JPH0687313U - ベルトコンベヤにおけるガイドシュート装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルトコンベヤの乗り継ぎ部に設置するガイ
ドシュートに被覆したセラミックライナへの粉粒物衝突
による損傷を低減する。 【構成】 シュート本体６に被覆したセラミックライナ
７を、上部ベルトコンベヤ２から放出される粉粒物１が
衝突する範囲にわたり高さ方向に衝突角度θ₁ 、θ₂ 、
θ₃ が30度以下になるように前傾させた構造にする。粉
粒物１がセラミックライナ７に衝突する時の衝撃力が緩
和されるので、損傷が低減される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は上部コンベヤから粉粒物を放出して下部コンベヤに移載する乗り継ぎ 部に配設されるベルトコンベヤにおけるガイドシュート装置に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

ベルトコンベヤを用いて所定の搬送物、たとえば鉱石、石炭等の粉粒物を搬送 する場合、上部ベルトコンベヤから下部ベルトコンベヤに粉粒物を乗り継ぎなが ら、所定の荷役位置に搬送することが行われている。このようなベルトコンベヤ による粉粒物の搬送においてベルトが進行方向の左右に片寄るいわゆる蛇行を生 じることがある。

【０００３】 ベルトの蛇行は、乗り継ぎ部のガイドシュートより下部ベルトコンベヤのベル ト上への粉粒物の落下具合、ベルト上への粉粒物の積載状態またはガーダフレー ムの曲り等、種々の要因で発生する。ベルトの蛇行が生じると搬送する粉粒物の 落下、騒音、振動、機器の破損等のトラブルを起す原因となる。 ベルトの蛇行を矯正するため各種の自動調芯装置が提案されているが、ベルト コンベヤの運転では上部コンベヤから放出される粉粒物を下部コンベヤの幅方向 中心部に積載して乗り継がせることがベルトの蛇行を防止する上で重要である。

【０００４】 たとえば実開昭63-81018号公報には、搬送物を案内しながら落下させるガイド プレートを横軸回りに回動自在に設け、このガイドプレートの回動で搬送物の落 下位置を変更できるようにし、前記シュートにより案内されてきた搬送物を受け 止めてこれを搬送するベルトコンベヤを設けた搬送装置において、前記ベルトコ ンベヤのベルトの蛇行を検知する検出手段を設け、この検出手段による検出信号 でガイドプレートを回動させるようにしたベルトコンベヤへの搬送物案内装置が 提案されている。

【０００５】 しかるにこの装置はガイドプレートが鉄板製であるため摩耗が著しく、たびた び損耗したガイドプレートを補修したり、交換しなければならないという問題点 がある。またベルトコンベヤで搬送される粉粒物は搬送途中での発塵を防止し、 または造粒その他必要に応じて適宜に水等を添加して湿度調整がなされたり雨水 により濡れたりすることが多く、これによりガイドプレートに粉粒物が付着し易 くなる。ガイドプレートの付着物が発達するとガイドプレートによる粉粒物のガ イドを阻害するという問題がある。

【０００６】 このようなガイドシュートの付着物を剥離して除去するため実開昭64-43008号 公報には、粉粒物を搬送する上部ベルトコンベヤと下部ベルトコンベヤとの乗り 継ぎ部に設けられる漏斗型のベルトコンベヤガイドシュートにおいて、上部コン ベヤの正面側のシュート本体壁内面に可撓板を重設し、可撓板と上部コンベヤの 正面側のシュート本体壁との間に、下端に回転自在となったローラを有しシュー ト本体に設けた取付部材を支点として揺動可能な付着物剥離装置の下部に設けた ベルトコンベヤ用乗り継ぎシュートが提案されている。

【０００７】 この乗り継ぎガイドシュートによれば付着物を剥離除去することは可能となる が、上部ベルトコンベヤから放出される粉粒物が衝突する可撓板が早期に摩耗し て破損に至るという弱点がある。 このようなガイドシュートの摩耗による破損を防止するためシュート本体にセ ラミックライナまたは耐摩耗剤を含有させたライナで被覆して強化することが試 みられている。確かにセラミックライナは耐摩耗性に優れているが耐衝撃性に劣 るため、上部ベルトコンベヤから放出された粉粒物がセラミックライナに直接衝 突する部分のみが衝撃により早期に破損し、耐摩耗性に優れているという長所が 有効に活用されるに至っていないのが現状である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は前記従来技術の問題点を解消し、上部ベルトコンベヤの搬出側端部か ら放出される粉粒物が衝突する際の衝撃による損傷を低減すると共に、衝突後、 粉粒物が接触しつつ滑り落ちる際の摩耗を防止することができるベルトコンベヤ におけるガイドシュート装置を提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、図４に示すようにシュート本体ＡにセラミックライナＢを被覆 し、上部ベルトコンベヤ２ａの搬出端から放出される粉粒物１ａがセラミックラ イナＢに衝突する場合の接点部でのライナＢの表面とのなす角度θが30°を越え ると粉粒物が衝突する際の衝撃によりセラミックライナＢの局部損傷が著しくな ることを知見した。

