JPH0689325A - 図形表示方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の図形属性情報の重ね合わせ表示につい
て、その指示、操作方法を簡便にし、その重ね合わせ条
件、状態を直感的に理解しやすくすること。 【構成】図形表示方式は、それぞれ属性情報を付された
複数の図形要素からなる図形層を複数有する図形データ
（１２）を記憶する記憶手段と、図形データを表示する
表示手段と、その表示手段に表示させる図形層を選択す
る選択手段（１５）と、各図形層毎に設けられ、その図
形層上の各図形要素を前記表示手段に表示させる際の表
示属性を設定する設定手段（１４）と、選択手段により
選択された図形層を前記記憶手段から読み出し、読み出
した図形層を前記設定手段の設定結果に基づいて表示手
段の表示画面上に重ね合わせ表示を行う表示制御手段
（１１，１３）とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、階層化された属性情報
と図形情報により構成されたデータを検索、表示する図
形表示システムに関し、特に、そのシステムにおいて図
形属性情報を重ね合わせ表示する際のユーザーインタフ
ェースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の図形情報検索表示システムでは、
図形属性情報を重ね合わせ表示する際、通常、属性情報
を何も表示しないベースレイヤー（白地図）上に、その
アプリケーションプログラムに必要な既にオーダーされ
た図形属性情報を重ね合わせ表示していた（例えば、特
開昭６３−１２６０７１号公報、特開昭６３−１２６０
７２号公報、特開平１−２２７１８２号公報、特開平１
−２５８１８３号公報等参照）。そしてその重ね合わせ
表示は、ユーザが表示画面上の特定の地点を指定して図
形属性情報の表示を指令したり、あるいは表示画面上に
設けた図形属性情報に対応するスイッチをＯＮすること
により行っていた。すなわち、図２３に示すように、表
示画面上の図形表示部の外に表示スイッチ部を設け、表
示スイッチ部には図形属性情報に対応した数のスイッチ
を設け、スイッチをＯＮにした図形属性情報が図形表示
部に重ね合わせて表示されるようにしていた。図形属性
情報を多数含む図形情報があり、例えば地図情報の場合
に、法定の用途地域を表す地図属性情報としては、第１
種住居専用地域、第２種住居専用地域、住居専用地域、
近隣商業地域、商業地域、準工業地域、特別工業地域な
どがあり、また建物の構造を表す属性情報としては木
造、コンクリート、鉄筋などがあり、建物の高さを表す
属性情報としては１階、２階、３階…があり、そのほか
地図を利用する際に必要な属性情報を網羅すれば極めて
多くのものとなる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このように表示するべ
き図形属性情報の種類が増えると、それにに伴って、重
ね合わせ表示を指示するスイッチの数も増大する。従っ
て、限られた広さの表示画面上に図形のほかに多数のス
イッチを収めて表示するのは困難となる。すなわち、複
数の重ね合わせ表示を行う際のユーザーインタフェース
は、システム操作画面レイアウト上の制約のために、非
常にその実現が困難となる。さらに、重ね合わせにある
ＡＮＤ表示の状態がシステム使用者にとって直感的に理
解し難く、また操作感が悪いものとなる。

【０００４】本発明は、前記した従来技術の欠点を除去
改良するものであり、複数の図形属性情報の重ね合わせ
表示について、その指示、操作方法を簡便にし、その重
ね合わせ条件、状態を直感的に理解しやすくすることに
より、自由自在に重ね合わせ表示の組合せを設定でき、
自然で良好な操作感を得ることのできる方法および装置
を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段および作用】本発明の図形
表示方式は、それぞれ属性情報を付された複数の図形要
素からなる図形層を複数有する図形データ（図１の１
２）を記憶する記憶手段（図２の２１）と、前記図形デ
ータを表示する表示手段（図２の２２）と、前記表示手
段に表示させる図形層を選択する選択手段（図１の１
５）と、前記各図形層毎に設けられ、その図形層上の各
図形要素を前記表示手段に表示させる際の表示属性を設
定する設定手段（図１の１４）と、前記選択手段により
選択された図形層を前記記憶手段から読み出し、読み出
した図形層を前記設定手段の設定結果に基づいて表示手
段の表示画面上に重ね合わせ表示を行う表示制御手段
（図２の２５，図１の１１，１３）とを具備する。

【０００６】図形データは、複数の図形層からなる。例
えば、地図データの場合に地図の属性毎にまとめた各地
図情報が図形層となる。すなわち、法定の用途地域を描
いた用途地域地図、街区を描いた街区地図、建物を描い
た建物地図など、種々の地図の属性に着目して必要な図
形層のデータがそれぞれ予め作成され記憶手段に格納さ
れる。また、各図形層はその図形を形成する各要素ごと
に属性情報が付されている。例えば、図形層が建物地図
である場合に、建物の高さ、建物の用途、建物の構造な
ど建物に関する属性情報が各建物のデータ（図形要素）
に付されている。図形層は、所望のものを選択手段によ
り選択し、表示制御手段により重ね合わせて表示手段に
表示することができる。また、各図形層の表示に際して
表示属性を設定手段により設定することができる。表示
属性の設定には表示すべき図形要素の選択、および表示
形態などの設定がある。例えば、建物の構造を表す図形
層の場合に、建物の属性である木造建築、コンクリート
建築、鉄筋建築などを選択して表示するよう設定でき、
また、これらの属性ごとに表示形態（例えば表示色や表
示パターン）を設定できる。表示制御手段は、選択手段
により選択された図形層を記憶手段から読み出し、読み
出した図形層を設定手段の設定結果に基づいて表示手段
の表示画面上に重ね合わせて表示を行うよう制御する。

【０００７】本発明は、図形データを図形の属性ごとに
まとめた複数の図形層によって構成し、選択手段により
所望の図形層を選択し、選択された図形層が複数のとき
はそれらを重ね合わせて表示するようにし、オーバヘッ
ドプロジェクタ（ＯＨＰ）のＯＨＰシートの重ね合わせ
表示を行うのと同じ操作感覚で、図形の表示を行うこと
ができ、また、各図形層にはさらにその層内における属
性の選択および表示形態の設定ができるというように、
選択すべき属性が階層的に整理されているので、従来の
図形（地図）データ表示システムのように１枚の図形デ
ータから表示情報を得るための手続の煩雑さや、どのよ
うに操作したらよいかを直感的に理解し難いというよう
なことがなく、図形表示の操作が直感的に分り易く簡単
である。

