JPH0687533B2 - 圧電共振装置 - Google Patents

圧電共振装置

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JPH0687533B2
JPH0687533B2 JP20298288A JP20298288A JPH0687533B2 JP H0687533 B2 JPH0687533 B2 JP H0687533B2 JP 20298288 A JP20298288 A JP 20298288A JP 20298288 A JP20298288 A JP 20298288A JP H0687533 B2 JPH0687533 B2 JP H0687533B2
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晃一 松井
修 西里
陽 安藤
敏彦 橘高
博 田村
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、拡がり振動のような圧電横効果による振動を
利用した圧電共振装置の改良に関し、特に厚み振動に基
づくスプリアスを抑制する構造が備えられたものに関す
る。
〔従来の技術〕
従来より、チタン酸ジルコン酸鉛系等の圧電セラミック
スの拡がり振動を利用したkHz帯フイルタや発振子が広
く用いられている。
この種の圧電共振子としては、圧電セラミックスの両面
に電極を形成したものや、内部電極を介して圧電セラミ
ック層が積層された積層型のもの等が存在する。
〔発明が解決しようとする技術的課題〕
しかしながら、この種の圧電共振装置のインピーダンス
−周波数特性では、第2図に示すように、拡がり振動に
基づくピークAの他に、比較的大きな厚み振動に基づく
応答Bが生じる。すなわち、拡がり振動を用いると、不
可避的に厚み振動が誘発され、この厚み振動に基づく応
答レベルが大きなスプリアスとなっていた。
また、超音波センサのような用途では、圧電共振装置の
出力を大きくするには、圧電出力係数g33を大きくすれ
ばよいが、そのためには圧電定数d33を大きくするか、
誘電率ε33を小さくすればよい。しかしながら、圧電材
料で組成を変更することにより圧電定数d33を大きくし
た場合、一般に誘電率ε33も大きくなる。従って、組成
を変更することにより圧電出力係数g33を大きくするこ
とは難しい。
よって、本発明の目的は、拡がり振動のような横効果に
よる振動を利用するに際し、厚み振動に基づくスプリア
スを効果的に低減することができ、また超音波センサの
ような用途において、大きな電力出力を実現し得る構造
を備えた圧電共振装置を提供することにある。
〔技術的課題を解決するための手段〕
本発明は、拡がり振動モードのような横効果に基づく振
動を利用した圧電共振装置において、 厚み方向に重なり合うように配置された少なくとも2層
の気孔率の異なる圧電セラミック層を有する焼結体と、
この焼結体の表面に設けられた電極とを備えることを特
徴とする。
厚み方向に重なり合うように配置された少なくとも2層
の気孔率の異なる圧電セラミック層は、1以上の何れか
の圧電セラミック層をポーラス層とすることにより構成
することができる。このポーラス層を形成するには、焼
結前に圧電セラミックグリーンシート中に炭素や有機質
バインダ等の焼結に際して飛散し得る物質を加えて焼成
すればよい。
また、以下の実施例から明らかなように、気孔率の異な
る圧電セラミック層のうち気孔率の高い層としては、5
〜10%の気孔率を有する層を形成し、残りの圧電セラミ
ックス層を緻密な通常の焼結体層で構成することが好ま
しい。気孔率の大きな圧電セラミック層の気孔率が、5
%以下では厚み振動に基づくスプリアスレベルを低減す
る効果が充分ではなく、また10%を超えたものでは比誘
電率、周波数定数および拡がり振動の電気機械結合係数
等の電気的特性の劣化が次第に大きくなるため好ましく
ないからである。
〔作用〕
本発明では、少なくとも2層の気孔率の異なる圧電セラ
ミック層を有する焼結体を用いるために、気孔率の大き
な圧電セラミック層により、厚み振動が効果的にダンピ
ングされる。従って、厚み振動に基づくスプリアスレベ
ルを効果的に低減することが可能となる。
〔実施例の説明〕
第1図は、本発明の一実施例の圧電共振装置の断面図で
ある。第1図において、焼結体1中には、圧電セラミッ
ク層2〜4が厚み方向に積層されている。ここでは、中
央の圧電セラミック層3が10〜100μmの径の気孔を有
するポーラス層で構成されており、両側の圧電セラミッ
