JPH0692052A - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法

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JPH0692052A
JPH0692052A JP27105692A JP27105692A JPH0692052A JP H0692052 A JPH0692052 A JP H0692052A JP 27105692 A JP27105692 A JP 27105692A JP 27105692 A JP27105692 A JP 27105692A JP H0692052 A JPH0692052 A JP H0692052A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保水性及び感光層との密着性を改良した平版
印刷版用支持体の製造方法を提供する。 【構成】 0.3mm厚のアルミニウム板1を10%NaOH
水溶液中に浸漬、次いで25%H2SO4水溶液で中和し
た。更にこのアルミニウム板1の表面をブラシ研磨し、
20%NaOH水溶液を用いて、Alの溶解量が10g/m2
なるようにエッチングした。このようにして処理したア
ルミニウム板1をパルス通電によって電解粗面化した。
更に続いて1%NaOH水溶液を用いてAlの溶解量が1g
/m2になるようにアルカリエッチングし、10%H2SO4
水溶液に浸漬してデスマット処理した後、同じく10%H
2SO4水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.5g/m2 の酸
化皮膜を設けた。このようにして作製した支持体を2.5
%珪酸ソーダ水溶液に浸漬して親水化処理を行い、平版
印刷版用支持体を製造した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平版印刷版用支持体の製
造方法に関し、更に詳しくは保水性の優れた表面を有
し、しかもアルミニウム支持体と感光層との密着性が良
好で、耐刷性にも優れた平版印刷版用アルミニウム支持
体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用支持体として従来からアル
ミニウム板が広く使用されているが、支持体と感光層の
密着を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、
支持体の表面を粗面化する、いわゆる砂目立て処理がな
されている。この砂目立て処理法としては、機械的砂目
立て方法、化学的砂目立て方法及び電気化学的砂目立て
方法があり、またこれらを組み合わせた方法も知られて
いる。
【0003】以上のような種々の粗面化処理方法のう
ち、粗面形状の制御が容易であり、しかも微細な粗面が
得られる電気化学的粗面化処理が注目されている。
【0004】特公昭57-22036号公報では、正弦波交流を
サイリスタで位相制御した電流を用いた方法が提案さ
れ、特公昭62-25117号公報では陽極時電気量が陰極時電
気量よりも大となるような交番波形電流にて、200クー
ロン/dm2以下の陽極時電気量にて電解粗面化する方法が
提案され、また特開平1-259992号公報では直流で電解粗
面化する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記方法により得られ
た印刷版用支持体上には、深さが比較的浅いピットしか
生成しておらず、また均一な構造を得るのは難しかっ
た。従って、その支持体から作られた印刷版材は、耐刷
力が低く、更に支持体の保水性が十分満足出来るもので
はなく、印刷時湿し水をしぼると、網点部分の画像が潰
れたり、甚だしい場合は、印刷物全体が汚れてしまうと
いう欠点があった。
【0006】本発明は、上記問題を解消し、オフセット
印刷版において耐刷力、保水性等に満足出来る性能を有
するように、深さの深いピットが全面に均一に存在する
砂目を有し、表面積が大きく表面粗さの大きなアルミニ
ウム板からなるオフセット印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法に関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、上記の
問題を解決するため、アルミニウム板の表面を機械的に
粗面化して起伏、及びこの起伏上に尖った凹凸を形成
し、次に0.5〜30g/m2の範囲で化学的にエッチングして
好ましくは、尖った凹凸のみを消失させ、更に正負逆転
可能な電源を用い、正のパルス電流(以下アルミニウム
板を陽極とした時流れる電流を正と定義する)と負のパ
ルス電流(以下アルミニウム板を陰極とした時流れる電
流を負と定義する)を任意に組合わせ、陽極時電流密度
10〜100A/dm2、陽極時電気量200〜600クーロン/dm2で酸
性水溶液中において電解粗面化を行い、好ましくは平均
開孔径0.5〜5μm、且つ4×106個/cm2以上のピットを全
面に渡って形成し、その後塩基によって0.1〜10g/m2の
範囲で化学的にエッチングを行って前記ピットを角のな
