JPH0682814A - 液晶デバイス - Google Patents

液晶デバイス

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Publication number
JPH0682814A
JPH0682814A JP25192392A JP25192392A JPH0682814A JP H0682814 A JPH0682814 A JP H0682814A JP 25192392 A JP25192392 A JP 25192392A JP 25192392 A JP25192392 A JP 25192392A JP H0682814 A JPH0682814 A JP H0682814A
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JP
Japan
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liquid crystal
transparent
crystal device
layer
light control
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Application number
JP25192392A
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English (en)
Inventor
Takeo Kakinuma
武夫 柿沼
Minoru Koshimizu
実 小清水
Toru Teshigahara
亨 勅使川原
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反射直視型画像のコントラストが高く、大面
積化が容易で、低い駆動電圧により容易にメモリ性を持
たせることができると共に書換えも短時間で行うことが
でき、その上、光導電性材料による透明基板材料の制約
がなく、安価で且つ安全な柔軟性のある液晶デバイスを
提供することを目的とする。 【構成】 2枚の透明性基板1、1間に調光層3を設
け、この調光層3は、使用環境温度で正の誘電率異方性
を示すスメクチックA相となる液晶と透明重合体とが互
いに3次元的に連結し且つその液晶が透明重合体中にほ
ぼ均一に分散した構造をなしたものであり、さらに、上
記調光層3と片方の透明性基板1との間に、主成分が微
粉末若しくは多孔質アモルファス材料からなる光導電層
6を設けた液晶デバイスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶デバイスに係り、詳
しくは、高解像度で大面積化が容易であってメモリ性の
ある受光型の表示及び記録を行うことができる液晶デバ
イスに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶物質を透明重合体中に分散させて調
光層を形成する液晶デバイス、いわゆるPDLC(Po
lymer Dispersed Liquid Cr
ystal)に積極的にメモリ性を与える初期の試みが
特表昭63−501,512号公報に開示されている。
特に、その実例22には熱電気効果と電気光学効果の双
方の作用を示すPDLCの実施例が示されており、興味
深い。しかしながら、この例ではエポキシ樹脂と液晶M
24(BDH社)からなる26μm厚のPDLCを透明
化させるために熱電気効果の場合には400Vを要し、
電気光学効果の場合には実に1kVを要するというよう
に、この実施例のものは駆動電圧の面からみると高電圧
を必要とするため実用に適さない性能を示している。ま
た、この公報では、特に高分解能の表示や記録を行う液
晶デバイスに関する手段が具体的に示されていない。さ
らに、液晶M24は、常温において固体相又はスメクチ
ックA相以外のスメクチック相(単相転移形)となるた
め、常温では電気光学効果が現れなかったり、メモリ性
の保持が難しいなどの欠点があった。また、より実用的
なものとしては、特開平3−155,525号公報に示
されるメモリ型PDLCデバイスとして使用できる情報
記録媒体がある。この情報記録媒体は、記録の対象にさ
れている情報に対応した強度を有する電界の印加に応じ
た配向状態とされ、かつ、前記した印加電圧が除去され
た状態でも前記の配向状態が保持されるように高分子材
料中に液晶を分散させてなる高分子−液晶メモリ膜を備
えた構成からなり、その高分子−液晶メモリ膜として高
分子マトリクス中にスメクチック相を示す液晶が不定形
に分散しているメモリ膜を用いたものである。
【0003】さらに、この特開平3−155,525号
公報には、上記の構成からなる情報記録媒体の高分子−
液晶メモリ膜に光導電層を積層してなるものも開示され
ている。図5に、スメクチックA相を示す液晶材料を含
むPDLCに、アモルファスシリコンからなる光導電層
を積層した構造のメモリ性情報記録媒体の断面図を示
す。同図において、101は透明性基板、102は透明
導電層、103はスペーサ、104は誘電体鏡、105
は光導電層であり、その透明導電層102と誘電体鏡1
04との間でスペーサ103によって離間された部分に
は、PDLCからなる調光層106が形成されている。
透明基板101としては、ガラス基板、合成樹脂基板な
どが使われている。また、光導電層105としては、無
機光導電層又は有機光導電層の均一単層構造や積層構造
の光導電層が使用されており、特に積層構造の光導電層
としては電荷発生層や電荷移動層などの層を複数積層さ
れた光導電層が採用されている。
【0004】例えば、上記の均一単層構造の光導電層と
しては、アモルファスセレン材料やアモルファスセレン
テルル、アモルファスシリコンなどの無機光導電材料の
薄膜を形成したり、或いは、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化
チタンなどの顔料又はフタロシアニン系キレート錯体、
アゾ、ジアゾ系色素のような光導電性粒子を樹脂バイン
ダ中に分散させてなる光導電性樹脂分散型光導電層や、
ポリビニルカルバゾールなどの光導電性高分子材料に増
感色素を分散又は溶解させた色素増感型光導電層などに
よって構成されたものが使用される。また、積層構造の
光導電層としては、例えば、電荷発生層CGLと電荷輸
送層CTLとを積層させたものが使用される。そこで
は、電荷発生層として、アモルファスセレンやアモルフ
ァスシリコンなどの無機系材料を増感剤を加えて厚さ1
μm程度の薄膜としたもの、或いは、光を吸収して電子
とホールからなる電荷対を発生する色素や顔料を含む高
分子材料からなるものが使用され、また電荷輸送層とし
て、電荷を輸送する電荷輸送剤を高分子材料中に分散又
は溶解させて構成したもの、或いは、電荷輸送能力を有
する高分子材料によって構成したものが使用される。
【0005】以上のような構成を採用することにより、
記録の対象とされている情報に対応する強度を有した電
界を情報記録媒体に印加すると、その情報記録媒体にお
ける高分子膜中に分散されている室温でスメクチック相
を示す液晶は、その印加された電界の強度に応じた配向
状態とされる。そして、その配向状態は印加電界が除去
された後においてもそのまま保持される。このようにし
て、室温でスメクチック相を示す液晶の配向状態として
記録すべき情報が情報記録媒体の高分子−液晶メモリ膜
に記憶されている記録済みの情報記録媒体は、記録の対
象とされている記録情報に対応して光の透過状態(又は
反射状態)を変化させる。このため、情報記録媒体に読
