JPH0678100U - 車室内用樹脂製スピーカグリル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車室内の音響特性を向上する。 【構成】車体におけるドアの下部に設けられたスピーカ
グリル本体６には、音通孔７の中心線がスピーカグリル
本体６の壁面に対して上方へ向くように透設する。この
構成により、スピーカ３から発せられた音は音通孔７を
介して車室内の上方に伝搬されるが、音は音通孔７の中
心線に沿った方向、すなわち、上方へ伝搬されるので、
車室内の音響特性が向上される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車体のドアトリム等に設けられた車室内用スピーカを覆う樹脂製のス ピーカグリルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、車室用スピーカの前部にはそのコーン紙、磁石、コイル等を保護するた めにスピーカグリルが設けられている。一般に、スピーカグリルには金属製から なるスピーカグリルと樹脂製からなるスピーカグリルとがある。そして、近年ス ピーカグリルは軽量化及び製造コストを低減する必要性から合成樹脂材料へ転化 する傾向にある。例えば図６及び図７に示すように、車体ドア２０の内装材であ る樹脂製ドアトリム２１には、スピーカグリル２２が一体に形成されている。こ のスピーカグリル２２には複数の音通孔２３が透設されている。そして、車体ド ア２０のインナパネル２５に取付けられたスピーカ２４から発せられた音が音通 孔２３を介して、車室内に伝搬されるようになっている。また、樹脂製スピーカ グリル２２はその剛性を高めるために金属製スピーカグリルよりも肉厚となって いる。このため、スピーカグリル２２の厚肉に比例して音通孔２３も深くなり、 スピーカグリル２２の壁面に対する音通孔２３の角度にて音の伝搬方向が定めら れる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、樹脂製スピーカグリル２２における音通孔２３はスピーカ２４に対 し直交する方向をなしているので、スピーカ２４から発せられた音はスピーカグ リル２２の壁面に対し正面方向のみしか伝搬されない。つまり、スピーカグリル ２２はドア１の下部に設けられているので、スピーカ２４からの直接音は上方へ は伝搬されない。このため、スピーカグリル２２の設置されている位置によって はスピーカ２４からの直接音を聞き取ることができないという問題があった。

【０００４】 本考案はこのような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであ って、その目的とするところは、スピーカグリル本体の設置される位置に関係す ることなく、直接音を聞き取れることが可能な車室内用樹脂製スピーカグリルを 提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、複数の音通孔を備えた車室内用樹脂製スピーカグリ ルにおいて、前記音通孔をスピーカの設置面に対して斜め方向に設けたことを要 旨とするものである。

【０００６】

【作用】

上記のように構成された車室内用樹脂製スピーカグリルにおいて、スピーカか ら発せられた音は音通孔を介して車室内に伝搬される。このとき、音はスピーカ グリル本体の側壁面に対し斜め方向へ伝搬される。

【０００７】

【実施例】

（第一実施例） 以下に本考案を具体化した実施例を図１〜図３に基づいて説明する。

【０００８】 図１及び図３に示すように、車体におけるドア１のインナパネル２にはスピー カ３が複数のビス４にて取付けられ、このスピーカ３のコーン紙３ａは車内室側 に向けられている。スピーカ３のコーン紙３ａに対応して位置する内装材である ドアトリム５には、コーン紙３ａ等を保護するためのスピーカグリル本体６が設 けられている。スピーカグリル本体６は皿状に形成され、同スピーカグリル本体 ６の頂部は車内室側に突設されている。ドアトリム５とスピーカグリル本体６と は合成樹脂からなり、両者５，６は一体に形成されている。

【０００９】 図１及び図２に示すように、スピーカグリル本体６には多数の音通孔７が透設 され、各音通孔７の中心線はドアトリム５の側壁面に対し斜め上方へ向かうとと もに、各中心線同士は互いに平行間隔をなしている。同音通孔７の開口部は正面 円形状に形成されている。そして、スピーカ３から発せられる音は音通孔７の中 心線に沿って車室内に伝搬される。

【００１０】 次に、このように構成された車両用スピーカグリル本体６の作用及び効果につ いて説明する。 スピーカ３から発せられた音は空気中を伝わって、スピーカグリル本体６の音 通孔７を介して車室内へと伝搬される。すなわち、スピーカ３から発せられた音 は音通孔７に沿ってドア１の下部から上方へ向けて伝搬される。従って、第一実 施例の樹脂製スピーカグリル本体６においては、ドアトリム５と一体に成形され ることから製造コストを低減できるとともに、軽量化できるのは勿論のことなが ら、スピーカグリル本体６の設けられた位置がドア１の下部であっても、スピー カ３から発せられた音を上方へ伝搬することができる。このため、運転者等はス ピーカ３からの直接音を明瞭に聞くことができて、車室内の音響特性を向上する ことができる。

