JPH0686685A - 酵母を宿主とする異種蛋白質の効率的製造法 - Google Patents

酵母を宿主とする異種蛋白質の効率的製造法

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JPH0686685A
JPH0686685A JP4025527A JP2552792A JPH0686685A JP H0686685 A JPH0686685 A JP H0686685A JP 4025527 A JP4025527 A JP 4025527A JP 2552792 A JP2552792 A JP 2552792A JP H0686685 A JPH0686685 A JP H0686685A
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Koji Furumiya
耕二 古宮
Hitoshi Konishi
仁 小西
Seiji Iwasa
省二 岩佐
Yoshifumi Chikami
芳文 地神
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Eneos Corp
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Agency of Industrial Science and Technology
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、プロモーター及び外来遺伝子を含
む分泌発現ベクターにより形質転換された酵母を用いて
異種蛋白質を製造するに際し、培養液中の炭素源を一定
レベルに制御しつつ連続的に供給することを特徴とする
異種蛋白質の製造法に関する。 【効果】 本発明によれば、従来法に比し極めて好収率
で有用蛋白質を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は組み換えDNA技術の手
法の利用による有用蛋白質の製造法に関するものであ
り、更に具体的には安全性の高い酵母を宿主としてヒト
をはじめとする高等生物由来の有用蛋白質を収率よく分
泌製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年組み換えDNA技術の手法を利用し
てヒト及び生物由来の有用蛋白質を微生物で大量に生産
する試みが盛んに行われている。中でも酵母は従来よく
使われていた大腸菌に比べて発熱物質等毒性物質の混入
を避けることができるため生産物の安全性がより高くな
ることや高等生物由来の遺伝子産物が正しい構造をとり
やすいなどの理由により注目すべき宿主の一つとなって
きている。更にプロテアーゼによる分解の防止、精製の
簡素化などの理由により目的蛋白質を菌体外に分泌生産
させる方法が活発に試みられている。
【0003】しかしながら酵母を宿主とした高等生物由
来の蛋白質の分泌生産に関する研究は主に分泌発現ベク
ターの構築、プロモーターおよび分泌シグナルの改良な
ど遺伝子レベルでの基礎的な検討にとどまっており、工
業生産をめざした検討すなわち形質転換体の安定化に関
する検討あるいは培地組成および培養条件など培養工学
的な検討は全くと言ってよい程なされていないのが現状
である。したがって分泌生産レベルも依然として低い状
況にある。
【0004】この点に関し本発明者等は組換えDNA技
術の手法の利用によるヒトリゾチームの大量生産を試
み、既に合成ヒトリゾチーム遺伝子の酵母による発現と
生産ヒトリゾチームの菌体外分泌に成功している (特開
昭62-248488号公報) が、この段階ではヒトリゾチーム
の分泌生産量は最大の0.6mg/lと低いレベルであり、工
業生産の要求を満たすにはまだ不十分なものであった。
一方ヒトリゾチームの分泌生産性に関し、シグナルペプ
チドのDNA配列の改良を試み、ヒトリゾチームの分泌
生産量を向上させることに成功している例もある(特開
昭63-233789号公報)が、分泌生産性を向上させるために
培養工学的な面からの検討を加えた例は全くないのが現
状であり、分泌生産量も工業生産の要求を満たすにはや
はりまだ低いレベルにあると言わざるを得ない。
【0005】また、Chironはプロモーターの発現を制御
することによりヒトリゾチームの菌体内外を含めた発現
量を17.3mg/lまで高めることに成功しているが、菌体外
分泌量は0.1mg/l とごくわずかでしかなく工業的製造プ
ロセスとしては不十分といえる (特開平2-156885号公
報) 。このような状況の中で、本発明者等は、培地組成
