JPH068264B2 - 桂皮酸エステル類の製造法 - Google Patents

桂皮酸エステル類の製造法

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JPH068264B2
JPH068264B2 JP60168599A JP16859985A JPH068264B2 JP H068264 B2 JPH068264 B2 JP H068264B2 JP 60168599 A JP60168599 A JP 60168599A JP 16859985 A JP16859985 A JP 16859985A JP H068264 B2 JPH068264 B2 JP H068264B2
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烈 原
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はスチレン類、一酸化炭素、アルコールおよび酸
素を、触媒および二酸化炭素の存在下に反応させて対応
する桂皮酸エステル類を製造する方法に関する。
桂皮酸エステル類は、それらが有する芳香のため香料ま
たはその原料として広く用いられており、また農薬や感
光性樹脂の原料としても重要な化合物である。
(従来の技術) 従来、桂皮酸はベンズアルデヒドと酢酸の誘導体を主原
料とした反応で小規模に生産されている。しかしなが
ら、この方法は高価な原料を使用するので工業的には好
ましい方法ではない。より安価な原料を用いる方法とし
て、スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよび酸素を
触媒の存在下に反応させて桂皮酸エステル類を製造しよ
うとする方法がいくつか提案されている(例えば、特開
昭56-15242、特開昭56-22749、特開昭56-22750、特開昭
56-71039、特開昭57-21342、特開昭57-21343、特開昭57
-70836、特開昭60-92242、特開昭60-92243、特開昭60-9
4940、特開昭60-97935、特開昭60-109545など)。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、いずれの方法においても、反応成績や触
媒活性が、工業的に満足されるにはいたっていない。
本発明の目的はスチレン類、一酸化炭素、アルコールお
よび酸素を原料とする桂皮酸エステル類のより有利な工
業的製造法を提供すること、具体的には触媒の高い活性
を発現させ、高い反応成績で桂皮酸エステル類を製造す
る方法を提供することである。
(問題を解決するための手段) 本発明者らは前記目的を達成するため鋭意検討を続けて
きたところ、スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよ
び酸素から桂皮酸エステル類を製造するに際しては、触
媒成分としてパラジウム金属またはその化合物のほか、
銅原子とハロゲン原子が重要な役割を演じていることが
わかり、銅原子の供与源とハロゲン原子の供与源として
それぞれ全く異る化合物を用いるか少なくとも一部は異
る化合物を用いると両原子の供与源として同一の化合物
のみを用いる場合より極めて好ましい結果が得られるこ
とを見出した。さらに、二酸化炭素の存在下に本反応を
行うと、場合により、二酸化炭素が触媒の活性や反応成
績に重大な影響を与えることがあることを見出した。
二酸化炭素を反応系に加えて反応を実施した前例はな
い。特殊な限定された触媒系または反応系において、単
に酸素の稀釈用不活性ガスとしての使用の可能性を示唆
している文献はいくつかある。特開昭56-15242では白金
族金属またはその化合物、銅塩又は鉄塩、およびアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム族金属から選
ばれる金属の有機酸塩を触媒として用いる方法におい
て、あるいは特開昭56-22749および特開昭56-22750で
は、白金族金属又はその化合物、銅塩又は鉄塩および第
3級アミンを触媒として、限定された一酸化炭素の分圧
等の制限下で反応させる方法において、その明細書中に
原料の酸素について「ここで酸素は、酸素、空気、ある
いは酸素を窒素、アルゴン、炭酸ガスのような不活性ガ
スで任意に稀釈した酸素含有ガスなどでもよい」旨の記
載がある。しかしながらこれらの方法では、いずれも炭
酸ガス、即ち二酸化炭素を単に不活性ガスとして使用す
る可能性を示唆しているのみで、実施例は全て不活性ガ
