JPH06925Y2 - コンバインにおける排藁結束装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、機体の後方に移送された排藁を前後搖動する
パッカーにより結束部に押込んで結束するようにしたコ
ンバインにおける排藁結束装置に係るものである。

従来の技術 一般に、排藁チエンによって移送された排藁をパッカー
の搖動運動により結束部に押込んで結束するようにした
コンバインには、排藁チエンの搬送終端部に、排藁をパ
ッカー側に掻込む掻込み爪を設けた排藁結束装置が知ら
れている。

本考案が解決しようとする問題点 ところが、従来は単に円回転するだけの掻込み爪で排藁
を掻込み、ついで前後に搖動するパッカーが引継いで結
束部に押込むようにしているので、この引継部に掻込み
爪とパッカーとのいづれもが排藁に作用しない非作用空
間ができてしまい、このため排藁の搬送不良が生ずるう
え、搖動するパッカーが排藁を押込んでから、前方へ復
帰する戻り行程で、一旦押込まれた排藁が結束紐等によ
り押し戻され、再びパッカーにより押込まれるので、排
藁の踊りが大きくなり、結束される排藁の姿勢が乱れ、
しかも嵩ばった株元側が穂先側よりも搬送され過ぎる。
という欠点がある。

本考案は上記の如き実状に鑑み、これらの欠点を解消す
べく、創案されものであって、掻込み爪とパッカーとの
いずれもが作用しない非作用空間を無くして円滑に排藁
を搬送できるうえ、パッカーの戻し行程でも、一旦押込
まれた排藁が押し戻されないようにして、結束される排
藁の姿勢に乱れを生ずることがなく、しかも嵩ばった株
元側が穂先側よりも搬送され過ぎないようにして整然と
結束作業を行うことができるコンバインにおける排藁結
束装置を提供しようとするものである。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するため、本考案が講じた技術的手
段は、機体の後方に移送された排藁を、前後搖動するパ
ッカーにより結束部に押込んで結束するようにしたコン
バインにおいて、上記パッカー上方の穂先側と株元側に
は、それぞれ掻込み爪を起倒させる爪起立ガイドを有す
る排藁搬送体を設けて、起立した掻込み爪で結束部に向
けて排藁を搬送し、掻込み爪が倒伏する搬送終端位置を
パッカーの搖動軌跡終端と略同一位置にすると共に、穂
先側の爪起立ガイドを株元側の爪起立ガイドよりも搬送
方向後方に長く形成してあることを特徴とするものであ
る。

考案の作用 したがって本考案によれば、機体の後方に移送された排
藁を、前後搖動するパッカーにより結束部に押込むとき
に、パッカー上方の穂先側と株元側に設けた排藁搬送体
から爪起立ガイドによって起立した掻込み爪が、搬送経
路に沿って排藁を結束部に向って掻込むので、従来のよ
うに、掻込み爪からパッカーへ排藁を引継ぐときに、掻
込み爪とパッカーとのいずれもが掻込み作用をしない非
作用空間を生ずることはなく、円滑に排藁を結束部へ搬
送することができる。そして起立した掻込み爪は、排藁
を結束部に押込むパッカーの搖動軌跡終端と略同一位置
まで排藁を搬送してから倒伏するので、パッカーが搖動
しても排藁は常時結束部に向って掻込まれることにな
り、一旦結束部に押込まれた排藁がパッカーの戻り行程
で結束紐等により押し戻されることはなく整然と結束さ
れる。そして穂先側の爪起立ガイドが株元側の爪起立ガ
イドよりも搬送方向後方に長く形成されていて、株元側
の掻込み爪が穂先側よりも早く倒伏するので、排藁の株
元側が嵩ばっていても、株元側が搬送され過ぎることは
ない。

