JPH0688226A - 基板保持装置 - Google Patents

基板保持装置

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Publication number
JPH0688226A
JPH0688226A JP26534292A JP26534292A JPH0688226A JP H0688226 A JPH0688226 A JP H0688226A JP 26534292 A JP26534292 A JP 26534292A JP 26534292 A JP26534292 A JP 26534292A JP H0688226 A JPH0688226 A JP H0688226A
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JP
Japan
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substrate
liquid metal
reservoir
substrate table
base
Prior art date
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Application number
JP26534292A
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English (en)
Inventor
Yasunori Ando
靖典 安東
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板と基板台との間の熱伝達手段を改善し
て、基板が大型化しても大きな冷却能力を得ることで
き、しかも雰囲気の真空状態を悪化させる可能性の少な
い基板保持装置を提供する。 【構成】 この基板保持装置は、基板2を支持する基板
台4と、基板2の周縁部を基板台4に向けて押さえ付け
るクランパー6と、基板台4の表面部に設けられていて
液体金属を溜める液体金属溜め20と、この液体金属溜
め20内に、その上に押さえ付けられる基板2の裏面に
密着するように充填された液体金属22と、基板台4と
基板2との間を液体金属溜め20の周りにおいてそこか
ら液体金属22が漏れ出ないようにシールするパッキン
24と、基板台4の内部に設けられていて冷媒12が供
給される冷媒通路10とを備えており、この冷媒通路1
0に冷媒12を供給することによって、基板台4の温度
を液体金属22の融点かそれより幾分高めに保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばイオン注入装
置、スパッタリング装置、ドライエッチング装置、電子
ビーム照射装置等のように、真空中またはその他の雰囲
気中で基板にイオンビーム、プラズマ、電子ビーム等の
エネルギーを有する粒子を入射させる場合に用いられる
基板保持装置に関し、より具体的には、その基板に対す
る冷却能力を改善する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の基板保持装置の従来例を図5お
よび図6にそれぞれ示す。
【0003】図5の基板保持装置は、基板(例えば半導
体基板、ガラス基板等)2を支持する基板台4と、その
表面に接着された例えばシリコーンゴムのようなゴム状
弾性体8と、図示しないバネの力を利用する等して基板
2の周縁部を基板台4に向けて押さえ付けて基板2の裏
面をゴム状弾性体8に密着させる環状のクランパー6と
を備えている。基板台4の内部には冷媒通路10が設け
られており、そこに外部から例えば水、フロリナートの
ような冷媒12を供給して基板台4を冷却するようにし
ている。
【0004】上記のように保持された基板2に、クラン
パー6の開口部を通してイオンビーム、プラズマ等を照
射して、所要の処理が施される。
【0005】ゴム状弾性体8を設けるのは、基板2を直
接基板台4に押さえ付けたのでは微視的に見ると両者間
の接触面積が小さくて熱伝達が悪いのを補うためであ
る。
【0006】イオンビーム等の照射に伴って基板2内に
発生する熱は、ゴム状弾性体8を介して基板台4に伝達
され、更には基板台4内に導入される冷媒12によって
外部へ排出され、このようにして基板2が冷却される。
【0007】図6の基板保持装置は、上記ゴム状弾性体
8の代わりに、基板台4の表面部にガス溜め14を設
け、そこに例えば水素、ヘリウム等のガス16を供給す
ることで基板2と基板台4との間にガス16を充填する
ようにしている。18はガス16が漏れ出ないようにシ
ールするパッキンである。