スを用いないか用いても窒素のみである。二酸化炭素に
関する具体的な実施例または使用方法の記載はない。一
方、上記以外の先に引用した全ての公開公報において
は、使用ガスの稀釈については、いずれも「窒素のよう
な不活性ガス」または「窒素、アルゴン等の不活性ガ
ス」で稀釈してもよい旨記載されているが、二酸化炭素
については全く言及されていない。以上のように二酸化
炭素に特別の効果を発現させた例はなく、上記文献から
は全く予想できないものである。
本発明者らは、二酸化炭素の使用について、さらに検討
したところ、二酸化炭素の存在下に、特定の触媒系を用
いた条件下において反応を行うと、驚くべきことに二酸
化炭素を用いない場合に比べて触媒の活性がより高めら
れ、高い反応成績で桂皮酸エステル類が得られることを
見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、スチレン類、一酸化炭素、アルコー
ルおよび酸素を反応させて対応する桂皮酸エステル類を
製造するに際して、触媒としてパラジウム金属または
その化合物、銅の化合物、ハロゲンの化合物および
国際純正および応用化学連合による周期律表(以降単
に周期律表という)の4A族、5A族、7A族、8Aの
鉄族および2B族からなる群から選ばれる少なくとも1
種以上の金属の化合物を用い二酸化炭素の存在下に、反
応させることを特徴とする桂皮酸エステル類の製造方法
である。
本発明の方法において使用されるスチレン類としては、
具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチ
ルスチレン、α−エチルスチレン、β−エチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−ターシャリーブチルスチレン、β−メチル−p
−イソプロピルスチレン等のスチレンのアルキル誘導
体、あるいはp−クロルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、3,4−ジメトキシスチレン等の反応を阻害しない
置換基を芳香環に有するスチレンの誘導体などが挙げら
れる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、シ
クロペンタノール、シクロヘキサノール、フェノール、
ベンジンアルコール、エチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類
であり、それらはハロゲンやアルコキシ基等の反応を阻
害しない置換基を有していてもよい。これらのアルコー
ル類の使用量は、スチレン類1モルに対して1〜100モ
ル部であり、反応原料としてのみならず溶媒として使用
してもよい。
本発明の方法による反応では、原料のアルコールを実質
的に溶媒とすることができるが、反応を阻害しないもの
であれば溶媒を使用することもできる。そのような溶媒
としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メ
チルエチルエーテル、フェニルエチルエーテル、ジフェ
ニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチ
レングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、酢酸
メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル
類、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、エチルベンゼ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化
水素類またはその置換化合物、n−ヘキサン、n−ぺン
タン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族の炭化水
素類、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル等のカー
ボネート類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル類、ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物類、ジ
メチルホルムアミド等のアミド化合物類、スルホラン等
のスルホン化合物などが挙げられる。
本発明の触媒の第1成分であるパラジウム金属またはそ
の化合物としては、パラジウム黒、あるいは活性炭、ア
