JPH0680965U - ソレノイド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 可動部材の応答性の改善を図る。 【構成】 可動部材４の両端面側の流体の流れを許容す
る流路１３Ｂにストローク位置にて軸受３により開閉さ
れるポート１３Ｃを設けたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、たとえばソレノイドバルブ等に用いられるソレノイドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のソレノイドとしては、たとえば図３に示すようなものがある。 すなわち、１００はソレノイドを示しており、内部中空のソレノイド本体１０１ の中空内部に磁性体の可動部材１０２が軸受１０３を介して往復動自在に挿入さ れ、その可動部材１０２と対向して同軸的に磁性体の固定部材１０４が設けられ ている。

【０００３】 そして、ソレノイド本体１０１に電流を印加することによって可動部材１０２ がストロークして固定部材１０４に磁気吸引される。このとき、ディザ電流が重 畳されている制御電流を印加した場合、可動部材１０２がそれに追従し、微振動 が起こる。これにより、ソレノイド１００によって制御する相手取付バルブ（図 示せず）に微振動が伝わり脈動となる。また相手取付バルブが開閉するときも流 体の流れが絞られて脈動が発生しやすい。したがって、相手取付バルブ開閉時に はソレノイド１００のディザ電流によるものと流体の流れが絞られるものの両方 が加わり、特に脈動がひどくなる。これによって、相手取付バルブの制御特性の 安定性が損なわれる。

【０００４】 この対策としては、ソレノイド１００側では、可動部材１０２の外周部に設け た可動部材１０２の両端面側の流体の流れを許容する流路１０５を絞り、応答性 を遅らせることによってディザ電流による脈動を相手取付バルブ側に伝わりにく くすることによって行なわれている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記したように可動部材１０２の流路１０５を絞ると、可動部 材１０２のストローク範囲のすべてで応答が遅れてしまい、ソレノイド１００に よって制御している相手取付バルブ制御自体の応答性が悪くなってしまうという 欠点があった。

【０００６】 本考案は上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的 とするところは、可動部材の応答性の改善を図り得るソレノイドを提供すること にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案にあっては、内部中空のソレノイド本体の 中空内部に軸受を介して往復動自在に挿入される磁性体の可動部材と、該可動部 材と対向して同軸的に設けられる磁性体の固定部材とから成り、ソレノイド本体 に電流を印加することによって前記可動部材がストロークして前記固定部材に磁 気吸引するもので、前記可動部材の両端面側の流体の流れを許容する流路を備え たソレノイドにおいて、前記流路に前記可動部材のストローク位置にて前記軸受 により開閉されるポートを設けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

上記構成のソレノイドにあっては、可動部材の両端面側の流体の流れを許容す る流路に可動部材のストローク位置にて軸受により開閉されるポートを設けたこ とから、ポートが閉ざされるときは、流体の流れが絞られることになるので、可 動部材の応答が遅くなり、ディザ電流による微振動を抑えることができる。一方 、開かられるときは、流体の流れは妨げられないので、可動部材の応答は速くな る。このように、応答性を損なうことなくディザ電流による微振動を抑えること ができる。

【０００９】

【実施例】

以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。本考案の一実施例に係るソ レノイドを示す図１において、１はたとえば油圧バルブ等に適用されるソレノイ ドを示しており、概略、内部中空のソレノイド本体２と、ソレノイド本体２の中 空内部に軸受３を介して往復動自在に挿入される磁性体の可動部材としてのプラ ンジャ４と、プランジャ４と対向して同軸的に設けられる磁性体の固定部材とし てのセンタポスト５とから構成されており、ソレノイド本体２に電流を印加する ことによってプランジャ４がストロークしてセンタポスト５に磁気吸引されるも のである。

【００１０】 ソレノイド本体２は、鉢状のケース６と、そのケース６内に収納される筒状の コイル７と、ケース６の開口端部を閉塞してケース６からの磁路をセンタポスト ５に案内する環状のプレート８とから構成されている。

【００１１】 また、コイル７の一方の開口部内周にケース６の穴より一部外部に突出してプ ランジャ４に磁路を案内するスリーブ９が挿入されており、外部に突出した部分 においてナット１０により螺合されてケース６に固定されている。そして、この スリーブ９の内周に軸受３を介して往復移動自在で摺動するようにプランジャ４ が挿入されており、そのプランジャ４の軸方向の動きを規制すると共にコイル７ の開口部を閉塞するキャップ１１がスリーブ９の内周にＯリング１２を介して螺 合固定されている。このキャップ１１のプランジャ４側には、プランジャ４と同 軸的に凹部１１Ａが設けられ、その内部に径方向外向のフランジ部を有する円筒 状のシム１１Ｂが嵌合されている。