み出し光を投射すると、その読み出し光のうち高分子−
液晶メモリ膜を通過した透過光(又はそのメモリ膜から
の反射光)は、その高分子−液晶メモリ膜に室温でスメ
クチック相液晶配向状態として記録されている情報内容
に応じて光量が変化することになり、それによって、そ
の情報記録媒体に記憶された光学情報が読み出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる構成の液晶デバ
イスは、透明状態と不透明状態の光学的性質(透過率の
変化や反射率の変化)を利用した情報の記録及び読み出
しに利用できるわけであるが、可視画像を直接記録する
にはコントラストが不足しており、特に、直視型の反射
表示を行おうとする場合には極端に低いコントラストと
なってしまう問題があった。また、調光層としてPDL
Cを使った液晶デバイスは、調光層として他の液晶材料
を使った液晶デバイスと比べ、同様の電気光学効果の動
作を行えるようにした場合、それに必要な駆動電圧が一
般的に高くなることが知られている。例えば、調光層と
してスメクチック液晶材料を使った液晶デバイスの典型
的な例では、その駆動電圧は数十kV/cmであるが、
前記特表昭63−501,512号公報に開示されてい
る例ではおよそ400kV/cmであり、前記特開平3
−155,525号公報における例でも250kV/c
mであるように何れの場合も高い電圧が必要とされてい
る。このような駆動電圧が高いという問題を改良しよう
とする液晶デバイス例としては、特開平3−226,7
20号公報に示されるものがある。しかしながら、この
公報には高分子−液晶メモリ体の厚みと印加電圧の双方
について記述や実施例がないため、その公報発明による
駆動電圧の低減効果レベルが明確ではなく、断片的な記
述から判断すると150kV/cm程度まで駆動電圧の
強さを下げることができたものと推察される。
【0007】さらに、前記のようなスメクチックA相を
示す液晶材料を含んだPDLCに積層した光導電層に
は、照射光強度に対して高速のインピーダンス変化が現
れることが要求されるが、従来の有機光導電性材料にお
いてはそのような高速のインピーダンス変化を示すもの
がほとんどなく、一方、無機光導電性材料においては人
体に対する毒性があったり、その破棄処理が困難なもの
が多いという別の問題があった。しかも、特に今日実用
化されている光導電性材料は、一部の無機光導電性材料
を除けば非常に高価であり、その上、前述したように電
気光学効果の動作を行わせるための駆動電圧が一般に高
くなる傾向があるため、その高電圧に耐え得る十分な光
導電層の厚さを確保しようとすると、さらにその材料コ
ストが嵩むという問題もあった。また、従来の機能分離
型の光導電層のように電荷発生層と電荷輸送層とを別々
に積層させて構成した場合には、外部から印加される電
界に対し、その導電特性に極性が生じてしまうため、P
DLCに交流電界が有効に印加されないこととなり、そ
の結果、実際にはPDLCに電気光学効果を起こさせる
のに最低限必要な閾値電界よりもはるかに高い交流電界
を外部から印加しなければならないという問題もあっ
た。
【0008】そして、以上のごとき構成の液晶デバイス
においては、その液晶デバイスに対して行った記録情報
の消去や再記録を繰り返そうとした場合、電気光学効果
によって生じた透明配向状態を加熱手段により液晶が等
方性液体になるまで加熱して再び不透明未配向状態とす
ることが必要であるが、このままの構成では素子全体を
単純に加熱しなければならないため、その加熱のための
余分なエネルギーが必要となり、また加熱後、その液晶
材料がスメクチック相となるまでは再記録が不可能であ
るため再記録可能となるまでに時間がかかってしまうな
どの問題がある。
【0009】そこで、本発明者等によれば、このような
従来の液晶デバイスにおける各種の問題点のうち、反射
直視型画像のコントラストが不充分であることや駆動電
圧が高すぎること等の問題を解決するためには、光導電
層を形成する材料としてアモルファス材料を採用し、且
つ、調光層として、使用環境温度でスメクチックA相と
なる液晶を使用して、その液晶を透明重合体と互いに3
次元的に連結させ且つその液晶が透明重合体にほぼ均一
に分散する微細構造を形成したPDLC調光層を適用す
ることが、好ましい解決手段であることが確認された。
【0010】しかしながら、アモルファス材料を成膜し
て光導電層を形成する場合、その成膜工程には作業環境
温度が高温となるプラズマCVD法を用いなくてはなら
ないために、透明性基板が高熱に耐え得る材質のものに
限定されてしまう問題がある他、アモルファス材料自体
が柔軟性に劣るものであることから液晶デバイス全体を
柔軟性のあるフィルム状の構成にすることができなかっ
たり、アモルファス材料自体がコスト高であること等の
問題があった。このような光導電層材料として通常のア
モルファス材料を採用することによる問題点は、高解像
度で、低電圧駆動で大面積の表示が容易に行え、光によ
りメモリ性を持つ表示や記録が可能で、しかも柔軟性を
持ち得る受光型電子ディスプレイデバイスの実用化の上
で大きな障害となっていた。
【0011】本発明者等は、このような問題点をすべて
解消すべく鋭意研究を重ねた結果、調光層として前記し
た構成のものを2枚の透明性基板間に保持することを前
提条件としたうえで、微粉末若しくは多孔質アモルファ
ス材料を主成分として構成した光導電層を上記の調光層
と片方の透明性基板との間に設けることにより、上記し
た各問題をすべて解決し得る液晶デバイスが得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0012】従って、本発明の目的は、反射直視型画像
のコントラストが高く、大面積化が容易で、低い駆動電
圧により容易にメモリ性を持たせることができると共に
書換えも短時間で行うことができ、その上、光導電性材
料による透明基板材料の制約がなく、安価で且つ安全で
柔軟性のある液晶デバイスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】第一の本発明である液晶
デバイスは、2枚の透明性基板間に調光層を設け、この
調光層は、使用環境温度で正の誘電率異方性を示すスメ
クチックA相となる液晶と透明重合体とが互いに3次元
的に連結し且つその液晶が透明重合体中にほぼ均一に分
散した構造をなしたものであり、さらに、上記調光層と
片方の透明性基板との間に、主成分が微粉末若しくは多
孔質アモルファス材料からなる光導電層を設けたことを
特徴とするものである。
【0014】第二の本発明は、上記の技術的手段におい
て、光導電層が、微粉末アモルファス材料を樹脂バイン
ダ中に分散させて形成したものであることを特徴とする
液晶デバイスである。
【0015】第三の本発明は、同じく上記の技術的手段
において、液晶と透明重合体との間の相分離がほぼ均一
な間隔を保っていることを特徴とする液晶デバイスであ
る。第四の本発明は、上記の技術的手段において、液晶
材料と透明重合体が、その液晶材料と透明重合体を形成
する重合性組成物とが重合反応中にスピノーダル分解を
起こす重量比率に設定されて形成されたものであること
を特徴とする液晶デバイスである。第五の本発明は、上
記第三発明の技術的手段において、液晶材料と重合性組
成物との重量比が60:40〜95:5の範囲内である
ことを特徴とする液晶デバイスである。
【0016】本発明で使用する重合性組成物の一例は、
重合性官能基をもつモノマー及びオリゴマーからなる重
合性化合物と共に、必要に応じて反応開始剤、増感剤、
連鎖移動剤等を含有しているものである。
