JPH068033Y2 - 気密容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、果物類や野菜類等をその内部に収容した容器
本体に蓋体を容易に気密状態を維持させて閉止できる発
泡合成樹脂製の気密容器に関する。

〔従来の技術〕

従来から、果物類や野菜類、その他、魚肉類等の各種食
品等を発泡合成樹脂製、例えば発泡ポリスチレン製の容
器に気密状態を維持させて収容する場合がある。このと
き、発泡ポリスチレン製の函状のの容器本体を同じく発
泡ポリスチレン製の又は他の素材からなる板状又は函状
の蓋体で閉止し、その周囲に粘着テープ等を貼着してい
る。これは、発泡ポリスチレン製の容器本体をこうした
蓋体で閉止しただけでは、内部の気密性は充分でなく、
しかも使用途上、蓋体が容器本体から離脱する等の係合
の欠点を防止するためである。しかし、この粘着テープ
等による容器本体と蓋体の係合気密化のための粘着作業
は手間がかかり、函詰め後の大きな障害となっている。
このような、容器本体と蓋体の係合の不完全、気密性の
不充分を解決するため、第５図に示すように容器本体ａ
と蓋体ｂの当接部分が互いに嵌合状態を維持できるよう
に、凸部ｃと凹部ｄよりなる嵌合構造を設けることが提
案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このような凸部ｃと凹部ｄよりなる嵌合構造を
設けた気密容器では、容器本体ａに蓋体ｂを外嵌させた
後で、この蓋体ｂが運搬中等の振動によって、又は容器
本体ａ内部に収容した収容物の移動によって、容器本体
ａから離脱する場合がある。こうしたことから、函状の
容器本体ａの上面開口に板状又は函状の蓋体ｂを単に置
くだけのものと同様、粘着テープを貼着するという作業
を必要としている。又、粘着テープを粘着しない場合に
は、容器本体ａと蓋体ｂの気密性を維持させる嵌合状態
が強固でないため、容器内の冷気が逃げやすかったり、
内部に外気の影響が及んだりする問題がある。

このような従来の問題点に鑑みて、本考案では、容器本
体に対する蓋体の閉止作業を容易に行えるとともに、閉
止後にはその閉止状態が強固で、内部の気密性を維持で
きる気密容器を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

こうした目的を達成するため、本考案では、発泡合成樹
脂製の容器本体と蓋体よりなり、その容器本体の口縁の
全周又は一部の内側寄り又は外側寄りに両側を開放させ
て突条を設けるとともに、この容器本体の口縁と当接す
る蓋体の周縁の全周又は一部の外側寄り又は内側寄りに
両側を開放させて、閉蓋時に容器本体側の突条の側面に
その側面が当接する突条を設け、更に両突条の当接面全
長には、少なくとも一方の先端側に縦断面半円形状の凸
部、基端側にこれに連続させて凹部を形成するととも
に、他方の先端側に一方の基端側の凹部に係合する凸
部、基端側にこれに連続させて一方の先端側の縦断面半
円形状の凸部に係合する縦断面半円形状の凹部を形成し
て、気密係合部をそれぞれに設けた気密容器を構成し
た。

〔作用〕

而して、こうした気密容器では、容器本体内部に果物類
や野菜類等の収容物を収容して閉蓋するときには、容器
本体に蓋体を押圧すると、容器本体と蓋体に設けた両突
条は、それぞれ素材の持つ弾性と形状に起因した変形
性、更にはこれらの当接面全長の少なくとも一方の先端
側に設けた縦断面半円形状の凸部の円弧面上に沿って他
方の先端側に設けた凸部が滑動することに基づいて、内
側寄りの突条は内側に、外側寄りの突条は外側に徐々に
変形しながら、両者が徐々に嵌合して、最後には少なく
とも一方の先端側に設けた縦断面半円形状の凸部が他方
の基端側に設けた縦断面半円形状の凹部に嵌合するとと
もに、一方の基端側の凹部が他方の先端側の凸部に嵌合
することで、両突条の当接面全長に設けた気密係合部同
士が互いに係合して閉止状態となる。そして、閉蓋後に
は、容器本体と蓋体に設けた両突条の当接面全長の気密
係合部同士が互いに係合して、その閉蓋状態が強固で、
内部の気密性が維持できる。

