JPH0685499B2 - 高周波結合装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、周波数選択回路網の分野に、更に具体的に
は普通のテレビジョン受像機のようなスーパヘテロダイ
ン受信機における影像応答（イメージ・レスポンス）を
差別的に処理する回路に関するものである。

〔発明の背景〕

スーパヘテロダイン受信機は種々の不要（スプリアス）
応答を受信する可能性がある。この不要応答となる一つ
の主な信号は影像信号である。影像信号は、局部発振器
が所要の信号よりも高い周波数で動作すると仮定して、
その受信機が同調すべき周波数よりも中間周波数（IF）
の２倍だけ高い周波数の信号である。その様な信号が混
合器に到来すると、局部発振周波数と合成されて正確に
IFに等しい差周波数が生成され、所望信号と共に受信機
出力に現われる。影像周波数信号による妨害はテレビジ
ョン受像機の場合に特に不都合であり、それは表示され
る画像との干渉が肉眼で見え易く一般に目障わりである
からである。

影像応答は、受信機の入力と混合器との間に充分な選択
性を与えて影像周波数信号が相当の振幅を持つたまゝ混
合器に入ることがないようにすることによつて、減殺す
ることができる。所望信号を大きく減衰させること無く
影像信号を弁別減勢させる能力を改善するために、高周
波（ラジオ）受信機には特別な結合回路が使用されて来
た。その様な結合回路は、また、同調周波数とトラツプ
周波数との間の周波数間隔（周波数差）が一定に保たれ
るように、同調を変えた場合に影像抑制すなわちトラツ
プ周波数に追従せねばならない。これは、所望信号周波
数に対する影像周波数の隔たりは同調には関係なくIFの
２倍に等しいという事実から、その様になるのである。
上記の様な結合回路の実例は、1953年、チヤツプマン・
アンド・ホール（Chapman＆Hall）社発行のスターリイ
（K.R.Sturley）著「ラジオ受信機設計（Radio Receive
r Design）」349-353頁および1943年マグロウヒル（McG
raw Hill）社発行のターマン（F.E.Terman）著「ラジオ
技術者ハンドブツク（Radio Engineers′ Handbook）」
645頁に記述されている。それらの回路では、入力に磁
気的に結合された補助コイルに中和電圧が発生する。そ
の回路特性は、中和電圧が所望信号には余り影響を与え
ずに影像周波数信号を相殺するように選定されている。
しかし、これらの従来例回路における補助コイルは結合
回路中の他のコイルに磁気的に（誘導性）結合されてい
る。磁気的結合は、低い周波数範囲においては信頼性の
ある安定な動作をするが、高い周波数範囲たとえばUHF
範囲においてはその動作の信頼性が低下しまた予測性を
欠くという欠点を示す。すなわちその様に高い周波数域
では、結合用インダクタンスは単に銅箔の短片で作られ
るから、インダクタンス素子自体に機械的剛性が無く、
振動その他の機械的外力によりふらつき易いなどの理由
で、安定な磁気的結合を維持すること、および所望の結
合を得るための機械的調節が非常に困難になる。従っ
て、同種の装置を多数量産した場合に、１台ごとに補助
コイルと他のコイルとの磁気的結合状態が異なり、それ
が装置の動作特性のばらつきとなって現れるという不都
合をもたらしていた。

〔発明の概要〕

この発明の一特徴として、入力信号を受信するように第
１の並列共振回路が受信機に結合されており、更にこの
回路は第１結合手段を介して第２の並列共振回路に相互
結合している。この第１の共振回路の容量性分路には、
受信機の不所望な影像周波数応答を相殺するための中和
信号を生成するための或る回路インピーダンスが結合さ
れている。この中和信号の少くとも一部分が第２の結合
手段によつて第２共振回路の誘導性分路に結合される。

この発明の別の特徴として、両共振回路は所望信号周波
数に同調されている。

この発明のまた別の特徴として、その回路インピーダン
スは、第２共振回路の誘導性分路において、第１の結合
手段によつて供給された影像周波数信号成分と第２の結
合手段によつて供給される影像周波数成分との間で実質
的に相殺作用が行なわれる周波数特性を呈するように選
定される。この発明の他の特徴として、対応する所望信
号周波数成分間の相殺作用は影像周波数成分相互間の相
殺作用より格段に少ない。更にまた別のこの発明の特徴
として、所望信号と影像周波数間の周波数間隔は実質的
に一定である。

