JPH0689298B2 - 耐熱性および絶縁性ワニス組成物およびそれを用いた被膜の形成方法 - Google Patents

耐熱性および絶縁性ワニス組成物およびそれを用いた被膜の形成方法

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JPH0689298B2
JPH0689298B2 JP16732490A JP16732490A JPH0689298B2 JP H0689298 B2 JPH0689298 B2 JP H0689298B2 JP 16732490 A JP16732490 A JP 16732490A JP 16732490 A JP16732490 A JP 16732490A JP H0689298 B2 JPH0689298 B2 JP H0689298B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電気または電子機器、あるいはそれらの部品
に、耐熱性および電気絶縁性を付与することができるワ
ニス組成物、およびそれを用いた被膜の形成方法に関す
る。
(従来の技術) 電気機器または電子機器において、機器や部品の表面
に、絶縁性や防湿性を付与するため、あるいは保護膜を
形成するためにワニスが広く用いられ、機器や部品の、
耐久性および信頼性の向上に貢献している。操作の簡易
性およびコスト面から有機系ワニスが広く用いられてい
る。
しかし、有機系ワニスの主成分であるポリマーは、C-C
結合やC-O-C結合を骨格とするため、加熱によって酸化
または分解され易く、使用限界温度は150℃程度であ
る。したがって、有機系ワニスに耐熱性を付与するため
には難燃剤を添加する必要がある。さらに有機系ワニス
は温度が上昇するにつれて電気絶縁性、高周波特性が大
きく低下する。特に有機系ワニスは、はっ水性が比較的
低く、吸収した水分が放出されにくく、電気的特性の低
下も著しい。さらに、一般に有機溶剤、化学薬品に弱
く、紫外線による劣化も起こりやすい。
このような有機系ワニスの欠点を補うワニスとして、シ
ロキサン結合(Si-O-Si)からなる無機部分とメチル基
やフェニル基からなる有機部分とを有するシリコーンワ
ニスがある。シリコーンワニスは、有機系ワニスに比較
して、耐熱性、電気特性、吸水性などの性質は改善され
るものの、機械的強度、耐薬品性は充分ではない。さら
にシリコーンワニスは、200℃以上でも安定であるが、2
60℃のハンダの溶融点に近い温度での安定性は不十分で
ある。そして、シリコーン系の樹脂は、耐湿性がエポキ
シフェノールノボラック系の樹脂よりも低く、内部応力
も高いためコーティング剤または封止剤としては、好ま
しくない。
現在最も好ましい、耐熱性および絶縁性ワニスとして
は、ポリイミド樹脂を主成分とするワニスがある。ポリ
イミド樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、240〜250℃と
高いため、高温時の電気特性の低下が低くなり、熱膨張
率も小さい。さらに、導体に対する接着力および硬度も
高い。しかし、銅箔に対する接着力や同種の樹脂からな
る層間の接着力が小さい、吸水性が高いなどの欠点があ
る。さらに、ポリイミド樹脂は非常に高価であるため、
実用上コストの問題が発生する。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記従来の欠点を解決するものであり、その
目的とするところは、電気または電子機器、あるいはそ
れらの部品に、耐熱性および電気絶縁性を付与すること
ができるワニス組成物を提供することにある。さらに本
発明の他の目的は、上記のワニス組成物を用いた耐熱性
および電気絶縁性に優れた被膜の形成方法を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の耐熱性および絶縁性ワニス組成物は、有機ポリ
マー、ジルコニウムアルコキシド、シランカップリング
剤、ゾル−ゲル法触媒、および溶媒を含有するメインポ
リマー液からなり、そのことにより上記目的が達成され
る。
本発明の耐熱性および絶縁性ワニス組成物は、前記メイ
ンポリマー液に加えて、さらに、プレポリマー液を含有
してもよく、該プレポリマー液が、ジルコニウムアルコ