の面から検討を加え、培地に酵母の増殖において最低限
必要以上の一定濃度の炭素源、窒素源を初発一括供給す
ることにより、蛋白質の分泌生産性を従来法に比し飛躍
的に向上させることに成功している (特開平2-234673号
公報) 。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した特開平2-2346
73号公報記載の高濃度炭素源及び窒素源等の無機塩類の
初発一括供給法は、蛋白質の分泌生産性を従来法に比し
著しく向上させるものであるが、工業的製造プロセスと
してはまだ十分とは言えずより一層の収率の向上が望ま
れている。
【0007】即ち、本発明は、更に培養工学的な面から
検討を加え、具体的には異種蛋白質の発現および分泌に
密接に関連してくると考えられる炭素源の供給法に関し
鋭意検討を加えることにより、異種蛋白質の分泌生産性
を従来に比して大幅に向上させ、工業的製造プロセスを
確立させようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の異種蛋白質の製
造法は、プロモーター及び外来遺伝子を含む分泌発現ベ
クターにより形質転換された酵母を用いて異種蛋白質を
製造するに際し、培養液中の炭素源を一定レベルに制御
しつつ連続的に供給することを特徴とするものである。
【0009】従来外来遺伝子を組み込んでいない非形質
転換体酵母すなわち通常のパン酵母を使ったアルコール
醗酵あるいは菌体生産においては炭素源の連続的供給が
実施されており、また酵母以外の微生物を使った発酵生
産においても、炭素源の連続供給を行っている例もあ
る。しかしながら外来遺伝子を組み込んだ形質転換体酵
母においては高等生物由来の様々な有用遺伝子を組み込
んだ例は多いものの、形質転換体の安定性等をも踏まえ
た培養工学的な検討は非常に遅れているのが現状であ
り、炭素源の連続的供給法に関しても全く検討されてい
ないのが、実情である。
【0010】本発明の特徴である培養液中の炭素源を一
定レベルに制御しつつ連続的に供給する方法は酵母を宿
主として異種有用蛋白質を分泌製造する際に共通する手
法であり、したがって本発明に適用可能な蛋白質として
も、ヒトリゾチーム、ヒト上皮細胞成長因子、ヒルジン
など高等生物由来の蛋白質が挙げられるが、これら以外
のどのような蛋白質の分泌製造にも無論有効である。
【0011】特にリゾチームは種々の細菌を溶解する作
用を有するので食品等の防腐剤あるいは医薬品として、
リゾチーム単独又は抗生物質との併用による抗菌剤とし
て利用することができる。また抗炎症作用、出血抑制作
用、呼吸器疾患者に対する喀痰喀出作用等を有するもの
でそれらを対象とした医薬品としても利用することがで
きる。
【0012】リゾチームは人体や動物の分泌物及び臓器
組織中に広く分布する酵素蛋白質であるが、中でもニワ
トリ卵白には特に多量のリゾチームが含まれており、比
較的容易に純度の高いものが単離できる。従って、現在
食品等の防腐剤としてあるいは消炎酵素剤及び風邪薬へ
の配合など医薬品として使用されているリゾチームはニ
ワトリ卵白由来のものである。
【0013】しかしながら、これらニワトリ卵白由来の
リゾチームを医薬的目的で使用する場合には、しばしば
発疹、発赤などの過敏症状が現われることがあり、異種
蛋白質による免疫応答の副作用とみなされる。このよう
な状況に鑑み、本発明者等は組換えDNA技術の手法の
利用によるヒトリゾチームの大量生産を試み、既に合成
ヒトリゾチーム遺伝子の酵母による発現と生産ヒトリゾ
チームの菌体外分泌に成功している (特開昭62-24848
8)。
【0014】次に本発明に使用できる宿主酵母として
は、例えばSaccharomyces cerevisiae×2180-1A株、Sa
ccharomyces cerevisiae×2180-1B株、 Saccharomyces
cere-visiae S288 C株 (いずれも、Yeast Genetic St
ock Center (米国、カリフォルニア大学バークレー校生
物物理及び医学物理学部所属) より入手可能) 、Saccha
romyces cerevisiae ATCC 18824 株、ATCC 26109株、AT
CC 38626株(いずれもATCCより入手可能)及びそれらの
株由来の変異誘導株が挙げられ、またプロモーターとし
ては例えばエノラーゼ1プロモーター、3−ホスホグリ
セロキナーゼプロモーター、グリセルアルデヒド−3−
リン酸デヒドロゲナーゼプロモーターなどの酵母の解糖
系酵素遺伝子が使用できる。
【0015】なお、エノラーゼは2−ホスホグリセリン
