JPH0676748U - 自動差動制限装置 - Google Patents

自動差動制限装置

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JPH0676748U
JPH0676748U JP2250093U JP2250093U JPH0676748U JP H0676748 U JPH0676748 U JP H0676748U JP 2250093 U JP2250093 U JP 2250093U JP 2250093 U JP2250093 U JP 2250093U JP H0676748 U JPH0676748 U JP H0676748U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】小型で構造・重量・コストが従来のノーマルデ
フと殆ど変わらず、必要な場合は充分な差動制限効果を
発揮し、また車両後退時やABS搭載車両でブレーキを
かけた際に、差動制限を抑止する自動差動制限装置の提
供。 【構成】自動差動制限装置で、デフケース1内のピニオ
ンシャフトに代えて、各デフピニオン2の歯先面6に対
応する支承凹曲面7をもつ一対のピニオン支承プレート
5を、各デフピニオン2を抱持支承する如く一体化して
設け、自動的に差動制限させる。また上記ピニオン支承
プレート5に加えて、各デフピニオン2を軸支するピニ
オンピン8を各々設け、各ピニオンピン8が係合するデ
フケース1の各ピン受孔9を、デフケース1の正転方向
側がピンの外径とほぼ等しく、逆転方向側でやや大径と
しただるま孔形に形成し、自動的に差動制限させるとと
もに車両後退時等に差動制限を抑止させる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は車両に設ける自動差動制限装置、即ち差動制限を自動的に行い得る差 動装置(デフ)の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動差動制限装置は、車両のフロントデフまたはリヤデフとして設けた場合に は、左右両側の駆動輪の内で片側の駆動車輪が、例えば泥地や凍結路面のような 摩擦係数の小さい場所に入って高速空転するような際に、ノーマルデフ(普通の 差動装置)と異なり、自動的に差動を制限して、他側の駆動輪に空転側以上の回 転トルクを伝えて泥地等から脱出可能とした装置である。
【0003】 その差動制限装置として、従来は例えば次のようなものがあった。 その1は、多板クラッチに摩擦抵抗を生じさせるのに、サイドギヤ噛み合いに よるスラスト力に加えて、両サイドギヤ間に予圧力バネを設け、該バネのバネ力 によりサイドギヤを介して多板クラッチに予圧力を与え、初期設定トルクを得る ようにしたものである(例えば実公昭56−34192号公報参照)。
【0004】 その2は、多板クラッチに摩擦抵抗を生じさせるのに、サイドギヤ噛み合いに よるスラスト力に加えて、両サイドギヤ間に予圧力バネを設けるとともに、さら に多板伝達トルクに比例して多板クラッチへの押力を増加させるカム手段を付加 したものである(例えば特公昭50−2135号公報参照)。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが従来の差動制限装置では、差動制限をするのに上記の如く、多板クラ ッチを用いているし、さらにそれに加えてカム手段を設けたりしている。そのた め、部品点数が多くなるとともに、各部品の加工も容易でなく、コスト高になっ ている。また装置全体が大型化するとともに、重量も重くなるという、という問 題点があった。
【0006】 本考案は、上記従来の差動制限装置がもつ問題点を解決しようとするものであ る。即ち本考案の第1の目的は、従来の差動制限機構のないノーマルデフの基本 構造を殆ど変えることなく、小型でシンプルな構造であり、かつコストおよび重 量もノーマルデフと殆ど同じでありながら、自動的に多板クラッチ式とほぼ等し いバイアス比が得られて、充分な差動制限効果(LSD効果)を発揮できるよう な、自動差動制限装置を提供することにある。
【0007】 第2の目的は、上記第1の目的に加えて、車種によっては後退時に、またAB S(Anti−skid Brake System)を搭載の車両でブレーキ をかけた時に、差動制限効果を自動的に抑止できて、後退時の運転を容易にし、 またABSを正確に作動できるようにした、自動差動制限装置を提供することに ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