【０００８】また、本発明は上記構成において、設定手
段による表示属性の設定結果の情報を、後で利用するた
めに記憶する記憶手段を有する。例えば、ウィンドウシ
ステムによる図形表示方式において、図形層に対応する
アイコンは表示属性に関する情報を保持しており、設定
手段はその表示属性に関する情報を設定するものであ
る。そしてそのアイコンをウィンドウシステムの機能に
より複写して保存しておくことにより、設定状態を保存
することができ、そのアイコンは対応する図形層の表示
の際に用いることができる。従って、ある図形層につい
て表示属性の設定を変更する前に、そのアイコンを複写
し保存することによって、変更後もアイコン操作のみに
よって変更前の設定へ復帰することができる。また、頻
繁に利用する表示図形群については、予めそれぞれの表
示に対応して表示属性を設定したアイコンを用意してお
くことにより、所望の表示属性が設定されているアイコ
ンを選択し、図形表示領域に転記するだけで、設定され
た表示属性に基づき図形の表示を行うことができ、操作
性が向上する。さらに、アイコンの複写（表示属性の複
写）の際に対応する図形層のデータをも複写するように
構成することもできるので、図形層データを豊富化し、
表示できる図形を多様化することができる。

【０００９】また、本発明の一態様によれば、上記構成
の図形表示方式において、前記選択手段は、前記表示手
段の表示画面上に図形表示領域と、図形層に対応するア
イコンとを表示し、ポインティングデバイスにより所望
の図形層に対応するアイコンを指示して、図形表示領域
に転記することにより選択操作を行うユーザインタフェ
ースを有する。このユーザインタフェースによりアイコ
ン操作のみにより図形層の選択とその図形層の重ね合わ
せ表示をすることができ、従来のボタンの選択による属
性の指定に比べて極めて操作が容易になる。

【００１０】また、本発明の他の態様によれば、上記構
成の図形表示方式において、前記設定手段は、前記各図
形層ごとに開くことのできる表示属性設定用ウィンドウ
を表示手段の表示画面上に表示し、その属性設定用ウィ
ンドウは図形層の有する属性情報を表示するとともに、
その属性を持つ図形要素を図形表示領域に表示するか否
かを選択するボタンを有するものであり、ポインティン
グデバイスにより所望のボタンを指示することにより表
示設定操作を行うユーザインタフェースを有する。この
ように各図形層ごとにその図形層内の表示すべき図形要
素の選択をすることができ、従って図形層の選択とその
層内の表示属性の設定の２段階による属性の選択をする
ので、属性の階層を直感的に理解し易く、所望の図形の
選択操作が容易になる。

【００１１】さらに、本発明の他の態様によれば、前記
設定手段は、前記各図形層ごとに開くことのできる表示
属性設定用ウィンドウを表示手段の表示画面上に表示
し、その属性設定用ウィンドウは図形層の有する属性情
報を表示するとともに、その属性を持つ図形要素を図形
表示領域に表示する表示形態を設定するボタンを有する
ものであり、ポインティングデバイスにより所望のボタ
ンを指示することにより表示設定操作を行うユーザイン
タフェースを有する。その図形要素の表示状態として
は、属性ごとに異なる色を設定するようにすることがで
きる。このユーザインタフェースにより、色分け表示を
するなどの表示形態をも用意に設定することができる。

【００１２】本発明の他の態様によれば、前記表示制御
手段は、前記図形層をオブジェクト指向言語により表現
されたレイヤオブジェクトとそのサブクラスとしてのレ
イヤアイコンオブジェクトとで管理するよう構成された
ソフトウェアモジュールを含むものである。そして、前
記レイヤオブェクトは、図形層を特定する内部情報を有
し、レイヤアイコンオブジェクトはアイコンの状態およ
び表示属性を特定する内部情報を有し、これらのオブジ
ェクトは表示制御手段からのメッセージに応答して前記
内部情報を提供するものである。また、前記表示制御手
段は、オブジェクト指向言語により表現された図形表示
用のオブジェクト（後記実施例におけるＡｔｌａｓ）か
らなるソフトウェアモジュールを含み、そのソフトウェ
アモジュールにより前記レイヤオブジェクトおよびレイ
ヤアイコンオブジェクトの内部情報に応じて、図形層を
前記図形表示領域に描画するものである。

【００１３】このように、本発明のこれらの態様ではオ
ブジェクトを明示的にアイコンとして操作対象とするの
で、［オブジェクト ＝ データ ＋ 手続（振る舞
い）］という公式であらわされるオブジェクト指向概念
と親和性が高く、効果的にユーザーインターフェースを
構築することができる。また、従来のシステムでは表示
条件の設定を変更した後に、変更前の設定へ復帰させる
ためには、全ての条件について新規に設定しなおさなけ
ればならなかった。しかし、本発明上記態様によれば図
形情報のアイコンは保存することができるので、表示条
件の設定を変更する前に、予めそのアイコンを保存する
ことによって、変更後もはアイコン操作のみによって変
更前の設定へ復帰することが可能である。

【００１４】本発明の図形表示方法は、それぞれ属性情
報を付された複数の図形要素からなる図形層を複数有す
る図形データを用意すること、前記図形データを各図形
層ごとに管理すること、前記表示手段に表示させる図形
層を選択すること、前記各図形層上の各図形要素を前記
表示手段に表示させる際の表示属性を設定すること、お
よび前記選択された図形層を前記設定結果に基づいて表
示手段の表示画面上に重ね合わせ表示を行うことの各ス
テップを具備する。この方法によれば、複数の図形属性
情報の重ね合わせ表示について、その指示、操作方法を
簡便にし、その重ね合わせ条件、状態を直感的に理解し
やすくなったので、自由自在に重ね合わせ表示の組合せ
を設定でき、自然で良好な操作感を得ることができる。

【００１５】

【実施例】図２は本発明を実施するための装置のハード
ウェア構成の一例を示すものである。この実施例の装置
は、本発明の諸機能を遂行するためのプログラムやデー
タおよび図形情報を蓄積する記憶装置２１と、インター
フェースとしてのグラフィックディスプレイ装置２２、
ポインティングデバイスであるマウス装置２３およびキ
ーボード装置２４と、前記プログラムを実行し以下に述
べる機能を実現するコンピュータ装置２５からなってい
る。

【００１６】この実施例の装置の機能は、図１に示すよ
うな図形情報をグラフィックディスプレイ装置２２の任
意の矩形領域（ウィンドウ）へ表示する図形情報（ウィ
ンドウ）表示機能１１と、記憶装置２１上に駐在する図
形情報（ファイル）の実体１２と、その実体をグラフィ
ックディスプレイ装置２２上へアイコン形式で表示する
アイコン表示機能１３と、そのアイコンが指し示す図形
情報の実体を図形情報（ウィンドウ）表示機能１１によ
り、グラフィックディスプレイ装置２２へ表示する際の
表示条件を設定する図形情報表示条件設定機能１４と、
アイコン表示機能１３により、グラフィックディスプレ
イ装置２２上へ表示されたアイコンを、マウス装置２３
やキーボード装置２４により、グラフィックディスプレ
イ装置２２上の任意矩形領域やその他の位置へ、移動、
転記および削除を行い、また図形情報表示条件設定機能
１４の動作開始を指示する、アイコンもしくは図形表示
エリアの選択および動作指示機能１５とを備えている。