【0008】イオンビーム等の照射に伴って基板2内に
発生する熱は、ガス16による熱伝導で基板台4に伝え
られ、それ以降は図5の例と同様にして基板2が冷却さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記図5の
基板保持装置においては、ゴム状弾性体8を設けても、
その表面や基板2の裏面が現実的には完璧な鏡面ではな
く微小な凹凸が多数存在するため、基板2とゴム状弾性
体8間の実効的な接触面積が小さく、そのため十分な冷
却能力が得られないという問題がある。
【0010】また、クランパー6による基板2の周縁部
の押さえでは、基板2の面内に一様な力をかけることが
できず、より具体的には基板2の中央部にかかる力が弱
く、そのため基板2の中央部ではゴム状弾性体8との接
触面積がより小さくなり、しかもこれは基板2が大型化
するほど甚だしくなるので、基板2が大型化するにつれ
て冷却能力が低下するという問題がある。
【0011】一方、上記図6の基板保持装置において
は、ガス16の導入による実効接触面積の増加が期待で
きるが、この場合の冷却能力は、基板2と基板台4間の
間隙の大きさ、ガス16の種類および圧力に依存する。
このガス16の圧力については、1Torr以上でガス
16の熱伝導率が大きくなることから1Torr以上に
上げる必要がある。これは、基板2を処理するための周
りの雰囲気の圧力(例えば10-4〜10-7Torr程
度)に比べてかなり高く、そのため周りの雰囲気中へガ
ス漏れを起こして、雰囲気の真空状態を悪化させ、ひい
ては基板2に対する処理に変化をもたらす可能性が高い
という問題がある。
【0012】また、基板2が大型化すると、基板2がガ
ス16から受ける全圧力が非常に大きくなって基板2の
歪みも大きくなり、これが上記基板2と基板台4間の間
隙の拡大につながり、ひいては冷却能力が低下するとい
う問題もある。
【0013】ちなみに、基板2に対する冷却能力が低い
と、イオンビームの照射等に伴う基板2の温度上昇が過
大になり、それによって例えば、基板2の歪みが増大し
て正確な処理が施せなくなる、基板2の表面にレジスト
膜を設けている場合はそれが変形・変質する、等の不具
合が発生する。
【0014】そこでこの発明は、基板と基板台との間の
熱伝達手段を改善して、基板が大型化しても大きな冷却
能力を得ることでき、しかも雰囲気の真空状態を悪化さ
せる可能性の少ない基板保持装置を提供することを主た
る目的とする。
【0015】
【発明の概要】上記目的を達成するため、この発明の基
板保持装置は、簡単に言えば、基板と基板台との間に、
中間媒体として、液体金属を介在させていることを特徴
としている。
【0016】液体金属は自由な形状になることから、そ
れと基板および基板台との間の密着性が良く、従ってガ
スの場合と同様に実効的な接触面積が増大する。しか
も、液体金属はガスに比べて熱伝導率が2桁程度大き
い。従って、この基板保持装置においては大きな冷却能
力が得られる。
【0017】また、基板と液体金属との間の密着状況
は、基板のサイズによって特に変化しないので、基板が
大型化しても上記のような大きな冷却能力が得られる。
【0018】しかも、液体金属は表面張力があるからガ
スに比べて漏れにくく、また仮に漏れても蒸気圧が低い
ので蒸気化しにくい。従って、ガスに比べて雰囲気の真
空度を悪化させる可能性は少ない。
【0019】
【実施例】図1は、この発明の一実施例に係る基板保持
装置を示す断面図である。この基板保持装置は、前述し
たような基板2を支持する基板台4と、基板2の周縁部
を基板台4に向けて押さえ付ける前述したようなクラン
パー6と、基板台4の表面部に設けられていて液体金属
を溜める液体金属溜め20と、この液体金属溜め20内
に、その上に押さえ付けられる基板2の裏面に密着する
ように充填された液体金属22と、基板台4と基板2と
の間を液体金属溜め20の周りにおいてそこから液体金
属22が漏れ出ないようにシールする例えばOリング等
のパッキン24と、基板台4の内部に設けられていて前
述したような冷媒12が供給される冷媒通路10とを備
えている。
【0020】この実施例では、上記クランパー6によっ
て、基板2を基板台4に向けて押さえ付ける基板押圧手
段を構成している。
【0021】また、上記冷媒通路10に冷媒12を供給
することによって、基板台4の温度を液体金属22の融
点かそれより幾分高めに保つようにしており、これによ
って基板台冷却手段を構成している。基板台4の温度を
液体金属22の融点かそれより幾分高めに保つのは、液
体金属22を液体の状態に保ちつつ、できるだけ温度を
下げて基板2との温度差を大きくして冷却能力を大きく
