JPH0682353A - 疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲の測定方法 - Google Patents
疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲の測定方法Info
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- JPH0682353A JPH0682353A JP23667192A JP23667192A JPH0682353A JP H0682353 A JPH0682353 A JP H0682353A JP 23667192 A JP23667192 A JP 23667192A JP 23667192 A JP23667192 A JP 23667192A JP H0682353 A JPH0682353 A JP H0682353A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 金属材料の疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数
範囲を、短時間かつ精度良く測定する方法を提供する。 【構成】 金属材料に繰返し荷重を与えて疲労亀裂長さ
を測定し、応力拡大係数範囲と亀裂伝播速度との関係を
求める実験において、まず両者の関係がパリス則に従う
領域IIで測定を行ない両者の回帰式を求める。次に、徐
々に荷重を下げていき、領域I において測定した少なく
とも3個の亀裂伝播速度のうち少なくとも1個は回帰式
で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる応力拡大係数
範囲およびこれに対する亀裂伝播速度を測定値する。こ
れらの領域I と領域IIの測定値を用いて非線形最適化法
により疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を決定す
る。
範囲を、短時間かつ精度良く測定する方法を提供する。 【構成】 金属材料に繰返し荷重を与えて疲労亀裂長さ
を測定し、応力拡大係数範囲と亀裂伝播速度との関係を
求める実験において、まず両者の関係がパリス則に従う
領域IIで測定を行ない両者の回帰式を求める。次に、徐
々に荷重を下げていき、領域I において測定した少なく
とも3個の亀裂伝播速度のうち少なくとも1個は回帰式
で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる応力拡大係数
範囲およびこれに対する亀裂伝播速度を測定値する。こ
れらの領域I と領域IIの測定値を用いて非線形最適化法
により疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を決定す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属材料の疲労亀裂
伝播応力下限界応力拡大係数範囲の測定方法に関する。
伝播応力下限界応力拡大係数範囲の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微小な亀裂が生じた構造物部品の寿命推
定において、亀裂伝播速度が一つの目安になる。亀裂伝
播速度は、材質、応力、荷重繰返し数、亀裂長さなどに
よって影響を受け、疲労亀裂伝播試験により実験的に求
められる。疲労亀裂伝播試験では、負荷した荷重の繰返
し数Nと亀裂長さaの関係を測定し、その測定値から回
帰式などを用いて亀裂伝播速度da/dNを演算で求め
る。荷重繰返し数Nと亀裂長さaとの関係は連続的に測
定できないので、通常は荷重繰返し数Nの100回〜1
00万回おきに亀裂長さaを測定する。
定において、亀裂伝播速度が一つの目安になる。亀裂伝
播速度は、材質、応力、荷重繰返し数、亀裂長さなどに
よって影響を受け、疲労亀裂伝播試験により実験的に求
められる。疲労亀裂伝播試験では、負荷した荷重の繰返
し数Nと亀裂長さaの関係を測定し、その測定値から回
帰式などを用いて亀裂伝播速度da/dNを演算で求め
る。荷重繰返し数Nと亀裂長さaとの関係は連続的に測
定できないので、通常は荷重繰返し数Nの100回〜1
00万回おきに亀裂長さaを測定する。
【0003】亀裂伝播速度da/dNは応力拡大係数幅
ΔKの関数として与えられる。応力拡大係数幅ΔKは次
式で表わされる。
ΔKの関数として与えられる。応力拡大係数幅ΔKは次
式で表わされる。
【0004】 ΔK=F・σmax (πa)1/2 −F・σmin (πa)1/2 ……(1) ここで、σmax およびσmin はそれぞれ繰返し荷重によ
り試験片に加わる最大および最小応力である。また、F
は試験片の形状による補正係数であり、πは円周率であ
る。
り試験片に加わる最大および最小応力である。また、F
は試験片の形状による補正係数であり、πは円周率であ
る。
【0005】図4は、亀裂伝播速度da/dNと応力拡
大係数幅ΔKとの関係を模式的に示している。この線図
に示すように、曲線は領域I ,IIおよびIII に分けられ
る。領域I は亀裂伝播速度が急速に低下する領域であ
り、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲が含まれてい
る。下限界応力拡大係数ΔKth以下では、亀裂伝播速度
da/dNが0となり、疲労亀裂は成長しない。領域II
では、log da/dNとlog ΔKとの関係はほぼ直線と
なり、次のパリス則が成立することが知られている。