【0017】本発明で使用し得る重合性化合物として
は、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレ
ン、ビニルトルエン、マレイン酸、イタコン酸、アクリ
ルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトン
アクリルアミド、1,3−ブタジエン等のほか、置換基
としてメチル、エチル、iso−プロピル、tert−
ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、
n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシ
ル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、シクロヘキ
シル、ベンジル、メトキシエチル、ブトシエチル、フェ
ノキシエチル、アルリル、メタリル、ラウリル、グリシ
ジル、2−ヒドロキシエチル等の基を有するアクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸等や、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタ
エリストール等のモノ(メタ)アクリル酸エステル、又
はポリ(メタ)アクリル酸エステルや、酢酸ビニル、酪
酸ビニル又は安息香酸ビニルや、アクリロニトリル、ア
セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジ
アリルフタル酸、ジアリルイソフタル酸、2−,3−又
は4−ビニルピリジンや、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメ
チルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルアクリル
アミド及びそれらのアルキルエーテル化合物や、ネオペ
ンチルグリコール又は1,6−ヘキサンジオール1モル
に2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキ
サイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチ
レオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して
得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA1モルに2モル以上のエチレンオキサイ
ド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオー
ルのジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート1モルとフェニルイソシアネート
若しくはn−ブチルイソシアネート1モルとの反応生成
物や、ジペンタエリストールのポリ(メタ)アクリレー
ト、長鎖脂肪酸ジアクリレート、脂肪族トリアクリレー
ト、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステル
ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデ
カンジメチロールジアクリレート、トリス(アクリルオ
キシエチル)イソシアヌレート、ポリオレフィン変性ネ
オペンチルグリコールジアクリレート等を挙げることが
できる。
【0018】このうち好ましいものは、(メタ)アクリ
ル系二重結を2個以上有するものであり、例えば、ポリ
プロピレングリコールジアクリレート、長鎖脂肪族ジア
クリレート、ペンチルグリコール・ポリプロピレングリ
コール変性ジアクリレート、ポリオレフィン変性ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、トリシクロデカンジメチロール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、トリス(アクリオキシエステ
ル)イソシアヌレート及びカプロラクトン変性ヒドロキ
シピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリ
レートである。
【0019】また、本発明において使用し得る重合開始
剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュ
ア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア18
4」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製
「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール
(チバ・ガイギー社製「イルガキュア61」)、2−メ
チル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モル
ホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキ
ュア907」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日
本化薬社製「カヤキュアDETX」)、p−ジメチルア
ミノ安息香酸、(日本化薬品社製「カヤキュアEP
A」)、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキン
ソップ社製「カンタキュアITX」)等が挙げられ、こ
のうち、液晶材料との相溶性の面から、液状である2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−
オンが特に好ましい。
【0020】さらに、本発明において必要に応じて使用
し得る増感剤としては、n−ブチル、ジ−n−ブチルア
ミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチ尿素、s
−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネ
ート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタク
リレート、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。ま
た、連鎖移動剤の好適例としては、例えば、ブタンジオ
ールジチオプロピネート、ペンタエリストールテトラキ
アス(β−チオプロピネート)、トリエチレングリコー
ルジメルカプタン等が挙げられる。
【0021】一方、本発明において使用し得る液晶材料
は、使用環境温度で正の誘電率異方性を示すスメクチッ
クA相となる液晶であって、上記重合性組成物と相溶性
のあるものであることが必要であり、好ましくはこの液
晶の濃度が60重量%以上となるように重合性組成物と
相溶するものである。
【0022】このような液晶材料としては、具体例には
市販の液晶材料、例えば、BDH社製S1(K−SA
5、SA−N:40、N−I:43)、S2(K−SA
−1、SA−N:48、N−I:49)、S2C(K−
A:3、SA−N:45、N−I:48.1〜48.
3)、S3(K−SA:0、SA−N:54.8〜55.
0、N−I:58.7〜61.8)、S4(K−SA
0、SA −N:53.6〜54.2、N−I:55.
2〜57.2)、S5(K−SA:1、SA−N:55.
