JPH0681294B2 - 映像信号記録再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は映像信号記録再生装置に係り、映像信号（特に
輝度信号）の垂直方向の空間周波数に対してプリエンフ
アシス特性を付与して記録媒体に記録し、再生時は再生
映像信号の垂直方向の空間周波数に対してデイエンフア
シス特性を付与して雑音が低減されたもとの映像信号を
復元する映像信号記録再生装置に関する。

従来の技術 VTR等の映像信号記録再生装置において、映像信号（特
に輝度信号）は周波数変調（FM）されて記録媒体に記録
され、再生時は記録媒体から再生されたFM映像信号がFM
復調されてもとの波形の再生映像信号とされる。ここ
で、FM映像信号は高域周波数成分ほど信号対雑音比（S/
N）が劣化するので、記録系に設けたプリエンフアシス
回路により高域周波数成分をレベル増強してその周波数
に対する変調度を高めることによつて高域周波数のS/N
を改善することができる。なお、再生映像信号を原信号
波形に復元するために、プリエンフアシス特性と相補的
な特性をもつデイエンフアシス回路が再生系に設けられ
ることは周知の通りである。

しかるに、上記従来のプリエンフアシス回路やデイエン
フアシス回路は、同じ水平走査期間の信号間でプリエン
フアシスやデイエンフアシスを行なつており、（これを
便宜上、「水平エンフアシス」というものとする）、画
面水平方向の高周波数の雑音しか低減することができ
ず、雑音低域効果をより一層高めるには、クリツプ回路
のクリツプを深くかけざるを得なかつた。しかし、プリ
エンフアシス回路は映像信号の高域周波数成分をレベル
増強するから、その出力映像信号波形にはオーバーシユ
ートやアンダーシユートが発生し、これがクリップを深
くかけるようにした上記クリツプ回路によつてクリツプ
され、波形の立上り，立下りのエツジにおいて何らかの
画質劣化を伴うという問題点があつた。

そこで、本出願人は先に特願昭58-18567号，特願昭58-1
38873号等により、第５図に示す如き映像信号記録再生
装置を提案した。同図中、入力端子10に入来した映像信
号（例えば輝度信号）は垂直方向プリエンフアシス回路
11に供給され、ここで画面垂直方向の空間周波数の高域
成分が低減成分に比し相対的にレベル増強された特性を
付与される。この垂直方向プリエンフアシス回路11より
取り出された映像信号は、クランプ回路12によりシンク
チツプが一定電位にクランプされた後プリエンフアシス
回路13に供給され、ここで従来と同じ水平プリエンフア
シス特性が付与され、更にクリツプ回路14に供給され、
所定値よりも大レベルの振幅部分と所定レベルよりも小
レベルの部分とが夫々クリツプされる。クリツプ回路14
の出力映像信号は周波数変調器15で周波数変調されてFM
映像信号とされた後記録増幅器16を通して記録ヘツド17
に供給され、これにより磁気テープ18a上に記録され
る。

再生時は磁気テープ18bの既記録FM映像信号が再生ヘッ
ド19により再生された後、再生増幅器20,リミツタ21,FM
復調器22,デイエンフアシス回路23及び低域フイルタ24
を夫々経て、垂直方向デイエンフアシス回路25に供給さ
れる。垂直方向デイエンフアシス回路25は入力信号に対
してその画面垂直方向の空間周波数の高域成分が低域成
分に比し相対的にレベル減衰された特性であつて、垂直
方向プリエンフアシス回路11の特性と相補的な特性を付
与して、出力端子26へもとの波形に復元された再生映像
信号として出力する。垂直方向プリエンフアシス回路11
及び垂直方向デイエンフアシス回路25を従来より公知の
記録再生回路に付加した上記の提案装置によれば、従来
の水平エンフアシスに比し、より低い周波数（水平方向
の空間周波数）に亘つてまで記録再生される映像信号中
の雑音を低減することができ、またこれと関連してクリ
ツプ回路のクリツプレベルをあまり深くかけなくとも良
くなり、従来に比し波形の立上り，立下りのエツジにお
ける画質劣化を少なくすることができる。