キシド、シランカップリング剤、チタニウムアルコキシ
ド、ゾル−ゲル法触媒および溶媒を含有する。
本発明の耐熱性および絶縁性ワニス組成物は、前記プレ
ポリマー液とメインポリマー液との混合物であってもよ
い。
さらに本発明は、前記メインポリマー液からなるワニス
組成物を用いて耐熱性および絶縁性を有する被膜を形成
する方法であって、該ワニス組成物を基材表面に付与す
る工程;と、該組成物が付与された基材を、150〜350℃
の範囲の温度で熱処理することにより、該基材表面に被
膜を形成する工程;とを包含し、そのことにより上記目
的が達成される。
さらに本発明の耐熱性および絶縁性を有する被膜を形成
する方法は、前記プレポリマー液を基材表面に付与し、
プレポリマーの層を基材表面に形成する工程;該プレポ
リマーの層の表面に前記メインポリマー液を付与し、該
プレポリマー層の表面にメインポリマーの層を形成する
工程;および、該プレポリマー層とメインポリマー層と
を有する基材を、150〜350℃の範囲の温度で熱処理する
ことにより、該基材表面に被膜を形成する工程;を包含
し、そのことにより上記目的が達成される。
本発明においてメインポリマー液に用いられる有機ポリ
マーとしては、耐熱性に優れた有機ポリマー、例えばポ
リアミドイミドまたはシリコーン樹脂が好適である。特
に、以下の繰り返し単位を有するポリアミドイミドが好
適である: ポリアミドイミドを用いた場合には、300℃程度の高温
で被膜が黒色に変色する。この変色を避ける必要がある
場合は、シリコーン樹脂(シリコーンワニス)を併用す
ることも可能である。シリコーンワニスを併用すると、
ポリアミドイミドを用いた場合に比べ、高温時に被膜が
やや軟化する。
本発明においてメインポリマー液に用いられるジルコニ
ウムアルコキシドは、Zr(OR1で示される。R1は低
級アルキル基である。具体的には、Zr(O-CH3、Zr
(O-C2H5、Zr(O-iso-C3H7、Zr(O-C4H9
どが用いられ得る。2種以上のこれらのアルコキシドを
混合して用いてもよい。その使用量は、上記有機ポリマ
ー100重量部に対して1〜20重量部の範囲であり、好ま
しくは約5重量部である。20重量部以上が用いられる
と、形成されるメインポリマーの脆性が大きくなり、被
膜のメインポリマー層が剥離しやすくなる。1重量部以
下の場合は、被膜が高温で熱変形しやすくなる。
メインポリマー液に用いられるシランカップリング剤と
しては、既知のシランカップリング剤が用いられ得る。
特に、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好適
である。それには、例えばγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、およびβ−(3,4-エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシランがある。このようなシ
ランカップリング剤は2種以上が混合して用いられ得
る。シランカップリング剤の使用量は、上記有機ポリマ
ー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内である。
有機ポリマーとしてポリアミドイミドを単独で用いる場
合は、1〜50重量部、特に約10重量部が好ましい。50重
量部以上を使用するとメインポリマーの剛性と脆性とが
大きくなり、被膜の絶縁性および加工性が低下する。
メインポリマー液に用いられるゾル−ゲル法触媒として
は、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第
三アミンが用いられる。それには例えば、N,N-ジメチル
ベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミ
ン、トリペンチルアミンなどがあり、特にN,N-ジメチル
ベンジルアミンが好適である。その使用量は有機ポリマ
ー、ジルコニウムアルコキシドおよびシランカップリン
グ剤の合計量の100重量部当り、0.01〜0.5重量部、好ま
しくは約0.03重量部である。
メインポリマー液には必要に応じてホウ酸が含有され
る。ホウ酸を添加することによって、得られる被膜の耐
熱性および硬度が著しく向上し、さらに高温に曝された