いなだらかな形状とし、最後に陽極酸化処理して陽極酸
化被膜を形成させた平版印刷版用支持体を提供するもの
である。
【0008】本発明に使用されるアルミニウム又はその
合金板(以下単に「アルミニウム板」という) として
は、JIS A-1050材、JIS A-1100材、JIS A-3003材、JIS
A-3103材、JIS A-5005材等が挙げられる。これらのアル
ミニウム板は、機械的粗面化処理されるに先だって、必
要に応じて表面の圧延油を除去するため、又は、清浄な
アルミニウム面を表出させるために、前処理が行われて
もよい。前者のためには、トリクロロエチレン等の溶
剤、界面活性剤、或いはケイ酸ソーダ類が、また、後者
のためには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリエッチングが広く用いられる。
【0009】上記前処理に引き続き機械的研磨を行な
う。アルミニウム板の表面を機械的に粗面化する方法と
しては、従来公知の種々の方法を使用することができ
る。例えば、サンド・ブラスト、ボールグレイン、ワイ
ヤーグレイン、ブラシグレインなどの方法が含まれ、こ
れらの内でも、特にブラシグレインが好ましい。ブラシ
グレイン方法の詳細については、特公昭51-46003号公報
(又は米国特許第3,891,516号明細書) 及び特公昭50-40
047号公報に記載されている。機械的な粗面化は、本発
明の方法により得られる平版印刷版用支持体の中心線平
均粗さRaが0.4〜1.0μmとなるように施されることが好
ましい。この機械的粗面化によってアルミニウム板の表
面には、比較的周期の大きな起伏(第1次構造)と、こ
の起伏上全面に渡って微小な尖った凹凸(第2次構造)
とが形成される。
【0010】上記によって機械的に粗面化されたアルミ
ニウム板の表面を、次は化学的にエッチングする。この
化学的エッチング処理は機械的粗面化されたアルミニウ
ム板の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑などを
取り除き、また上記の微小な尖った凹凸を取り除く作用
を有し、その後に施される電気化学的な粗面化をより均
一に、しかも効果的に達成させることができる。かかる
化学的エッチング方法の詳細は、米国特許第3,834,998
号明細書に記されており、アルミニウムを溶解し得る酸
又は塩基の水溶液へ浸漬する方法である。上記の酸とし
ては、例えば硫酸、過硫酸、塩酸などが含まれ、上記の
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第
三燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸カリ
ウム、第二燐酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、炭酸
ナトリウムなどが含まれる。これらの内でも特に後者の
塩基の水溶液を使用する方がエッチング速度が早いので
好ましい。
【0011】上記エッチングの量はO.5〜30g/m2 、好ま
しくは2.0〜20g/m2の範囲から適宜選択される。このエ
ッチングの量が0.5g/m2 未満の場合には、次工程の電解
エッチングにおいて均一なピットを生成させることがで
きず、また30g/m2 を超える場合には機械的に粗面化し
た第1次構造を消欠してしまう。エッチング剤として用
いる上記の酸又は塩基の濃度は0.05〜40重量%、液温は
40〜100℃、処理時間は5〜300秒の範囲が好ましい。上
記化学的エッチングを、塩基の水溶液を用いて行なった
場合には、一般にアルミニウムの表面にスマットが生成
するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸
又はこれらの内の2以上の酸を含む混酸で処理する、所
謂デスマット処理を施すことが好ましい。
【0012】以上のように処理されたアルミニウム板
を、次に塩酸、硝酸等の酸性電解液中で電気化学的に粗
面化する方法において、サイリスタ整流器を用いた、正
負逆転可能な電源より発生するパルス電流を用いて電解
粗面化を行う。図2及び図3にパルス通電の通電パター
ンを例示する。通電方法は、図2のようにまず正パルス
をA回通電し、次に負パルスをB回通電し、これを1サ
イクルとする。各パルスの間には必ず休止時間tを設け
る。
【0013】図3は通電時間T、電流量Iで正パルスを
2回、負パルスを1回通電した時の波形のモデルであ
る。本発明の方法において、Ta1、Ta2及びTcは、10m
sec〜500msec、好ましくは20msec〜300msecの範囲から
適宜選択される。1パルスの時間Tが10msecより短いと
電解粗面化に要する時間がかかり、生産上不利であり、
500msecを超える場合にはピット径が大きくなり、また
不均一な粗面となってしまう。ここで各通電時間Ta1
Ta2及びTcは全て同一の時間でも良く、また全て異な
る時間でも良い。
【0014】また休止時間ta1、ta2及びtcは、10mse
c〜200msec、好ましくは15msec〜100msecの範囲から適
