JPH06167723A - 液晶表示素子、表示媒体、表示素子および表示装置 - Google Patents

液晶表示素子、表示媒体、表示素子および表示装置

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JPH06167723A
JPH06167723A JP34101892A JP34101892A JPH06167723A JP H06167723 A JPH06167723 A JP H06167723A JP 34101892 A JP34101892 A JP 34101892A JP 34101892 A JP34101892 A JP 34101892A JP H06167723 A JPH06167723 A JP H06167723A
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JP34101892A
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Yoshi Toshida
嘉 土志田
Kazuo Yoshinaga
和夫 吉永
Gakuo Eguchi
岳夫 江口
Retsu Shibata
烈 柴田
Ryoji Fujiwara
良治 藤原
Koichi Sato
公一 佐藤
Toshiichi Onishi
敏一 大西
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光透過率が向上した液晶表示素子を提供す
る。ヒステリシスの発生の少ない良好な画質の表示を
行なうことが可能な表示媒体を提供する。 【構成】 電極を有する基板間に高分子支持体中に低
分子液晶化合物を分散した表示層を挟持してなる液晶表
示素子において、電極層と前記表示層との間に電極層の
屈折率よりも小さく、表示層の屈折率よりも大きい屈折
率を有する薄膜層を設けてなる液晶表示素子。ポリマ
ーマトリックス中に重量分率で70%以上の低分子液晶
を分散してなる表示層を、少なくとも一方の基板に透明
電極を有する基板間に挾持してなる表示媒体において、
前記低分子液晶の広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲
り(K33)の弾性定数の和が下記(I)式の関係である
表示媒体。 【数1】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I)
(NはKgmS-2を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の第一の発明は、ポリマー
支持体中に液晶が分散され、電圧印加により透過光を制
御する液晶表示素子に関するものである。
【0002】本発明の第二の発明は、透過光と散乱光を
用いる熱光学および電気光学表示媒体、表示素子および
表示装置に関し、特に画質にムラのない表示を行なう表
示媒体、表示素子および表示装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
○本発明の第一の発明の従来の技術 従来の液晶素子としては、ツイステッドネマチック液晶
を用いた液晶素子や、これら従来型の液晶素子の応答性
の欠点を改善するものとして、強誘電性液晶を用いた表
示素子が知られている。しかしながら、これらの液晶素
子を大面積化するためには工程が煩雑になったり、技術
上の問題が多かった。また、これらの液晶素子は偏光板
を必要とするために、光の利用率が低いという問題があ
った。
【0004】○本発明の第二の発明の従来の技術 液晶素子は、過去に種々の熱光学および電気光学ディス
プレイ等の用途に用いられてきた。これらのディスプレ
イは、駆動電圧が低く、消費エネルギーも少ないために
現在もなお活発に研究が進められている。
【0005】従来の液晶素子としては、例えばエム・シ
ャット(M.Schadt)とダブリュー・ヘルフリッ
ヒ(W.Helfrich)著“アプライド・フィジッ
クス・レターズ”(“Applied Physics
Letters”)第18巻、第4号(1971年2
月15日発行)第127頁〜128頁の“ボルテージ・
ディペンダント・オプティカル・アクティビィティー・
オブ・ア・ツイステッド・ネマチック・リキッド・クリ
スタル”(“Voltage Dependent O
ptical Activity of a Twis
ted Nematic liquid Crysta
l”)に示されたツイステッド・ネマチック(twis
ted nematic)液晶を用いたものが知られて
いる。このTN液晶は画素密度を高くしたマトリクス電
極構造を用いた時分割駆動の時、クロストークを発生す
る問題点があるため、画素数が制限されていた。
【0006】この様な従来型の液晶素子の欠点を改善す
るものとして、双安定性を有する液晶素子の使用が、ク
ラーク(Clark)およびラガウェル(Lagerw
all)により提案されている(特開昭56−1072
16号公報、米国特許第4367924号明細書等)。
双安定性を有する液晶としては、一般にカイラルスメク
ティックC相(Sm* C)またはH相(Sm* H)を有
する強誘電性液晶が用いられる。
【0007】この強誘電性液晶(FLC)は、自発分極
を有するために非常に速い応答速度を有する上に、メモ
リー性のある双安定状態を発現させることができる。さ
らに、視野角特性もすぐれていることから、大容量、大
面積のディスプレイ用材料として適していると考えられ
る。しかし、実際に液晶セルを形成する場合、広い面積
にわたってモノドメイン化することは困難であり、大画
面の表示素子を作るには技術上の問題があった。
【0008】大面積化に適したものとして考えられる高
分子液晶を用いた液晶表示素子の例としては、例えばブ
ィ・シバエフ(V.Shibaev)、エス・コストロ
ミン(S.Kostromin)、エヌ・プラーテ
(N.P′late)、エス・イワノフ(S.Iva
ov)、ブィ・ヴェストロフ(V.Vestrov)、
アイ・ヤコブレフ(I.Yakovlev)著の“ポリ
マー・コミュニケーションズ”(“Polymer C
ommunications”)第24巻、第364頁
〜365頁の“サーモトロピック・リキッドクリスタリ
ン・ポリマーズ.14”(“Thermo−tropi
c Liquid CrystallinePolym
ers.14”)に示される熱書き込み素子を挙げるこ
とができる。
【0009】しかしながら、この方式では書き込みに高
エネルギーが必要であり、高速化に対して問題があっ
た。また、電界を用いて表示する場合において、高分子
化に伴う応答速度の遅れという問題もあって実用化には