大係数幅ΔKとの関係を模式的に示している。この線図
に示すように、曲線は領域I ,IIおよびIII に分けられ
る。領域I は亀裂伝播速度が急速に低下する領域であ
り、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲が含まれてい
る。下限界応力拡大係数ΔKth以下では、亀裂伝播速度
da/dNが0となり、疲労亀裂は成長しない。領域II
では、log da/dNとlog ΔKとの関係はほぼ直線と
なり、次のパリス則が成立することが知られている。
【0006】da/dN=C・ΔKm ……(2) また、領域III は亀裂伝播速度da/dNが急速に成長
する領域である。
する領域である。
【0007】金属材料の疲労亀裂伝播速度の実験結果
は、通常図5に示すように整理される。工業的には、疲
労亀裂下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求めることが必
要となる。
は、通常図5に示すように整理される。工業的には、疲
労亀裂下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求めることが必
要となる。
【0008】従来では、亀裂伝播速度da/dNが10
-6〜10-7 mm/cycle 程度となる応力拡大係数範囲ΔK
を実験的に求めて、それを下限界応力拡大係数範囲ΔK
thとしていた。
-6〜10-7 mm/cycle 程度となる応力拡大係数範囲ΔK
を実験的に求めて、それを下限界応力拡大係数範囲ΔK
thとしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記10-6〜
10-7 mm/cycle 程度の亀裂伝播速度は経験的なもので
あり、明確な根拠はなかった。したがって、同じ測定値
を用いても亀裂伝播速度のとりかたによっては下限界応
力拡大係数範囲ΔKthは異なった値となり、信頼性に欠
けるために一般性がなかった。
10-7 mm/cycle 程度の亀裂伝播速度は経験的なもので
あり、明確な根拠はなかった。したがって、同じ測定値
を用いても亀裂伝播速度のとりかたによっては下限界応
力拡大係数範囲ΔKthは異なった値となり、信頼性に欠
けるために一般性がなかった。
【0010】また、応力拡大係数範囲が下限界応力拡大
係数範囲ΔKthに近付くにつれて亀裂伝播速度が小さく
なるので、測定に極めて長時間を要していた。
係数範囲ΔKthに近付くにつれて亀裂伝播速度が小さく
なるので、測定に極めて長時間を要していた。
【0011】この発明は、高い信頼性をもった疲労亀裂
伝播下限界応力拡大係数幅を短時間で得ることができる
方法を提供しようとするものである。
伝播下限界応力拡大係数幅を短時間で得ることができる
方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の疲労亀裂伝播
下限界応力拡大係数範囲の測定方法は、亀裂を有する試
験片に繰返し荷重を加え、亀裂長さを測定して応力拡大
係数範囲および亀裂伝播速度を求める。ついで、応力拡
大係数範囲と亀裂伝播速度とがパリス則に従う領域で応
力拡大係数範囲と亀裂伝播速度との回帰式を求める。そ
して、測定した少なくとも3個の亀裂伝播速度のうち少
なくとも1個は前記回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/
3以下となる応力拡大係数範囲およびこれに対する亀裂
伝播速度を含む測定値に基づき非線形最適化法により疲
労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を求める。
下限界応力拡大係数範囲の測定方法は、亀裂を有する試
験片に繰返し荷重を加え、亀裂長さを測定して応力拡大
係数範囲および亀裂伝播速度を求める。ついで、応力拡
大係数範囲と亀裂伝播速度とがパリス則に従う領域で応
力拡大係数範囲と亀裂伝播速度との回帰式を求める。そ
して、測定した少なくとも3個の亀裂伝播速度のうち少
なくとも1個は前記回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/
3以下となる応力拡大係数範囲およびこれに対する亀裂
伝播速度を含む測定値に基づき非線形最適化法により疲
労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を求める。
【0013】亀裂長さの測定は、引張圧縮疲労試験機に
よりCT ( Compact type ) 試験片またはCCT ( Cen
ter Cracked Tension ) 試験片について行われる。試験
片に繰返し荷重を加えて亀裂を進展させ、あらかじめ指
定された荷重繰返し数ごとに亀裂長さを測定し、亀裂長
さおよび荷重繰返し数の組を得る。亀裂長さはクラック
ゲージ、歪み計、読取り顕微鏡などにより測定する。パ
リス則に従う領域IIでは荷重は一定に保持して亀裂長さ
を測定する。この測定結果からパリス則回帰式を求め
る。次に領域I の亀裂伝播速度を求めるために、応力拡
大係数範囲を徐々に小さくして、つまり荷重を徐々に小
さくして亀裂長さを測定する。測定した亀裂伝播速度が
回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となったとき
測定を終了する。この場合、領域I おいて3〜5個程度
測定値を得れば、後述のようにこれによりに疲労亀裂伝
播下限界応力拡大範囲を求めることができる。
よりCT ( Compact type ) 試験片またはCCT ( Cen
