JPH068940Y2 - 車両用シ−トベルトの配設構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用シートベルトの配設構造に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来の車両の前席用シートベルトにおいては、例えば実
開昭５８−４８２５９号公報に開示されているように、
シートベルト巻取部材が車体のセンタピラーに装着され
ていたが、本出願人は、ベルトライン上に見えるシート
ベルト量を少なくし、見栄えを向上させるためにシート
ベルト巻取部材をリヤドアパネルに装着するものを別途
出願している。この構造においては、シートベルト巻取
部材から繰り出される前席用シートベルトは、リヤドア
パネルのドアトリムに形成されたシートベルト出口穴を
経由して前席方向に延伸している。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、上記の構造においては、シートベルトはドアト
リムのシートベルト出口穴の周縁部に当接し前席方向へ
案内されるため、ドアトリムにはシートベルト出口穴を
押し広げようとする荷重が入力すると共に、車両の急停
車等によりシートベルトには急激な引張力が作用するの
で、ドアトリムのシートベルト出口穴がシートベルトを
介して作用する荷重により変形させられないようにする
必要がある。

本考案は、上述したように、ドアトリムのシートベルト
出口穴の変形を防止することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記従来の問題点を解決するための手段とし
て、インナパネルとアウタパネルとから形成されるとと
もに、該インナパネルの車室側にドアトリムが設けられ
てなる車両のリヤドアパネルにシートベルト巻取部材が
装着され、該シートベルト巻取部材から繰り出された前
席用シートベルトが、前記インナパネルに固設されたシ
ートベルトガイド部材と、該シートベルトガイド部材に
対応して前記ドアトリムに形成されたシートベルト出口
穴とを順次経由して前席方向に延伸している構成とした
ものである。

（作用） 上記本考案の構成によれば、シートベルトはシートベル
トガイド部材に当接して保持され、該シートベルトガイ
ド部材に対応して設けられているドアトリムのシートベ
ルト出口穴の周縁部には、ほとんど当接することはな
い。これにより、シートベルトがガイドされることによ
ってガイド部分に作用する荷重はシートベルトガイド部
材に作用し、ドアトリムのシートベルト出口穴には、ほ
とんど作用しない。したがって、該シートベルト出口穴
がシートベルトにより変形させられることは防止される
のである。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図に基づいて
説明する。

本実施例においては、第３図に示すように、車両のリヤ
ドアパネル１にシートベルト巻取部材２が装着され、シ
ートベルト巻取部材２から繰り出された前席用シートベ
ルト３が前席４に向って延伸している。リヤドアパネル
１は、第１図および第２図に示すように、インナパネル
５とアウタパネル６とから形成されるとともに、インナ
パネル５の車室側にドアトリム７が設けられてなる。イ
ンナパネル５とアウタパネル６との間には、リヤウイン
ドガラス８が昇降可能に設けられている（第２図参
照）。インナパネル５の前端部上縁には、車外側にレイ
ンフォースメント９と、車室側にアンカーレインフォー
スメント１０とがボルト１１およびナット１２により固
設されている。これら両レインフォースメント９，１０
は、いずれもみぞ形の断面形状を有し、互いに対向して
箱形の断面形状を形成することによりインナパネル５の
前端部上縁を補強している。アンカーレインフォースメ
ント１０の車室側側面には、シートベルトガイド部材１
３がボルト１４およびナット１５により固設されてい
る。シートベルトガイド部材１３は、ハート形板状体の
ガイド部１３ａの外周に４個の取付足１３ｂが形成され
てなる。ガイド部１３ａには、丸棒製縁金１３ｃにより
縁取りされたガイド穴１３ｄが円弧状に形成されるとと
もに、表面に３個のベゼル取付足１３ｅが固着されてい
る（第１図参照）。シートベルト巻取部材２は、インナ
パネル５の車室側側面のアンカーレインフォースメント
１０下方に固設されている。ドアトリム７には、前記ガ
イド穴１３ｄに対応する位置にベゼル１６により被われ
たシートベルト用開口部７ａが設けられている。ベゼル
１６は、前記ガイド穴１３ｄに対応してそれより広幅に
円弧状に形成されたシートベルト出口穴１６ａを有する
方形板で、前記ベゼル取付足１３ｅに固設されている。
シートベルト巻取部材２から上方に繰り出された前席用
シートベルト３は、前記ガイド部１３ａの背面からガイ
ド穴１３ｄおよびシートベルト出口穴１６ａを順次経由
して前席４方向に延伸し、前席４のシートバック４ａ上
隅に固設された環状のシートベルトガイド４ｂを経由
し、前席４の左右両側において車体に固定されている
（第１図、第３図参照）。

上記構成の本実施例において、シートベルト３がガイド
されることによりガイド部分に作用する荷重および急停
車等によりシートベルト３を介して該ガイド部分に作用
する前席の乗員による急激な引張力は、シートベルト３
の当接するガイド穴１３ｄの縁金１３ｃおよび前席４の
シートベルトガイド４ｂにより支持され、ガイド穴１３
ｄに対応して形成されシートベルト３が当接しないベゼ
ル１６のシートベルト出口穴１６ａではほとんど支持さ
れない。したがって、シートベルト出口穴１６ａがシー
トベルト３により変形させられることは防止される。ま
た、ここでインナパネル５は、両レインフォースメント
９，１０により補強され十分な剛性が確保されている。
なお、ガイド穴１３ｄおよびシートベルト出口穴１６ａ
が円弧状に形成されているのは、シートバック４ａを前
後に傾倒したとき、シートベルト３がねじれるのを防止
するためである。

（考案の効果） 本考案は、以上述べたように、引張力を受けたシートベ
ルトをシートベルトガイド部材に当接させる構成とした
ので、ドアトリムのシートベルト出口穴がシートベルト
により変形させられることを防止できるという利点を有
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はシートベルト
ガイド部材周辺の分解斜視図、第２図はその断面図、第
３図は車室内の概略斜視図である。 １……リヤドアパネル、２……シートベルト巻取部材、
３……シートベルト、４……前席、５……インナパネ
ル、６……アウタパネル、７……ドアトリム、１３……
シートベルトガイド、１６ａ……シートベルト出口穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インナパネルとアウタパネルとから形成さ
   れるとともに、該インナパネルの車室側にドアトリムが
   設けられてなる車両のリヤドアパネルにシートベルト巻
   取部材が装着され、該シートベルト巻取部材から繰り出
   された前席用シートベルトが、前記インナパネルに固設
   されたシートベルトガイド部材と、該シートベルトガイ
   ド部材に対応して前記ドアトリムに形成されたシートベ
   ルト出口穴とを順次経由して前席方向に延伸しているこ
   とを特徴とする車両のシートベルト配設構造。