発明が解決しようとする問題点 しかるに、上記の提案装置はライン相関性を利用してい
るため、映像期間の映像信号部分に対しては略所期の効
果を奏するが、垂直帰線消去期間の冒頭付近や垂直同期
信号の冒頭付近とその各1H（Ｈは水平走査期間）前の信
号部分とはライン相関性が無いため、垂直方向プリエン
フアシス回路11の出力映像信号の垂直帰線消去期間の冒
頭付近や垂直同期信号の冒頭付近の振幅はプリエンフア
シスが強くかかるために入力映像信号のそれよりも大と
なる。すると、シンクチツプレベルが本来のレベルより
も下がることになり、クランプ回路12がこれを一定レベ
ルにクランプすると映像信号全体のレベルが上がり、ク
リップ回路14をダーククリツプ回路と共に構成するホワ
イトピーククリツプ回路によつてクリツプされる量が増
大し、棄てられる映像情報が増え、画面上部の映像の画
質が劣化するという問題点があつた。また、画面上で例
えば右斜め下方向のエツジ部分を示す映像信号部分は、
水平方向，垂直方向ともに相関がなく、プリエンフアシ
ス量が多く、もともとホワイトクリツプ回路でクリツプ
される量が多いが、上記のクランプによる映像信号レベ
ル全体の上昇によつて、更に一層クリツプされる量が増
えてしまい、上記提案装置による斜め下方向のエツジの
S/N改善効果が薄れてしまうという問題点もあつた。

更に、垂直方向プリエンフアシス回路11と垂直方向デイ
エンフアシス回路25の両特性の相補正が悪い場合は、垂
直帰線消去期間の波形が完全に復元されず、垂直同期が
流れ、また垂直同期信号に基づくサーボ動作を行なうサ
ーボ回路ではサーボ動作が不安定となるという問題点が
あつた。

そこで、本発明は上記の垂直方向プリエンフアシス回路
及び垂直方向デイエンフアシス回路の動作を、少なくと
も垂直帰線消去期間は実質的に休止せしめることによ
り、上記の問題点を解決した映像信号記録再生装置を提
供することを目的とする。

問題点を解決するための手段及び作用 本発明は、前記の本出願人の提案になる映像信号記録再
生装置における垂直方向プリエンフアシス回路及び垂直
方向デイエンフアシス回路に対して、各回路への入力映
像信号の垂直帰線消去期間を少なくとも含む周期的な一
定期間はその動作を実質的に休止せしめて各々の入力映
像信号をそのまま出力せしめ、上記一定期間以外の期間
は上記各回路の出力信号を夫々取出して出力する手段を
設けたものである。

上記手段によつて、垂直方向プリエンフアシス回路は上
記一定期間は入力映像信号をそのまま出力するから、そ
の出力映像信号の垂直帰線消去期間の冒頭付近や垂直同
期信号の冒頭付近において、前記提案装置に生じていた
アンダーシユートなどは全く生じない。以下、本発明の
一実施例について第１図乃至第４図と共に説明する。

実施例 第１図は本発明装置の一実施例のブロツク系統図を示
す。同図中、第５図と同一構成部分には同一符号を付
し、その説明を適宜省略する。第１図において、入力端
子10に入来した映像信号は二分岐され、一方は垂直方向
プリエンフアシス回路11を通してスイツチ回路27の端子
27aに印加され、他方はスイツチ回路27の端子27bに直接
に供給される。垂直方向プリエンフアシス回路11は前記
した本出願人の提案になる映像信号記録再生装置にて開
示したプリエンフアシス回路をすべて使用できる。例え
ば、第３図及び第４図は夫々上記の提案装置にて開示し
たプリエンフアシス回路の各例のブロツク系統図を示
す。第３図において、入力端子33に入来した記録される
べき映像信号（特に輝度信号）は減算回路35の一方の入
力端子に供給される一方、加算回路34を通して遅延回路
36に供給される。遅延回路36は１水平走査期間（1H）又
はそれよりも若干異なる1H近傍の一定期間の遅延時間特
性を有している。この遅延回路36より取り出された遅延
映像信号は係数Ｐ_１（ただしＰ_１＜１）を乗ずる係数回
路（減衰回路）37により減衰されてから加算回路34に供
給され、ここで入力端子33よりの映像信号と加算合成さ
れた後、再び遅延回路36に供給される。また加算回路34
の出力映像信号は係数Ｐ_２を乗ずる係数回路38を通して
減算回路35の他方の入力端子に供給される。

減算回路35は入力端子33よりの入力映像信号から係数回
路38の出力映像信号を差し引く動作を行ない、それによ
り得た映像信号を出力端子39へ出力する。この出力端子
39へ出力される映像信号は、遅延回路36の遅延時間τを
1Hに選定した場合は、画面内の任意の一点で表示される
信号に対し、画面垂直方向の1H,2H,…,nH前の信号を少
しずつ減算された信号であり、これにより第３図に示す
プリエンフアシス回路は入力映像信号の振幅に無関係に
画面垂直方向の空間周波数の高域成分が低域成分に比し
増強された特性を有する。

