JP3464717B2 - 金属酸化物・水素二次電池の製造方法 - Google Patents

金属酸化物・水素二次電池の製造方法

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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属酸化物を正極活物質
とし、水素を負極活物質とする金属酸化物・水素二次電
の製造方法に関し、特に負極を改良した金属酸化物・
水素二次電池の製造方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】現在、金属酸化物・水素二次電池におい
て、負極を水素吸蔵合金で構成した形式のものが注目を
集めている。その理由は、この電池系が元来、高エネル
ギ−密度を有するために容積効率的に有利であり、しか
も安全作動が可能であって、特性的にも信頼度の点でも
優れているからである。
【0003】前記水素吸蔵合金としては、従来から、L
aNi5 が多用されている。また、La,Ce,Pr,
Nd,Smなどのランタン系元素の混合物であるミッシ
ュメタル(以下、Mmという)とNiとの合金、すなわ
ちMmNi5 も広く用いられている。MmNi5 は希土
類成分としてMmを用いるために、希土類成分として高
価なLa元素のみを用いるLaNi5 に比べて安価であ
り、実用的である。
【0004】また、LaNi5 及びMmNi5 に関して
は、Niの一部をAl,Mn,Fe,Co,Ti,C
u,Zn,Zr,Cr,V,Bのような元素で置換した
多元素系のものも使用されている。
【0005】前記負極は次のような方法により製造され
る。前記水素吸蔵合金の粉末と導電性粉末とポリテトラ
フルオロエチレン粉末を含むシートを作製し、このシー
トを多孔性金属板に圧着させることにより前記負極を製
造する。あるいは、前記水素吸蔵合金の粉末と前記導電
性粉末と例えばカルボキシメチルセルロースやポリアク
リル酸ソーダなどの高分子結着剤と水とを混練してペー
ストを調製し、前記ペーストを例えばパンチドメタルな
どの集電体に塗布することにより前記負極を製造する。
【0006】これらの方法により製造された負極に含ま
れる導電性粉末としては、従来よりカーボンブラックが
用いられている。前記カーボンブラックは、前記ポリテ
トラフルオロエチレンや前記高分子結着剤により隔てら
れた水素吸蔵合金粉末同士を電気的に接続して前記水素
吸蔵合金粉末の導通を向上させる機能を有する。
【0007】しかしながら、前記カーボンブラックを含
む負極は条件を同じにして製造しても、前記負極中のカ
ーボンブラックの分散状態がばらつくという問題点があ
った。前記負極中のカーボンブラックの分散状態が劣る
と、水素吸蔵合金粉末の導通が低下するため、水素の吸
蔵放出に関与しない水素吸蔵合金粉末が生じ、負極容量
が低下するという問題点があった。
【0008】また、前記二次電池を過充電すると、充電
末期に前記正極から酸素ガスが発生する。前記二次電池
は、前記酸素ガスを水素吸蔵合金粉末に吸蔵された水素
と反応させて水にすることにより過充電時の内圧上昇を
防止している。しかしながら、前述した水素の吸蔵放出
に関与しない水素吸蔵合金粉末は、前記酸素ガスと反応
しないため、過充電にした際に前記二次電池の内圧が上
昇するという問題点があった。前記カーボンブラックの
前記負極中での分散状態がばらつくのは、前記カーボン
ブラックの分散性がロットにより異なることが原因であ
ると考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の問題を
解決するためになされたもので、導電性粉末であるカー
ボンブラックが均一に分散された負極を備えた金属酸化
物・水素二次電池の製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属酸化物を
含む正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介装さ
れるセパレータと、アルカリ電解液とを備えた金属酸化
物・水素二次電池の製造方法であって、 嵩密度が0.0
2g/cc〜0.06g/ccの範囲であるカーボンブ
ラックを選択する工程と、 前記カーボンブラック及び水
素吸蔵合金粉末を含むペーストを調製する工程とを具備
する方法により前記負極を作製することを特徴とする金
属酸化物・水素二次電池の製造方法である。
【0011】前記水素吸蔵合金としては、格別制限され
るものではなく、電解液中で電気化学的に発生させた水