至っていない。
【0010】上記に示した例以外にも、液晶素子を容易
に作成し大型化する試みが行なわれている。その1つと
して、低分子液晶を種々の重合体マトリックス中に保持
して用いるものがある。その具体例として、低分子液晶
をポリビニルアルコールマトリックス中にカプセル化し
て用いるものとしてマンチェスターR&Dパートナーシ
ップにより出願されたものが知られている(米国特許第
4435047号)。また、連結した管状に低分子液晶
を保持したものとして米国特許第4707080号が知
られている。
【0011】また、重合性モノマーと低分子液晶を混合
分散し、その後重合することにより、低分子液晶を重合
体マトリックス中へ分散する方法として、特開昭63−
271233号公報、特表昭61−502128号公
報、特開平1−198725号公報等が知られている。
【0012】その他の方法としては、高分子化合物と液
晶を共通溶媒に溶解し、基板上にキャストする方法が報
告されている。(T.Kajiyama,Y.Naga
ta,S.Washizu and M.Takaya
nagi;J. Membrace Sci.11,3
9(1982))これらは大面積化が比較的容易であ
り、応答速度もマネチック・コレステリックの高分子液
晶に比較して良好である特徴を有している。
【0013】このような高分子分散型液晶を表示素子と
して用いた表示装置としては、米国特許第461320
7号等が知られており、偏光抜の不要な明るい表示装置
としての可能性が開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
○本発明の第一の発明が解決しようとする課題 上記の様な液晶素子に対し、コレステリック液晶を使用
した相転移形液晶表示素子やネマチック液晶の動的散乱
効果を利用した表示素子は、偏光板が不要なことから光
の利用率が高く、視野角が広い点で優れている。しかし
ながら、これらの表示素子は高い駆動電圧を必要とした
り、大面積の表示素子を作成する際の素子化が難しいと
いう問題点があった。
【0015】上記の問題点に関し、ファーガソンによっ
て提案されたネマチック液晶のカプセルを応用した表示
素子(公表特許昭58−501631号)や、エポキシ
樹脂中に液晶小滴を分散した光変調物質(公表特許昭6
1−502128号)が提案されており、これらは大面
積化の点で有利であるが、駆動電圧が高いという点で問
題があった。
【0016】また、光硬化性化合物を支持体として利用
した液晶表示素子(特開昭63−271233号公報,
特開昭63−278036号公報,特開平1−1987
25号公報等)が提案され、この液晶表示素子は大面積
化が容易で、しかも駆動電圧の低減化が計られている。
【0017】このようなポリマー分散型液晶表示素子
は、光源の光利用率が従来の液晶方式のものに比較して
高いために明るく、シュリーレン光学系と組み合わせる
ことにより十分なコントラスト比が得られ、またシステ
ム構成もシンプルであるという利点を有している。
【0018】このような液晶表示素子は、例えば2枚の
対向する透明電極付き基板間に上記の液晶をポリマー支
持体中に分散した素子を挟持し、両電極間に電圧を印加
するような層構成の積層体からなる。電界の無印加時
は、液晶はランダムな配列であるため入射光は散乱され
て不透明状態であり、電界の印加時は液晶は電界方向に
配列し、液晶の常光屈折率と支持体の屈折率が近けれ
ば、入射光は透過し透明状態となる。
【0019】上記の透明電極は通常ITO(Indiu
m tin oxide)の薄膜が広く使用されてい
る。この透明電極とポリマー分散型液晶素子(PDL
C)層は直接接するか或いは接着剤層を介した積層構成
となっている。
【0020】透明電極の屈折率は1.7程度であるた
め、PDLC層の屈折率は通常(1.5程度)であるた
めに、両者の屈折率の差が大きく、この界面における界
面反射を低減して光透過率を向上させることが必要であ
った。
【0021】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、液晶をポリマー支持体中に分
散した素子と透明電極層との間に光透過率を向上させる
ための薄膜層を設けることにより、光透過率が向上した
液晶表示素子を提供することを目的とするものである。
【0022】○本発明の第二の発明が解決しようとする
課題 しかしながら、上記従来例では、高いコントラストを得
るためには、表示素子における表示層を厚くする必要が
あるために駆動電圧が高くなる欠点があった。また、そ
の両者を満足させるために、液晶の含有率を高める等の
改良も試みられているが、ヒステリシス(印加電圧の昇
圧過程と降圧過程での透過率に差が生じる現象)の増加
が生じる問題点があった。
【0023】本発明は、このような従来技術の欠点を改
善するためになされたものであり、低分子液晶の含有率
を高くしたときに発生しやすいヒステリシスの増加によ
る画質の低下を防ぐことにより良好な画質の表示を行な
うことが可能な表示媒体、表示素子および表示装置を提
供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
○本発明の第一の発明の課題を解決するための手段 即ち、本発明の第一の発明は、電極を有する基板間に高
分子支持体中に低分子液晶化合物を分散した表示層を挟
持してなる液晶表示素子において、電極層と前記表示層
との間に電極層の屈折率よりも小さく、表示層の屈折率
よりも大きい屈折率を有する薄膜層を設けてなることを
特徴とする液晶表示素子である。
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
よれば、電極を有する基板間に高分子支持体中に低分子
液晶化合物を分散した表示層を挟持してなる液晶表示素
子において、該高分子支持体と低分子液晶化合物の異常
光に対する屈折率ne もしくは常光に対する屈折率n0
のいずれかが等しいものを用いることにより、大面積で
コントラストの良好な表示を行なうようにしたものであ
る。
【0026】以下、図面を用いて本発明について更に詳
しく説明する。図1は本発明の液晶表示素子の一例を示
す断面図である。同図において、基板101,101′
はガラス,プラスチック等を用いることができる。基板
として用いることができるポリマーフィルムには、下記
に示すようなものが挙げられるが、これらに限定される
ものではない。
【0027】すなわち、低密度ポリエチレンフィルム、
高密度ポリエチレンフィルム(三井東圧化学 ハイブロ
ン等)、ポリプロピレンフィルム(東レ トレファン
等)、ポリエステルフィルム(デュポン マイラー
等)、ポリビニルアルコールフィルム(日本合成化学工
