JPH0687767U - プーリ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プーリ内に浸入した水等が排出され易く、軸
受内への水等の侵入防止と、軸受やプーリの防錆が図
れ、軸受寿命の向上が図れるものとする。 【構成】 プーリ１を支持する転がり軸受２の側面を覆
う軸受カバー３を設ける。軸受カバー３は、プーリ１と
別体に形成されてプーリ１の軸受圧入部１ｂに被せたも
のであっても、プーリ１と一体に設けたものであっても
良い。この軸受カバー３に、内外に通じる窓４を１箇所
ないし数箇所に設ける。窓４は、例えば軸受カバー３に
出張り部を設けてその出張り部の側面等に形成しても良
い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車エンジンに使用されるタイミングベルトや、補機用駆動ベ ルトに張力を与えるためのテンショナ、あるいはアイドラ等に使用されるプーリ 装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のプーリ装置において、特に自動車エンジンの補機駆動ベルトテンショ ナは、外部から直接に水が掛かったりするため、軸受内部への水の浸入が大きな 問題となることがある。 従来、これを防止するため、図１５に示すように軸受カバーを設けたものが提 案されている。プーリ５０は、一対の分割プーリ５１，５１からなり、その軸受 圧入部５１ａに軸受５２が圧入されている。軸受５２は、ゴム製のシール付きの 深溝玉軸受からなり、シール５３は軸受外輪５５のシール取付溝に取付けられて 内輪５４のシール溝に摺接する。内輪５４には軸５６が圧入される。軸受カバー ５７は、プーリ５０の軸受圧入部５１ａの外周に圧入されて軸受５２の側面を覆 うリング板状としてある。このように軸受カバー５７を設けることにより、外部 から直接に水が軸受５２にかかることが防止される。なお、軸受カバー５７はプ ーリ５０に一体に形成する場合もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

軸受カバー５７は、プーリ５０と共に回転するものであるため、軸受内輪５４ との間に隙間ｄを有しており、この隙間ｄから軸受カバー５７内に水が入ること がある。このように軸受カバー５７内に一旦入った水は、回転しても外部に出に くく、軸受５２と軸受カバー５７との間の空間に長期間溜まり易い。このように 水が溜まると、プーリ５０や軸受５２に錆を発生させる原因となり、またシール ５３を通って軸受５２の内部に水が浸入する可能性がある。特に、軸受内輪５４ のシール溝に発生する錆は、シール５３のゴム製リップ部の摩耗を促進させ、軸 受寿命の低下につながり易い。

【０００４】 この考案の目的は、プーリ内に浸入した水等が排出され易く、軸受内への水等 の侵入防止と、軸受やプーリの防錆が図れ、軸受寿命を向上させることのできる プーリ装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案のプーリ装置は、プーリを支持する転がり軸受の側面を覆う軸受カバ ーを設け、この軸受カバーに内外に通じる窓を設けたものである。

【０００６】

【作用】

この構成によると、軸受に直接に飛水や塵埃等が掛かることが軸受カバーによ って防止され、かつその窓によって次のように排水機能が得られる。すなわち、 停止時において、軸受カバー内に浸入した水等は窓から流れ落ちて排出され、プ ーリ内に溜まる水等を最小限にできる。また、回転中は、停止時に軸受カバー内 に溜まった水や、回転中に軸受カバーの内径部等から浸入した水等が、遠心力で 窓から外部に排出される。このように軸受カバー内に水等が長期間溜まることが 防止されるため、軸受内部への水の浸入が防げ、また溜まった水でプーリや軸受 に錆を発生させることが防止される。軸受カバーに窓が明いていても、回転中は 、かかった水等が軸受カバーで振り飛ばされるため、窓から軸受カバー内に浸入 しない。

【０００７】

【実施例】

この考案の一実施例を図１および図２に基づいて説明する。このプーリ装置は 、プーリ１を支持する軸受２の両側面を各々覆う一対の軸受カバー３，３を設け 、各軸受カバー３に、内外に通じる窓４を設けたものである。軸受２はシール付 きの深溝玉軸受からなり、内輪５と外輪６の間に保持器７で保持された転動体８ を介在させ、外輪６にシール９を取付けてある。シール９は芯金にゴム被覆を設 けたものであり、そのリップ部を内輪５のシール溝１０に接触させてある。

【０００８】 プーリ１は、互いに対称な一対の分割プーリ１Ａ，１Ａで構成される。各分割 プーリ１Ａは、円筒状に各々形成された外周側のベルト掛け部１ａ、内周側の軸 受圧入部１ｂ、および側板部１ｃからなり、両分割プーリ１Ａ，１Ａは側板部１ ｃでリベッド１１により互いに固定されている。またプーリ１は、両分割プーリ １Ａ，１Ａにわたって軸受圧入部１ｂに軸受外輪６を圧入させることで、軸受２ に固定してある。 軸受カバー３はプーリ１と別体に設けたものであり、プーリ１の軸受圧入部１ ｂの外周に圧入される周壁部３ａと、軸受２の側面を覆う側板部３ｂとでなるリ ング状に形成してある。側板部３ｂの内径は、軸受内輪５の外径面と同程度の寸 法としてある。

