JPH0688150A - 水素吸蔵合金の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金の製造方法

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JPH0688150A
JPH0688150A JP4242233A JP24223392A JPH0688150A JP H0688150 A JPH0688150 A JP H0688150A JP 4242233 A JP4242233 A JP 4242233A JP 24223392 A JP24223392 A JP 24223392A JP H0688150 A JPH0688150 A JP H0688150A
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alloy
hydrogen storage
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JP4242233A
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Inventor
Ryohei Ishikawa
遼平 石川
Takahiro Miyashita
孝洋 宮下
Makoto Yugamidani
真 湯上谷
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Chuo Denki Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Chuo Denki Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水素吸蔵合金の初期活性化が容易な水素吸蔵
合金の製造方法。 【構成】 粉末状あるいは粒状の水素吸蔵合金粉末をp
H 4.5未満の酸性水溶液(例、塩酸水溶液) で処理す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒートポンプや自動車
用などの気相系 (乾式) で用いられる水素吸蔵合金とニ
ッケル−水素二次電池などの液相系 (湿式) で用いられ
る水素吸蔵合金のいずれにも適用可能な、初期活性化な
容易な水素吸蔵合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は、大量の水素を吸蔵・放
出できる媒体として、ヒートポンプ、水素貯蔵輸送、ゲ
ッター(脱水素材)、二次電池などの用途に広く使用さ
れている。これらは、水素吸蔵・放出の際に接している
合金界面により、液相系用途と気相系用途とに分けられ
る。
【0003】例えばヒートポンプでは、吸蔵平衡圧の異
なる2種以上の合金を組み合わせ、その水素吸蔵・放出
に伴う吸熱と発熱を利用することから、気相系での使用
が主である。一方、ゲッター用途の場合、真空系の微量
ガス成分の吸着・吸蔵では気相系であるが、液体中に合
金を分散または固定して発生する水素を吸蔵する場合に
は液相系での使用になる。また、民生用の二次電池の場
合にはアルカリ電解液中での使用となるため液相系であ
るが、宇宙用の燃料電池に使用する場合は気相系で水素
貯蔵を行う。
【0004】このように、水素吸蔵合金は、使用目的に
より液相系用途と気相系用途とに分類することができる
が、いずれの場合にも、水素吸蔵合金の初期活性化にお
ける活性化の難易と吸蔵・放出速度が重要な要因とな
る。水素吸蔵合金は、例えば、高周波誘導加熱などの手
段により所定組成の合金を溶製した後、造塊により凝固
させ、次いで通常は乾式で粉砕し、目的の粒度に分級す
ることにより、粉末として製品化される。従来は、この
粉末に何ら特別な処理をせず、自動車用、電池用などの
各種用途にそのまま使用するのが普通であった。
【0005】一般に水素吸蔵合金は、その所定の性能を
発揮させるには、使用前に初期活性化処理を施すことが
必要である。しかし、従来は、水素吸蔵合金の粉砕や分
級時或いは貯蔵時の酸化により合金粉末の表面が酸化皮
膜で覆われるようになるため、合金の活性度が低下し、
初期活性化処理が困難であることが多かった。例えば、
ニッケル−水素二次電池用の電極として使用する場合に
は、電池を製作してから数回以上の充電・放電の繰り返
しを行わないと所定の電気容量がとりだせず、初期活性
化に要する時間とエネルギーが大きかった。他方、自動
車に代表される気相系の用途では、高温での真空減圧脱
気と水素付加とを繰り返さないと水素を充分に吸蔵する
