JPH06809A - 無機質成形体の硬化方法 - Google Patents

無機質成形体の硬化方法

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JPH06809A
JPH06809A JP16273192A JP16273192A JPH06809A JP H06809 A JPH06809 A JP H06809A JP 16273192 A JP16273192 A JP 16273192A JP 16273192 A JP16273192 A JP 16273192A JP H06809 A JPH06809 A JP H06809A
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molded body
curing
resin film
resin
sealed
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JP16273192A
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Seiichiro Nakamoto
政一郎 仲本
Hiromi Sakota
博美 迫田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B2111/00129Extrudable mixtures
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Abstract

(57)【要約】 【目的】白華の生じることのない無機質成形体の硬化方
法を提供する。 【構成】原料として、ポルトランドセメント100重量
部、フライアッシュ40重量部、ウォラストナイト30
重量部、ポリプロピレン繊維3重量部、メチルセルロー
ス3重量部、水50重量部の混合混練物を用いた。この
原料を用いて、成形機により厚さ13mm、幅300m
mの成形体12を押し出した。厚さ100μm、幅70
0mmのポリエチレンフィルムで成形体12を密閉し
た。これを養生温度60℃、養生時間8時間養生して無
機質硬化体を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木建築材として使用
する化粧材、外装材、エクステリア材等の、白華を発生
させることのない無機質成形体の硬化方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】化粧材、外装材、エクステリア材等、土
木建築材として、セメント・コンクリートを使用した無
機質製品は市場で年々増加しており、押出成形により水
硬性無機質成形体(以下、成形体という)を成形し、そ
の成形体を養生して硬化させた無機質硬化体も増加して
いる。
【0003】しかし、この無機質硬化体は、成形体の養
生の過程でエフロレッセンス(以下、白華という)が発
生し、外観を損なうので、外観を重視する製品にあって
は大きな問題になっている。
【0004】白華は、セメント中の遊離石灰(CaO)
が水と反応して生じたCa(OH) 2 、或いはセメント
の主要構成鉱物である珪酸カルシウムが水和反応して生
じたCa(OH)2 やNa2 SO4 、K2 CO3 、Ca
SO4 等を生成して白く汚れた付着物となったものであ
るといわれている。
【0005】白華防止対策としては、従来、色々の方法
が考えられてきた。その具体例としては、例えば、成形
体中の白華成分となる遊離石灰やCa(OH)2 を固
定、即ち、不溶化又は表面への溶出や移行を防止するた
めに各種の添加剤を配合したり、成形体の表面に塗装し
たり、白華のアルカリ成分を固定するための表面処理、
コーティング等する方法等が知られている。
【0006】アルカリ成分の不溶化、又は成形体の内部
構造の緻密化によるアルカリ成分の表面への溶出、移行
を防止したり、撥水処理により成形体中への水分浸入を
防止し、アルカリ可溶成分の表面への溶出を防止したり
して、白華を防止するタイプの市販の白華防止剤がある
が、これらについて実際に試験してみたところ、殆どの
ものが養生の過程で成形体の表面に白華を発生した。
【0007】勿論、成形体の表面に、樹脂液を塗布する
