JP3939790B2 - 包装用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は上面を開口した容器本体に別体に成形された蓋体を装着して食品などの包装に用いられるプラスチックシート製の包装用容器、特に圧空真空成形などのサーモフォーミング成形に好適な包装用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品などを収納するため圧空真空成形によって成形される蓋付きの包装用容器には、ヒンジ部を介して容器本体と蓋を一体に成形したものと容器本体と別体に蓋体を成形したものとがあるが、これら何れのものも容器本体と蓋又は蓋体との止着は、粘着テープやホッチキスなどの止着部材を用いたり、図9に示す如く上下方向に押圧して若干無理嵌めして嵌合する凹凸嵌合部43a,43bを容器本体41と蓋42又は蓋体にそれぞれ設けたりして(実開昭63−42212号公報)、重ね合わせた周縁部同士を貼り合わせるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の包装用容器の内、止着手段を用いたものは、包装作業に手間を要し、また、粘着テープなどの止着部材の表面にゴミや埃が付着しやすく、衛生上好ましいものではなかった。凹凸嵌合部を有するものは、包装する際重ね合わせた周縁部同士を上下に押圧して嵌合させる必要があり、ワンタッチで止着できるものではなかった。
【0004】
また、容器を開蓋するには、止着部材を用いたものはこれを取り去って蓋又は蓋体を上方に引っ張り上げなければならず、凹凸嵌合部を有するものは容器本体と蓋又は蓋体を互いに離反する上下方向に引き剥がすようにしなければならず、双方共に開蓋作業中に容器を傾けたり引っ繰り返したりして収納物を外部に飛散させやすいものであった。とりわけ、表面が柔らかいケーキや汁物などの食品を収納したときは、開封中に容器を傾けて食品を型崩れさせたり収納した汁をこぼしたりする危険性が大きく、特に慎重に取り扱う必要があった。
【0005】
そこで本発明はこのような問題点を踏まえ、蓋体を容器本体に取り付けて簡易に止着し、開蓋する際には容器本体に反動を与えることなく円滑な操作によって開蓋することができる包装用容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の包装用容器は、上面を開口し、開口の周囲に鍔部を配した容器本体と、容器本体に着脱自在であって周縁部を容器本体の鍔部に接合させて上記開口を被閉する蓋体よりなるプラスチック製の包装用容器において、容器本体と蓋体の接合面部の一方に根元部よりも先端部が幅広な膨頭形状の嵌合突部を複数設け、他方の対応位置に上記嵌合突部が挿入可能な開口幅を有する嵌入部と当該嵌入部と連続して伸びていて上記膨頭状に対応して開口部をくびれた内拡がり溝形に形成した係合溝部からなる嵌合凹部を複数設け、 上記嵌入部の係合溝部と対向する内壁部を開口上部から底部に至って傾斜させるとともに、上記嵌入部と係合溝部はすべて同一円周上に沿わせて形成し、各嵌合突部もこれに対応させて同一円周上に形成し、嵌合突部を嵌合凹部の嵌入部に挿入した容器本体及び蓋体を上記係合溝部の形成方向に相対スライド回転操作することにより容器本体と蓋体との嵌合装着が行われ、逆操作により離脱が行われるようにしたことを特徴としてなるものである。
【0008】
さらに、嵌入部と係合溝部の境界付近に、溝幅を嵌合突部の幅よりも僅かに狭めて嵌合突部が一旦係止できるようにした突部を設けることが好ましい。
【0009】
本発明の包装用容器によれば、嵌合凹部の嵌入部内に嵌合突部を挿入するようにして蓋体を容器本体に被着し、そのまま嵌合凹部の係合溝部の形成方向に容器本体又は蓋体をスライドし或いは回転すれば、嵌合突部と係合溝部が係合して蓋体が容器本体に止着する。この状態から、容器本体又は蓋体を逆方向にスライドし或いは回転すれば、嵌合突部が嵌入部内迄相対移動して上記係合が解除され、そのまま蓋体を持ち上げれば容器本体から離脱できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図中、符号1は容器本体、2は蓋体であり、それぞれプラスチックを用い、圧空乃至真空成形などのサーモフォーミング法により成形されている。