ク層2,4は緻密な圧電セラミック焼結体層で構成されて
いる。そして焼結体1全体が厚み方向に直交する方向に
分極処理されている。なお、5,6は駆動のための電極を
示す。
本実施例では、以下の具体的な説明から明らかなよう
に、気孔率の異なる圧電セラミック層3が備えられてい
るので、拡がり振動を利用した場合、厚み縦振動に基づ
くスプリアスレベルを効果的に低減することが可能とさ
れている。
第1図実施例の製造工程を参照しつつ、本実施例をより
詳細に説明する。
まず、通常のドクターブレード法により複数枚の第1の
圧電セラミックグリーンシートを用意する。他方、圧電
セラミック粉末に、等体積の溶剤に不溶な有機物粉末
(セラミック焼結体の焼成温度で飛散し得るもの)を混
合して得られたスラリーを用いて、同じくドクターブレ
ード法により第2の圧電セラミックグリーンシートを用
意する。上記した第1,第2のセラミックグリーンシート
を、第3図に示すように、所望の厚みとなるように重な
り合わせ、圧着した後焼成して焼結体を得た。なお、第
3図において、参照番号7,8で示されるグリーンシート
が、第1のセラミックグリーンシートであり、参照番号
9で示すセラミックグリーンシートは第2のセラミック
グリーンシートである。
上記のようにして得られた焼結体を分極処理し、しかる
後両面に電極を形成して第1図に示した圧電共振装置を
得た。
なお、第3図に示したように第1のセラミックグリーン
シート7,7…、第2のセラミックグリーンシート9,9…お
よび第1のセラミックグリーンシート8,8…を積層する
に際しては、例えば第4図に示す積層装置を用いれば連
続的に積層することができる。すなわち、第4図に示す
ように、図示の矢印X方向に回転されるローラ11,12を
相対的に近接させるように、ローラ11,12の少なくとも
一方を他方側に押圧した状態で回転させる。このような
ローラ11,12間に、第1,第2のセラミックグリーンシー
ト7〜9を図示のように供給すれば(第4図では、図示
を容易とするために、1枚のセラミックグリーンシート
7〜9を図示しているが、実際には積層枚数に応じた数
のグリーンシートがローラ11,12間に供給される。)、
ローラ11,12で加圧され積層シート13を得ることができ
る。
なお、第1,第2のセラミックグリーンシート7〜9は、
予めシート状に成形し乾燥しておく必要があるが、ロー
ラ11,12間で圧着し積層するに際しては、予めシート表
面に水を塗布することが望ましい。これは、セラミック
グリーンシートに含まれているバインダが水溶性のもの
であり、従って水を表面に塗布しておけば圧着が容易と
なるからである。
上記のように、第4図に示したローラ11,12を用いて圧
着すれば異質な材料のシートを積層した積層体を押出成
形により簡単に得ることができる。
もっとも、本発明の圧電共振装置による気孔率の異なる
圧電セラミック層を形成するには、必ずしも第4図の積
層装置を用いる必要はない。第3図に示したように、予
め所定の大きさに切断された矩形の第1,第2のセラミッ
クグリーンシート7〜9を上下に積層し、上下方向から
任意の加圧装置により圧着し、それによって成形体を
得、該成形体を焼結してもよい。
次に、第1図実施例の具体的な実験結果につき説明す
る。第3図において、積層されるセラミックグリーンシ
ート7,9,8の各の積層枚数Ta,Tb,T′のうち、Ta
T′とし、Tb/Taを変更して種々の圧電共振装置を得
た。このように、第2のセラミックグリーンシート9の
積層枚数の第1のセラミックグリーンシート7または8
の積層枚数に対する比を変更した場合のインピーダンス
−周波数特性を調べた。結果を第5図に示す。
第5図は、Tb/Taを変動させた場合の拡がり振動および
厚み振動の山谷比20×log〔(反共振周波数におけるイ
ンピーダンス値/共振周波数におけるインピーダンス
値)〕を示す。第5図から明らかなように、Tbが0のと
き(従来例に相当)に比べて、Tbが増加するにつれて拡
がり振動の応答はさほど変化しないにも係わらず、厚み
縦振動に基づく山谷比はTbが増加するにつれて急激に低
減することがわかる。
従って、第3図においてポーラス層を形成するための第
2のセラミックグリーンシート9の積層枚数を増加させ
た場合、厚み振動に基づくスプリアスを低減し得ること
がわかる。もっとも、第5図から明らかなように、Tb
Taが0.5を超えた場合には、厚み振動に基づくスプリア
スの低減効果は飽和点に近くなる。他方、広がり振動の
山谷比も、Tb/Taが増加するにつれて若干低下するた