場合、被膜の変色が起こりにくくなる。ホウ酸の含有量
は、上記有機ポリマー100重量部に対して15重量部以
下、好ましくは、0.5〜6重量部である。
メインポリマー液に用いられる溶媒としては、N,N-ジメ
チルホルムアミドが好ましく用いられる。溶媒の使用量
は、通常上記の含有成分の合計量の100重量部当り、20
〜50重量部である。
メインポリマー液は、上記有機ポリマー、ジルコニウム
アルコキシド、シランカップリング剤、ゾル−ゲル法触
媒および溶媒を混合して調製される。
本発明においてプレポリマー液に用いられるジルコニウ
ムアルコキシドとしては、上記メインポリマー液で用い
られ得るジルコニウムアルコキシドと同様のものが使用
可能である。
プレポリマー液に用いられるシランカップリング剤とし
ては、上記メインポリマー液で用いられ得るシランカッ
プリング剤と同様のものが使用可能である。シランカッ
プリング剤の使用量は、上記アルコキシドの合計量100
重量部に対して、1〜10重量部の範囲内である。
プレポリマー液に用いられる、チタニウムアルコキシド
は、Ti(OR2で示される。R2は低級アルキル基であ
る。具体的には、Ti(O-CH3、Ti(O-C2H5、Ti
(O-C3H7、Ti(O-C4H9などが用いられ得る。2
種以上のこれらのアルコキシドを混合して用いてもよ
い。チタニウムアルコキシドを用いることによって、得
られる被膜の熱伝導率が低くなり、基材の耐熱性が著し
く向上する。その使用量は、上記ジルコニウムアルコキ
シド100重量部に対して1〜20重量部の範囲であり、好
ましくは約3重量部である。20重量部以上が用いられる
と、プレポリマーの脆性が大きくなり、プレポリマーが
剥離しやすくなる。1重量部以下の場合は、複合ポリマ
ーが高温で熱変形しやすくなる。
プレポリマー液に用いられるゾル−ゲル法触媒として
は、上記メインポリマー液に用いられ得るゾル−ゲル法
触媒と同様のものが使用され得る。その使用量は、上記
アルコキシドおよびシランカップリング剤の合計量の10
0重量部当り、0.005〜0.3重量部、好ましくは約0.008重
量部である。
プレポリマー液の溶媒としては、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、およびブチルアルコールなどが
用いられ得る。溶媒の使用量は、上記の含有成分の合計
量100重量部に対して、3〜100重量部である。
本発明のワニス組成物のプレポリマー液は、上記ジルコ
ニウムアルコキシド、シランカップリング剤、必要に応
じてチタニウムアルコキシド、ゾル−ゲル法触媒、およ
び溶媒を混合して調製される。
本発明のワニス組成物は、必要に応じて、上記メインポ
リマー液とプレポリマー液との混合物であってもよい。
本発明のワニス組成物は、各種プリント基板、トランジ
スタ、ICなどの保護用ワニス;コイルを絶縁膜で被覆す
るためのコイル含浸用ワニス;ガラス積層板、マイカ用
バインダー;ガラスクロス用ワニス;プリント基板に素
子を実装するための接着剤;半導体素子の封止用ワニス
などに用いられる。したがって、本発明のワニス組成物
で被覆され得る基材としては、各種プリント基板、トラ
ンジスタ、IC、コイル、ガラス、マイカなどが用いられ
得る。
本発明の方法によれば、本発明の耐熱性および絶縁性被
膜は、例えば以下のようにして形成される。まず、上記
有機ポリマー、ジルコニウムアルコキシド、シランカッ
プリング剤、ゾル−ゲル法触媒、および溶媒を混合して
メインポリマー液を調製する。次に、このメインポリマ
ー液を、被覆を形成すべき基材表面に塗布するか、ある
いは、基材をポリマー液に浸漬するなどの方法により、
基材に付与し、乾燥する。これによって、有機ポリマ
ー、ジルコニウムアルコキシドおよびシランカプリング
剤の加水分解と縮重合反応が進行し、基材表面にメイン
ポリマーの層が形成される。好ましくは、この操作を数
回繰り返し、複数の層を形成する。このようにして積層
することによって最終的に得られる被膜の耐熱性および
絶縁性が増大し、被膜の破壊電圧が著しく大きくなる。
このようにして単数もしくは複数層のメインポリマー層
が形成された基材を150℃〜350℃の範囲の温度で30秒〜
10分間加熱することによって、基板表面に耐熱性および
絶縁性を有する被膜が形成される。
本発明の方法では、必要に応じて上記メインポリマー液