スベストまたはシリカアルミナ等の担体に担持させた金
属パラジウム、ジベンジリデンアセトン錯体あるいはテ
トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのよう
な0価のパラジウム錯体などの0価のパラジウム金属ま
たは化合物、塩化パラジウム、硝酸パラジウムのような
パラジウムの無機酸塩、酢酸パラジウムまたは安息香酸
パラジウムなどの有機酸塩、ビス(アセチルアセトナー
ト)パラジウム、シクロオクタジエンジクロロパラジウ
ム、塩化パラジウムベンゾニトリル錯体などのパラジウ
ムの錯体などの2価のパラジウムの化合物が挙げられ
る。
これらのパラジウム金属またはその化合物の使用量はパ
ラジウム金属原子として原料のスチレン1類モルに対し
て0.1グラム原子以下であり、好ましくは5×10-6〜1
×10-2グラム原子の範囲である。
触媒の第2成分である銅の化合物としては、炭酸銅、塩
化銅、硝酸銅またはリン酸銅などの銅の無機酸塩、酢酸
銅、プロピオン酸銅、ステアリン酸銅、桂皮酸銅、安息
香酸銅などの銅の脂肪族もしくは芳香族カルボン酸の
塩、銅アセチルアセトナートのような銅の有機アニオン
の塩などがあげられる。これらの銅の化合物は単独また
は2種以上を混ぜて使用することもできる。これらの銅
の化合物は反応混合液に溶解していることが好ましい
が、一部が不溶のままであってもさしつかえない。これ
らの銅の化合物の使用量は銅原子として反応混合液1リ
ットル当り0.004〜0.4グラム原子である。ただし、触媒
第3成分のハロゲンの化合物としてハロゲン化銅を使用
する場合には、この化合物の銅原子を含めての範囲であ
る。好ましくは反応混合液1当り0.008〜0.3グラム原
子である。
触媒の第3成分であるハロゲンの化合物としては、塩
素、息素またはヨウ素などのハロゲン分子およびそれら
の溶液、塩化水素、臭素水素、ヨウ化水素などのハロゲ
ン化水素およびそれらの溶液、ターシャリーブチルクロ
ライド、ターシャリーブチルブロマイドなどの3級アル
キルハライド、あるいは塩化アセチル、臭化ベンゾイル
などの酸ハロゲン化物などのハロゲンイオンを発生しや
すい有機ハロゲン化物、ホスゲン、クロルギ酸メチルな
どのハロゲンを含む炭酸誘導体、三塩化リン、五塩化リ
ン、三臭化リン、五臭化リンなどのハロゲン化リン、三
塩化ホスホリル、三臭化ホスホリルなどのオキシハロゲ
ン化リン、塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン
化チオニル類、四塩化テルル、四臭化テルルなどのテル
ルのハロゲン化物、チタン、ジルコニウムなどの4A
族、バナジウム、タンタルなどの5A族、クロム、モリ
ブデンなどの6A族、マンガンなどの7A族、鉄、コバ
ルトおよびニッケルの8Aの鉄族、銅などの1B族、亜
鉛、カドミウムなどの2B族、ゲルマニウム、錫などの
4B族およびアンチモン、ビスマスなどの5B族の金属
の価数に応じたハロゲン化物またはオキシハロゲン化物
などが挙げられる。これらのうち塩素、塩化水素、臭化
水素、五塩化リン、三塩化ホスホリル、オキシ三塩化バ
ナジウム、三塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、臭化
鉄、塩化銅、臭化銅、塩化亜鉛、塩化錫、塩化ビスマス
などが好ましい。これらのハロゲンの化合物は単独でも
2種以上を混合して用いてもよい。ハロゲンの化合物の
うちハロゲン化銅は触媒第2成分である銅の化合物の一
部を兼ねることができるが、他の触媒成分にハロゲン原
子がなければ全部を兼ねることはない。これらの触媒第
3成分であるハロゲンの化合物の使用量は、ハロゲン原
子として反応混合液1当り0.004〜0.8グラム原子であ
る。ただし、他の触媒成分にハロゲン原子を含む化合物
が用いられる場合には、そのハロゲン原子をも含めた量
としての範囲である。好ましくは、反応混合液1当り
0.008〜0.6グラム原子である。
触媒の第4成分である周期律表の4A族、5A族、7A
族、8Aの鉄族および2B族の中から選ばれる金属の化
合物としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの4
A族、バナジウム、ニオブ、タンタルの5A族、マンガ
ン、レニウムなどの7A族、鉄、コバルト、ニッケルの
8Aの鉄族、および亜鉛、カドミウム、水銀の2B族の
金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などの
無機化合物、あるいは酢酸プロピオン酸、ステアリン