【００１１】 （第二実施例） 次に第二実施例について図４及び図５に従って説明する。但し、前記第一実施 例と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略する。

【００１２】 図４及び図５に示すように、スピーカグリル本体６には多数の音通孔１１がド アトリム５の側壁面に対し放射方向へ向かって透設されている。すなわち、スピ ーカグリル本体６の頂部付近における各音通孔１１の中心軸線は、スピーカグリ ル本体６の側壁面に対して直交している。また、スピーカグリル本体６の頂部付 近を除く音通孔１１の中心軸線は、スピーカグリル本体６の頂部から周縁へ行く ほどスピーカグリル本体６の側壁面側に傾斜し、スピーカ３の中心軸線状の一点 を中心にして放射方向となるように配置されている。そして、スピーカ３から発 せられる音は音通孔１１を介して車室内に伝搬される。

【００１３】 なお、スピーカグリル本体６の音通孔１１を放射状に透設するにあたり、図５ において二点鎖線で示す各ブロック（この場合８ブロック）ごとに図示しないス ライドコアをスピーカグリル本体６の側面に沿って設けられる。すなわち、各ス ライドコアを各々の方向にスライドして離型することにより、音通孔１１の中心 線は各ブロックごとに異なる傾斜角度を有して透設される。

【００１４】 次に、このように構成された車両用スピーカグリル本体６の作用及び効果に ついて説明する。 スピーカ３から発せられた音は空気中を伝わって、スピーカグリル本体６の音 通孔７を介して車室内へと伝搬される。すなわち、スピーカ３から発せられた音 は音通孔７の中心線に沿ってドア１の下部から車室内全域へ向けて伝搬される。 従って、第二実施例の樹脂製スピーカグリル本体６においては、スピーカグリル 本体６の設けられた位置がドア１の下部であっても、スピーカ３から発せられた 音は四方へ伝搬することができる。このため、運転者等はスピーカ３からの直接 音を明瞭に聞くことができて、車室内の音響特性を向上することができる。

【００１５】 なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しな い範囲で例えば、以下のように任意に変更することも可能である。 （１）前記第一実施例において、音通孔７の中心線が互いに平行をなすととも に、上方へ向けて透設したがこれ以外に、スピーカの取付け場所に合わせて、例 えば音通孔７の中心線が全て下方へ向くようにしてもよい。つまり、音通孔７の 中心線が任意の方向に向くように、音通孔７を形成することが可能である。

【００１６】 （２）上記第一及び第二実施例で示す音通孔７，１１の開口部の形状は円形状 に形成したが、例えば格子状に形成する等任意の形状にしてよい。 （３）上記第一及び第二実施例では、スピーカグリル本体６をドアトリム５に 設けた具体例を示したが、これ以外にスピーカグリル本体６をフロントピラーガ ーニッシュ、車体の後部座席の後方におけるパッケージトレイトリム及びフロン トダッシュボード等と一体に設けてもよい。

【００１７】 （４）上記第一及び第二実施例では、スピーカグリル本体６とドアトリム５と は一体に形成したが、両者５，６を一体にするのではなく別部材にしてもよい。 具体的には別部材からなるスピーカグリル本体６をドアトリム５に対しビス等を 用いて固定してもよい。

【００１８】

【考案の効果】

本考案の車室内用樹脂製スピーカグリルは、スピーカグリル本体の壁面に対し て斜め方向に設けることができるので、スピーカグリル本体の設置される位置に 関係することなく、直接音が聞き取れることができるという優れた効果を奏する 。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施例におけるスピーカグリル本体の縦断
面図である。

【図２】同じく、スピーカグリル本体の正面図である。

【図３】同じく、車体においてスピーカグリル本体の設
置位置を示すドアの正面図である。

【図４】第二実施例におけるスピーカグリル本体の縦断
面図である。

【図５】同じく、スピーカグリル本体の正面図である。

【図６】従来技術におけるスピーカグリルの断面図であ
る。

【図７】同じく、車体においてスピーカグリル本体の設
置位置を示す車体ドアの正面図である。

【符号の説明】

６…スピーカグリル本体、７…音通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 古森 敬博 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成 株式会社内 (72)考案者 浅香 誠一 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成 株式会社内 (72)考案者 乾 修司 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成 株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の音通孔（７）を備えた車室内用樹
   脂製スピーカグリルにおいて、 前記音通孔（７）をスピーカグリル本体（６）の壁面に
   対して斜め方向に設けたことを特徴とする車室内用樹脂
   製スピーカグリル。