するためである。
【0022】液体金属22は、特定のものに限定されな
いが、上記のような理由から、できるだけ融点の低いも
のが好ましい。具体的には、ガリウム(Ga)、あるい
はガリウムを主体とする混合物が好適である。
【0023】ガリウムは融点が29.78℃であるの
で、液体金属22としてこれを用いる場合は、基板台4
は例えば30〜35℃程度に保持するのが好ましい。
【0024】液体金属22は自由な形状になることか
ら、それと基板2および基板台4との間の密着性が良
く、従ってガスの場合と同様に実効的な接触面積が増大
する。しかも、液体金属22はガスに比べて熱伝導率が
2桁程度大きい。従って、この基板保持装置において
は、大きな冷却能力が得られる。
【0025】また、上記のようにして閉じ込められた液
体金属22内では等方的に力がかかるので、基板2のサ
イズにかかわりなく液体金属22が基板2の裏面に一様
に密着し、従って基板2が大型化しても上記のような大
きな冷却能力が得られる。
【0026】しかも、液体金属22は表面張力があるか
らガスに比べて漏れにくく、また仮に漏れても蒸気圧が
低いので蒸気化しにくい。従って、ガスに比べて雰囲気
の真空度を悪化させる可能性は少ない。
【0027】図2は、この発明の他の実施例に係る基板
保持装置を示す断面図である。この基板保持装置は、図
1の装置に、液体金属溜め20内の液体金属22を基板
2の裏面の方へ押し出す押し出し機構28を付加したも
のである。
【0028】押し出し機構28は、この例では、基板台
4の内部に液体金属溜め20につながるように設けられ
たシリンダ部25と、そこに挿入されたピストン26
と、このピストン26を矢印Aのように基板2側に向け
て押し出す駆動装置27とから成る。
【0029】このような押し出し機構28を設けると、
基板2を保持する時点では液体金属22のレベルを液体
金属溜め20の最上面まで上げておく必要がないので、
液体金属22を溢れさせる恐れがなく、取り扱い・操作
が容易になる。また、基板2を装着してクランパー6で
保持後は、液体金属22を押し出してそれを基板2の裏
面に隙間なく確実に密着させることができるので、所定
の冷却能力を確実に安定して得ることができる。
【0030】ところで、上記液体金属22が基板2や基
板台4に直接接する場合は、これらの材質の関係によっ
ては、液体金属22が基板2の裏面や基板台4と反応し
たり、液体金属22が基板2の裏面に付着してゴミとし
て残る可能性がある。そこで、このような点を更に改善
した実施例を図3および図4にそれぞれ示す。なお、こ
れらの実施例の説明においては、先の図1および図2の
実施例との相違点を主体に説明する。
【0031】図3の実施例においては、前述したような
液体金属溜め20の液体金属22との接触面、更には当
該液体金属溜め20の周りの部分を覆うように、保護層
30を設けている。もっとも、液体金属溜め20の液体
金属22との接触面以外の部分には、必ずしも保護層3
0を設ける必要はない。また、液体金属溜め20の上部
を覆うように、フレキシブルなフィルム32を張ってい
る。
【0032】保護層30は、液体金属溜め20内に充填
される液体金属22と反応しない物質から成る。具体的
には、この保護層30は、例えば、基板台4の表面を酸
化または窒化させてできる酸化層または窒化層でも良
い。あるいは、カーボン、ガラス、セラミックス等から
成る薄板を基板台4の表面に貼り付けたものでも良い。
【0033】フィルム32も、液体金属溜め20内に充
填される液体金属22と反応しない物質から成る。例え
ば、このフィルム32は、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂、シリコーンゴム等の有機フィルムから
成る。そしてこのようなフィルム32を、液体金属溜め
20の周りの部分に、液体金属22がそこから漏れ出な
いように接着している。図中の34はその接着部を示
す。
【0034】そして、上記のようにして保護層30で覆
われた液体金属溜め20とフィルム32との間に、基板
2を基板台4に向けて押さえ付けた状態でフィルム32
が基板2の裏面に密着するように、前述したような液体
金属22を充填している。具体的にはこの実施例では、
基板2を押さえ付ける前はフィルム32が幾分膨らむよ
うに液体金属22を充填している。あるいはそのように
する代わりに、またはそのようにすることと併せて、図
2に示したような押し出し機構28を設けて、液体金属
22を基板2の裏面の方へ押し出すようにしても良い。
図2に示したような押し出し機構28を設ける場合は、
そのシリンダ部25およびピストン26の液体金属22
との接触面にも上記のような保護層30を設ければ良
