JPH0681516A - 制振装置における振動エネルギー吸収装置 - Google Patents

制振装置における振動エネルギー吸収装置

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JPH0681516A
JPH0681516A JP23747492A JP23747492A JPH0681516A JP H0681516 A JPH0681516 A JP H0681516A JP 23747492 A JP23747492 A JP 23747492A JP 23747492 A JP23747492 A JP 23747492A JP H0681516 A JPH0681516 A JP H0681516A
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JP
Japan
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vibration
energy absorbing
vibration energy
housing
absorbing device
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Application number
JP23747492A
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English (en)
Inventor
Kazuo Tamura
和夫 田村
Yasuhiro Hayashi
康裕 林
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ワイヤー18を介して伝達される高層ビルの
建屋16の振動エネルギーを吸収してその振動を減衰さ
せるための制振装置17における振動エネルギー吸収装
置15であって、電気粘性流体23を充填したハウジン
グ21と、ハウジング21に配設した固定電極28と、
ハウジング21内の電気粘性流体23内に浸漬した状態
で固定電極28と対向して配設し、ワイヤー18と共に
変位する可動電極29と、固定電極28と可動電極29
とに電圧を印加する電源と、建屋16の振動の大きさを
検出する振動検出手段と、振動検出手段による検出出力
に基づいて固定電極28と可動電極29とに電圧を印加
する電源を制御する制御手段とを具備する構成とした。 【効果】 建屋16の振動状態に応じて振動エネルギー
吸収装置15の減衰力を変化させることができ、制振効
率を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、地震,風等に
より、高層ビル等の構造物に生じる振動を抑制し減衰さ
せるための制振装置に用いるのに好適な振動エネルギー
吸収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、高層ビル,橋梁,大スパン構造
物等の構造物においては、強風や地震動などの外力に対
して安全で、かつ不快でないような応答をすべく設計を
する必要がある。従来の構造物においては、外力に対し
て構造物の剛性によってただ単に耐える(=変形が過大
にならず、生ずる力が限界値以下である)よう設計され
てきた。その結果、構造物自体の減衰は微々たるもので
あった。
【0003】近年、構造物に適用する制振装置として、
その構造物にワイヤー等の引張部材の両端を固定すると
共に、その引張部材の途中にエネルギー吸収装置を設け
た構成のものが提案されている。これは、構造物が振動
した際に生じる変位を引張部材を介してエネルギー吸収
装置に伝達し、そのエネルギー吸収装置によって振動エ
ネルギーを吸収して振動を抑制し減衰させるようにした
ものである。
【0004】このような制振装置における振動エネルギ
ー吸収装置としては、油圧ダンパーが一般的に採用され
ていたが、油圧ダンパーは高層ビル等の制振を行う場合
のように極めて大きな減衰力を必要とする場合には、効
率の良いものではなく、設備が大掛かりになり、設備費
や保守の面で不利であるばかりでなく、作動時のストロ
ーク分を含む十分な設置スペースを確保する必要がある
のでスペース効率がよくないものであった。
【0005】そこで、この出願人は、上記の問題を解決
を図った装置として、図14(a)に示すような、ワイ
ヤー1を介して伝達される構造物2の振動エネルギーを
吸収して、その振動を減衰させるための振動エネルギー
吸収装置3を提供した(特願平2ー303043)。
【0006】振動エネルギー吸収装置3は、図14
(b)に示すように、対の円板4,5がそれらの軸線を
共通として相対回転自在に組み合わされ、かつ、双方の
円板4,5の相互間に減衰材料として粘性流体(例えば
ブタン系の高分子材料等)6が介在された構成とされて
いる。
【0007】構造物2に対して固定される下側の円板4