ことにより白華の防止は可能であるが、コスト面で問題
がある。
【0008】又、例えば、特開昭56─169033号
公報に記載の如く、硬化前の成形体の表面に、樹脂液を
塗布してトップコートを容易にし、裏面に油を塗布して
成形体移動時の滑りをよくした状態で養生を行う方法が
提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この場合、表面の樹脂
液塗布部と、裏面の油塗布面の境界における、被膜の形
成が困難であり、又、成形体中のアルカリ成分が表面に
移行するのを防止する効果も期待することができない。
【0010】しかして、白華の発生する現象のメカニズ
ムを追求した結果、次の知見を得た。即ち、普通セメン
トの凝結、硬化、即ち水和反応に必要な水分は、理論的
にはセメント100重量部に対して20重量部程度であ
るといわれているが、実際には骨材等を添加するためそ
の吸水量や押出し成形性を考慮して40〜150重量部
にも及んでいる。
【0011】従って、水和の過程で余分な水分は蒸発乾
燥することになり、この時余分な水に溶解された白華の
発生の原因となるアルカリ成分も成形体の表面に溶出さ
れたり、又、無機構造体中の微細な隙間の毛細管現象等
で表面に析出する等で白華を誘発する。特に、凝結の進
んでいない段階では、成形体の内部の構造も密になって
おらず、水の出入りは容易であり、養生すると成形体内
部の水分の移動蒸発は激しくなる。
【0012】成形体の養生は、通常密閉養生庫内で蒸気
養生により行われるが、実際は養生庫の密閉は困難であ
り、湿度100%を維持することも困難である。又、1
00℃の高温度で成形体の蒸気養生を行うと、ひび割れ
たり、変形したり、強度が低下した無機質硬化体しか得
られないので、一般に60〜80℃程度の低温にて蒸気
養生が行われる。
【0013】このため、養生庫内の養生中の表面温度が
60〜80℃の成形体の表面に接触した水蒸気はすぐに
冷却され、成形体の表面に水溜まりとなって存在する。
養生庫内には生蒸気が2〜3箇所から生蒸気が供給され
る反面、結露により消費されるので、養生庫内の湿度を
100%に維持することができない。
【0014】そして、養生庫内の成形体はその周囲の湿
度が100%に満たない状態の中で蒸気養生される。成
形体が凝結、硬化していく蒸気養生の過程で、成形体中
の水分は蒸発によって成形体中の白華の原因となるアル
カリ成分を多量に溶解、溶出した状態でその表面に噴き
出すので、硬化が終了した時点で、その表面に白華現象
が発現する。
【0015】本発明は、上記の如き白華現象の生じるメ
カニズムを追求した知見に基づき、上記の如き従来の問
題点を解消し、白華の生じることのない無機質成形体の
硬化方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、成形体を樹脂膜にて密封した後、養生せしめる無機
質成形体の硬化方法である。
【0017】本願の請求項2の発明は、成形体を押出機
より連続的に押し出しつつ、その成形体の周囲を長手方
向に沿って連続的に樹脂膜にて覆って密閉し、且つその
上から所望長毎に幅方向に沿って押圧して樹脂膜を密接
し、その密接と同時又は密接後樹脂膜間を融着して、成
形体を密封し、密封した状態で成形体を養生せしめる無
機質成形体の硬化方法である。
【0018】本発明において、成形体用の原料として
は、水硬性無機物質、水、必要に応じて水溶性高分子、
補強繊維、無機充填材等からなる。
【0019】水硬性無機物質は、水を添加して練った状
態にて硬化性を示す無機物質であれば特に限定されるこ
となく使用でき、例えば、普通ポルトランドセメント、
特殊・ポルトランドセメント、アルミナセメント等の単
味セメント、耐酸セメント、耐火セメント、水ガラスセ
メント等の特殊セメント等のセメント系材料が挙げられ
るが、特に強度、耐水性の点で普通ポルトランドセメン
トが好適に使用される。
【0020】水溶性高分子は、水に溶解して粘性を示
し、混合物の流動性を高めて賦形性を良好なものとする
ならば特に限定されることなく使用することができ、例
えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース等のセルロースエーテル、ポリビニル
アルコール、ポリアクリル酸等が使用される。
