JPH0676789A - Esi質量分析計 - Google Patents

Esi質量分析計

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JPH0676789A
JPH0676789A JP4227052A JP22705292A JPH0676789A JP H0676789 A JPH0676789 A JP H0676789A JP 4227052 A JP4227052 A JP 4227052A JP 22705292 A JP22705292 A JP 22705292A JP H0676789 A JPH0676789 A JP H0676789A
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忠男 三村
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義昭 加藤
Kazumi Muramatsu
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ESIプローブの先端より試料が霧化するた
めの条件、或いは霧化された試料が細孔電極に達するま
での条件を安定に保つことによってIon Evaporationを
促進させ、検出する試料分子のイオンピークの感度を向
上させる。 【構成】 第1のカバー20は、ESIプローブ3及び
これに対向する第1の細孔電極6のある空間を覆い、排
気ファン12と空気取り入れ口14が付設してある。第
2のカバー21は、第1のカバー20内に位置してES
Iプローブ3と第1細孔電極6との間を覆い、その一端
が第1細孔電極6面或いはこれを支持する板面9に接
続,固定され、第2のカバー21の他端に穴21b付き
のエンドプレート21aが設けてある。この穴21bを
介してESIプローブ3の先端をカバー21内に導入し
てあり、カバー21内がイオン化部空間Iとしてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ESI(エレクトロス
プレイイオン化方式)質量分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】大気圧イオン化法(Atmospheric Presso
re Ionization)の1つであるエレクトロスプレイイオ
ン化法(以下、ESIと略称する)を利用した液体クロ
マトグラフ直結形質量分析計(LC/ESI質量分析
計)は、従来の電子衝撃形イオン化(EI)を利用した
ガスクロマトグラフ直結形質量分析計に比べ、そのイオ
ン化機構において衝撃の少ない穏やかなイオン化手段を
用いているため、試料をイオン化する際分解することな
く、特にペプチド等の測定において擬分子イオンや多価
イオンが観察し易い特徴を有し、GC質量分析計では得
られない多くの知見を有している。
【0003】図2にLC/ESI質量分析計の従来例を
示す。
【0004】図2において、液体クロマトグラフ1(以
下、LC1と略称する)より溶出する試料および移動相
は、試料パイプ2を通ってESIプローブ(エレクトロ
スプレイプローブ)3に送られ、ここでネブライザーガ
ス4(例えばN2ガス)と合流してESIプローブ3の
先端より大気圧領域(カバー10の内部空間)に霧化さ
れつつ噴射される。
【0005】霧化された試料は最初、移動相に包まれた
液滴になっており、しかもESIプローブ3は高電圧
(約3〜8kv)が印加されているため、十分にチャー
ジされた状態となっている。この霧化された試料,移動
相の液滴は、第1細孔電極6に達するまでの間、移動相
は蒸発を続け液滴は小さくなってゆく。すると液滴は十
分チャージされているのでクーロン力の反発により破裂
をし、更に小さな液滴となる。この移動相の蒸発と破裂
はくり返し行われる。試料は移動相溶液の中で移動相よ
りプロトンを得てイオンの状態として存在している。し
たがって液滴が十分に小さくなり、移動相の表面張力よ
り試料イオンと移動相のチャージによるクーロン反発が
大きくなると、試料イオンは移動相より飛び出し(これ
をIon Evaporationと呼ぶ)試料分子イオンとなる。
【0006】この試料分子イオンは、ESIプローブ3
の先端と第1細孔電極6との先端との間で形成される電
