JPH0680707A - 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法

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JPH0680707A
JPH0680707A JP25383892A JP25383892A JPH0680707A JP H0680707 A JPH0680707 A JP H0680707A JP 25383892 A JP25383892 A JP 25383892A JP 25383892 A JP25383892 A JP 25383892A JP H0680707 A JPH0680707 A JP H0680707A
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JP25383892A
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Toshihide Shimizu
敏秀 清水
Mikio Watanabe
幹雄 渡辺
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A) 脂肪族ジアミン化合物と、(B) キノン化
合物との縮合反応中に、(C) 反応停止剤を前記反応系に
添加することにより得られる縮合生成物を含有してな
る、エチレン性二重結合を有する単量体の重合用の重合
体スケール付着防止剤。内壁に、該防止剤の塗膜を有す
る重合器内で、前記重合を行う、重合体の製造方法。 【効果】 重合器内の液相部ばかりでなく気相部と液相
部との界面付近においても重合体スケールの付着を効果
的に防止することができ、得られる製品重合体の成形後
のフィッシュアイが顕著に少なくなる。更に、製品重合
体の成形後の白色度が高く、初期着色性が良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性二重結合を
有する単量体の重合用のスケール付着防止剤、重合器及
びそれを使用する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビニル系単量体の重合方法として
は懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、
あるいは塊状重合法等が知られている。これらの重合法
においては、いずれの場合にも重合器内壁、攪拌装置部
等の単量体が接触する部位に重合体スケールの付着が起
こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、このスケールが
剥離して製品中に混入し、製品の品位を低下させるとい
う不利がもたらされ、又付着した重合体スケールを除去
するためには、過大な労力と時間を要するのみならず、
このスケール中に未反応の単量体が含まれているので、
近年きわめて重大な問題となっている単量体(塩化ビニ
ル等)による人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物を塗布する方法、又はそれら化合物を水性媒体中に添
加する方法が公知である(特公昭45−30343 号公報)。
しかし、これらの方法は5〜6バッチ程度までの重合の
繰り返しにはスケール防止効果を示すが、重合バッチ数
がそれよりも多くなると防止効果がなくなってくる(持
続性に劣る)という不利がある。この点は、水溶性触媒
を使用した場合に特に影響が著しく、工業的には満足で
きるものではなかった。
【0005】この不利を克服すべく、特公昭60−30681
号公報において芳香族アミン化合物と芳香族ニトロ化合
物との縮合生成物が提案されている。この芳香族アミン
化合物と芳香族ニトロ化合物との縮合生成物の塗膜を、
重合器内壁等の単量体が接触する部分に形成すると、重
合を 100〜200 バッチ程度繰り返し行っても、重合器内
液相部へのスケール付着は生じない。また水溶性触媒を
使用した場合においても同様に液相部でのスケール付着
は防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、重合器内の上
層部に位置する気相部と液相部との界面付近にはスケー
ルが付着するという欠点があった。気相部と液相部との
界面付近に一旦スケールが付着すると、重合を繰り返し
ていくにしたがって付着したスケールが徐々に成長して
いき、ついには剥離して製品重合体に混入することがあ
る。そして、このようにスケールが製品重合体に混入す
ると、その製品重合体をシート等の成形品に加工したと
き、その成形品に多くのフィッシュアイが発生し、成形
品の品質が著しく低下してしまうことになる。
【0007】また、重合体を成形品に加工する際に生じ
る重合体特有の着色は初期着色と称され、小さい程好ま
しい。ところが、前記の芳香族アミン化合物と芳香族ニ
トロ化合物との縮合生成物からなる塗膜が剥離ないしは
溶解して製品重合体に混入することがあり、初期着色性
が低下する。更に、前記の芳香族アミン化合物と芳香族
ニトロ化合物との縮合生成物の塗膜を形成する際、該縮
合生成物は有機溶媒又は有機溶媒を主成分とする水との
混合物に溶解した塗布液として使用されるため、有機溶
媒の引火、爆発の危険があり、その毒性等の取扱上の安
全にも問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は、重合器内の液相
部ばかりでなく気相部と液相部との界面付近においても
効果的に重合体スケールの付着を防止し、成形後のフィ
ッシュアイが極めて少なく、かつ、初期着色性が良好で
ある製品重合体を製造することができ、更に、塗膜を形
成する際に有機溶媒の引火、爆発の危険が少なく、取扱
上も安全であるスケール付着防止剤、該防止剤を利用す
る重合器及び重合体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は前記
目的を達成するものとして、(A) 脂肪族ジアミン化合物
と、(B) キノン化合物との縮合反応中に、(C) 反応停止