A 本考案に係る自動差動制限装置の第1は、 デフケース1内に、該デフケース1と共に回転する一対のデフピニオン2と、 両側の各出力軸3に軸装され上記各デフピニオン2に噛合して回転する一対サイ ドギヤ4とを設けた差動制限装置において、
【0009】 デフケース1内に、両デフピニオンを支持するピニオンシャフトに代えて、 各デフピニオン2の歯先面6に対応する支承凹曲面7をもつ一対のピニオン支承 プレート5を対向状に設け、
【0010】 該両ピニオン支承プレート5を、各デフピニオン2を抱持支承する如く一体化 してなるものである。
【0011】 B 本考案に係る自動差動制限装置の第2は、 デフケース1内に、該デフケース1と共に回転する一対のデフピニオン2と、 両側の各出力軸3に軸装され上記各デフピニオン2に噛合して回転する一対サイ ドギヤ4とを設けた差動制限装置において、
【0012】 デフケース1内に、両デフピニオンを支持するピニオンシャフトに代えて、各 デフピニオン2の歯先面6に対応する支承凹曲面7をもつ一対のピニオン支承プ レート5を対向状に設け、該両ピニオン支承プレート5を、各デフピニオン2を 抱持支承する如く一体化し、
【0013】 かつ、上記各デフピニオン2を可回動に軸支するピニオンピン8を各々設け、 該各ピニオンピン8が係合するデフケース1の各ピン受孔9を、デフケース1の 正転方向側で該各ピニオンピン8の外径とほぼ等しく、逆転方向側でやや大径と しただるま孔形の形状にしてなるものである。
【0014】 上記の構成において、第1および第2の自動差動制限装置のいずれの場合も、 各ピニオン支承プレート5は、デフケース1内で各出力軸3の回転方向に掛止固 定されており、デフケース1と一体的に回転するようにしてある。
【0015】 なお、ここでデフケース1の正転方向・逆転方向とは、車両の前進時にデフケ ース1が回転する方向を正転方向、車両が後退時またはエンジンブレーキをかけ た際にデフケース1が回転する方向を逆転方向という。
【0016】 図において、10はリングギヤ、11はボルト通挿孔、12は締付けボルト、 13はナットを各々示す。
【0017】
【作用】
上記第1および第2の自動差動制限装置においても、公知のノーマルデフと同 様に、エンジンの回転およびトルクがドライブピニオン(図示略)・リングギヤ 10等を介して、デフケース1を回転駆動させる。該デフケース1の回転によっ て、該デフケース1内の一対のピニオン支承プレート5が共に回転するので、該 両ピニオン支承プレート5で抱持支承された各デフピニオン2も、デフケース1 と一緒の回転即ち公転する。
【0018】 A 差動制限を必要としない通常走行の場合の作動状態 上記第1および第2の自動差動制限装置において、差動制限を必要としない場 合の作動状態は同様である。
【0019】 即ち、前または後の左右の駆動輪に対する回転抵抗トルクが同一の場合、換言 すれば、左右の出力軸3を介した左右のサイドギヤ4の回転抵抗トルクが同一の 場合には、それと噛合する各デフピニオン2は公転のみで自転をしない。そのた め、両サイドギヤ4も等速でデフケース1と同一回転することになり、左右の駆 動輪が同一回転して直進走行が行われる。
【0020】 また、左右の駆動輪に対する回転抵抗トルクが異なる場合、即ち左右の出力軸 3を介した各サイドギヤ4の回転抵抗トルクに差がある場合には、これと噛合し た各デフピニオン2は、デフケース1と一体的に公転しながら同時に、両側から 抱持支承する一対のピニオン支承プレート5間で自転を行うことになる。
【0021】 この各デフピニオン8の自転により、回転抵抗トルクの大きい側のサイドギヤ 4が、デフケース1の回転方向と反対方向へ回転して、該サイドギヤ4側の出力 軸3の回転速度が遅くなり、他方のサイドギヤ4がデフケース1の回転方向と同 方向へ回転して、該サイドギヤ4側の出力軸4の回転が速くなる。これで差動が 生じ、車両は滑らかに旋回走行できる。
【0022】 B 差動制限を必要とする走行の場合の作動状態 片側の駆動輪が例えば泥地や凍結路の如く摩擦係数が非常に小さい場所へ入っ た場合には、その駆動輪の回転抵抗トルクは殆ど零になっており、両サイドギヤ 4の相対的な回転速度差はきわめて大きくなる。ノーマルデフでは、このような 場合にも差動作用が働いてその駆動輪だけが高速空転・スリップし、他の駆動輪 には回転トルクが伝えられず、車両は走行不能となる。
【0023】 a)このような場合に、上記第1の自動差動制限装置では、デフピニオン2 の支持を一対のピニオン支承プレート5の抱持支承で行っているので、各デフピ ニオン2は、従来のピニオンシャフトで支持したものと異なり、両ピニオン支承 プレート5の支承凹曲面7間でフローティング状態にあるので、出力軸3の方向 に対してフリー状態になっている。