5〜55.7、N−I:57.5〜61.0)、S6
(K−SA:16.1、SA−N:58.9〜59.2、
N−I:59.5〜60.0)、S7(K−SA:1
2.1、SA−N:56.0〜56.1、N−I:5
6.7〜57.4)等を適宜選択して使用することがで
き、また、Eastman Kodak社製コレステリ
ルエルケイト(Cholesteryl Erucat
e)(K−S:45℃、S−I:50℃)、N−(p−
シアノベンジリデン)−p−オクチロキシアニリン(C
BOA)(K−S2:73℃、S2−S1:83℃、S
1 −I:107℃)、N,N’−ビス(4−オクチロ
キシベンジリデン)−p−フェニレンジアミン(OOB
PD)(K−S:113℃、S−S:143℃、150
℃、155℃、164℃、203℃、S−I:231
℃)、ジエチル−4,4’−アゾキシジベンゾエート
(K−S:113℃、S−I:123℃)及びリチウム
ステアレート(K−S:140℃、S−I:174℃)
等や、BDH社製K24(K−SA:21.5、SA
N:33.5、N−I:40.5)、K27(K−
A:42、SA−N:48、N−I:49.5)、K3
0(K−SA:44、SA−I:50.5)、K36(K
−S:48、S−I:58.5)、M24(K−SA
54.5、SA−N:67、N−I:80)、M27
(K−SA:64、SA−N:77.5、N−I:8
0)、M30(K−SA:59.5、SA−I:84)、
M33(K−SA:71.5、SA−I:87.5)及び
M36(K−SA:70、SA−I:90)等の液晶材料
を適宜混合して使用してもよく、必要に応じてカイラル
な成分を添加してもよい。
【0023】本発明においては、2枚の透明性基板の隙
間に、スメクチック液晶材料と重合性組成物との混合溶
液を充填させ、等方性液相に保ちながら重合性組成物を
重合させることにより、その液晶と透明重合体とが3次
元的に相互に連結し且つその液晶が透明重合体にほぼ均
一に分散した微細構造を形成させている。
【0024】その透明性基板としては、例えば、ガラス
板、プラスチックフィルム等を挙げることができ、好ま
しくは透明で電気絶縁性のあるポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエーテルサルホン、ポリスチレン等のフィル
ムである。また、その透明性基板は、液晶デバイスを電
界で駆動する場合、それぞれの基板内面に電極を形成す
る必要がある。本発明においては、後述するようなアモ
ルファスシリコンなどの光導電性材料と組み合せること
により無毒で安全な材料により良好な光書き込み特性を
得ることができる。良く知られているように、アモルフ
ァスシリコン系感光体は、一般にシランを主原料とした
反応ガスのグロー放電分解により製作される。グロー放
電分解法による性膜(プラズマCVD)装置としては主
に容量結合型が使われる。このような装置による製膜段
階においては、透明性基板が200〜300℃の温度に
熱せられる。従って、アモルファスシリコン系感光体を
用いる場合には、その透明性基板として200〜300
℃の温度に耐え得るポリイミド系の樹脂材料などを利用
する必要がある。
【0025】このような光導電層形成材料としてアモル
ファス材料を適用することにより発生する透明性基板材
質の制約は、特に、アモルファス材料として微粉末アモ
ルファス材料を使用することにより解消される。すなわ
ち、微粉末アモルファス材料は樹脂バインダと混合すれ
ば、光導電層を通常の塗布手段により形成することがで
きる。そのため、光導電層の形成時に透明性基板が従来
品のように高熱下に晒されないため、その基板材質とし
て特に耐熱性のものを使用する必要性がなくなるのであ
る。
【0026】また、スメクチック液晶材料と重合性組成
物との混合溶液は、その前者と後者との重量比が60:
40〜95:5の割合で、液晶の濃度が60重量%以上
となるように混合したもの、好ましくはその重量比が7
5:25〜90:10の割合となるように混合したもの
がよい。この重量比がこれらの比率範囲を外れると、液
晶が連続した形で分離し難くなり、連続した状態で分散
する透明重合体の強度が不足するなどの問題が生じる。
これは、換言すれば、後述するようなスピノーダル分解
による相分離がなされなくなるのである。また、外部か
ら基板を通して交流電界を印加しPDLCを電気光学効
果により透明化させるときに、その液晶に印加される実
効値を小さくしないためにも、上記範囲内の重量比とな
るように設定することが必要である。
【0027】上記混合溶液を2枚の基板間に介在させる
には、この混合溶液を2枚の基板間に注入して行うこと
もよいが、一方の基板上にスピンナやバーコータ等の塗
工手段を使用して予め塗布し、次いで、その塗工面側に
他方の基板を重ねて行ってもよい。
【0028】このようにして液晶を形成する液晶材料と
透明重合体を形成する重合性組成物との混合溶液を2つ
の基板間に介装した後、この混合溶液を等方性液体状態
に保ちながら混合溶液中の重合性組成物を重合させる。
この混合溶液が等方性液体状態の場合、重合性化合物と
液晶材料とは相溶しており、液晶分子が溶液中に均一に
溶解している。また、混合溶液を等方性液体状態に保つ
には、混合溶液における液晶材料と透明重合体の分離点
と液晶材料における等方性液体への転移点との間の温度
範囲に維持すればよく、実際には使用する液晶材料や重
合性化合物の種類、これら液晶材料と重合性組成物の配
合重量比等により異なるが、通常、N−I転移温度〜N
−I転移温度−30℃の温度範囲内で重合性組成物を重
合させるのがよい。N−I転移温度とは液晶相が現れる
最高温度である。
【0029】さらに、上記重合の条件として、スピノー
ダル分解が起こるようにしたほうが良い。図2は、ある
2成分系の相変化を示す平衡状態図、いわゆる相図を模
式的に示したものである。横軸が重量比、縦軸が温度を
示す。図中、実線で示した曲線が溶解度ギャップ曲線で
あり、点線で示した曲線がスピノーダル曲線である。一
般に、その溶解度ギャップ曲線の下側領域では相の変化
が起こるが、そのメカニズムはスピノーダル曲線の下側
領域と、図中に斜線で示した溶解度ギャップ曲線とスピ
ノーダル曲線の間の領域とでは大きく異なる。すなわ
ち、スピノーダル曲線の下側の領域では、スピノーダル
分解と呼ばれるメカニズムで相分離が一気に起きてしま
う。それに対し、斜線で示される準安定領域ではいわゆ
る核の生成と成長による相分離が生ずるのである。さ
て、スピノーダル分解の場合には、その相分離は一定の