剤を該反応系に添加することにより得られる縮合生成物
を含有してなる、エチレン性二重結合を有する単量体の
重合用の重合体スケール付着防止剤を提供する。
【0010】また、本発明は、内壁面に、上記縮合生成
物を含有する塗膜を有する重合器を提供する。更に、エ
チレン性二重結合を有する単量体の重合器内における重
合により重合体を製造する方法であって、内壁面に上記
の塗膜を有する重合器内で、前記重合を行う工程を有す
る重合体の製造方法を提供する。
【0011】本発明の重合体スケール防止剤の必須成分
である前記の縮合生成物は、 (A)脂肪族ジアミン化合物
と (B)キノン化合物との縮合反応中に、 (C)反応停止剤
を添加することにより得られる物質である。以下、原料
及び合成について説明する。
【0012】(A) 脂肪族ジアミン化合物 脂肪族ジアミン化合物(A) は、例えば、ジアミノアルカ
ン類、ジアミノシクロアルカン類、ジアミノジアルキル
アミン類、ジアミノジアルキルサルファイド類、ピペラ
ジン等である。
【0013】ジアミノアルカン類は、炭素原子数2〜12
のものが好ましく、例えば、 1,2−ジアミノエタン、
1,2−ジアミノプロパン、 1,3−ジアミノプロパン、 1,
4−ジアミノブタン、 1,7−ジアミノヘプタン、 1,6−
ジアミノヘキサン、 1,8−ジアミノオクタン、9,10−ジ
アミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノ
ドデカン、 1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン等が挙
げらる。また、これらのジアミノアルカン類の水素原子
をヒドロキシル基等の置換基で置換した化合物、例え
ば、 1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン等が挙げ
られる。
【0014】ジアミノシクロアルカン類は、炭素原子数
3〜8のものが好ましく、例えば、1,4−ジアミノシク
ロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン
等が挙げられる。また、これらのジアミノシクロアルカ
ン類の水素原子をヒドロキシル基等の置換基で置換した
化合物、例えば、 1,4−ジアミノ−2−ヒドロキシシク
ロヘキサン等が挙げられる。
【0015】ジアミノジアルキルアミン類は、例えば、
ビス(3−アミノプロピル)アミン、ビス(3−アミノ
プロピル)メチルアミン、ビス(5−アミノヘプチル)
メチルアミン等が挙げられる。
【0016】ジアミノジアルキルサルファイド類は、例
えば、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、ビス
(5−アミノヘプチル)スルフィド等が挙げられる。
【0017】上記の脂肪族ジアミン化合物の中で好まし
いものは、 1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロ
パン、 1,3−ジアミノプロパン、 1,4−ジアミノブタ
ン、 1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン及びピペ
ラジンである。上記の脂肪族ジアミン化合物は、単独で
も二種以上の混合物としても使用可能である。
【0018】(B) キノン化合物 キノン化合物(B) は、例えば下記のような一般式 (1)〜
(4) で表される化合物である。
【化1】
【化2】 〔ここで、R1 は−H, −NH2 , −Cl, −OH, −NO2 ,
−COCH3 , − OCH3 , −N(CH3 ) 2 又は炭素原子数1〜
3のアルキル基を表し、R2 は、−H, −NH2 ,−OH,
−CH3 , −COOH, −SO3 H を表す。〕具体的には、オル
ソもしくはパラ−ベンゾキノン、オキシ−パラ−ベンゾ
キノン、クロル−パラ−ベンゾキノン、ブロム−パラ−
ベンゾキノン、ジュロキノン、クロルアニル等が例示さ
れる。
【0019】
【化3】
【化4】 〔ここで、R1 及びR2 は、同一でも異なってもよく、
前記のとおりである。またR3 は、−H, −OH, −C
H3 , −Cl, −COCH3 , − OCH3 , −COOH, −SO3 Hを表
す。〕具体的には、6−メチル− 1,4−ナフトキノン、
2−メチル− 1,4−ナフトキノン、ローソン、ユグロ
ン、プルンバギン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノ
ン等が例示される。
【0020】上記のキノン化合物の中で好ましいもの
は、オルソ−ベンゾキノン、パラ−ベンゾキノン、オキ
シ−パラ−ベンゾキノン、ジュロキノン、ローソン、ユ
グロン、プルンバギン、α−ナフトキノンである。上記
のキノン化合物は、単独でも二種以上の混合物としても
使用可能である。
【0021】(C) 反応停止剤 反応停止剤(C) としては、例えば、還元剤が用いられ
る。前記還元剤としては、具体的には、水素、ヨウ化水
素、臭化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウ
ム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラアルキルア
ンモニウム、トリクロロシラン、トリエチルシラン等の
水素化合物、一酸化炭素、二酸化イオウ、チオ硫酸ナト
リウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナト
リウム等の低級酸化物又は低級酸素酸塩、ロンガリッ
ト、硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化アンモ
ニウム等のイオウ化合物、ナトリウム、リチウム等のア
ルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミニウ
ム、亜鉛等の電気的陽性の大きい金属又はそれらのアマ
ルガム、硫酸鉄(II)、塩化すず(II)、三塩化チタン(II
I) 等の低原子価状態にある金属の塩類、三塩化リン、
三ヨウ化リン、トリメチルホスフィン、トリフェニルホ