業 ハイセロン等)、ポリアミドフィルム(東洋合成フ
ィルム レイファン等)、ポリカーボネートフィルム
(帝人 テイジンパンライト等)、ポリイミドフィルム
(デュポン KAPTON等)、ポリ塩化ビニルフィル
ム(三菱樹脂 ヒシレックス等)、ポリ四ふっ化エチレ
ンフィルム(三井フロロケミカル テフロン等)、ポリ
アクリルフィルム(住友ベークライト スミライト)、
ポリスチレンフィルム(旭ダウ スタイロシート)、ポ
リ塩化ビニリデンフィルム(旭ダウ サランフィル
ム)、セルロースフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム
(デュポン テドラー)等が挙げられる。
【0028】基板上には、電極102,102′を形成
するが、該電極には、ITO,SnO2 等の透明電極や
Al,Au,Ag,Cu,Cr等の金属膜が用いられ
る。なお、反射型表示素子としては、電極と反射層を兼
ねていてもよい。
【0029】更に、電極の上に表示層103を形成する
が、このような表示層の形成方法としては、連続気孔を
有する高分子多孔体中に液晶材料を含浸させる方法、高
分子支持体と低分子液晶との混合物を基板上に塗工後相
分離させる方法、熱硬化性または紫外線硬化性樹脂と液
晶との混合物を基板上に塗布後、加熱または紫外線照射
して重合、硬化させ低分子液晶を相分離させて分散させ
る方法を挙げることが出来る。
【0030】上記の高分子を支持体としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレ
ン共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化
エチレン−プロピレン共重合体、ポリアリレート、ポリ
スルホン、セルロース、ポリエーテルケトン等が挙げら
れる。
【0031】また、前述の高分子多孔体は例えば下記に
示すような方法により製造される。まず、界面活性剤や
有機溶媒等の被溶出物質を含有する高分子を製膜した
後、被溶出物質を溶出させる方法、高分子粒子を焼結又
は成形して該粒子間の空隙を微孔とする方法、フィルム
をエンボスしてから延伸したり、結晶性フィルムを段階
的に延伸して孔を生成する方法、放射線を利用してポリ
マーを損傷させ溶媒でエッチングし微孔をあける方法等
が挙げられる。
【0032】本発明において用いられる表示層の厚み
は、通常0.5〜100μmであり、0.5μm未満で
はコントラストが十分でなく、100μmを越えると駆
動電圧が大きいために高速駆動が困難となる。より好ま
しくは、1〜50μmの厚さが用いられる。
【0033】本発明の液晶表示素子においては、表示層
に高分子支持体中に低分子液晶化合物を分散したものが
用いられる。このとき、表示層においては、高分子支持
体は連続したマトリックスを形成し、低分子液晶化合物
は島状もしくは管状となり分散している。島もしくは管
の径は、0.1〜10μmが好ましい。島もしくは管の
径が0.1〜10μmの範囲以外の場合では、散乱効率
が悪く十分なコントラストが得られない。より好ましく
は、0.3〜3μmで用いられる。
【0034】上記の表示層は、高分子支持体と低分子液
晶化合物の種類や比率によって屈折率が異なるが、光透
過時の表示層の屈折率は概ね1.5〜1.6程度であ
り、表示層と透明電極層との間に設ける薄膜層は両者の
中間の屈折率を有するものを使用するのが好ましい。
【0035】このような薄膜層は、一層又は複数層設け
ることが出来、例えば、一酸化珪素,二酸化珪素,酸化
アルミニウム,ジルコニア,フッ化マグネシウム,酸化
セリウム,フッ化セリウム,シリコン窒化物,シリコン
炭化物,ホウ素窒化物などの無機絶縁物質やポリビニル
アルコール,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリエス
テルイミド,ポリパラキシリレン,ポリエステル,ポリ
カーボネート,ポリビニルアセタール,ポリ塩化ビニ
ル,ポリアミド,ポリスチレン,セルロース樹脂,メラ
ミン樹脂,ユリア樹脂やアクリル樹脂などの有機絶縁物
質を用いて被膜形成して配向制御膜としても良い。
【0036】この配向制御膜は、前述の如き無機絶縁物
質又は有機絶縁物質を被膜形成した後に、その表面をビ
ロード、布や紙で一方向に摺擦(ラビング)することに
よって得られる。
【0037】本発明の別の好ましい具体例では、SiO
やSiO2 などの無機絶縁物質を基板の上に斜め蒸着法
によって被膜形成することによって配向制御膜を得るこ
とができる。
【0038】また、別の具体例ではガラス又はプラスチ
ックからなる基板の表面あるいは基板の上に前述した無
機絶縁物質や有機絶縁物質を被膜形成した後に、該被膜
の表面を斜方エッチング法によりエッチングすることに
より、その表面に配向制御効果を付与することができ
る。
【0039】前述の配向制御膜は、同時に絶縁膜として
も機能させることが好ましく、このためにこの配向制御
膜の膜厚は一般に100Å〜1μm、好ましくは500
Å〜5000Åの範囲に設定することができる。この絶
縁層は表示層3に微量に含有される不純物等のために生
ずる電流の発生を防止できる利点をも有しており、従っ
て動作を繰り返し行っても液晶化合物を劣化させること
がない。
【0040】また、そのような薄膜層として接着剤層を
一層又は複数層設けたり、また接着剤層中に屈折率の分
布を付けるような方法、例えば微粒子状の屈折率調整物
質を分散させて密度分布を形成させる等の方法により形
成することも好ましい。これらの接着剤層は、表示層を
形成後、前記接着剤層を設けて一体化する方法、表示層
に液晶材料を分散又は含浸する前に高分子支持体とのみ
接着させる方法等の液晶表示素子の作成に適した方法に
より形成される。前記高分子支持体は単独で用いること
も、2種以上を混合もしくは共重合して使用することも
可能である。
【0041】本発明に用いられる表示層中の高分子支持
体の割合は、通常10〜60wt%で用いられる。10
wt%未満では強度が低下して大面積化することが困難
となり、60wt%を越えるとコントラストが十分には
とれなくなるために好ましくない。より好ましくは、高
分子支持体の割合は20〜50wt%で用いられる。
【0042】次に、具体的に用いられる低分子液晶化合
物の構造を以下に示すが、これに限定されるものではな
い。
【0043】
【化1】
【0044】
【化2】
【0045】
【化3】
【0046】
【化4】
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】本発明の液晶表示素子において、加熱によ
る効果を用いて表示を行なう場合は、サーマルヘッドや
レーザー光を用いることが出来る。