ようにならず、やはり初期活性化に要する負担が大きか
った。
【0006】この初期活性化が容易であるか否かという
ことは、水素吸蔵合金の利用において重要なポイントで
あり、特に工業的に大量の合金粉末を高圧・高温で活性
化処理する場合などでは、コスト・安全の両面に大きな
影響を及ぼす。従って、比較的簡単な処理により吸蔵初
回から活性化が進行するように初期活性化を容易にでき
れば、工業的なメリットは計り知れないものがある。例
えば、貯蔵容器として使用する場合には、大量の水素吸
蔵合金を容易な条件下で比較的短時間で活性化でき、電
池用途の場合には電池の初期容量の迅速な立ち上がりが
期待できる。その結果、初期活性化に要する手間、時
間、コストの著しい低減が可能となる。
【0007】一般に、水素吸蔵合金の水素吸蔵・放出特
性はJIS H 7201に記載の圧力−組成等温線(PCT)測
定方法によって求められる。このPCT測定では、吸蔵
量、吸蔵・放出圧力、反応熱などの静的特性のほとんど
を求めることが可能であり、重要な測定方法として広く
用いられている。
【0008】このPCT測定に際しても、上述のように
製造後の合金粉末の表面が酸化皮膜で覆われているた
め、活性化処理が困難であることが多い。この場合の活
性化処理の方法としては、このJIS 規格に記載のよう
に、容器に合金粉末を入れて室温で真空脱気を行い、次
に室温で測定系が利用できる最高の圧力まで水素を導入
して保持する。この方法で、活性化 (水素吸蔵) が進行
しないときは、再度試料容器を真空脱気してから、適度
な温度に加熱し、再び水素を導入する。必要に応じて、
これらの操作を繰り返して活性化することが通常なされ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、水素
吸蔵合金の初期活性化を容易にすることは、気相系およ
び液相系のいずれの用途においても工業的に重要な課題
である。本発明の目的は、そのままでは活性化が極めて
困難な水素吸蔵合金の初期活性化を容易にするための処
理が施された、初期活性化が容易な水素吸蔵合金の製造
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく種々検討を続けた結果、水素吸蔵合金を
一定pH以下の酸性水溶液で処理することにより、初期
活性化が非常に容易になることを知り、本発明を完成し
た。
【0011】ここに、本発明の要旨とするところは、水
素吸蔵合金をpH 4.5未満の酸性水溶液で処理すること
からなる、初期活性化が容易な水素吸蔵合金の製造方法
にある。
【0012】なお、水素吸蔵合金の水を用いた処理とし
ては、特開平3−98259 号公報に、水素吸蔵合金を60℃
以上の加熱水で処理することが開示されているが、処理
条件および目的が本発明とは全く異なる。また、特開平
3−20966 号および同2−306541号各公報に、電極とし
ての高容量を得ることを目的として、水中で水素吸蔵合
金を粉砕することを特徴とする湿式粉砕および表面処理
方法が開示されているが、通常の水のpHは6〜7付近
であることから、処理条件および目的が本発明とは全く
異なる。
【0013】
【作用】以下、本発明について詳しく説明する。本発明
において水素吸蔵合金の種類は特に限定されず、効果の
差こそあれ、任意の種類の水素吸蔵合金に対して本発明
による処理を利用することができる。
【0014】本発明の処理が適している水素吸蔵合金の
例として、LaNi5 で代表されるAB5 型の結晶構造
をとる水素吸蔵合金が挙げられる。この種の水素吸蔵合
金の例には、LaNix またはMmNix (xは 4.5〜5.
5 、MmはLa含有量が70%以下の混合希土類金属) を
基本系とし、Niの一部をCo、Mn、Alおよび/ま
たは周期表のIIIb属元素で置換したものがある。本発明
の処理をAB5 型の水素吸蔵合金に適用すると、活性化
処理が極めて困難な状態にある合金を容易に活性化する
ことが可能となり、その効果が著しい。
【0015】処理原料として用いる水素吸蔵合金の製造
方法も特に限定されない。合金の製造は、従来は高周波
誘導炉、アーク炉、抵抗炉などの適当な加熱炉で所定組
成の合金を溶製した後、造塊などの適当な方法で凝固さ
せることにより行われてきた。得られた水素吸蔵合金
を、通常は粉砕および分級し、所定粒度の合金粉末とし
て製品化する。別の製造方法として、ガス・アトマイズ
法を利用して溶製・凝固を行うことにより水素吸蔵合金
の粉末または粒状物を直接製造することも試みられてい
る。本発明の処理は、これら従来公知のいずれの方法で