スフィン、トリメチルホスフィット、ヘキサメチルホス
ホラストリアミド等のリン化合物、ヒドラジン、ジボラ
ン、エタン− 1,2−ジアミノボラン、ジメチルアミン−
ボラン、ピリジンポラン等のジボラン及び置換ボラン等
が例示される。これらの中で好ましいものは、ヨウ化水
素、臭化水素、水素化ホウ素ナトリウム、二酸化イオ
ウ、チオ硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫
酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、
ヒドロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリットである。上記反
応停止剤は、単独でも2種以上の組合せであっても使用
可能である。
【0022】縮合反応 本発明のスケール付着防止剤の必須成分である縮合生成
物を製造するための縮合反応は、適当な有機溶媒系媒体
中、縮合触媒存在下で前記した脂肪族ジアミン化合物
(A) 及びキノン化合物(B) の縮合を行っている間に、前
記した反応停止剤(C) を添加することにより行う。反応
停止剤は、単独で添加してもよく、適当な溶媒に混合し
て添加してもよい。
【0023】縮合反応の媒体及び前記のキノン化合物を
溶媒に混合する場合に使用する媒体としては、例えば、
水、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒
又は水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒が挙
げられる。これらの中で好ましいものは、水及び水と混
和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒である。水と混
和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒を使用する場
合、有機溶媒が50重量%以下であることが好ましく、更
に、30重量%以下であることが好ましい。水と混和性を
有する媒体としては、例えばメタノール、エタノール、
プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等の
エステル類が使用可能であり、これらの中で好ましいも
のは、アルコール類である。
【0024】上記縮合反応を行う際のpHは、有機溶媒
系媒体(有機溶媒を50重量%よりも多く含有する溶媒)
の場合、通常、1〜13、好ましくは、 9.0〜13.0であ
り、水性媒体(水を50重量%以上含有する溶媒)の場
合、通常、 7.5〜13.5、好ましくは、 9.0〜13.0であ
る。また、pH調整剤は、特に制約なく使用することが
でき、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸
化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、水酸化アンモニウム等のアルカリ金属化合物或いは
アンモニウム化合物が挙げられる。尚、脂肪族ジアミン
化合物はアルカリ性を示すので、ほとんどの場合はpH
調整を行う必要がない。
【0025】反応停止剤(C) を添加することにより、本
発明の重合体スケール付着防止剤の必須成分である縮合
生成物の縮合度を調節することができる。縮合生成物の
縮合度が高すぎると、縮合生成物を以下に述べる塗布液
として使用する際に縮合生成物の沈澱が生じ、塗布液が
不均一になり、重合体スケール付着防止効果が低下する
ことがある。反応停止剤(C) は、脂肪族ジアミン化合物
(A) とキノン化合物(B) との縮合反応開始後に添加すれ
ばよく、好ましくは、縮合生成物析出直前である。縮合
生成物析出直前とは、 (A)及び (B)成分の種類、反応温
度、溶媒の種類等により異なるが、具体的には、 (A)成
分と (B)成分の縮合反応転化率が70〜99%に達したとき
であり、好ましくは、80〜98%に達したときである。こ
こで、 (A)成分と (B)成分との縮合反応転化率とは、縮
合反応の進行に伴う脂肪族ジアミン化合物とキノン化合
物((A)成分+ (B)成分) の減少率である。上記の縮合反
応転化率が70〜99%となるのに要する時間は、 (A)及び
(B)成分の種類等により異なるが、通常、縮合反応開始
から 0.2〜100 時間後である。反応停止剤を添加した時
点で、縮合反応の速度はかなり低下して縮合反応溶液は
安定になるが、通常、反応停止剤添加後、更に、2〜50
時間、好ましくは5〜20時間反応を行う。上記縮合反応
全体に要する時間は、脂肪族ジアミン化合物(A) 、キノ
ン化合物(B) 及び反応停止剤(C) の種類により異なり、
更に、反応温度によっても反応速度が変化するため異な
るが、通常、室温〜200 ℃で 0.5〜200 時間であり、好
ましくは、室温〜150 ℃で5〜100 時間である。
【0026】脂肪族ジアミン化合物(A) 、キノン化合物
(B) 及び反応停止剤(C) の使用量は、脂肪族ジアミン化
合物、キノン化合物及び反応停止剤の種類、反応温度、
反応時間に影響されるが、本発明においては、脂肪族ジ
アミン化合物(A) 1重量部当たり、キノン化合物(B) を
0.05〜20重量部とすることが好ましく、更に、 0.1〜5
重量部とすることが好ましい。キノン化合物が多すぎて
も少なすぎても、スケール付着防止効果が低下する。ま
た、脂肪族ジアミン化合物(A) 及びキノン化合物(B) の
合計1重量部当り、反応停止剤(C) を 0.005〜5重量部
とすることが好ましく、更に、0.01〜2重量部とするこ
とが好ましい。反応停止剤が多すぎても少なすぎても、
スケール付着防止効果が低下する。
【0027】塗布液の調製 上記縮合反応により製造した縮合生成物を含有してなる
塗布液は、例えば、上記縮合反応を行った縮合生成物含
有溶液に下記の溶媒を添加して調製すればよい。また、
前記縮合生成物含有溶液の溶媒を除去後、粉砕して下記
の溶媒を添加したり、縮合生成物含有溶液を冷水に投入
して縮合生成物を沈澱させた後、その沈澱物を濾別、乾