の外周部上面に2つのリング板7,8が間隔をおいて形
成された環状の収容部9に粘性流体6を保有するように
されている。一方、上側の円板5の外周部下面には、同
様のリング板10が取付けられていて、このリング板1
0の下部が収容部9内の粘性流体6中に没するようにさ
れている。また、円板5はその中心部に軸体11が設け
られており、この軸体11を中心として、構造物2に固
定されている下側の円板4に対して相対回転する構造と
されている。
【0008】上記の構成の振動エネルギー吸収装置3
は、下側の円板4が構造物2に対して固定され、上側の
円板5の軸体11に上記ワイヤー1がスリップすること
のないように巻回されて用いられるものである。これに
より、構造物2の振動による変位に伴ってワイヤー1が
一方に引っ張られると、上側の円板5が下側の円板4に
対して回転することになる。この時、粘性流体6に剪断
抵抗力が発生し、この剪断抵抗力により、振動エネルギ
ーが吸収され、構造物2の振動が減衰される。また、吸
収された振動エネルギーは、粘性流体6の熱となって消
費される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の振動エネルギー吸収装置には、以下のよ
うな問題が存在する。まず、従来の粘性材料6において
は、強い制振作用を得ることができないため、強い外力
に対応するためには、振動エネルギー吸収装置3を多数
設ける必要があり、コストの上昇,スペースの効率の低
下等の問題があり、強い制振作用を得ることのできる減
衰材料が求められていた。
【0010】また、振動エネルギー吸収装置3の減衰力
が、粘性材料6の粘度により決定されてしまうため、構
造物2の振動の状態に応じて、減衰力を変化させること
ができない。本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、強い制振作用を得ることができ、かつ構造
物の振動の状態に応じて減衰力を変化させることができ
る制振装置における振動エネルギー吸収装置を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
ワイヤーを介して伝達される構造物の振動エネルギーを
吸収してその振動を減衰させるための振動エネルギー吸
収装置であって、電気粘性流体が充填されたハウジング
と、該ハウジングに配設された固定電極と、該ハウジン
グ内の前記電気粘性流体内に浸漬された状態で該固定電
極と対向して配設され、前記ワイヤーと共に変位する可
動電極と、前記固定電極と前記可動電極とに電圧を印加
する電源とが具備されていることを特徴としている。
【0012】請求項2に係る発明は、請求項1記載の装
置において、構造物の振動の大きさを検出する振動検出
手段と、該振動検出手段による検出出力に基づいて前記
固定電極と可動電極とに電圧を印加する前記電源を制御
する制御手段とを具備してなることを特徴としている。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明では、構造物の振動による
変位がワイヤーにより振動エネルギー吸収装置に伝達さ
れ、ワイヤーと共に変位する可動電極と、固定電極とに
電源により電圧が印加されることにより、ハウジングに
充填された電気粘性流体の粘度が上昇し、この粘度が上
昇した電気粘性流体の剪断抵抗力により、可動電極の変
位、すなわちワイヤーの変位が制動され、これにより構
造物の振動エネルギーが吸収される。
【0014】請求項2記載の発明では、構造物の振動の
大きさを振動検出手段により検出し、この振動検出手段
による検出出力に基づいて制御部において電源を制御し
て、固定電極と可動電極に印加する電圧を変化させるこ
とにより、振動エネルギー吸収装置の電気粘性流体の粘
度を変化させる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照して
説明する。まず、本発明にかかる制振装置における振動
エネルギー吸収装置を、例えば、高層ビルの制振に用い
る場合の実施例1について説明する。図1は、本発明に
係る振動エネルギー吸収装置15を用いた高層ビルの建
屋(構造物)16を示すものである。建屋16は、平面
視略正方形で、その各側面には、制振装置17,17,
…が配設されている。
【0016】各制振装置17は、建屋16の側面に張設
されたワイヤー18と、建屋16の地下部に設置した振
動エネルギー吸収装置15とから構成されている。
【0017】ワイヤー18は、図1に示したように、そ
の両端部18a,18aが、それぞれ建屋16の上部の
両側部16a,16aに固定されている。ワイヤー18
は、図2および図3に示すように、建屋16の基礎部に
設けられた滑車19,19を介して、正面視X字状とな
るように、地下部に設けられた滑車20,20に架け渡
されている。滑車20,20間に架け渡されたワイヤー
18の中央部には、本発明にかかる振動エネルギー吸収
