実施例5〜13 メルトフロレートインデツクス及びアイソタクチツクペ
ンタツド分率が第2表に示す物性であるポリプロピレン
ホモポリマー100重量に上記実施例1の(1)で得られ
た末端に水酸基を有する飽和炭化水素系ポリマーを第2
表に示す配合量で添加し、これをドライブレンドした
後、シリンダー径40mmφの単軸押出機で190℃の温度で
溶融混練して押出ペレツト化した。
得られたポリプロピレン樹脂組成物をT−ダイ式成形機
を用いて220℃の樹脂温度で冷却ロール温度50℃、巻取
速度7m/分、ドラフト率2.0の条件下でシート状に押出
し、厚み100μのフイルムを成形した。このフイルムを
ロール延伸機を用いて、150℃で縦方向に延伸し、次い
で150℃でアニーリング処理して延伸物を約6%収縮さ
せた延伸テープを製造した。なお、第2表に示す延伸倍
率はアニーリング処理後の倍率を示す。得られた延伸テ
ープにつき、下記方法にて延伸強度及び割れ特性を測定
した。
その結果を第2表に示す。
延伸テープの引張強度の測定 延伸して得られた巾6mm×長さ450mm×厚み28μ(1000デ
ニール)の延伸テープを用い、引張試験機でクロスヘツ
ドスピード300mm/mmで引張り、引張強度を(g/d)求め
た。
延伸テープの割れ特性の測定 各延伸倍率で延伸されているテープをn=10本を両端を
開放した筒(内径100φmm×長さ1500mm)の中を通し、
片方より圧力空気を入れ、10本中のテープの割れの発生
本数を観察する。圧力空気は0.2Kg/cm2G間隔にて上昇し
測定する。筒の中の延伸テープの通過秒数は0.4〜20で
あるが、通常条件では約1secである。
比較例4〜6 実施例5において、末端に水酸基を有する飽和炭化水素
系ポリマーを全く添加せず延伸倍率を第2表に示す条件
で行つたこと以外は実施例5と同様に行つた。
その結果を第2表に示す。
比較例7〜9 実施例5において、末端に水酸基を有する飽和炭化水素
系ポリマーを全く添加せず炭酸カルシウムを重量%添加
し延伸倍率を第2表に示す条件で行つたこと以外は実施
例5と同様に行つた。
その結果を第2表に示す。
第1表より明らかな様に立体規則性の高いポリプロピレ
ンは延伸に要する応力が高いが、本発明に「末端に水酸
基を有するポリマー」を配合することにより、延伸応力
を低減し、かつ、一軸延伸フイルムの剛性は維持できさ
らに大巾に透明性を改良出来る。
また、第2表より本発明方法で得られた延伸テープは、
上記ポリプロピレンの高い延伸強度を保持したまま、割
れ特性が大幅に改良されている。
〔発明の効果〕
本発明によれば、特定のポリプロピレンに末端に少なく
とも1個の水酸基を有する主鎖に飽和した炭化水素ポリ
マーを特定量配合させ、特定条件で一軸延伸物にするこ
とにより上記ポリプロピレンの高い延伸強度を保持させ
たまま、割れ特性及び透明性の著しく改良されたポリプ
ロピレン一軸延伸物を得ることが出来る。
従つて本発明で得られるポリプロピレン一軸延伸物(例
えば延伸フイルム、延伸テープまたはヤーン)は包装用
フイルム、フレコン基布、シート基布等の用途に好適に
用いることが出来る。
さらに本発明の最大の用途は、高II原料にて展開してい
るジユータン用ヤーンといえる。ジユータン用のヤーン
は、後収縮によるねじれ防止の為、高IIの(98.5以上)
ポリプロピレン(ホモ)を原料としている。
従つて従来より割れが問題となつており、本発明により
大巾な改良が期待出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 清 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化成 工業株式会社水島工場内 (56)参考文献 特開 昭60−90734(JP,A) 特開 昭60−210647(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沸騰ヘプタン不溶部の立体規則性が13C−N
    MRで求められるアイソタクチツクペンタツド分率として
    0.960以上のポリプロピレンホモポリマー100重量部に対
    し、末端に少くとも1個の水酸基を有する主鎖の飽和し
    た又は部分的に飽和した炭化水素ポリマー0.01〜2重量
    部を配合してなる組成物を用いて未延伸物を成形し、次
    いで該未延伸物を縦方向に2〜10倍の延伸倍率で延伸し
    てなることを特徴とするポリプロピレン一軸延伸物の製
    造方法
JP61056681A 1986-03-14 1986-03-14 ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法 Expired - Lifetime JPH0694163B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61056681A JPH0694163B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61056681A JPH0694163B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62212125A JPS62212125A (ja) 1987-09-18
JPH0694163B2 true JPH0694163B2 (ja) 1994-11-24

Family

ID=13034168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61056681A Expired - Lifetime JPH0694163B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0694163B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4031125A1 (de) * 1990-10-02 1992-04-09 Hoechst Ag Biaxial orientierte polypropylenfolie fuer den dreheinschlag
US5290167A (en) * 1990-10-08 1994-03-01 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. Method of manufacturing three-dimensional parts using sheets of thermoplastic resin high-performance fiber-reinforced composite material and apparatus therefor

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6090734A (ja) * 1983-10-25 1985-05-21 Toray Ind Inc ポリプロピレン延伸フイルム
JPS60210647A (ja) * 1984-04-03 1985-10-23 Toray Ind Inc ポリプロピレンフイルム

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62212125A (ja) 1987-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6699941B1 (en) Block copolymer
EP0195505B1 (en) Polypropylene resin composition and biaxially stretched film thereof
KR101193772B1 (ko) 연질 탄성중합체 필름
JP2012502136A (ja) ファルネセン共重合体
CN1313879A (zh) 高熔体强度的软的丙烯聚合物掺混物
JPH10502968A (ja) 動的加硫性ポリオレフィン組成物
JPS596236A (ja) エラストマ−状組成物の製造方法
JPS58206644A (ja) エラストマ−状組成物
JPH0217579B2 (ja)
DE3938927C2 (ja)
JPH0694163B2 (ja) ポリプロピレン一軸延伸物の製造方法
JPH0643095B2 (ja) ポリプロピレン二軸延伸フイルムの製造方法
CN112778685B (zh) 高分子组合物及用其所制的纤维或无纺布
JPH083389A (ja) 二軸延伸フィルム用ポリプロピレン樹脂組成物
JP2005206808A (ja) 軟質フィルム及びシート
JPS592452B2 (ja) ポリオレフイン組成物
Salomon et al. Preparation and properties of rubberlike high polymers. IV. Correlation between structure and properties of elastomers derived from dienes
EP1593694B1 (de) Hydrierte Copolymerisate aus nicht substituierten und substituierten konjugierten Dienen
JPH0651813B2 (ja) 多孔性シ−トの製造方法
JP2013048560A (ja) 培養用容器
JPH0692522B2 (ja) ブロツク共重合体組成物
JPH02245009A (ja) ブロック共重合体およびその組成物
JP3232860B2 (ja) ポリヒドロキシ不飽和炭化水素系重合体の水添方法
JP2021193171A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005247895A (ja) 医療用樹脂組成物及びそれを用いた医療用成形品