【０００９】 軸受カバー３の窓４は、等間隔で周方向の例えば４箇所に設け、いずれも軸受 外輪６における側面と外径面との角部に位置させてある。また、軸受カバー３の 周壁部３ａには、各窓４から周壁部３ａの先端まで開通するスリット１２が形成 してある。軸受カバー３およびプーリ１の材質は、金属板であっても、樹脂成形 品であっても良い。なお、図１（Ａ）は、ボルト孔１３を有する軸１４を軸受内 輪２に圧入により固定した状態を示す。

【００１０】 この構成によると、軸受２に直接に飛水や塵埃等がかかることが軸受カバー３ によって防止され、かつその窓４によって次のように排水機能が得られる。すな わち、停止時において、軸受カバー３内の軸受２との隙間に浸入した水等は、下 側に位置する窓４から流れ落ちて排出され、プーリ１内に溜まる水等を最小限に できる。また、回転中は、停止時に軸受カバー３内に溜まった水や、回転中に軸 受カバー３の内径部等から浸入した水等が、遠心力で窓４から外部に排出される 。図１（Ｂ）の矢印ａは、この水の浸入および排出経路を示す。この実施例では 、窓４は軸受外輪６における側面と外径面とにわたってその角部に形成してある が、そのため側面だけや外径面だけに窓を設ける場合に比べて、前記の停止中お よび回転中の排水機能が良好に得られる。

【００１１】 このように軸受カバー３内に水等が溜まることが防止されるため、軸受２の内 部への水等の浸入が防げ、プーリ１や軸受２に錆を発生させることが防止される 。特に、シール溝１０の錆の発生が防止されることから、シール９の摩耗が生じ 難くなる。これらにより、軸受２の寿命が向上する。軸受カバー３に窓が明いて いても、回転中は、かかった水が軸受カバー３で振り飛ばされるため、窓４から 軸受カバー３内に浸入しない。 また、この実施例では軸受カバー３をプーリ１と別体に設ける構成としたため 、軸受カバー３を有しない従来形式のプーリ装置と各部品を共用することができ 、部品共通化による生産性の向上が図れる。さらに、軸受カバー３には窓４から 続けてスリット１２を設けてあるが、そのため軸受カバー３のプーリ１への圧入 作業が容易に行える。

【００１２】 なお、前記実施例では窓４から幅狭のスリット１２を続けて設けたが、このス リット１２は必ずしも設けなくても良く、また図３の例のように窓４′を軸受カ バー３の外周壁の先端まで続く幅広の切欠形状のものとしても良い。

【００１３】 また、前記実施例では軸受カバー３をプーリ１と別体に形成したが、図４に示 すようにプーリ１の軸受圧入部１ｂから一体に続けて、軸受２の側面を覆うよう に軸受カバー１ｄを設けても良い。軸受カバー１ｄには軸受外輪６における側面 と外径面との角部に位置して開口４を設ける。この開口４は、図１，図２の例と 同様にスリット１２を有する形状としても良く、あるいは外輪６の角部だけに設 けられてスリット１２を有しない形状や、プーリ１の側板部１ｃまで図３の例の ように幅広形状に開いた開口としても良い。 このように軸受カバー１ｄをプーリ１に一体に形成した場合は、プーリ装置の 部品点数が削減される。

【００１４】 図５および図６は他の実施例を示す。この例は、プーリ１と別体に設けた軸受 カバー１５に、出張り部１６を設け、この出張り部１６に、カバー内外に開通す る窓１７を設けたものである。プーリ１および軸受２の構成は図１の例と同様で ある。軸受カバー１５は、図１の例と同様に周壁部１５ａおよび側板部１５ｂか らなるリング状のものであり、出張り部１６は周方向の例えば４箇所に設けてあ る。各出張り部１６は、内面が例えば円弧溝状の凹み部となったリブ状のもので あり、側板部１５ｂの外周部から周壁部１５ａの幅方向中間部まで延びて設けら れ、その先端に窓１７が形成されている。 このように構成した場合も、図１の実施例と同様に良好な排水効果等が得られ る。また、この実施例では軸受カバー１５に出張り部１６を設けて、そのプーリ 奥側の端部に窓１７を配置したため、回転時および停止時のいずれにおいても、 窓１７からの水等の浸入がより一層行われ難くなる。