装置15が設置されている。
【0018】振動エネルギー吸収装置15は、図4に示
すように、建屋16に固定されたハウジング21と、こ
のハウジング21に対向して配設された回転体22とが
相対回転自在とされ、ハウジング21と回転板22との
間には、電気粘性流体23が充填されている。さらに、
ハウジング21と回転体22には図示しない電源により
電圧が印加される概略構造とされている。
【0019】導電性物質で形成された円板状のハウジン
グ21は、絶縁ケース24の底板24aを介して建屋1
6の地下部に固定されている。ハウジング21の中心部
には、ハウジング21に対して鉛直に延在する軸体21
aが形成され、この軸体21aにはベアリング21bが
配設されている。またハウジング21の外周部上面には
複数(本実施例の場合4枚)の筒状のリング板25が、
ハウジング21の軸体21aを中心とした同心円状に、
間隔をおいて形成されている。このリング板25,25
間に形成された環状の収容部26に、電気粘性流体23
が充填されている。一方、導電性物質で形成された上側
の円板状の回転体22の外周部下面には、同様のリング
板27が複数(本実施例の場合3枚)取付けられてい
る。このリング板27の下部は、収容部26内の電気粘
性流体23中に浸漬するようにされている。また、この
回転体22の上面には、ワイヤー18を巻回するプーリ
ー22aが形成されている。
【0020】上記の固定されたハウジング21には固定
電極28が配設され、可動の回転体22には、回転体2
2と共に回転自在な可動電極29とが配設され、前述し
たように、電源(図示なし)から、電圧が印加される構
造となっている。本実施例の場合、ハウジング21の固
定電極28に+電圧が、回転体22の可動電極29にー
電圧が印加されるように配線されている。
【0021】また、振動検出装置(図示なし)が、建屋
16に設けられ、建屋16の振動による振動速度,変形
方向,変形量等を検出する。さらに、電源(図示なし)
には、振動検出装置の検出出力によりハウジング21と
回転体22とに印加する電圧を制御する制御装置が設置
されている。
【0022】ここで、電気粘性流体23について説明す
る。電気粘性流体23は、図5に示すように、高分子有
機材などの絶縁性の液体23a中に、例えば鉄粉などの
誘電性の粒子23bを加えたものである。この電気粘性
流体23は、電圧を印加しない状態においては、図5
(a)に示したように、液体23a中に粒子23bが分
散しており、この状態の電気粘性流体23の粘度は低い
状態である。この電気粘性流体23に電圧を印加する
と、図5(b)に示したように、液体23a中の粒子2
3bが帯電し、粒子23b同士が引き合って結束する。
この粒子23b同士の結束力により、電気粘性流体23
の粘度が上昇する。
【0023】次に、上記の構成の制振装置17における
振動エネルギー吸収装置15の作用について、図1ない
し図5を用いて説明する。上記の構成の振動エネルギー
吸収装置15は、ハウジング21が建屋16に固定さ
れ、回転体22のプーリー22aにワイヤー18がスリ
ップすることのないように巻回されて用いられるもので
ある。したがって、建屋16が振動すると、建屋16の
振動による変位に伴ってワイヤー18が一方に引っ張ら
れ、回転体22が建屋16に固定されたハウジング21
に対して回転することになる。
【0024】この時、振動検出装置(図示なし)によ
り、建屋16の振動による振動速度,変形方向,変形量
等(あるいは、回転体の回転速度,回転変位)を検出す
る。そして、制御部(図示なし)において、この振動検
出装置(図示なし)で検出した検出信号に基づいて決定
した電圧を、電源(図示なし)により固定電極28と可
動電極29とに印加する。すると、ハウジング21の収
容部26内の電気粘性流体23に電圧が印加され、上述
した電気粘性流体23の特性により電気粘性流体23の
粘度が上昇する。これにより、建屋16の振動によりハ
ウジング21に対して回転している回転体22と、電気
粘性流体23との間に剪断抵抗力が発生し、この剪断抵
抗力により振動エネルギーが吸収される。つまり、回転
体22の回転、すなわちワイヤー18の変位が制動さ
れ、建屋16の振動が減衰される。上記のようにして、
制振装置17における振動エネルギー吸収装置15によ
り、建屋16の振動が減衰される。
【0025】上述したように、制振装置17における振
動エネルギー吸収装置15においては、ワイヤー18を
介して伝達される建屋16の振動を、振動エネルギー吸
収装置15により減衰させる。この時、この振動エネル
ギー吸収装置15には、振動エネルギーを吸収する減衰
材料として電気粘性流体23を用いたので、この電気粘
性流体23に電圧を印加することにより、電気粘性流体
23の粘度が上昇する。電気粘性流体23においては、
従来の粘性材料に比較して、十分高い粘度にまでその粘
度を上昇させることができるので、強い制振作用を得る