【００１０】 本考案はこのような知見に基いてなされたものであり、上部ベルトコンベヤの 搬出側端部から放出される粉粒物が直接セラミックライナ部に衝突する範囲では 衝突面と粉粒物とのなす衝突角度が30度以下になるようにすることを骨子として いる。 すなわち、前記目的を達成するための本考案は、粉粒物を搬送する上部ベルト コンベヤの搬出側端部に対向し、下部ベルトコンベヤとの乗り継ぎ部に設けられ るベルトコンベヤにおけるガイドシュート装置において、傾斜角度を可変に支持 されたシュート本体と、このシュート本体に上部ベルトコンベヤから放出される 粉粒物が衝突する範囲を、衝突面と粉粒物とのなす衝突角度が30度以下になるよ うに高さ方向に前傾させて被覆した傾斜セラミックライナ部と、衝突後に粉粒物 がシュート本体に接触しつつ滑り落ちる範囲を被覆する垂直セラミックライナ部 とを具備したことを特徴とするベルトコンベヤにおけるガイドシュート装置であ る。

【００１１】 また本考案では、シュート本体に傾斜ライナ部を備える代りに、シュート本体 を垂直にして上部ベルトコンベヤから放出される粉粒物が衝突する範囲の前方に 、衝突面と粉粒物とのなす衝突角度が30度以下になるように高さ方向に前傾させ て被覆した傾斜セラミックライナ部を有する傾斜ガイド体を配設するようにする こともできる。

【００１２】

【作用】

前記のように本考案では上部ベルトコンベヤの搬出側端から放出される粉粒物 はセラミックライナ部と衝突角度が30度以下で衝突するので、その衝撃によるセ ラミックライナ部の損傷を低減することができる。また衝突後に粉粒物は耐摩耗 性に優れたセラミックライナ部に接触しつつ滑り落ちるので摩耗を防止できる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。 図１は本考案の一実施例を示す側面図であり、粉粒物１を搬送する上部ベルト コンベヤ２の排出端部に対向し、下部ベルトコンベヤ３との乗り継ぎ部にベルト コンベヤの乗り継ぎガイドシュート装置10を設ける。乗り継ぎガイドシュート装 置10において、シュート本体６は上端部が支持軸４を支点として揺動可能に支持 されており、下部に設けた軸受９と軸11を介して取り付けられ揺動ロッド５が支 柱12を貫通していて、揺動ロッド５にねじ込まれたナット部材13に固定されたハ ンドル14を回転することによってシュート本体６の傾斜角度を調節して下部ベル トコンベヤ３の幅方向中心部に落下させる。なお、揺動手段としては手動ではな く油圧シリンダ等の駆動装置を用いることも可能である。

【００１４】 シュート本体６は上部が高さ方向に前傾させて傾斜しており、この傾斜したシ ュート本体６に接着剤等を用いて、上部ベルトコンベヤ１の搬出側端部から放出 される粉粒物１が衝突する範囲では、セラミックライナ７は、３段の傾斜面ａ、 ｂ、ｃから形成されている。傾斜面ａにはここでは粉粒物が接触しないが傾斜面 ｂ、ｃには放出される粉粒物１が直接衝突する範囲であるので、粉粒物１がセラ ミックライナ７の傾斜面ａ、ｂに衝突する時の衝突角度θ₁ 、θ₂ 、θ₃ がそれ ぞれ30度以下になるように調整して配設する。なお、傾斜面の段数は装置の大き さ、粉粒物の特性などによって定めることができ、少くとも１段は必須である。

【００１５】 また衝突後に、セラミックライナ７の表面に接触しつつ滑り落ちる範囲は、衝 撃力が作用することが殆どないので垂直セラミックライナ面ｄにより摩耗を防止 することができる。またセラミックライナ７の表面は滑り易くなっているので付 着物の形成を軽減することができる。 次に本考案の作用について説明すると、上部ベルトコンベヤ２によって搬送さ れるコークス、焼結鉱などの粉粒物１が搬出側端部で放出されガイドシュート装 置10に直接衝突する範囲である傾斜面ｂ、ｃは粉粒物１がセラミックライナ７に 衝突する角度θ₁ 、θ₂ 、θ₃ がいずれも30度以下になるように調整してあるの で、粉粒物１の衝突した時の衝撃による損傷を低減することができる。また衝突 後に、粉粒物１は、シュート本体６の滑りによる耐摩耗生に優れた垂直セラミッ クライナ部ｄに接触しつつ滑り落ちるので摩耗による消耗を防止することができ る。