〔実施例〕

本考案に係る気密容器の詳細を更に添付の図面に基づき
説明する。図中１は発泡合成樹脂製の容器本体、２は同
じく発泡合成樹脂製の蓋体である。この発泡合成樹脂体
は、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡
ポリウレタン等の各種発泡合成樹脂体が使用される。そ
して、容器本体１は図示したように一般的な函状のも
の、又蓋体２は容器本体１の口縁に外被できる板状のも
の又は有底で浅い函状のもの等が用いられる。しかし、
容器本体１並びに蓋体２に各種形状のものを採用するこ
とも可能である。そして、このような容器本体１と蓋体
２の当接する部分、即ち容器本体１の口縁と蓋体２の周
縁には嵌合構造の一方と他方が設けられている。この嵌
合構造は、容器本体１の口縁の全周又は一部に、その口
縁の内側寄り又は外側寄りに図示したようにその両側を
開放させて突条３を設けるとともに、この容器本体１の
口縁と当接する蓋体２の周縁の全周又は一部に、その周
縁の外側寄り又は内側寄りに閉蓋時に容器本体１側の突
条３の側面にその側面が当接する突条４を設けたもので
ある。そして、両突条３，４の当接面全長には、少なく
とも一方の先端側に縦断面半円形状の凸部７、基端側に
これに連続させて凹部８を形成するとともに、他方の先
端側に一方の基端側の凹部８に係合する凸部７、基端側
にこれに連続させて一方の先端側の縦断面半円形状の凸
部７に係合する縦断面半円形状の凹部８を形成して、気
密係合部５，６をそれぞれに設けている。

これら気密係合部５，６を設けた突条３，４の詳細を第
２図〜第４図に示している。先ず、第２図には、容器本
体１側の突条３をその口縁の内側寄りに設けるととも
に、蓋体２側の突条４を蓋体２の周縁の外側寄りに設
け、容器本体１側の突条３の当接面全長には先端側に縦
断面半円形状の凸部７、基端側にこれに連続させて半径
の小さい縦断面半円形状の凹部８を形成し、しかも蓋体
２側の突条４にはこうした凸部７、凹部８に係合する縦
断面半円形状の凸部７と凹部８を先端側に基端側に同じ
く連続させて形成したものを示している。尚、図中９と
して示すのは容器本体１に蓋体２を閉止するときに生じ
る容器本体１内部に滞留する圧縮空気を外部に逃がすた
め、容器本体１側の突条３の幅方向に頂面と蓋体２側の
突条４との当接面に連続させて設けた空気逃がし溝であ
る。又、第３図には、容器本体１の口縁の外側寄りに突
条３を設けるとともに、蓋体２の周縁の内側寄りに突条
４を設け、両突条３，４の当接面全長に第２図に示すも
のと同様に気密係合部５，６を形成したものを示してい
る。更に、第４図には、容器本体１の口縁上部内面側に
先端側から順に凸部７、凹部８を形成して、この部分を
突条３とし、蓋体２側には閉蓋時に容器本体１内部に挿
入されるように形成された突条４を設けたものを示して
いる。ところで、本考案で言う両突条３，４の両側を開
放させるとは、こうした態様のものをも含む概念であ
る。

又、図中10として示すのは閉蓋時に一方の突条３，４の
弾性変形を容易にさせるため、容器本体１又は蓋体２の
内側寄りに設けた突条３，４の基端外側、又は外側寄り
に設けた突条３，４の基端内側に設けた凹溝である。こ
の一方の突条３，４の弾性変形を容易にするには、凹溝
に代えて開口幅のない切込みを形成してもよい。

