JPH069388U - 超音波モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］出力軸に加わる力の範囲において、モータ特性
の変化や音が生じる不安定領域での作動を防ぐ。 ［構成］出力軸３に、ホルダ５を介して回転体６を設
け、前記出力軸３のフランジ３ａとホルダ５との間に、
互いに接触する摩擦材９．１０を設ける。両摩擦材９，
１０の間の摩擦係数を振動体４と回転体６との間の摩擦
係数よりも小さくし、前記両摩擦材９，１０においてク
ラッチ機能を持たせる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、回転型超音波モータの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種の超音波モータは、例えば、ベースに、出力軸を回転自在に設けると共 に、同ベースに、円周方向にわたって圧電素子を備えた振動体を前記出力軸と同 心状に設け、前記出力軸に、円盤状の回転体と、この回転体を押圧する皿ばねを 装着し、前記回転体の外周側の環状当接部を振動体に圧接させた構造になってい る。

【０００３】 上記超音波モータは、圧電素子に高周波の交流電圧を印加することにより、振 動体にたわみ振動による進行波を励振し、前記回転体とともに出力軸が回転する

【０００４】 。

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記したような超音波モータは、振動体とこれに圧接される回転体 との摩擦係数と加圧力によりロックトルクが決定されることになるが、このロッ クトルクに近いある値以上の力が出力軸に加わると、モータ特性が変化したり、 音が発生したりするなどの不安定な状態になるという不具合があった。

【０００５】

【考案の目的】

この考案は、出力軸に加わる力の範囲において、モータ特性の変化や音が生じ る不安定領域での作動を防ぐことができる超音波モータを提供することを目的と している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案による超音波モータは、出力軸を中心にして、振動体と、この振動体 に圧接される回転体を同心状に備えた超音波モータにおいて、出力軸に、略筒状 のホルダを回転自在に設けると共に、前記ホルダに、回転体を装着し、同出力軸 に、前記ホルダの端面に対向するフランジを設けると共に、前記ホルダおよびフ ランジに、互いに接触する摩擦材を設け、且つ、両摩擦材の間の摩擦係数を振動 体と回転体との間の摩擦係数よりも小さく設定した構成とし、上記構成をもって 課題を解決するための手段としている。

【０００７】

【考案の作用】

この考案の超音波モータは、回転体の回転が、ホルダおよび各摩擦材を介して 、出力軸に伝達される。そして、出力軸に、設定した値以上の力が加わると、出 力軸の摩擦材とホルダの摩擦材との間で滑りが生じ、回転体側に負荷がかからな いようにする。

【０００８】

【実施例】

図１は、この考案の一実施例を示す図である。

【０００９】 すなわち、超音波モータは、ベース１に、軸受け２を介して、出力軸３を回転 自在に設けると共に、同ベース１に、円盤状の振動体４を前記出力軸３と同心状 に設け、さらに、前記出力軸３に、ホルダ５を介して、円盤状の回転体６と、こ の回転体６を押圧する皿ばねである加圧用スプリング７が装着してある。

【００１０】 前記出力軸３は、ホルダ５側の端部にフランジ３ａを有している。前記振動体 ４は、外周部に、円周方向にわたって所定間隔で多数の溝を形成した振動部４ａ を有し、この振動部４ａに圧電セラミックスなどの圧電素子８が設けてある。前 記ホルダ５は、円筒形状を成し、一端に、出力軸３のフランジ３ａに対向するフ ランジ５ａを有している。そして、出力軸３およびホルダ５の各フランジ３ａ， ５ａには、互いに接触する摩擦材９，１０が設けてある。

【００１１】 前記回転体６は、円板部６ａの外周に、振動体４の振動部４ａに対応する環状 当接部６ｂを有し、前記円板部４ａには，防振用ラバー１１が設けてある。前記 加圧用スプリング７は、その小径端をホルダ５のフランジ５ａの張り出し面に係 止し、大径端を防振用ラバー１１に接触させている。また、前記ベース１には、 カバー１２（仮想線で一部を示す）が取り付けられ、このカバー１２と出力軸３ のフランジ３ａとの間には、スラストベアリング１３が装着してある。

【００１２】 ここで、前記両摩擦材９，１０の間の摩擦係数は、振動体４とこれに圧接され る回転体６との間の摩擦係数よりも小さく設定してある。つまり、摩擦材９，１ ０の間の摩擦力は、前記振動体４と回転体６との間の摩擦係数と加圧力で決定さ れる当該モータのロックトルクに対応して、モータ特性の変化や音が生じる不安 定領域となる負荷トルクの値をわずかに下回る値で摩擦材９，１０が滑るように 設定してある。

【００１３】 上記超音波モータは、回転体６の回転が、ホルダ５および各摩擦材１０，９を 介して、出力軸３に伝達される。そして、出力軸３に、当該モータのロックトル クに近い不安定領域の力が加わると、出力軸３の摩擦材９とホルダ５の摩擦材１ ０との間で滑りが生じ、これによって回転体６が空回りする状態となり、前記回 転体６に負荷がかかることが防止される。したがって、当該超音波モータは、実 質的に、モータ特性の変化や音が生じる不安定領域では、非作動状態となる。

【００１４】 なお、上記実施例では、ホルダ５に係止した加圧用スプリング７で、回転体６ の押圧と、摩擦材９，１０同士の圧接との両方を行うようにしている。これによ り、より一層の構造の簡略化および小型化を実現できる。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明してきたように、この考案の超音波モータは、出力軸に所定以上の力 が加わった際に、摩擦材のクラッチ機構により、回転体側に前記力が伝達される のを阻止することができ、モータ特性の変化や音が生じる不安定領域での作動を 防ぐことができるので、常に安定した性能を示すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に基づく超音波モータの断
面図である。

【符号の説明】

３ 出力軸 ３ａ フランジ ４ 振動体 ５ ホルダ ６ 回転体 ９ １０ 摩擦材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 吉 岡 茂 樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 (72)考案者 北 島 康 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 (72)考案者 鈴 木 和 也 神奈川県横浜市戸塚区東俣野町1760番地 自動車電機工業株式会社内 (72)考案者 井 上 勝 神奈川県横浜市戸塚区東俣野町1760番地 自動車電機工業株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】出力軸を中心にして、振動体と、この振動
   体に圧接される回転体を同心状に備えた超音波モータに
   おいて、出力軸に、略筒状のホルダを回転自在に設ける
   と共に、前記ホルダに、回転体を装着し、同出力軸に、
   前記ホルダの端面に対向するフランジを設けると共に、
   前記ホルダおよびフランジに、互いに接触する摩擦材を
   設け、且つ、両摩擦材の間の摩擦係数を振動体と回転体
   との間の摩擦係数よりも小さく設定したことを特徴とす
   る超音波モータ。