【００１７】以下、記憶装置２１に駐在する２種類の図
形情報（Ａ図形情報およびＢ図形情報）をグラフィック
ディスプレイ装置２２上に、本発明であるユーザーイン
タフェースを用いて重ね合わせ表示する手順を図３ａ〜
図３ｈを参照して説明する。これらの図３ａ〜図３ｈ
は、操作の流れ（手順）と、操作に伴ってグラフィック
ディスプレイ装置の画面の表示が変化する様子を表して
いる。

【００１８】まず、記憶装置２１に駐在するＡ図形情報
の実体とＢ図形情報の実体が、アイコン表示機能１３に
より、グラフィックディスプレイ装置２２上に、Ａアイ
コン、Ｂアイコンとして、あらかじめ表示されていると
する。また、図形情報（ウィンドウ）表示機能１１によ
り、グラフィックディスプレイ装置２２のある矩形領域
に図形表示エリアが設定されているとする（図３ａの
（１））。

【００１９】アイコンもしくは図形表示エリアの選択お
よび動作指示機能１５の機能ブロック（図４、図５およ
び図７）および、処理手順（図６、および図８）にもと
づき、マウス装置とキーボード装置を用いることによっ
て、Ａアイコンを選択し（図３ａの（２））、転記動作
を指示する（図３ｂの（３））。この点をさらに詳細に
説明する。すなわち、図４に示すようにカーソル表示機
能１５１は、マウス装置２３の出力信号からマウス装置
の移動を感知するマウス感知機能１５１１と、そのマウ
ス移動の感知に基づいてグラフィックディスプレイ装置
２２へマウスカーソルの表示制御信号を出力し、グラフ
ィックディスプレイ装置２２にマウスカーソルを表示さ
せるマウスカーソル表示機能１５１２からなっている。
また、アイコンもしくは図形表示エリアの選択機能１５
２は、図５に示すようにマウス装置２３のマウスボタン
のいずれかが押されたときそれを感知するマウスボタン
感知機能１５２１と、マウスボタンが押されたときのカ
ーソルの位置がアイコン表示エリアか図形表示エリアに
あるか否かを判定するアイコン表示エリアもしくは図形
表示エリア感知機能１５２２とからなっている。

【００２０】そして、図６の処理手順に示すように、マ
ウス移動感知機能１５１１およびマウスボタン感知機能
１５２１は、マウス装置２３からの信号を監視し（ステ
ップＳ６１）、マウスボタンが押されたときは、アイコ
ン表示エリアもしくは図形表示エリア感知機能１５２２
により、グラフィックディスプレイ上に表示されている
カーソルの座標がアイコン表示エリア内か否かを判定し
（ステップＳ６２）、アイコン表示エリア内であったと
きは、対応するアイコンを選択状態にする。ステップＳ
６２の判定の結果アイコン表示エリア内でなかったとき
は、グラフィックディスプレイ装置上の図形表示エリア
内かどうかを判定する（ステップＳ６３）。判定の結果
図形表示エリア内であったときは、対応する図形表示エ
リアを選択状態にする（ステップＳ６５）。マウスカー
ソルの位置が図形表示エリア内でなかったときは、ステ
ップＳ６１へ戻り、マウス装置からの次のイベントを監
視する。

【００２１】アイコンもしくは図形表示エリアへの動作
指示機能１５３は、図７に示すように、キーボード装置
２４の出力信号を感知するキーボード感知機能１５３１
と、どのキーボード上のキーが押されているかを判定
し、判定結果により動作指示を行う動作指示機能１５３
２とからなっている。図８はその動作指示機能１５３の
処理手順を示すものである。アイコンもしくは図形表示
エリアが選択されているか否かを監視し（ステップＳ８
１）、選択されていたら転記、移動、削除、属性等の動
作指示キーが押されているか否かを調べる（ステップＳ
８２）。いずれかの動作指示キーが押されていたら、選
択されているアイコンもしくは図形表示エリアへに対し
て動作指示を行う。

【００２２】同様に、アイコンもしくは図形表示エリア
の選択および動作指示機能１５３を用いて、Ａアイコン
の転記先として、図形表示エリアを選択する（図３ｂの
（４））。すなわち、マウスカーソルを移動させること
により、その動きに合わせて転記されたＡアイコンも連
動する。マウスカーソル（Ａアイコン）を図形表示エリ
アへ移動させ、マウスボタン２３１を押す。

【００２３】図９に示す図形情報（ウィンドウ）表示機
能１１の機能および図１０に示す処理手順にもとづき、
図形表示エリアへＡ図形が描画される（図３ｃの
（５））。その際、Ａ図形を表示していることが認識で
きるようにＡアイコンを縮小したものが、図形表示エリ
アの右上隅に表示される。すなわち、図９に示すよう
に、図形情報（ウィンドウ）表示機能１１は、前記のよ
うにアイコンの転記操作により図形表示エリア内に移動
したアイコンを受け取るアイコン受取機能１１１、受け
取ったアイコンに対応する図形情報を図形表示エリアに
描画する図形描画機能１１２、および受け取ったアイコ
ンを図形表示エリア内に縮小して表示する、受け取った
アイコン表示機能１１３からなっている。そして、その
処理手順は、図１０に示すように、図形アイコンが、図
形表示エリアへ転記されてきたかを判定し（ステップ１
０１）、転記されてきたら、そのアイコンに対応する図
形情報（ファイル）の実体を記憶装置２１から読み込ん
で、図形描画処理を行う（ステップＳ１０２）。以上の
図３ａの（２）〜図３ｃの（５）により説明した手順を
Ｂアイコンについても同様に実行することにより（図３
ｃの（６）〜図３ｅの（９））、Ａ図形および、Ｂ図形
の図形表示エリアへの重ね合わせ表示（ＯＲ表示）が行
われる。

【００２４】次に、図形情報表示条件設定機能１４を用
いて、既に表示されているＡ図形とＢ図形のＡＮＤ表示
を行う場合の手順を説明する。アイコンもしくは図形表
示エリアの選択および動作指示機能１５により、図形表
示エリアの右上隅に表示されている縮小されたＡアイコ
ンをマウス装置とキーボード装置により選択し、図形情
報表示条件設定機能１４の開始を指示する（図３ｅの
（１０）〜図３ｆの（１１））。すなわち、マウスカー
ソルを図形表示エリア右上隅にある縮小されたＡアイコ
ンの表示領域へ移動し、マウスボタン２３１を押す（図
３ｅの（１０））。そしてキーボード装置の属性キー
（属性ボタン）を押す（図３ｆの（１１））。