ter Cracked Tension ) 試験片について行われる。試験
片に繰返し荷重を加えて亀裂を進展させ、あらかじめ指
定された荷重繰返し数ごとに亀裂長さを測定し、亀裂長
さおよび荷重繰返し数の組を得る。亀裂長さはクラック
ゲージ、歪み計、読取り顕微鏡などにより測定する。パ
リス則に従う領域IIでは荷重は一定に保持して亀裂長さ
を測定する。この測定結果からパリス則回帰式を求め
る。次に領域I の亀裂伝播速度を求めるために、応力拡
大係数範囲を徐々に小さくして、つまり荷重を徐々に小
さくして亀裂長さを測定する。測定した亀裂伝播速度が
回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となったとき
測定を終了する。この場合、領域I おいて3〜5個程度
測定値を得れば、後述のようにこれによりに疲労亀裂伝
播下限界応力拡大範囲を求めることができる。
【0014】指定された荷重繰返し数における亀裂長さ
の測定結果は、コンピュータに入力される。コンピュー
タは、これら測定値から亀裂伝播速度、応力拡大係数範
囲、回帰式などを求める。さらに、コンピュータは応力
拡大係数範囲およびこれに対する亀裂伝播速度の測定値
に基づき非線形最適化法により疲労亀裂伝播下限界応力
拡大係数範囲を演算する。非線形最適化法は、コンピュ
ータによる逐次数値計算により実行される。これらの演
算プログラムはあらかじめコンピュータに組み込まれて
いる。
の測定結果は、コンピュータに入力される。コンピュー
タは、これら測定値から亀裂伝播速度、応力拡大係数範
囲、回帰式などを求める。さらに、コンピュータは応力
拡大係数範囲およびこれに対する亀裂伝播速度の測定値
に基づき非線形最適化法により疲労亀裂伝播下限界応力
拡大係数範囲を演算する。非線形最適化法は、コンピュ
ータによる逐次数値計算により実行される。これらの演
算プログラムはあらかじめコンピュータに組み込まれて
いる。
【0015】
【作用】コンピュータに入力した測定値は自動的に処理
され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲が求められ
る。測定値の処理はあらかじめ設定されたプログラムに
より求められるので、測定値が同じであれば、常に同一
の結果がえらる。また、領域I の測定亀裂伝播速度が領
域IIの回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる
まで3〜5個程度測定値を得ればよいので、測定時間は
短くなる。
され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲が求められ
る。測定値の処理はあらかじめ設定されたプログラムに
より求められるので、測定値が同じであれば、常に同一
の結果がえらる。また、領域I の測定亀裂伝播速度が領
域IIの回帰式で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる
まで3〜5個程度測定値を得ればよいので、測定時間は
短くなる。
【0016】
【実施例】図1および図2はこの発明を方法を実施手順
を示すフローチャートであり、図3はこの発明を実施す
る装置のブロック図である。
を示すフローチャートであり、図3はこの発明を実施す
る装置のブロック図である。
【0017】亀裂長さの測定値ai は荷重繰返し数Ni
とともに、試験機1よりI/Oインターフェース2を介
していったん記憶装置4に貯蔵される。適当な数の亀裂
長さの測定値が得られると、測定値は制御部3からの指
令により記憶装置4から回帰式演算手段5に読み出され
る。測定値の数は、経験的に10〜100個程度であ
る。回帰式演算手段5は、回帰直線f(ΔK)すなわ
ち、式(3)中の定数Cおよびmを求める。
とともに、試験機1よりI/Oインターフェース2を介
していったん記憶装置4に貯蔵される。適当な数の亀裂
長さの測定値が得られると、測定値は制御部3からの指
令により記憶装置4から回帰式演算手段5に読み出され
る。測定値の数は、経験的に10〜100個程度であ
る。回帰式演算手段5は、回帰直線f(ΔK)すなわ
ち、式(3)中の定数Cおよびmを求める。
【0018】 f(ΔK)=log da/dN=log C+mlog ΔK ……(3) さらに、徐々に荷重を落しながら亀裂長さの測定が続け
られ、測定値から得られた亀裂伝播速度は上記式(3)
から得られた値と比較手段6において比較される。そし
て、領域I の亀裂伝播速度の測定値の個数が3以上とな
り、そのうちの少なくとも1個が式(3)から得られた
亀裂伝播速度の1/3以下となると、測定を終了する。
られ、測定値から得られた亀裂伝播速度は上記式(3)
から得られた値と比較手段6において比較される。そし
て、領域I の亀裂伝播速度の測定値の個数が3以上とな
り、そのうちの少なくとも1個が式(3)から得られた
亀裂伝播速度の1/3以下となると、測定を終了する。
【0019】つぎに、上記のようにして得られた応力拡
大係数範囲と亀裂伝播速度とにより疲労亀裂伝播下限界
応力拡大係数範囲を最適化演算手段7により求める。こ
のとき、領域I および領域IIの測定値が用いられ、その
数は10+数個〜100+数個程度である。
大係数範囲と亀裂伝播速度とにより疲労亀裂伝播下限界
応力拡大係数範囲を最適化演算手段7により求める。こ
のとき、領域I および領域IIの測定値が用いられ、その
数は10+数個〜100+数個程度である。
【0020】非線形最適化法では、式(4)のように回