実施例 次に本考案の実施例を添付した図面に基いて詳述する。
１はコンバインの機体後部に配設された排藁チエンであ
って、該排藁チエン１の搬送終端部下方に排藁カッタ
２、その後方には排藁結束機３が装着されていて、上下
動する切替板４の切替操作により、細断作業と結束作業
とに切替えて排藁を処理できるようになっている。そし
て結束作業時には、下動した切替板４の上面から案内板
５上に移送された排藁を、運動軌跡Ａを画いて搖動する
パッカー６が結束部７に押込み、所定量押込まれたのを
感知ドア８が感知すると結束紐９を排藁ａに巻き付けて
結束し、ついでスイパー１０が作動して結束された排藁
ａを機外に放出する。

１１，１１は上記パッカー６の上方に位置して穂先側と
株元側に設けられた排藁搬送体であって、該排藁搬送体
１１は、排藁チエン１の搬送終端側に設けた駆動スプロ
ッケト１２と、結束部７の後方に設けた上記駆動スプロ
ケット１２よりも大径の遊動スプロケット１３との間に
爪取り付けチエン１４を懸回して形成されている。すな
わち、上記爪取り付けチエン１４には、複数の掻込み爪
１５が所定間隔を存して起伏自在に枢支されており、該
掻込み爪１５の基端側には、排藁の搬送経路に沿って爪
起立ガイド１６が設けられていて、駆動スプロケット１
２の回転駆動によって爪取り付けチエン１４が回動する
と、上記爪起立ガイド１６に当接した掻込み爪１５が起
立して、排藁を結束部７に向って搬送する。ついで掻込
み爪１５が、搬送経路終端で爪起立ガイド１６から離脱
して爪取り付けチエン１４側に倒伏するようになってい
る。また、上記爪起立ガイド１６は、第３図に示すよう
に穂先側の爪起立ガイド１６ａの方が株元側の爪起立ガ
イド１６よりも搬送方向後方に長く形成されていて、嵩
の大きな株元側が搬送され過ぎるのを防止している。そ
して上記掻込み爪１５が倒伏した排藁の搬送終端位置Ｂ
は、パッカー６の搖動軌跡終端Ｃと略同一位置となるよ
うに構成されている。また上記掻込み爪１５を爪取り付
けチエン１４に取付ける所定間隔Ｄは、パッカー６の搖
動ストロークＥの1/2となっており、しかもパッカー６
の搖動スピードは、掻込み爪１５の移動スピードの２倍
となっている。

１７は上記排藁搬送体１１の掻込みケースであって、該
掻込ケース１７の下端面と、案内板５によって排藁が搬
送される規制範囲Ｆが形成されており、掻込ケース１７
の後端は、案内板５の後方に配設された補助案内板１８
よりも更に後方まで突出している。また排藁搬送体１１
は第４図に示すように掻込ケース１７とともに左右に位
置調節可能となっている。１９は感知ドア８の後方に設
けた補助感知ドア、２０は駆動スプロケット１２の駆動
軸、２１はノッタガイド２２の入口寸法Ｇを形成する連
結ブラッケトである。

