JPH068943Y2 - ワイパブレード構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ワイパブレード構造に関し、特に車輌等の高
速走行時に於けるワイパブレードの浮き上がりを防止す
るためのワイパブレード構造に関する。

〈従来の技術〉 一般に、各種車輌には、ウィンドシールドのガラス面に
付着した雨滴等を払拭するためにワイパ装置が設けられ
ているが、車輌の走行時には、ガラス面を流れる気流に
より揚力が生じて、ワイパブレードが浮き上がり易くな
る。そこで、その浮き上がりを防止するためのフィンを
ワイパアームに設けて、気流を利用してワイパブレード
をガラス面に押し付けるものがある。

ところで、ウィンドシールドの後傾度の大きい車輌では
比較的長いワイパブレードを用いているが、その長さに
応じて揚力も大きくなるためフィンも大きくする必要が
ある。しかしながら、フィンを大きくすると、ワイパモ
ータのトルクも大きくしなければならず、高出力型のワ
イパモータが必要となり、ワイパ装置の製造コストが高
騰するという問題があった。

〈考案が解決しようとする課題〉 このような従来技術の問題点に鑑み、本考案の主な目的
は、高速走行時に於けるワイパブレードの浮き上がりを
防止し、かつワイパブレード側の負荷を減少し得る改良
されたワイパブレード構造を提供することにある。

［考案の構成］ 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、往復回路運動を行
うワイパアームと、該ワイパアームに枢着された第１の
ワイパブレード部と、前記ワイパアームに回動自在に中
間部を枢支された揺動レバーと、前記揺動レバーの一端
部に枢着された第２のワイパブレード部と、前記第２の
ワイパブレード部をガラス面に押し付ける向きに前記揺
動レバーを付勢するためのばね手段と、走行風により前
記ガラス面に向かう力を発生するべく前記揺動レバーの
他端部に設けられたフィンとを有することを特徴とする
ワイパブレード構造を提供することにより達成される。

〈作用〉 このようにすれば、高速走行時には、その走行風により
フィンが受ける空気抵抗力が大きくなって、てこの作用
により、第２のワイパブレード部をガラス面から離反さ
せる向きに揺動レバーが回動するため、ワイパブレード
のガラス面に接触する長さが短くなったのと同じになる
と共に、フィンに生じるガラス面に向かう力が、揺動レ
バーを介して第１のレバーをガラス面に押し付ける力と
して加わり、ワイパブレードの単位長さ当りの押し付け
力が大きくなる。従って、高速走行時のワイパブレード
の浮き上りを防止するために、空気抵抗力によるフィン
の押し付け力を大きくするべく、フィンを大型化する必
要がないため、フィンを小形化でき、ワイパモータに対
するワイパブレード側の負荷を減らすことができる。

〈実施例〉 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図に、本考案が適用された例えば自動車のワイパブ
レードが模式的に示されている。ワイパ装置の図示され
ないリンク機構のワイパ軸にワイパアーム１の基端部が
結合されており、ワイパアーム１が、ガラス面９に沿っ
て往復回動運動を行うようにされている。図に示される
ように、ワイパアーム１の遊端部には例えばトーナメン
ト式構造のメインワイパブレード部２ａが結合されてい
ると共に、ワイパアーム１の中間部には同様にトーナメ
ント式構造のサブワイパブレード２ｂが結合されてお
り、両ワイパブレード部２ａ、２ｂにより１本のワイパ
ブレードが構成されている。なお、メインワイパブレー
ド部２ａの方が、サブワイパブレード部２ｂよりも長く
形成されている。

ワイパアーム１の遊端部にはメインワイパブレード部２
ａのメインクリップ３ａが結合されており、メインクリ
ップ３ａを介してメインワイパブレード部２ａの第１レ
バー５ａの中間部が揺動自在に枢支されている。第１レ
バー５ａの両遊端部には、一対の第２レバー６ａ、６ｂ
の各中間部がそれぞれ揺動自在に枢支されており、両第
２レバー６ａ、６ｂの各遊端部と比較的長いメインブレ
ードラバー４ａの適所とが互いに結合されて、ワイパア
ーム１の遊端部にメインブレードラバー４ａが支持され
ている。

ワイパアーム１の中間部には、互いに回動自在に結合さ
れた一対のブラケット１１の一方が取付けられており、
ブラケット１１の他方が、揺動レバー８の中間部と結合
されている。この揺動レバー８の遊端部には、サブワイ
パブレード部２ｂのサブクリップ３ｂが結合されてお
り、上記と同様に、サブクリップ３ｂを介してサブワイ
パブレード部２ｂの第１レバー５ｂの中間部が揺動自在
に枢支されている。第１レバー５ｂの両遊端部には、一
対の第２レバー７ａ、７ｂの各中間部がそれぞれ揺動自
在に枢支されており、両第２レバー７ａ、７ｂの各遊端
部と比較的短いサブブレードラバー４ｂの適所とが互い
に結合されて、ワイパアーム１の中間部に揺動レバー８
を介してサブブレードラバー４ｂが支持されている。

なお、ブレードラバー４がガラス面９の曲率の変化に追
従し得るように、上記した各レバーの長さ及び各ブレー
ドラバー４ａ、４ｂ自身の弾性力などにより、各ブレー
ドラバー４ａ、４ｂに適正な荷重分布が生じるようにさ
れている。