ことができる。これにより、建屋16の剛性を落とすこ
とができるので、軽量化が図れ、コストを低減すること
ができる。さらに、振動エネルギー吸収装置15を小型
化することができる。また、建屋16の振動状態を振動
検出装置(図示なし)により検出し、この検出出力に基
づいて電源(図示なし)から固定電極28,可動電極2
9に印加する電圧を、制御装置(図示なし)により制御
している。これにより、建屋16の振動状態に応じて、
振動エネルギー吸収装置15の電気粘性流体23の粘度
を電圧量に応じて瞬時に変化させることができ、建屋1
6の振動状態に適した減衰力を瞬時に発揮することがで
きる。また、必要時のみ電圧を印加するので、省エネル
ギー化を図ることができる。さらに振動エネルギー吸収
装置15を、ハウジング21の固定電極28に対し、回
転体22の可動電極29を回転自在としたので、この振
動エネルギー吸収装置15の可動ストロークは無限であ
る。また、回転体22のプーリー22aの径を変更する
ことにより、てこの原理によって、減衰力を変更するこ
とが容易である。
【0026】次に、図6ないし図8を参照して実施例2
を説明する。実施例2においては、実施例1の高層ビル
の建屋16に代えて、橋梁(構造物)31に、本発明に
かかる制振装置における振動エネルギー吸収装置を用い
るようにしたものである。橋梁31は、図6に示すよう
に、橋桁32を2径間以上にわたって連続して架け渡し
た連続橋であって、この橋桁32の上に橋床33が形成
され、この橋床33の上面に道路等が形成された上路橋
である。この橋梁31に、実施例1と同様の構成の制振
装置34が設置されている。
【0027】橋梁31は、図7に示すように、一対の橋
台(図示せず)と、これらの橋台間に設けられた複数の
橋脚35,35,…と、これらの橋脚35,35,…各
々に立設された門型の支柱36,36,…と、これら支
柱36,36間および支柱36と橋台間それぞれに架設
されたトラス構造の橋桁32と、橋桁32の上に形成さ
れた鉄筋コンクリート版等から形成される橋床33とか
ら構成されている。
【0028】制振装置34のワイヤー37は、図7
(a)に示すように、その両端部37a,37aを橋桁
32の幅方向両側部の、橋脚35間の中央付近に固定さ
れている。さらに、ワイヤー37は、図7(b)に示す
ように、支柱36の上端付近に設けられた滑車38,3
8に、側面視X字状となるように、架け渡されている。
また、橋桁32の下面においても同様にして、ワイヤー
37,37が、それぞれ支柱35の下端付近に設けられ
た滑車39,39に架け渡されている。滑車38および
39には、図8に示すように、本発明にかかる振動エネ
ルギー吸収装置15が組み込まれ、図4に示した振動エ
ネルギー吸収装置15のプーリー22aがこの場合滑車
38,39として用いられている。実施例1と同様に、
この振動エネルギー吸収装置15のハウジング21が橋
梁31の支柱36に固定され、回転体22のプーリー2
2aにワイヤー37がスリップすることのないように巻
回されて用いられるものである。また、実施例1と同
様、図示しない振動検出装置,電源,制御装置が、橋梁
31に設けられている。
【0029】次に、上記の構成の制振装置34における
振動エネルギー吸収装置15の作用について説明する。
図7に示した橋梁31が風などを受けると橋梁31は振
動し、この結果橋桁32と支柱36との相対距離が変化
し、この変位により制振装置34のワイヤー37が一方
に引っ張られ、図8に示した滑車38,39に組み込ま
れた振動エネルギー吸収装置15の回転体22が橋梁3
1に固定されたハウジング21に対して回転する。
【0030】この時、実施例1と同様に、振動検出装置
(図示なし)により、橋梁31の振動による振動速度,
変形方向,変形量等(あるいは回転体の回転速度,回転
変位)を検出し、この検出信号に基づいて制御部(図示
なし)で図4に示した振動エネルギー吸収装置15に印
加する電圧を決定し、電源(図示なし)から固定電極2
8と可動電極29とに電圧を印加する。すると、ハウジ
ング21の収容部26内の電気粘性流体23の粘度が上
昇し、回転体22と、電気粘性流体23との間に剪断抵
抗力が発生し、この剪断抵抗力により振動エネルギーが
吸収される。上記のようにして、制振装置34における
振動エネルギー吸収装置15により、橋梁31の振動が
減衰される。
【0031】上記の構成により、橋梁31の制振装置3
4における振動エネルギー吸収装置15においても、実
施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施
例2においては、振動エネルギー吸収装置15を、ワイ
ヤー37を架け渡す滑車39として用いているので、ス
ペースの有効利用を図ることができる。
【0032】次に、図9ないし図12を参照して実施例
3を説明する。実施例3においては、実施例1の高層ビ
ルに代えて、大スパン構造物に本発明にかかる制振装置