【0021】水溶性高分子は、水硬性無機物質100重
量部に対して、10重量部以下を含有することが望まし
い。含有量が10重量部を超える場合には、粘度が高い
ため、成形体の押出成形性に劣る傾向がある。
【0022】補強繊維は、無機質硬化体の曲げ強度や耐
衝撃強度を向上させるのに用いられ、例えば、有機繊
維、パルプ、金属繊維等が使用される。有機繊維として
は、例えば、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、カーボン、アラミド等の耐アルカリ性の素材が使用
される。パルプの種類は特に限定されないが、成形体の
硬化に悪影響を与えない古紙パルプが好適に使用され
る。補強繊維の含有量は、水硬性無機質物質100重量
部に対して、10重量部以下を含有することが望まし
い。含有量が10重量部を超える場合には、成形体中の
補強繊維の分散性が悪くなり、無機質硬化体の強度が低
下する傾向がある。
【0023】無機充填材は、例えば、フライシッシュ、
マイクロシリカ、シリカヒューム、球形ケイ酸カルシウ
ムが好適に使用される。無機充填材の含有量は、水硬性
無機物質100重量部に対して、10〜100重量部が
好ましい。含有量が10重量部未満の場合には、成形体
の成形性に劣る傾向があり、逆に、100重量部を超え
る場合には、無機質硬化体の強度が低下する傾向があ
る。
【0024】本発明において、連続的に押し出される成
形体を長手方向に沿って連続的に樹脂膜にて覆う方法と
しては、予めフィルム状に成形した樹脂フィルムを用い
て、連続的に押し出される成形体の上面、下面及び横面
を包み込むようにして覆う方法や、連続的に押し出され
る成形体の下面を予めフィルム状に成形した樹脂フィル
ムで覆い、横面及び上面は樹脂液を塗布してこれを乾燥
させて被膜を形成することにより覆う方法等が挙げられ
る。
【0025】予めフィルム状に成形した樹脂フィルムと
しては、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、オレフィン系
樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン、PET等か
らなるフィルムが使用されるが、その他加熱融着又は接
合シールできれば何でもよく、特に樹脂の種類は限定さ
れない。しかし、価格、加熱シール作業の面及び簡単に
入手できるという点から、ポリオレフィン系樹脂や軟質
塩化ビニル系樹脂からなるフィルムが好適に使用され
る。
【0026】樹脂フィルムの肉厚は、10〜200μm
が好適である。10μm未満の場合には、破損し易い傾
向があり、200μmを超える場合には、経済性が悪
く、又、作業性が悪くなる傾向がある。輸送時、保管時
の無機質硬化体の保護をも期待するのであれば、100
〜200μmが特に好適である。
【0027】連続的に押し出される成形体の上下横面を
包み込むようにして覆い密閉する方法としては、成形体
の下面に広幅の樹脂フィルムを当接し、成形体の前進と
ともに次第に横上面を覆っていき、その側端縁部同士を
重ね合わせて密閉する方法等が採用される。
【0028】この樹脂フィルムの重ね合わせ部の密閉方
法としては、例えば、加熱融着機を用いて樹脂の融点以
上に加熱押圧して加熱融着させたり、塩化ビニル系、ア
クリル系、ゴム系、その他使用する樹脂フィルムと同系
列の溶剤タイプ接着等で接着させたりする方法が採用で
きる。尚、樹脂フィルムの接合は、軟質塩化ビニル系樹
脂や塩化ビニリデン系樹脂等の極性のある樹脂フィルム
である場合には、高周波融着も有効である。
【0029】連続的に押し出される成形体の下面に予め
フィルム状に成形した樹脂フィルムで覆い、横面及び上
面は樹脂液を塗布してこれを乾燥させて被膜を形成する
ことにより覆い密閉する方法としては、成形体の横面及
び上面に樹脂液を、例えばスプレーガンにより吹き付
け、必要に応じて赤外線加熱又は熱風を吹き付けて乾燥
させ、被膜を形成させて下面を覆った樹脂フィルムとの
間で密閉する方法等を採用することができる。
【0030】成形体の下面を覆う樹脂フィルムとしては
用の樹脂としては、軟質塩化ビニル樹脂、マレイン酸等
による酸変性のポリオレフィン系、塩化ビニリデン樹脂
系、塩化ビニリデン─塩化ビニル共重合体、塩化ビニル