【0056】レーザー光としては、He−Neガスレー
ザー,Ar2+ガスレーザー,N2 ガスレーザー等のガス
レーザーや、ルビーレーザー,ガラスレーザー,YAG
レーザー等の固体レーザーや、半導体レーザー等を用い
ることが望ましい。また、600nm〜1600nmの
波長範囲の半導体レーザーが好ましく用いられる。特に
好ましくは600〜900nmの波長範囲の半導体レー
ザーが用いられる。また、これらのレーザー光の第2高
調波、第3高調波を用いれば短波長化が可能となる。
【0057】レーザー光を用いる場合は、光吸収層を別
途設けるか、もしくは表示層中にレーザー光吸収化合物
を分散・溶解して用いられる。表示面に光吸収層もしく
は光吸収化合物の影響が出る場合は、可視光域に吸収の
ないものが望ましい。
【0058】液晶層へ添加するレーザー光吸収化合物の
例としては、アゾ系化合物、ビスアゾ系化合物、トリス
アゾ系化合物、アンスラキノン系化合物、ナフトキノン
系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン
系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、アミニ
ウム塩系化合物、ジイモニウム塩系化合物、金属キレー
ト系化合物等がある。
【0059】前記のレーザー光吸収化合物のうち半導体
レーザー用化合物は近赤外域に吸収をもち、安定な光吸
収色素として有用であり、かつ液晶化合物に対して相溶
性もしくは分散性がよい。また、中には二色性を有する
ものもあり、これら二色性を有する化合物を液晶中に混
合すれば、熱的に安定なホスト−ゲスト型のメモリー及
び表示媒体を得ることもできる。また液晶化合物中には
上記の化合物が二種類以上含有されていてもよい。
【0060】また、上記化合物と他の近赤外吸収色素や
2色性色素を組み合せてもよい。好適に組み合せられる
近赤外吸収色素の代表的な例としては、シアニン、メロ
シアニン、フタロシアニン、テトラヒドロコリン、ジオ
キサジン、アントラキノン、トリフェノジチアジン、キ
サンテン、トリフェニルメタン、ピリリウム、クロコニ
ウム、アズレンおよびトリフェニルアミン等の色素が挙
げられる。
【0061】なお、液晶化合物に対する上記化合物の添
加量は重量%で、0.1〜20%程度、好ましくは、
0.5〜10%がよい。
【0062】○本発明の第二の発明の課題を解決するた
めの手段 即ち、本発明の第二の発明は、ポリマーマトリックス中
に重量分率で70%以上の低分子液晶を分散してなる表
示層を、少なくとも一方の基板に透明電極を有する基板
間に挾持してなる表示媒体において、前記低分子液晶の
広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性
定数の和が下記(I)式の関係であることを特徴とする
表示媒体である。
【0063】
【数4】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
【0064】また、本発明の第二の発明は、ポリマーマ
トリックス中に重量分率で70%以上の低分子液晶を分
散してなる表示層を、少なくとも一方の基板に信号電極
と走査電極を有し、更に能動素子を画素毎に有する基板
間に挾持してなる表示素子において、前記低分子液晶の
広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性
定数の和が下記(I)式の関係であることを特徴とする
表示素子である。
【0065】
【数5】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
【0066】さらに、本発明の第二の発明は、光源から
の光を3原色に分離し、該3原色を電極を有する基板間
にポリマーマトリックス中に低分子液晶を分散してなる
表示層を有し、該低分子液晶の広がり(K11)、ねじれ
(K22)、曲り(K33)の弾性定数の和が下記(I)式
の関係である表示素子へ投射する手段、該表示素子に電
圧を印加し駆動する手段、該表示素子に投射した光のう
ち透過光と散乱光を分離する手段、該3原色の透過光を
同一スクリーンへ投射する手段を有することを特徴とす
る表示装置である。
【0067】
【数6】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
【0068】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
よれば、ポリマーマトリックス中に低分子液晶を分散し
てなる表示層を、少なくとも一方の基板に透明電極を有
する基板間に挾持してなる表示媒体において、前記低分
子液晶の広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲り
(K33)の弾性定数の和が下記(I)式の関係とするこ
とにより、前記低分子液晶の含有率が重量分率で70%
以上とした場合においても、ヒステリシスの少ない、良
好な画質の表示を可能としたものである。
【0069】
【数7】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I)
【0070】以下、図面を用いて本発明の第二の発明に
ついて更に詳しく説明する。図2は本発明の表示素子の
一例を示す断面図である。同図において、基板201,
201′はガラス,プラスチック等を用いることができ
る。基板として用いることができるポリマーフィルムに
は、下記に示すようなものが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0071】すなわち、低密度ポリエチレンフィルム、
高密度ポリエチレンフィルム(三井東圧化学 ハイブロ
ン等)、ポリプロピレンフィルム(東レ トレファン
等)、ポリエステルフィルム(デュポン マイラー
等)、ポリビニルアルコールフィルム(日本合成化学工
業 ハイセロン等)、ポリアミドフィルム(東洋合成フ
ィルム レイファン等)、ポリカーボネートフィルム
(帝人 テイジンパンライト等)、ポリイミドフィルム
(デュポン KAPTON等)、ポリ塩化ビニルフィルム(三
菱樹脂 ヒシレックス等)、ポリ四ふっ化エチレンフィ
ルム(三井フロロケミカル テフロン等)、ポリアクリ
ルフィルム(住友ベークライト スミライト)、ポリス
チレンフィルム(旭ダウ スタイロシート)、ポリ塩化
ビニリデンフィルム(旭ダウ サランフィルム)、セル
ロースフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン
テドラー)等が挙げられる。
【0072】基板上には、電極202,202′を形成
