JP3948096B2 - Lc/msインタフェース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフ質量分析装置(以下LC/MSという)に関し、さらに詳しくはLC/MSの液体クロマトグラフ部と質量分析部との間に配置され、LC部(液体クロマトグラフ部)から与えられる液体試料をイオン化してMS部(質量分析部)に導入するためのLC/MSインタフェースに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)の一例を示す概略構成図である。LC部10のカラム11内により成分分離された液体試料はインタフェース部20に導入され、ニードル22先端のノズルから霧化室21内に噴霧されてイオン化される。発生したイオンは、インタフェース部20とMS部30との間に設けられた加熱キャピラリ等の脱溶媒パイプ23を通ってMS部30へと送り込まれる。
【0003】
MS部30は第1中間室31、第2中間室32及び分析室33の3室から成り、霧化室21と第1中間室との間に脱溶媒パイプ23、第1中間室31と第2中間室32との間には極小径の通過孔(オリフィス)を有するスキマー36が設けられている。第1中間室31はロータリポンプにより粗引き排気され、第2中間室32および分析室33はターボ分子ポンプによって高真空排気される。
【0004】
脱溶媒パイプ23を通過したイオンはスキマー36の通過孔を通って第1中間室31から第2中間室32に導入され、イオンレンズ37により収束及び加速されて分析室33に送られる。そして、特定の質量数(質量m/電荷z)を有する目的イオンのみが分析室33内に配置された四重極フィルタ34を通り抜け、検出器35に到達する。検出器35ではイオン数に応じた電流が取り出される。
【0005】
上記インタフェース部20は、液体試料を加熱、高速気流、高電界等によって霧化されることで気体イオンを生成するものであって、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)、大気圧イオン化法(APCI)等の大気圧イオン化法が最も広く使用されている。
【0006】
図4は同一出願人が特願平9―286000号で開示するネブライズ法を用いたESIによるイオン化の場合のインタフェース部周辺の詳細構成図である。二重管の外側管であるネブライズ管24から霧化用の乾燥窒素が送り出されるとともに、内側管であるニードル22から液体試料が流出する。ニードル22の先端には、電圧源V1により数KVの高電圧が印加されている。これによりニードル22先端に到達した液体試料は強く帯電し、その周囲を取り巻く霧化のためのネブライズ管24から噴出する補助ガス(主に窒素ガス)の助けを受けて帯電液滴として噴霧される。液滴は周囲の大気成分と衝突して微細化され、液滴中の溶媒が蒸発して気体イオンが発生する。発生したイオンや微細液滴は、霧化室21内で拡散しながらニードル22の正面前方に配置されている脱溶媒パイプ23の方へ進行し、拡散されたイオンや微細液滴の一部が脱溶媒パイプ23中に入り込む。この脱溶媒パイプ23は電圧源V2により電圧源V2によりマイナス数十V程度の電圧が印加されるとともに、図示しないヒータにより摂氏200度程度に加熱されている。このため、脱溶媒パイプ23に入った微細液滴は、そのパイプ23中を通過する間に溶媒の蒸発が進行し、より多くのイオンが発生して脱溶媒パイプ23の出口から放出される。
【0007】
一方、他の従来例としては、図5に示すようなニードル22の正面側に設けた噴出口40から乾燥窒素を供給するカウンターフロー法、図6に示すような乾燥窒素をニードル22の噴出方向に対して斜め方向に設けた噴出口41から乾燥窒素を供給する第2のフロー法(例えば米国特許5412208号)などがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
カウンターフロー法や第2のフロー法は、試料の流れの進行方向とは異なる方向に乾燥窒素を与えるため、乾燥窒素との衝突により脱溶媒化が促進されたとしても、試料のほとんどが乾燥窒素との衝突により拡散し、加熱キャピラリ又はオリフィスを通過する試料の総量が低減することとなり、測定感度の向上を図る上で問題がある。これに対し、ネブライズ管により試料の流れと同方向に乾燥窒素を供給する図2のようなネブライズ法では、試料ガスの進行方向に設けた加熱キャピラリに向かって試料が進むのでオリフィスを通過する試料量はカウンターフロー法に比べれば改善されるが、それでもニードル先端から噴出された後、先端から離れるにしたがって試料が拡散することとなり、加熱キャピラリを通過する試料量は多くはない。
【0009】
したがって、本発明は脱溶媒化を促進するとともに、加熱キャピラリに向かう試料の総量が増大するようにしたLC/MSを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するためになされた本発明のLC/MSインタフェースは、液体クロマトグラフ質量分析装置の液体クロマトグラフ部から与えられる液体試料をイオン化して質量分析部に導入するためのLC/MSインタフェースにおいて、内側管から試料が導入され、外側管から霧化ガスが導入される二重管を有し、この二重管の外側周囲に、前記外側管から噴出される霧化用のガスよりも流速の大きい加熱された乾燥窒素を供給するための細管パイプ群が設けられ、前記細管パイプ群は先端が斜めに切り出され、外周側が突出するように構成され、二重管から噴出される試料を含んだ霧化ガスを、細管パイプ群から噴出される加熱された乾燥窒素により脱溶媒化を促進させ、さらに拡散を抑えつつ質量分析部に導入するようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明のLC/MSでは、二重管の外側にある細管パイプ群から加熱された乾燥窒素が供給されるので、この乾燥窒素により試料を含んだ霧化ガスが一様の流れとなって進み、霧化室内であまり拡散されずに分析部に導入されることとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示すLC/MSの断面構成図である。なお、本発明のLC/MSで特に示さない部分は従来例である図3のものと同じであるので、説明においては同符号を付することにより説明を省略する。