め、両者を勘案すればTb/Taは0.5以下であることが好
ましいと考えられる。
また、第1図の実施例において第3図の積層比、すなわ
ちTb/Taに対する比誘電率εおよび圧電出力係数g33
の変化を第7図に示す。
第7図から明らかなように、本実施例では、圧電出力係
数g33の値は、ポーラス層を含まない(Tb=0)通常の
圧電共振装置の2倍以上になることがわかる。従って、
高性能の圧力センサおよび超音波マイク等を構成するこ
とが可能となる。
第1図実施例では、中央に気孔率の高い圧電セラミック
層3を形成したが、内部に2以上の気孔率の高い圧電セ
ラミック層が積層された焼結体や、第1図と異なり緻密
な圧電セラミック層の両側に気孔率の高い圧電セラミッ
ク層が備えられた焼結体を用いても同様に厚み縦振動に
基づくスプリアスを低減することができる。これらの構
造例を、第8図および第9図に示す。
第8図に示した実施例では、焼結体21内に、緻密な圧電
セラミック層22,23,24間に気孔率の高いポーラスな圧電
セラミック層25,26が積層されている。なお、27,28は電
極を示す。
また、第9図に示す焼結体31では、厚み方向中央に緻密
な圧電セラミック層32が形成されており、その両側に気
孔率の相対的に高い圧電セラミック層33,34が積層され
ている。35,36は電極を示す。
第8図および第9図に示した焼結体21,31は、何れも、
前述した第1,第2のセラミックグリーンシートを、第8
図および第9図に示した厚みとなるようにその枚数を選
択して積層し、焼結することにより得られる。
第10図は、第8図および第9図に示した実施例の厚み縦
振動の山谷比とTb/Taとの関係を示す図である。なお、
Tb/Taは、第8図の構造では気孔率の高いポーラスな圧
電セラミック層25または26の厚みに相当し、Taは中央の
緻密な圧電セラミック層21の厚みに相当する。同様に、
第9図の構造では、Tbが両側の気孔率の高い圧電セラミ
ック層33,34の厚みに、Taが中央の緻密な圧電セラミッ
ク層32の厚みに相当する。
第8図および第9図に示した各実施例においても、ポー
ラスな圧電セラミック層25,26または33,34を使用したの
で、第10図から明らかなように、厚み縦振動の山谷比が
Tb/Taの増加につれて急激に低減することがわかる。
つぎに、具体的な実験例につき説明する。
実施例1 チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミック粉末に、メチル
セルロース・バインダを4重量%、可塑剤としてグリセ
リンを3重量%、水(純水)を10重量%混合し、3本ロ
ールで混練を行った。しかる後、真空押出装置により、
0.2mmの第1のグリーンシートを押出形成し、フイルム
・ドライヤで乾燥させてロールに巻取った。
つぎに、同一のチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミック
粉末に同種および同量のバインダ、グリセリンおよび水
を加えた後、不溶性セルロースを3重量%混合し、3本
ロールで混練を行い、しかる後第1のグリーンシートと
同様にして厚み0.2mmの第2のグリーンシートを押出成
形してロールに巻取った。
上記のようにして得られた第1,第2のグリーンシート
を、前述した積層装置のロール11,12間において圧着・
積層し、積層シートを得た。なお、積層に際しては、予
め各グリーンシートの表面に水を塗布しておいた。ま
た、ロール11,12間には、10kg/cm2の圧力が加わるよう
にして、両セラミックグリーンシートを圧着した。
得られた積層グリーンシートを30mm角に打ち抜き、アル
ミナの匣に収納し、1160℃の温度で2時間焼成した。得
られた焼結体の表面に銀ペーストを塗布し、800℃の温
度で0.5時間焼付け、電極を形成した。
さらに、3kV/mmの直流電界により分極を施し、150℃で
0.5時間枯化した後、インピーダンス−周波数特性を測
定した。その結果、第6図に示すインピーダンス−周波
数特性が得られた。反共振周波数におけるインピーダン
ス値は、従来のものに比べて1/5に低下し、共振インピ
ーダンス値は、逆に約10倍程度となった。従って、厚み
縦振動のダンピングが効果的に行われていることがわか
る。
実施例2 チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミック粉末に、メチル
セルロース・バインダを4重量%、可塑剤としてグリセ
リンを3重量%、水を10重量%混合し混練した後に、真
空押出器にて0.3mmのシートを押出形成し、乾燥させた