を付与する前に、上記プレポリマー液を基材表面に付与
してプレポリマー層を形成してもよい。それには、ま
ず、上記ジルコニウムアルコキシド、シランカップリン
グ剤、チタニウムアルコキシド、ゾル−ゲル法触媒、お
よび溶媒を混合してプレポリマー液を調製する。次に、
このプレポリマー液を、基材に塗布し、あるいは、基材
をプレポリマー液に浸漬して、その後乾燥することによ
り、基材表面にプレポリマー層を形成する。次いで、上
記と同様にしてプレポリマー層の上にメインポリマー層
を形成する。好ましくは、この操作を数回繰り返し、プ
レポリマー層とメインポリマー層とを交互に積層しても
よい。このようにプレポリマー層およびメインポリマー
層が形成された基材を150℃〜350℃の範囲の温度で30秒
〜10分間加熱することによって、基板表面に耐熱性およ
び絶縁性を有する被膜が形成される。
さらに、上記プレポリマー液とメインポリマー液とを混
合し、この混合液を基材に塗布し、150℃〜350℃の範囲
の温度で30秒〜10分間加熱することによっても、耐熱性
および絶縁性を有する被膜が形成される。
(作用) 本発明の方法において、有機ポリマー、ジルコニウムア
ルコキシド、シランカップリング剤、ゾル−ゲル法触
媒、および溶媒を含有するメインポリマー液を基材表面
に付与すると、空気中の水分を吸収して容易に硬化す
る。これは、処理液中のアルコキシドが空気中の水分に
よって、加水分解され、ゾル−ゲル法触媒の働きによっ
て、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生
成物同士の脱水重縮合反応が進行するためである。この
とき、同時にシランカップリング剤も加水分解されて、
アルコキシ基が水酸基となる。触媒の働きによりエポキ
シ基の開環も起こり、水酸基が生じる。そして、加水分
解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコ
キシドとの重縮合反応が進行する。有機ポリマーも重縮
合反応に関与する。例えば、有機ポリマーとしてポリア
ミドイミドを用いた場合には、ゾル−ゲル法触媒の働き
でアミド基のプロトンが奪取され、加水分解されたジル
コニウムアルコキシドやシランカップリング剤との重縮
合反応が進行し、Zr-O-N結合やSi-O-N結合が生成され
る。メインポリマー液にホウ酸が含有されている場合に
は、B2O3のB3+イオンが、シランカップリング剤や金属
アルコキシドの架橋していない酸素原子を引き付けて、
四面体状の[BO4]を構成する。その結果、Si-O-B、Zr-
O-B結合を形成し、メインポリマーのシランやジルコニ
ウムのガラス質の網目構造の切れ目を四面体状を[B
O4]で封止することになるため、耐熱性および硬度が増
大し、耐水性および耐酸化性に優れた被膜が得られる。
上記の反応は、常温でも進行するが、加熱処理すること
により加速され、確実に反応が完結する。そして、優れ
た耐熱性と電気絶縁性を有する被膜が形成される。
このようにして形成された被膜は、ジルコニウムアルコ
キシドおよびシランカップリング剤の無機骨格に由来す
る無機質部分と、ポリアミドイミドなどの有機ポリマー
とシランカップリング剤の有機基(エポキシ基など)に
由来する有機質部分とが化学的に結合している。メイン
ポリマーは、基本的には無機部分による多孔質の高分子
またはそれらが3次元的に結合した巨大高分子であり、
さらにこの高分子が複数個集合して、多孔質の三次元マ
トリックスを形成している。この多孔質高分子の細孔部
分は、複合ポリマーの有機部分が充填され、細孔が有機
質で封止された緻密な構造を有する。さらに、有機部分
が無機質部分と化学的に結合しているため、高温でも有
機部分の劣化や体積の減少などがおこりにくく、耐湿
性、耐溶剤性、耐薬品性に優れる。そして、被膜が、基
材を酸素や化学物質から効果的に隔離するため、高温下
でも、酸化や他の化学反応による不可逆的な熱劣化が生
じることがない。
メインポリマー層の下層にプレポリマー層が形成される
場合には、以下のようにして反応が進行する。まず、ジ
ルコニウムアルコキシド、シランカップリング剤、チタ
ニウムアルコキシドを含有するプレポリマー液が、基材
に塗布されると、空気中の水分を吸収して容易に硬化す
る。これは、プレポリマー液中のアルコキシドが空気中