【００２５】属性キーを押したことにより、Ａアイコン
の表示条件設定を行うインターフェース画面が表示され
る（図３ｆの（１２））。図３ｆの（１２）の表示条件
設定インターフェースでは、表示図形の種類が、四角形
と三角形の両方を表示する条件設定となっているが、こ
こで、マウスボタンにより、三角形を表示しないという
条件を設定する（図３ｇの（１３））。すなわち、マウ
スボタンでクリックすることによって、インターフェー
ス画面上の三角形のチェックをはずす。その後、「完
了」の部分をさらにマウスボタンでクリックして、表示
条件設定を完了する（図３ｇの（１４））。図形表示エ
リア内の図形が、新しい条件により描画され直す。ここ
では、Ａ図形の四角形部分のみを、描画するという条件
設定がおこなわれたため、条件設定される前に表示され
ていた三角形が消滅し、Ａ図形の四角形と、Ｂ図形のう
ち、Ａ図形の四角形に含まれる部分についてのみ表示さ
れる（図３ｈの（１５））。以上が、Ａ図形とＢ図形の
ＡＮＤ条件表示の手順である。

【００２６】前記インタフェース画面により設定された
表示条件の情報は、アイコンの内部情報として格納され
ている。また、ウィンドウシステムの機能としてアイコ
ンは複写することができ、すなわち、一つのアイコンか
ら同じ内部情報を持った他のアイコンを作成することが
できる。従って、ある図形層について表示属性の設定を
変更する前に、そのアイコンを複写し保存することによ
って、変更後もアイコン操作のみによって変更前の設定
へ復帰することができる。また、頻繁に利用する表示図
形群については、予めそれぞれの表示に対応して表示属
性を設定したアイコンを用意し、そのぞれのアイコンに
ふさわしいラベルを付けたり、フォルダーに格納したり
して、識別できるようにしておけば、所望の図形を選択
して表示する際に、所望の表示属性が設定されているア
イコンを選択し、図形表示領域に転記するだけで、設定
された表示属性に基づき図形の表示を行うことができ、
操作性が向上する。

【００２７】以上の説明では、図形を簡略化したものを
例として用いたが、具体的に本発明をコンピュータマッ
ピングシシステムへ適用した場合は、図１１に示すよう
な図形がディスプレイ画面上にカラー化されて表示され
る。このシステムは、あるカテゴリーに沿ってジャンル
分けされた絵柄（文字）をそれぞれ透明なＯＨＰシート
（トランスペアレンシーシート）に記し、それらＯＨＰ
シートを操作員が任意（自在）に組合せ、ＯＨＰによっ
てその組み合わされた絵柄（文字）を投影するという実
在のシステムを図２のようなハードウェアにより実行さ
れる図１に示すような諸機能を備えたソフトウェア上で
モデリングしたものである。すなわち、この実施例で用
いられている「用途地域アイコン」と「土地用途アイコ
ン」はそれぞれ、絵柄（文字）が記されたＯＨＰシート
に対応し、「地図表示エリア」が組合わされた絵柄（文
字）を投影するＯＨＰに対応するものである。

【００２８】図１１ａは初期画面であり、画面上に図形
表示エリアと、２つのアイコンすなわち、商業地域、工
業地域というような各地域の用途を表した地図のアイコ
ンである用途地域アイコンおよび、商店、集合住宅、官
公庁というような土地の用途を表した地図のアイコンで
ある土地用途アイコンが示されている。図形表示エリア
にはまだ地図は描かれていない。図１１ｂは用途地域地
図が図形表示エリアに描画された状態を示すものであ
る。また、図形表示エリアの右上隅に用途地域アイコン
が縮小されてミニアイコンとして表示されている。この
図はモノクロの図であるので用途地域の区別があまり明
瞭でないが、実際の画面は用途地域ごとに色分けして表
示されるので、区別は明瞭である。図１１ｃは用途地域
地図と合わせて、土地用途地図が図形表示エリアに表示
された状態を示す。これもモノクロで表示しているので
分り難いが、実例では色分け表示されているので、明瞭
な表示となる。図１１ｄは表示条件設定のためのインタ
フェース画面を表示した図であり、このインタフェース
画面は地図表示画面右上隅の用途地域アイコンをマウス
で選択、キーボードで属性キーを押すことにより、ウィ
ンドウとして開かれる。用途地域地図は複数の地域の、
例えば図に示されているように住居専用地域、商業地
域、工業地域…等のカテゴリを有し、マウスでクリック
することにより表示するか否かの設定をすることができ
る。また、表示する際にどのような色やパターンで表示
するかの表示条件も設定することができる。

【００２９】図１２はＯＨＰシートと多層化（階層化）
された図形情報の関係を例示するものである。実施例で
の各機能を実現する仕組みは、そのほとんどがオブジェ
クト指向言語のＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムによ
り構成されている。Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０システム
におけるすべての存在はオブジェクトとして定義付けら
れる。各オブジェクトはその上位クラスの振る舞いを継
承する。すなわち、新たに定義付けられるオブジェクト
は、その上位クラスが所有する振る舞いとの差分のみ必
要とされる。よって、あるオブジェクトの振る舞いは、
そのオブジェクト単独のみの振る舞いではなく、上位ク
ラスの振る舞いでもある。また、各機能モジュールは複
数のオブジェクトの振る舞いによって構成される。

【００３０】本実施例の各機能モジュールの機能を実現
するためのＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムによるソ
フトウェア構成を図１３に示す。図１３のソフトウェア
構成において、破線で囲まれた部分が本実施例で用いる
Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０の要素である。その内、中央
部に引いた横直線の上部に記載された個々のクラスＩｎ
ｐｕｔＳｅｎｓｏｒ、ＣｏｎｔｒｏｌＭａｎａｇｅｒ、
ＩｃｏｎＶｉｅｗ、ＩｃｏｎＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ、Ｓ
ｔａｎｄａｒｄＳｙｓｔｅｍＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒは、
本実施例の機能を実現するために用いられたオブジェク
ト指向言語Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムに装備さ
れた機能であり、既存のものである。上記横直線の下部
にＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０の拡張機能として記載した
各クラスＭａｐＬａｙｅｒ、ＭａｐｌａｙｅｒＩｃｏ
ｎ、Ａｔｌａｓ、ＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗ、ＭｏｕｓｅＳ
ｃｒｏｌｌＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ等は本実施例の機能を
実現するために新たに生成されたクラスである。なお、
Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムについては、数多く
の入門書や解説書が出版されており（たとえば、Ａ．
Ｇｏｌｄｂｅｒｇ・ Ｄａｂｉｄ Ｒｏｂｓｏｎ共著、相
磯秀夫監訳「Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０」オーム社発
行）、その既存の用語やその意味については当業者には
通常の技術事項として知られているので詳細な説明は省
略する。