するが、該電極には、ITO,SnO2 等の透明電極や
Al,Au,Ag,Cu,Cr等の金属膜が用いられ
る。なお、反射型表示素子としては、電極と反射層を兼
ねていてもよい。
【0073】更に、電極の上に表示層203を形成する
が、表示層203を形成するには、接着層を介するか、
もしくは直接に多孔質ポリマーマトリクス204を積層
し、その後に低分子液晶205を分散させることによっ
て行なうことができる。
【0074】用いられる表示層の厚みは、通常0.5〜
100μmであり、0.5μm未満ではコントラストが
十分でなく、100μmを越えると駆動電圧が大きいた
めに高速駆動が困難となる。より好ましくは、1〜50
μmの厚さが用いられる。
【0075】本発明の表示素子においては、表示層20
3には多孔質ポリマーマトリクス204に低分子液晶2
05を含浸させてなる表示材料が用いられる。
【0076】このとき、表示層においては、多孔質化し
たフィルムは連続したマトリックスを形成し、低分子液
晶は島状もしくは管状となり分散している。島もしくは
管の径は、0.1〜10μmが好ましい。島もしくは管
の径が0.1〜10μmの範囲以外の場合では、散乱効
率が悪く十分なコントラストが得られない。より好まし
くは、0.5〜5μmで用いられる。
【0077】本発明における延伸により多孔質化した高
分子フィルムとしては、例えばポリエチン,ポリプロピ
レン,ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリテトラ
フルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン等が用いられ
るが、十分な多孔質化を行なうためには、重量平均分子
量は通常50000以上のものが用いられる。5000
0未満では気孔率が高い状態まで多孔質化したときに強
度が十分でなく、安定な特性が得られないため好ましく
ない。
【0078】本発明においては、低分子液晶との界面に
おいて、気孔の表面エネルギーが25dyn/cm以下
のフィルム状多孔質材料を用いることにより、低分子液
晶はその界面に対して良好な垂直配向性を示すことも可
能である。無電界状態では、球状もしくは管状の界面に
対して垂直配向するために低分子液晶は配向にひずみが
生じ、その結果良好な散乱状態を実現できる。この状態
のものへ電圧を印加すると、低分子液晶は基板に対して
一様に配向し透明な状態となる。
【0079】さらに、電圧を除去すると、フィルム状多
孔質材料の界面が良好な垂直配向規制力を有しているこ
とにより、すみやかに初期の散乱状態が回復する。この
とき垂直配向力が良好で安定していることから、ヒステ
リシスのない良好なしきい値特性を示すことができる。
【0080】また、延伸により高分子化合物が微細化
し、低分子液晶に十分な配向の乱れを誘起し、かつ電圧
印加時に良好な透過性を付与することが可能である。
【0081】本発明において、多孔質フィルムとしては
無機材料としてセラミックスやガラス等を用いることが
可能であるが、より好ましくは高分子化合物が用いられ
る。
【0082】高分子化合物を多孔質化する方法として
は、液体等へ分散して行なう方法、プレポリマー・モノ
マー等から重合相分離によって行なう方法、他の高分子
化合物・無機物・液体等を分散し、フィルム化したのち
抽出除去して多孔質化する方法、延伸等の力学的方法に
より多孔質化する方法、繊維情・粒子状の高分子化合物
を成形して多孔質化する方法等がある。
【0083】重合相分離により多孔質ポリマーマトリッ
クスを形成する方法としては、低分子液晶と重合性組成
物の混合物へ重合開始剤を加え、熱や光により重合を行
なうものが用いられる。
【0084】重合性組成物としては重合性モノマーもし
くは重合性オリゴマーが挙げられ、重合によりポリマー
マトリックスを形成する。そのような重合性モノマーと
しては、例えばスチレン、クロロスチレン、α−メチル
スチレン、ジビニルベンゼン:置換基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘ
キシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、
オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエ
チル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、アルリル、
メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒ
ドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル等の
ごとき基を有するアクリレート、メタクリレート又はフ
マレート:エチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、トリメチロール等のモノ(メタ)アクレリート
又はポリ(メタ)アクリレート1モルとの反応生成物、
ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、
トリス−(ヒドロキシチエル)−イソシアヌル酸のポリ
(メタ)アクリレート、トリス−(ヒドロキシエチル)
−りん酸のポリ(メタ)アクリレート、ジ−(ヒドロキ
シエチル)−ジシクロペンタジエンのモノ(メタ)アク
リレート又はジ(メタ)アクリレート等を挙げることが
できる。
【0085】また、重合性オリゴマーとしては、エポキ
シアクリレート、エポキシメタクリレート及びその変性
体、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリ
レート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレー
ト、ジアクリル変性ポリアミド、ジアクリル変性ポリエ
ステル、不飽和ポリエステル、ポリアクリル変性トリア
ジン系樹脂、ポリアクリル変性ポリエステル等が挙げら
れる。
【0086】重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製
「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジル
ジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア
651」)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フ
ェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイ
ギ−社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチル
チオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDET
X」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬
社製「カヤキュアEPA」との混合物、イソプロピルチ
オキサントン(ワードプレキンソップ社製「タンタキュ
ア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルと
の混合物等が挙げられる。
【0087】更に高分子化合物を延伸等の力学的方法に
より多孔質化する方法は、生成した多孔質ポリマーマト
リックスの機械的強度が高く、かつ不純物等も少ないこ
とから好ましい。
【0088】しかしながら、本発明の表示媒体において
多孔質ポリマーマトリックスの屈折率と低分子液晶の電
界応答時の屈折率は一致していることが好ましいが、前
記屈折率の一致はポリマーマトリックスの気孔率が高い
場合にはそれほど重要でなくなるために、ポリマーマト
リックスと液晶の種類を自由に選択することが可能とな
る。このような気孔率の高いポリマーマトリックスの製
造方法としては、延伸による多孔質化が適している。
【0089】低分子液晶の含有率を高めるために重要な
気孔率(%)の測定は、比重既知の液体を含浸させたと
きの重量Xと、多孔質フィルムのみのときの重量Yよ
り、下記の式(1)から求められる。
【0090】
【数8】
【0091】本発明において、多孔質フィルムは非相溶
の低分子液晶と組み合わせて用いられる。多孔質フィル
ムの気孔率は80〜98vol%、好ましくは90〜9
5vol%の範囲で用いられる。80vol%未満では
駆動電圧が高くなりやすく好ましくない。また、98v
ol%を超えると強度が十分でないために製造が困難で
あり、また耐久性、耐熱性等も低く劣化しやすい。即
ち、低分子液晶の体積分率は80%〜90%、好ましく
は90%〜95%の範囲で用いられる。
【0092】本発明の表示媒体において、多孔質ポリマ
ーマトリックスの屈折率と低分子液晶の電界応答時の屈
折率(n0 :液晶の常光屈折率)は一致していることが
好ましい。しかしながら、低分子液晶の重量分率が70
%以上の本発明の表示媒体であれば、散乱の効果のほと
んどが低分子液晶自体の配向の乱れによって生じてお
り、多孔質ポリマーマトリックスと低分子液晶との屈折
率差はそれほど重要でなくなる。
【0093】本発明で用いられる表示素子におけるヒス
テリシスの定義を図5に基づき説明すると、同図におい
て、ヒステリシスは下記の式で表わされる値である。
【0094】
【数9】 T:立上り時の変化率50%の透過率値 △T:立上り時の変化率50%と同電圧のおける立下り
時の透過率の増加分
【0095】従来のポリマーマトリックス中へ70wt
%低分子液晶を分散した表示媒体においては、低分子液
晶の電界応答によって前記ヒステリシスが30〜60%
と非常に大きく発生していた。これは、低分子液晶の分
率を増加させることによってポリマーマトリックスの径
が減少し、強度が低下し動きやすい部分や固定が十分で
ない部分や更には粒状となっているポリマーマトリック
スが存在していることによると考えられる。
【0096】このような部分が低分子液晶の電界応答に
より機械的な力を受け移動することによって電圧の上昇
と下降で異った挙動となり大きなヒステリシスを示して
いる。このような原因に対して、本発明は低分子液晶の
広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性
定数の和を小さくし、ポリマーマトリックスへの機械的
な力を低減することによってヒステリシスを低減するこ
とが可能なことを見い出した。
【0097】特に弾性定数の和が下記式(I)で表わさ
れるように40×10-12 N以下である低分子液晶を用
いることでヒステリシスが改善された。
【0098】
【数10】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I)
【0099】本発明において、低分子液晶の広がり(K
11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性定数は、そ
れぞれP.G.de Gennes“The Phys
ics of Liguid Crystal”(Ox
ford Univ.Press,1975)p61〜
63によって定義された値を意味する。
【0100】なお、低分子液晶の広がり(K11)、ねじ
れ(K22)、曲り(K33)の弾性定数は、“H.Gru
ler、T.J.Scheffer and G.Me
ier:Z.Naturforsh、27a(197
2)966”に示される方法によって測定される。
【0101】前記の測定法は、磁場によって弾性定数を
求めるものであるが、簡便には電場を用いて“岡野光治
・小林駿介共編、液晶基礎編、p217以下の記載(培
風館)”に記載されている方法で測定することも可能で
ある。
【0102】次に、図3に本発明の表示素子における電
圧印加用の信号線、走査線、能動素子、画素電極の配置
を表わす平面図を示す。同図において、能動素子208
としては、MIM構造等を有する非線形素子や薄膜ダイ
オード、薄膜トランジスタが用いられる。テレビ等の高
階調性の表示を示なうためには能動素子として薄膜トラ
ンジスタを用いることが好ましい。
【0103】本発明の表示素子においては、各画素電極
202' 毎に能動素子208が形成されていることが望
ましい。この能動素子により、所定の電圧が信号線20
6を通して画素電極へ供給され、on−offや階調表
示が行なわれる。
【0104】本発明の表示素子において、加熱による効
果を用いて表示を行なう場合は、サーマルヘッドやレー
ザー光を用いることが出来る。レーザー光としては、H
e−Neガスレーザー,Ar2+ガスレーザー,N2 ガス
レーザー等のガスレーザーや、ルビーレーザー,ガラス
レーザー,YAGレーザー等の固体レーザーや、半導体
レーザー等を用いることが望ましい。また、600nm
〜1600nmの波長範囲の半導体レーザーが好ましく
用いられる。特に好ましくは600〜900nmの波長
範囲の半導体レーザーが用いられる。また、これらのレ
ーザー光の第2高調波、第3高調波を用いれば短波長化
が可能となる。
【0105】レーザー光を用いる場合は、光吸収層を別
途設けるか、もしくは表示層中にレーザー光吸収化合物
を分散・溶解して用いられる。表示面に光吸収層もしく
は光吸収化合物の影響が出る場合は、可視光域に吸収の
ないものが望ましい。