【００１６】 図２は、本考案の他の一実施例を示しており、この例では、シュート本体６お よびセラミックライナ７はいずれも垂直面で形成してあり、シュート本体６に上 部ベルトコンベヤ２から放出される粉粒物が衝突する範囲に、衝突面と粉粒物と のなす衝突角度θ₁ が30度以下となるセラミックライナ部８を被覆した傾斜ガイ ド体14が支持フレーム15によって下向きに支持されている。このように傾斜ガイ ド体14に被覆されたセラミックライナ部８は粉粒物１の衝突角度θ₁ が30度以下 となるように調整してあると共に、さらに傾斜ガイド体14を介してシュート本体 ６の表面に被覆したセラミックライナ部７への衝突角度θ₂ も同様にして30度以 下になるように調整してある。なお、図面では傾斜ガイド体14は固定式の場合を 示しているが必要に応じ昇降装置あるいは前後進装置を配設して上下方向、前後 方向に移動可能にすることも可能である。本実施例によれば、前記実施例と同様 の作用、効果を得ることができる。

【００１７】 なお、図２に示す垂直なシュート本体６とセラミックライナ７を図３に示すよ うに上部ベルトコンベヤ２の搬出側端部を包むように幅方向に湾曲した構造とす ることもできる。このような湾曲構造とすると上部ベルトコンベヤ２から放出さ れた粉粒物がシュート本体６に被覆したセラミックライナ７に衝突した後、Ａ₁ →Ｂ₁ 、Ａ₂ →Ｂ₂ のごとく幅方向中心部に撥ね返るので下部コンベヤ３の中心 部に落下させることができ、下部ベルトコンベヤ３の蛇行防止効果が得られる。 この場合、傾斜ガイド体14と、その表面に被覆したセラミックライナ８も幅方向 に湾曲構造とするのが好ましい。

【００１８】 図１に示す実施例においても幅方向に湾曲構造とすることも、可能であるのは いうまでもない。

【００１９】

【考案の効果】

以上説明したように本考案のベルトコンベヤのガイド装置によれば、上部ベル トコンベヤの搬出端部から放出される粉粒物が衝突する範囲のセラミックライナ 部は、粉粒物が衝突する角度が30度以下になっているので、粉粒物がセラミック ライナ部の表面に衝突するときの衝撃作用が緩和されるため、損傷を低減できる 。

【００２０】 また衝突した後、粉粒物は耐摩耗性に優れると共に比較的付着物を形成し難い 垂直面セラミックライナ部に接触しながら滑り落ちるので摩耗による損耗が軽減 されガイドシュート装置の寿命延長が達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の実施例を示す側面図である。

【図２】本考案装置の他の実施例を示す側面図である。

【図３】本考案装置のさらに他の実施例を示す平面図で
ある。

【図４】従来例装置を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 粉粒物 ２ 上部ベルトコンベヤ ３ 下部ベルトコンベヤ ４ 支持ピン ５ 揺動ロッド ６ シュート本体 ７ セラミックライナ ８ セラミックライナ ９ 軸受 10 ガイドシュート装置 11 軸 12 支柱 13 ナット部材 14 傾斜ガイド体 15 支持フレーム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000001199 株式会社神戸製鋼所 兵庫県神戸市中央区脇浜町１丁目３番18号 (72)考案者 新田 昭二 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)考案者 仙田 諭 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)考案者 片山 忠雄 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)考案者 浜屋 正司 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)考案者 新本 剛 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)考案者 渋沢 進一 茨城県鹿島郡鹿島町大字光３番地 住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)考案者 吉岡 博行 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)考案者 堀 栄一 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)考案者 来田 正雄 兵庫県加古川市金沢町１番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)考案者 後藤 弘 兵庫県加古川市金沢町１番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉粒物を搬送する上部ベルトコンベヤの
   搬出側端部に対向し、下部ベルトコンベヤとの乗り継ぎ
   部に設けられるベルトコンベヤにおけるガイドシュート
   装置において、傾斜角度を可変に支持されたシュート本
   体と、このシュート本体に上部ベルトコンベヤから放出
   される粉粒物が衝突する範囲を、衝突面と粉粒物とのな
   す衝突角度が30度以下になるように高さ方向に前傾させ
   て被覆した傾斜セラミックライナ部と、衝突後に粉粒物
   がシュート本体に接触しつつ滑り落ちる範囲を被覆する
   垂直セラミックライナ部とを具備したことを特徴とする
   ベルトコンベヤにおけるガイドシュート装置。
2. 【請求項２】 シュート本体に傾斜面ライナ部を備える
   代りに、シュート本体を垂直にして上部ベルトコンベヤ
   から放出される粉粒物が衝突する範囲の前方に、衝突面
   と粉粒物とのなす衝突角度が30度以下になるように高さ
   方向に前傾させて被覆した傾斜セラミックライナ部を有
   する傾斜ガイド体を配設した請求項１記載のベルトコン
   ベヤにおけるガイドシュート装置。