JPH068332B2 - 耐熱性重合体の製造方法 - Google Patents

耐熱性重合体の製造方法

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JPH068332B2
JPH068332B2 JP60003691A JP369185A JPH068332B2 JP H068332 B2 JPH068332 B2 JP H068332B2 JP 60003691 A JP60003691 A JP 60003691A JP 369185 A JP369185 A JP 369185A JP H068332 B2 JPH068332 B2 JP H068332B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈発明の目的〉 本発明は耐熱性重合体の製造方法に関する。さらに詳し
くは、予備グラフト体の存在下、マレイミド系化合物と
他の化合物とをグラフト重合することにより、耐衝撃性
と加工性のバランスならびに抗張力に優れる耐熱性重合
体の製造方法に関する。
ジエン系ゴムの存在下、スチレンおよびアクリロニトリ
ルをグラフト重合して得られるABS樹脂は耐衝撃性な
らびに加工性に優れるポリマーとして自動車部品をはじ
め多くの分野において用いられている。しかしながら、
使用分野においてはより優れた耐熱性が求められる。
このため、共役ジエン系ゴムの存在下、スチレンおよび
アクリロニトリルと共にマレイミド系化合物をグラフト
重合する方法、又はスチレンおよびアクリロニトリルと
共に無水マレイン酸をグラフト重合し、その後アニリン
等でマレイミド化する方法などが提案されている。
かかる方法においては、耐熱性に優れるグラフト重合体
が得られる反面、耐衝撃性ならびに加工性が著しく劣る
といった欠点を有している。さらに無水マレイン酸を用
いる重合系においては、重合法が溶液重合法および塊状
重合法に限定されると共に、イミド化工程を必要とす
る。
本発明者らは、かかる問題点に鑑み鋭意検討した結果、
予備グラフト体に、マレイミド系化合物を他の化合物と
共にグラフト重合することにより耐衝撃性と加工性のバ
ランスならびに抗張力に優れる耐熱性重合体が得られる
ことを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、ジエン系ゴム(a−1)と芳香族
ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物および不飽和カル
ボン酸アルキルエステル化合物からなる群より選択され
た1種以上の化合物(a−2)とを乳化グラフト重合し
てなるグラフト率1〜25%の予備グラフト体(A)の
存在下、マレイミド系化合物(B)と芳香族ビニル化合
物、不飽和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸アル
キルエステル化合物からなる群より選択された1種以上
の化合物(C)とを乳化または懸濁グラフト重合するこ
とを特徴とする耐熱性重合体の製造方法を提供するもの
である。
〈発明の構成〉 以下に本発明の耐熱性重合体の製造方法につき詳細に説
明する。
予備グラフト体(A) 本発明において重要な点は、マレイミド系化合物のグラ
フト重合する対象物がジエン系ゴムと芳香族ビニル化合
物、不飽和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸アル
キルスチレン化合物からなる群より選択された1種以上
の化合物のからなるグラフト率1〜25%の予備グラフ
ト体であることである。
グラフト重合のされていないジエン系ゴム又はグラフト
率が25%を超えるグラフト体では本発明の目的は達せ
られない。特に好ましくはグラフト率5〜25%の予備
グラフト体である。
グラフト率は以下の一般式に基づき求められる。
予備グラフト体を構成するジエン系ゴムとしては、ポリ
ブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニト
リル−ブタジエンゴム等が挙げられ1種又は2種以上用
いることができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ハ
ロゲン化スチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用い
ることができる。特にスチレンが好ましい。
不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等
が挙げられ1種又は2種以上用いることができる。特に
アクリロニトリルが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、ヘキミル
などのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル
などが挙げられ1種又は2種以上用いることができる。
特にメタクリル酸メチルが好ましい。
ジエン系ゴムと上述の化合物群から選択された1種以上
とからなるグラフト率1〜25%の予備グラフト体は、
公知の乳化重合法にて製造される。
マレイミド系化合物(B) 本発明において、予備グラフト体の存在下グラフト重合