【００１５】 なお、軸受カバー１５の出張り部１６は図７の例のように周壁部１５ａの端部 まで続けて設け、その内側の溝端部を窓１７としても良い。このように出張り部 １７を長く形成した場合も、プーリ１への取付状態で軸受カバー１５の周壁部１ ５ａの先端とプーリ１の側壁部１ｃとが離れていれば、窓１７からの排水が行え る。

【００１６】 図８はさらに他の実施例を示す。この例は、軸受カバー１ｄをプーリ１の軸受 圧入部１ｂに続けて一体に設けた場合に、このカバー１ｄに図６の例と同様な出 張り部１６を設け、その先端に窓１７を設けたものである。出張り部１７は、例 えば周方向の４箇所に設ける。 このように構成した場合も、図５の実施例と同様に良好な排水効果と、確実な 飛水の浸入防止効果とが得られ、また軸受カバー１ｄの一体化により部品点数が 削減される。

【００１７】 図９および図１０はさらに他の実施例を示す。この例は、プーリ１と別体の軸 受カバー１５に設けた出張り部１９を、側板部１５ｂの外周部から周壁部１５ａ に渡って形成した橋状の切抜き片で構成したものである。出張り部１９は両端が 軸受カバー１５に繋がっており、両側面が窓２０となる。出張り部１９は、図１ １のように軸受カバー１５の周壁部１５ａ側の端部が周壁部１５ａから離れた形 状としても良い。 これらの構成の場合も、出張り部１９が設けられてその側面に窓２０が開口す るため、図１の例に比べて窓２０からの水等の浸入が行われ難くなる。

【００１８】 なお、前記の図８の例のように軸受カバー１ｄをプーリ１と一体に設けたもの において、図１０または図１１の例のような出張り部１９と窓２０とを形成して も良い。

【００１９】 図１２および図１３はさらに他の実施例を示す。この例は、プーリ１と別体の 軸受カバー１５を設けたものにおいて、軸受カバー１５の側板部１５ｂに出張り 部２１を設けたものである。出張り部２１は、三角錐状の切り起し加工部からな り、軸受カバー１５の外径側の面が窓２２となっている。出張り部２１は、図１ ４（Ａ）のように曲面板状のものとしても良く、また図１４（Ｂ）のようにＬ字 状にして平板状の切起片としても良い。 このように出張り部２１および窓２２を形成した場合も、良好な排水効果を得 ながら、出張り部２１のために図１の例に比べて窓２２からの水等の浸入が生じ 難くなる。

【００２０】 なお、前記の図８の例のように軸受カバー１ｄをプーリ１と一体に設けたもの において、図１３や図１４（Ａ），（Ｂ）の例のような出張り部２１と窓２２と を形成しても良い。

【００２１】

【考案の効果】

この考案のプーリ装置は、プーリを支持する転がり軸受の側面を覆う軸受カバ ーを設け、この軸受カバーに内外に通じる窓を設けたため、軸受に直接に飛水や 塵埃等がかかることを防止すると共に、浸入した水等を良好に排出することがで きて、軸受カバー内に水が溜まることを防止できる。そのため、軸受およびプー リの錆の発生が防止でき、かつ軸受内へ水等が浸入することを無くすことができ て、軸受寿命が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はこの考案の一実施例にかかるプーリ装
置の斜視図、（Ｂ）はその部分断面図である。

【図２】同プーリ装置の軸受カバーの正面図および側面
図である。

【図３】他の実施例にかかる軸受カバーの斜視図であ
る。

【図４】さらに他の実施例のプーリ装置の部分断面図で
ある。

【図５】さらに他の実施例のプーリ装置の斜視図および
その部分断面図である。

【図６】その軸受カバーの側面図および背面図である。

【図７】さらに他の実施例における軸受カバーの側面図
および背面図である。

【図８】さらに他の実施例のプーリ装置の部分断面図で
ある。

【図９】さらに他の実施例のプーリ装置の斜視図であ
る。

【図１０】その軸受カバーの斜視図および部分拡大断面
図である。

【図１１】さらに他の実施例における軸受カバーの斜視
図および部分拡大断面図である。

【図１２】さらに他の実施例のプーリ装置の斜視図であ
る。

【図１３】その軸受カバーの斜視図である。

【図１４】（Ａ），（Ｂ）は各々さらに他の実施例にお
ける軸受カバーの斜視図である。

【図１５】従来例の断面図である。

【符号の説明】

１…プーリ、１Ａ…分割プーリ、１ｂ…軸受圧入部、１
ｄ…軸受カバー、２…軸受、３…軸受カバー、４…窓、
６…外輪、９…シール、１５…軸受カバー、１６…出張
り部、１７…窓、１９…出張り部、２０…窓、２１…出
張り部、２２…窓

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プーリを支持する転がり軸受の側面を覆
   う軸受カバーを設け、この軸受カバーに内外に通じる窓
   を設けたプーリ装置。