素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出
できるものであればよい。例えばLaNi5 、MmNi
5 (Mmとは、La,Ce,Pr,Nd,Smなどのラ
ンタン系元素の混合物であるミッシュメタルを意味す
る)、LmNi5 (LmはLaを含む希土類元素から選
ばれる1種以上の元素からなる)、及びこれらのNiの
一部をAl、Mn、Co、Ti、Cu、Zn、Zr、C
r、Bのような元素で置換した多元素系のもの、又はT
iNi系、TiFe系のものを挙げることができる。中
でも、一般式LmAx (ただし、AはNi,Co,M
n,Al,B,Cu,Zr及びVから選ばれる少なくと
も一種の金属であり、原子比xは4.8〜5.2を示
す)で表される水素吸蔵合金は、水素吸蔵能力が優れて
いるため、好ましい。
【0012】前記カーボンブラックとしては、例えばフ
ァーネスブラックのような約10nm〜30nmの炭素
粒子が鎖状に二次凝集した構造を有し、かつ比表面積が
700m2 /g以上であるものがより好ましい。このよ
うなカーボンブラックは、前記水素吸蔵合金粉末の導通
を更に向上することができる。また、前記カーボンブラ
ックは、例えば石油などの炭化水素を燃焼させることに
より製造できる。
【0013】前記カーボンブラックの嵩密度を前記範囲
に限定したのは次のような理由によるものである。前記
嵩密度を0.020g/cc未満にすると、前記カーボ
ンブラックを含むペーストを調製した場合には前記ペー
ストの粘度が高くなり過ぎて取扱いづらくなる。また、
前記カーボンブラックと前記水素吸蔵合金の粉末とを含
む電極シートを作製する場合、前記カーボンブラックと
前記合金粉末とが混ざるのに時間が掛かる。一方、前記
嵩密度が0.060g/ccを越えると、前記カーボン
ブラックを含むペーストを調製する際、あるいは電極シ
ートを作製する際に前記カーボンブラックが凝集し、こ
れらから作製した負極はカーボンブラックの分散状態が
不均一になり、電池容量の低下及び過充電時の内圧上昇
を招く。
【0014】前記カーボンブラックの添加量は、前記水
素吸蔵合金粉末100重量部に対して0.1重量部〜
4.0重量部の範囲にすることが好ましい。これは次の
ような理由によるものである。前記添加量を0.1重量
部未満にすると、前記水素吸蔵合金粉末の導通が低下す
る恐れがある。一方、前記添加量が4.0重量部を越え
ると、負極の単位体積当りの水素吸蔵合金量が減少し、
前記負極の容量が低下する恐れがある。
【0015】前記負極は次のような方法により製造され
る。 (1)前記水素吸蔵合金の粉末と前記導電性粉末とポリ
テトラフルオロエチレンから電極シートを作製し、前記
シートを集電体に圧着することにより前記負極を製造す
る。
【0016】前記集電体としては、例えばニッケルネッ
トなどの多孔性金属板を挙げることができる。 (2)前記水素吸蔵合金の粉末に前記導電性粉末と高分
子結着剤と水とを添加し、混練してペーストを調製し、
前記ペーストを集電体に充填し、乾燥した後、成形する
ことにより前記負極を製造する。
【0017】前記高分子結着剤としては、例えばポリテ
トラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、
メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビ
ニルアルコール等を挙げることができる。かかる高分子
結着剤の添加量は、前記水素吸蔵合金粉末100重量部
に対して0.5重量部〜5.0重量部の範囲にすること
が好ましい。
【0018】前記集電体としては、例えばパンチドメタ
ル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケルネッ
トなどの二次元基板や、フェルト状金属多孔体や、スポ
ンジ状金属多孔体などの三次元基板を挙げることができ
る。
【0019】前記(1)及び(2)の方法の中でも、前
記(2)の方法は強度の優れた負極を製造でき、かつ量
産性が高いため、好適である。前記正極は、金属酸化物
の粉末と、導電剤と、高分子結着剤と、水を含むペース
トを調製し、前記ペーストを耐アルカリ性金属多孔体に
充填し、これを乾燥、加圧成形した後、所望のサイズに
切断することにより製造される。
【0020】前記金属酸化物としては、例えば水酸化ニ
ッケルを挙げることができる。前記導電剤としては、例
えば一酸化コバルト、三酸化二コバルト、水酸化コバル
ト等のコバルト化合物を挙げることができる。
