JPH0684213B2 - リニアモ−タ−駆動の仕分け用搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、一定経路上で台車に搭載されて搬送される被
搬送物を、当該経路中に予め設定されている複数の仕分
け位置の内の任意の仕分け位置で左右横方向に払い出
す、リニアモーター駆動の仕分け用搬送装置に関するも
のである。

（従来の技術及びその問題点） 本出願人は先にリニアモーター駆動の仕分け用搬送装置
を提案している。この仕分け用搬送装置は、一定走行経
路上を互いに連結された状態で走行する各走行台車上
に、走行方向に対する左右横方向に搬送する仕分け用コ
ンベヤを設置し、このコンベヤの回動体、即ち前記コン
ベヤがスラットコンベヤの場合は無端状に連結された各
スラット、ローラーコンベヤの場合は各ローラー、には
リニアモーター用二次導体を設けると共に、前記一定走
行経路中に設定した各仕分け位置には、前記二次導体を
介して前記コンベヤの回動体を回転駆動するリニアモー
ター用一次コイルを配設して成るものである。

このような仕分け用搬送装置では、コンベヤの回動体が
減速機等を介してモーターに連動連結されている場合と
比較して、当該回動体の回転抵抗は非常に小さい。又、
回転抵抗を出来る限り小さくしておくことが、動力のロ
スを少なくして効率良く回転駆動し得ることにもなる。
しかしながら、このようにコンベヤの回動体の回転抵抗
が非常に小さいことが原因して、被搬送物を載せている
コンベヤの台車の走行に伴う振動や水平Ｕターン部での
走行に伴う遠心力により、コンベヤ上の被搬送物がコン
ベヤ回動体の遊転を伴って簡単にコンベヤ上を遊動し、
不測にコンベヤ上から落下する恐れがあった。

勿論、従来周知のようにコンベヤの搬出方向端部に出退
自在な被搬送物落下防止用ストッパーを設ければ良いの
であるが、このストッパーを出退駆動する手段が必要と
なるばかりでなく、当該駆動手段に対する動力等の動力
の供給や制御が必要となり、地上側のリニアモーター用
一次コイルで台車上のコンベヤを駆動するようにした意
味が薄れ、且つ大幅なコストアップにもつながる。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上記のような問題点を解決し得る仕分け用搬送
装置を提案するものであって、その特徴は、一定走行経
路上を互いに連結された状態で走行する各走行台車上
に、走行方向に対する左右横方向に搬送する仕分け用コ
ンベヤを設置し、このコンベヤの回動体にはリニアモー
ター用二次導体を設けると共に、前記一定走行経路中に
設定した各仕分け位置には、前記コンベヤの回動体を回
転駆動するリニアモーター用一次コイルを配設し、更に
前記コンベヤの回動体に対する制動手段を設け、この制
動手段には、制動作用状態に付勢するスプリングと、前
記一次コイルの一部に対向し且つ前記スプリングに抗し
て制動解除するための操作部とを設け、前記コンベヤが
通電されているリニアモーター用一次コイルに対応した
とき、当該一次コイルの電磁吸引力により前記操作部が
吸引駆動されて制動手段が制動解除されるように構成し
た点にある。

（発明の作用） 上記の本発明による仕分け用搬送装置に於いては、各台
車の走行により前記仕分け用コンベヤ上で支持している
被搬送物を搬送しているときは、当該コンベヤの回動体
は、スプリングによって制動作用状態に付勢されている
前記制動手段により制動され、容易には回転出来ない状
態にある。従って、コンベヤ上の被搬送物が当該コンベ
ヤ回動体の遊転を伴ってコンベヤ上から搬出方向へ遊動
落下することが阻止される。

そして、搭載している被搬送物の仕分け先に台車が到達
する直前に当該仕分け先のリニアモーター用一次コイル
に通電することにより、この仕分け位置を通過する台車
上の前記制動手段に於ける操作部が地上側の一次コイル
の電磁吸引力により吸引駆動され、制動手段がスプリン
グに抗して制動解除されると同時に、当該一次コイルの
移動磁界が台車上のコンベヤの回動体を二次導体を介し
て所定の方向に回転駆動させるので、搭載している被搬
送物を所定の方向に搬出させることが出来るのである。