製造された水素吸蔵合金にも適用することができる。
【0016】水素吸蔵合金の粉末(粒状物を含む)は、
粉砕や貯蔵中に空気中の酸素や水分を吸着することなど
が原因となって、合金粉末表面は酸化皮膜で容易に覆わ
れ、水素に対して不働態化する傾向がある。従って、表
面が酸化された水素吸蔵合金が容易に水素を吸蔵・放出
するようにするための活性化方法として、前述のJISH 7
201などに記載されている、加熱下での真空脱気と高圧
(18〜20 atm以上)での水素付加からなる初期活性化処
理を繰り返し行って、やっと所望の水素吸蔵・放出特性
が得られるのである。
【0017】本発明では、水素吸蔵合金をpH 4.5未満
の酸性の水溶液で処理する。処理を受ける水素吸蔵合金
の形態は特に限定されないが、粉砕されたか、或いはガ
ス・アトマイズ法で直接得られた、粉末状あるいは粒状
の水素吸蔵合金に対して本発明の処理を行うことが好ま
しい。酸性水溶液による処理方法も限定されないが、水
素吸蔵合金を処理液に浸漬することにより行うことのが
簡便である。処理液は所望により攪拌してもよい。
【0018】図1は、各種pHの塩酸水溶液を用いてM
mNiAl系水素吸蔵合金を10分間という比較的短時間
で処理したときの、処理液のpHと水素付加1回目の水
素吸蔵速度 (付加水素圧力:10 kg/cm2 =約10 atm) と
の関係を示したものである。使用したMmNiAl系水
素吸蔵合金は、未処理のままでは、水素付加1回目で全
く水素を吸蔵しなかった。
【0019】この図から明らかなように、未処理では全
く水素を吸蔵しなかったものが、塩酸水溶液での10分間
の処理により、処理液pHに依存して大きな吸蔵速度を
示すようになった。この例では、pH=1.0 を極大とし
て、中性側と酸性型のいずれに処理液pHがシフトして
も水素吸蔵速度は低下した。吸蔵速度は早い方が好まし
いが、実験誤差を考慮すると、処理液pH 4.5以上で得
られる吸蔵速度は未処理品に比べて相対的に速いとは言
えない。従って、処理液pHが 4.5未満で吸蔵速度の増
大、即ち、活性化促進効果が得られることが判明した。
処理液のpH値は好ましくは3.5 以下であり、さらに好
ましくは 0.5〜2.5 の範囲内であると最も効果的であ
る。
【0020】なお、pH=0とは、塩酸の場合には1規
定濃度を意味する。処理水溶液の酸濃度が高くなりすぎ
ると、合金成分の溶出により水素吸蔵量が低下するよう
になるので望ましくない。ちなみに、蒸留水でも、放置
しておけば空気中の炭酸ガス成分を吸収して酸性になる
ことがあるが、この場合のpHの限界値はpH 4.5以上
であることが経験的に知られており、蒸留水のpHは最
低でも4.5 を下回ることはない。
【0021】本発明で処理液として用いる酸水溶液の調
製に用いる酸としては、各種の強酸および弱酸を用いる
ことが可能であり、特に制限されるものではないが、現
在までに判明している範囲内で最も効果が高いのは、強
酸である塩酸である。図1に示すように、硫酸水溶液に
より上記水素吸蔵合金を処理した場合、塩酸に比べて水
素吸蔵速度の増大に及ぼす効果は大きくないが、未処理
品が全く水素を吸蔵しなかったことを考えると、一定の
水素吸蔵の促進効果は認められる。
【0022】酸性水溶液による水素吸蔵合金の処理時間
は、所期の水素吸蔵促進効果が得られるように選べばよ
く、特に限定されないが、数分で充分な効果があるの
で、比較的短時間でよい。好ましい処理時間は5〜20分
である。
【0023】図2に、上と同じ合金系について、処理液
pH= 0.5〜4.0 における処理時間と水素吸蔵速度との
関係を示した。この図から明らかなように、処理液pH
が低いほど、処理時間の経過による吸蔵速度の低下が顕
著となった。これは、酸水溶液での処理時間が長くなる
と、合金表面の酸化物の除去だけでなく、平衡圧を低下
させる目的で加えたMn、Alなどの合金成分の溶出が
起こり、平衡圧の上昇による吸蔵速度の低下が始まるか
らではないかと考えられる。処理時間が20分を超える
と、この低下が顕著となるので、処理時間を20分以下と
することが好ましい。図2からは、10分前後の処理時間
が最も効果的であることがわかる。
【0024】このように、本発明による水素吸蔵合金の
処理は短時間でよいので、工業的に実施した場合のメリ
ットが大きい。なお、処理温度に関しては、室温で充分
な効果が得られるので、室温処理が簡便でよいが、それ
より高温あるいは低温で処理を行うことも可能である。
【0025】本発明方法による処理の効果は、処理対象
の合金系を変えても認められる。一般に合金系が異なる