【0106】表示層へ添加するレーザー光吸収化合物の
例としては、アゾ系化合物、ビスアゾ系化合物、トリス
アゾ系化合物、アンスラキノン系化合物、ナフトキノン
系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン
系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、アミニ
ウム塩系化合物、ジイモニウム塩系化合物、金属キレー
ト系化合物等がある。
【0107】前記のレーザー光吸収化合物のうち半導体
レーザー用化合物は近赤外域に吸収をもち、安定な光吸
収色素として有用であり、かつ低分子液晶に対して相溶
性もしくは分散性がよい。また、中には二色性を有する
ものもあり、これら二色性を有する化合物を低分子液晶
中に混合すれば、熱的に安定なホスト−ゲスト型のメモ
リー及び表示媒体を得ることもできる。
【0108】また、低分子液晶中には上記の化合物が二
種類以上含有されていてもよい。
【0109】また、上記化合物と他の近赤外吸収色素や
2色性色素を組み合せてもよい。好適に組み合せられる
近赤外吸収色素の代表的な例としては、シアニン、メロ
シアニン、フタロシアニン、テトラヒドロコリン、ジオ
キサジン、アントラキノン、トリフェノジチアジン、キ
サンテン、トリフェニルメタン、ピリリウム、クロコニ
ウム、アズレンおよびトリフェニルアミン等の色素が挙
げられる。
【0110】なお、低分子液晶に対する上記化合物の添
加量は重量%で、0.1〜20%程度、好ましくは、
0.5〜10%がよい。
【0111】次に、図4は本発明の表示素子を用いた表
示装置の一例を示す説明図である。同図はシュリーレン
光学系を用いたフルカラー投射型表示装置を示す。同図
において、光源ユニット301からの白色光は、ダイク
ロイックミラー302,302′,302″によりR,
G,Bの3原色に分類される。分離された光は、シュリ
ーレン光学系304,304′,304″によって表示
素子303,303′,303″へ投写される。このと
き表示素子は表示素子駆動装置307により電圧が印加
され駆動される。この表示素子は単純マトリックスや非
線形素子を用いたものも用いられるが、より好ましくは
各画素毎にスイッチを有するTFTタイプのものが表示
コントラスト,応答速度,階調表示の点で優れている。
【0112】ここで、非選択画素は白濁状態となり、入
射光を散乱し、選択点は入射光を透過する。この透過光
をダイクロイックプリズム305によって合成し、表示
素子303,303′,303″を通過したのち、投写
ンンズ306によってスクリーンへ投写したところ良好
なフルカラー画像が得られた。
【0113】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に
説明する。
【0114】○本発明の第一の発明の実施例 実施例1 1.1mm厚のガラス基板にITO(屈折率1.8)を
2000Åの厚さに蒸着した基板に、エポキシ系接着剤
(硬化後の屈折率1.64)を塗布し、その上に住友電
気工業(株)製:フロロポアFP−500(膜厚60μ
m、平均孔径1μm)をラミネートし、熱硬化させるこ
とにより接着した。
【0115】次に、同じ接着剤を用いて、同様のITO
付きガラス基板を貼り合わせてセル構造とした。このセ
ルを減圧し、毛管法によりEメルク社製ネマチック液晶
ZLI−2008を含浸注入した。
【0116】このセルの上下基板間へ100V,60H
zの矩形波を印加したところ、電圧ONで透明状態、電
圧OFFで白濁状態となり、透明状態の透過率はWラン
プを光源に用いて測定すると34%であり、コントラス
トは20:1であった。このとき、表示層の平均屈折率
(透明時)は1.57前後と見積られた。
【0117】実施例2 ITO透明電極付PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルム(40μm厚、東レ製マイラー)へ、ポリ
メタクリル酸メチル50wt%と低分子液晶(メルク社
製、Z−1625)50wt%の1,2−ジクロロエタ
ン溶液を塗布して乾燥し、表示層の厚み16μmのフィ
ルムを得た。
【0118】次に、前述と同様のPETフィルムのIT
O面に実施例1と同様の熱硬化性エポキシ樹脂を薄く塗
布したものを、前記表示層を塗布したPETフィルムと
重ね合わせて150℃のプレスロールを通過させること
により透明な基板を得た。
【0119】この基板の上下電極へ、20V,100H
zの矩形波を印加したところ、電圧ONで透明状態、電
圧OFFで白濁状態となり、実施例1と同様に測定した
透過率は76%であり、コントラストは25:1であっ
た。このとき、表示層の平均屈折率(透明時)は1.5
8前後と見積られた。
【0120】比較例1 実施例1において、接着剤をアクリル系接着剤(硬化後
の屈折率1.52)に代えた以外は同様にして作成した
セルにEメルク社製ネマチック液晶ZLI2008を含
浸注入した。このセルの上下基板間に100V,60H
zの矩形波を印加したところ、電圧ONで透明状態、電
圧OFFで白濁状態となり、透明状態の透過率はWラン
プ光源を用いて測定すると27%であり、コントラスト
は10:1であった。
【0121】比較例2 実施例2において、接着剤を比較例1と同様のものに代
えた以外は同様にして液晶表示素子を作成した。実施例
2と同様に電圧を印加したところ、透過率は70%であ
り、コントラストは15:1であった。
【0122】○本発明の第二の発明の実施例 実施例3 1.1mm厚のガラス基板にITO透明電極を500Å
の厚さに蒸着した基板(松崎真空(株)製)をガラスフ
ァイバースペーサ(PF−100S:日本電気硝子
(株)製)を混合したエポキシ系接着剤(三井東圧
(株):ストラクトボンドEH454NF)を用いて接
着し、セルを作成した。これに低分子液晶(メルク社
製、ZLI3039)75wt%とアクリルオリゴマー
(東亜合成社製、〔M−1200〕)10wt%、プロ
ピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリ
レート(日本化薬社製、TPA−330)15wt%お
よび重合性成分に対して1.0wt%の光硬化開始剤
(日本化薬社製、カヤキュアーDETX)と同じく重合
性成分に対して1.0wt%の開始助剤(日本化薬社
製、カヤキュアーEPA)を加え、前記セルに注入し
た。
【0123】この各成分を注入したセルに、30cmの
距離から150Wの紫外線ランプを照射し重合硬化した
ところ、白濁したセルが得られた。このセルに電圧を印
加して光透過率を測定したところ、0Vで8%、60V
で65%で電圧昇圧時変化率50%の電圧における電圧