─酢酸ビニル共重合体、その他樹脂液を塗布して被膜を
形成する樹脂と同じ系統で密着性の良いフィルムを使用
する。樹脂フィルムの肉厚は前記の樹脂フィルムの場合
と同じである。
【0031】スプレーする樹脂液中の樹脂としては、例
えば、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニリデン─塩化ビ
ニル共重合体、軟質塩化ビニル系樹脂、フッ化ビニリデ
ンエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニル
─酢酸ビニル共重合体、アクリル─塩化ビニル共重合
体、アルリル系エマルジョン、ブチルアクリレート─ア
クリルニトリル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、ナイロン、スチレン─ブタジエン共重
合体ゴム、エチルセルローズ系等や、その他にも市販の
ストッパブルペイントが使用される。この中で、塩化ビ
ニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニリデン─
塩化ビニル共重合体が好適に使用される。
【0032】樹脂液を塗布乾燥させて形成する被膜の肉
厚は、成形体の内部の水分の蒸発を防ぐためには、20
〜50μmが好適であるが、硬化後の無機質成形体の輸
送時の保護膜の機能も兼ねさせるには、100〜200
μmが好適である。樹脂フィルムと被膜とからなる樹脂
膜により、成形体は密閉されるので、両者間を特に加熱
融着させたり、接着剤を用いて接着したりする必要はな
い。
【0033】これらの方法により、成形体の周囲を長手
方向に沿って連続的に樹脂膜にて覆ったものを、その上
から所望長毎に、成形体を押しのけるようにして幅方向
に沿って押圧して樹脂膜を密接させ、その樹脂膜間を加
熱融着して、その融着部の中央を幅方向に沿ってカット
し、樹脂膜で密封した成形体を得る。これを次の養生工
程に送る。この際、加熱融着機により押圧と加熱融着を
同時に行ってもよいし、押圧具により押圧した後加熱融
着機により加熱融着するようにしてもよい。
【0034】養生は、通常、密閉養生庫内で、温度60
〜80℃の低温で6時間〜1日程度行われる。この際、
樹脂膜にて密封された内部の成形体表面から蒸発した水
分は、密封された樹脂膜内で飽和し、養生温度に対応す
る飽和蒸気圧と平衡状態になると、成形体の内部からの
水分蒸発は押さえられ、白華の発生が完全に押さえられ
る。又、成形体は湿度の高い状態で保持された多湿養生
が行われ、水和反応も早く進み、強度発現も早くなる。
【0035】成形体を密封する樹脂膜は、成形体の養生
中に成形体内の水分の蒸発を防止する機能の他に、養生
後の無機質硬化体を受け板らか離型するときの離型を容
易にする役割や、無機質硬化体の輸送時の保護膜として
の役割も果たす。樹脂膜は最終的に無機質硬化体より除
去されるが、養生の後に除去してもよい、無機質硬化体
の輸送時の保護膜の機能も兼ねさせる場合には、輸送後
に除去してもよい。
【0036】以下、本発明を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一例の工程を説明する正面図、図2は
その平面図、図3は図2の要部を拡大して示す平面図で
ある。
【0037】押出機11から所定厚みの成形体12を連
続的に押し出す。成形体12の押出方向に架台が設けら
れ、その架台上に無端ベルトからなるコンベア15が設
けられ、コンベア15上に受け板14が設けられ、受け
板14の高さが押出機より押し出される成形体12の下
面と同一高さを有するようにされており、コンベア15
は成形体12の押出速度に同調して進行するように調節
することができるようにされている。
【0038】受け板14は、成形品の下面の形状に対応
する形状に製作する。その材質は、金属、樹脂、木材等
が可能であるが、後述する樹脂フィルムの加熱融着を行
う場合には金属が好適に使用される。
【0039】コンベア15上に設けられた受け板14と
押出機11より押し出す成形体12の間に樹脂フィルム
13を挟み込み、その両端縁部を、成形体12の両側縁
に沿って所定間隔毎に設けられた複数対の把持具17,
17′により挟持し、その把持具17,17′はフィル
ム移送機16に連結され、成形体12の進行速度に同調