間隔を保ち相互に連結したランダムなパターンとなる。
これは、スピノーダル分解の場合、相分離初期に生じた
局所的な濃度のゆらぎが増幅されながら相分離が進行す
るため系に一定の波長の波が生じ、相分離がこの波の波
長に応じてランダムではあるが一定の間隔を保たれて起
こるためと考えられている。これに対し、核の生成と成
長を伴ったメカニズムで生じる相分離では、その相分離
は一定の間隔となるとは限らない。実際の液晶材料と透
明重合体を形成する重合性組成物との系は、一成分系で
はなく複雑な液晶相を示すため、液晶成分を一つの成分
と見なし重合性組成物をもう一つの成分と見なさなけれ
ばならず、その結果、その平衡状態図は図2ほど単純な
ものではなくなる。
【0030】液晶材料と透明重合体を形成する重合性組
成物との系を、図2中に示すA地点の濃度及び温度条件
に保った場合、重合性組成物が重合性化合物を形成する
間(重合反応が進む間)に、重合性組成物の分子量は次
第に増大するため、平衡状態図における溶解度ギャップ
曲線及びスピノーダル曲線は図中の矢印方向へ移動し、
その臨界温度が使用環境温度よりも高くなり、液晶材料
と透明重合体は分離する。温度条件を、混合溶液におけ
る液晶材料と透明重合体との分離点と液晶材料における
等方性液体への転移点との間の温度に維持した場合、臨
界濃度は重合前の重合性組成物と液晶材料との平衡状態
図にあらわれる臨界濃度とほぼ等しくなる。従って、重
合前の重合性組成物と液晶材料との平衡状態図を調べる
ことにより、スピノーダル分解が確実に起こる臨界濃度
に近い濃度を予測することができる。一方、図2中に示
すB地点にあたる濃度及び温度に保った場合、重合性組
成物が重合性化合物形成する初期の段階においてはスピ
ノーダル分解は期待できない。
【0031】スピノーダル分解が起こる組成にすること
は、液晶と透明重合体との間の相分離が一定の間隔に保
たれ相互に連結したランダムなパターンにするという意
味で重要である。一般に、ネマチック液晶を用いたPD
LCにおいて電気光学効果が起こる閾値電圧は、相分離
の間隔が大きければ大きいほど下がることが知られてい
る。これは、液晶と樹脂の間の相互作用が近距離相互作
用であるため、樹脂から離れた位置にある液晶が樹脂壁
面からの相互作用を受けにくくなるためと解釈されてい
る。従って、相分離の間隔が一定でその間隔が極端に大
きいところや極端に小さいところが生じなければPDL
C内での電気光学効果の閾値電圧のばらつきが小さくな
るため、PDLC全体として鋭い閾値の立ち上がり特性
が期待できる。それに対し、相分離の間隔が不均一で相
分離の間隔が極端に大きいところや極端に小さいところ
が生じた場合、PDLC内での電気光学効果の閾値電圧
のばらつきが大きくなるため、PDLC全体として閾値
の立ち上がり特性は鈍くなだらかになる。このような現
象を本発明者等は、スメクチック液晶を用いたPDLC
において見い出している。すなわち、スピノーダル分解
は相分離を一定の間隔に保ち相互に連結したランダムな
パターンにするため、このスピノーダル分解が起こる組
成により形成したスメクチック液晶を用いたPDLCに
よれば、上記の理由により、電気光学効果の鋭い閾値の
立ち上がり特性が得られるのである。
【0032】また、スピノーダル分解が起こる組成とす
ることは、相分離を一定の間隔に保ち相互に連結したラ
ンダムなパターンにできるため、これにより、例え液晶
に対する樹脂の重量比が小さくなったとしても、PDL
C全体に十分な強度や柔軟性を持たせることができると
いう意味においても重要である。
【0033】重合性組成物を重合硬化させるには、通
常、一定強度の紫外線や電子線を照射するが、この他加
熱したり、或いは必要に応じてこれら紫外線、電子線及
び加熱を適宜組み合わせて適用してもよい。この重合性
組成物を介装する基板としてのガラス板、プラスチック
フィルム等は、短波長の紫外線を透過し難いため、その
重合のためには300〜350nmの比較的長波長の紫
外線を照射するのが好ましい。また、紫外線を照射する
時には、一定強度の紫外線を基板面に対して均一に照射
することが好ましい。さらに、紫外線は一度だけ照射し
ても、或いは数回に亘って繰り返し照射してもよい。
【0034】このような紫外線照射によって透明性重合
体と液晶とが均一に3次元的に相互連結した微細構造を
形成させることができる。この微細構造(における3次
元的な網目)の大きさは、透明状態での光散乱の効率を
上げるために0.4〜2.0μmの範囲であるのが良
い。この大きさが0.4μm未満であるとその散乱波長
が可視光線より短波長となり、反対に2.0μmを越え
るとその散乱波長が可視光線より長波長となるため、好
ましくない。
【0035】さらに、本発明において光導電層の形成材
料として使用するアモルファス材料は、微粉末状若しく
は多孔質状のアモルファススな材料が使用され、好まし
くは微粉末アモルファス材料である。微粉末アモルファ
ス材料としては、例えば、水素化アモルファスシリコ
ン、水素化アモルファスシリコンゲルマニウム、水素化
アモルファスシリコンカーバイド、水素化アモルファス
シリコンナイトライドなど、或いは、これらの水素の一
部をフッ素で置換したものなどである。また、多孔質ア
モルファス材料としては、例えば、多孔質化処理を施し
た水素化アモルファスシリコン、水素化アモルファスシ
リコンカーバイド、水素化アモルファスシリコンナイド
ライド等が挙げられる。特に、アモルファスシリコン系
材料は、ホール並びに電子のドリフト移動速度が速く
(ホールで10-3〜10-7cm/V・s、電子で1.0
〜10-2cm/V・s)、アモルファスカルコゲナイド
系材料や硫化カドミウム等の他の光導電性材料と比べて
無公害である等の点で優れている。
【0036】光導電層は、多孔質アモルファス材料を使
用する場合には、その材料を成膜した後にエッチング等
による多孔質化処理を施す方法等によって形成する。ま
た、微粉末アモルファス材料を使用する場合には、例え
ば、その微粉末材料を、シリコン系樹脂バインダ若しく
はポリカーボネートニスチリルピラリゾンを加えた混合
樹脂バインダに混合分散させ、必要に応じて、各種の増
感剤、例えば無機では銅、リチウム、ガリウム、有機で
は2,4,6−トリニトロフルオレノンなどをドープま
たは添加したものを、ソルベントキャスト法やスプレー
コート法等の塗工手段にて塗布形成する。この微粉末ア
モルファス材料と樹脂バインダの混合比率は、重量比で
1:1〜1:5程度が好ましい。この混合比率から外れ