燥したものに下記の溶媒を添加することにより調製して
もよい。
【0028】塗布液の調製に使用される媒体としては、
水又は水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒が
挙げられる。水と混和性を有する有機溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアル
コール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類が挙げられ
る。水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒を使
用する場合の有機溶媒の含有量は、引火、爆発等の危険
がなく、毒性等の取扱上の安全の問題がない量とすれば
よく、具体的には、50重量%以下であることが好まし
く、更に、30重量%以下であることが好ましい。有機溶
媒が多すぎると、前記のように、塗膜を形成する際に引
火、爆発等の危険があり、また、毒性等の取扱上の安全
も問題となる。
【0029】塗布液のpHは、好ましくは 3.0〜13.0で
あり、特に好ましくは 8.0〜12.5である。pH調整剤
は、特に制約なく使用することができ、リン酸、過塩素
酸、硫酸、塩酸、硝酸、フィチン酸、酢酸、パラトルエ
ンスルホン酸、タンニン酸等の酸性化合物及び水酸化リ
チウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化アンモニウム
等のアルカリ金属化合物或いはアンモニウム化合物、エ
チレンジアミン、テトラメチレンジアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、グアニジン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン等の有機アミン化合物等のアルカリ性化合物
が挙げられる。
【0030】塗布液中の (A)成分と (B)成分と (C)成分
との縮合生成物の濃度は、後記の総塗布量が得られる限
り、特に制限されないが、通常 0.001〜15重量%程度、
好ましくは0.01〜1重量%である。また、この塗布液に
はスケール防止作用を害しない限り、例えば、カチオン
性、ノニオン性及びアニオン性の界面活性剤;リン酸、
過塩素酸、硫酸、塩酸、硝酸、フィチン酸、酢酸、パラ
トルエンスルホン酸、タンニン酸等のpH調製剤等を添
加することができる。
【0031】また、この塗布液には、必要に応じて、ヒ
ドロキシル基含有高分子化合物、カチオン性高分子化合
物、アニオン性高分子化合物、両性高分子化合物等の水
溶性高分子を添加することができる。
【0032】ヒドロキシル基含有高分子化合物として
は、例えば、アミロース、アミロペクチン、デキストリ
ン、酸化デンプン、アセチルデンプン、ニトロデンプ
ン、メチルデンプン、カルボキシメチルデンプン等のデ
ンプン類及びそれらの誘導体;ペクチン酸、プロトペク
チン、ペクチニン酸、アルギン酸、ラミナリン、フコイ
ジン、寒天、カラゲニン等のヒドロキシル基含有植物性
液質;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、
ケラト硫酸、キチン、キトサン、カロニン硫酸、リマコ
イチン硫酸等のヒドロキシル基含有動物性粘液質;リボ
核酸、デオキシリボ核酸等の核酸;メチルセルロース、
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グリ
コールセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチル
セルロース、セルロースのメチレンエーテル、トリフェ
ニルメチルセルロース、ホルミルセルロース、酢酸セル
ロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢
酸プロピオン酸セルロース、スルホン酸セルロースエス
テル、カルバミン酸セルロースエステル、ニトロセルロ
ース、リン酸セルロース、セルロースキサントゲン酸塩
等のセルロース誘導体;キシラン、マンナン、アラボガ
ラクタン、ガラクタン、アラバン等のヘミセルロース
類;アルコールリグニン、ジオキサンリグニン、フェノ
ールリグニン、ハイドロトロビックリグニン、メルカプ
トリグニン、チオグリコール酸リグニン、リグニンスル
ホン酸、アルカリリグニン、チオアルカリリグニン、酸
リグニン、酸化銅−アンモニアリグニン、過ヨウ素酸リ
グニン等のリグニン類;フェノール−ホルムアルデヒド
樹脂、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルア
ルコール等が挙げられる。
【0033】カチオン性高分子化合物としては、例え
ば、ポリビニルアミン、ポリエチレンアミン、ポリエチ
レンイミン、ポリアクリルアミド、N−ビニル−2−ピ
ロリドン−アクリルアミド共重合体、ジメチルジアミル
アンモニウムクロライドの環化重合体、ジメチルジエチ
ルアンモニウムブロマイドの環化重合体、ジアリルアミ
ン塩酸塩の環化重合体、ジメチルジアリルアンモニウム
クロライドと二酸化イオウとの環化共重合体、ポリビニ
ルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルイミダゾリン、ポリジメチルアミノ
エチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタク
リレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポ
リジエチルアミノエチルメタクリレート等の側鎖に窒素
原子を有し、その窒素原子が正の荷電を帯びたカチオン
性高分子電解質等が挙げられる。
【0034】両性高分子化合物としては、例えば、にか
わ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等の両性高分子化
合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物としては、
例えば、ポリアクリルアミドのスルホメチル化物;ポリ
