JPH0676929U - 高分子分散型液晶表示素子の製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶セル内の全域において高分子を均一に光重
合させて、均一な構造の高分子分散液晶層をもつ良好な
特性の高分子分散型液晶表示素子を得る。 【構成】光によって重合反応する高分子と液晶との混合
溶液を充填した液晶セル１０を、その混合溶液充填領域
への照射光を遮らない状態で支持する支持部材２３に支
持させ、この液晶セル１０のほぼ全周囲を囲繞する内面
を球面状反射面２１とした反射体２０内に光源２５から
の紫外線光を照射することにより、この光を前記反射体
２０で反射させて液晶セル１０にその全ての方向から均
等に入射させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高分子分散型液晶表示素子の製造装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

高分子分散型液晶表示素子は、透明電極を設けた一対の透明基板を枠状のシー ル材を介して接合した液晶セル内に、高分子の層中に液晶を分散状態で混在させ た高分子分散液晶層を設けたものであり、液晶としては一般に、誘電異方性が正 のネマティック液晶が用いられている。

【０００３】 この高分子分散型液晶表示素子は、両基板の電極間に電圧を印加して表示駆動 されるもので、高分子分散液晶層中の液晶の分子は、電圧が印加されていない状 態では様々な方向を向いており、この状態では、高分子分散液晶層を透過する光 がこの高分子分散液晶層の光散乱作用によって散乱される。また、上記電極間に 液晶のしきい値電圧以上の電圧を印加すると、液晶の分子が基板面に対して垂直 になるように一様に配列し、透過光が光散乱作用をほとんど受けずに高分子分散 液晶層を透過する。

【０００４】 すなわち、上記高分子分散型液晶表示素子は、光透過と散乱とによって文字や 図形等の所望のパターンを表示するもので、この高分子分散型液晶表示素子は、 一般に用いられているＴＮ型の液晶表示素子に比べて、画面が明るいという長所 をもっている。

【０００５】 上記高分子分散型液晶表示素子は、一般に、一対の透明基板を枠状のシール材 を介して接合した液晶セル内に、光によって重合反応する高分子と液晶との混合 溶液を充填し、この液晶セルに光（紫外線光）を照射して、前記高分子を光重合 させることによって製造されている。

【０００６】 このように、液晶セル内に充填した溶液に紫外線を照射すると、モノマーある いはオリゴマーの状態にある高分子の二重結合が解けてラジカル化し、隣り合う 高分子のラジカルが互いに結合し合うラジカル重合反応により高分子がポリマー 化するため、高分子と液晶とが相分離し、高分子の層中に液晶が分散状態で混在 した高分子分散液晶層が形成される。

【０００７】 上記高分子分散型液晶表示素子は、従来、セル支持台の上に上記混合溶液を充 填した液晶セルを載置し、この液晶セルにその上方から光を照射して高分子を光 重合させる製造装置によって製造されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の製造装置は、液晶セルの片面から光を照射してセル内の混 合溶液の高分子を光重合させるものであるため、良好な特性の高分子分散型液晶 表示素子が得られないという問題をもっていた。

【０００９】 これは、高分子の光重合反応が照射光の強度に大きく依存するためであり、液 晶セルの片面側から光を照射する従来の製造装置では、高分子を光重合させる光 の強度が光照射側とその反対側とで異なるため、高分子を光重合させて形成され た高分子分散液晶層の構造、つまり液晶の分散状態が、液晶セルの一面側と他面 側とで異なってしまい、素子の電気光学特性が悪くなる。

【００１０】 本考案は、液晶セル内の全域において高分子を均一に光重合させて、均一な構 造の高分子分散液晶層をもつ良好な特性の高分子分散型液晶表示素子を得ること ができる、高分子分散型液晶表示素子の製造装置を提供することを目的としたも のである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案の製造装置は、光によって重合反応する高分子と液晶との混合溶液を充 填した液晶セルをその混合溶液充填領域への照射光を遮らない状態で支持する支 持部材と、前記支持部材に支持された前記液晶セルのほぼ全周囲を囲繞する内面 を球面状反射面とした光反射体と、この光反射体内に光を照射する光源とからな ることを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】

すなわち、本考案の製造装置は、光源からの照射光を、液晶セルのほぼ全周囲 を囲繞する光反射体で反射させて液晶セルに照射してやるようにしたものであり 、光源からの照射光は、内面を球面状反射面とした前記光反射体によって様々な 方向に反射される。そして、液晶セルは、その混合溶液充填領域への照射光を遮 らない状態で液晶セルを支持する支持部材に支持されているため、前記光反射体 によって反射された光が液晶セルに全ての方向から均等に入射し、液晶セル内の 全域において高分子が均一に光重合する。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明する。