い。
【0035】この実施例のようにすれば、フィルム32
および保護層30によって、液体金属22が基板2や基
板台4と直接接するのを防ぐことができるので、液体金
属22が基板2および基板台4に反応によって影響を与
えたり、液体金属22が基板2の裏面に付着するのを防
止しつつ、液体金属22の良好な熱伝導率を利用するこ
とができる。
【0036】この実施例のより具体例を示すと、液体金
属22としてガリウムを用い、基板台4としてアルミニ
ウムを用いた場合、そのままでは基板台4はガリウムと
反応が著しいが、基板台4側の保護層30として、基板
台4の表面を酸化または窒化させた酸化層または窒化層
を設けた。これにより、基板台4とガリウムとの反応は
無くなり、基板台4として熱伝導率の良好なアルミニウ
ム材を有効に使用することができた。
【0037】また、液体金属22としてガリウムを用
い、この上面をフィルム32として0.5〜10μm厚
のポリイミド、ポリカーボネート等のフィルムで覆っ
た。これにより、液体金属22と基板2との反応防止だ
けでなく、そのままでは基板2の裏面の粗度に依存して
ガリウムの付着が見られていたのが全く無くなった。
【0038】更に、液体金属22としてガリウムを用
い、基板台4側の保護層30として、カーボン、ガラ
ス、セラミックスの薄板を貼り付けた。これにより、基
板台4とガリウムとの反応は無くなり、基板台4として
熱伝導率の良好な金属材の性質を有効に利用することが
できた。
【0039】なお、上記のような保護層30およびフィ
ルム32を介在させることにより、図1、図2の実施例
のように液体金属22が直接接する場合に比べれば、若
干の冷却能力の低下は有り得る。しかし、フィルム32
について見れば、その厚みを極力薄くすることによっ
て、熱伝導の悪化を抑えることができる。また、基板2
の周縁部に圧力を加えても、中に液体金属22が充填さ
れているから、この液体金属22によって基板2の裏面
を含めて等方的に圧力が加わるので、図5の従来例のよ
うに単にゴム状弾性体8を介在させる場合に比べれば、
冷却能力は大幅に向上する。
【0040】また、保護層30について見れば、それが
基板台4の酸化層や窒化層の場合は、この保護層30と
基板台4との間に材質の連続性があるので、界面での密
着、不密着が問題になることはなく一つの物として見る
ことができるので、熱伝導の悪化は少ない。また、酸化
層や窒化層の厚みはμオーダーであって非常に薄いの
で、仮にここで少し位熱伝導率が低下しても、大勢に影
響はない。
【0041】保護層30がガラス板等の薄板の場合も、
それを極力薄くする、ボルト等の機械的手段を併用して
保護層30に強制的に圧力を加えてそれを基板台4に密
着させる、あるいは保護層30と基板台4との間に、ア
ルミニウム、チタン等の金属箔を介在させて両者間を密
着させる、あるいは保護層30と基板台4との間に接着
剤を介在させて両者間を密着させる、等の手段を併用す
ることにより、熱伝導の悪化を極力抑えることができ
る。
【0042】図4の実施例においては、基板台4の表面
部に前述したような液体金属溜め20を設ける代わりに
凹部38を設け、この部分に、基板台4とその上に押さ
え付けられる基板2との間に挟まれるように、密閉され
たフレキシブルな袋体40に前述したような液体金属2
2を封入したものを介在させている。この袋体40は、
例えば接着剤を使用する等して基板台4上に固定されて
いる。
【0043】この袋体40は、内部の液体金属22と反
応しない物質、例えばポリイミド、ポリカーボネート、
フッ素樹脂、シリコーンゴム等の有機フィルムから成
る。またこの袋体40は、この例では2枚のフレキシブ
ルなシート42、44を合わせてその周縁部の接着部4
6で互いに接着して密封した構造をしているが、勿論こ
れ以外の構造としても良い。
【0044】更にこの実施例では、基板台4を回転式に
すると共にそれを水平に対して傾け(垂直に立てること
も含む)、この基板台4を駆動装置56によって例えば
矢印Bのように回転させるようにしている。基板台4を
回転させる速度は特定の範囲に限定されるものではな
く、例えば、基板2に対するイオン注入等の処理を均一
化するのに必要な回転速度で良い。
【0045】基板台4を回転式にすることに伴って、基
板台4内の冷媒通路10へ冷媒12を導入する手段とし
て、この実施例では軸50を二重構造にしてその内部に
冷媒12の往路52と復路54とを設けている。但し、
これ以外の構造によって冷媒通路10に冷媒12を供給
するようにしても良い。
【0046】この実施例においては、袋体40内で液体
金属22は自由に移動できるため、基板台4を傾けるこ
とによって液体金属22は自重で下方に移動しようと