アクリル酸;アルギン酸、アクリルアミド−ビニルスル
ホン酸共重合体、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスル
ホン酸等、又はこれらのアルカリ金属塩あるいはアンモ
ニウム塩;カルボキシメチルセルロースのような側鎖に
カルボキシル基あるいはスルホン酸基を有するアニオン
性高分子化合物が挙げられる。
【0035】さらに、塗布液には、そのスケール防止作
用を害しない限り、無機化合物を適宜必要に応じて添加
することもできる。添加できる無機化合物としては、オ
ルトケイ酸、メタケイ酸、メソ二ケイ酸、メソ三ケイ
酸、メソ四ケイ酸、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ
酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、四ケイ酸ナトリウ
ム、水ガラス等のケイ酸類又はケイ酸塩;マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛
等の亜鉛族金属、アルミニウム等のアルミニウム族金
属、白金等の白金族金属から選択される金属の酸素酸
塩、酢酸塩、硝酸塩、水酸化物又はハロゲン化物等の金
属塩;水酸化第二鉄コロイド、ケイ酸コロイド、硫酸バ
リウムコロイド、水酸化アルミニウムコロイド等の無機
コロイドが挙げられる。上記の無機コロイドは、例え
ば、機械的粉砕、超音波の照射、電気的分散及び化学的
方法によって調製されたものでよい。
【0036】塗膜の形成 上記のようにして調製される塗布液を用いて重合器内壁
面に塗膜を形成するには、まず、塗布液を重合器内壁面
に塗布し、次いで、例えば室温から 100℃までの温度範
囲で充分に乾燥させた後、さらに必要に応じて水洗す
る。
【0037】また、前記塗布液は、重合器内壁面だけで
なく、重合中に単量体が接触する他の部位にも塗布する
ことが好ましい。例えば、攪拌翼、攪拌軸、バッフル、
コンデンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等
が挙げられる。更に好ましくは、前記塗布液は重合中に
単量体が接触する部位以外であっても、重合体スケール
が付着する恐れのある部位、例えば未反応単量体の回収
系統の機器及び配管の内面等には、前記塗膜を形成した
方がよい。具体的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、
モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0038】このようにして、重合中に単量体が接触す
る部位、及びそれ以外の重合体スケールが付着する恐れ
のある部位に塗膜を形成すると、それらの部位への重合
体スケールの付着が防止される。なお、塗布液を重合器
内壁面に塗布する方法は、特に限定されず、例えばハケ
塗り、スプレー塗布、塗布液で重合器を満たした後に抜
き出す方法等を始めとして、そのほか特開昭57−61001
号、同55−36288 号、特公表昭56−501116号、同56−50
1117号、特開昭59−11303 号等に記載の自動塗布方法を
用いることもできる。
【0039】また、塗布液が塗布されたことにより、濡
れた状態の表面を乾燥する方法も限定されることはな
く、例えば次のような方法を使用することができる。す
なわち、塗布液の塗布後、適当に昇温した温風を塗布面
に当てる方法、あるいは塗布液を塗布すべき重合器内壁
面及びその他の表面を予め、例えば30〜80℃に加熱して
おき、その加熱した表面に塗布液を直接塗布する方法等
を使用することができる。そして塗布面の乾燥後は、そ
の塗布面を必要に応じて水洗する。
【0040】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001g/m2以上、特に0.05〜2
g/m2 であることが好ましい。以上の塗布作業は、形
成された塗膜が高い耐久性を有し、重合体スケールの付
着防止作用が持続するので、必ずしも1バッチの重合ご
とに行う必要はない。このため、製品重合体の生産性が
向上する。
【0041】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性二重結合を有する単量体及び
重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等の重合
媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、アニオン
性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法により重
合を行う。
【0042】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性二重結合を有する単量体としては、例えば、塩化ビ
ニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル
酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フマル
酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエン、ク
ロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレ
ン、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニリデン、ビニル
エーテル等が挙げられる。
【0043】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。
【0044】以下、懸濁重合及び乳化重合の場合を例に
挙げて、一般的な重合方法を具体的に説明する。まず、
水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を
仕込む。次に、重合器内を排気して 0.1〜760 mmHgに減
圧した後、単量体を仕込み(この時、重合器の内圧は、