【0013】
図において、20はインタフェース部、21は霧化室、22はLC部から送られてくる試料を噴出するニードル、23はニードルの先端に対向する位置に取り付けられる加熱キャピラリ、24は霧化用の窒素を噴出するためのネブライズ管であり、このネブライズ管24とニードル22とで二重管を構成している。本発明のLC/MSでは図2に示すように、ネブライズ管24の外側を取り囲むようにキャピラリ25a、25b、25c、25d、25e、25fが取り付けてあり、キャピラリ25a〜25fにはヒータ28により加熱された乾燥窒素が供給されるようになっている。キャピラリ25a〜25fの先端は斜めに切り出されており、図1に示すように外周側が突出するようにしてある。この突出形状とすることによりキャピラリ25a〜25fから噴出するガスは流れ方向が中心側(ニードル22側)に偏る作用を有する。
【0014】
以下、本発明の動作を説明する。LC部10のカラムにより成分分離された液体試料はインタフェース部20に導入され、ニードル22先端のノズルから霧化室21内に噴霧される。ニードル22先端には従来例と同様にあらかじめ高電界V1が印加されている。このとき、同時にネブライズ管24からネブライズ用の窒素が噴出されることにより、試料は霧化されてイオン化される。発生したイオンは、インタフェース部20とMS部30との間に設けられた加熱キャピラリ23に向かって進行するが、ネブライズ管の外側に取り付けたキャピラリ25a〜25fからも加熱された乾燥窒素が噴出されているので、霧化されたイオンのほとんどが外側方向には拡散せずに、そのまま直進して加熱キャピラリ23方向に進む。また、キャピラリ25a〜25fから噴出する乾燥窒素は加熱されているので、脱溶媒化が促進されることとなる。このようにして試料を多く含む霧化ガスが加熱キャピラリ23に導入されることとなり、MS部30へ送り込まれる試料の絶対量を増大することができる。
【0015】
本実施例ではキャピラリ25a〜25fに送る乾燥窒素の加熱のためのヒータを流路途中に設けたが、これに限らず、キャピラリ25a〜25fにヒータ線を巻き付けるようにして取り付けてもよいし、2つのヒータを併用してもよい。
【0016】
また、流量制御弁または圧力制御弁など噴出流量を調整することができる配管に設けて、かかる制御弁により、ネブライズ管24に流す窒素の流速よりもキャピラリ25a〜25fに流す窒素の流速を速くすることにより、本発明の試料の拡散の低減という効果はより顕著になる。
【0017】
以下、本発明の実施態様をまとめておく。
(1)液体クロマトグラフ質量分析装置の液体クロマトグラフ部から与えられる液体試料をイオン化して質量分析部に導入するためのLC/MSインタフェースにおいて、内側管から試料が導入され、外側管から霧化ガスが導入される二重管を有し、この二重管の外側周囲に加熱された乾燥窒素を供給するための細管パイプ群が設けられ、さらに前記細管パイプ群の各パイプの先端は外周側が突出するように切り出され、二重管から噴出される試料を含んだ霧化ガスを、細管パイプ群から噴出される乾燥窒素により拡散を抑えつつ質量分析部に導入するようにしたことを特徴とするLC/MSインタフェース。
【0018】
(2)液体クロマトグラフ質量分析装置の液体クロマトグラフ部から与えられる液体試料をイオン化して質量分析部に導入するためのLC/MSインタフェースにおいて、内側管から試料が導入され、外側管から霧化ガスが導入される二重管を有し、二重管の外側周囲に、前記外側管から噴出される霧化用のガスよりも流速の大きい乾燥窒素を供給するための細管パイプ群が設けられ、二重管から噴出される試料を含んだ霧化ガスを、細管パイプ群から噴出される前記乾燥窒素により拡散を抑えつつ質量分析部に導入するようにしたことを特徴とするLC/MSインタフェース。
【0019】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のLC/MSでは、内側管であるニードルから噴出する試料を外側管であるネブライズ管から噴出する霧化用ガスにより霧化させるとともに、その外側管のさらに外側周囲に細管パイプ群を設けて、これより乾燥窒素を流すようにしたので、試料を含んだ霧化ガスがそのまままっすぐ進んで対向する加熱キャピラリに入ることができ、分析の感度を向上させることができる。また、乾燥窒素を加熱しておくことにより、脱溶媒化をさらに促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液体クロマトグラフ質量分析装置のLC/MSインタフェースの断面構成図。
【図2】図1のニードル、ネブライズ管、細管パイプ群の断面図。
【図3】従来の液体クロマトグラフ質量分析装置の全体概略図。
【図4】図3のLC/MSインタフェースの拡大図。
【図5】他の従来からのLC/MSインタフェースの断面図。
【図6】他の従来からのLC/MSインタフェースの断面図。
【符号の説明】
10:液体クロマトグラフ部
20:インタフェース部
22:ニードル
23:加熱キャピラリ
24:ネブライズ管
25a、25b、25c、25d、25e、25f:キャピラリ
28:ヒータ
30:MS部
31:第1中間室
33:分析室
Claims (1)
- 液体クロマトグラフ質量分析装置の液体クロマトグラフ部から与えられる液体試料をイオン化して質量分析部に導入するためのLC/MSインタフェースにおいて、内側管から試料が導入され、外側管から霧化ガスが導入される二重管を有し、この二重管の外側周囲に、前記外側管から噴出される霧化用のガスよりも流速の大きい加熱された乾燥窒素を供給するための細管パイプ群が設けられ、前記細管パイプ群は先端が斜めに切り出され、外周側が突出するように構成され、二重管から噴出される試料を含んだ霧化ガスを、細管パイプ群から噴出される加熱された乾燥窒素により脱溶媒化を促進させ、さらに拡散を抑えつつ質量分析部に導入するようにしたことを特徴とするLC/MSインタフェース。
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