上記のおよびそれ以外のこの発明の特徴を以下図面を参
照して詳細に説明する。

〔詳細な説明〕

第１図の結合装置において、高周波数（ラジオ周波数…
…RF）源100は、互に並列共振回路を構成している同調
用のキヤパシタンス104とインダクタンス106より成る同
調回路102に結合されている。この共振回路は、共通接
地点に接続されたインダクタンス106と、キヤパシタン
ス112とインダクタンス114の並列組合せより成る共振回
路110により接地点に結合されたキヤパシタンス104とで
構成されている。従つて、キヤパシタンス104中の電流
は共振回路110の回路インピーダンスの両端間に或る電
圧すなわち中和電圧を発生させることになる。共振回路
102はRF源100から供給される所望信号周波数に同調され
る。RF源は、たとえば、受信アンテナまたはケーブル・
テレビジヨン出力端子のような信号源に結合されたRF増
幅器を持つている。共振回路102は所望信号周波数に最
大応答を示すが、影像周波数のような別の周波数でも或
程度の応答を示す。従つて、所望信号周波数の信号およ
びRF信号源100の出力に存在する可能性のある影像周波
数の信号は、それぞれに対応する電圧を共振回路110の
両端間に生じさせる。

別の共振回路116は、インダクタンス118とキヤパシタン
ス120とより成り、これらは上記の所望信号周波数に同
調する並列共振回路を構成している。キヤパシタンス12
0は接地されているが、インダクタンス118は、結合器11
5から共振回路110を通して接地点に結合されている。従
つてこの共振回路110はキヤパシタンス104とインダクタ
ンス118の双方の接地点への結合路における共通インピ
ーダンスを構成している。従つて、キヤパシタンス104
中の電流によつてこの同調回路110の両端間に生ずる中
和電圧は中和信号として共振回路116中に注入される。
共振回路102と116はまた第１図にブロツクで示す結合器
122によつて相互に結合されている。結合器122は任意周
知の適当な形状に作り得るがその一例は後述する。回路
論理で周知のように、この様な結合器は一般に相互イン
ダクタンス結合を有する簡単な等価結合回路に変形する
ことができる。結合器122によつてインダクタンス118に
結合された信号は共振回路110によつてインダクタンス1
18に結合される信号に加算される。従つて、インダクタ
ンス118にはRF源100の出力における各信号周波数に対し
て２つの信号成分が存在することになる。所望信号周波
数を持つ信号には殆ど影響を及ぼさずに影像周波数の信
号の上記２成分を互に実質的に相殺させ得ることが判つ
た。これは、結合器122の回路素子の値と極性を適切に
選定してインダクタンス118に結合される両影像周波数
成分の振幅を等しく極性を反対にすることによつて実現
できる。結合器には周波数依存特性があるために、所望
の信号周波数においては上記の様な条件が満たされず目
立つような相殺作用は起らない。従つてこの結合装置
は、影像周波数信号に対するトラツプとして働き、そし
て共振回路116からの出力はRF源100の出力に比べて影像
信号分が相当少くなる。共振回路116から取出された出
力は次いで受信機の信号処理回路122に供給されて、更
に、所要の処理を受ける。

前述したように、同調周波数と影像トラツプ周波数間の
間隔を同調に関して一定に保つことが望ましい。この様
な要望を実質的に実現するための共振回路110の動作を
次に説明する。最初に、キヤパシタンス112が結合され
ていないとすると、同調周波数とトラツプ周波数との間
の周波数間隔は、インダクタンス114で決まる比率で、
その同調周波数に比例する。同調を変えたときに上記の
周波数間隔を変化させないための条件は、インダクタン
ス114の実効インダクタンスが対象とする周波数範囲を
通じて周波数の２乗と逆に変化しなければならないこと
である。これは、共振回路の同調曲線上で中心周波数の
両側におけるスロープ（スカート部）上の或る周波数点
に対応する信号振幅が、その周波数の２乗値に逆比例す
るという理由による。しかし、上記の様な周波数依存性
インダクタンスは実在しないが、この発明によればキヤ
パシタンス112を付加して共振回路110を構成することに
よつて、等価的な作用を得ることができる。キヤパシタ
ンス112とインダクタンス114の値を適切に選べば、実効
インピーダンス値が対象とする周波数範囲を通じて周波
数の２乗と逆に変化する仮想インダクタンスのインピー
ダンスに相当する実効インピーダンスを呈するようにこ
の共振回路110を作ることができる。既述のように、そ
の様な特性によつて影像トラツプ周波数と同調周波数間
の周波数間隔は一定に保持され、従つて同調を変える場
合に実際の影像周波数に追従することができる。