気力線に沿って飛び、第1細孔電極6を通り中間圧力領
域5を経て第1細孔電極7に達し、更に第1細孔電極7
を通って質量分析部8に送られ質量分析される。
【0007】したがって、LC/ESI質量分析計によ
れば、NH,OH,CO等を有する極性の高い試料、例
えば、ペプチド、蛋白質が高感度で測定できる。しかも
これらの試料は熱によって壊れ易いため、GC質量分析
計ではまったく測定が不可能であった。
【0008】ESIプローブ3の先端より霧化される試
料は、十分にチャージされた液滴となってネブライザー
ガス4と共に第1細孔電極6に向かって噴霧され飛んで
行く訳であるが、感度良く測定できるか否かはIon Evap
orationがいかに効率良く行われているかに依存する。
このIon Evaporationが効率良く行われるためには、E
SIプローブ3の先端より霧化された液滴が第1細孔電
極6に達するまでの間に、試料を取り囲む移動相を効率
良く蒸発させることである。
【0009】しかしながらESIプローブ3の先端より
生成される液滴の大きさは一定ではなくばらつきがあ
り、その大きさは数umから数十umに達する。そのた
め従来の方式においては、数umの液滴は第1細孔電極
6に到達するまでの間にIon Evaporationが起こり、試
料をイオンとして分析部8に導入することが可能である
が、数十umの液滴においてはその液滴の大きさが十分
に小さくならないためにIon Evaporationは起こらず、
第1細孔電極6或いは第1細孔電極6を固定する板9に
液滴のまま衝突していた。したがって数十umの液滴か
らはイオンを生成することはできなかった。このため、
これを改善する目的でネブライザーガス4は60℃から
70℃に温めてある。なぜなら液滴は第1細孔電極6に
達するまでの過程においてネブライザイーガス4と衝突
を繰返し、これによって液滴の蒸発が促進されIon Evap
orationは起こりやすくなるからである。
【0010】なお、この種の従来技術には、例えば、特
開平3−179252号公報に開示されるように、ES
Iプローブを囲むようにして試料イオン通過用オリフィ
ス付きの筒状体(大気圧イオン化室)を設け、この大気
圧イオン化室に高温の乾燥ガスを供給するガス供給管を
導入し、ガス供給管から噴出する乾燥ガス(カウンター
ガス)を試料イオンの流れと逆方向に流して試料の微小
液滴の乾燥を図る技術があり、そのほかにも、第1,第
2の細孔電極間からESIプローブ側に向けて(試料イ
オンの流れと逆方向)カウンターガスを流してこれをE
SIプローブから噴射される液滴の流れに衝突させて液
滴試料の霧化促進ひいてはIon Evaporationを高める技
術が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の装
置では、霧化された移動相及びネブライザーガスが室内
等の大気中に放出されないように、通常は、このESI
インターフェイス部(ESIプローブより噴射される霧
化試料をIon Evaporationによりイオン化するための大
気圧領域)をカバー10で覆い、このカバー10に通常
は排気ファン12を付加して上記の霧化された移動相及
びネブライザーガスを排気している。
【0012】カバー10は一部に空気の取入口14が設
けられているものの他は密閉されている。そのためこの
排気ファン12によってESIインターフェイス部に空
気の流れが生じ、この空気の流れがIon Evaporationの
条件を不安定にする。なぜなら空気の流れによってES
Iプローブ3の先端よりネブライザーガス4と共に霧化
された液滴が前記空気の流れと混じりあうこととなり、
これによりネブライザーガス4の温度が低下するからで
ある。このため液滴は十分に小さくなることができずIo
n Evaporationが効率よく起こらなくなる。
【0013】更にこの空気の流れは第1細孔電極6の温
度を低下させることとなり、これより脱溶媒の促進化が
行われにくくなり感度の低下につながる。
【0014】また、特開昭3−179252号のような
高温乾燥ガスやカウンターガス(以下、これらをカウン
ターガスと総称する)を試料イオンと逆方向に流す方式
では、装置全体が複雑になると共に、カウンターガスの
流れが強すぎると試料イオンの流れに悪影響を及ぼしそ
の調整が難しく、また、このようなカウンターガスの流