容器本体1及び蓋体2は、収納する物品の種類などにより、延伸ポリスチレンや耐衝撃性ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜なプラスチックを用いて成形することができる。なお、蓋体2は収納物が見えるように透明となし、その表面に曇り止め加工を施すことが好ましい。
【0011】
容器本体1は、凹段部3aを有する略々楕円形の底部3の周囲から上方に開拡しつつ適宜高さで周壁4を立ち上げて平面視略々楕円形に開口した収納部5を画成し、周壁4の周縁を適宜な幅水平に張り出した平面視略矩形の鍔部6となし、その周縁部を若干下向きに折曲した折り返し縁として形成してある。
【0012】
鍔部6は閉蓋状態で蓋体2の周縁部下面が接合可能な幅を有して形成され、その上面に、適宜な深さ円形に凹ませてなる嵌入部8と、当該嵌入部より同一円周方向に適宜な長さ伸びる係合溝部9とからなる嵌合凹部7,7,7,7を設けてある。
【0013】
嵌入部8は後述の嵌合突部13が自由に挿入し得る大きさを有しており、図2(B)に示されているように、係合溝部形成側と対向する内壁部部分8aを開口上部から底部に至って適宜にすぼまり傾斜させて形成してある。
【0014】
係合溝部9は、嵌入部8と略同じ深さを有して当該嵌入部と連続して所定の曲率で同一円周方向に適宜な長さ伸び、図2(A)中の破線及び同図(D)中の断面で示すように、開口面の幅(b)が開口内部の幅(c)よりも小寸となるように開口断面を上向きC字形となし、開口部をくびれた内拡がりの溝形に形成してある。また、嵌入部8との境界部付近の係合溝部9の対向する内壁には、壁面より若干突出する突部9a,9aが設けられ、両突部の端面間の溝幅(a)が嵌合突部13の太さよりも僅かに小寸となるように形成してある。
【0015】
各嵌合凹部7は、図3に示されているように、容器本体1の鍔部6の四隅部上であって、容器本体1の底部3の中心Oを中心点とする半径Rの円Xの周上に嵌入部7及び係合溝部8を配置して設けてある。なお、嵌合凹部7の係合溝部9は適宜な長さとすることができるが、これが短すぎると嵌合突部13との係合が外れやすくなり、長すぎると開閉操作が煩雑となるため、嵌合突部13の太さ分の1.5〜3倍程度とするのがよい。
【0016】
蓋体2は、上記凹段部3aと接合可能な凸段部10aを有する頂部10より周壁11を下方に若干開拡しつつ延伸させ、その下端部を適宜な幅水平に張り出した鍔部12となし、さらにその周縁部を容器本体1の折り返し縁に上面に重合し得るように若干下向き折り曲げて形成してある。
【0017】
鍔部12は閉蓋状態で容器本体1の鍔部6と接合し得るように鍔部6と同形の平面視略矩形となし、その下面であって閉蓋状態で上記各嵌合凹部7と重なる四隅部の同一円周上の対応位置に、先端部13aを幅広の膨頭形状となした嵌合突部13をそれぞれ突設してある。
【0018】
嵌合突部13は、図4に示されているように、その先端部13aが根元部13bよりも幅広となるように、根元部13bより先端部13aに至る周壁を逆テーパ状に傾斜させるとともに、先端部13aの幅(d)が係合溝部9の開口幅(b)よりも大きく、且つ当該溝部の内壁間の幅(c)よりも小さくなるように設定し、閉蓋状態で上記嵌入部8及び係合溝部9に挿入可能な深さ下方に突出させて形成してある。なお、根元部13bの幅は、係合溝部9の突部9a,9aの端面間(a)よりも若干広くなるように設定してある。
【0019】
このように形成された本例の包装用容器は、容器本体1に食品などの被包装物品を収納し、各嵌合突部13が各嵌合凹部7の嵌入部8内に挿入されるように位置合わせして蓋体2を容器本体1に被着する。そして、この状態から容器本体1と蓋体2を互いに逆方向に回転し、各嵌合突部13を各嵌入部8内から係合溝部9内に移動せしめることにより、嵌合突部13と嵌合凹部7とが嵌合し、図5に示す如く、蓋体2を容器本体1に止着することができる。