酸、コハク酸、またはフェニル酢酸、桂皮酸、安息香
酸、フタル酸などの1価および多価の脂肪族もしくは芳
香族カルボン酸の塩、アセチルアセトナート錯体、シク
ロペンタジエニル錯体またはカルボニル錯体などの錯体
化合物などが挙げられる。これらの化合物は、2種以上
を同時に使用することもできる。これらの化合物は反応
混合液に溶解していることが好ましいが、一部が不溶で
あってもさしつかえない。
これらの触媒第4成分の化合物の使用量は含まれる金属
原子の反応混合液中に存在する銅原子に対する比が0.01
〜50であり、好ましくは0.05〜10である。これらの触
媒第4成分の化合物のうちハロゲン化物は、触媒第3成
分のハロゲンの化合物の一部または全部を兼ねることも
できる。
本発明の方法では生成する水を除くため、反応系に脱水
剤を存在させることもできる。それらの脱水剤として
は、モレキュラーシーブ、シリカゲル、オルトギ酸メチ
ルなどが挙げられる。
本発明の方法における気体成分は一酸化炭素、酸素およ
び二酸化炭素であるが、これらの気体はさらに窒素、ア
ルゴン等の不活性ガスで希釈してもよい。
一酸化炭素の分圧は50気圧(絶対圧、以下同様)以下
であり、好ましくは0.005〜40気圧の範囲である。酸素
の分圧は50気圧以下であり、好ましくは0.002〜30気
圧である。酸素源としては空気を使用することもでき
る。一酸化炭素と酸素の分圧比は理論的には1:0.5で
あるが、通常1:0.2〜1.2の範囲であり、好ましくは
1:0.3〜1.0の範囲である。
二酸化炭素の分圧は500気圧以下であり、好ましくは
0.1〜300気圧であるが、反応の全圧に対する二酸化
炭素の分圧は10%(圧力比)以上、すなわち反応混合
気体中の二酸化炭素の濃度が10容量%以上であり、好ま
しくは10%〜98%の範囲である。10%未満であると二酸
化炭素の効果が発現しなくなり、98%を越えると一酸化
炭素および酸素が希薄になり反応を遅くする。より好ま
しくは15%〜95%の範囲である。
一酸化炭素、酸素および二酸化炭素、さらに必要により
使用する不活性ガスは、それぞれの必要量を反応器に一
括して仕込んでもよいし、必要な気体を連続的または間
欠的に追加する方法、あるいはそれらの混合気体を連続
的もしくは間欠的に流通させる方法でもよい。これらの
うち追加する方法や流通させる方法がより好ましい。
反応に供する混合気体は、毎回、新たに調整されたもの
でもよいが、一度、反応に使用した残気体、あるいは流
通させる方法における排ガスを各成分気体の濃度を調整
した後に、くりかえし使用することもできる。本反応で
は副反応として一酸化炭素と酸素から二酸化炭素を生成
する場合があるが、本発明の方法においては、反応混合
気体をくりかえし使用する場合に、その二酸化炭素を特
別な方法で分離除去する必要はなくなる。
本発明の方法の実施は、反応型式としては、回分式もし
くは連続流通式いずれでも構わない。
本発明の方法における反応の全圧は、使用する一酸化炭
素、酸素および二酸化炭素、あるいは不活性ガスの分圧
によるが、通常500気圧以下であり、好ましくは1〜
300気圧である。反応温度は室温〜200℃、好ましくは4
0〜160℃である。反応時間は反応条件により変るが、
通常、0.01〜24時間、好ましくは0.05〜10時間であ
る。
反応終了後蒸留もしくは抽出等の常用の分離方法によ
り、反応生成液から桂皮酸エステル類を分離することが
できる。
(作用および発明の効果) 本発明の方法によれば、極めて容易に使用できる二酸化
炭素により触媒活性が高められ、従来になく少量のパラ
ジウム触媒を用いて、高い反応成績で桂皮酸エステル類
を製造できる。そのうえ、反応混合ガスを循環使用する
場合には、副生する二酸化炭素を特別な方法で分離除去
する必要はなく、工業的に極めて有利な桂皮酸エステル
類の製造法となる。
(実施例) 以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1 ガラス製の円筒容器に、塩化パラジウム4.5mg(0.025ミ
リモル)、酢酸第二銅・1水塩1.87g(9.37ミリモ
ル)、塩化第二銅0.419g(3.12ミリモル)、酢酸第一
マンガン・4水塩3.82g(15.6ミリモル)、そしてスチ
レン26.04g(250.0ミリモル)をとりメタノールを加え
て全量を125mとした。銅原子および塩素原子の量は
反応混合液1当りそれぞれ0.100および0.050グラム原
子である。このガラス容器を500mのオートクレーブ
に挿入した。オートクレーブの攪拌翼はガラス製であ
り、温度測定管もガラスで保護されている。オートクレ