る場合には、光導電度の不足、光導電層のひび割れ発生
等の問題が生じる。
【0037】微粉末アモルファスシリコン系材料は、例
えば、シランの100%ガスを加熱して200〜300
°Cの温度に保ち、5〜20torrの圧力下で平行電
極間に20〜50Wの高周波電圧を印加してグロー放電
分解させることにより得られる。この微粉末材料の粒径
は一次粒子径で0.1μm前後であることが望ましい。
【0038】このような形態のアモルファス材料を使用
して上記のごとき手法により光導電層を形成することに
より、従来のような透明性基板の材質に係る制約はなく
なり、安価で柔軟性のある液晶デバイスを構成すること
が可能となる。なお、光導電層の一部として、ブロッキ
ング層やオーバーコート層などの機能層を設けても良
い。
【0039】なお、本発明の液晶デバイスには、その基
板上にセグメント電極、ドットマトリックス電極、加熱
用電極等を設けたり、その表示面上に紫外線カットフィ
ルター、光表面反射防止膜等を取り付けたり、その画素
部又は表示部全体にカラーフィルタを取り付けたり、或
いは、液晶材料(調光層)に近接又は隣接した部分に光
吸収層を設けてもよく、また、液晶材料や透明重合体に
色素を添加してもよい。
【0040】また、本発明の液晶デバイスによれば、ス
メクチックA相となる温度においては記録された画像の
保持が可能であるので、大容量のメモリデバイスとして
も利用可能である。
【0041】
【作用】本発明の液晶デバイスは、使用環境温度で正の
誘電率方性を示すスメクチックA相となる液晶と透明重
合体とが互いに3次元的に連結し且つその液晶が透明重
合体中にほぼ均一に分散した微細構造を形成してなる調
光層を、複数の透明性基板間に保持して構成しているた
め、その複数の透明性基板を介して外部から交流電界を
印加した場合には透明となり、加熱冷却した場合には不
透明となるコントラストの高い反射型画像表示が行える
光変調メモリデバイスとして機能する。
【0042】また、本発明の液晶デバイスにおける表示
・記録動作の原理は、従来の同種のものと共通である
が、特に、調光層を液晶と透明重合体とが互いに3次元
的に連結し且つその液晶が透明重合体中にほぼ均一に分
散した微細構造を形成させるように構成したことによ
り、電気光学効果の鋭い閾値の立ち上がり特性が得られ
る。この理由は以下のように考えられる。すなわち、ま
ず、液晶と透明重合体とが互いに3次元的に連結し且つ
その液晶が透明重合体中にほぼ均一に分散した微細構造
を形成した場合、その相分離の間隔がほぼ一定となる。
そして、前記したように、ネマチック液晶を用いたPD
LCにおいて電気光学効果が起こる閾値電圧は、相分離
の間隔が大きければ大きいほど下がる事が知られてお
り、これは、液晶と樹脂の間の相互作用が近距離相互作
用であるため、樹脂から離れた位置にある液晶が樹脂壁
面からの相互作用を受けにくくなるためと解釈されてい
る。従って、以上のことから、調光層が上記の如き微細
構造をなし、その相分離の間隔がほぼ一定となるため、
相分離の間隔の粗なる部分と相分離の間隔の密なる部分
とが存在することにより生じる、PDLC内での電気光
学効果の閾値電圧のばらつきを小さくすることができ、
これによってPDLC全体として鋭い閾値の立ち上がり
特性が得られるものと考えられる。また、以上のことか
ら、この効果は液晶と透明重合体との間の相分離の間隔
をほぼ均一にすることにより、より確実に顕著に得られ
ることが容易に理解される。
【0043】また、本発明の液晶デバイスは、透明性基
板として柔軟性のあるプラスチックフィルム材料を使用
することにより、デバイス全体に柔軟性を持たせること
ができる。これは、液晶と透明重合体とが上記のごとき
特定の微細構造を形成してなる調光層が、液晶の流出や
配向変化を防ぐ自己保持能力を持っていることに相まっ
て得られる本発明特有の効果である。
【0044】また、微粉末若しくは多孔質アモルファス
材料(特に微粉末アモルファスシリコン系材料)からな
る光導電層を調光層と透明性基板の間に設けることによ
り、毒性を示す材料を使用することなしに、高速で、高
分解能の光による2値記録、並びに2値画像記録を達成
することができる。特に上記の如き2値記録並びに2値
画像記録が実現されるのは、この光導電層の露光による
局所的なインピーダンス変化が、調光層の対応する部分
への局所的な交流印加が可能となるためである。しか
も、光導電層を特に微粉末アモルファス材料を樹脂バイ
ンダ中に分散したものにて構成することにより、透明性
基板の材料に関して耐熱性等の制約を与えることなし
に、安価で柔軟性のある液晶デバイスの提供が可能とな
る。
【0045】さらに、液晶材料と透明重合体を形成する
重合性組成物との重量比を60:40〜95:5の範囲
となるように特定し、その重合性組成物を重合させる際
にスピノーダル分解をさせることにより、低い駆動電圧
で鋭い閾値特性を示す電気光学効果が達成される。これ
は、液晶と透明重合体とが前記の如き微細構造を形成し
てなる調光層がたやすく得られるという理由と、その液
晶の重量比を上げることにより、外部からの印加電圧に
対して液晶部分に印加される交流実効値の割合を高くす
ることができるという理由によるものである。また、低
い駆動電圧で鋭い閾値特性を示す電気光学効果を実現で
きたために、光導電層の厚みを薄くすることが可能とな
り、低コストの液晶デバイスとすることもできる。
【0046】このように、本発明の液晶デバイスの構成
を採用することにより、反射直視型画像のコントラスト
や分解能が高く、低い印加電圧で容易に画像メモリ性を
持たせることができると共に書換えが短時間で行え、柔
軟性があり、しかも、コストが安い液晶デバイスを提供
することができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明の一実施例を示す液晶
デバイスの概略断面図である。図中、1は透明性基板、
2は透明電極層、3は調光層、4は調光層3を構成する
液晶−透明重合体層(PDLC)、5は調光層3を構成
するスペーサ、6は光導電層をそれぞれ示す。
【0048】この液晶デバイスは、例えば、次のように
して製造される。まず、2枚の透明性基板1、1の内側
の面にそれぞれスパッタリング法によりITO透明電極
2を形成する。次いで、その一方の基板1のITO透明
電極2上にアモルファスシリコン系材料を樹脂バインダ
に所定割合で調合した混合溶液を、適宜塗工手段により
塗布して光導電層6を形成する。次いで、光導電層6を