下降時の光透過率は40%で、昇圧時の37%とほとん
ど差がなくヒステリシスは良好であった。
【0124】実施例4〜6および比較例3〜5 混合する低分子液晶を表1に示すものに変更し、実施例
3と同様の方法によりヒステリシスを評価した。その結
果を表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】(注) 低分子液晶の商品名“ZLI”の付
いた製品は、いずれもメルク社製の製品である。
【0127】
【発明の効果】 ○本発明の第一の発明の効果 以上説明したように、本発明の第一の発明によれば、表
示層と透明電極層との間に、電極層よりも小さく表示層
よりも大きい屈折率の薄膜層、特に接着剤層を設けるこ
とにより、光透過率の向上した大面積でかつ良好なコン
トラストの表示が可能となる効果が得られる。
【0128】○本発明の第二の発明の効果 本発明の第二の発明は、ポリマーマトリックス中に低分
子液晶を分散してなる表示層を有する表示媒体におい
て、低分子液晶の弾性定数の和を40×10-12N以下
とすることにより、低分子液晶の含有率を高くして、低
駆動電圧化し高コントラスト化してもヒステリシスの発
生の小さい良好な画質の表示が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の表示素子の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の表示素子の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の表示素子を用いた表示装置の一例を示
す説明図である。
【図5】本発明で用いられる表示素子におけるヒステリ
シスを示す説明図である。
【符号の説明】
101,101′ 基板 102,102′ 電極 103 表示層 104 高分子支持体 105 低分子液晶化合物 106,106′ 接着剤層 201,201′ 基板 202,202′ 透明電極 203 表示層 204 多孔質ポリマーマトリックス 205 低分子液晶 206 信号線 207,207′ 絶縁膜 208 能動素子 209 走査線 107,108 3次元網目構造を形成する部分の径 301 光源ユニット 302,302′ ダイクロイックミラー 303,303′,303″ 表示素子 304,304′,304″ シュリーレン光学系 305 ダイクロイックプリズム 306 投写レンズ 307 表示素子駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 烈 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 藤原 良治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 公一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大西 敏一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を有する基板間に高分子支持体中に
    低分子液晶化合物を分散した表示層を挟持してなる液晶
    表示素子において、電極層と前記表示層との間に電極層
    の屈折率よりも小さく、表示層の屈折率よりも大きい屈
    折率を有する薄膜層を設けてなることを特徴とする液晶
    表示素子。
  2. 【請求項2】 前記薄膜層が接着剤層である請求項1記
    載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 ポリマーマトリックス中に重量分率で7
    0%以上の低分子液晶を分散してなる表示層を、少なく
    とも一方の基板に透明電極を有する基板間に挾持してな
    る表示媒体において、前記低分子液晶の広がり
    (K11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性定数の
    和が下記(I)式の関係であることを特徴とする表示媒
    体。 【数1】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
  4. 【請求項4】 ポリマーマトリックス中に重量分率で7
    0%以上の低分子液晶を分散してなる表示層を、少なく
    とも一方の基板に信号電極と走査電極を有し、更に能動
    素子を画素毎に有する基板間に挾持してなる表示素子に
    おいて、前記低分子液晶の広がり(K11)、ねじれ(K
    22)、曲り(K33)の弾性定数の和が下記(I)式の関
    係であることを特徴とする表示素子。 【数2】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
  5. 【請求項5】 前記能動素子が薄膜トランジスタである
    請求項4記載の表示素子。
  6. 【請求項6】 光源からの光を3原色に分離し、該3原
    色を電極を有する基板間にポリマーマトリックス中に低
    分子液晶を分散してなる表示層を有し、該低分子液晶の
    広がり(K11)、ねじれ(K22)、曲り(K33)の弾性
    定数の和が下記(I)式の関係である表示素子へ投射す
    る手段、該表示素子に電圧を印加し駆動する手段、該表
    示素子に投射した光のうち透過光と散乱光を分離する手
    段、該3原色の透過光を同一スクリーンへ投射する手段
    を有することを特徴とする表示装置。 【数3】 K11+2K22+K33≦40×10-12 N (I) (式中、NはKgmS-2を示す。)
JP34101892A 1992-11-30 1992-11-30 液晶表示素子、表示媒体、表示素子および表示装置 Pending JPH06167723A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102540542A (zh) * 2010-12-31 2012-07-04 京东方科技集团股份有限公司 一种聚合物分散液晶薄膜及其制造方法
WO2023133356A3 (en) * 2022-01-10 2023-08-24 The Regents Of The University Of Colorado, A Body Corporate Composite materials based on ferroelectric nematic liquid crystals and devices including same

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