帰し、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求
める。
帰し、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求
める。
【0021】 da/dN=C(ΔKm −ΔKth m ) ……(4) 式(4)を次のように書き換える。
【0022】da/dN=CΔKm −β ……(5) ここで、 β=CΔKth m ……(6) 式(5)を更に書き換えると、 log (da/dN+β)=log C+mlog ΔK ……(7) となる。ここで、 X=log (da/dN+β)……(8) Y=log ΔK ……(9) A=1/m ……(10) B=−log (C)/m ……(11) とおくと、 Y=AX+B ……(12) となる。
【0023】上記式(12)において、βを逐次的に変
えてこの式の相関係数rの絶対値またはr2 が最も1に
近くなるβを求める。β1 の初期値はたとえば式(3)
で求めたCおよびmを用いてβ1 =C・ΔKm とする。
次のβ2 の値はたとえばβ2=β1 /2とする。また、
相関係数rは次の式(13)で与えられる。
えてこの式の相関係数rの絶対値またはr2 が最も1に
近くなるβを求める。β1 の初期値はたとえば式(3)
で求めたCおよびmを用いてβ1 =C・ΔKm とする。
次のβ2 の値はたとえばβ2=β1 /2とする。また、
相関係数rは次の式(13)で与えられる。
【0024】 r2 =[ΣXi Yi +(ΣXi ・ΣYi )/n]2 ×[{ΣXi 2 −(ΣXi )2 /n}{ΣYi 2 −(ΣYi )2 /n}]-1 ……(13) ここで、n:データの個数, Σ:i=1〜nの総和 上記βが定まると、式(12)の線形回帰を行って、係
数AおよびBを求める。これらβ,AおよびBから、式
(4)が決定され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範
囲ΔKthが求まる。
数AおよびBを求める。これらβ,AおよびBから、式
(4)が決定され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範
囲ΔKthが求まる。
【0025】得られた結果は、データプロット図ととも
に出力装置(CRTディスプレイおよびプリンター)8
において表示および印刷される。
に出力装置(CRTディスプレイおよびプリンター)8
において表示および印刷される。
【0026】非線形最適化の他の方法により疲労亀裂伝
播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求める方法について
説明する。
播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求める方法について
説明する。
【0027】ここでは、式(14)のように回帰し、疲
労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求める。
労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを求める。
【0028】 da/dN=C(ΔK−ΔKth)m ……(14) 式(14)を次のように書き換える。
【0029】 da/dN=C(ΔK−β)m ……(15) ここで、 β=ΔKth ……(16) 式(15)を更に書き換えると、 log da/dN=log C+mlog (ΔK−β) ……(17) となる。ここで、 X=log (da/dN)……(18) Y=log (ΔK−β) ……(19) A=1/m ……(20) B=−log (C)/m ……(21) とおくと、 Y=AX+B ……(22) となる。
【0030】上記式(22)において、βを逐次的に変
えて式(22)の線形回帰を行ってAおよびBを定め、
標準偏差sまたはs2 が最小となるβを求める。βの設
定は上記実施例と同様にして行う。線形回帰の結果を f(X)=AX+B ……(23) とすると、s2 は次の式(24)で与えられる。
えて式(22)の線形回帰を行ってAおよびBを定め、
標準偏差sまたはs2 が最小となるβを求める。βの設
定は上記実施例と同様にして行う。線形回帰の結果を f(X)=AX+B ……(23) とすると、s2 は次の式(24)で与えられる。
【0031】 s2 =[Σ{Yi −f(X)}2 }]/(n−1) ……(24) ここで、n:データの個数, Σ:i=1〜nの総和 上記βが定まると、式(22)の線形回帰を行って、係
数AおよびBを求める。これらβ,AおよびBから、式
(14)が決定され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数
範囲ΔKthが求まる。
数AおよびBを求める。これらβ,AおよびBから、式
(14)が決定され、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数
範囲ΔKthが求まる。
【0032】なお、上記式(4)による最適化法におい
て、βを逐次的に変えて線形回帰を評価する際に、相関
係数rの代わりに標準偏差sを用いてもよい。また同様
に、上記式(14)による最適化法において、βを逐次
的に変えて線形回帰を評価する際に、標準偏差sの代わ
りに相関係数rを用いてもよい。
て、βを逐次的に変えて線形回帰を評価する際に、相関
係数rの代わりに標準偏差sを用いてもよい。また同様
に、上記式(14)による最適化法において、βを逐次