【0020】
すなわち、図6に示されているように、嵌合突部13が嵌合凹部7の嵌入部8内にあるときは両部は何ら係合しておらず、蓋体2はそのまま持ち上げて取り外すことができるが(同図(B))、容器本体1又は蓋体2を回転し、嵌合突部13を周方向に沿って相対移動させると、先ず、嵌合突部13の幅よりも僅かに狭く形成された係合溝部9内の突部9a,9aに当接するが、嵌合突部自身の弾性により適度に撓んでこれを乗り越え、突部9a,9a通過後は外形が元の膨出形に復帰して係合溝部9内に挿通し、係合溝部9の内壁に逆テーパ状に突出する嵌合突部13の外周面に沿い(同図(C))、この状態で容器本体1の縁部6と蓋体2の鍔部12とが互いに接合するため、容器開口は密封され、蓋体2が外れる虞れがない。
【0021】
かかる閉蓋状態では、容器本体1の底部3の凹段部3aと蓋体2の頂部10に設けた凸段部10aが重合可能に形成してあるため、図5に示されているように、閉蓋した容器同士を位置決めして多段に重ね合わせておくことができる。
【0022】
また、係合溝部9内に突部9a,9aが設けてあるため、嵌合突部13を上記とは逆の方向に若干の押圧力を加えて相対移動させ、嵌合突部13を突部9a,9a間を通過させて嵌入部8内に移動させない限り、嵌合突部13と係合溝部9の上記係合状態は保持され、容器取扱い中に嵌合突部13が不用意に嵌入部8内まで移動し、蓋体2が容器本体1から離脱する虞れはない。
【0023】
さらに、嵌合凹部7の嵌入部8の内壁部分8aを傾斜させてあるので、容器本体1に蓋体2を被せた際、当該内壁部分に嵌合突部13が当接して適正な嵌合位置である嵌合凹部7内にスムーズに導き、また、蓋体2を取り外すときは、スライド操作に伴い、当該内壁部分に沿って嵌合突部13を鍔部6の上面まで移動せしめ、蓋体2をそのまま離脱させることができる。
【0024】
なお、嵌合突部13が係合溝部9の突部9a,9a間を通過する際、適度に撓むが、通過後は自身の弾性により元の形状に復帰するため、上述の手順で繰り返し開閉操作が可能である。
【0025】
また、上記開閉操作は、容器本体1と蓋体2の何れか一方を相対回転して行うことができる。すなわち、食品が収納された本例の容器をテーブルの上に置き、片手で容器本体1を支持して固定し、片手で蓋体2を掴んで回転すれば、容器を水平に保持したまま簡易に開閉操作を行え、開閉操作中に容器を傾けて容器内の食品を倒したり容器外へ飛散させたりする虞れはない。
【0026】
図7及び図8は本発明の他の実施例の包装用容器を示している。
本例の容器本体21は、略円形の底部23の周囲から上方に開拡しつつ適宜高さで周壁24を立ち上げて平面視円形に開口した収納部25を画成し、周壁24の内側上部に段肩部26を環状に設け、これと連なる上周縁を適宜な幅水平に張り出した環状の鍔部27となし、この鍔部27の上面に、前記実施例と同様、先端部が根元部よりも大きい膨頭状を呈し、適宜高さで逆テーパ状に突出する嵌合突部28,28,28を、上記底部23の中心から同一円周上に互いに120°毎離した位置に設けて形成したものである。
【0027】
また、蓋体22は、容器本体21の開口を被覆する大きさの頂部29を有し、当該頂部から若干開拡しつつ下方に延伸させた周縁の下端部に上記段肩部26に重なる段部30を環状に設け、これと連なる周縁を適宜な幅水平に張り出した環状の鍔部31となし、この鍔部31の下面であって閉蓋状態で上記各嵌合突部28と重なる同一円周上の対応位置に、前記実施例と同様、嵌入部33と周方向に伸びる係合溝部34よりなる嵌合凹部32を、当該下面より嵌合突部28が挿通し得る大きさ上方に凹ませて形成したものである。
【0028】
本例の包装用容器によっても、嵌合突部28と嵌合凹部32とを位置合わせして蓋体22を容器本体21に被着し、段肩部26に段部30を重ね合わせ、両鍔部27,31を接合させて容器本体21の開口を被閉し、この状態から容器本体21と蓋体22を相対回転移動すれば、嵌合突部28が嵌合凹部32とが嵌合して蓋体22は容器本体21に止着し、逆方向に相対回転すれば、上記係合が解除され、蓋体22を容器本体21より取り去ることができる。閉蓋状態においては、図8に示されているように、容器21の段肩部26に蓋体22の段部30が重なっているので、容器本体21に対する蓋体22の取付けが確実となり、高い密封性を維持することができる。