（実施例） 以下に本発明の一実施例を添付の例示図に基づいて説明
する。

第１図に於いて、１は水平循環走行経路２上を移動する
台車であって、連結器３によって無端状に連結され、夫
々走行方向に対する左右横方向に搬送する仕分け用ロー
ラーコンベヤ４を備えている。５は仕分け用シュートで
あって、前記走行経路３上の適当位置に設定された仕分
け位置の経路脇に配設されている。

前記各台車１は、第２図及び第３図に示すように前記走
行経路２を形成する左右一対の横向き対向溝形ガイドレ
ール６内に嵌合する遊転車輪７を左右両側フレーム８の
前後両端外側に備え、これら各車輪７を軸支する固定支
軸９の外端部には、前記ガイドレール６の内側面に近接
する振れ止め用垂直軸ローラー10が軸支されている。

前記仕分け用ローラーコンベヤ４は、前記左右両側フレ
ーム８の前後両端部間に架設された前後一対のコンベヤ
フレーム11間に軸支された複数本の回動体としてのコン
ベヤ用ローラー12を備えている。各ローラー12は、第４
図及び第５図に示すように鉄製円筒体13と、当該鉄製円
筒体13の外側に形成された、リニアモーターの二次導体
となるアルミニウム製の円筒層14とから構成された周壁
を備え、更に前記鉄製円筒体13の内部には永久磁石15が
内装固定され、固定支軸16にベアリング17を介して回転
のみ可能に支承されている。前記永久磁石15は軸方向２
箇所に夫々２個づつ内装固定され、各永久磁石15は磁極
が軸方向両端に位置する環状体であって、軸方向に隣接
する２個の永久磁石15は隣接する磁極が互いに吸着し合
うように向きが決められている。

第２図及び第３図に示すように、前記ローラーコンベヤ
４にはローラー制動手段18が併設されている。このロー
ラー制動手段18は、各ローラー12の同一側端部に形成さ
れた小径被制動部12aの下側にローラー列方向に配置さ
れた磁性体製の操作部兼用昇降部材19、各ローラー12の
小径被制動部12aに対接するように前記昇降部材19に付
設された制動用シュー20、前記昇降部材19の両端部を昇
降自在に案内支持する昇降ガイドロッド21、このガイド
ロッド21に遊嵌され且つ昇降部材19を上向きに付勢する
スプリング22から構成されている。尚、前記昇降ガイド
ロッド21は左右両側フレーム８内に立設されている。

第１図及び第２図に示すように前記走行経路２には、左
右２列に台車推進用リニアモーターの一次コイル23が外
向きに配設され、この一次コイル23に所定のギャップを
隔てて対向するリニアモーター用二次導体板24が各台車
１の左右両側フレーム８の下端内側に付設されている。
前記一次コイル23は全経路にわたって連続するように配
設しても良いが、台車１が無端状に連結されているの
で、例えば第１図に示すように水平Ｕターン部2a等には
一次コイル23を配設しないでおくことが出来る。

又、走行経路２中の各仕分け位置（仕分け用シュート５
が併設された箇所）には、各台車１のローラーコンベヤ
４に於ける各ローラー12を回転駆動するためのリニアモ
ーター用一次コイル25が、この上を各台車１のローラー
コンベヤ４が跨って通過移動するように配設されてい
る。この一次コイル25は、走行経路２とは直交する左右
横方向に移動磁界を発生するものであって、その幅（走
行経路２方向の長さ）は前記コンベヤ用ローラー12の長
さと略同一か又はこれよりも長く、前記ローラー制動手
段18に於ける磁性体製の操作部兼用昇降部材19がこの一
次コイル25の一側辺近傍の真上に適当間隔を隔てて対向
し得るように構成されている。尚、この一次コイル25
は、台車推進用リニアモーターの一次コイル23を支持す
る左右一対の固定フレーム26上に架設されている。