的に変えて線形回帰を評価する際に、標準偏差sの代わ
りに相関係数rを用いてもよい。
【0033】ここで、具体的な数値例について説明す
る。
る。
【0034】図5〜16に示すチタン合金の疲労亀裂伝
播速度データについて、上記式(4)および相関係数r
により、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを
求めた。図6〜16に示す破線は領域IIのパリス則によ
る回帰結果であり、 da/dN=8.7205×10-9ΔK3.3475……(25) と表わされる。
播速度データについて、上記式(4)および相関係数r
により、疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲ΔKthを
求めた。図6〜16に示す破線は領域IIのパリス則によ
る回帰結果であり、 da/dN=8.7205×10-9ΔK3.3475……(25) と表わされる。
【0035】以下、徐々にΔKを下げて行き、領域I の
測定点が1点増すごとに上記式(4)で回帰した結果を
図6〜16に示す。図中の番号は領域I のデータ番号で
ある。これらの図には、式(25)およびその1/3の
da/dNの線をそれぞれ破線と一点鎖線で示す。図1
2が測定値の1個が上記1/3以下に達した状態を示し
ている。このとき、式(4)の回帰結果は da/dN=2.3183×10-9(ΔK3.0704−9.39563.0704) ……(26) となり、 ΔKth=9.3956 ……(27) となる。
測定点が1点増すごとに上記式(4)で回帰した結果を
図6〜16に示す。図中の番号は領域I のデータ番号で
ある。これらの図には、式(25)およびその1/3の
da/dNの線をそれぞれ破線と一点鎖線で示す。図1
2が測定値の1個が上記1/3以下に達した状態を示し
ている。このとき、式(4)の回帰結果は da/dN=2.3183×10-9(ΔK3.0704−9.39563.0704) ……(26) となり、 ΔKth=9.3956 ……(27) となる。
【0036】図13〜16は、更にΔKを下げながら実
験を継続した結果である。図14においても、ΔKth=
9.4099であり、式(27)の結果とほとんど変わ
らない。
験を継続した結果である。図14においても、ΔKth=
9.4099であり、式(27)の結果とほとんど変わ
らない。
【0037】図6〜16の結果から領域I のデータにつ
いて、 n=[式(25)によるda/dN]/[実験によるda/dN]……(28) で定義した亀裂伝播速度の低下率nとΔKthとの関係を
図17に示す。これによると、n≧3のデータが増して
も、ΔKthはほとんど変化しない。したがって、信頼に
足るΔKthを得るためには、測定亀裂伝播速度が回帰式
で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる条件は妥当で
ある。
いて、 n=[式(25)によるda/dN]/[実験によるda/dN]……(28) で定義した亀裂伝播速度の低下率nとΔKthとの関係を
図17に示す。これによると、n≧3のデータが増して
も、ΔKthはほとんど変化しない。したがって、信頼に
足るΔKthを得るためには、測定亀裂伝播速度が回帰式
で求めた亀裂伝播速度の1/3以下となる条件は妥当で
ある。
【0038】この例の場合、No. 7〜10のデータを求
める必要はなく、測定時間は約1/10に短縮される。
める必要はなく、測定時間は約1/10に短縮される。
【0039】
【発明の効果】この発明によれば、測定値が同じであれ
ば常にほとんど同一の結果がえらるので、高い信頼性を
もった測定結果が得られる。また、疲労亀裂伝播下限界
応力拡大係数範囲値近くでの測定値の個数を少なくする
ことができるので、測定時間を大幅に短縮することがで
きる。
ば常にほとんど同一の結果がえらるので、高い信頼性を
もった測定結果が得られる。また、疲労亀裂伝播下限界
応力拡大係数範囲値近くでの測定値の個数を少なくする
ことができるので、測定時間を大幅に短縮することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範
囲の測定方法を実施する手順を示すフローチャートであ
る。
囲の測定方法を実施する手順を示すフローチャートであ
る。
【図2】図1に示す手順において、非線形最適化法を実
施擦る手順を示すフローチャートである。
施擦る手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す測定方法を実施する装置の構成図で
ある。
ある。
【図4】亀裂伝播速度da/dNと応力拡大係数幅ΔK
との関係を模式的に示す線図である。
との関係を模式的に示す線図である。
【図5】応力拡大係数範囲に対する疲労亀裂伝播速度の
測定例を示す線図である。
測定例を示す線図である。
【図6】図5の測定例において、領域IIのデータに回帰
直線を加えた線図である。
直線を加えた線図である。
【図7】図6のデータに1個の測定値が追加された線図
である。
である。
【図8】図6のデータに2個の測定値が追加された線図
である。
である。
【図9】図6のデータに3個の測定値が追加された線図
である。
である。