揺動レバー８は、ブラケット１１による枢支部に対して
遊端部８ａとは相反する側にも延出されており、その延
出部にはフィン１０が設けられている。このフィン１０
は、走行時のガラス面９上の気流を受けて空気抵抗力を
生じるように形成されており、その空気抵抗力により、
遊端部８ａ側をガラス面９から離反させるべく、図の矢
印Ａの向きに揺動レバー８を回動させることとなる。ま
た、一対のブラケット１１の両者を互いに連結する枢支
ピンにはトーションスプリング１２が巻回されており、
このトーションスプリング１２により、揺動レバー８
が、その遊端部８ａ側をガラス面９に向けてばね付勢さ
れている。従って、走行風によりフィン１０が受ける空
気抵抗力をもって、揺動レバー８には、てこの作用によ
り、トーションスプリング１２による付勢力に抗する図
の矢印Ｍの向きのモーメントが作用することとなる。

次に作動要領について以下に示す。

比較的低速時には、ガラス面９上の走行風の風圧が弱い
ため、フィン１０が受ける空気抵抗力が小さく、トーシ
ョンスプリング１２による付勢力よりもフィン１０が受
ける空気抵抗力によるモーメントＭの方が小さいため、
サブワイパブレード部２ｂがガラス面９に向けて押し付
けられている第１図の状態である。従って、ワイパブレ
ードは、メインワイパブレード部２ａとサブワイパブレ
ード部２ｂとの両者を合せた全長（Ｌ）に亘ってガラス
面９に向けて押し付けられている。

次に、比較的高速時には、ガラス面９上の風圧が強くな
るため、フィン１０が受ける空気抵抗力が大きく、トー
ションスプリング１２による付勢力よりもフィン１０が
受ける空気抵抗力によるモーメントＭの方が大きくなる
ため、第２図に示されるように、サブブレードラバー４
ｂをガラス面９から離反させる向きに揺動レバー８が回
動する。すると、ガラス面９には、サブワイパブレード
部２ｂの長さ（ａ）を除いたメインワイパブレード部２
ａの長さ（Ｌ−ａ）であるメインブレードラバー４ａの
みが接触するため、ワイパブレード全体の単位長さ当り
の押し付け力が相対的に増加したのと同様になり、フィ
ン１０による押し付け力を大きくすることなく、十分な
押し付け力を確保できる。従って、大きなフィン１０を
設けることなく、高速時にもワイパブレードに対する十
分な押し付け力を確保することができるため、大型のワ
イパモータを設ける必要がない。

尚、高速走行時に於けるガラス面９に対して、サブブレ
ードラバー４ｂの部分については払拭しなくなるが、高
速走行時の視野を確保するのに必要なエリアをメインブ
レードラバー４ａにより払拭するようにすれば良く、何
ら不都合を生じることがない。また、フィン１０に作用
する空気抵抗力もメインブレードラバー４ａのガラス面
９への押し付け力として加算されるため、従来のフィン
型ブレードと同様に揚力による浮き上がりを好適に防止
することができる。また、本実施例に於いては、メイン
ブレードラバー４ａとサブブレードラバー４ｂとの両者
間が若干離れているが、両者を互いにラップさせること
により、両者の境界に水滴が残るという不都合を解消す
ることができる。

［考案の効果］ このように本考案によれば、高速走行時には、走行風に
より生じるフィンの空気抵抗力により、第２のワイパブ
レード部を揺動レバーを介してガラス面から離反させる
と共に、第１のワイパブレード部をガラス面に向けて押
し付ける力が生じるため、ワイパブレードの単位長さ当
りの押し付け力が相対的に大きくなり、比較的小さなフ
ィンにより、高速走行時に生じる揚力に抗する十分な押
し付け力を確保することができる。従って、ワイパモー
タを小形化できるため、ワイパ装置の小形化及び低廉化
が可能であり、その効果は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案が適用されたワイパブレードを模式的
に示す図である。 第２図は、ワイパブレードの作動要領を示す第１図に対
応する図である。 １…ワイパアーム ２ａ…メインワイパブレード部 ２ｂ…サブワイパブレード部 ３ａ…メインクリップ、３ｂ…サブクリップ ４ａ…メインブレードラバー ４ｂ…サブブレードラバー ５ａ、５ｂ…第１レバー ６ａ、６ｂ…第２レバー ７ａ、７ｂ…第２レバー ８…揺動レバー、８ａ…遊端部 ９…ガラス面、１０…フィン １１…ブラケット １２…トーションスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】往復回動運動を行うワイパアームと、該ワ
   イパアームに枢着された第１のワイパブレード部と、前
   記ワイパアームに回動自在に中間部を枢支された揺動レ
   バーと、前記揺動レバーの一端部に枢着された第２のワ
   イパブレード部と、前記第２のワイパブレード部をガラ
   ス面に押し付ける向きに前記揺動レバーを付勢するため
   のばね手段と、走行風により前記ガラス面に向かう力を
   発生するべく前記揺動レバーの他端部に設けられたフィ
   ンとを有することを特徴とするワイパブレード構造。