れに逆らって試料イオンを質量部側に導くには、その
分、ESIプローブと第1の細孔電極間の電圧を高くし
なければならず、コスト高になる問題があった。
【0015】本発明は以上の点に鑑みてなされ、その目
的は、ESI質量分析装置において、簡単な構造によ
り、ESIプローブの先端より試料が霧化するための条
件、或いは霧化された試料が細孔電極に達するまでの条
件を安定に保つことによってIon Evaporationを促進さ
せ、検出する試料分子のイオンピークの感度を向上させ
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、基本的には次のような課題解決手段を提案
する。なお、以下に述べる構成要素に付した符号は、便
宜的に図1の実施例の符号を引用したものである。
【0017】すなわち、大気圧或いはそれに近い状態の
空間(以下、この空間を大気圧領域とする)にESIプ
ローブ3から液体試料を噴射してIon Evaporation現象
を生じさせるイオン化部を備え、このイオン化部で生成
された試料イオンを差動排気を利用して中間圧力領域5
を経て分析部8に導入するESI質量分析計において、
ESIプローブ3及びこれに対向する細孔電極6(この
細孔電極6は試料イオンを中間圧力領域に導くためのも
のである)のある空間を覆う第1のカバー20と、この
第1のカバー20内に位置してESIプローブ3と細孔
電極6との間を覆う第2のカバー21が設けられ、第1
のカバー20は空気取入口14及び排気機能12を備
え、第2のカバー21は、筒形を呈してその一端が細孔
電極6面或いはこれを支持する板面9に接続され、この
第2のカバー21の他端にESIプローブ3の少なくと
も先端を導入する穴21b付きのエンドプレート21a
が設けてあり、この第2のカバー21を第1のカバー2
0と同様の大気圧領域として第2のカバー21内がイオ
ン化部空間Iとしてある。
【0018】
【作用】ESIプローブ3と細孔電極6との間を第2の
カバー21で覆うことで、このカバー21の内部にIon
Evaporationを生じさせるイオン化部の空間Iが形成さ
れる。このイオン化部空間Iを形成する第2のカバー2
1は、その周囲が第1のカバー20により覆われ、カバ
ー20,21が大気圧領域となる。
【0019】第1のカバー20に付加した排気機能を作
動させると、第1のカバー20内に空気流が生じるが、
第2のカバー21の内部にあるイオン化部空間Iは、こ
のカバー21の存在により上記空気流の影響を受けず、
ネブライザーガス4と共に霧化された試料、移動相は、
第2のカバー21内を通る時に空気と混じりあうことは
なくなる。
【0020】したがってネブライザーガス4と液滴の温
度を低下させることを防止できる。また細孔電極6の温
度低下も防止できる。
【0021】また、第2のカバー21のうちESIプロ
ーブ3を導入する側にはプローブ挿入穴21b付きのエ
ンドプレート21aが設けてあることから、霧化された
試料の大きな液滴を第2のカバー21の中において循環
させることが可能となり(エンドプレート21aがこの
循環流の流れを作るガイド作用をなす)、これにより、
液滴を長い時間第2のカバー21の中に閉じ込めること
になり、大きな液滴からもIon Evaporationを起こすこ
とが可能となる。
【0022】カバー21内のネブライザーガスや霧化さ
れた移動相は、穴21bを通して徐々に第1のカバー2
0側に流出して排気機構12を介して排出される。ま
た、Ion Evaporationによりイオン化された試料イオン
(試料分子イオン)は、ESIプローブ3の先端と細孔
電極6の先端との間で形成される電気力線に沿って飛
び、細孔電極6,中間圧力領域等を経て質量分析部8に
導かれる。
【0023】次に第2のカバー21にヒータ機能を付加
した場合には、該カバー21の内壁より発する輻射熱に
より液滴を形成する移動相の蒸発を促進させ液滴をより
早く小さくすることができる。更に第2のカバー21の
内壁に付着した液滴(電荷を有する液滴)を即蒸発させ
ることが可能となり、ESIプローブ3と細孔電極6で
形成される電界を安定に保ち、またネブライザーガスと
液滴の流れを安定に保つことができる。
【0024】次に第2のカバー21を導電性の材料で構
成する場合には、電気的にESIプローブ3と細孔電極