上記の如き構成において、いま排藁結束作業を行うに当
り、まず、切替板４を下動させれば、排藁チエン１で機
体後方に搬送された排藁は、切替板４の上面から案内板
５上に移送され、搖動するパッカー６によって結束部７
に押込まれるが、このときパッカー６上方の穂先側と株
元側に設けた排藁搬送体１１の掻込み爪１５が、爪起立
ガイド１６に当接して起立し、パッカー６と協働して排
藁を搬送経路に沿って掻込むので、掻込み爪１５とパッ
カー６のいずれもが排藁に使用しない非作用空間を生ず
ることはなく、しかもパッカー６の搖動スピードは掻込
み爪１５の移動スピードの２倍となっているので、掻込
み爪１５の掻込み始端部で排藁の株元側あるいは穂先側
に遅れが生じても、第５図に示すようにパッカー６の速
度差により、排藁を機体の幅員方向に平行状とすること
ができて、円滑に結束部７に向って搬送することができ
る。そして掻込み爪１５が爪起立ガイド１６から離脱し
て倒伏した排藁の搬送終端位置Ｂは、パッカー６が排藁
を結束部７に押込んだ搖動軌跡終端Ｃと略同一位置とな
っており、しかも掻込み爪１５の間隔Ｄがパッカー６の
搖動ストロークＥの1/2となっているので、パッカー６
が機体前方へ復帰する戻り行程でも、いずれかの掻込み
爪１５が常時排藁を結束部７に掻込むので、一旦押し込
まれた排藁が、結束紐９等によって押し戻されることは
ない。更に株元側の掻込み爪１５が、長い爪起立ガイド
１６ａに当接する穂先側の掻込み爪よりも早く倒伏する
ので、嵩ばった株元側が搬送され過ぎることはなく、常
に排藁を適正な姿勢に保持して整然と結束作業を行うこ
とができる。また排藁搬送体１１の遊動スプロケット１
３は、大径に形成してあるので、第６図(イ)に示す小径
のスプロケット１３ａに比べて、掻込み爪１５が遊動ス
プロケット１３に沿ってゆっくり上昇するので、排藁が
掻込み爪１５により持廻られるのを防止することができ
る。

考案の効果 これを要するに本考案は、機体の後方に移送された排藁
を、前後搖動するパッカーにより結束部に押込んで結束
するようにしたコンバインにおいて、上記パッカー上方
の穂先側と株元側には、それぞれ掻込み爪を起倒させる
爪起立ガイドを有する排藁搬送体を設けて、起立した掻
込み爪で結束部に向けて排藁を搬送し、掻込み爪が倒伏
する搬送終端位置をパッカーの搖動軌跡終端と略同一位
置にすると共に、穂先側の爪起立ガイドを株元側の爪起
立ガイドよりも搬送方向後方に長く形成してあるこか
ら、機体の後方に移送された排藁を、前後搖動するパッ
カーと掻込み爪が起倒する排藁搬送体の協動作用によっ
て結束部に掻込むので、パッカーと掻込み爪のいずれも
が排藁に作用しない非作用空間が生ずることはなく、排
藁を円滑に結束部に向って搬送することができ、しかも
起立した掻込み爪が、パッカーの搖動軌跡終端と略同一
位置まで常時排藁を掻込むので、パッカーの戻り行程で
も、一旦押込まれた排藁が押し戻されることはなく、結
束される排藁を常に適正な姿勢に保持して整然と結束す
ることができる。そして穂先側の爪起立ガイドが株元側
の爪起立ガイドよりも搬送方向後方に長く形成されてい
て、株元側の掻込み爪が穂先側よりも早く倒伏するの
で、排藁の株元側が嵩ばっていても、株元側が搬送され
過ぎることはない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインにおける排藁結束装置の
実施例を示すものであって、第１図は全体側面図、第２
図は同上平面図、第３図は要部の横断面図、第４図は取
付位置を調節した排藁搬送体を示す平面図、第５図はパ
ッカーの作用説明図、第６図(イ)、(ロ)は遊動スプロケッ
トの作用説明図である。 図中、６…パッカー、７…結束部、１１…排藁搬送体、
１５…掻込み爪である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体の後方に移送された排藁を、前後搖動
   するパッカーにより結束部に押込んで結束するようにし
   たコンバインにおいて、上記パッカー上方の穂先側と株
   元側には、それぞれ掻込み爪を起倒させる爪起立ガイド
   を有する排藁搬送体を設けて、起立した掻込み爪で結束
   部に向けて排藁を搬送し、掻込み爪が倒伏する搬送終端
   位置をパッカーの搖動軌跡終端と略同一位置にすると共
   に、穂先側の爪起立ガイドを株元側の爪起立ガイドより
   も搬送方向後方に長く形成してあることを特徴とするコ
   ンバインにおける排藁結束装置。