宜選択される。休止時間が10msecより短いと、サイリス
タ整流器の制御が難しくなり、甚だしい場合は、正パル
ス同士の重複、正パルス、負パルスの短絡を起こしてし
まうことがある。一方、休止時間が200msecを超える場
合は電解粗面化に関与しない無駄な時間ばかりが長くな
ってしまい、生産性が悪くなってしまう。ここでta1
ta2及びtcは、全て同一の時間でも良く、また全て異
なる時間でも良い。
【0015】各パルスの電流値Ia1、Ia2及びIcは、1
0〜100A/dm2、好ましくは20〜80A/dm2の電流密度の範囲
から適宜選択される。電流密度が10A/dm2より小さい
と、ピット数が少なくなり、またピット径が大きくなっ
てしまい、十分な保水性を得ることが出来なくなってし
まう。電流密度が100A/dm2より大きくなると、ピットを
均一に生成することが出来なくなってしまう。ここでI
a1、Ia2及びIcは、全て同じ電流密度でも良く、また
全て異なる電流密度でも良い。
【0016】本発明の方法は、上記の1パルスの時間
T、休止時間t及び電流密度Iを組み合わせ、陽極時電
気量200〜600クーロン/dm2、陽極時電気量Qaと陰極時
電気量Qcとの比Qc/Qaが0.5〜1.5の範囲で電解処理
することにより、その直径に対し深さの深いピットが均
一且つ全面に渡って存在する砂目構造を有する平板印刷
版用支持体を製造し得るものである。
【0017】本発明の方法における酸性電解液とは、硝
酸、塩酸又は硝酸と塩酸との混合物、及び、これらの酸
と有機酸、硫酸、リン酸等の他の酸を混合したものの水
溶液であり、酸濃度は2〜50g/lの範囲から選ばれるのが
適当であり、これらの電解浴には、更に腐食抑制剤(又
は安定剤)等を含有させておくことができる。また電解
液の温度は30℃〜80℃の範囲が好ましい。本発明の方法
による電気化学的な粗面化は、バッチ処理、半連続法、
連続法のいずれでも実施することが可能である。
【0018】上記電解粗面化終了後、アルミニウム板を
再度塩基で化学エッチングする。このエッチングは前記
の塩基の水溶液へ浸漬する方法と同様であり、前記の水
酸化ナトリウム等の塩基が使用される。このエッチング
量は0.1〜10g/m2 の範囲である。エッチング量が0.1g/m
2 未満の場合には、電解研磨によって得られたピット間
突出部を溶解して、角のないなだらかな構造とすること
ができず、地汚れを発生しやすくなる。一方、10g/m2
を超える場合は電解研磨によって得られたピットが消失
してしまい、保水性等に問題が発生する。エッチング剤
として用いる上記塩基の濃度は0.05〜20重量%、温度は
40〜100℃、処理時間は1〜100秒の範囲が好ましい。こ
の塩基による化学エッチングの後、リン酸、硝酸、硫
酸、クロム酸等でデスマット処理することが好ましい。
【0019】以上のように処理したアルミニウム板を次
に陽極酸化処理する。この陽極酸化処理は周知の方法に
したがって行うことができる。例えば、硫酸、燐酸、シ
ュウ酸、クロム酸、アミドスルホン酸又はこれらの二種
以上の混合物、或いはこれらにAl3+イオンを含有する
水溶液或いは非水溶液などを電解液とし、主として直流
を用いて陽極酸化処理するが、交流又はこれらの電流の
組み合わせを使用することもできる。このときの電解質
濃度は1〜80重量%、温度は5〜70℃の範囲、電流密度は
0.5〜60A/dm2 の範囲、酸化皮膜重量は0.3〜6g/m2の範
囲が好ましい。
【0020】以上のように陽極酸化したアルミニウム板
は、更に米国特許第2,714,066号及び米国特許第3,181,4
61号の各明細書に記載されているようにアルカリ金属シ
リケート、例えば珪酸ナトリウムの水溶液に浸漬するな
どの方法により親水化処理することができる。また、特
開昭59-101651号公報に記載されているスルホン酸基を
有するモノマー単位を含む高分子化合物から成る下塗り
層や、特開昭60-149491号公報に記載されている、NH4
基、COOH基、SO3H基を有する化合物からなる下
塗り層なども用いることができる。
【0021】このようにして得られた平版印刷版用支持
体の上には、従来より知られている感光層を設けて、感
光性平版印刷版を得ることができ、これを製版処理して
得た平版印刷版は、優れた性能を有している。この感光
層中に用いられる感光性物質は、特に限定されるもので
なく、通常、感光性平版印刷版に用いられている各種の
ものを使用することができる。
【0022】このような感光性物質としては、キノンジ
アジド化合物又はナフトキノンジアジド化合物とフェノ
ールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂との組
み合わせからなるポジ型感光性物質、ポリビニルシンナ
メート等を用いた光架橋性物質、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ア
クリルアミド、アクリロニトリル等を共重合して得られ
た高分子バインダーと、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル等の分子内に二重結合を有する単量体、及
びベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサ
ントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせからなる
光重合性物質、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒ
ド又はアセトアルデヒドとの縮合物とアクリレート樹
脂、メタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタ
ン樹脂との組み合わせからなる分子付加性のネガ型感光
性物質などが使用される。
【0023】
【作用】本発明の方法によれば、平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の表面全面に渡って、その直径に比べ深さの
深いピットが均一に形成されるため、支持体の比表面積
が大きくなる。従って、この支持体を用いて作成された
平版印刷版は、保水性が優れ、印刷時において印刷開始
時の立ち上がりが早く、損紙が少ない。また、湿し水を
少なくしても網点部の画像が潰れることもなく、耐刷性
の優れた平版印刷版となる。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1は本発明に基づく平版印刷版用支持体及びこの
支持体を用いた感光性平版印刷版の製造の一例を示す工
程図である。本図において、(a)はアルミニウム板1を
機械的粗面化したときの基板表面の状態を示すものであ
って、起伏2が形成されると共にこの起伏2上の全面に
微細な尖った凹凸3が形成されている。(b)は第1回目
の化学エッチングを行った様子を示すものであり、尖っ
た凹凸3は消失しているか、又は角のないなだらかな形
状となっている。(c)は電解粗面化後にピット4が形成
された様子を示したものであり、角の尖ったピット4が
全面にできている。最後の(d)は第2回目の塩基による
化学エッチングを行った様子を示したものであり、直径
に比べて深さの深いピット4が均一に形成されている。
これに更に耐摩耗性、耐食性を付与するために陽極酸化
処理を行うことによって本発明に基づく平版印刷版用支
持体を得ることができる。
【0025】また同図(e)はアルミニウム板1上に感光
層5を形成した本発明に基づく感光性平版印刷版を示す
物である。この感光性平版印刷版は、上記の陽極酸化処
理されたアルミニウム板1の表面を好ましくは珪酸ナト
リウム水溶液等に浸漬して親水化処理を行い、ここへ感
光性物質、染料、アルカリ可溶性樹脂、ポリマー及び溶
剤等からなる感光層形成材料を回転塗布等の方法で0.05
〜5.0g/m2程度塗布し、乾燥して感光層5を形成したも
のである。
【0026】次に本発明の方法を更に具体的に説明する
が、本発明の方法は、この実施例のみに限定されるもの
ではない。実施例1〜4 0.3mm厚のアルミニウム板1(JIS A-1050材)を10%N
aOH水溶液中に50℃で20秒間浸漬して脱脂を行った後
水洗し、次いで25%H2SO4水溶液で30秒間中和して水
洗した。次いでナイロンブラシと400メッシュのパーミ
ストン水懸濁液を用いてこのアルミニウム板1の表面を
ブラシ研磨し、その後よく水洗した。更に70℃の20%N
aOH水溶液を用いて、アルミニウムの溶解量が10g/m2
になるようにアルカリエッチングした。
【0027】その後水洗し、25%硝酸水溶液でデスマッ
トしてから水洗した。このようにして処理したアルミニ
ウム板1を下記(表1)に示した条件でパルス通電によ
って電解粗面化を行なった。使用した電解液は、硝酸を
15g/l含み、液温は50℃であった。更に電解粗面化に続
いて70℃の1%NaOH水溶液を用いてAlの溶解量が1g
/m2になるようにアルカリエッチングし、10%H2SO4
水溶液で50℃で2分間浸漬してデスマット処理した後、
同じく10%H2SO4水溶液中で陽極酸化処理を行って、
2.5g/m2 の酸化皮膜を設けた。このようにして作製した
支持体を2.5%珪酸ソーダ水溶液に80℃で1分間浸漬
し、親水化処理を行い、平版印刷版用支持体A−1〜A
−4を用意した。
【0028】
【表1】
【0029】比較例1 電解粗面化時において、正弦波交流を全波整流した直流
電流にて、電流密度40A/dm2、電気量300クーロン/dm2
て粗面化した以外は実施例と同様に処理した支持体B−
1を用意した。
【0030】比較例2 電解粗面化時において、正弦波交流にて、陽極時電流密
度40A/dm2、陽極時電気量300クーロン/dm2にて粗面化し
た以外は実施例と同様に処理した支持体B−2を用意し
た。
【0031】比較例3 電解粗面化時において、交番波形電流にて陽極時電流密
度35A/dm2、陽極時電気量175クーロン/dm2、陽極時電気
量Qaと陰極時電気量Qcとの比Qc/Qa=0.8にて粗面
化した以外は実施例と同様に処理した支持体B−3を用
意した。
【0032】上記A−1〜A−4及びB−1〜B−3の
各支持体を用いてポジ型PS版及びネガ型PS版を作製
した。この支持体は先ずポジ型PS版について、下記組
成の感光液を各支持体に塗布し、乾燥重量が2.0g/m2