酸とホスホエノールピルビン酸との相互変換を触媒する
解糖系酵素の一つで、酵母内全蛋白質の数パーセントを
占める程の発現量の高い酵素である。ところで解糖系酵
素にはしばしば数種類のアイソザイムが存在し、炭素源
の種類や培養条件の相違によって異なる発現制御を受け
ていることが知られており、エノラーゼにもENO1及
びENO2の2種類の遺伝子が存在する。このうちEN
O1はパン酵母を生産する好気的な連続培養条件下で発
現が強力に誘導されることが報告されており(M. J. Hol
land, Biochemistry, 17, 4900 (1978))、酵母を用いて
有用蛋白質を実用生産する際のプロモーターとして非常
に好適なものである。
【0016】更に分泌シグナルとしてはそれぞれの蛋白
質生産に適したシグナルが使用できるし、発現ベクター
としては酵母細胞に内在する2μDNAの複製領域を利
用したYEp型プラスミドpJDB219タイプの多コピー安定型
プラスミドあるいは染色体組み込み型のYIp型プラスミ
ドなど酵母内で複製可能なベクターならいかなるタイプ
のものでも使用できることはいうまでもない。
【0017】本発明の製造法は、培養液中の炭素源を一
定レベルに制御しつつ連続的に供給することにより、異
種蛋白質の分泌生産性を高めるものであるが、炭素源と
してグルコース又はサッカロースを用いる場合は、それ
らの濃度は、好ましくは0.01〜50g/l 、更に好ましくは
0.1〜10g/l に制御する。かかる炭素源濃度の制御は、
例えば、グルコースオンラインアナライザーを用いて培
養液中のグルコース濃度を連続的に測定することによ
り、またガス質量分析計を用いて排ガス中のO2、CO2
度を連続的に測定し呼吸商を算出することにより行うこ
とができる。
【0018】本発明の製造法においては、炭素源以外の
培地組成、その供給量及び供給方法について特に制限は
なく、例えば、窒素源として例えば硫酸アンモニウムを
10〜30g/l 、無機栄養塩類として例えばリン酸二カリウ
ム1〜3g/l 、硫酸マグネシウム・七水和物1〜3g/l
、塩化カリウム 0.5〜2g/l 、硫酸第一鉄・七水和物1
0〜50mg/lなどを供給する。
【0019】
【実施例】以下、調製例及び実施例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定され
るものではない。 〔調製例1〕 標準株A2-1-1A pESH-2株の調製 1.プロモーターの変換 ガラクトースによって誘導可能なGAL10プロモーターか
ら一般に発現効率が高いと考えられている解糖系酵素遺
伝子の一つであるエノラーゼ1プロモーター(以後 ENO
1プロモーターと略す)への変換を次のように行った
(図1参照)。
【0020】(1)GAL10プロモーターへのBamHI site
の導入 従来使用してきたヒトリゾチームの分泌発現用プラスミ
ドYEp-HLYSIGからGAL10プロモーターをそのまま全部抜
き取るためにはGAL10プロモーターの5'及び3'末端にユ
ニークな制限酵素siteが必要となる。そこでGAL10プロ
モーターの5'末端に存在しているSau3AI site をベクタ
ー上に存在していないBamHI siteに変換した。
【0021】(2)ENO1プロモーターへのSalI site の
導入 ENO1遺伝子のプロモーター部分のみをGAL10プロモータ
ーとそっくり置き換えるためにpBR-M-ENO プラスミド上
に存在していないSalI site をENO1プロモーターの3'末
端側に導入した。 (3)YEp-HLYSIGプラスミドのBamHI, SalI digest YEp-HLYSIG プラスミドをBamHI 及びSalIでdigestしGAL
10プロモーター部分を除去した断片を回収した。
【0022】(4)pBR-M-ENO プラスミドのBamHI, Sal
I digest pBR-M-ENOプラスミドをBamHI 及びSalIでdigestしENO1
プロモーターを含む断片を回収した。 (5)T4-DNAリガーゼによる連結 (3)及び(4)で得られた各断片をT4-DNAリガー
ゼで連結しENO1プロモーターを含む新たな分泌発現プラ
スミドpESHを構築した。このプラスミドをE.coli C600
株に導入し、得られたtransformant中のプラスミドを各
種制限酵素で消化し、目的のプラスミドであることを確
認した。
【0023】2.分泌発現ユニットの増強 ヒトリゾチームの分泌発現ユニットを2個連結させたプ
ラスミドpESH-2を図2のように構築した。具体的にはpE
SHをSmaIで完全消化した後にXbaIで部分消化を行い、0.