し、その結果、この液体金属22によって基板台4の表
面を押す力と共に基板2を裏面から押す力が発生する。
このような力によって、液体金属22を内蔵した袋体4
0は基板台4の表面および基板2の裏面に密着させられ
るので、それらの間の実効接触面積が増大し、熱伝達性
能が向上する。
【0047】但し、内部の液体金属22によって袋体4
0を基板台4および基板2に押し付ける力は、上部に比
べて下部の方が大きいので、この実施例では基板台4を
回転させることによって、上部に位置する部分と下部に
位置する部分とを順次入れ換えるようにしている。これ
によって、液体金属22を内蔵した袋体40の基板台4
および基板2への密着力を時間的に平均化することがで
きるので、基板2の面内において冷却能力を一様化する
ことができる。
【0048】また、袋体40によって液体金属22が基
板2および基板台4に直接接するのを防止しているの
で、液体金属22が基板2および基板台4に反応によっ
て影響を与えたり、液体金属22が基板2の裏面に付着
するのを防止しつつ、液体金属22の良好な熱伝導率を
利用することができる。
【0049】しかもこの実施例の場合は、基板台4を傾
けて内部の液体金属22の自重で袋体40を基板台4お
よび基板2に密着させるようにしているので、図3の実
施例の場合と違って、袋体40内に液体金属22を必ず
しも袋体40全体が膨らむほど入れる必要はない。ま
た、液体金属22の押し出し機構を設ける必要もない。
【0050】なお、この実施例においては、液体金属2
2によって基板2の裏面を押す力により基板2の変形が
考えられる。この場合、図6の従来例のようなガス冷却
では、ガス16の熱伝導率が基本的に小さいため、この
基板2の変形による基板裏面〜基板台表面間距離の広が
りで結果的に熱伝導が悪くなるけれども、この実施例の
ように液体金属22の場合は、その熱伝導率がガスに比
べて非常に大きいため、基板裏面〜基板台表面間距離の
広がりによる影響は殆ど受けない。
【0051】この図4の実施例のより具体例を示すと、
1〜10μm厚の2枚のシリコーンゴムシート42、4
4間に液体金属22としてガリウムを入れ、周囲の接着
部46を密閉して袋体40を構成したものを、基板台4
の表面部に設けられた凹部38に設置し、ずれないよう
に接着剤で接着した。この凹部38の深さは1〜5mm
程度とし、シート42、ガリウムおよびシート44の合
計の厚みはこの深さと同程度あるいは0.5mm程度厚
くした。そして、基板台4を傾ける角度は90度(垂
直)とし、基板台4を毎分20〜30回転の速度で回転
させた。またこのとき、冷媒12によって、基板台4の
表面部の温度を30〜35℃程度に保持した。
【0052】上記のように基板台4を傾けることによ
り、液体金属22が基板2の裏面を押す力が発生し密着
力が向上するので、図5の従来例では冷却能力が0.1
〜0.2W/cm2 程度であったのに対して、上記実施
例では1W/cm2 以上の冷却能力が得られた。また、
図6の従来例に見られた導入ガスの漏れによる雰囲気の
真空状態の変化は、上記実施例では全く見られなかっ
た。
【0053】なお、基板台4は、上記各実施例のように
基板2を1枚保持するものであっても良いし、あるいは
大きなディスク状であってその周縁部に複数枚の基板2
を保持するようなもの等でも良い。
【0054】また、基板押圧手段は、上記各実施例のよ
うな環状のクランパー6以外に、基板2の周縁部を複数
個所で押さえ付けるものでも良い。あるいは、基板台4
をその周縁部がすり鉢状になったディスクにしてそのす
り鉢状の部分に複数枚の基板2を装着し、このディスク
を回転させることによる遠心力で各基板2を基板台4に
押さえ付けるものでも良い。
【0055】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、基板と
基板台との間に中間媒体として液体金属を介在させてお
り、液体金属は自由な形状になることから、それと基板
および基板台との間の密着性が良く、従ってガスの場合
と同様に実効的な接触面積が増大する。しかも、液体金
属はガスに比べて熱伝導率が2桁程度大きい。従って、
この発明の基板保持装置においては大きな冷却能力が得
られる。
【0056】また、基板と液体金属との間の密着状況
は、基板のサイズによって特に変化しないので、基板が
大型化しても上記のような大きな冷却能力が得られる。
【0057】しかも、液体金属は表面張力があるからガ
スに比べて漏れにくく、また仮に漏れても蒸気圧が低い
ので蒸気化しにくい。従って、ガスに比べて雰囲気の真
空度を悪化させる可能性は少ない。
【0058】また、液体金属溜めの液体金属との接触面