【００３１】ただ、「クラス」「インスタンス」「オブ
ジェクト」は本明細書中において頻出するので、ここで
簡単に説明する。これらの用語は上記文献「Ｓｍａｌｌ
ｔａｌｋ−８０」の定義（解説）を借りれば次のとおり
である。すなわち、「クラス」とは、類似した種類のシ
ステム構成要素を表す全てのオブジェクト一式の実行方
法を記述しているものである。クラスによって記述され
る個々のオブジェクトは、その「インスタンス」と呼ば
れる。クラスは、そのインスタンスの専用メモリーの形
式、ならびにそのオペレーションの実行方法を記述す
る。たとえば、長方形領域を表すオブジェクトの実行を
記述するシステムオブジェクトを例にとると、このクラ
スには、個々のインスタンスがその領域の場所を記憶す
る方法や、長方形のオペレーションを実行する方法など
が記述されている。Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０システム
におけるオブジェクトは、すべてクラスのインスタンス
である。ユニークなシステム構成要素を表すオブジェク
トでさえ、クラスの１つのインスタンスとして定義され
る。Ｓｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムにおけるプログ
ラミングは、クラスの生成、クラスのインスタンスの生
成、それにオブジェクト間のメッセージの交換順序の規
定からなりたっている。図１３に示すように、アイコン
表示機能１３および図形情報表示条件設定機能はクラス
ＩｃｏｎＶｉｅｗ、ＭａｐＬａｙｅｒ、ＭａｐＬａｙｅ
ｒＩｃｏｎによって構成されている。アイコンもしくは
図形表示エリアの選択および動作指示機能１５はクラス
ＩｎｐｕｔＳｅｎｓｏｒ、ＣｏｎｔｒｏｌＭａｎａｇｅ
ｒ、ＩｃｏｎＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ、Ｓｔａｎｄａｒｄ
ＳｙｓｔｅｍＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒによって構成されて
いる。

【００３２】以下、それぞれの機能モジュールごとにそ
の仕組と動作を説明する。 ａ） アイコン表示機能１３ 実施例では、Ａ図形アイコン（「用途地域アイコン」）
とＢ図形アイコン（「土地用途アイコン」）の２種類
が、階層化された地図情報を示すオブジェクトとして定
義され、使用されている。前出の例の通り、アイコンが
ＯＨＰシートであり、用途地域、土地用途それぞれが、
ＯＨＰシートに記される絵柄を意味する。これらアイコ
ン表示機能は、図１３に示すように、主にＭａｐＬａｙ
ｅｒ，ＭａｐＬａｙｅｒＩｃｏｎ，ＩｃｏｎＶｉｅｗと
いう３種類のクラスによって構成されている。これらの
クラスの機能や内部情報等は図１４に一覧表の形式で示
されている。図１４に示す一覧表はクラス名、クラス階
層、機能、クラスバリアブル、インスタンス・バリアブ
ルの項を有し、また各バリアブルは名称と意味（内容）
の項からなっている。

【００３３】ＭａｐＬａｙｅｒは、図１４に示すよう
に、階層化された地図情報をモデリングしたクラスであ
り、内部情報として名前、描画する図形種類の集合など
をもつ。ＭａｐＬａｙｅｒに関しては、クラス階層が一
番上位にＯｂｊｅｃｔというクラスがあり、その下位に
Ｍｏｄｅｌというクラスがあり、そのＭｏｄｅｌの下位
にＭａｐＬａｙｅｒがあるという階層構成が図１４のク
ラス階層という項目に示されている。階層は前述のよう
に上位の機能を受け継ぐ。そしてこのクラスＭａｐＬａ
ｙｅｒは階調化された地図情報という機能を持ってい
る。インスタンス・バリアブルはプログラムで用いる変
数に該当するもので、その値によって地図情報を持つ１
枚の地図シートに関する情報が表される。この地図に関
する情報を持つ１枚の地図シートには例えば日本語名称
（ｎａｍｅ）、ローマ字名称（ｅＮａｍｅ）が付けら
れ、また、描画される図形種類の集合たとえばこれが建
物を描いた地図だとすると木造、鉄筋、コンクリート、
…のような建物の種類の情報を有し、さらに階層の種類
を表す情報たとえば建物について表示するものとか土地
についての情報を示すものとか、そういうものを情報と
して持っている。つまり、このＭａｐＬａｙｅｒは自分
の地図の情報を５の情報で構成していることを、図１４
の表におけるクラスＭａｐＬａｙｅｒは表している。

【００３４】ＭａｐＬａｙｅｒＩｃｏｎは、階層化され
た地図情報を持つアイコンの機能を持つ。これは前述の
ＭａｐＬａｙｅｒをスーパークラスとし、アイコンの機
能を差分所持するクラスである。そして、転記、移動、
削除、プロパティなどのキーボード入力に対応するほ
か、アイコン自身の絵や、ラベルといった内部情報をも
つ。ＩｃｏｎＶｉｅｗは、Ｖｉｅｗのサブクラスであ
り、画面上へ表示されるための材料となる表示座標、表
示領域といった内部情報を継承し、ＩｃｏｎＶｉｅｗ自
身は、その差分としてアイコン文字や反転表示されてい
るかなどのステイタス情報をもつ。

【００３５】ｂ） 図形情報表示条件設定機能１４ 図１１ｄの例では、「用途地域アイコン」の表示条件の
設定の変更を行っている。ここでは、描画する図形の種
類として「近隣商業地域」と「商業地域」の２種類の図
形についてプロパティシートをインターフェースとして
用いることにより特定している。前述の通り、ＭａｐＬ
ａｙｅｒは内部情報として、描画する図形種類の集合で
あるインスタンスバリアブルａｒｅａＣｌｔ （図１
５）を持つ。このａｒｅａＣｌｔ がコレクションする
描画図形種類ＭａｐＡｒｅａ の「近隣商業地域」と
「商業地域」に該当するオブジェクトに描画ＯＮのステ
イタスを、その他の描画図形種類ＭａｐＡｒｅａには描
画ＯＦＦのステイタスをそれぞれプロパティシートをイ
ンターフェースとして与えることによって表示条件を設
定している。プロパティーシートは、選択されたＭａｐ
ＬａｙｅｒＩｃｏｎに対し、キーボードの属性キーを操
作することにより表示される。

【００３６】プロパティシート表示動作指示を含む動作
指示のフローチャートを図２０に示す。このプロパティ
ーシート表示の機能は、ＭａｐＬａｙｅｒＩｃｏｎ自身
が持つ。この動作フローチャートにおいて、クラスＩｎ
ｐｕｔＳｅｎｓｏｒの機能として動作指示キーボードが
押されたか否かを監視し（ステップＳ２００）、押され
ていなければ監視を続け、押されたときは、クラスＣｏ
ｎｔｒｏｌＭａｎａｇｅｒの機能により現在アクティブ
なオブジェクトにキーボード感知機能が存在するかを判
定する（ステップＳ２０１）。その判定の結果、アクテ
ィブなオブジェクトにキーボード感知機能が存在しない
場合は、ステップＳ２００へ戻り、キーボード感知機能
が存在する場合は、押されたキーボードが削除キーか否
かを判定し（ステップＳ２０２）、削除キーであればア
クティブオブジェクトへの削除指示を行う（ステップＳ
２０３）。削除キーでなければ、押されたキーボードが
転記キーか否かを判定し（ステップＳ２０４）、転記キ
ーであればアクティブオブジェクトへの転記指示を行う
（ステップＳ２０５）。転記キーでなければ、押された
キーボードが移動キーか否かを判定し（ステップＳ２０
６）、移動キーであればアクティブオブジェクトへの移
動指示を行う（ステップＳ２０７）。移動キーでなけれ
ば、押されたキーボードが属性キーか否かを判定し（ス
テップＳ２０８）、属性キーであればアクティブオブジ
ェクトへの属性指示を行う（ステップＳ２０９）。属性
キーでなければ終了する。