6を外部と遮蔽することとなり、この場合、ESIプロ
ーブ3と細孔電極6間で形成される電界が外部の影響に
よって乱されることがなくなる。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を図1により説明する。
【0026】図1は本発明の一実施例に係るESI質量
分析計を示す構成図である。図中、図2に示した従来例
と同一符号は同一或いは共通する要素を示す。
【0027】ここで従来と異なる点は、大気圧領域を第
1のカバー20と第2のカバー21とで構成した点であ
る。
【0028】このうち、第1のカバー20は、ESIプ
ローブ3及びこれに対向する第1の細孔電極6のある空
間を覆い、排気ファン12と空気取り入れ口14が付設
してある。ESIプローブ3はその支持台15が第1の
カバー20にある。
【0029】第2のカバー21は、第1のカバー20内
に位置してESIプローブ3と第1細孔電極6との間を
覆う。第2のカバー21は、筒形を呈してその一端が第
1細孔電極6面或いはこれを支持する板面9に接続,固
定され、この第2のカバー21の他端に穴21b付きの
エンドプレート21aが設けてある。この穴21bは、
カバー21の一端中央に位置し、穴21bを介してES
Iプローブ3の先端をカバー21内に導入してある。こ
の穴21bを介して第2のカバー21も第1のカバー2
0同様の大気圧領域としてあり、カバー21内がイオン
化部空間Iとしてある。
【0030】本実施例では、第2のカバー21は、直径
が50mm、長さが40mmの円筒形で、導電性を有する部
材により形成してある。この第2のカバー21は、その
一端が第1細孔電極取付け板9に接続固定してあるた
め、第1細孔電極取付け板9と第2のカバー21との間
にはすき間はない。また、第2のカバー21には、カバ
ー21の温度を可変調節できるヒータ(図示せず)を備
えている。
【0031】第2のカバー21のエンドプレート21a
に設けたESIプローブ導入用の穴21bは、直径が3
0mmの丸穴で、第2のカバー21を構成する円筒の直径
よりも小さくなっている。
【0032】ESIプローブ3は第2のカバー21の中
心軸に対し垂直及び平行な方向に移動調整できる機構を
有し、このプローブ3が移動調整機構によって先端が穴
21aのほぼ中心の位置にあるよう位置決めされ、且つ
プローブ3と第1細孔電極6の先端との距離が最適な距
離(通常約15mm)に設定してある。
【0033】このように構成されたESIインターフェ
イスにおいては、第2のカバー21内には、ESIプロ
ーブ3の先端よりLC1からの液体試料及び移動相がネ
ブライザーガス4と共に第2のカバー21に噴射されて
霧化されるが、このカバー21内の霧化試料(移動相,
ネブライザーガスを含む)は、カバー21に覆われるこ
とで、排気用ファン12によって発生する空気の流れと
混じることはなくなる。
【0034】これよりネブライザーガス4と液滴の温度
が低下させられたり、噴霧状態が乱されることはなくな
り、安定にネブライザーガス4と共に第1細孔電極6に
向かって飛んでゆき、小さな液滴からは効率良くIon Ev
aporation によって試料イオンが生成される。そのイオ
ンは第1細孔電極6,中間圧力部5,第2の細孔電極7
で加速されつつ通過して質量分析部8に導入される。
【0035】また、ESIプローブ3から噴射された噴
霧流のうち大きな液滴は第1細孔電極取付け板9に衝突
せず第2のカバー21の中を循環する。なぜならESI
プローブ3の先端から試料は液滴となってネブライザー
ガス4と共に霧化される訳であるが、このネブライザー
ガス4は2(l/min;リットル パー ミニット)
から3(l/min)の割合でESIプローブ3の先端よ
り試料、移動相と共に噴出する。したがってネブライザ
ーガス4は試料、移動相と共に第1細孔電極6に向かっ
て飛んでゆき、第1細孔電極取付け板9に当たった後円
筒形の第2のカバー21の内壁に沿ってESIプローブ
3側に向かって流れ、更に第2のカバー21のエンドプ
レート21aに案内されて再度第1細孔電極6側に流れ
を変える。霧化された試料の大きな液滴もこのガスの循
環流に乗って第2のカバー21中で循環する。
【0036】これより液滴を長い時間第2のカバー21
の中に閉じ込めることとなり、大きな液滴からも Ion E