【００１２】 プランジャ４は、円柱状で、その外周部にプランジャ４の両端面側の流体の流 れを許容し、プランジャ４のストローク位置により軸受３で開閉する流路１３が 設けられている。この流路１３は、プランジャ４の両端面側の流体の流れを許容 する流路Ａ，流路Ｂ１３Ａ，１３Ｂと、軸受３により開閉されるポートとしての 流路Ｃ１３Ｃとからなっている。流路Ａ，流路Ｂ１３Ａ，１３Ｂは軸方向に貫通 して形成されている。流路Ａ１３Ａはセンタポスト５寄りに設けられ、流路Ｂ１ ３Ｂより小径となっている。また、流路Ｃ１３Ｃは流路Ａ１３Ａとほぼ同径で、 流路Ｂ１３Ｂから径方向外側に貫通して設けられている。この流路Ｃ１３Ｃは、 プランジャ４がセンタポスト５に磁気吸引されたときは軸受３から離れて開口し 、逆にセンタポスト５から離間したときは軸受３によって閉じるようになってい る。

【００１３】 一方、センタポスト５は略円筒状で、一部がコイル７の他方の開口部内周に挿 入され、センタポスト５の外周部に設けた段差部５１とスリーブ９の外周部に設 けた段差部９１間にて係合するシリンダ１４により位置決めされている。そして 、センタポスト５は環状のヘキサプレート１５を介してロックナット１６によっ てソレノイド本体２に対しプランジャ４と一体的に同軸的に螺合固定されている 。

【００１４】 そして、センタポスト５の内周にはプランジャ４に設けた貫通孔４１に一部挿 入固定されたロッド１７がロッド軸受１７Ａを介して往復動自在に挿入されてい る。また、プランジャ４の内周部の端部には径方向外向のフランジ部を有した円 筒状のシム１７Ｂが嵌合されている。

【００１５】 また、ロッド１７のセンタポスト５と反対側の端面とキャップ１１の凹部１１ Ａ間にスプリング１８が介装されている。このスプリング１８は、一端がロッド １７の端面に当接し、他端がキャップ１１の凹部１１Ａの底面に当接してロッド １７の先端が相手取付バルブの弁体（図示せず）に当接するようにしている。

【００１６】 このように構成されたソレノイド１は、図示しない相手取付けバルブに装着さ れるものである。

【００１７】 そして、ソレノイド本体２オフ時、すなわちコイル７に制御電流が印加されて いない時は、相手取付けバルブからの流体圧あるいは付勢手段によってロッド１ ７を介してプランジャ４がストロークしてセンタポスト５から離間し、キャップ １１にシム１１Ｂを介して当接する。このとき、プランジャ４の流路１３の流路 Ｃ１３Ｃは軸受３によって閉ざされ、流体の流れは流路Ａ１３Ａと流路Ｂ１３Ｂ により流れる（図１（ｂ）参照）。ここで流路Ａ１３Ａは径が流路Ｂ１３Ｂの径 より小さいために流体の流れは絞られる。したがって、プランジャ４の応答が遅 くなる。

【００１８】 次に、ソレノイド本体２オン時、すなわちコイル７に制御電流が印加された時 は、プランジャ４がストロークしてセンタポスト５に磁気吸引され、センタポス ト５にシム１７Ｂを介して当接する。このとき、プランジャ４の流路１３の流路 Ｃは軸受３から離れて開口され、流体の流れは流路Ａ，Ｂ１３Ａ，Ｂと流路Ｃ１ ３Ｃより流れる（図１（Ｃ）参照）。これより、流体の流れは妨げられないので 、応答が速くなる。

【００１９】 上記構成のソレノイドにあっては、プランジャ４の外周部にプランジャ４の両 端面側の流体の流れを許容し、プランジャ４のストローク位置にて軸受３により 開閉する流路１３を設けていることから、プランジャ４がセンタポスト５から離 間時において流路Ｃ１３Ｃが軸受３によって閉ざされたときは、流体の流れが流 路Ａによって絞られることになるので、プランジャ４の応答が遅くなる。これに より、制御電流にディザ電流が重畳されている場合において、ディザ電流による 微振動を抑えることができる。一方、プランジャ４がセンタポスト５に磁気吸引 された時は流路Ｃは軸受３から軸方向において離れることにより流路Ｃが開口し 、流路Ａ，Ｂ，Ｃによって流体が流れる。したがって、流体の流れは妨げられな いので、プランジャ４の応答は速くなる。このように、プランジャ４の応答性を 損なうことなくディザ電流による微振動を抑えることができる。