【００１４】 まず、製造する高分子分散型液晶表示素子の構成を説明すると、図５は前記高 分子分散型液晶表示素子の断面図であり、この高分子分散型液晶表示素子は、透 明電極１３，１４を設けた一対の透明基板（例えばガラス基板）１１，１２を枠 状のシール材１５を介して接合した液晶セル１０内に高分子分散液晶層１６を設 けた構成となっている。

【００１５】 図６は上記高分子分散液晶層１６の一部分の拡大断面図であり、この高分子分 散液晶層１６は、ポリマー化した透明な高分子１７の層中に液晶（誘電異方性が 正のネマティック液晶）１８を分散状態で混在させた構造となっている。

【００１６】 上記高分子分散型液晶表示素子は次のような工程で製造する。

【００１７】 まず、一対の透明基板１１，１２をシール材１５を介して接合して液晶セル１ ０を組立てる。なお、この液晶セル１０の一側部には、前記シール材１５の一部 を欠落させて形成した溶液注入口を設けておく。

【００１８】 次に、上記液晶セル１０内に、光によって重合反応する高分子と液晶との混合 溶液を真空注入法により充填する。なお、この混合溶液には、高分子のラジカル 化を促進させるためのラジカル開始剤を添加しておく。

【００１９】 上記混合溶液の充填は、真空槽内に液晶セル１０をセットし、槽内を真空状態 に減圧した後、液晶セル１０の注入口を混合溶液に浸漬し、この後、槽内を大気 圧またはそれより若干高い気圧に昇圧させることによって行なう。

【００２０】 このようにして上記混合溶液を液晶セル１０内に充填した後は、上記注入口を 封止し、この後、後述する製造装置により、液晶セル１０内に充填した混合溶液 の高分子を光重合させる。

【００２１】 上記製造装置について説明すると、図１および図２は本考案の第１の実施例を 示しており、図１は製造装置の縦断面図、図２はその上反射体を取外した状態の 平面図である。

【００２２】 この製造装置は、中空球体からなる光反射体（以下、反射体という）２０と、 この反射体２０内に設けられた液晶セル支持部材２３と、前記反射体２０内に光 （紫外線光）を照射する光源２５とからなっている。

【００２３】 上記反射体２０は、その内面全体を球面状反射面２１としたものであり、この 反射体２０は、上下一対の半球面部材２０ａ，２０ｂを着脱可能に組合わせて構 成されている。これら半球面部材２０ａ，２０ｂは、内面を鏡面加工した金属成 形品または、内面に光反射コーティングを施した合成樹脂成形品からなっており 、それぞれの開口縁を互いに嵌合させて組合わされている。なお、２２は反射体 ２０を支持する３本の支脚であり、この支脚２２は下側の半球面部材２０ａに取 付けられている。

【００２４】 そして、上記液晶セル支持部材２３は、上記下側の半球面部材２０ａの開口縁 付近の４箇所に等間隔に配置されている。これら支持部材２３は、いずれも伸縮 可能なアームからなっており、その基端を上記半球面部材２０ａに固定して、反 射体２０の中心に向かって水平に突出する状態に設けられている。

【００２５】 また、上記反射体２０の頂部には、光源２５からの照射光を反射体２０内に導 入する開口２４が設けられており、光源２３は、前記開口２４の上に設置されて いる。

【００２６】 この光源２５は、紫外線光を放射する光源ランプ２６と、この光源ランプ２６ からの光を反射させるリフレクタ２７とからなっており、この光源２５からの光 は、図１に矢印で示すように、前記開口２４から反射体２０内に照射される。

【００２７】 上記製造装置は、一対の透明基板１１，１２をシール材１５を介して接合して 組立て、内部に光によって重合反応する高分子と液晶との混合溶液を充填した液 晶セル１０に紫外線光を照射して、この液晶セル１０内の混合溶液の高分子を光 重合させるもので、この製造装置による高分子分散型液晶表示素子の製造は次の ようにして行なう。

【００２８】 まず、反射体２０の上側の半球面部材２０ｂを取外し、上記混合溶液を充填し た液晶セル１０を支持部材２３に支持させる。この場合、各支持部材２３は、そ の先端で液晶セル１０の縁部を支えるように長さ調整しておき、液晶セル１０を 、その混合溶液充填領域（シール材１５で囲まれた領域）への照射光を支持部材 ２３で遮らないようにして支持する。

【００２９】 次に、上側の半球面部材２０ｂを再び下側の半球面部材２０ａと組合わせ、支 持部材２３に支持させた液晶セル１０の全周囲を反射体２０で囲繞する。

【００３０】 この後は、光源ランプ２６を点灯して、光源２５から反射体２０内に光を照射 し、この光を反射体２０で反射させて液晶セル１０に照射して、液晶セル１０内 の混合溶液の高分子を光重合させる。