の水分によって、加水分解され、上記と同様の脱水重縮
合反応が進行するためである。このとき、上記と同様に
シランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシド
と縮合する。これにより、Zr-O-Ti、Zr-O-Si、Zr-O-C、
Ti-O-C、Ti-O-Siなどの結合を有するプレポリマーが形
成される。さらにこのプレポリマーは、基材内の金属原
子や無機原子とも酸素原子を介して結合するため、基材
表面に強固に接着する。
次いで、このプレポリマー層が形成された基材に上記と
同様にしてメインポリマー層が形成されると、メインポ
リマーは、プレポリマー層に残存するアルコキシドとも
脱水重縮合反応を行うので、プレポリマー層とプレポリ
マー層とが強固に結合する。
このようにして形成された被膜は、プレポリマーとメイ
ンポリマーとが互いに化学的に結合した複合ポリマーか
らなる。プレポリマーは、‐O-Si-O-、‐O-Ti-O-の結合
を含有するため、熱に対して形状や寸法変化がほとんど
なく、Zr成分を含有するため、適度な靭性を有する。さ
らに、プレポリマー液には、チタニウムアルコキシドが
含有されるため、プレポリマーは、O-Ti-O結合を有す
る。O-Ti-O結合は、熱伝導率が低く、高温に曝された際
に基材に熱が伝わるのを防ぎ、基材に良好な耐熱性を付
与する。
このように、本発明の被膜は、無機質部分の耐熱性と絶
縁性、および有機ポリマーの柔軟性とを合わせ持つた
め、優れた耐熱性および電気絶縁性を有し、かつ加工性
に富んでいる。さらに、熱伝導率が低く、緻密な構造を
有するため、基材から、外部の高温や酸素などの化学物
質を効果的に遮断して、基材に優れた耐熱性を与える。
例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの基材に本発
明の耐熱性および絶縁性被膜を形成した場合、260℃の
シリコンオイルバス中で20秒間放置しても、基材には、
変形、変色、劣化などの変化は見られない。さらに、15
0℃で30分間放置しても、収縮または歪は、0.05%以下
である。そして、被膜の絶縁性は、抵抗が109Ω、絶縁
破壊電圧が8000V以上である。
本発明のワニス組成物は、有機部分と無機質部分の比率
を変えることによって、基材の使用目的に応じた特性の
被膜を得ることができる。例えば、電気部品用被膜は、
耐熱性、電気絶縁性の他に、コロナ放電、アーク放電に
対する耐性が要求される。このような被膜を得るために
は、ワニス組成物中の無機質部分の比率を高めることが
好ましい。マイカ用バインダー、ガラスクロス用絶縁被
膜として使用する場合には、柔軟性が要求されるので、
有機部分の比率を高めることが好ましい。このように、
本発明のワニス組成物は、基材の用途に応じて容易に被
膜の特性を調節することが可能であり、幅広い用途に使
用することができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 本実施例では、本発明のワニス組成物をコイル含浸用ワ
ニスとして用いた。まず、下記に示す成分を撹拌しなが
ら混合し、プレポリマー液を調製した。
上記プレポリマー液をコイルに塗布し、乾燥して、プレ
ポリマーの層を形成した。
ついで、下記の成分を撹拌しながら混合し、メインポリ
マー液を調製した。
このメインポリマー液を上記でプレポリマーを形成した
コイルの表面に塗布した。さらに、プレポリマー液とメ
インポリマー液を数回繰り返して塗布し、このコイルを
120〜170℃の温度で加熱処理して、絶縁性被膜で被覆さ
れたコイルを得た。
上記2種のポリマー液はともに粘度が低く、コイル内部
に充分に浸透し、コイル内部の導線の表面にも被膜が形
成されていた。得られたコイルは、良好な耐熱性を有
し、250℃〜300℃で20,000時間以上の連続使用が可能で
あった。コイルに形成された被膜の電気的特性を評価し
たところ表1の結果を得た。
実施例2 本実施例では、本発明のワニス組成物をマイカ用ワニス
に用いた。マイカ用ワニスは柔軟性に富み、耐熱性に優
れたものが要求される。
以下に示す成分を撹拌しながら混合して、ワニス組成物
を調製した。
上記ワニス組成物をマイカに塗布し、170〜230℃で3分
間加熱した。得られた被膜の電気特性を表2に示す。