ーブに全圧を10気圧に保ち、一酸化炭素:酸素:二酸
化炭素の分圧比が8.3:5.4:86.3である混合ガスを出口
で1.2リットル/分(標準状態)となるよう通じながら
攪拌を続け100℃で3時間反応させた。この間、出口ガ
スは水冷の還流冷却器を通して排出させた。反応終了後
冷却し取り出した反応液を高速液体クロマトグラフィー
で分析したところ、スチレンが20.0ミリモル、桂皮酸メ
チルが210.8ミリモル、フェニルコハク酸ジメチルが5.1
ミリモル含まれていた。スチレンの転化率92.0%、桂皮
酸メチルの選択率(消費スチレンに対する収率)は91.6
%、桂皮酸メチルの収率(仕込みスチレンに対する収
率)は84.3%であった。触媒第1成分のパラジウム1グ
ラム原子当りに生成した桂皮酸エステルのモル数(以降
Pd回転率と略称する)は8430であった。
比較例1 実施例1における混合ガスを、一酸化炭素:酸素:窒素
の分圧比が8.3:5.4:86.3である二酸化炭素を含まない混
合ガスにかえた以外は全て実施例1と同様に反応させた
ところ、スチレンの転化率67.1%、桂皮酸メチルの選択
率および収率はそれぞれ93.4%および62.7%であり、Pd
回転率は6270であった。排ガスの一部を分析すると
二酸化炭素が認められた。副反応による二酸化炭素の生
成を示す。
実施例2,3および比較例2 表1に示す混合ガスを使用した以外は全て実施例1と同
様にした。結果を実施例1および比較例1とともに表1
に示す。
実施例4 実施例1における酢酸第二銅・1水塩の使用量を2.50g
(12.5ミリモル)とし、塩化第二銅の代りに、塩化水素
のメタノール溶液(濃度1.25N)を5.0ml用い、塩化水
素が6.25ミリモルとなるようにした以外は全て実施例1
と同様にした。銅原子および塩素原子の量は反応混合液
1当り、それぞれ0.100および0.050グラム原子であ
る。実施例1と同様に反応させたところ、スチレンの転
化率は90.5%、桂皮酸メチルの選択率および収率はそれ
ぞれ91.1%および82.4%であり、Pd回転率は8240で
あった。
比較例3 実施例4ひいては実施例1における混合ガスを一酸化炭
素:酸素:窒素の分圧比が8.3:5.4:86.3である二酸化
炭素を含まない混合ガスにかえた以外は全て実施例4と
同様にして反応させたところ、 スチレンの転化率は68.8%、桂皮酸メチルの選択率およ
び収率はそれぞれ94.5%および65.0%であり、Pd回転率
は6500であった。
実施例5 実施例4における反応の全圧を6気圧にかえた以外は全
て実施例4と同様にして反応させたところ、スチレンの
転化率は87.2%、桂皮酸メチルの選択率および収率はそ
れぞれ90.3%および78.7%であり、Pd回転率は7870
であった。
実施例6 実施例4における塩化パラジウムの使用量を7.1mg(0.04
0ミリモル)、酢酸第二銅・1水塩を1.20g(6.01ミリモ
ル)とし、塩化水素のメタノール溶液(濃度1.25N)を
10.5m用い、塩化水素が13.1ミリモルとなるようにし
た以外は全て実施例4と同様にした。銅原子および塩素
原子の量は反応混合液1当り、それぞれ0.048および
0.105グラム原子である。実施例4と同様に反応させた
ところ、スチレンの転化率は84.8%、桂皮酸メチルの選
択率および収率はそれぞれ89.4%および75.8%であっ
た。
実施例7 5%Pd/C(5重量%のパラジウムを活性炭に担持させ
たもの)170mg,オキシ三塩化バナジウム380mg(2.2
ミリモル)、酢酸第二銅・1水塩2.50g(12.5ミリモ
ル)、酢酸第一マンガン・4水塩3.82g(15.6ミリモ
ル)、そしてスチレン26.04g(250ミリモル)を加
え、メタノールで全量を125mとした。反応時間を3.5
時間とした以外は全て実施例1と同様にして反応させた
ところ、スチレン転化率88.3%、桂皮酸メチルの選択率
および収率はそれぞれ91.1%および80.4%であった。
比較例4 実施例7における混合ガスを一酸化炭素:酸素:窒素の
分圧比が8.4:5.4:86.2である二酸化炭素を含まない混
合ガスにかえた以外は全て実施例7と同様に反応させた
ところ、桂皮酸メチルの収率は70.2%であった。
実施例8 実施例1における塩化パラジウムの代りに酢酸パラジウ
ム5.6mg(0.025ミリモル)、酢酸第一マンガン・4水塩
の代りに酢酸第一コバルト・4水塩3.74g(15.0ミリモ
ル)を用い、反応時間を3.5時間とした以外は全て実施
例1と同様にして反応させたところ、スチレン転化率8
4.8%、桂皮酸メチルの選択率および収率はそれぞれ91.