第２図は、たとえばテレビジヨン受像機に使用するに適
した結合装置の構造を示している。たとえば、アンテ
ナ、ケーブル・テレビジヨン出力端子或いはビデオ・テ
ープレコーダの様なUHF信号源200がRF増幅器と同調回路
201に結合されている。RF増幅器201の出力には、通常、
所望信号に加えて影像周波数の信号が含まれている。こ
の出力は、インダクタンス206とキヤパシタンス204より
成り所望信号周波数に同調した共振回路202に印加され
る。このキヤパシタンス204は通常はこゝに略示したよ
うに電圧制御可変キヤパシタンス・ダイオードより成る
ものである。インダクタンス206に近接して接地ループ2
07が設けられており、このループを曲げてインダクタン
ス206との結合状態を変えることによりトリミング調整
ができるようになつている。キヤパシタンス204は、DC
阻止キヤパシタ205と、印刷回路板上の導電箔の微小部
分で作ることができる程度の小さな値を有するインダク
タンス214とで接地されている。インダクタンス214とキ
ヤパシタンス212は共振回路210を形成して、第１図の共
振回路110に対応するものとして、中和電圧を生成す
る。キヤパシタ212は典型的には、非常に小さいもので
通常は印刷回路板上に形成された導体に付帯する漂遊キ
ヤパシタンスで構成されるので、特別に他のキヤパシタ
ンス素子を必要としない。

共振回路210の両端間に発生する電圧は、通常何れも印
刷回路板上の導電性ストリツプで形成されている直列イ
ンダクタンス215と分路インダクタンス219より成る分圧
器によつてインダクタンス218に結合される。すなわ
ち、共振回路210の両端間に生ずる中和電圧の一部分の
みが中和信号として実際にインダクタンス218に結合さ
れる。インダクタンス218に近接して接地ループ217がト
リミング調整のために設けられている。インダクタンス
218はキヤパシタンス220と共に所望の信号周波数に対す
る共振回路216を形成している。このキヤパシタンス220
はDC阻止キヤパシタ221によつて接地された可変キヤパ
シタンス・ダイオードとして図示されている。両キヤパ
シタンス204と220には、同調電圧源226からそれぞれ抵
抗203と225を介して同調電圧が供給される。同調電圧源
226は、また、RF増幅器201中の同調素子にも同調電圧を
供給する。

共振回路202と216は、並列結合されたインダクタンス22
3とキヤパシタンス225より成る結合器222によつて相互
に結合されている。共振回路216からの出力は、引続い
て適切な処理をするために受信機の信号処理回路224に
供給される。

第１図と第２図に示した実施例の対応性から理解できる
ように、第２図の実施例の動作は第１図の実施例につい
て行なつた説明と実質的に一致する。インダクタンス21
8における影像相殺作用に必要な信号振幅は、インダク
タンス214が実用寸法に作られているとすれば、そのイ
ンダクタンス214の両端間に生じる電圧よりも小さいか
ら、インダクタンス215と219から成る分圧器が使用され
ることに注意されたい。

上記第１図と第２図に示す実施例から明らかな様に、こ
の発明においては、影像周波数信号除去のために、前述
した図書「ラジオ受信機設計」や「ラジオ技術者ハンド
ブツク」に記述されている形の磁気的に結合される補助
コイルの代わりに共振回路を使用しているので、磁気的
結合の、特に高周波数域における、低信頼性、非予測性
および不安定性などの欠点とは無縁となり、安定な動作
特性を得ることができ、生産量の多少にかかわらず高品
質の装置を安定に供給することができる。

第１図と第２図に示したこの発明の装置は例示的なもの
である。これまでの説明に従つてこの発明を実施する回
路には種々の変形が可能である。たとえば、図示した並
列共振回路222の代りにこれと等価的な他の結合器を使
用することができる。また別の実施例として、同調電圧
源226は同調ダイオード204と206およびRF増幅器および
同調回路201に対して同じ同調電圧を供給するように図
示されているが、もし必要があれば上記の諸素子に別々
の電圧を供給することもできる。更に、インダクタンス
214とキヤパシタンス212の値を対応変化させれば、イン
ダクタンス215と219より成る分圧器を使用する必要はな
くなる。また、この発明の動作を高周波数（RF）受信機
の場合について説明したが、この発明は所望信号周波数
に対する同調に追従するため或る周波数トラツプを必要
とする様な別の用途にも使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の推奨実施例を含むRF結合装置の構成
を一部ブロツクで示す回路図、第２図は第１図に示す結
合装置の構成を一部ブロツクで示す回路図である。 102……第１の共振回路、110……インピーダンス手段、
115……第２結合手段、116……第２の共振回路、122…
…第１結合手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】RF信号入力ポートを有し、所望信号周波数
   に同調したとき不所望な影像周波数応答を示すようなス
   ーパヘテロダイン高周波受信機の高周波結合装置であっ
   て、 それぞれ並列接続された容量性分路と誘導性分路とを有
   する第１と第２の共振回路であって、その第１共振回路
   が上記入力ポートにおける信号を受信するように該入力
   ポートに結合されているものと、上記第１と第２の共振
   回路を互いに結合する第１結合手段と、上記第１の共振
   回路の容量性分路に直列結合されていて上記不所望な影
   像周波数応答を相殺するための中和信号を生成する第３
   の共振回路と、上記中和信号の少なくとも一部を上記第
   ２共振回路の誘導性分路に供給する第２結合手段と、を
   具備して成る高周波結合装置。