実施例3 本実施例では、本発明のワニス組成物を半導体封止用と
して用いた例を示す。半導体封止用ワニスは、比較的低
温で硬化すること、耐熱性、耐水性、耐溶剤性に富むこ
と、熱膨張係数が小さく、半導体チップやリードフレー
ムとの接着性が良好であること、誘電率が低いことなど
が要求される。
まず、以下に示す成分を撹拌しながら混合して、ワニス
組成物を調製した。
上記のワニス組成物を用いて常法により半導体素子を封
止した。得られた半導体素子は耐溶剤性に優れ、80℃〜
100℃に加熱しても被膜が軟化するなどの問題は生じな
かった。被膜の電気的特性を表3に示す。
実施例4 最外層のプレポリマー液として下記に示す成分を含有す
るプレポリマー液を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、絶縁性被膜で被覆されたコイルを得た。
得られた被膜は良好な耐水性および耐酸性を有し、熱安
定性にも優れる。コイルの高温耐久試験を実施したとこ
ろ、300℃で20,000時間以上の耐久性が確認された。
(発明の効果) 本発明のワニス組成物を用いて形成される被膜は、この
ように、優れた耐熱性と電気絶縁特性とを基材に付与す
る。さらに、この被膜は耐湿性、耐溶剤性、および耐薬
品性にも優れる。そして、ワニス組成物中の無機質成分
と有機成分との配合比を調節することによって、被膜の
硬度、加工性などの特性を容易に調整することが可能で
ある。従って、本発明のワニス組成物は、様々な種類の
電気機器または電子機器に好適に用いられ得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 303 E 8720−4D

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機ポリマー、ジルコニウムアルコキシ
    ド、シランカップリング剤、ゾル−ゲル法触媒、および
    溶媒を含有するメインポリマー液からなる、 耐熱性および絶縁性ワニス組成物。
  2. 【請求項2】前記メインポリマー液に加えて、さらに、
    プレポリマー液を含有し、 該プレポリマー液が、ジルコニウムアルコキシド、シラ
    ンカップリング剤、チタニウムアルコキシド、ゾル−ゲ
    ル法触媒および溶媒を含有する、 請求項1に記載のワニス組成物。
  3. 【請求項3】前記ワニス組成物が、前記プレポリマー液
    とメインポリマー液との混合物である、請求項2に記載
    のワニス組成物。
  4. 【請求項4】前記有機ポリマーがポリアミドイミドであ
    る、請求項1または2に記載のワニス組成物。
  5. 【請求項5】前記メインポリマー液が、さらにホウ酸を
    含有する、請求項1または2に記載のワニス組成物。
  6. 【請求項6】前記ゾル−ゲル法触媒が、実質的に水に不
    溶で、有機溶媒に可溶な第3アミンである、請求項1ま
    たは2に記載のワニス組成物。
  7. 【請求項7】前記ゾル−ゲル法触媒が、N,N-ジメチルベ
    ンジルアミンである、請求項6に記載のワニス組成物。
  8. 【請求項8】請求項1に記載のワニス組成物を用いて耐
    熱性および絶縁性を有する被膜を形成する方法であっ
    て、 前記ワニス組成物を基材表面に付与する工程;と、 該組成物が付与された基材を、150〜350℃の範囲の温度
    で熱処理することにより、該基材表面に被膜を形成する
    工程;とを包含する、 耐熱性および絶縁性被膜の形成方法。
  9. 【請求項9】請求項2に記載のワニス組成物を用いて耐
    熱性および絶縁性を有する被膜を形成する方法であっ
    て、 前記プレポリマー液を基材表面に付与し、プレポリマー
    の層を基材表面に形成する工程; 該プレポリマーの層の表面に前記メインポリマー液を付
    与し、該プレポリマー層の表面にメインポリマーの層を
    形成する工程;および、 該プレポリマー層とメインポリマー層とを有する基材
    を、150〜350℃の範囲の温度で熱処理することにより、
    該基材表面に被膜を形成する工程;を包含する、 耐熱性および絶縁性被膜の形成方法。
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