における振動エネルギー吸収装置を用いるようにしたも
のである。大スパン構造物(構造物)41は、図9に示
すように、互いに平行に立てられた柱42,42間にト
ラス剛性梁43が架設され、このトラス剛性梁43上に
床板が形成されている。この大スパン構造物41に、実
施例1と同様の構成の制振装置44が設置された概略構
成とされている。
【0033】トラス剛性梁43は、H鋼等からなる上弦
材45、下弦材46と、これらを連結するラチス材47
によりトラス構造に組まれて構成されている。
【0034】制振装置44のワイヤー48は、図10に
示すように、その両端部48a,48aを上弦材45,
下弦材46の長手方向の中央部に固定されている。さら
に、ワイヤー37は上弦材45,下弦材46に設けられ
た中間滑車49,49を介して、正面視X字状となるよ
うに、端部滑車50,50に架け渡されている。そし
て、上弦材45,下弦材46それぞれにおいて、中間滑
車49と端部滑車50との間に架け渡されたワイヤー4
8に本発明にかかる振動エネルギー吸収装置15が設置
されている。また、実施例1と同様、図示しない振動検
出装置,電源,制御装置が、大スパン構造物41に設け
られている。
【0035】中間滑車49,49は、図11に示すよう
に、上弦材45,下弦材46とラチス材47との交差部
に補強材49aを介して設けられている。端部滑車5
0,50は、図12に示すように、柱42と上弦材4
5,下弦材46との交差部近傍に設けられている。ま
た、振動エネルギー吸収装置15は、実施例1と同様
に、ハウジング21が大スパン構造物41の上弦材4
5,下弦材46に固定され、回転体22のプーリー22
aにワイヤー48がスリップすることのないように巻回
されて用いられるものである。
【0036】次に、上記の構成の制振装置44における
振動エネルギー吸収装置15の作用について説明する。
図10に示した大スパン構造物41が上下方向の地震動
等を受けると、大スパン構造物41は上下方向に振動
し、この結果トラス剛性梁43と柱42との相対距離が
変化し、この変位により制振装置44のワイヤー48が
一方に引っ張られ、図12に示した振動エネルギー吸収
装置15の回転体22が大スパン構造物41に固定され
たハウジング21に対して回転する。
【0037】この時、実施例1と同様に、振動検出装置
(図示なし)により、大スパン構造物41の振動による
振動速度,変形方向,変形量等を検出し、この検出信号
に基づいて制御部(図示なし)で振動エネルギー吸収装
置15に印加する電圧を決定し、電源(図示なし)から
固定電極28と可動電極29とに電圧を印加する。する
と、ハウジング21の収容部26内の電気粘性流体23
の粘度が上昇し、回転体22と、電気粘性流体23との
間に剪断抵抗力が発生し、この剪断抵抗力により振動エ
ネルギーが吸収される。上記のようにして、制振装置4
4における振動エネルギー吸収装置15により、大スパ
ン構造物41の振動が減衰される。
【0038】上記の構成により、大スパン構造41の制
振装置44における振動エネルギー吸収装置15におい
ても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0039】なお、上記実施例においては、振動エネル
ギー吸収装置15を、ハウジング21と回転体22とを
対向させて、鉛直方向に延在する回転軸を軸21aを軸
として、相対回転させる構造としたが、以下のような構
造としてもよい。振動エネルギー吸収装置50は、図1
3に示すように、構造物51に固定されたブラケット5
2に、絶縁性の固定板53を介して固定されたハウジン
グ54と、ブラケット52の両側部で鉛直方向に立ち上
げられた立ち上がり部52a,52aに両端部を支持さ
れた回転自在な回転体55とから構成されている。ハウ
ジング54には、仕切板56が間隔をおいて複数形成さ
れ、この仕切板56,56,…間に形成された収容部5
7に電気粘性流体23が充填されている。回転体55
は、その中心部に回転軸58を有し、この回転軸58に
直交する方向に円板59が複数形成されている。回転軸
58には、構造物51に両端部が固定されたワイヤー6
0を巻回するプーリー61が設けられている。ハウジン
グ54と回転体55は、回転軸58の下方において円板
59がハウジング54の収容部57に充填された電気粘
性流体23に浸漬された構成とされている。。さらに、
ハウジング54と回転体55には、それぞれ図示しない
電源から電圧を印加するための電極62が配設されてい
る。また、上記実施例1と同様に構造物51には制御装
置と振動検出装置とが設けられている。上記の構成の振
動エネルギー吸収装置50においても、上記各実施例に
おける振動エネルギー吸収装置15(図4)と同様に、
構造物51の振動が、ワイヤー60を介して伝達される
と、構造物51に固定されたハウジング54に対して、
回転体55が相対回転し、電源から印加される電圧によ