7%アガロースゲル電気泳動で2188bpのヒトリゾチーム
分泌発現ユニットを分離回収した。次にこの2188bpのBa
mHI 及びXbaI末端をklenow酵素とdNTP (N:A,G,C,T)の存
在下にfillinしてblunt end とした後に、pESHのSmaI s
ite に挿入し新たなプラスミドpESH-2を構築した。
【0024】このプラスミドをE.coli C600 株に挿入
し、得られたtransformant中のプラスミドを各種制限酵
素で消化し目的のプラスミドであることを確認した。 3.宿主酵母の形質転換 1及び2で得られたプラスミドpESH及びpESH-2をそれぞ
れリチウム法によりS.cerevisiae A2-1-1A株(leu2)(前
記のX2180-1Aからロイシン要求性の変異株を誘導した
後、X2180-B とかけ合わせてバッククロスして作成した
ロイシン要求性株、Y. Jigami et al. J. Biochem. Vol
99, p1111〜1125 (1986) 参照)に導入し選択培地(-l
eu) で生育可能な形質転換体を得た。
【0025】〔調製例2〕 高分泌変異株mut pESH-2株
の調製 調製例1で取得したA2-1-1A pESH-2株をエチルメタンス
ルホネートで変異処理した後、得られた変異処理液をリ
ゾチーム感受性細菌Micrococcus lysodeikticus の熱処
理菌体を含む寒天プレートに塗付しHalo Assayを行っ
た。すなわちハローが大きくなったコロニーはヒトリゾ
チーム分泌能が向上したと考えられるので、できるだけ
ハローの大きいコロニーを選定した後、液体培養法でヒ
トリゾチームの分泌生産量を確認し、生産性が最も向上
していた株をmut pESH-2株とした。
【0026】〔調製例3〕 高分泌変異株mut pESH-2株への多コピー安定プラスミド
pJDB 219の導入 1.pJDB219-ESH-2 の構築 多コピー安定型プラスミドpJDB219 へのヒトリゾチーム
分泌発現ユニット(HLYユニット)2連結体の導入は次の
ようにして行った(図3参照)。 (1)pUC19-ESH とHLY ユニットとのライゲーション pUC19-ESH をBamHI で消化した後平滑化した。一方pUC1
9-ESH をBamHI およびPstIで消化して得られたHLY ユニ
ットを回収し平滑化した。平滑化したプラスミドおよび
断片をT4-DNAリガーゼで連結しpUC19-ESH-2 を構築し
た。 (2)pUC19-ESH-2 からESH-2 断片の回収およびpJDB21
9 への導入 pUC19-ESH-2 をKPnIおよびPstIで消化して得られたHLY
ユニット2連結体を回収し平滑化した。一方pJDB219 を
BamHI で消化した後平滑化した。平滑化したHLY 断片と
プラスミドをT4-DNAリガーゼで連結し新たにpJDB219-ES
H-2 を構築した。
【0027】2.mut pESH-2からpESH-2の消去 mut pESH-2株を酵母エキス、ペプトンを含む天然培地で
継代しpESH-2を消去した。消去の確認はロイシンの要求
性で行った。すなわち継代して得られたコロニーをロイ
シン含む合成培地とロイシンを含まない合成培地にレプ
リカし、ロイシンを含む合成培地で生育してロイシンを
含まない合成培地では生育できなくなったコロニーを選