通常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる)、その後、30〜150
℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、
水、分散剤及び重合簡易剤の一種又は二種以上を添加す
る。又、重合時の反応温度は、重合される単量体の種類
によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合には
30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50〜
150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kgf/
cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備さ
れたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温度
と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち重合反
応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断され
る。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開始剤
は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500 重量
部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部
である。
【0045】また、溶液重合の場合には、重合媒体とし
て水のかわりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン
等の有機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いら
れる。その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重
合についての重合条件と同様である。また、塊状重合の
場合には、重合器内を約0.01〜760 mmHgの圧力に排気し
た後、その重合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、
−10〜250 ℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニ
ルの重合の場合には30〜80℃で、スチレンの重合の場合
には50〜150 ℃で実施される。
【0046】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等で重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0047】重合系に添加されるものは、何ら制約なく
使用することができる。即ち、例えば、t−ブチルパー
オキシネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキシル)
パーオキシジカーボネート、 3,5,5−トリメチルヘキサ
ノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキシネオデカ
ノエート、クメンハイドロパーオキサイト、シクロヘキ
サノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレー
ト、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネ
ート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイド、 2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、α, α′−ア
ゾビスイソブチロニトリル、α, α′−アゾビス− 2,4
−ジメチルバレロニトリル、ペルオキソ二硫酸カリウ
ム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、パラ−メンタンハ
イドロパーオキサイド等の重合開始剤;部分ケン化ポリ
ビニルアルコール、ポリアクリル酸、酢酸ビニルと無水
マレイン酸の共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース等のセルロース誘導体、ゼラチン等の天然又は合
成高分子化合物等の懸濁剤;リン酸カルシウム、ヒドロ
キシアパタイト等の固体分散剤;ソルビタンモノラウレ
ート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;ラウリル硫酸ナ
トリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;炭酸カ
ルシウム、酸化チタン等の充填剤;三塩基性硫酸鉛、ス
テアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレート、ジ
オクチルすずメルカプチド等の安定剤;ライスワック
ス、ステアリン酸、セチルアルコール等の滑剤;DO
P:DBP等の可塑剤;t−ドデシルメルカプタン等の
メルカプタン類、トリクロロエチレン等の連鎖移動剤;
pH調節剤等が存在する重合系においても、本発明の方
法は重合体スケールの付着を効果的に防止することがで
きる。
【0048】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによってスケール防
止効果を向上させることもできる。その場合、重合体ス
ケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000ppm 程度が適当である。添加に際し
ては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の製品重合