【００３１】 すなわち、上記製造装置は、光源２５からの照射光を、液晶セル１０のほぼ全 周囲を囲繞する反射体２０で反射させて液晶セル１０に照射してやるようにした ものであり、光源２５からの照射光は、内面を球面状反射面２１とした反射体２ ０によって様々な方向に反射される。

【００３２】 そして、液晶セルは、その混合溶液充填領域への照射光を遮らない状態で液晶 セル１０を支持する支持部材２３に支持されているため、反射体２０によって反 射された光が、液晶セル１０に対して全ての方向から均等にほぼ同じ強度で入射 する。

【００３３】 したがって、上記製造装置によれば、液晶セル１０内の全域において高分子を 均一に光重合させて、構造（液晶の分散状態）が均一な高分子分散液晶層をもつ 、良好な特性の高分子分散型液晶表示素子を得ることができる。

【００３４】 次に、本考案の第２の実施例を図３および図４を参照して説明する。図３は製 造装置の縦断面図、図４はその上反射体を取外した状態の平面図である。なお、 図３および図４において、図１および図２に示したものと同じものについては、 図に同符号を付してその説明を省略する。

【００３５】 この実施例の製造装置は、反射体２０の両側にそれぞれ同調して駆動される低 速回転機（例えば減速機構付きモータ）３０を設置し、それぞれの回転軸３１を 反射体２０内に水平に挿入して、これら回転軸３１の先端に、液晶セル１０の両 端縁部の中央をクランプして支持する支持部材３２を設けたものであり、その他 の構成は上記第１の実施例と同じである。

【００３６】 なお、上記回転機３０は、駆動機台３３の上に摺動可能に支持されており、液 晶セル１０の大きさに対応する支持部材３３の位置調整は、回転機３０を反射体 ２０に対して接離移動させることによって行なわれる。

【００３７】 すなわち、この実施例の製造装置は、液晶セル１０を低速で回転させながら、 液晶セル１０に光を照射するようにしたものであり、この製造装置によれば、液 晶セル１０に全ての方向からより均等に光を照射することができる。

【００３８】 なお、上記第１および第２の実施例では、液晶セル１０を支持する支持部材２ ３，３２を、液晶セル１０の縁部を支持するものとしたが、液晶セル１０の支持 部材は、液晶セル１０をその混合溶液充填領域への照射光を遮らない状態で支持 するものであれば、例えば紫外線光の透過率が高い透明板であってもよい。

【００３９】 また、上記実施例では、反射体２０に球体を用いているが、この反射体２０は 、その内面を球面状反射面としたものであれば外形は任意でよく、その球面状反 射面も、真球面に限らず、楕円球面や多面体状の球面であってもよいし、さらに 前記球面状反射面は、光を散乱反射させる反射面であってもよい。

【００４０】 さらに、上記実施例では、光源２５を反射体２０の頂部に設けているが、この 光源２５の設置箇所は任意でよく、また反射体２０の内部に光源を設ける場合は 、リフレクタ２７を無くして光源ランプ２６だけを配置してもよい。

【００４１】

【考案の効果】

本考案の製造装置によれば、液晶セルに全ての方向から均等に光を入射させる ことができるから、液晶セル内の全域において高分子を均一に光重合させて、均 一な構造の高分子分散液晶層をもつ良好な特性の高分子分散型液晶表示素子を得 ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例による製造装置の縦断面
図。

【図２】同じく上反射体を取外した状態の平面図。

【図３】本考案の第２の実施例による製造装置の縦断面
図。

【図４】同じく上反射体を取外した状態の平面図。

【図５】高分子分散型液晶表示素子の断面図。

【図６】高分子分散液晶層の一部分の拡大断面図。

【符号の説明】

１０…液晶セル ２０…光反射体 ２０ａ，２０ｂ…半球面部材 ２１…球面状反射面 ２３…支持部材 ２５…光源 ３０…低速回転機 ３２…支持部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】透明電極を設けた一対の透明基板を枠状の
   シール材を介して接合した液晶セル内に、高分子の層中
   に液晶を分散状態で混在させた高分子分散液晶層を設け
   てなる高分子分散型液晶表示素子を製造するための装置
   であって、 光によって重合反応する高分子と液晶との混合溶液を充
   填した液晶セルをその混合溶液充填領域への照射光を遮
   らない状態で支持する支持部材と、前記支持部材に支持
   された前記液晶セルのほぼ全周囲を囲繞する内面を球面
   状反射面とした光反射体と、この光反射体内に光を照射
   する光源とからなることを特徴とする高分子分散型液晶
   表示素子の製造装置。