して進行するようにされている。
【0040】樹脂フィルム13を、成形体12の幅の2
倍、プラス後述するその側縁部同士の重ね合わせシール
代を加えた幅を有するものが使用される。そして、この
樹脂フィルム13を、その一側縁部が成形体12の一側
縁部より重ね合わせシール代分だけはみ出し、他側縁部
が成形体12の他側縁部より大きくはみ出すようにし
て、受け板14と成形体12との間に挟み込む。
【0041】押出機11から一定長離れた位置から、図
1〜図3、図4に示す如く、他側縁部側の把持具17′
を樹脂フィルム13の他側縁部を把持し、徐々に成形品
12より上側に上がりながら、同時に一側縁側部の把持
具17の方に徐々に移動させる。これにより、樹脂フィ
ルム13は成形品12の下面から立ち上がって他側縁部
面を覆い、さらに折り返されて、成形品12の上面を被
覆しながら下降する。そして、図5に示す如く、他側縁
部側の把持具17′を一側縁部の把持具17の上を越し
て、一側縁部の把持具17よりも低い位置まで移動させ
る。
【0042】尚、他側縁部側の把持具17′とフィルム
移送機16との間には、バネ等の伸縮材20を入れてお
くと、樹脂フィルム13の側縁部の重ね合わせ部同士を
密閉する時に樹脂フィルム13を張設状態にて密閉させ
ることができるので好適である。
【0043】次いで、図6に示す如く、樹脂フィルム1
3の側縁部の重ね合わせ部同士を長手方向に沿って一対
のフィルム押さえ18,18′により挟持するととも
に、一対の加熱シール機19,19′により長手方向に
沿って連続的に加熱融着して密閉して、成形体12の周
囲を長手方向に沿って樹脂フィルムからなる樹脂膜にて
密閉する。
【0044】その後、図7に示す如く、成形体12の周
囲を樹脂フィルム13によって覆ったものの上から、幅
方向に沿って加圧機21によりロール22にて押圧し
て、その部分の成形体を押しのける。そして当接した樹
脂フィルム同士を加熱ロール23により融着して密封す
る。尚、その幅は、15〜20mmで十分である。そし
て、図示しないが、密封した部分の略中央を成形体の幅
方向に切断する。これにより、成形体12を樹脂フィル
ム13からなる樹脂膜にて密封したものを得る。
【0045】尚、フィルム移送機16及び把持具17,
17′は、成形品12を一定長でカットした位置から、
Uターンして元に戻るエンドレス機構にされている。樹
脂フィルムにて密封した成形体を、図示しない密閉養生
庫内にて養生し硬化させて無機質硬化体を得る。
【0046】図8は、本発明方法の別の例の要部を拡大
して示す平面図である。上記の例と異なる点は、図8に
示す如く、樹脂フィルム24として、成形体12の幅よ
りも若干広幅のものを用い、これを押出機11より連続
的に押し出されてくる成形品12と受け板14との間に
挟み込んで、その樹脂フィルム24により成形品12の
下面のみを連続的に覆い、且つ成形体12の横面及び上
面はスプレーガン25より樹脂液をスプレーしこれを乾
燥させること被膜27を形成させる点である。
【0047】成形体12の下面を連続的に覆う樹脂フィ
ルム24の両側縁部は成形体12の両側縁部より若干は
み出すようにする。その成形体12の横上面にスプレー
ガン25により樹脂液をスプレーする。これを加熱炉2
6にて加熱して被膜27を形成させて、成形体12の周
囲を長手方向に沿って樹脂フィルム24と被膜27から
なる樹脂膜にて密閉する。これ以降は上記の例と同様で
あるので詳細な説明は省略する。
【0048】
【作用】本願の請求項1の発明の無機質成形体の硬化方
法は、成形体を樹脂膜にて密封した後、養生せしめるこ
とにより、樹脂膜にて密封された内部の成形体表面から
蒸発した水分は、密封された樹脂膜内で飽和し、養生温
度に対応する飽和蒸気圧と平衡状態になると、成形体の
内部からの水分蒸発は押さえられ、この状態で硬化され
て、白華の発生がない無機質硬化体を得ることができ
る。又、成形体は湿度の高い状態で保持され多湿養生が
行われので、水和反応も早く進み、強度発現も早くな
る。
【0049】本願の請求項2の発明の無機質成形体の硬
化方法は、成形体を押出機より連続的に押し出しつつ、
その成形体の周囲を長手方向に沿って連続的に樹脂膜に
て覆って密閉し、且つその上から所望長毎に幅方向に沿
って押圧して樹脂膜を密接し、その密接と同時又は密接