後ロールに巻回した。
他方、メチルセルロース5重量%水溶液に、水不溶性の
セルロースを一定重量混練し、シート接着剤とした。水
不溶性セルロースを混合したのは、焼結体中に気孔率の
高い層を形成するためである。
前述したセラミックグリーンシートを2枚用意し、上記
したシート接着剤を各シートの表面にスキージ印刷等に
より塗布し、加圧ローラを用い、1t/cm2の圧力で加圧・
圧着することにより積層シートを得た。
得られた積層シートを30mm角に切抜き、アルミナ製匣を
用いて、1160℃の温度で2時間焼成し、厚み500μmで
中央に20〜30μm厚のポーラス層が形成された焼結体を
得た。焼結体の表面に銀ペーストを塗布し、760℃の温
度で30分間焼付け、電極を形成した。
次に、3kV/mmの直流電界により、30分間、厚み方向に分
極処理し、150℃で30分間、枯化した後、拡がり振動お
よび厚み振動の特性を測定した。
その結果、第11図(a)〜(d)に示す結果が得られ
た。すなわち、シート接着剤を用いて構成された気孔率
の高い部分の気孔率が5〜10%となった場合、厚み縦振
動に基づくスプリアスレベルが0dB以下となり、かつ拡
がり振動のレベルもさほど低下しない範囲を維持し得る
ことがわかる。
なお、ポーラスな圧電セラミック層の気孔率が5%以下
の場合には、厚み縦振動のスプリアスレベルは正の値と
なる(第11図(a)参照)。また、10%以上の場合に
は、比誘電率、周波数定数および電気機械結合係数(拡
がり振動)等の特性劣化が大きくなり、必要なものが得
られなくなる。従って、ポーラスな圧電セラミック層の
気孔率は5〜10%であることが好ましい。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明では、気孔率の異なる圧電セラミ
ック層が積層された焼結体を用いて圧電共振装置が構成
されているので、拡がり振動のような圧電横効果に基づ
く振動を利用する場合、不可避的に発生していた厚み縦
振動に基づくスプリアスを効果的に低減することが可能
となる。また、圧電出力係数g33も効果的に高め得るの
で、高性能の超音波マイクや圧力センサ等を得ることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は従来例の
インピーダンス−周波数特性を示す図、第3図は第1図
実施例を構成するに用いるセラミックグリーンシートを
示す斜視図、第4図はセラミックグリーンシートを積層
するための積層装置を示す略図的側面図、第5図は第2
のセラミックグリーンシートの積層枚数比を変えた場合
の拡がり振動および厚み振動の山谷比の変化を示す図、
第6図は実施例1のインピーダンス−周波数特性を示す
図、第7図は圧電出力係数g33とTb/Taとの関係を示す
図。第8図は本発明の他の実施例を示す断面図、第9図
は本発明のさらに他の実施例を示す断面図、第10図は第
8図および第9図実施例における厚み縦振動の山谷比と
Tb/Taの関係を示す図、第11図(a)〜(d)は、実施
例2の特性を示す各図である。 図において、1,21,31は焼結体、2,4,22,23,24は緻密な
圧電セラミック層、3,25,26,32はポーラスな圧電セラミ
ック層、5,5,27,28,35,36は電極を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橘高 敏彦 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 田村 博 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 坂部 行雄 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (56)参考文献 特公 昭55−50398(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電横効果による振動を利用した圧電共振
    装置であって、 厚み方向に重なり合うように配置された少なくとも2層
    の気孔率の異なる圧電セラミックスを有する焼結体と、
    該焼結体の表面に設けられた電極とを備える圧電共振装
    置。
JP20298288A 1988-08-15 1988-08-15 圧電共振装置 Expired - Fee Related JPH0687533B2 (ja)

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