JPH0685932U - 弾性体軸継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 動力を効率よく伝達するとともにダンパーの
疲労を防止することが可能な軸継手を提供する。 【構成】 軸に嵌入される中心孔を有する円形ハブの軸
面に周方向に等間隔で複数の突起を設けた１対のフラン
ジ１１を向かい合わせ、各フランジ１１の突起１３Ａ、
１３Ｂを交互にかみ合うように位置させるとともに、突
起間１３Ａ、１３Ｂに空間１０を形成し、この空間１０
に弾性体１４を介在させてなる弾性体軸継手において、
前記空間１０を区画する突起の側面１８は、円形ハブの
中心Ｏを通り所定挟角θを有する２つの放射状基準線１
７、２０で画定されてなるものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、弾性体軸継手に係わり、動力を効率よく伝達するとともに弾性体の 疲労を少なくしたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

弾性体軸継手は、駆動軸と従動軸とを弾性体を介して連結し、この弾性体の変 形により両軸間の偏心、偏角等を吸収しつつ動力を伝達するものである。このよ うな従来の弾性体軸継手の弾性体にゴムを使用するものとして、ＪＩＳＢ１４５ ５ゴム軸継手に規定されるものがあり、これを図２により説明する。

【０００３】 図２（ａ）はゴム軸継手の横断面図、図２（ｂ）は図２（ａ）のＡ−Ｏ−Ｂ断 面図である。図２（ａ）、（ｂ）において、ゴム軸継手は、軸に嵌入される中心 孔５を有する円形ハブ２Ａ、２Ｂの軸面９Ａ、９Ｂに周方向に等間隔で複数（図 では３個）の爪（突起）３Ａ、３Ｂを設けた１対のフランジ１Ａ、１Ｂを向かい 合わせ、各フランジ１Ａ、１Ｂの爪３Ａ、３Ｂを交互に等間隔に位置させるとと もにこれにより円形ハブ２Ａ、２Ｂ及び爪３Ａ、３Ｂ間に形成される空間１０に ダンパー（弾性体）４としてゴムを介在させたものである。なお、６はフランジ １Ａ、１Ｂを軸に固定するための止めネジである。

【０００４】 いまフランジ１Ａを駆動軸側、フランジ１Ｂを従動軸側とし、回転方向を矢印 ２２方向とすると、駆動軸から従動軸への動力の伝達は、フランジ１Ａの爪３Ａ がダンパー４を押圧し、この押圧力を受けてダンパー４がフランジ１Ｂの爪３Ｂ を押圧することにより行われる。そして、このとき両軸間に偏心、偏角が存在し ていてもダンパー４の弾性により吸収される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述のゴム軸継手は、図３に示すように、フランジの爪３Ａ及び３ Ｂ間の空間はゴムの成形性を効率よくするため等間隔Ｌとなっている。このため 、動力の伝達に関して、以下の様な問題点を有する。すなわち、フランジの爪３ Ａがダンパー４を押圧する押圧力Ｆはフランジの回転の接線方向であり、従って 、フランジ（円形ハブ）の中心Ｏを通る法線２１に直角である。そして、この押 圧力Ｆのうち爪３Ａの側面８に直角方向の成分Ｆ′＝Ｆｃｏｓθ₀ （ただしθ₀ は爪３Ａの側面８と法線２１とがなす角）はダンパー４が受ける圧縮力となり、 爪３Ａの側面８と同方向の成分Ｆ″＝Ｆｓｉｎθ₀ はダンパー４が受ける摩擦力 となる。この圧縮力Ｆ′は動力として有効に伝達されるが、摩擦力Ｆ″は動力と して有効には伝達されず、ダンパー４を上方に押し上げるように作用し、材料で あるゴムをこすって摩耗させたり、あるいはこれに疲労を与える。また、この摩 擦力Ｆ″により爪３Ａとダンパー４間に起動・停止時にすべりが生じ、バックラ ッシュを生ずることなく偏心等を吸収するというゴムの特性を十分に発揮させる ことができない。

【０００６】 本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり 、その目的とするところは、動力を効率よく伝達するとともにダンパーの疲労を 防止することが可能な軸継手を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案の弾性体軸継手は、軸に嵌入される中心孔を 有する円形ハブの軸面に周方向に等間隔で複数の突起を設けた１対のフランジを 向かい合わせ、各フランジの突起を交互にかみ合うように位置させるとともに、 突起間に空間を形成し、この空間に弾性体を介在させてなる弾性体軸継手におい て、前記空間を区画する突起の側面は、円形ハブの中心を通り所定挟角を有する ２つの放射状基準線で画定されてなるものである。