体の品質に影響を与えないように配慮する。
【0049】
【実施例】製造例1 縮合生成物No.1の製造 耐圧反応器に、水 100g及び脂肪族ジアミン化合物とし
て 1,2−ジアミノエタン4gを仕込み、室温で攪拌して
均一溶液とした。上記水溶液に、キノン化合物としてα
−ナフトキノン2gを添加して室温で10時間攪拌を続け
て反応を行った後、反応停止剤としてヒドロ亜硫酸ナト
リウム1gを水99gに溶解した溶液を添加した。この時
の縮合反応転化率を下記の方法で測定したことろ、95%
であった。・縮合反応転化率の測定液体クロマトグラフ
ィーを用いて縮合反応液中の未反応の脂肪族ジアミン化
合物及びキノン化合物((A)成分+ (B)成分) を定量し
た。縮合反応転化率は、次のようにして求めた。脂肪族
ジアミン化合物とキノン化合物との仕込み合計量をaと
する。また、上記により定量した未反応の (A)成分と
(B)成分の合計量をbとする。式: 縮合反応転化率(%)={(a−b)/a}×100 により縮合反応転化率が算出される。反応停止剤を添加
した後、更に30分間攪拌を続けた。この溶液を縮合生成
物No.1とした。
【0050】縮合生成物No.2〜10の製造 表1に示した脂肪族ジアミン化合物、キノン化合物、反
応停止剤及び溶媒を用いて、表2に示した反応温度で前
記縮合生成物No.1と同様の方法により縮合反応を行い、
縮合生成物No.2〜10を得た。表2中に示す反応停止剤の
添加量は、脂肪族ジアミン化合物とキノン化合物の合計
量に対する割合(重量%)である。また、脂肪族ジアミ
ン化合物とキノン化合物との縮合反応開始から何時間後
に反応停止剤を添加したか、及び、反応停止剤を添加し
た後更に何時間攪拌を続けたかを表2に示す。更に、反
応停止剤を添加した時点の縮合反応添加率も表2に示
す。なお、No.2の縮合生成物は、反応停止剤を添加しな
かった比較例である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】実施例1 (実験No.101〜110) 内容積1000リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において使用
した縮合生成物を表3に示す。表3に示したような溶媒
比及び縮合生成物濃度となるように縮合生成物に溶媒を
添加して塗布液を調製した。これら塗布液を重合器の内
壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体が接触する
部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成
後、水洗した。
【0054】ただし、No.102の実験は、本発明の条件を
満たさない塗布液を塗布した比較例である。
【0055】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に、水 400kg、塩化ビニル 200kg、部
分ケン化ポリビニルアルコール 250g、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース25g及び 3,5,5−トリメチルヘキ
サノイルパーオキサイド70gを仕込み、攪拌しながら66
℃で6時間重合した。重合終了後、生成重合体及び未反
応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除
去した。
【0056】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表3に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部と、気相部と液相部との界面付近のス
ケール付着量を下記の方法で求めた。その結果を表3に
示す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形し
た場合のフィッシュアイを、下記の方法で測定した。そ
の結果を表3に示す。 ・重合体スケール付着量の測定 重合器内壁の所定箇所の10cm四方の区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量
値を 100倍して、1m2 当たりのスケール付着量を求め
た。
【0057】・フィッシュアイの測定 重合体 100重量部、DOP50重量部、ジブチルすずジラ
ウレート1重量部、セチルアルコール1重量部、酸化チ
タン0.25重量部、カーボンブラック0.05重量部の配合割
合で調製した混合物を6インチロールを用いて 150℃で
7分間混練した後、厚さ 0.2mmのシートに成形し、得ら
れたシート 100cm2 当たりに含まれるフィッシュアイの
個数を光透過法により調べた。さらに、各実験で得られ
た重合体をシートに成形した場合の明度指数(L値)の
測定を下記の方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0058】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
-101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5
重量部及び可塑剤としてジオクチルフタレート50重量部
を2本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した後、
厚さ1mmのシートに成形する。次に成形したシートを4
×4× 1.5cmの型枠に入れ、 160℃、65〜70kgf/cm2
0.2時間加熱、加圧成形して測定用試料を作製する。こ
の試料について、JIS Z 8730(1980)に記載のハンターの
色差式における明度指数Lを求め、L値が大きい程白色
度が高い、即ち、初期着色性が良好であると評価した。
【0059】L値は次のようにして求める。JIS Z 8722
の記載に従って、標準光C、光電色彩計(日本電色工業
株式会社製、Z-1001 DP 型測色色差計)を用い、刺激値
直読方法により、XYZ表色系の刺激値Yを求める。照
明及び受光の幾何学的条件としては、JIS Z 8722の 4.