以上のように構成された仕分け用搬送装置に於いては、
台車推進用リニアモーターの一次コイル23に通電して走
行経路２方向の移動磁界を発生させることにより、各台
車１側の二次導体板24に台車走行方向の推力が働き、各
台車１が所定の方向にガイドレール６に沿って走行する
ことになる。従って、走行経路２中の特定位置で各台車
１の仕分け用ローラーコンベヤ４上に被搬送物Ｗを移載
せしめることにより、当該被搬送物Ｗを走行経路２に沿
って搬送することが出来るが、ローラーコンベヤ４の各
ローラー12は、第２図右半分に示すようにローラー制動
手段18の各制動用シュー20がスプリング22の付勢力で各
ローラー12の小径被制動部12aに圧接することにより制
動されているので、搬送途中で被搬送物Ｗが前記ローラ
ー12の遊転を伴ってローラーコンベヤ４上から落下する
ことはない。

被搬送物Ｗを搬送する各台車１が予め設定されている所
定の仕分け位置に到達する直前に、当該仕分け位置に配
置されているコンベヤ駆動用リニアモーターの一次コイ
ル25に所定の方向に移動磁界が発生するように通電する
ことにより、台車１が当該仕分け位置に到達したときに
当該台車１の仕分け用ローラーコンベヤ４に於ける各ロ
ーラー12のアルミニウム製円筒層（二次導体）14が前記
一次コイル25からの磁力線を切り、このアルミニウム製
円筒層（二次導体）14に渦電流が流れて移動磁界の移動
方向に一致する電磁力が生じる。この電磁力によりアル
ミニウム製円筒層（二次導体）14にトルクが与えられ、
ローラー12が所定の方向に回転する。このとき、前記ロ
ーラー12のアルミニウム製円筒層（二次導体）14の内側
に強磁性体の鉄製円筒体13が存在し且つ当該鉄製円筒体
13内には永久磁石15が内蔵されているので、一次コイル
25からの磁力線は前記鉄製円筒体13のある側へ強力に引
きつけられ、この鉄製円筒体13や永久磁石15が存在しな
い場合と比較してアルミニウム製円筒層（二次導体）14
を貫通する磁力線の数が著しく増大する。従ってこのア
ルミニウム製円筒層（二次導体）14に作用する前記電磁
力も大きくなり、ローラー12に作用するトルクが大きく
なる。

一方、一次コイル25上にローラー制動手段18の操作部兼
用昇降部材（磁性体製）19が対向することにより、当該
昇降部材19には一次コイル25側（下向き）に電磁力が作
用し、この電磁力により昇降部材19がスプリング22の付
勢力に抗して第２図左側に示すように下降移動し、各制
動用シュー20が各ローラー12の小径被制動部12aより離
間する。即ち、各ローラー12に対する制動作用は解除さ
れる。下降移動する昇降部材19は図示省略したストッパ
ーにより一次コイル25に当接しない高さで止まる。

上記のように一次コイル25に通電されている所定の仕分
け位置に台車１が到達したとき、当該台車１のローラー
コンベヤ４に於ける各ローラー12に対する制動が解除さ
れ且つ当該各ローラー12が所定の方向に回転することに
より、ローラーコンベヤ４上の被搬送物Ｗが左右何れか
所定の方向に搬出され、仕分け用シュート５上に払い出
される。尚、一次コイル25に於いて発生させる移動磁界
の移動方向を切り換えることにより前記ローラー12の回
転方向、即ち被搬送物Ｗの搬出方向を切り換えることが
出来る。

移動する台車１が通電されている一次コイル25上から離
れると、ローラーコンベヤ４の各ローラー12の回転駆動
は自動停止され、且つローラー制動手段18の昇降部材19
はスプリング22の付勢力で上昇移動して各制動用シュー
20が各ローラー12の小径被制動部12aに圧接し、各ロー
ラー12には制動が掛けられる。