されるマレイミド系化合物としては、マレイミド、メチ
ル、エチルなどのアルキル基を有するN−アルキルマレ
イミド、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、
O−クロルフェニルなどのアリール基を有するN−アリ
ールマレイミドなどが挙げられ、1種又は2種以上用い
ることができる。
特にN−フェニルマレイミドおよびN−O−クロルフェ
ニルマレイミドが好ましい。
化合物(C) 予備グラフト体の存在下、マレイミド系化合物と共にグ
ラフト重合される化合物は、芳香族ビニル化合物、不飽
和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸アルキルエス
テル化合物からなる群より選択された1種以上の化合物
である。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ハ
ロゲン化スチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用い
ることができる。特にスチレンが好ましい。
不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等
が挙げられ1種又は2種以上用いることができる。特に
アクリロニトリルが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、ヘキシル
などのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル
などが挙げられ1種又は2種以上用いることができる。
特にメタクリル酸メチルが好ましい。
本発明においては、予備グラフト体(A)の存在下、マレ
イミド系化合物(B)および化合物(C)を公知の乳化重合法
または懸濁重合法にてグラフト重合するものである。
得られる重合体のグラフト率には特に制限はないが、グ
ラフト率〔ジエン系ゴム上にグラフトした化合物重量
(予備グラフト体時の化合物をも含む)/ジエン系ゴム
重量〕が30〜200%であることが好ましい。
また、マレイミド系化合物(B)と化合物(C)との組成比率
にも制限はないが得られる重合体の耐衝撃性と加工性の
バランス、耐熱性の面よりマレイミド系化合物(B)が5
〜60重量%、化合物(C)が95〜40重量%((B)+
(C)の合計当り)であることが好ましい。
以下に実施例ならびに比較例を挙げて本発明を詳細に説
明する。なお、部数はすべて重量に基づく。
実施例1 攪拌機付20の反応器に重量平均粒径0.3μ、ゲル含
有量82%のポリブタジエンゴムラテックス200部
(固形分50%)を仕込み、65℃に昇温したのち、そ
れぞれスチレン30部、アクリロニトリル13部および
t−ドデシルメルカプタン0.6部からなる混合液ならび
に過硫酸カリウム0.6部、ラウリル硫酸ナトリウム2部
および純水50部からなる水溶液を2時間かけて連続添
加した。その後70℃で2時間加熱して重合し、グラフ
ト率22%の予備グラフト体ラテックスを得た。
これに純水380部を仕込んだのち、N−フェニルマレ
イミド110部、アクリロニトリル74部、スチレン1
73部およびt−ドデシルメルカプタン1部からなる混
合液ならびに過硫酸カリウム0.9部およびラウリル硫酸
ナトリウム5部を70部の水に溶かした溶液を5時間に
わたり連続添加しながら67℃で重合した。その後、さ
らに70℃で2時間加熱した。重合後、硫酸マグネシウ
ムで塩析し、グラフト率56%のグラフト重合体粉末を
得た。
実施例2 実施例1で得られた予備グラフト体ラテックスを用い、
化合物(C)としてアクリロニトリル25部、スチレン7
4部およびメタクリル酸メチル148部を用いた以外は
実施例1と同様に重合し、グラフト率51%のグラフト
重合体粉末を得た。
実施例3 実施例1において、化合物(a−2)としてメタクリル
酸メチル43部を用いて重合し、グラフト率12%の予
備グラフト体を得た。これに化合物(B)としてN−O−
クロロフェニルマレイミド110部および化合物(C)と
してメタクリル酸メチル247部を添加して重合した以
外は実施例1と同様に重合し、グラフト率47%のグラ
フト重合体粉末を得た。
実施例4 実施例1において、化合物(a−2)としてアクリロニ
トリル4部、スチレン13部およびメタクリル酸メチル
26部を用いて重合し、グラフト率15%の予備グラフ
ト体を得た。以下、実施例1の方法を繰り返し、グラフ
ト率53%のグラフト重合体粉末を得た。
実施例5 実施例1において、化合物(a−2)としてアクリロニ
トリルおよびスチレンの量をそれぞれ9部および34部
に変えて重合し、グラフト率17%の予備グラフト体を
得た。これに化合物(C)としてスチレン74部およびメ
タクリル酸メチル173部を添加して重合した以外は実施
例1と同様に重合し、グラフト率49%のグラフト重合
体粉末を得た。
比較例1 実施例1において、予備グラフト体を製造する際にt−
ドデシルメルカプタンを添加しなかった以外は実施例1
の方法を繰り返し、グラフト率35%の予備グラフト体
を得た。以下、実施例1の方法を繰り返し、グラフト率
68%のグラフト重合体粉末を得た。
比較例2 実施例1で使用した反応器に、実施例1で用いたポリブ