【００２０】 このようにプランジャ４の微振動を抑えることができることから、相手取付バ ルブにその微振動が伝わることがないため、脈動を抑えることができる。また上 記よりプランジャ４は、ストローク範囲の一部において応答を遅らせることがで きることから、相手取付バルブにおいて脈動を抑えたい範囲のみについてできる ことになるので、相手取付バルブの特性自体の応答性も損なわれることがない。

【００２１】 図２には、本考案の他の実施例が示されている。上記実施例ではプランジャ４ のストローク位置にて軸受３により開閉する流路１３の流路１３Ｃを、プランジ ャ４がセンタポスト５から離間時に閉じ、センタポスト５に磁気吸引される時に 開口するようにしていたが、この実施例では流路１３を、プランジャ４の両端面 側の流体の流れを許容する流路Ｄ，Ｅ１３Ｄ，１３Ｅと、軸受３で開閉されるポ ートとしての流路Ｆ１３Ｆとしている。流路Ｄ，Ｅ１３Ｄ，１３Ｅは軸方向に貫 通して形成されており、流路Ｅ１３Ｅはキャップ１１寄りに設けられ、流路Ｄ１ ３Ｄより小径となっている。そして、流路Ｆ１３Ｆは流路Ｅ１３Ｅとほぼ同径で 、流路Ｄ１３Ｄから径方向外側に貫通して設けられている。すなわち、上記実施 例とは反対で、流路Ｆ１３Ｆは、プランジャ４がセンタポスト５から離間時は軸 受３から軸方向に離れて開口され（図２（ｂ）参照）、センタポスト５に磁気吸 引された時は軸受３で閉ざされる（図２（ｃ）参照）ものである。その他の構成 および作用については上記実施例と同一なので、同一の構成部分については同一 の符号を付して、その説明は省略する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は、以上の構成および作用を有するもので、可動部材の両端面側の流体 の流れを許容する流路に可動部材のストローク位置にて軸受により開閉するポー トを設けたので、ポートが閉ざされるときは、流体の流れが絞られることになる ので可動部材の応答が遅くなり、ディザ電流による微振動を抑えることができる 。一方、開かられるときは、流体の流れは妨げられないので、可動部材の応答は 速くなる。このように、応答性を損なうことなくディザ電流による微振動を抑え ることができる。したがって、可動部材の応答性の改善が図れる。

【００２３】 また、可動部材の微振動を抑えることができることから、相手取付バルブにそ の微振動が伝わることがないため、脈動を抑えることができる。そして、可動部 材はストローク範囲の一部において応答を遅らせることができるので、相手取付 バルブにおいて脈動を抑えたい範囲のみについてできることになり、相手取付バ ルブの特性自体の応答性も損なわれることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本考案の一実施例に係るソレノイ
ドの全体縦断面図であり、同図（ｂ），（ｃ）は同図
（ａ）のＡ部拡大縦断面図であり、同図（ｂ）はプラン
ジャがセンタポストから離間している状態を示してお
り、同図（ｃ）はプランジャがセンタポストに磁気吸引
されている状態を示している。

【図２】図２（ａ）は本考案の他の実施例に係るソレノ
イドの全体縦断面図であり、同図（ｂ），（ｃ）は同図
（ａ）のＡ部拡大縦断面図であり、同図（ｂ）はプラン
ジャがセンタポストから離間している状態を示してお
り、同図（ｃ）はプランジャがセンタポストに磁気吸引
されている状態を示している。

【図３】図３は従来のソレノイドの全体縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ソレノイド ２ ソレノイド本体 ３ 軸受 ４ プランジャ（可動部材） ４１ 貫通孔 ５ センタポスト（固定部材） ５１ 段差部 ６ ケース ７ コイル ８ プレート ９ スリーブ １０ ナット １１ キャップ １１Ａ 凹部 １１Ｂ シム １２ Ｏリング １３ 流路 １３Ａ 流路Ａ １３Ｂ 流路Ｂ １３Ｃ 流路Ｃ（ポート） １３Ｄ 流路Ｄ １３Ｅ 流路Ｅ １３Ｆ 流路Ｆ（ポート） １４ シリンダ １５ ヘキサプレート １６ ロックナット １７ ロッド １７Ａ ロッド軸受 １７Ｂ シム １８ スプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部中空のソレノイド本体の中空内部に
   軸受を介して往復動自在に挿入される磁性体の可動部材
   と、該可動部材と対向して同軸的に設けられる磁性体の
   固定部材とから成り、ソレノイド本体に電流を印加する
   ことによって前記可動部材がストロークして前記固定部
   材に磁気吸引するもので、 前記可動部材の両端面側の流体の流れを許容する流路を
   備えたソレノイドにおいて、 前記流路に前記可動部材のストローク位置にて前記軸受
   により開閉されるポートを設けたことを特徴とするソレ
   イド。