【００３７】ｃ） アイコンもしくは図形表示エリアの
選択および動作指示機能１５ 実施例では、「用途地域アイコン」と「土地用途アイコ
ン」の選択、転記指示、プロパティ（設定）指示など
が、この機能を用い実現されている。図１７はこの機能
の詳細を示すブロック図である。これはハードウェア部
とソフトウェア部とからなり、ハードウェア部はマウス
装置とキーボード装置とからなり、ソフトウェア部はカ
ーソル表示部、アイコンもしくは図形もしくは図形表示
エリア選択部、および動作指示部からなっている。カー
ソル表示部はマウス装置の信号に基づきカーソル位置を
感知する機能とその感知した位置にカーソルを表示する
機能を備えている。アイコンもしくは図形表示エリア選
択部はマウスボタンが押されたことを感知するマウスボ
タン感知機能と、カーソルがオブジェクト上に存在する
かどうかを感知する領域感知機能と、アイコンを選択す
るアイコン選択機能と、図形表示エリア選択機能を持っ
ている。

【００３８】動作指示部はキーボード装置上のどの動作
指示キーが押されたかを感知するキーボード感知機能
と、選択状態にあるオブジェクトににメッセージを送る
機能からなっている。この機能は、Ｓｍａｌｌｔａｌｋ
−８０を用いる場合ＩｎｐｕｔＳｅｎｓｏｒ，Ｃｏｎｔ
ｒｏｌＭａｎａｇｅｒ，ＳｔａｎｄａｒｄＳｙｓｔｅｍ
Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｒ，ＩｃｏｎＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ
の４つのクラスにより構成される（図１５、図１３参
照）。内部情報として、ハードウェアをアクセスするク
ラスバリアブルＣｕｒｒｅｎｔＩｎｐｕｔＳｔａｔｅ
を持つＩｎｐｕｔＳｅｎｓｏｒ が、マウスの移動、マ
ウスボタンの状態、キーボードの状態を感知する。感知
されたディバイスの状態は、クラスＣｏｎｔｒｏｌＭａ
ｎａｇｅｒによってスケジュール管理がなされているア
クティブなＶｉｅｗのコントローラに渡される。キーボ
ードによるアイコンへの転記・移動・削除、プロパティ
（設定）といった動作指示は以上の様なシーケンスで行
われる。

【００３９】アクティブなＶｉｅｗのコントローラが見
つからない場合は、最初にその領域へカーソルが進入し
たＶｉｅｗがアクティブになる。また、別のＶｉｅｗの
コントローラをアクティブにするには、そのＶｉｅｗ領
域内へカーソルを移動しマウスボタンを操作することに
より実現される。アイコンの選択は、この操作によって
実現される。ＣｏｎｔｒｏｌＭａｎａｇｅｒによってス
ケジュール管理される対象となるのが、実施例のＩｃｏ
ｎＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒとＳｔａｎｄａｒｄＳｙｓｔｅ
ｍＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒに該当する。本システム中で、
アイコンが作成されると同時に、これらコントローラも
作成され、同時にＣｏｎｔｒｏｌＭａｎａｇｅｒの管理
下に置かれる。ＩｎｐｕｔＳｅｎｓｏｒ によって感知
された選択動作指示要求は最終的にこれらコントローラ
へ渡され、それぞれのモデル（ＭａｐＬａｙｅｒ）の状
態に応じた振る舞いが実行される。

【００４０】ｄ） 図形情報表示機能１１ 実施例では、「用途地域アイコン」と「土地用途アイコ
ン」を図形表示エリアへ転記することにより、それぞれ
の図形（地図）を設定された表示条件にしたがって描画
する。また、描画すると同時に描画対象とされているア
イコンを図形表示エリア右上隅に縮小表示する。これら
の機能は主にＡｔｌａｓ，ＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗ，Ｍｏ
ｕｓｅＳｃｒｏｌｌＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒの３クラスに
よって実現されている（図１３参照）。Ｖｉｅｗの下位
クラスであるＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗは、図１６に示すよ
うに、モデルであるＡｔｌａｓが内部情報として持つＭ
ａｐＬａｙｅｒの状態に応じて図形を表示する機能を有
する。すなわち、画面上の表示領域を内部情報として持
つ。

【００４１】図２１はアイコンの転記動作指示があった
ときの図形表示機能１１の動作を示すフローチャートで
ある。例えば「用途地域アイコン」と「土地用途アイコ
ン」が転記もしくは移動の動作指示を受けると、図２０
のフローに従って転記動作指示が行われる（ステップＳ
２１１）。ＭａｐＬａｙｅｒＩｃｏｎ「用途地域アイコ
ン」と「土地用途アイコン」それぞれのＩｃｏｎＣｏｎ
ｔｒｏｌｌｅｒは、マウスボタンの押されたときのマウ
スカーソルの位置（座標）に基づいて転記もしくは移動
先のコントローラを探索する（ステップＳ２１１）。マ
ウスボタンの押された座標のエリアの転記先コントロー
ラが背景（ＳｃｒｅｅｎＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ）である
か否かを判定し（ステップＳ２１２）、背景であれば背
景へ転記する処理を行う（ステップＳ２１３）。マウス
ボタンの押された座標が背景でなく図形表示エリア（Ｓ
ｃｒｏｌｌＶｉｅｗ内）である場合、ＩｃｏｎＣｏｎｔ
ｒｏｌｌｅｒは転記先コントローラとしてＭｏｕｓｅＳ
ｃｒｏｌｌＣｏｎｔｒｏｌｌｅｒ を見つけ、そのコン
トローラを媒介としてモデルであるＡｔｌａｓ へアイ
コンが転記（移動）されたことを通知する（ステップＳ
２１５）。

【００４２】図２２は、Ａｔｌａｓ図形地図描画のフロ
ーチャートである。ステップＳ２１５の通知を監視し
（ステップＳ２２０）、通知があったときは、通知を受
けたＡｔｌａｓ は、そのアイコンがＭａｐＬａｙｅｒ
Ｉｃｏｎであることを確認したうえで、インスタンスバ
リアブルｌａｙｅｒＬｉｓｔ へそのアイコンオブジェ
クトを追加し、明示的にＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗの右上隅
に転記されたアイコンを縮小表示する（ステップＳ２２
１）。図形（地図）表示をＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗへ通知
する（ステップＳ２２２）。通知を受け取ったＳｃｒｏ
ｌｌＶｉｅｗは、表示する図形（地図）をＡｔｌａｓに
対し要求する（ステップＳ２２３）。