と、平衡圧と水素吸蔵量がPCT曲線上で変化し、合金
を多元化するほど水素平衡圧力は低下し、10 atm以下の
水素吸蔵量は大幅に増加する。しかし、PCT曲線は18
〜20 atmという高水素圧での活性化処理を充分施した合
金について測定するものであるため、PCT測定では吸
蔵が容易であると思われる場合でも、10 atm前後の水素
圧での活性化処理の場合には、表面酸化により活性化が
容易でないことが多い。
【0026】図3は、MmNiAl系においてNiの一
部をCoまたはCoとMnで置換した2種類の水素吸蔵
合金について、処理液pHに対する水素付加1回目 (付
加水素圧力=約10 atm) での水素吸蔵速度を、図1に示
したMmNiAl系水素吸蔵合金と比較して示したもの
である。これら2種類の合金も、いずれも粉砕したまま
の未処理品では活性化が困難であった。ところが、図か
ら明らかなように、本発明の表面処理を施した場合に
は、いずれの合金系も水素付加1回目で極めて大きな吸
蔵速度を示した。処理液pHに対する吸蔵速度の変化挙
動は、いずれもMmNiAl系合金の場合と類似してい
たが、Niの一部をMn、Coで置換することで水素吸
蔵速度が10倍前後と格段に大きくなった。これは、合金
系の多元化による平衡圧力の低下による効果で、10 atm
での水素吸蔵量が増大したためである。
【0027】このように、本発明の処理は、酸化・不働
態化され易いあらゆる水素吸蔵合金に適用することが可
能であると推論される。実際に使用する水素吸蔵合金に
は、PCT曲線に現れる使用温度での平衡水素圧力に関
して制約があり、例えば、高圧ガス規制法の観点の応用
からは10 atm以下での吸蔵・放出の平衡水素圧力を有す
る合金系が好ましい。本発明の処理を施した水素吸蔵合
金は、この平衡水素圧力が低下する傾向があるので、例
えば、二次電池のように、室温で比較的低い平衡水素圧
力が要求される用途に使用する場合には有利である。
【0028】本発明の処理が関与する機構については、
鋭意研究中であり詳細は不明であるが現在までのところ
以下の事が推定される。すなわち、水素吸蔵合金の粉砕
中や貯蔵中に生成する酸化皮膜は、金属酸化物もしくは
水分の関与により希土類成分が溶出酸化してできた水酸
化物や酸化物であると考えられる。これらの酸化皮膜が
合金の表面を覆うことで、合金のバルク相が酸化皮膜の
下になり、水素を高圧で付加しても、緻密な酸化皮膜に
遮られて水素拡散速度が極めて遅くなると予想される。
これに対し、本発明の処理を合金に施すことにより、酸
に溶出しやすい酸化皮膜が少なくとも不完全に除去され
て多孔質になり、水素のバルク相内部への拡散が容易に
なる。これに加え、酸性水溶液による酸化皮膜の部分的
または完全な除去の結果、合金バルクのNiリッチ相が
表面近傍に現れる。このNiリッチ相は、水素分子を容
易に原子化する触媒作用を持つことが知られており、こ
の相の出現により水素吸蔵の速度が大きくなり、活性化
を容易にするものと推察される。また、過度の処理 (p
Hが低すぎるか、処理時間が長くなりすぎる) と、効果
が低下するが、これは前述のように、有効成分の溶出が
多くなることによる平衡圧上昇に起因する吸蔵速度減少
と推定している。
【0029】図4には、二次電池用途に用いられるMm
NiCoMnAl系合金粉末を本発明に従ってpH 1.0
の塩酸水溶液で処理した場合と、未処理の場合につい
て、この合金粉末を負極に用いた二次電池の充電・放電
繰り返しサイクルにおける放電容量を示した。本発明の
処理を施すと、未処理品に比べて、放電容量が迅速に立
ち上がり、初期 (1〜4回目) の放電容量が大幅に増大
した。従って、少ない充電・放電繰り返し回数で電池を
所定容量まで初期活性化できることがわかる。
【0030】二次電池の場合には、電気化学的な充電が
水素吸蔵にに対応する。充電・放電時には合金表面の酸
化皮膜が電気抵抗とな過電圧の上昇と放電時のIRドロ
ップ(電圧降下=放電容量の減少)と関係し、Niリッ
チ相の存在が触媒効果を発現したものと推察される。こ
れらの結果は、本発明の処理による効果が、二次電池の
ような湿式系 (液相系) 用途においても充分達成される
ことを示している。
【0031】なお、上記図1〜図4に示した水素吸蔵速
度および二次電池の放電容量の測定方法および測定条件
は、次の実施例で説明する方法および条件と同じであ
る。
【0032】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、実施例は例示を目的とし、本発明の範囲を
制限するものではない。
【0033】(実施例1)高周波溶解炉を用いて溶製して