【０００８】

【作用】

フランジの突起の側面（弾性体との接触面）はフランジの回転方向と直角であ るため突起が弾性体を押圧する押圧力は全て圧縮力となって弾性体に伝達される 。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照しつつ説明する。図１は本考案の弾 性体軸継手の横断面図である。

【００１０】 本考案の弾性体軸継手の基本構造は従来の技術で説明した図２と同様であるの でその説明を省略し、図３に対応する横断図である図１によりその相違点を説明 する。図１において、図３と異なる点は、フランジ１１の爪１３Ａの台形断面の 両側１８が、円形ハブ２Ｂの中心Ｏを通り所定挟角θを有する２つの放射状基準 線（法線）１７、２０で画定されている点である。

【００１１】 このようにすると、爪１３Ａの側面１８はフランジ１１の回転方向と直角であ るため爪１３Ａがダンパー１４を押圧する押圧力Ｆは全て圧縮力Ｆ′となってダ ンパー１４に伝達される。これは、ダンパー１４からもう一方のフランジの爪１ ３Ｂへの伝達においても全く同様である。従って、駆動軸から従動軸への動力の 伝達が効率良く行われる。また、ダンパー１４への摩擦力が発生しないのでダン パー１４が疲労あるいは摩耗することなく長年使用することができる。さらに、 押圧力Ｆがダンパー１４に垂直方向に作用するため、すべりによるバックラッシ ュを生ずることなく偏心、偏角等の吸収が可能であり弾性体の特性が十分に発揮 される。なお、ダンパー１４をこのような形状としても特に成形性に問題はない 。

【００１２】 また、図示するように、爪の先端とダンパー１４の谷底の各コーナー部１３ａ 、１４ａにＲをつけると、この部分への応力集中が緩和され、ダンパー１４の疲 労がさらに少なくなってより長期の使用を可能にすることができる。

【００１３】 ダンパー１４の材料としては、ゴム、ウレタン樹脂等の弾性体が用いられる。 また、フランジ１１、ダンパー１４の形状を適宜変えることで高機能バックラッ シュレス軸継手とすることが可能である。

【００１４】 なお、ダンパー１４は、各爪１３Ａ、１３Ｂ間の空間に位置する部分１４ｂが 動力の伝達及び偏心等の吸収を行う本質的部分であり、この部分１４ｂは、周方 向に、すなわち各爪１３Ａ、１３Ｂとの間に隙間がないようにする必要がある。 しかし、径方向には、符号２３、２４で示すように、隙間を有していても構わな い。また、符号１４ｃで示すダンパー１４の各爪１３Ａ、１３Ｂに挟まれていな い部分は、ダンパー１４の一体性を保持するための連結部分であり、その形状は 材料加工等を考慮して適宜選択しうる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の弾性体軸継手は、上述のように、フランジの突起の側面が、円形ハブ の中心を通り所定挟角を有する２つの放射状基準線で画定されてなるので、該突 起の側面はフランジの回転方向と直角であり、従って、突起が弾性体を押圧する 押圧力は全て圧縮力となって弾性体に伝達される。このため、駆動軸から従動軸 への動力の伝達が効率良く行われる。また、弾性体への摩擦力が発生しないので 弾性体が疲労あるいは摩耗することなく長年使用することが可能であり、さらに 、押圧力が弾性体に垂直方向に作用するため弾性体の特性を十分に発揮させるこ とが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の弾性体軸継手の横断面図である。

【図２】従来の弾性体軸継手の横断面図及び縦断面図で
ある。

【図３】従来の弾性体軸継手の横断面図である。

【符号の説明】 Ｏ 中心 θ 所定挟角 ２Ａ 円形ハブ ２Ｂ 円形ハブ ５ 中心孔 ９Ａ 軸面 ９Ｂ 軸面 １０ 空間 １１ フランジ １３Ａ 爪（突起） １３Ｂ 爪（突起） １４ ダンパー（弾性体） １７ 放射状基準線 ２０ 放射状基準線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸に嵌入される中心孔を有する円形ハブ
   の軸面に周方向に等間隔で複数の突起を設けた１対のフ
   ランジを向かい合わせ、各フランジの突起を交互にかみ
   合うように位置させるとともに、突起間に空間を形成
   し、この空間に弾性体を介在させてなる弾性体軸継手に
   おいて、前記空間を区画する突起の側面は、円形ハブの
   中心を通り所定挟角を有する２つの放射状基準線で画定
   されてなることを特徴とする弾性体軸継手。