を保護層で覆い、かつ液体金属溜めの上部をフレキシブ
ルなフィルムで覆うことにより、このフィルムおよび保
護層によって、液体金属が基板や基板台と直接接するの
を防ぐことができるので、液体金属が基板および基板台
に影響を与えたり、液体金属が基板の裏面に付着するの
を防止しつつ、液体金属の良好な熱伝導率を利用するこ
とができる。
【0059】また、液体金属溜め内の液体金属を基板の
裏面の方へ押し出す押し出し機構を更に設けることによ
り、液体金属を基板の裏面に隙間なく確実に密着させる
ことができるので、所定の冷却能力を確実に安定して得
ることができるようになる。
【0060】また、基板と基板台との間に、密閉された
フレキシブルな袋体に液体金属を封入したものを介在さ
せ、かつ基板台を傾けて回転させることにより、上記と
同様に液体金属が基板および基板台と反応したり基板裏
面に付着するのを防止することができる。しかも、基板
台を傾けることにより、液体金属が基板の裏面を押す力
が発生し密着力が向上するので、上記のような液体金属
を押し出す押し出し機構を設けなくても、大きな冷却能
力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る基板保持装置を示す
断面図である。
【図2】この発明の他の実施例に係る基板保持装置を示
す断面図である。
【図3】この発明の更に他の実施例に係る基板保持装置
を示す断面図である。
【図4】この発明の更に他の実施例に係る基板保持装置
を示す断面図である。
【図5】従来の基板保持装置の一例を示す断面図であ
る。
【図6】従来の基板保持装置の他の例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
2 基板 4 基板台 6 クランパー 10 冷媒通路 12 冷媒 20 液体金属溜め 22 液体金属 24 パッキン 28 押し出し機構 30 保護層 32 フィルム 40 袋体 56 駆動装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板を支持する基板台と、基板をこの基
    板台に向けて押さえ付ける基板押圧手段と、前記基板台
    の表面部に設けられていて液体金属を溜める液体金属溜
    めと、この液体金属溜め内に、その上に押さえ付けられ
    る基板の裏面に密着するように充填された液体金属と、
    前記基板台と基板との間を前記液体金属溜めの周りにお
    いてそこから液体金属が漏れ出ないようにシールするパ
    ッキンと、前記基板台の温度を前記液体金属の融点かそ
    れより幾分高めに保つ基板台冷却手段とを備えることを
    特徴とする基板保持装置。
  2. 【請求項2】 基板を支持する基板台と、基板をこの基
    板台に向けて押さえ付ける基板押圧手段と、前記基板台
    の表面部に設けられていて液体金属を溜める液体金属溜
    めと、少なくともこの液体金属溜めの液体金属との接触
    面を覆っていて、当該液体金属溜め内に充填される液体
    金属と反応しない物質から成る保護層と、前記液体金属
    溜めの上部を覆うと共に当該液体金属溜めの周りの部分
    に液体金属がそこから漏れ出ないように接着されてお
    り、かつ当該液体金属溜め内に充填される液体金属と反
    応しない物質から成るフレキシブルなフィルムと、前記
    液体金属溜めとこのフィルムとの間に、基板を基板台に
    向けて押さえ付けた状態で当該フィルムが基板の裏面に
    密着するように充填された液体金属と、前記基板台の温
    度を前記液体金属の融点かそれより幾分高めに保つ基板
    台冷却手段とを備えることを特徴とする基板保持装置。
  3. 【請求項3】 前記液体金属溜め内の液体金属を基板の
    裏面の方へ押し出す押し出し機構を更に備える請求項1
    または2記載の基板保持装置。
  4. 【請求項4】 基板を支持する回転式の基板台であって
    水平に対して傾けられたものと、この基板台を回転させ
    る駆動装置と、基板を前記基板台に向けて押さえ付ける
    基板押圧手段と、前記基板台上に、当該基板台と押さえ
    付けられた基板との間に挟まれるように設けられてい
    て、内部の液体金属と反応しない物質から成る密閉され
    たフレキシブルな袋体に液体金属を封入したものと、前
    記基板台の温度を前記液体金属の融点かそれより幾分高
    めに保つ基板台冷却手段とを備えることを特徴とする基
    板保持装置。
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