vaporation を起こすことが可能となる。このため本発
明によれば現在一般に用いられているカウンターガスは
不要となる訳である。カウンターガスとは第1細孔電極
6側からESIプローブ3の先端に向かって50℃から
70℃に温めたガスを流すことであって、この目的は既
述のようにESIプローブ3の先端より霧化される試
料、移動相とカウンターガスとを衝突させることによっ
て、霧化された液滴を形成する移動相をより早く蒸発さ
せ液滴を小さくしてIon Evaporationを効率良く起こさ
せるために用いられるものである。
【0037】本実施例によれば、カウンターガスを用い
なくとも安定にIon Evaporationを起こすことが可能と
なり、ひいては感度の向上を図ることができる。勿論、
大きな液滴の全てが第2のカバー21の中を循環し Ion
Evaporationによってイオンを生成する訳ではなく、一
部の液滴は第1細孔電極取付け板9、或いは第2のカバ
ー21の内壁に付着してしまう。又、一部はエンドプレ
ート21aの穴21bより第1のカバー20内に放出さ
れる。しかし、この循環によって従来法では Ion Evapo
ration が起こらなかった液滴からもイオンを生成する
ことが可能となり、感度の向上も図れる訳である。これ
より本発明によれば、安定にイオンを生成するばかりで
はなく、感度についても3から5倍の向上を図ることが
可能となる。図3(a)にその結果を示す。これは試料
にペプチドの一種であるTuftsinを用いて測定したとき
の2価のイオンのピーク強度を示す。図3(b)は従来
法で測定した場合のイオンピーク強度を示す。明らかに
本発明によれば3倍の感度の向上が図れていることが分
かる。
【0038】また第2のカバー21がヒータ機能を備え
ることで次の(イ)(ロ)の利点がある。(イ)ESI
プローブ3の先端より霧化された液滴をより早く小さく
するためには、液滴に何らかの方法で熱を与えることが
必要であるが、そのために既にネブライザーガス4の温
度を60℃から70℃に温めていることは述べた。更に
第2のカバー21の温度を温めることにより、第2のカ
バー21の壁面から発する輻射熱によってより早く液滴
を形成する移動相の蒸発を促進させることができ液滴を
小さくすることができる。したがってESIプローブ3
の先端より生成される液滴が従来より大きくても第1細
孔電極6の先端に達するまでの間に液滴を小さくするこ
とができる。液滴を小さくできれば、Ion Evaporation
によってイオンが生成されることは既に述べた通りであ
る。これより一層の感度の向上が図れる。
【0039】ここで第2のカバー21を温めることは前
述したカウンターガスを不要にする理由の一つでもあ
る。
【0040】(ロ)また、例えば第2のカバー21の温
度が室温に保たれていたとすれば、大きな液滴が第2の
カバー21の中を循環するときその一部が第2のカバー
21の内壁に衝突にして付着し水滴となる。するとカバ
ー21内の電界が、カバー21内壁に付着した液滴の電
荷の影響で変化して安定に第1細孔電極6の先端よりイ
オンを取り込むことができなくなる。したがって本実施
例では第2のカバー21の温度は、通常100℃から1
50℃の間に設定してある。
【0041】次に第2のカバー21は、導電性の材料で
構成することが良い。なぜならESIプローブ3の先端
と第1細孔電極6の先端との間で形成される電界は、安
定に保たなければならない。なぜなら Ion Evaporation
によって生成された試料イオンは、ESIプローブ3
の先端と第1細孔電極6の先端との間で形成される電気
力線に沿って飛ぶ。そのため通常はESIプローブ3の
先端と第1細孔電極6の先端をとがらせ電界が集中する
ように構成され、しかもESIプローブ3と第1細孔電
極6の間には放電が起こらない範囲で高電圧、通常は
2.5kVから3.5kVの電圧が印加されている。し
たがってESIプローブ3の先端と第1細孔電極6との
間で形成される電気力線を乱してはならない訳である。
そのためには第2のカバー21の電位は第1細孔電極取
付け板9の電位と同電位に保ち、しかもESIプローブ
3の先端と第1細孔電極6の先端を第2のカバー21に
よって包むようにするのが良い。
【0042】更に第2のカバー21は円筒形で構成する
のが良い。なぜなら円筒状が最も安価に製作できるから