定した。
【0028】3.pESH-2を消去したmut へのpJDB219ESH
-2の導入 1で得られたプラスミドpJDB219ESH-2をリチウム法によ
りmut (leu2)へ導入し選択培地(-leu)で生育可能な形質
転換体を得た。 4.mut cirO 株の取得 3で得られたmut pJDB219ESH-2株を選択培地でふやした
後、天然培地で繰り返し継代しpJDB219ESH-2を消去させ
ると同時に酵母細胞内に存在する2μDNA を消去させ
た。消去の確認はそれぞれロイシン要求性および2μDN
A の一部をプローブとしたサザンハイブリダイゼーショ
ン法によって行った。
【0029】5.mut cirO株へのpJDB219ESH-2の導入 内在する2μDNAを消去したmut cirO株へ1で得られたp
JDB219ESH-2をリチウム法により導入し、選択培地 (-le
u) で生育可能な目的の形質転換体mut pJDB219ESH-2株
を得た。 〔調製例4〕 高分泌変異株mut pESH-2株への染色体組
み込み型プラスミドYIp の導入 1.YIp-ESH-ETプラスミドへのLEU2断片の挿入 HLY ユニットを含むYIp プラスミドへのLEU2断片の挿入
は図4に示すように行った。すなわちpESHをBamHI およ
びClaIで消化した後平滑化した。一方YIp-ESH-ETをSamI
で消化し、先に平滑化した断片とをT4-DNAリガーゼで連
結し新たにYIp-ESH-ET-LEU2 を構築した。
【0030】2.mut pESH-2からpESH-2の消去 調製例3で示した方法と同様にしてpESH-2を消去したmu
t(leu2) を得た。 3.pESH-2を消去したmut へのYIp-ESH-ET-LEU2 の導入 1で得られた染色体組み込み型プラスミドYIp-ESH-ET-L
EU2 をAflII で消化し直鎖状にした後、リチウム法にて
mut (leu2)へ導入し選択培地(-leu)で生育可能な形質転
換体を得た。
【0031】染色体へ組み込まれたかどうかの確認は次
のようにして行った。すなわち、天然培地で3回以上継
代したmut YIp-ESH-ET-LEU2 株から染色体DNA を抽出し
た後PstIで消化し、HLY をプローブとしたサザンハイブ
リダイゼーション法によって行った。
【0032】
【実施例1】標準株 A2-1-1A pESH-2 株 (特開平2-2346
73号公報) 、高分泌変異株mut pESH-2株、高分泌変異株
に多コピー安定プラスミドpJDB219 を導入した形質転換
体 mut pJDB219-ESH-2株及び高分泌変異株に染色体組み
込み型プラスミドYIp を導入した形質転換体mut YIp-ES
H-LEU2株を用い、以下のようにして培養を行った。
【0033】グルコース10%を含む選択培地10mlを入れ
た内径18mm、高さ200mmの試験管で、形質転換体を30℃
で2日間振盪培養し、得られた培養液2mlを同様な組成
の新鮮な選択培地98mlに植菌し30℃で更に2日間振盪培
養 (500ml容量の坂口フラスコVm100で使用) し前培養
液とした。本培養は丸菱バイオエンジ製 2.6Lジャーを
使用した。表1に示す培地1470mlを入れた後前培養液30
mlを植菌し、通気量1vvm 、攪拌回転数600rpm、 pH6.