【図10】図6のデータに4個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図11】図6のデータに5個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図12】図6のデータに6個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図13】図6のデータに7個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図14】図6のデータに8個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図15】図6のデータに9個の測定値が追加された線
図である。
図である。
【図16】図6のデータに10個の測定値が追加された
線図である。
線図である。
【図17】亀裂伝播速度の低下率と応力拡大係数範囲と
の関係を示す線図である。
の関係を示す線図である。
1 試験機 2 I/Oインターフェース 3 制御部 4 記憶装置 5 回帰式演算手段 6 比較手段 7 最適化演算手段 8 出力装置
Claims (1)
- 【請求項1】 亀裂を有する試験片に繰返し荷重を加
え、亀裂長さを測定して応力拡大係数範囲および亀裂伝
播速度を求め、応力拡大係数範囲と亀裂伝播速度とに基
づいて疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を決定する
方法において、応力拡大係数範囲と亀裂伝播速度とがパ
リス則に従う領域で応力拡大係数範囲と亀裂伝播速度と
の回帰式を求め、測定した少なくとも3個の亀裂伝播速
度のうち少なくとも1個は前記回帰式で求めた亀裂伝播
速度の1/3以下となる応力拡大係数範囲およびこれに
対する亀裂伝播速度を含む測定値に基づき非線形最適化
法により疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲を求める
ことを特徴とする疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲
の測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23667192A JPH0682353A (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | 疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲の測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23667192A JPH0682353A (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | 疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲の測定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0682353A true JPH0682353A (ja) | 1994-03-22 |
Family
ID=17004062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23667192A Withdrawn JPH0682353A (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | 疲労亀裂伝播下限界応力拡大係数範囲の測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0682353A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007071657A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Chubu Electric Power Co Inc | 応力拡大係数範囲の履歴測定方法、および亀裂進展性の評価方法 |
JP2007218826A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Toshiba Corp | 応力腐食割れ評価方法および応力腐食割れ評価システム |
JP2010223939A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-10-07 | Osaka Gas Co Ltd | 破壊応力範囲の推定方法 |
CN103884610A (zh) * | 2012-12-21 | 2014-06-25 | 中国直升机设计研究所 | 一种复合材料ii型开裂门槛值与s-n曲线测定方法 |
CN105699218A (zh) * | 2016-01-26 | 2016-06-22 | 清华大学 | 一种在线测量有机玻璃疲劳裂纹扩展的方法 |
CN106066287A (zh) * | 2016-05-24 | 2016-11-02 | 中国航空工业集团公司北京航空材料研究院 | 钛合金疲劳裂纹扩展速率曲线Paris区转折点的判定方法 |
JP2019007838A (ja) * | 2017-06-23 | 2019-01-17 | 健 三堀 | 金属材料の疲労寿命推定方法および疲労寿命推定方法を適用した最適設計方法 |
-
1992
- 1992-09-04 JP JP23667192A patent/JPH0682353A/ja not_active Withdrawn
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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