3.1項に記載の条件dを採用した。求められた刺激値Y
から、JIS Z 8730(1980)に記載の式:L=10Y1/2 によ
り、L値が算出される。
【0060】
【表3】
【0061】実施例2 (実験No.201〜208) 内容積20リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を使用
して次のようにして重合を行った。各実験において使用
した縮合生成物を表4に示す。まず、表4に示したよう
な溶媒比、かつ、縮合生成物濃度となるように縮合生成
物に溶媒を添加した後、表4に示したpHに調整するた
めに表4に示したpH調整剤を添加して塗布液を調製し
た。これら塗布液を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼そ
の他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15
分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗した。
【0062】ただし、No.202の実験は、本発明の条件を
満たさない塗布液を塗布した比較例である。
【0063】次に、このように塗布処理した重合器中
に、水9kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 2
25g、t−ドデシルメルカプタン12g及びペルオキソ二
硫酸カリウム13gを仕込み、窒素ガス置換した後、スチ
レン 1.3kg、ブタジエン 3.8kgを仕込んで50℃で20時間
重合した。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を
回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除去した。
【0064】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表4に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部と、気相部と液相部との界面付近のス
ケール付着量を実施例1と同様の方法で求めた。その結
果を表4に示す。また、各実験で得られた重合体をシー
トに成形した場合の明度指数(L値)の測定を下記の方
法で測定した。その結果を表4に示す。
【0065】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体1kgに2%硫酸マグネシウム溶液を1kg
を加えて、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別する。濾
別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄した後、
減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥して樹脂を得た。
得られた樹脂を9×9cm、厚さ 0.1cmの型枠に入れ、19
5 ℃、50〜60kgf/cm2 で 0.2時間加熱し、最終圧力80kg
f/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製する。この試料
について、前記と同様にして明度指数L値を求めた。
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部と液相部との界面付近においても重合体
スケールの付着を効果的に防止することができる上、得
られる製品重合体の成形後のフィッシュアイが少なくな
る。更に、本発明により重合器内壁面に形成された塗膜
は、重合中に剥離したり、重合系に溶解したりすること
がないため、製品重合体の成形後の白色度が高く、初期
着色性が良好である。
【0068】また、本発明によれば、塗膜の形成に使用
する塗布液は、水を主成分とするため、有機溶媒の引
火、爆発等の危険が少なく、また、毒性等も問題になら
ない範囲で使用することができる。更に、本発明を適用
して重合を行った場合には、重合体スケールの除去作業
を、重合ごとに行う必要がなく、それによって生産性が
向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 脂肪族ジアミン化合物と、 (B) キノン化合物との縮合反応中に、 (C) 反応停止剤 を該反応系に添加することにより得られる縮合生成物を
    含有してなる、エチレン性二重結合を有する単量体の重
    合用の重合体スケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】(A) 脂肪族ジアミン化合物と、 (B) キノン化合物との縮合反応中に、 (C) 反応停止剤 を該反応系に添加することにより得られる縮合生成物を
    含有する塗膜が内壁に形成されているエチレン性二重結
    合を有する単量体の重合用重合器。
  3. 【請求項3】エチレン性二重結合を有する単量体の、重
    合器内における重合による重合体の製造方法であって、 (A) 脂肪族ジアミン化合物と、 (B) キノン化合物との縮合反応中に、 (C) 反応停止剤 を該反応系に添加することにより得られる縮合生成物を
    含有する塗膜が内壁に形成されている重合器内で、前記
    重合を行う工程を有し、これにより重合器内での重合体
    スケールの付着が防止される製造方法。
JP25383892A 1992-06-04 1992-08-28 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法 Pending JPH0680707A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53130784A (en) * 1977-03-08 1978-11-15 Ici Australia Ltd Process for polymerizing halogenated vinyl monomer
JPH01135802A (ja) * 1987-11-19 1989-05-29 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 重合体スケールの付着防止方法

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