尚、台車１の推進手段は実施例に示したリニアモーター
方式に限定されない。又、仕分け用コンベヤとしてロー
ラーコンベヤを例示したが、スラットコンベヤ等も利用
出来る。この場合には、各スラット板でリニアモーター
の二次導体を兼用させるか又は、スラット板に二次導体
板を付設すれば良い。何れにしても、コンベヤの回動体
に設けるリニアモーターの二次導体は、実施例のように
アルミニウムで構成する他、銅等でも構成することが出
来る。更にコンベヤを制動する制動手段の構造も上記実
施例のものに限定されない。

例えば第６図に示すように、前記ローラー12の小径被制
動部12aに対し当接離間自在な制動用シュー27を遊端部
に備えた磁性体製の操作部兼用上下可動部材28を固定支
軸29によりコンベヤフレーム11に軸支すると共に、前記
上下可動部材28を上向きに付勢するスプリング30を設
け、前記上下可動部材28を一次コイル25が吸引すること
により制動用シュー27がローラー12の小径被制動部12a
から離間するように構成することも出来る。この場合、
前記上下可動部材28を各ローラー12毎に分割して並設す
ることも出来るし、全てのローラー12に対応する複数の
制動用シュー27を備えた長尺の上下可動部材28とするこ
とも出来る。

（発明の効果） 以上のように本発明の仕分け用搬送装置によれば、台車
上の仕分け用コンベヤ上に載せられて台車の走行により
搬送される被搬送物が、台車の走行に伴う振動や台車が
水平Ｕターン部を走行する際に受ける遠心力でコンベヤ
の回動体の遊転を伴って当該コンベヤ上から不測に落下
することを、当該コンベヤの回動体を制動手段で制動し
ておくことにより確実に阻止し、安全確実に搬送するこ
とが出来る。

しかも前記コンベヤの回動体に対する制動は、台車が所
定の仕分け位置に到達して、地上側に一次コイルを持つ
リニアモーターで仕分け用コンベヤが駆動されるときに
は、前記一次コイルの電磁吸引力で自動的に解除するこ
とが出来るので、制動手段を駆動する特別な手段や当該
手段に対する動力の供給及び制御が全く不要であり、極
めて安価に実施することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体の一部切り欠き平面図、第２図は要部の縦
断正面図、第３図は要部の一部切り欠き側面図、第４図
はコンベヤ用ローラーの構造を示す縦断正面図、第５図
は同縦断側面図、第６図は制動手段の変形例を示す要部
の側面図である。 １…台車、２…走行経路、４…仕分け用ローラーコンベ
ヤ、５…仕分け用シュート、６…ガイドレール、12…コ
ンベヤ用ローラー、13…鉄製円筒体、14…アルミニウム
製円筒層（二次導体）、18…制動手段、19…操作部兼用
昇降部材、20,27…制動用シュー、22,30…スプリング、
23…台車推進用リニアモーターの一次コイル、24…二次
導体板、25…仕分け用ローラーコンベヤ駆動用リニアモ
ーターの一次コイル、28…操作部兼用上下可動部材。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６５Ｇ 54/02 9245−3Ｆ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一定走行経路上を互いに連結された状態で
   走行する各走行台車上に、走行方向に対する左右横方向
   に搬送する仕分け用コンベヤを設置し、このコンベヤの
   回動体にはリニアモーター用二次導体を設けると共に、
   前記一定走行経路中に設定した各仕分け位置には、前記
   コンベヤの回動体を回転駆動するリニアモーター用一次
   コイルを配設し、更に前記コンベヤの回動体に対する制
   動手段を設け、この制動手段には、制動作用状態に付勢
   するスプリングと、前記一次コイルの一部に対向し且つ
   前記スプリングに抗して制動解除するための操作部とを
   設け、前記コンベヤが通電されているリニアモーター用
   一次コイルに対応したとき、当該一次コイルの電磁吸引
   力により前記操作部が吸引駆動されて制動手段が制動解
   除されるように構成したリニアモーター駆動の仕分け用
   搬送装置。