3%および77.4%であり、Pd回転率は7740であっ
た。
実施例5 実施例8における酢酸パラジウムの使用量を11.23mg
(0.050ミリモル)にかえ、反応混合ガスを一酸化炭
素:酸素:窒素の分圧比が8.5:5.3:86.2である二酸化
炭素を含まない混合ガスにかえた以外は全て実施例8と
同様に反応させた。スチレンの転化率86.4%、桂皮酸メ
チルの選択率および収率はそれぞれ90.9%および78.5%
であり、Pd回転率は3930であった。
実施例9 実施例1における塩化パラジウムのかわりに酢酸パラジ
ウム9.0mg(0.040ミリモル)、塩化第二銅の代りに臭化
第二銅697ミリグラム(3.12ミリモル)を用い、一酸
化炭素:酸素:二酸化炭素の分圧比が8.7:5.7:85.6で
ある混合ガスを用いた以外は全て実施例1と同様に反応
させたところスチレンの転化率は90.7%、桂皮酸メチル
の選択率および収率はそれぞれ93.0%および84.3%であ
り、Pd回転率は5270であった。
比較例6 実施例9における混合ガスを一酸化炭素:酸素:窒素の
分圧比が、8.5:5.3:86.2である二酸化炭素を含まない
混合ガスに代えた以外は全て実施例9と同様に反応させ
たところ、スチレンの転化率は73.0%桂皮酸メチルの選
択率および収率はそれぞれ69.5%および50.7%であり、
Pd回転率は3170であった。
実施例10〜21および比較例7,8 触媒成分の種類と使用量および反応条件を表2に示すよ
うにかえた以外は全て実施例1と同様に反応させた。混
合ガスの分圧比は調製毎に若干変化するが、その程度は
一酸化炭素:酸素:二酸化炭素が8.0〜9.0:5.0〜6.0:
85〜87の範囲である。結果を実施例9とともに表2に示
す。比較例7および8は除き、それぞれの実施例に対応
する二酸化炭素を含まない混合ガスを用いた反応では、
いずれもPd回転率、反応収率が大幅に低下する。
比較例9 実施例1における酢酸第二銅・1水塩を29.9mg(0.15ミ
リモル)、塩化第二銅を13.4mg0、10ミリモルとした以外
は全て実施例1と同様にした。銅原子および塩素原子の
量は反応混合液1当り、両者同じく0.002グラム原子
である。実施例1と同様に反応させたところ、スチレン
転化率3.2%であり、桂皮酸メチルの収率は0.1%未満で
あった。
比較例10 実施例1における酢酸第二銅・1水塩を1.20g(6.01ミ
リモル)、塩化第二銅を8.07g(60.0ミリモル)とした
以外は全て実施例と同様にした。銅原子および塩素原子
の量は反応混合液1当りそれぞれ0.528および0.960グ
ラム原子である。実施例1と同様に反応させたところ、
スチレンの転化率53.2%であり、桂皮酸メチルの選択率
および収率は8.4%および4.5であった。
実施例22 実施例1と同様の仕込みであるが、反応の全圧を51気
圧とし、一酸化炭素:酸素:二酸化炭素の分圧比が8.
6:5.4:86.0の混合ガスを還流冷却器の出口での排出ガ
スの流量が1.2リットル/分(標準状態)となるよう調
節しその排出ガスをドライアイストラップを通して後、
予め上記原料混合ガスで1度置換しておいた約10の
耐圧容器に貯めたこと以外は実施例1と同様にした。ス
チレンの転化率は94.6%、桂皮酸メチルの選択率および
収率はそれぞれ92.2%および87.2%であった。耐圧容器
に貯めたガスを分析し、一酸化炭素および酸素を追加し
て、一酸化炭素:酸素:二酸化炭素の分圧比が8.7:5.
5:84.6となるよう調整した。少量(分圧比1.2%)の窒
素が混入していた。耐圧容器内は約25気圧となった。
この調整混合ガスを次の反応に用いた。200mlオート
クレーブ用のガラス製円筒容器に塩化バラジウム1.8mg
(0.010ミリモル)、酢酸第二銅・1水塩748mg(3.7
5ミリモル)、塩化第二銅168mg(1.25ミリモル)酢酸
第一マンガン・4水塩1.53g(6.24ミリモル)そしてス
チレン10.42g(100.0)を取り、メタノールで全量を5
0mした。このガラス容器を200mのオートクレ
ーブに挿入し、全圧を10気圧に保ち、前記調整混合ガ
スを出口で500m/分(標準状態)となるよう流し
実施例1と同様に反応させた。スチレンの転化率は90.3
%、桂皮酸メチルの選択率および収率はそれぞれ93.1%
および84.1%であった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよ
    び酸素を反応させて対応する桂皮酸エステル類を製造す
    るに際して、 触媒としてパラジウム金属またはその化合物、銅の
    化合物、ハロゲンの化合物および周期律表の4A
    族、5A族、7A族、8Aの鉄族および2B族からなる
    群から選ばれる少なくとも1種以上の金属の化合物を用
    い、二酸化炭素の存在下に反応させることを特徴とする
    桂皮酸エステル類の製造法。
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