形成した基板1の光導電層6面と、前記ITO透明電極
2のみを形成した他方の基板1の透明電極2面の間をス
ペーサ5により一定の間隔に保つようにして、その隙間
部分に液晶と重合性組成物とを所定割合で調合した混合
溶液を挿入する。しかる後、透明性基板面全体に均一に
紫外線を照射して重合性組成物を重合せしめて、前記し
た如き特定の微細構造からなる液晶−透明重合体層4を
形成せしめて調光層3を形成することにより、液晶デバ
イスが得られる。なお、図中、右側は書き込み側であ
り、例えばハロゲンランプ等により像露光を行なわれ
る。また、左側は読み出し側であり、被露光領域のPD
LCが透明化することが目視により確認される。読み出
し側から得られた画像はメモリ性があり、透明電極2の
間の交流電圧の印加を取り除いた後も保持される。
【0049】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。 実施例1 図1に例示した構成の液晶素子で次のようにして作成し
た。まず、シランの100%ガスを加熱して200〜3
00°Cの温度に保ち、5〜20torrの圧力下で平
行電極間に20〜50Wの高周波電圧を印加してグロー
放電分解させて水素化アモルファスシリコン微粉末を得
た。この水素化アモルファスシリコン微粉末を、シリコ
ン系樹脂バインダに重量比で1:1の比率で混合し、こ
の混合液をソルベントキャスト法により、50mm×5
0mm×125mmサイズのITOガラス板(東レ製、
ハイビーム12L−BL22)からなる透明製基板1の
ITO透明電極2上に塗布し、厚さ約10μmの光導電
層6を形成した。一方、液晶材料としてシアノビフェニ
ル系スメクチック液晶混合物(BDH社製「S1」)8
0重量%を使用し、重合性組成物として重合性化合物の
アクリル酸−2−エチルヘキシル(関東化学製)11.
6重量とウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセル・
ユーシービー社製「エベクリル204」)8重量%と重
合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン(メルク・ジャパン社製「ダロキュ
ア1173」)0.4重量%との混合物を使用し、この
液晶材料と重合性組成物の他に、さらにスペーサとして
平均粒径8μmのガラス球(積水ファインケミカル社
製、ミクロパールSP208)を少量加え、これらを超
音波洗浄器で混合した後、脱気して混合溶液を調製し
た。この得られた混合溶液は均一で透明であり、液晶材
料と重合性組成物とが完全に溶解していることが確認さ
れた。次いで、この混合溶液を、図示のように上記光導
電性層6を形成したITOガラス板1と該層6を形成し
ていない同じITOガラス板1との間に注入した後、I
TOガラス全体を25°Cに保ち、そのITOガラス全
体に均一にブラックランプ光源から波長360nm程度
の紫外線を照射して重合性組成物の重合反応を行った。
数秒の紫外線照射により、ITOガラス全面が均一に白
濁不透明状態になった液晶デバイスが得られた。このよ
うにして得られた液晶デバイスは、その電極間隔が8μ
mであり、また、2つの透明電極2の間に150Vrm
s(100Hz)の交流電圧を印加しながらハロゲンラ
ンプにより図中の書き込み側から像露光を行った結果、
被露光領域が透明化することが図中の読み出し側から目
視により確認された。この得られた画像はメモリ性があ
り、透明電極2間への印加電圧を解除した後も保持され
た。さらに、その画像のコントラストも良好であり、4
00ドット/インチ 以上の分解能があることも確認さ
れた。
【0050】実施例2 実施例1と同じ条件で調合した混合溶液を、共に光導電
層6を形成してしない50mm×50mmのITOガラ
ス(コーニング7059)からなる2枚の透明性基板1
間に注入し、実施例1と同様にして紫外線照射を行い、
ITOガラス全面が均一に白濁不透明状態になった液晶
デバイスが得た。このようにして得られた液晶デバイス
は、その電極間隔が8μmであり、また、ハロゲンラン
プを光源として使用して調光層中の液晶の配向前及び配
向後における光透過率を調べた結果、スメクチックA相
の白濁状態での光透過率は15%であり、スメクチック
相で100Vrms(100Hz)の交流電圧を印加し
て配向させた後の透明状態での光透過率は84%であっ
た。また、2枚のガラス基板の間に形成された調光層の
断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、3次元的な
網目の大きさが1〜1.3μmである均一な3次元微細
構造をなしていることが認められた。
【0051】実施例3 透明性基板1としてITOガラスに代えてポリイミドフ
ィルムを使用した以外は実施例1と同様の条件及び製造
手順で液晶デバイスを作成した。得られた液晶デバイス
は、実験例1のものと同様の画像表示動作を示したが、
実験例1のものに比べ、デバイス全体の重量が大幅に軽
減され、しかも柔軟性があるため、携帯性や操作性の面
で優れた特性を示すものであった。
【0052】実施例4 液晶材料としてシアノビフェニル系スメクチック液晶混
合物(BDH社製「S2」)を使用し、重合性化合物と
して1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化
薬社製「カヤラッドHDDA])を使用した。まず、こ
の両材料による平衡状態図を作成した。それを図3に示
す。この図中の上方に凸となる部分を有する曲線は溶解
度ギャップ曲線であり、この曲線の頂点より、液晶材料
における臨界温度は8°Cで、その臨界濃度は液晶78
重量%となることがわかる。このことから、上記液晶材
料(S2)のN−I転移温度49°Cとその臨界温度8
°Cとの間の温度に保ちながら重合性組成物を重合し、
液晶材料(S2)と重合性組成物(カヤラッドHDDA
など)との混合溶液からスピイノーダル分解により相分
離を行わせしめるためには、その液晶材料を78重量
%、重合性組成物を11.6重量%の割合で使用すれば
よいことが予測できる。そして、上記の割合の液晶材料
と重合性組成物からなる混合溶液には、さらに重合開始
剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン(メルク・ジャパン社製「ダロキュア
1173」)0.4重量%と、スペーサとして平均粒径
10μmのガラス球(積水ファインケミカル社製ミクロ