次に第４図に示す垂直方向プリエンフアシス回路11の他
の例の動作につき説明するに、第３図と同一構成部分に
は同一符号を付し、その説明を省略する。第４図におい
て、係数回路40は加算回路34の出力信号に対して係数Ｋ
_２を乗じて減算回路35へ出力する回路で、第３図の係数
回路38に相当する。係数回路40の係数Ｋ_２は例えば約0.
24に選定されている。

減算回路35より取り出された映像信号（ここでは輝度信
号）は、非直線回路41に供給される。非直線回路41は例
えば入力信号の振幅を一定値に制限する振幅制限器であ
り、この一定値よりも小なる振幅の入力信号に対しては
振幅制限を行なうことなくそのまま通過出力させるよう
構成されている。非直線回路41より取り出された映像信
号は、係数回路42により係数Ｋ_３（例えば約1.3）を乗
じられた後加算回路43に供給され、ここで入力端子26よ
りの映像信号（ここでは輝度信号）と加算された後出力
端子44へ出力される。この出力端子44の出力信号は、入
力映像信号に対して、その垂直方向の空間周波数の高域
成分が低域成分に比し、入力映像信号の振幅に応じて相
対的にレベル増強された非直線プリエンフアシス特性が
付与された映像信号である。

上記の如き構成の垂直方向プリエンフアシス回路11の入
力映像信号が明度一定の第２図（Ａ）に示す如き信号波
形であるものとすると、そのときの垂直方向プリエンフ
アシス回路11の出力映像信号波形は前記した如くライン
相関のない信号部分においてオーバーシユート又はアン
ダーシユートが生じた、第２図（Ｂ）に示す如き波形と
なる。ここで、第２図（Ａ）〜（Ｄ）は１フイールド
（１垂直走査周期）単位で信号波形を図示してあり、第
２図（Ａ）中a₁，a₂は垂直同期信号を示し、またV.BLK
は垂直帰線消去期間を示す。また、第２図（Ｂ）に示す
被プリエンフアシス映像信号波形において、一点鎖線Ｉ
はクランプ回路12でシンクチツプレベルとしてクランプ
されてしまうレベルを示し、また破線IIはホワイトピー
ククリツプ回路のクリツプレベルを示す。

再び第１図に戻つて説明するに、入力端子28には入力映
像信号のフイールド毎に反転する対称方形波が入来す
る。この対称方形波としては、この記録再生装置がヘリ
カルスキヤンニング方式VTRである場合は、周知の手段
によつて生成されたヘツドスイツチングパルスを用い得
る。スイッチングパルス発生回路29は入力端子28よりの
対称方形波から、入力映像信号の垂直帰線消去期間を少
なくとも含む一定期間Ｔのパルス幅をもつ第２図（Ｃ）
に示す如きスイツチングパルスを発生する回路で、例え
ば単安定マルチバイブレータ等から構成することができ
る。このスイツチングパルスはスイツチ回路27に印加さ
れ、これをそのハイレベル期間は端子27bの入力選択出
力状態とし、そのローレベル期間は端子27aの入力選択
出力状態とするようにスツチング制御する。

これにより、スイツチ回路27は上記一定期間Ｔは入力端
子10に入来した第２図（Ａ）に示す映像信号をそのまま
選択出力し、それ以外の期間（第２図（Ｃ）に示すスイ
ツチングパルスのロールレベル期間）は垂直方向プリエ
ンフアシス回路11から取り出された映像信号を選択出力
する。従つて、スイツチ回路27の出力映像信号は第２図
（Ｄ）に示す如くになり、垂直帰線消去期間内ではオー
バーシユートやアンダーシユートの無い信号波形とな
る。従つて、この出力映像信号が次段のクランプ回路12
に供給され、ここでシンクチツプベルがクランプされて
も、映像信号全体のレベルが上るということはない。

次に再生時の動作につき説明するに、低減フイルタ24よ
り取り出された再生映像信号は二分岐され、一方は垂直
方向デイエンフアシアス回路25を通してスイツチ回路30
の端子30aに印加され、他方はスイツチ回路30の端子30b
に直接印加される。このスイツチ回路30もスイツチ回路
27と同様にして第２図（Ｃ）に示す如きスイツチングパ
ルスによつてスイツチング制御される。垂直方向デイエ
ンフアシス回路25の構成は、垂直方向プリエンフアシス
回路11として第３図に示す如き回路を使用した場合は第
３図と基本的に同じ回路構成であるが、減算回路35に相
当する回路が加算回路となり、かつ、係数回路37,38に
相当する係数回路の係数が記録時と異なる所定の値とさ
れる点だけが異なる。また、垂直方向プリエンフアシス
回路11として第４図に示す如き回路を使用した場合は、
垂直方向デイエンフアシアス回路25は第４図と略図一回
路構成のものが使用されるが、第４図と異なる点は加算
回路43の代りに減算回路が使用され、かつ、係数回路3
7,40,42に相当する係数回路の係数が所定の値に選定さ
れる。