【0021】前記高分子結着剤としては、前記負極に用
いられる高分子結着剤と同様なものを挙げることができ
る。前記耐アルカリ性金属多孔体としては、例えばニッ
ケル、ステンレス等の金属や、ニッケルメッキが施され
た樹脂などからなるスポンジ状、繊維状、フェルト状の
多孔質構造を有するものを挙げることができる。
【0022】前記セパレータとしては、例えば、ポリア
ミド繊維製不織布、ポリエチレン繊維やポリプロピレン
繊維などのポリオレフィン繊維からなる不織布に親水性
官能基を付与したものを挙げることができる。
【0023】前記アルカリ電解液としては、例えば、水
酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウムと水酸化リチウム
の混合液、水酸化カリウムと水酸化リチウムの混合液、
水酸化カリウムと水酸化リチウムと水酸化ナトリウムの
混合液等を用いることができる。
【0024】
【作用】本発明の金属酸化物・水素二次電池によれば、
嵩密度が0.020g/cc〜0.060g/ccであ
るカーボンブラックからなる導電性粉末及び水素吸蔵合
金を含む負極を備えることによって、前記負極中に前記
カーボンブラックを均一に分散させることができる。そ
の結果、前記水素吸蔵合金粉末間の導通性を向上するこ
とができるため、負極容量を向上するができ、前記負極
を備えた二次電池の電池容量を向上することができる。
また、前記水素吸蔵合金粉末間の導通性が向上されたこ
とによって、前記二次電池が過充電された際に正極から
発生する酸素ガスと前記水素吸蔵合金粉末との反応性を
向上することができるため、過充電時に内圧が上昇する
のを抑制することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 実施例1〜3 まず、LmNi4.2 Mn0.3 Al0.3 Co0.2 を使用前
にガス状水素を吸蔵放出させて微粉化し、平均粒径20
μmの水素吸蔵合金粉末を用意した。つづいて、前記水
素吸蔵合金粉末100重量部に、ポリアクリル酸ナトリ
ウムを0.5重量部、カルボキシメチルセルロースを
0.125重量部、ポリテトラフルオロエチレンのディ
スパージョン(比重が1.5で、固形分の割合が60w
t%のもの)を1重量部、水を50重量部を添加し、さ
らに導電性粉末として約10nm〜30nmの炭素粒子
が鎖状に二次凝集した構造を有し、比表面積が800m
2 /gで、かつ嵩密度が下記表1に示す値を有するカー
ボンブラックを1重量部添加し、一定の攪拌条件で混練
して6種類のペーストを調製した。ひきつづき、導電性
基板としてのパンチドメタルを前記各ペーストが収容さ
れた塗布槽中に搬送し、前記塗布槽から垂直方向に引き
上げた後、スリットを通して余分なペーストを除去する
ことにより前記パンチドメタル表面に前記ペーストを塗
布した。これを80℃で乾燥後、ローラプレスすること
により容量が2000mAhの6種類の負極を作製し
た。
【0026】また、水酸化ニッケル粉末90重量部及び
酸化コバルト粉末10重量部からなる混合粉体に、前記
水酸化ニッケル粉末に対してカルボキシメチルセルロー
ス3重量部、ポリテトラフルオロエチレン5重量部を添
加し、更にこれらに純水を45重量部添加して混練する
ことによりペーストを調製した。このペーストを焼結繊
維基板内へ充填した後、更にその両表面に前記ペースト
を塗布し、乾燥してローラプレスによって圧延すること
により容量が1200mAhのペースト式ニッケル正極
を作製した。
【0027】次いで、前記各負極と前記正極との間にポ
リアミド繊維製の不織布からなるセパレータを介して渦
巻状に捲回して電極群を作製した。これら電極群を、圧
力検出器を付けたアクリル樹脂製容器のAAサイズの空
間に挿入し、この空間に8規定のKOHからなる電解液
を注入して封口し、図1に示すような6種類の試験セル
を組立てた。
【0028】すなわち、各試験セルは、前記アクリル樹
脂製のケース本体1とキャップ2とからなる電池ケース
を備える。前記ケース本体1の中心部には、AAサイズ
の電池の金属容器と同一の内径及び高さを有する空間3
が形成されている。前記空間3内部には、電極群4が収
納され、さらに電解液が収容されている。前記ケース本
体1上には、前記キャップ2がゴムシート5及びOリン
グ6を介してボルト7及びナット8により気密に固定さ
れている。前記キャップ2には、圧力検出器9が取り付
けられている。負極リード10は、一端が前記負極に取
り付けられ、かつ他端が前記ゴムシート5と前記Oリン
グ6との間を通して導出されている。正極リード11