パールSP210)を少量加え、これらを超音波洗浄器
で混合した後、脱気して混合溶液を調製した。得られた
混合溶液は均一で透明であり、液晶材料と重合性化合物
とが完全に溶解していることが確認された。次いで、こ
の混合溶液を50mm×50mmのITOガラス板(コ
ーニング7059)の間に注入した後、ITOガラス全
体を25℃に保ち、そのガラス全体に均一にブラックラ
ンプ光源から波長360nm程度の紫外線を照射して重
合性組成物の重合反応を行った。数秒の紫外線照射によ
り、ITOガラス全面が均一に白濁不透明状態になった
液晶デバイスが得られた。
【0053】得られた液晶デバイスの電気光学特性を調
べるために、その印加電圧と光透過率の関係を図4に示
した。図中の左側で立ち上がる曲線は本実施例のもので
あり、図中の右側で立ち上がる曲線は本発明と同様に1
0μmの厚みをからなる従来の液晶デバイスによるもの
である。図4の結果から、本実施例の液晶デバイスにお
ける閾値電圧は70Vrmsであるのに対し、従来の液
晶デバイスにおける閾値電圧は250Vrmsであるこ
とが読み取れ、これにより、本実施例の方が圧倒的に透
明化に必要な駆動電界が小さくて済むことがわかる。ま
た、本実施例による液晶デバイスの断面を走査型電子顕
微鏡で観測した結果、PDLCよりなる調光層が、スピ
ノーダル分解による相分離が成されたことを示す、液晶
と透明重合体とが互いに3次元的に連結し且つ液晶が透
明重合体にほぼ均一に分散し、しかも相分離の間隔もほ
ぼ一定である微細構造が形成されてていることが確認さ
れた。このような駆動電圧の低い液晶デバイスは、実施
例1で例示したような光導電層と組み合せて構成した場
合、光導電層の厚みを薄くできるため、コストを低く抑
えられるという利点がある。
【0054】
【発明の効果】本発明の液晶デバイスは、使用環境温度
で正の誘電率方性を示すスメクチックA相となる液晶と
透明重合体とが互いに3次元的に連結し且つ液晶が透明
重合体にほぼ均一に分散した微細構造を形成してなる調
光層を複数の透明性基板間に保持した構成としたため、
その複数の透明性基板を介して、低い駆動電圧による外
部からの交流電界の印加により透明状態となり、加熱冷
却により不透明状態になり、そのコントラストも高い反
射型画像表示が行える光変調メモリデバイスを得ること
ができる。なお、この効果は上記調光層における液晶と
透明重合体との間の相分離間隔が一定であるとより確実
且つ顕著となる。また、この液晶デバイスは透明性基板
として柔軟性のある樹脂フィルム材料を使用することに
より、デバイス全体に柔軟性を持たせることができる。
【0055】また、微粉末若しくは多孔質アモルファス
材料を主成分とする光導電層を上記調光層と透明性基板
の間に設けることにより、毒性を示す材料を使用するこ
となしに、高速で、高分解能の光による2値記録、並び
に2値画像記録を達成することができる。しかも、光導
電層を特に微粉末アモルファス材料を樹脂バインダ中に
分散したものにて構成することにより、透明性基板の材
料に関して耐熱性等の制約を与えることなしに、安価で
全体として柔軟性のある液晶デバイスの提供が可能とな
る。
【0056】さらに、この液晶デバイスは、液晶液晶材
料と透明重合体を形成する重合性組成物との重量比を6
0:40〜95:5の範囲内に特定し、重合性組成物を
重合させる際にスピノーダル分解を生じせしめることに
より、低い駆動電圧で鋭い閾値特性を示す電気光学効果
が得られる。しかも、低駆動電圧で鋭い閾値特性を示す
電気光学効果が実現できるため、光導電層を設ける場
合、その層厚みを薄くすることができ、低コスト化が図
れる。
【0057】以上のように本発明によれば、反射直視型
画像のコントラストや分解能が高く、低い印加電圧で容
易に画像メモリ性を持たせることができ、書換えが短時
間で行え、しかも、光導電層材料による基板材料に制約
を与えることなしに安価で柔軟性のある液晶デバイスを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す液晶デバイスの概略
断面図である。
【図2】 スピノーダル分解を説明するための平衡状態
図である。
【図3】 実施例4で使用する液晶材料と重合性化合物
とにおける平衡状態図である。
【図4】 実施例4で得られた液晶デバイスと従来品と
における電気光学特性を示すための印加電圧と光透過率
の相関図である。
【図5】 従来の液晶デバイスを示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1…透明性基板、3…調光層、4…液晶−透明重合体層
(PDLC)、6…光導電層。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の透明性基板間に調光層を設け、こ
    の調光層は、使用環境温度で正の誘電率異方性を示すス
    メクチックA相となる液晶と透明重合体とが互いに3次
    元的に連結し且つその液晶が透明重合体中にほぼ均一に
    分散した構造をなしたものであり、さらに、上記調光層
    と片方の透明性基板との間に、主成分が微分粉末若しく
    は多孔質アモルファス材料からなる光導電層を設けたこ
    とを特徴とする液晶デバイス。
  2. 【請求項2】 上記光導電層が、微粉末アモルファス材
    料を樹脂バインダ中に分散させて形成したものである請
    求項1記載の液晶ディバイス。
  3. 【請求項3】 上記液晶と透明重合体との間の相分離が
    ほぼ均一な間隔を保っている請求項1記載の液晶デバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 上記液晶材料と透明重合体が、その液晶
    材料と透明重合体を形成する重合性組成物とが重合反応
    中にスピノーダル分解を起こす重量比率に設定されて形
    成されたものである請求項1記載の液晶デバイス。
  5. 【請求項5】 上記液晶材料と重合性組成物との重量比
    が60:40〜95:5の範囲内である請求項4記載の
    液晶デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010205635A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Ushio Inc 希ガス蛍光ランプ

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