0、30℃の培養条件で5日間通気攪拌培養を行った。
【0034】炭素源としては、グルコースを東洋醸造製
グルコースオンラインアナライザーで一定レベルに制御
しつつ連続的に供給した。菌体外に分泌生産したヒトリ
ゾチームの活性測定はリゾチーム感受性菌であるMicroc
occus lysodeikticus を基質として次のようにして行っ
た。即ち、Micro-coccus lysodeikticus菌体懸濁液 (凍
結乾燥菌体15mg/100ml 50mMリン酸ナトリウム緩衝液 (p
H6.5)) 800μl に、培養上清液 200μl を添加し、す
ばやく混合後、光路長1cmの石英セル幅で菌体懸濁液の
濁度減少を450nm の吸光度を室温 (25℃) で測定するこ
とにより追跡した。酵素活性はこの測定系で3分間 450
nmの吸光度減少を測定し、1分間当り0.001の吸光度を
減少させるのに必要な酵素量を1単位とした。
【0035】なお、グルコースを一定レベルに制御する
代わりに、グルコース100g/lを初発一括供給、又はグル
コースを初発100g+2日目に100g+4日目に100g/lを間
欠供給する以外は前記と同様に培養を行い、対照とし
た。結果を表2に示す。
【0036】
【表1】 硫酸アンモニウム 10g リン酸二カリウム 2g 塩化カリウム 500mg 硫酸第一鉄・七水和物 20mg リン酸一カリウム 1g 硫酸マグネシウム 1.0g 塩化第一鉄 200μg 塩化ナトリウム・二水和物 100mg 塩化カルシウム 100mg 硫酸マンガン 400μg モリブデン酸ナトリウム 200μg 硫酸亜鉛 400μg ホウ酸 500μg 硫酸銅 40μg ヨウ化カリウム 100μg ビオチン 20μg パントテン酸カルシウム 800μg 葉 酸 2μg イノシトール 2mg ナイアシン 400μg p−アミノ安息香酸 200μg 塩酸ピリドキシン 400μg リボフラビン 200μg 塩酸チアミン 400μg メチオニン 20mg イソロイシン 30mg バリン 150mg トリプトファン 20mg ヒスチジン 20mg グルタミン酸 100mg アスパラギン酸 100mg チロシン 30mg リジン 30mg フェニルアラニン 50mg トレオニン 200mg セリン 375mg アルギニン 20mg グリシン 20mg アラニン 20mg アデニン 20mg ウラシル 100mg 消泡剤BC51-Y(日本油脂製) 100mg イオン交換純水を加えて1.0Lとする。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明によって、形質転換酵母による、
単位菌体当りの蛋白質、例えばヒトリゾチームの分泌生
産量が大幅に向上し、本発明は酵母を利用して高等生物
由来の有用蛋白質を製造する際に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】GAL10 プロモーターをENO1プロモーターに変換
する工程のフローチャートである。
【図2】ヒトリゾチーム分泌発現ユニットを増強させる
工程のフローチャートである。
【図3】pJDB219-ESH-2 を構築する工程のフローチャー
トである。
【図4】染色体LEU2部位にヒトリゾチーム分泌発現ユニ
ットを組み込む工程のフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 仁 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 岩佐 省二 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 地神 芳文 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロモーター及び外来遺伝子を含む分泌
    発現ベクターにより形質転換された酵母を用いて異種蛋
    白質を製造するに際し、培養液中の炭素源を一定レベル
    に制御しつつ連続的に供給することを特徴とする異種蛋
    白質の製造法。
  2. 【請求項2】 異種蛋白質がヒトリゾチームである請求
    項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 酵母がサッカロミセス・セレビシエ (Sa
    cchraomyces cere-visiae) である請求項1記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】 プロモーターが解糖系の酵素遺伝子であ
    る請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】 解糖系の酵素遺伝子がエノラーゼ1遺伝
    子、3−ホスホグリセロキナーゼ遺伝子及びグリセルア
    ルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である請
    求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 炭素源としてのグルコース又はサッカロ
    ースを0.01〜50g/lの濃度に制御する請求項1記載の製
    造法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006288201A (ja) * 2005-04-04 2006-10-26 Asahi Breweries Ltd 微生物の流加培養方法及び流加培養装置

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