後樹脂膜間を融着して、成形体を密封し、密封した状態
で成形体を養生せしめることにより、成形体を押し出し
成形しながら、樹脂膜にて密封して、これを用いて上記
と同様の養生を行って、白華の発生のない無機質硬化体
を生産性よく得ることができる。又、成形体は湿度の高
い状態で保持され多湿養生が行われので、水和反応も早
く進み、強度発現も早くなる。
【0050】
【実施例】実施例1 図1〜7を参照して説明した工程により、樹脂フィルム
からなる樹脂膜にて成形体を密封し、この密封した成形
体の養生を行った。押出機として、口径100mmのも
のを用いた。成形体用原料として、ポルトランドセメン
ト100重量部、フライアッシュ(関電化工社製)40
重量部、ウォラストナイト(土屋カオリン社製:商品名
「A─60」)30重量部、補強繊維としてポリプロピ
レン繊維(丸紅社製)3重量部、増粘剤としてメチルセ
ルロース3重量部、水50重量部の混合混練物を用い
た。
【0051】成形機により幅300mm、厚さ13mm
の成形体を押し出した。樹脂フィルムとして、幅700
mm、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用い
た。樹脂フィルムの側縁部同士を重ね合わせた部分の密
閉、及び一定長毎の密封条件としては、加熱シール機1
9及び加熱ロール23の加熱温度180℃、加圧力10
kg/cm、押圧時間30秒間にて行った。これによ
り、幅300mm、長さ200mm、厚さ13mmの樹
脂フィルムからなる樹脂膜にて密封した成形体を作製し
た。
【0052】養生の条件は、蒸気発生機として貫流ボイ
ラー(石川島播磨重工社製:商品名「K−200」)を
用いて、養生温度60℃、養生時間8時間にて行い、無
機質硬化体を得た。得られた無機質硬化体について、養
生直後の白華の発生状況を観察するとともに、促進テス
トを行った後の白華の発生状況を観察した。その結果、
養生直後及び促進テスト後の無機質硬化体の表面には、
白華の発生は全く認められなかった。
【0053】尚、促進試験は次の通りに行った。低温室
(約5℃)の循環気流中に設置した容器中に、Na2
4 が5%で、Ca(OH)2 を飽和した水溶液中に、
試験片の端部を約1ケ月浸漬し、吃水線付近の白華の発
生を観察した。
【0054】実施例2 図8を参照して説明した工程により、樹脂フィルムと被
膜からなる樹脂膜により成形体を密封し、密封した成形
体の養生を行った。
【0055】下敷き用樹脂フィルムとして、厚み30μ
m、幅400mmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムを用い
た。樹脂液とし、塩化ビニリデン系エマルジョン(呉羽
化学社製)を用いた。塗布条件は、押出直後の成形品に
樹脂液を刷毛で、塗布量約100g/m2 になるように
塗った。
【0056】乾燥条件として、50℃で20分間乾燥し
た後、約10℃で2時間静置した。これにより、樹脂液
を塗布して乾燥させた部分に100μmの肉厚の被膜を
形成した。樹脂フィルムと被膜間の一定長毎の密封条件
としては、加熱ロール23の加熱温度180℃、加圧力
10kg/cm、押圧時間30秒間にて行った。これに
より、幅300mm、長さ200mm、厚さ13mmの
樹脂フィルムと被膜とからなる樹脂膜にて密封した成形
体を作製した。
【0057】養生の条件は、蒸気発生機として貫流ボイ
ラー(石川島播磨重工社製:商品名「K−200」)を
用いて、養生温度70℃、養生時間8時間にて行い、無
機質硬化体を得た。得られた無機質硬化体について、実
施例1と同様に、養生直後の白華発生状況を観察すると
ともに、促進テストを行った後の白華発生状況を観察し
た。その結果、養生直後及び促進テスト後の無機質硬化
体の表面には、白華の発生は全く認められなかった。
【0058】比較例1 成形体用原料に白華防止剤(メルバフ社製:商品名「メ
ルガート」:水溶性アミノ樹脂系)3重量部を添加した
こと、樹脂フィルムを使用しなかったこと以外は、実施
例1と同様にして得た成形体について、養生を行い無機
質硬化体を得た。得られた無機質硬化体について、実施
例1と同様に、養生直後の白華の発生状況を観察すると
ともに、促進テストを行った後の白華の発生状況を観察