【００４３】要求を受け取ったＡｔｌａｓは、地図作成
のためにインスタンスバリアブルｌａｙｅｒＬｉｓｔが
コレクションする各ＭａｐＬａｙｅｒオブジェクトの状
態を調べることによって組み合せ表示条件を作成する
（ステップＳ２２４）。すなわち、Ａｔｌａｓ は、ｌ
ａｙｅｒＬｉｓｔ にリストされたＭａｐＬａｙｅｒの
条件設定（前述）に基づき、表示するための図形（地
図）が描画された絵（ＣｏｌｏｒＦｏｒｍ） を、ユー
ザープリミティブコールにより作成する。ユーザープリ
ミティブは、Ａｔｌａｓ から渡されたアイコン情報
（名称等）をもとに、記憶装置２１上に駐在する実態で
ある図形ファイルを参照し、設定された条件に従って図
形（地図）を描画したｂｉｔｍａｐを作成する（ステッ
プＳ２２５）。Ａｔｌａｓ はユーザープリミティブか
ら受け取ったｂｉｔｍａｐをＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０
のクラスＣｏｌｏｒＦｏｒｍ のインスタンスに変換す
る（ステップＳ２２６）、ＳｃｒｏｌｌＶｉｅｗは、Ａ
ｔｌａｓから受け取った図形（地図）絵を表示する（ス
テップＳ２２７）。

【００４４】以上がＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０によって
構成されている各機能モジュールの概略の内容と動作の
仕組みである。アイコンもしくは図形表示エリアの選択
および動作指示機能１５については、Ｓｍａｌｌｔａｌ
ｋ−８０本体の機能として既に備わっているものであ
り、その他の機能モジュールについても同様にＳｍａｌ
ｌｔａｌｋ−８０のシステムクラスをスーパークラスと
することにより構築されているため、その基本的な機能
についてはＳｍａｌｌｔａｌｋ−８０システムに依存し
ている部分が大である。［オブジェクト ＝ データ
＋ 手続（振る舞い）］という公式であらわされるＳｍ
ａｌｌｔａｌｋ−８０のオブジェクト指向概念は、オブ
ジェクトを明示的にアイコンとして操作対象とする本シ
ステムのようなユーザーインターフェースを構築する上
で、効果的かつ親和性の高いものであるといえる。

【００４５】

【発明の効果】本発明によれば、複数の図形属性情報の
重ね合わせ表示について、その指示、操作方法を簡便に
し、その重ね合わせ条件、状態を直感的に理解しやすく
なったので、自由自在に重ね合わせ表示の組合せを設定
でき、自然で良好な操作感を得ることができる。

【００４６】また、本発明は、図形データを図形の属性
ごとにまとめた複数の図形層によって構成し、選択手段
により所望の図形層を選択し、選択された図形層が複数
のときはそれらを重ね合わせて表示するようにし、オー
バヘッドプロジェクタ（ＯＨＰ）のＯＨＰシートの重ね
合わせ表示を行うのと同じ操作感覚で、図形の表示を行
うことができ、また、各図形層にはさらにその層内にお
ける属性の選択および表示形態の設定ができるというよ
うに、選択すべき属性が階層的に整理されているので、
従来の図形（地図）データ表示システムのように１枚の
図形データから表示情報を得るための手続の煩雑さや、
どのように操作したらよいかを直感的に理解し難いとい
うようなことがなく、図形表示の操作が直感的に分り易
く簡単である。

【００４７】また、本発明は、設定手段による表示属性
の設定結果の情報を、後で利用するために記憶する記憶
手段を有するので、ある図形層について表示属性の設定
を変更する前に、その設定結果の情報を複写し保存する
ことによって、表示属性設定の変更後も変更前の設定へ
用意に復帰することができる。また、頻繁に利用する表
示図形群については、予めそれぞれの表示に対応して表
示属性を設定した情報を記憶しておくことにより、所望
の表示属性を一々設定することなく記憶した設定情報に
基づき図形の表示を行うことができ、操作性が向上す
る。さらに、設定情報のみならず、図形層のデータをも
複写するように構成することもできるので、図形層デー
タを豊富化し、表示できる図形を多様化することができ
る。

【００４８】また、本発明はオブジェクトを明示的にア
イコンとして操作対象とするので、［オブジェクト＝デ
ータ＋手続（振る舞い）］という公式であらわされるオ
ブジェクト指向概念と親和性が高く、効果的にユーザー
インターフェースを構築することができる。また、従来
のシステムでは表示条件の設定を変更した後に、変更前
の設定へ復帰させるためには、全ての条件について新規
に設定しなおさなければならなかった。しかし、本発明
によれば図形情報のアイコンは保存することができるの
で、表示条件の設定を変更する前に、予めそのアイコン
を保存することによって、変更後もはアイコン操作のみ
によって変更前の設定へ復帰することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例の機能ブロック図。

【図２】 本発明を実施するためのハードウェアの構
成の一例を示す図。

【図３ａ】 図３ａ〜図３ｈは本発明のユーザーインタ
フェースを用いて重ね合わせ表示する手順を説明するた
めの図で、操作に伴ってグラフィックディスプレイ装置
の画面の表示が変化する様子を表しており、図３ａは初
期画面（１）およびＡアイコンの選択の画面（２）を示
す図。