は、一端が前記正極に取り付けられ、かつ他端が前記ゴ
ムシート5と前記Oリング6との間を通して導出されて
いる。
【0029】得られた実施例1〜3及び比較例1〜3の
試験セルについて、1Cの電流で150%充電する過充
電を行った後、1Cの電流で0.8Vまで放電する充放
電サイクル試験を行い、50サイクル目の内圧を測定
し、その結果を下記表1に併記する。また、実施例1〜
3及び比較例1〜3の負極のペースト性状を観察し、そ
の結果を下記表1に併記する。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、嵩密度が0.0
20g/cc〜0.060g/ccであるカーボンブラ
ックを含む負極を備えた実施例1〜3の二次電池は、過
充電時の内圧が低いことがわかる。これは、前記カーボ
ンブラックが前記負極に含まれるペーストに均一に分散
されているためである。これに対し、嵩密度が0.02
0g/cc未満であるカーボンブラックを含む負極を備
えた比較例1の二次電池は、過充電時の内圧が低いこと
がわかる。しかし、前記カーボンブラックを含むペース
トは粘度が高過ぎて取扱いづらかった。一方、嵩密度が
0.060g/ccを越えるカーボンブラックを含む負
極を備えた比較例2,3の二次電池は、過充電時の内圧
が高いことがわかる。これは、前記カーボンブラックが
前記負極に含まれるペースト中で凝集しているためであ
る。 実施例4 実施例1〜3と同様な組成の水素吸蔵合金粉末100重
量部と、ポリテトラフルオロエチレン粉末4.0重量部
と、導電性粉末として約10nm〜30nmの炭素粒子
が鎖状に二次凝集した構造を有し、比表面積が800m
2 /gで、かつ嵩密度が0.025g/ccのカーボン
ブラックを0.5重量部を混合し、シート展開を行い、
電極シートを作製した。前記電極シートをニッケルネッ
ト上に圧着することにより容量が2000mAhの負極
を作製した。
【0032】前記負極を用いた以外、実施例1〜3と同
様な構成で前述した図1に示す試験セルを作製した。得
られた実施例4の試験セルについて実施例1〜3と同様
な過充電試験を行ったところ、内圧は3kgf/cm2
と低かった。また、前記負極に含まれる電極シートには
カーボンブラックが均一に分散されていることが確認さ
れた。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の金属酸化物
・水素二次電池の製造方法によれば、導電性粉末である
カーボンブラックが均一に分散され、水素吸蔵合金粉末
間の導通性が良好な負極を備え、電池容量を向上するこ
とができ、かつ過充電時の内圧上昇を抑制することがで
きるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜4で用いられる試験セルを
示す断面図。
【符号の説明】
1…ケース本体、2…キャップ、4…電極群。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−102766(JP,A) 特開 平4−160763(JP,A) 特開 平5−307952(JP,A) 特開 昭62−295353(JP,A) 特開 平3−241668(JP,A) 特開 平7−114922(JP,A) 特開 平4−104463(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/26 H01M 4/62 H01M 10/24 H01M 4/24 H01M 4/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物を含む正極と、負極と、前記
    正極と前記負極の間に介装されるセパレータと、アルカ
    リ電解液とを備えた金属酸化物・水素二次電池の製造方
    法であって、 嵩密度が0.02g/cc〜0.06g/ccの範囲で
    あるカーボンブラックを選択する工程と、 前記カーボンブラック及び水素吸蔵合金粉末を含むペー
    ストを調製する工程とを具備する方法により前記負極を
    作製する ことを特徴とする金属酸化物・水素二次電池
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記カーボンブラックの比表面積は、7
    00m 2 /g以上であることを特徴とする請求項1記載
    の金属酸化物・水素二次電池の製造方法。
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