得たMmNi4.95Al0.05の組成を持つ水素吸蔵合金の
100 kgのインゴットを粉砕し、−48メッシュ/+20
0メッシュに分級することにより得た水素吸蔵合金粉末
を処理原料として用いた。
【0034】処理条件は、合金1kgに対し処理液1リッ
トルの固液比率とし、処理液としては塩酸 (試薬特級)
を蒸留水で希釈してpH=1.0 に調整した酸性水溶液を
用いた。この処理液10リットルを耐酸性のステンレス鋼
製反応容器に満たし、撹拌しながら室温で上記水素吸蔵
合金粉末を1回に10 kg づつ投入し、10分間の処理を行
った。処理後、濾過による固液分離で処理された水素吸
蔵合金粉末を回収し、この合金粉末を減圧乾燥器を用い
て60℃で2時間乾燥した。この処理の前後で、水素吸蔵
合金粉末の重量変化はほとんどなかった。
【0035】次に、処理後の水素吸蔵合金粉末が未処理
品に対して本発明の効果を発現していることを確認する
ため、図5に示す測定装置を用いて水素吸蔵速度を測定
することにより、活性化の難易を測定した。
【0036】水素吸蔵速度の測定は、合金粉末 5.0gを
10.4 cc の内容積をもつ耐圧試料セルに入れ、10〜80
℃の範囲の所定温度 (実施例1では10℃、合金系のPC
T特性により温度は異なる)において0.01 Torr で2時
間脱気した後、10 kg/cm2(=約10 atm) の水素を付加
する活性化処理を行い、水素付加時の平衡圧の変化を記
録することにより行った。水素の吸蔵速度が平衡に達し
たなら、さらに2回目としてとの活性化処理操作を
繰り返し、活性化が不十分な時には3回目以降の活性化
処理も同様に行った。8時間以上経過しても吸蔵を開始
しない場合も、同様にとを繰り返して次回の活性化
処理を行った。
【0037】こうして得た平衡圧変化の測定データか
ら、水素吸蔵量 (cc/g) および水素対金属の原子数の比
(H/M比) を求め、さらに水素吸蔵量を平衡時間 (平
衡圧変化の測定データにおける水素付加開始から吸蔵終
了までの時間) で割ることにより、水素吸蔵速度 (cc-H
2/hr・g)を求めた。
【0038】比較のために、未処理の水素吸蔵合金粉末
についても同様の測定を行った。図6に、上記のように
処理した水素吸蔵合金粉末で求めた吸蔵水素原子比 (1
回目と2回目の活性化処理時のデータ) を、未処理の水
素吸蔵合金での測定結果 (5回目の活性化処理時のデー
タ) と共に示す。横軸は水素吸蔵時間、縦軸はH/M比
である。
【0039】この図に示したように、未処理品は活性化
のための水素吸蔵・放出の繰り返し4回までは水素の吸
蔵を示さず、やっと5回目の繰り返しで徐々に水素吸蔵
を開始した。即ち、活性化が非常に困難であった。
【0040】これに対し、pH 1.0の塩酸水溶液で処理
した水素吸蔵合金粉末は、吸蔵1回目に約30分の誘導期
間を経て比較的初期から水素を吸蔵開始し、約4.5 時間
で平衡吸蔵量に達した。このときの水素吸蔵量は91.15
ccであり、水素吸蔵速度は、91.5÷4.5 から20.3 cc/hr
・g であると算出された。2回目の吸蔵では、誘導期間
をおかずに水素付加開始時から水素を吸蔵し、1時間の
水素付加で平衡吸蔵量の90%以上の水素を吸蔵した。こ
の状態は、既に活性な状態であると言える。即ち、本発
明に従って処理した水素吸蔵合金粉末は、1回の水素吸
蔵・放出だけで活性化が達成され、活性化が非常に容易
であった。
【0041】上記の実験において10 atmの水素付加条件
では活性化が困難であることが実証された、未処理のM
mNi4.95Al0.05水素吸蔵合金粉末を使用し、この合
金粉末に下記条件下で高水素圧の活性化処理を行った後
で測定された圧力−組成等温線(PCT曲線)を図7に
示す。
【0042】PCT測定用活性化条件:室温減圧1時
間→80℃真空減圧2時間→80℃、18 atm水素付加16
時間→10℃真空減圧2時間→18 atm水素付加 (と
は2〜3回繰り返す) →活性化終了→PCT測定 図からわかるように、例えば、未処理の水素吸蔵合金に
ついて10℃で測定したPCT曲線は、水素付加圧力10 a
tmで、平衡論的には充分に水素を吸蔵する(H/Mmax
=1.10)。しかし、実際には、上述したように、表面酸
化物等の影響により未処理のままでは水素吸蔵が全く起
こらず、上記の煩雑で過酷な初期活性化処理を経ないと
活性化しない。
【0043】これに対し、本発明に従ってpH 1.0の塩
酸水溶液で処理すれば、図6に示したように、比較的簡
単な処理で活性化が達成され、活性化が容易になる。
【0044】(実施例2〜4)実施例1と同じ水素吸蔵合