【図３ｂ】 （３）Ａアイコンへの転記動作指示、およ
び（４）図形表示エリアの選択を示す図。

【図３ｃ】 （５）Ａ図形情報の表示、および（６）Ｂ
アイコンの選択を示す図。

【図３ｄ】 （７）Ｂアイコンへの転記動作指示、およ
び（８）図形表示エリアの選択を示す図。

【図３ｅ】 （９）Ｂ図形情報とＡ図形情報の重畳表
示、および（１０）図係表示エリアの中のＡアイコンの
選択。

【図３ｆ】 （１１）図形表示エリア中のＡアイコンへ
の図形情報条件設定機能の開始、および（１２）図形情
報条件設定手段による条件設定ａを示す図。

【図３ｇ】 （１３）条件設定ｂ、および（１４）条件
設定ｃを示す図。

【図３ｈ】 （１５）条件付き描画を示す図。

【図４】 カーソル表示機能の詳細を示す図。

【図５】 アイコンもしくは図形表示エリアの選択機
能の詳細を示す図。

【図６】 アイコン選択および図形表示エリア選択の
手順を示す図。

【図７】 アイコンもしくは図形表示エリアへの動作
指示機能の詳細を示す図。

【図８】 アイコンもしくは図形表示エリアへの動作
指示の手順を示す図。

【図９】 図形情報表示機能の詳細を示すブロック
図。

【図１０】 図形情報の表示手順を示す図。

【図１１ａ】 図１１ａ〜１１ｄは地図情報の表示画面
の実例を示すもので、図１１ａは地図を表示する際の初
期画面を示す図、

【図１１ｂ】 用途地域地図が描画された状態の表示画
面を示す図。

【図１１ｃ】 用途地域地図と土地用途地図の２つの図
形層が描画された表示画面を示す図。

【図１１ｄ】 表示条件設定インターフェース画面を表
示した図。

【図１２】 階層化された図形情報を示す図。

【図１３】 実施例のシステムでのソフトウェア構成の
概略を示す図。

【図１４】 アイコン表示機能および図形情報表示条件
設定機能のためのオブジェクトを説明するための図。

【図１５ａ】 アイコンもしくは図形表示エリア選択お
よび動作指示機能のためのオブジェクトを説明するため
の図の前半分。

【図１５ｂ】 アイコンもしくは図形表示エリア選択お
よび動作指示機能のためのオブジェクトを説明するため
の図の後半分。

【図１６】 図形情報表示機能のためのオブジェクトを
説明するための図。

【図１７】 アイコンもしくは図形表示エリアの選択動
作指示機能の詳細機能ブロック図。

【図１８】 カーソル表示機能の動作フロー図。

【図１９】 アイコンもしくは図形表示エリア選択機能
動作フロー図。

【図２０】 動作指示機能の動作フロー図。

【図２１】 図形情報表示機能の動作フロー図。

【図２２】 Atlas図形地図描画フロー図。

【図２３】 従来例を説明するための図。

【符号の説明】

１１…図形情報（ウィンドウ）表示機能、１２…図形情
報（ファイル）の実体、１３…アイコン表示機能、１４
…図形情報表示条件設定機能、１５…アイコンもしくは
図形表示エリアの選択および動作指示機能、２１…記憶
装置、２２…グラフィックディスプレイ装置、２３…マ
ウス装置、２４…キーボード装置、２５…コンピュータ
装置（ＣＰＵ）。

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれ属性情報を付された複数の図形
   要素からなる図形層を複数有する図形データを記憶する
   記憶手段と、 前記図形データを表示する表示手段と、 前記表示手段に表示させる図形層を選択する選択手段
   と、 前記各図形層毎に設けられ、その図形層上の各図形要素
   を前記表示手段に表示させる際の表示属性を設定する設
   定手段と、 前記選択手段により選択された図形層を前記記憶手段か
   ら読み出し、読み出した図形層を前記設定手段の設定結
   果に基づいて表示手段の表示画面上に重ね合わせ表示を
   行う表示制御手段とを具備することを特徴とする図形表
   示方式。
2. 【請求項２】 前記設定手段による表示属性の設定結果
   の情報を、後で利用するために記憶する記憶手段を有す
   ることを特徴とする請求項１記載の図形表示方式。
3. 【請求項３】 前記選択手段は、表示手段の表示画面上
   に図形表示領域と、図形層に対応するアイコンとを表示
   し、ポインティングデバイスにより所望の図形層に対応
   するアイコンを指示して、図形表示領域に転記すること
   により選択操作を行うユーザインタフェースを有するこ
   とを特徴とする請求項１記載の図形表示方式。
4. 【請求項４】 前記設定手段は、前記各図形層ごとに開
   くことのできる表示属性設定用ウィンドウを表示手段の
   表示画面上に表示し、その属性設定用ウィンドウは図形
   層の有する属性情報を表示するとともに、その属性を持
   つ図形要素を図形表示領域に表示するか否かを選択する
   ボタンを有するものであり、ポインティングデバイスに
   より所望のボタンを指示することにより表示設定操作を
   行うユーザインタフェースを有することを特徴とする請
   求項１記載の図形表示方式。
5. 【請求項５】 前記設定手段は、前記各図形層ごとに開
   くことのできる表示属性設定用ウィンドウを表示手段の
   表示画面上に表示し、その属性設定用ウィンドウは図形
   層の有する属性情報を表示するとともに、その属性を持
   つ図形要素を図形表示領域に表示する表示形態を設定す
   るボタンを有するものであり、ポインティングデバイス
   により所望のボタンを指示することにより表示設定操作
   を行うユーザインタフェースを有することを特徴とする
   請求項１記載の図形表示方式。
6. 【請求項６】 前記図形要素の表示形態として属性ごと
   に異なる色を設定する請求項５記載の図形表示方式。
7. 【請求項７】 前記ユーザインタフェースは、前記設定
   手段により図形層の表示属性を設定した設定結果の情報
   を有するアイコンを複製して記憶する手段を有する請求
   項４、請求項５または請求項６記載の図形表示方式。
8. 【請求項８】 前記表示制御手段は、前記図形層をオブ
   ジェクト指向言語により表現されたレイヤオブジェクト
   とそのサブクラスとしてのレイヤアイコンオブジェクト
   とで管理するよう構成されたソフトウェアモジュールで
   あることを特徴とする請求項１記載の図形表示方式。
9. 【請求項９】 前記レイヤオブェクトは図形層を特定す
   る内部情報を有し、レイヤアイコンオブジェクトはアイ
   コンの状態および表示属性を特定する内部情報を有し、
   これらのオブジェクトは表示制御手段からのメッセージ
   に応答して前記内部情報を提供することを特徴とする請
   求項６記載の図形表示方式。
10. 【請求項１０】 前記表示制御手段は、オブジェクト指
    向言語により表現された図形表示用のオブジェクトから
    なるソフトゥエアモジュールを含み、そのソフトウェア
    モジュールにより前記レイヤオブジェクトおよびレイヤ
    アイコンオブジェクトの内部情報に応じて、図形層を前
    記図形表示領域に描画することを特徴とする請求項９記
    載の図形表示方式。
11. 【請求項１１】 前記表示制御手段は、前記図形表示領
    域に図形層を描画したとき、その図形層を表すミニアイ
    コンを前記図形表示領域に表示することを特徴とする請
    求項１０記載の図形表示方式。
12. 【請求項１２】 前記図形データの構成要素としての属
    性情報は、ポリゴン化されたものであることを特徴とす
    る請求項１記載の図形表示方式。
13. 【請求項１３】 前記図形データが地図情報であり、地
    図に載せる対象図形要素の所望のカテゴリーごとに図形
    層を用意し、各図形層に載せる図形要素にはさらに複数
    のサブカテゴリーを設け、図形層を選択的に重ね合わせ
    るとともに、各図形層のサブカテゴリーの図形要素の表
    示属性の設定により、所望の地図情報を表示する請求項
    １記載の図形表示方式。
14. 【請求項１４】それぞれ属性情報を付された複数の図形
    要素からなる図形層を複数有する図形データを用意する
    こと、 前記図形データを各図形層ごとに管理すること、 前記表示手段に表示させる図形層を選択すること、 前記各図形層上の各図形要素を前記表示手段に表示させ
    る際の表示属性を設定すること、 前記選択された図形層を前記設定結果に基づいて表示手
    段の表示画面上に重ね合わせ表示を行うことの各ステッ
    プを具備することを特徴とする図形表示方法。