り、電気粘性流体23の粘度上昇により、構造物の振動
エネルギーが吸収される構造となっている。
【0040】また、上記各実施例において、振動エネル
ギー吸収装置15,50を、回転運動を用いた構成とし
たが、設計上必要とされるストロークが十分得られるの
であれば、直線運動を用いる等、他の構成としてもよ
い。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る装
置によれば、ワイヤーを介して伝達される構造物の振動
を、振動エネルギー吸収装置の電気粘性流体に電圧を印
加することにより、電気粘性流体の粘性が上昇して発生
する剪断抵抗力により、減衰させることができる。電気
粘性流体は、電圧を印加することにより、従来の粘性材
料に比較して、十分高い粘度にまでその粘度を上昇させ
ることができるので、強い制振作用を得ることができ
る。これにより、構造物の剛性を落とすことができるの
で、軽量化が図れ、コストを低減することができる。さ
らに、振動エネルギー吸収装置を小型化することができ
る。
【0042】請求項2に係る装置によれば、構造物の振
動状態を振動検出装置により検出し、この検出出力に基
づいて電源から振動エネルギー吸収装置の固定電極,可
動電極に印加する電圧を、制御装置により制御する。こ
れにより、構造物の振動状態に応じて、振動エネルギー
吸収装置の電気粘性流体の粘度を電圧量に応じて瞬時に
変化させ、能動的に構造物の振動状態に適した減衰力を
瞬時に発揮することができ、制振効率を向上させること
ができる。また、必要時のみ電圧を印加するので、省エ
ネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる振動エネルギー吸収装置を用い
た高層ビルを示す概略正面図である。
【図2】本実施例にかかる制振装置の一部を示す正面図
である。
【図3】本実施例にかかる制振装置の一部を示す正面図
である。
【図4】本発明にかかる振動エネルギー吸収装置の平面
図および正面図である。
【図5】本発明にかかる振動エネルギー吸収装置に用い
る電気粘性流体の特性を示す図である。
【図6】本発明にかかる振動エネルギー吸収装置を用い
た橋梁を示す概略斜視図である。
【図7】本発明にかかる制振装置における振動エネルギ
ー吸収装置を示す正面図および側面図である。
【図8】本実施例にかかる制振装置の一部を示す斜視図
である。
【図9】本発明にかかる振動エネルギー吸収装置を用い
た大スパン構造物を示す概略正面図である。
【図10】本発明にかかる制振装置における振動エネル
ギー吸収装置を示す正面図である。
【図11】本実施例にかかる制振装置の一部を示す正面
図である。
【図12】本実施例にかかる制振装置の一部を示す正面
図である。
【図13】本発明にかかる制振装置における振動エネル
ギー吸収装置の他の一実施例を示す斜視図である。
【図14】従来例を示す図である。
【符号の説明】
15,50 振動エネルギー吸収装置 16 建屋(構造物) 17,34,44 制振装置 18,37,48 ワイヤー 21,54 ハウジング 23 電気粘性流体 28 固定電極 29 可動電極 31 橋梁(構造物) 41 大スパン構造物(構造物) 51 構造物 54 ハウジング 62 電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤーを介して伝達される構造物の振
    動エネルギーを吸収してその振動を減衰させるための振
    動エネルギー吸収装置であって、電気粘性流体が充填さ
    れたハウジングと、該ハウジングに配設された固定電極
    と、該ハウジング内の前記電気粘性流体内に浸漬された
    状態で該固定電極と対向して配設され、前記ワイヤーと
    共に変位する可動電極と、前記固定電極と前記可動電極
    とに電圧を印加する電源とが具備されていることを特徴
    とする制振装置における振動エネルギー吸収装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、構造物の
    振動の大きさを検出する振動検出手段と、該振動検出手
    段による検出出力に基づいて前記固定電極と可動電極と
    に電圧を印加する前記電源を制御する制御手段とを具備
    してなることを特徴とする制振装置における振動エネル
    ギー吸収装置。
JP23747492A 1992-09-04 1992-09-04 制振装置における振動エネルギー吸収装置 Pending JPH0681516A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09264492A (ja) * 1996-03-28 1997-10-07 Sanwa Tekki Corp 電気粘性流体制振装置
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