タジエンラテックス200部(固形分50%)および純
水410部を仕込み、67℃に昇温したのち、これにそ
れぞれN−フェニルマレイミド110部、アクリロニト
リル87部、スチレン203部およびt−ドデジルメル
カプタン1.2部からなる混合液ならびに過硫酸カリウム
1部、ラウリル硫酸ナトリウム6部および純水90部か
らなる水溶液を5時間で連続添加した。その後70℃で
2時間重合したのち、硫酸マグネシウムで塩析し、グラ
フト率55%のグラフト重合体粉末を得た。
実施例6 実施例1で得られた予備グラフト体ラテックスにヒドロ
キシプロピルメチルセルロース2部を含有する水溶液8
50部を加え、これにN−フェニルマレイミド110
部、アクリロニトリル74部、スチレン173部、ラウ
ロイルパーオキサイド0.4部およびt−ドデシルメルカ
プタン1.5部からなる混合液を添加し、70℃で5時
間、ついで80℃で3時間懸濁重合した。その後、スチ
ームを吹込んで未反応モノマーを除去し、脱水、乾燥し
てビーズ状重合体を得た。得られたグラフト重合体のグ
ラフト率は84%であった。
比較例3 実施例1で用いたポリブタジエンラテックス200部
(固形分50%)にヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス2部を含有する水溶液900部を加え、これにN−フ
ェニルマレイミド110部、アクリロニトリル87部、
スチレン203部、ラウロイルパーオキシサイド0.5部
およびt−ドデシルメルカプタン2.1部からなる混合液
を添加し、70℃で5時間、ついで80℃で3時間重合
した。
以下、実施例6と同様の操作によりグラフト率67%の
グラフト重合体を得た。
実施例7 実施例1で用いた反応器に重量平均粒径0.21μ、ゲル含
有量85%のブタジエン−スチレン共重合体ラテックス
200部(固形分50%、スチレン含有量15%)を仕
込み、67℃に昇温したのち、それぞれアクリロニトリ
ル11部、スチレン32部およびt−ドデシルメルカプ
タン0.6部からなる混合液ならびに過硫酸カリウム0.5
部、ラウリル硫酸ナトリウム2部および純水50部から
なる水溶液を2時間かけて連続添加した。その後70℃
で2時間重合し、グラフト率19%の予備グラフト体を
得た。
これに硫酸第1鉄0.05部を仕込んだのち、N−フェニル
マレイミド14部、アクリロニトリル13部、スチレン
30部およびt−ドデシルメルカプタン0.2部からなる
混合液ならびにt−ブチルハイドロパーオキサイド0.15
部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部および
純水100部からなる水溶液を3時間かけて連続添加しな
がら67℃で重合した。その後さらに70℃で2時間加
熱した。重合後、硫酸マグネシウムで塩析し、グラフト
率47%のグラフト重合体粉末を得た。
このグラフト重合体粉末35部にN−フェニルマレイミ
ド35部、アクリロニトリル15部、スチレン50部か
らなる三元共重合体65部を混合し、樹脂組成物を得
た。
比較例4 実施例1で使用した反応器に、実施例7で用いたブタジ
エン−スチレン共重合体ラテックス200部、硫酸第1
鉄0.09部および純水50部を仕込み、67℃に昇温した
のち、それぞれN−フェニルマレイミド14部、アクリ
ロニトリル24部、スチレン62部およびt−ドデシル
メルカプタン0.8部からなる混合液ならびにt−ブチル
ハイドロパーオキサイド0.25部、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム3部および純水100部からなる水溶
液を3時間かけて連続添加しながら重合した。その後、
さらに70℃で2時間加熱した。以下実施例7と同様に
してグラフト重合体とN−フェニルマレイミド−アクリ
ロニトリル−スチレン三元共重合体とからなる樹脂組成
物を得た。
以上、実施例1〜7および比較例1〜4で得られたグラ
フト重合体および樹脂組成物をバンバリーミキサーで混
練後、射出成形機にて250℃で成形し、試験片を作製
して物性を測定した。
この結果を第1表に示す。
〈発明の効果〉 本発明の方法によって製造した耐熱性重合体は、非常に
優れた耐衝撃性と加工性のバランスを有し、かつ、高い
抗張力を有す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジエン系ゴム(a−1)と芳香族ビニル化
    合物、不飽和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸ア
    ルキルエステル化合物からなる群より選択された1種以
    上の化合物(a−2)とを乳化グラフト重合してなるグ
    ラフト率1〜25%の予備グラフト体(A)の存在下、
    マレイミド系化合物(B)と芳香族ビニル化合物、不飽
    和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸アルキルエス
    テル化合物からなる群より選択された1種以上の化合物
    (C)とを乳化または懸濁グラフト重合することを特徴
    とする耐熱性重合体の製造方法。
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