である。なおカバー21の形状には必ずしもこだわる必
要はない。エンドプレート21aに設けられている穴2
1bは丸穴が良いが、第2のカバー21を構成する部分
は例えば四角形、五角形、所謂多角形の筒形でも何ら差
し支えはない。なお、上記実施例は、LC/ESI質量
分析計について説明したが、本発明はLCと結合させな
いESI質量分析計についても適用可能である。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、大気圧領
域となる排気機能付きの第1のカバー内にイオン化部と
なる第2のカバーを設けることで、構造簡単且つ安価に
して、従来のようなカウンターガスを用いずとも安定に
試料イオンが生成されしかも高感度で測定が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るLC/ESI質量分析
計の構成図
【図2】従来のLC/ESI質量分析計の一例を示す構
成図
【図3】(a)は本発明の効果の一例として、上記実施
例装置を用いて測定したTuftsinの2価のイオンピー
ク、(b)は上記従来装置を用いて測定したTfutsinの
2価のイオンピークをそれぞれ示す測定データ図
【符号の説明】
1…液体クロマトグラフ、3…ESIプローブ、4…ネ
ブライザーガス、5…中間圧力部、6…第1細孔電極、
7…第2細孔電極、8…質量分析計、9…第1細孔電極
取付け板、13…排気ファン、14…空気取入口、20
…第1のカバー、21…第2のカバー、21a…エンド
プレート、21b…プローブ挿入用穴、I…イオン化部
空間。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧或いはそれに近い状態の空間(以
    下、この空間を大気圧領域とする)にエレクトロスプレ
    イプローブ(以下、ESIプローブと略する)から液体
    試料を噴射してIon Evaporation現象を生じさせるイオ
    ン化部を備え、このイオン化部で生成された試料イオン
    を差動排気を利用して中間圧力領域を経て分析部に導入
    するESI(エレクトロスプレイイオン化方式)質量分
    析計において、 前記ESIプローブ及びこれに対向する細孔電極(この
    細孔電極は試料イオンを中間圧力領域に導くためのもの
    である)のある空間を覆う第1のカバーと、この第1の
    カバー内に位置して前記ESIプローブと前記細孔電極
    との間を覆う第2のカバーが設けられ、 前記第1のカバーは空気取入口及び排気機能を備え、前
    記第2のカバーは、筒形を呈してその一端が前記細孔電
    極面或いはこれを支持する板面に接続され、この第2の
    カバーの他端に前記ESIプローブの少なくとも先端を
    導入する穴付きのエンドプレートが設けてあり、この第
    2のカバーを前記第1のカバーと同様の大気圧領域とし
    て第2のカバー内がイオン化部空間としてあることを特
    徴とするESI質量分析計。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ESIプローブ
    は、前記第2のカバーの中心軸と垂直及び平行な方向に
    移動調整できる機構を備えていることを特徴とするES
    I質量分析計。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記第
    2のカバーがヒータ機能を備えていることを特徴とする
    ESI質量分析計。
  4. 【請求項4】 請求機1ないし請求項3のいずれか1項
    において、前記第2のカバーが導電性の材料で構成して
    あることを特徴とするESI質量分析計。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    において、前記ESI質量分析計は、液体クロマトグラ
    フと結合したタイプであることを特徴とするESI質量
    分析計。
JP4227052A 1992-08-26 1992-08-26 Esi質量分析計 Expired - Lifetime JP2854761B2 (ja)

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