した。その結果、養生直後の無機質硬化体の表面に白華
の発生が認められた。又、この白華を一旦拭き取った
後、促進テストを行った後の無機質硬化体の表面の吃水
線付近にも白華の発生が認められた。
【0059】比較例2 成形体用原料に比較例と同様の白華防止剤3重量部を添
加したこと、実施例1と同様にして押出機より押し出し
成形体を幅300、長さ200mm、厚さ13mmに切
り出して、これを実施例1と同様の厚さ100μmの樹
脂フィルムを、幅700mm、長さ400mmに切り出
したもので覆い、側縁部及び端部の部分を折り返しただ
けのものを作製したこと以外は実施例1と同様にして、
養生を行い無機質硬化体を得た。得られた無機質硬化体
について、実施例1と同様に、養生直後の白華発生状況
を観察するとともに、促進テストを行った後の白華発生
状況を観察した。その結果、養生直後の無機質硬化体の
表面に部分的に白華の発生が認められた。又、この白華
を一旦拭き取った後、促進テストを行った後の無機質硬
化体の表面の吃水線付近にも白華の発生が認められた。
【0060】
【発明の効果】本願の請求項1の発明は、上記の如き構
成とされているので、白華の発生がない無機質硬化体を
得ることができる。又、成形体は湿度の高い状態で保持
され多湿養生が行われので、水和反応も早く進み、強度
発現も早くなる。
【0061】本願の請求項2の発明は、上記の如き構成
とされているので、成形体を押し出し成形しながら、樹
脂膜にて密封し、これを養生することにより、白華の発
生のない無機質硬化体を生産性よく製造することができ
る。又、成形体は湿度の高い状態で保持され多湿養生が
行われので、水和反応も早く進み、強度発現も早くな
る。
【0062】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の工程を説明する正面図である。
【図2】図1の例の平面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す平面図である。
【図4】樹脂フィルムの側縁部同士を重ね合わせる過程
を説明する、図2のX−X線に沿う要部断面図である。
【図5】樹脂フィルムの側縁部同士を重ね合わせた状態
を説明する、図2のX−X線に沿う断面図である。
【図6】樹脂フィルムの側縁部同士を重ね合わせ部を加
熱溶融する状態を説明する、図2のX−X線に沿う断面
図である。
【図7】所望長部を樹脂フィルムを加熱融着して成形体
を密封する状態を説明する正面図である。
【図8】本発明の別の例の工程の要部を拡大して示す平
面図である。
【符号の説明】
11 押出機 12 成形体 13,24 樹脂フィルム 14 受け板 15 コンベアー 16 移送機 17 把持具 18 フィルム押さえ 19 加熱シール機 20 伸縮具 21 加圧機 22 ロール 23 加熱ロール 25 スプレーガン 26 加熱炉 27 被膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性無機質成形体を樹脂膜にて密封し
    た後、養生せしめることを特徴とする無機質成形体の硬
    化方法。
  2. 【請求項2】 水硬性無機質成形体を押出機より連続的
    に押し出しつつ、その成形体の周囲を長手方向に沿って
    連続的に樹脂膜にて覆って密閉し、且つその上から所望
    長毎に幅方向に沿って押圧して樹脂膜を密接し、その密
    接と同時又は密接後樹脂膜間を融着して、成形体を密封
    し、密封した状態で成形体を養生せしめることを特徴と
    する無機質成形体の硬化方法。
JP16273192A 1992-06-22 1992-06-22 無機質成形体の硬化方法 Pending JPH06809A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006199558A (ja) * 2005-01-24 2006-08-03 Panahome Corp 無機質成形体の製造方法
JP2013530075A (ja) * 2010-07-14 2013-07-25 サドラー アイピー ピーティーワイ リミテッド セメント製品のパッケージング

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