スイツチ回路30より取り出される映像信号は前記一定期
間Ｔは低域フイルタ24の出力信号であり、それ以外の期
間は垂直方向デイエンフシアス回路25から取り出された
映像信号であり、すべての期間に亘つてもとの波形に略
復元された再生映像信号として出力端子31へ出力され
る。

なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではな
く、例えばクランプ回路がプリエンフアシス回路13とク
リツプ回路14との間に設けられている記録再生装置にも
適用することができる。また、スイツチ回路27,30を用
いているが、垂直帰線消去期間信号を別途生成してすげ
替えたり、あるいは第４図に示す如き構成の垂直方向プ
リエンフアシス回路11の場合は減算回路35の出力差分信
号を前記一定期間Ｔのみミユートしたり、更には垂直方
向プリエンフアシス回路11,垂直方向デイエンフアシア
ス回路25のいずれも前記一定期間Ｔのみその動作用電源
を切断して動作を停止させる等々、要は実質的に一定期
間Ｔだけ動作を休止させるようにすればよい。

更に、本発明はプリエンフアシス，デイエンフアシアス
特性は、完全な垂直方向のみならず、斜め方向（これは
垂直方向と水平方向の両方やつていることと等価）な
ど、垂直帰線消去期間内の信号に悪影響をもたらすエン
フアシス全般に適用できる。また、更に、垂直方向プリ
エンフアシス回路11,垂直方向デイエンフアシアス回路2
5として第４図に示す如き回路構成の非直線特性を有す
る回路のいずれか一方だけを備えた記録再生装置におい
ては、映像信号の振幅はそれほど強調されて記録再生さ
れないから、現行のVTRにより記録された磁気テープか
ら再生した搬送色信号を非直線デイエンフアシアス回路
を通しても実用上殆ど問題なく原信号波形に再生するこ
とができ、他方、本発明装置により記録された磁気テー
プも、現行のVTRによつて実用上殆ど問題なく原信号波
形に再生することができ、よつて現行のVTRと互換再生
ができる。

発明の効果 上述の如く、本発明によれば、ホワイトピーククリツプ
回路によつてクリツプされる情報量を減少することがで
き、右斜め下方向のエツジ等のライン相関のない映像信
号部分の波形も波形の復元性を良くすることができ、ま
た画面上部の画質劣化がなくなり、更に垂直同期信号に
対しては垂直方向プリエンフアシス，デイエンフアシア
スを行なわないから、画面の垂直同期が流れることはな
く、これによりモニタ，測定器（S/Nメータ）等への影
響をなくすことができると共にサーボ動作も不安定とな
ることはない等の数々の特長を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示すブロツク系統図、
第２図は第１図図示ブロツク系統の動作説明用信号波形
図、第３図及び第４図は夫々垂直方向プリエンフアス回
路の各例を示すブロツク系統図、第５図は本出願人が先
に提案した映像信号記録再生装置の一例を示すブロツク
系統図である。 10,33……映像信号入力端子、11……垂直方向プリエン
フアシス回路、13……プリエンフアシス回路、14……ク
リツプ回路、15……周波数変調器、22……FM復調器、23
……デイエンフアシス回路、25……垂直方向デイエンフ
アシス回路、26,31……再生映像信号出力端子、27,30…
…スイツチ回路、28……ヘツドスイツチングパルス入力
端子、29……スイツチングパルス発生回路、36……遅延
回路、41……非直線回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】映像信号の垂直方向の空間周波数の高域成
   分が、低減成分に比して入力映像信号の振幅に無関係
   に、又は入力映像信号の振幅に応じて相対的にレベル増
   強された特性を付与する垂直方向プリエンファシス回路
   を少なくとも通した映像信号を記録媒体に記録すると共
   に、該記録媒体から再生された信号を上記垂直方向プリ
   エンファシス回路と相補的な特性に選定された垂直方向
   ディエンファシス回路を少なくとも通してもその波形に
   復元された再生映像信号を得る映像信号記録再生装置で
   あって、 上記垂直方向プリエンファシス回路及び垂直方向ディエ
   ンファシス回路に対して、該各回路への入力映像信号の
   垂直帰線消去期間を少なくとも含む周期的な一定期間は
   その動作を実質的に休止せしめて各々の入力映像信号を
   そのまま出力せしめ、上記一定期間以外の期間は上記各
   回路の出力信号を夫々取出して出力する手段を設けたこ
   とを特徴とする映像信号記録再生装置。