感光層を有するPS版を作製した。 感光液組成 ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライドと アセトンピロガロール樹脂とのエステル化物 2.6g クレゾールノボラック樹脂 7.0g ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド 0.06g オイルブルー 0.1g エチレングリコールモノメチルエーテル 100g
【0033】またネガ型PS版についても、ポジ型の場
合と同様の前記各支持体に下記組成の感光液を塗布し、
乾燥膜厚2.0g/m2のネガ型PS版を作製した。 感光液組成 N−(4−ヒドロキシフェニル)メタアクリルアミド/2−ヒドロキシメタク リレート/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリル酸(=10:20 :25:35:10モル比)の共重合体 5.0g 4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物の六弗化燐酸塩 0.5g ビクトリアブル−BOH(保土谷化学工業(株)製) 0.1g 2−メトキシエタノール 100g
【0034】このようにして得られたポジ型PS版及び
ネガ型PS版を製版処理して、得られた平版印刷版を新
聞用オフセット印刷機リソピア(三菱重工(株)製)に
セットして印刷を行った。版面の全面を水で拭いてアラ
ビアゴムを落とした後、版面を乾かし、インキローラー
を落とし全面に印刷インキを付着させた。その後水棒を
落とし、非画像部のインキが完全になくなって汚れのな
い印刷物が得られるまでの枚数(損紙枚数)と、湿し水
最適目盛、耐刷力についても調べた。
【0035】この結果をポジ型PS版については下記
(表2)に、またネガ型PS版については(表3)に示
す。なお、損紙枚数は、少ないほど水上がりが良く、湿
し水最適目盛の数字は小さい方が水を少なくすることが
出来るため、保水性が優れている。また耐刷力は、印刷
可能部数を表すものであり、数字が大きいほど良い。
【0036】
【表2】
【表3】
【0037】(表2)及び(表3)からも明らかなよう
に、本発明の方法による電解粗面版は、損紙枚数が少な
く、湿し水目盛も小さいことから、保水性において優秀
な支持体であることが分かる。更に、耐刷力において
も、優れた性能を有した支持体である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明の方法によれ
ば、平版印刷版用アルミニウム支持体の表面全面に渡っ
て、その直径に比べ深さの深いピットが均一に形成され
ており、このため支持体の比表面積が大きくなり、この
支持体を用いて作成された平版印刷版は、保水性が優
れ、印刷時において印刷開始時の立ち上がりが早く、損
紙が少ない。また、湿し水を少なくしても網点部の画像
が潰れることもなく、耐刷性の優れた平版印刷版を製造
することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法及びこ
の支持体を用いた感光性平版印刷版の製造の一例を示す
工程図
【図2】本発明に係るパルス通電の通電パターンの例
【図3】同上
【符号の説明】
1…アルミニウム板、2…起伏、3…尖った凹凸、4…
ピット、5…感光層、T…1パルスの時間、t…休止時
間、I…電流密度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大田 勝行 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内 (72)発明者 青山 俊身 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平版印刷版用支持体であるアルミニウム
    板の粗面化において、アルミニウム板の表面を、機械的
    に粗面化する工程と、次に0.5乃至30g/m2の範囲で化学
    的にエッチングする工程と、更に酸性電解液中におい
    て、10乃至100A/dm2 の陽極時電流密度、200乃至600ク
    ーロン/dm2 の陽極時電気量となる様なパルス通電で電
    解粗面化を行う工程と、その後塩基によって0.1乃至10g
    /m2の範囲で化学的にエッチングを行う工程と、最後に
    陽極酸化被膜を形成させる工程とを含有することを特徴
    とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パルス通電において、正パルス電圧
    と、負パルス電圧が、好適に組み合わされ印加されるこ
    とにより、電解粗面化される請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記電解粗面化によって、平均開孔径0.
    5乃至5μm且つ4×106乃至4×108個/cm2以上のピットを
    全面に渡って形成する請求項1に記載の製造方法。
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