金粉末を、pH=0.5 、pH=0、pH=3.0 の塩酸水
溶液で同様に処理した。こうして処理した水素吸蔵合金
について、処理の効果を確認するために、実施例1と同
様に水素吸蔵速度を測定した。結果を、未処理品および
実施例1での結果とともに、次の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例5)Ni−水素二次電池用に適した平
衡水素圧力を示すことが知られている、組成がMmNi
3.7Al0.2Co0.6Mn0.4 の水素吸蔵合金粉末を、p
H=1.0 の塩酸水溶液を用いて実施例1と同様に処理し
た。こうして処理した水素吸蔵合金粉末と未処理の合金
粉末について、実施例1と同様に水素吸蔵速度を測定し
た (測定セル温度=60℃) 。
【0047】さらに、この処理を行った水素吸蔵合金粉
末と未処理の合金粉末とを負極とするNi−水素二次電池
を作製して、その放電容量を測定した。電池の作製方法
と放電容量の測定方法は次の通りである。処理または未
処理の合金粉末1gに導電助剤として金属ニッケル粉末
1g、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン0.2 g
を加えて混合し、成形後に両面から導電性ニッケル多孔
体で挟み込み、約1トン/cm2 の圧力で加圧して電極を
成形した。この電極を負極とし、正極には焼結式ニッケ
ル電極、電解液としては6M−KOH水溶液120 mlを使
用し、プラスチック製密閉容器をセルとして、負極容量
規制型の二次電池を作製した。この密閉セルには、5kg
/cm2のリリーフバルブを取付け、一定圧力下で外部定電
流回路を利用した定電流の充電・放電試験を実施した。
充電は100 mA/gで4時間、放電は100 mA/gで0.8 Vまで
放電という条件で、充電・放電を繰り返し行い、放電容
量のサイクル変化を記録した。この放電容量の測定結果
は、既に図4において説明した通りであった。以上の水
素吸蔵速度および放電容量の測定結果を次にまとめて示
す。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上に説明したように、そのままでは活
性化が困難な水素吸蔵合金を本発明に従ってpH 4.5未
満の酸水溶液で短時間処理するだけで、初期の水素吸蔵
速度を著しく増大させることができ、その初期活性化が
非常に容易となる。また、本発明の方法は、気相系用途
と液相系用途とを問わず、各種の組成の水素吸蔵合金に
適用できる。その結果、得られた合金粉末を二次電池に
組み込むと、初回からのサイクル容量立ち上がりが早
く、初期活性化に必要な充電・放電繰り返しサイクル数
が少なくなり、気相系用途に使用する場合には複雑な活
性化処理工程を大幅に省略することが可能となるなど、
初期活性化に必要な手間、時間、コストの大幅が低減が
可能となる。従って、本発明は産業上極めて有用であ
り、その実際の応用面での波及効果が大いに期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理液pHと水素吸蔵速度との関係を示すグラ
フである。
【図2】処理液pH= 0.5〜4.0 における処理時間と水
素吸蔵速度との関係を示すグラフである。
【図3】各種水素吸蔵合金における処理液pHと水素吸
蔵速度との関係を示すグラフである。
【図4】処理および未処理の水素吸蔵合金のニッケル−
水素二次電池の電極容量サイクル変化を示すグラフであ
る。
【図5】実施例で水素吸蔵速度の測定に用いた測定装置
を示す説明図である。
【図6】処理および未処理の水素吸蔵合金の水素吸蔵量
の時間変化を示す。
【図7】水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT曲
線)を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素吸蔵合金をpH 4.5未満の酸性水溶
    液で処理することからなる、初期活性化が容易な水素吸
    蔵合金の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL1001123C2 (nl) * 1995-09-01 1997-03-04 Stichting Energie Werkwijze voor het activeren van waterstofabsorberende legeringen.
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