而して、こうした気密容器では、容器本体１内部に果物
類や野菜類等の収容物を収容して閉蓋するときには、容
器本体１に蓋体２を押圧すると、容器本体１と蓋体２に
設けた両突条３、４は、それぞれ素材の持つ弾性と形状
に起因した変形性、更にはこれらの当接面全長の少なく
とも一方の先端側に設けた縦断面半円形状の凸部７の円
弧面上に沿って他方の先端側に設けた凸部７が滑動する
ことに基づいて、内側寄りの突条は内側に、外側寄りの
突条は外側に徐々に変形しながら、両者が徐々に嵌合し
て、最後には少なくとも一方の先端側に設けた縦断面半
円形状の凸部７が他方の基端側に設けた縦断面半円形状
の凹部８に嵌合するとともに、一方の基端側の凹部８が
他方の先端側の凸部７に嵌合することで、両突条３、４
の当接面全長に設けた気密係合部５、６同士が互いに係
合して閉止状態となる。そして、閉蓋後には、容器本体
１と蓋体２に設けた両突条３、４の当接面全長の気密係
合部５、６同士が互いに係合して、その閉蓋状態が強固
で、内部の気密性が維持できる。

〔考案の効果〕

以上のような本考案に係る気密容器では、閉蓋すると
き、容器本体と蓋体に設けた両突条を、容器の内側寄り
に設けたものは内側に、又外側寄りに設けたものは外側
に、それぞれ素材の持つ弾性と形状に起因した変形性、
更にはこれらの当接面全長の少なくとも一方の先端側に
設けた縦断面半円形状の凸部の円弧面上に沿って他方の
先端側に設けた凸部が滑動することに基づき、徐々にそ
の全体を変形させながら行なうから、その作業は容易で
ある。又、閉蓋後には両突条の当接面全長に設けた気密
係合部同士が係合するから、内部の気密性が維持でき
る。そして、容器本体と蓋体をきつめの嵌合関係に形成
しても、両突条がともに遊端状で、しかもそれらの両側
はともに開放状態にあって、変形可能であるから、閉蓋
作業ができないというおそれはないのである。更に、両
突条の当接面全長の少なくとも一方の先端側には縦断面
半円形状の凸部を設けたから、閉蓋又は開蓋するときに
は、両突条は、前述したように素材の持つ弾性と形状に
起因した変形性に加えて、少なくとも一方の先端側に設
けた縦断面半円形状の凸部の円弧面上に沿って他方の先
端側に設けた凸部が滑動して、徐々にその全体が離反方
向に変形するから、一方の先端側に設けた縦断面半円形
状の凸部又は他方の先端側に設けた凸部が部分的に強く
押圧されて、長期の使用で局部的に変形して、使用でき
なくなる問題もないのである。又、容器内の冷気が逃げ
たり、内部に外気の影響が及んだりすることも少ないの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る気密容器を示す斜視図、第２図〜
第４図は容器本体側並びに蓋体側に設ける互いの当接面
全長に気密係合部を形成した突条の各種実施例を示す断
面説明図、第５図は従来の気密容器の嵌合構造を示す断
面説明図である。 １：容器本体、２：蓋体、 ３，４：突条、５，６：気密係合部、 ７：凸部、８：凹部、 ９：空気逃がし溝、10：凹溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】発泡合成樹脂製の容器本体と蓋体よりな
   り、その容器本体の口縁の全周又は一部の内側寄り又は
   外側寄りに両側を開放させて突条を設けるとともに、こ
   の容器本体の口縁と当接する蓋体の周縁の全周又は一部
   の外側寄り又は内側寄りに両側を開放させて、閉蓋時に
   容器本体側の突条の側面にその側面が当接する突条を設
   け、更に両突条の当接面全長には、少なくとも一方の先
   端側に縦断面半円形状の凸部、基端側にこれに連続させ
   て凹部を形成するとともに、他方の先端側に一方の基端
   側の凹部に係合する凸部、基端側にこれに連続させて一
   方の先端側の縦断面半円形状の凸部に係合する縦断面半
   円形状の凹部を形成して、気密係合部をそれぞれに設け
   た気密容器。