【0029】
上記両実施例では、嵌合突部と嵌合凹部を同一円周上の対応位置にそれぞれ設け、容器本体と蓋体を相対回転することにより開閉操作が行われるように形成したが、容器本体と蓋体を適宜な方向、例えば直線方向などに相対スライドすることによって開閉操作が行われるよう、嵌合突部と嵌合凹部を配置することも可能である。
【0030】
また、本発明の包装用容器は、容器本体及び蓋体の形状、収納部や開口、鍔部の形状や大きさは、収納する物品の種類や形、量などに応じて楕円や円などの曲面形や多角形などの適宜形状とすることができる。容器本体及び蓋体の接合面部に形成される嵌合突部及び嵌合凹部の形状や形成位置なども適宜に選定することができ、例えば、嵌合突部は逆テーパ状に突出して設ける他、T字状や逆L字状など適宜な膨頭形状とすることができる。嵌合凹部の係合溝部も、上記膨出形状に対応させて、適宜な凹凸嵌合形状とすることができる。
【0031】
【発明の効果】
このように、本発明の包装用容器によれば、嵌合凹部の嵌入部内に嵌合突部を挿入するようにして蓋体を容器本体に被着し、そのまま嵌合凹部の係合溝部の形成方向に容器本体と蓋体を相対スライドすれば、嵌合突部が係合溝部に係合して蓋体が容器本体に止着し、他方、容器本体又は蓋体を逆方向に移動させれば係合が解除されて蓋体の取り外しが可能となり、容器に何ら反動を与えることなく容器を水平に保持したまま、簡便に開閉を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の分解斜視図である。
【図2】容器本体に形成された嵌合凹部を示し、(A)は要部拡大平面図、(B)は(A)のIIB-IIB 線に沿った断面図、(C)は(A)のIIC-IIC 線に沿った断面図、(D)は(A)のIID-IID 線に沿った断面図である。
【図3】容器本体の嵌合凹部形成位置を説明するため図である。
【図4】蓋体に形成された嵌合突部の拡大断面図である。
【図5】図1の容器の閉蓋状態の要部横断面図である。
【図6】閉蓋状態の嵌合凹部を示し、(A)は要部拡大平面図、(B)は(A)のVIB-VIB 線に沿った断面図、(C)は(A)のVIC-VIC 線に沿った断面図である。
【図7】本発明の他の実施例の分解斜視図である。
【図8】図7の容器の閉蓋状態の要部横断面図である。
【図9】従来の包装用容器の斜視図である。
【符号の説明】
1,21 容器本体
2,22 蓋体
3,23 底部
5,25 収納部
6,27 鍔部
7,32 嵌合凹部
8,33 嵌入部
9,34 係合溝部
12,31 鍔部
13,28 嵌合突部
Claims (2)
- 上面を開口し、開口の周囲に鍔部を配した容器本体と、容器本体に着脱自在であって周縁部を容器本体の鍔部に接合させて上記開口を被閉する蓋体よりなるプラスチック製の包装用容器において、
容器本体と蓋体の接合面部の一方に根元部よりも先端部が幅広な膨頭形状の嵌合突部を複数設け、
他方の対応位置に上記嵌合突部が挿入可能な開口幅を有する嵌入部と当該嵌入部と連続して伸びていて上記膨頭状に対応して開口部をくびれた内拡がり溝形に形成した係合溝部からなる嵌合凹部を複数設け、
上記嵌入部の係合溝部と対向する内壁部を開口上部から底部に至って傾斜させるとともに、上記嵌入部と係合溝部はすべて同一円周上に沿わせて形成し、各嵌合突部もこれに対応させて同一円周上に形成し、
嵌合突部を嵌合凹部の嵌入部に挿入した容器本体及び蓋体を上記係合溝部の形成方向に相対スライド回転操作することにより容器本体と蓋体との嵌合装着が行われ、逆操作により離脱が行われるようにしたことを特徴とする包装用容器。 - 嵌入部と係合溝部の境界付近に、溝幅を嵌合突部の太さよりも僅かに狭めて嵌合突部が一旦係止できるようにした突部を設けてなる請求項1に記載の包装用容器。
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