【0024】 そのため、この各デフピニオン2に回転トルクが作用すると、両ピニオン支承 プレート5の支承凹曲面7との摩擦力により、該各デフピニオン2は出力軸3の 方向へ少し移動することになり(図8参照)、噛合するサイドギヤ4との間で言 わばクサビ作用が生じ、深く強い噛合状態となる。これにより、自動的に通常時 よりも大きな摩擦トルクが生じる。
【0025】 同時に、各デフピニオン2が両ピニオン支承プレート5間で抱持支承され、か つ両ピニオン支承プレート5の支承凹曲面7間でフローティング状態にあること により、デフケース1の回転方向に対してもフリー状態にある。そのため、デフ ケース1が回転した際にデフピニオン2は、その歯先面6がピニオン支承プレー ト5の支承凹曲面7に当接し、それに沿ってデフケース1の内曲面17との接触 を強める方向へ動く。この各デフピニオン2とデフケース1の内曲面17との圧 接状態によっても、自動的に大きな摩擦トルク生じる。
【0026】 さらに、各デフピニオン2を両ピニオン支承プレート5間で抱持支承したこと により、デフケース1からデフピニオン2へ回転トルクを伝達する距離が、従来 はピニオンシャフトの半径であったのに対し、ここでは各ピニオン支承プレート 5の支承凹曲面7の曲率半径、換言すれば各デフピニオン2の外径にほぼ等しく なっており、この半径差だけ摩擦トルクが大きくなっている。
【0027】 その結果、第1の自動差動制限装置では、上記の如く各デフピニオン2とサイ ドギヤ4とのクサビ作用、およびデフケース1の内曲面17との圧接状態による 大きな摩擦トルク、そして半径差による摩擦トルクの増大とにより、自動的に大 きな差動制限力が発生し、デフピニオン2の自転を制限し差動制限作用が生じて いる。これで、デフケース1からの駆動力がサイドギヤ4・出力軸3を介して、 スリップしていない側の駆動輪に充分な回転トルクを伝え、泥地や凍結路からの 脱出が可能となる。 なお上記第1の自動差動制限装置での差動制限作用は、車両の前進時および後 進時の両方において同様に生じている。
【0028】 b)次に上記第2の自動差動制限装置の作動状態は、上記第1の自動差動制 限装置と少し異なる。
【0029】 まず車両の前進時においては、デフケース1が正転(図3で時計方向へ回転) するが、これによりピニオンピン8は、だるま孔形のピン受孔9内で逆転方向側 へ移動した状態になる(図10参照)。この際に両ピニオン支承プレー5は、デ フケース1とともに回転して正転方向側へ移動している(図13参照)。
【0030】 そのため、各ピニオンピン8に軸支された各デフピニオン2の各歯先面6が、 各ピニオン支承プレート5の片側(図13で左側)の支承凹曲面7に圧接状態に なり(図13参照)、ここで自動的に大きな摩擦トルクが生じている。
【0031】 同時に、各ピニオンピン8が係合したピン受孔9の逆転方向側はピンの外径よ りやや大径のため、各ピニオンピン8は該ピン受孔9の逆転方向側内で出力軸3 の方向へフリー状態になる(図10参照)。これでデフピニオン2も、出力軸3 の方向に対してフリー状態になって、上記第1の自動差動制限装置の場合と同様 に、デフケース1が正転時のデフピニオン2は、サイドギヤ4との間のクサビ作 用で深く強い噛合状態となって(図8参照)、自動的に大きな摩擦トルクが生じ る。
【0032】 さらに、デフケース1が正転した際のデフピニオン2は、その歯先面6がピニ オン支承プレート5の支承凹曲面7に沿って、デフケース1の内曲面17との接 触を強める方向へ動いており、上記第1の自動差動制限装置の場合と同様に、こ の各デフピニオン2とデフケース1の内曲面17との圧接状態によっても、自動 的に大きな摩擦トルクを生じている。
【0033】 その結果、デフケース1の正転時には、上記第1の自動差動制限装置の場合と 同様の大きな摩擦トルクに加えて、各デフピニオン2の歯先面6と両ピニオン支 承プレート5の支承凹曲面7との圧接状態による大きな摩擦トルクも生じている ので、自動的に大きな差動制限力が発生し、泥地等からの脱出が可能となる。
【0034】 他方、車両の後退時においては、通常は差動制限の必要が無い場合が多いし、 むしろ差動制限しない方が運転し易い。そこで本第2の自動差動制限装置では、 車両後退時にデフケース1が逆転(図3で反時計方向へ回転)することで、各ピ ニオンピン8は上記前進時と異なり、ピン受孔9内の正転方向側へ移動した状態 になる(図11参照)。この際に一対のピニオン支承プレート5は、デフケース 1とともに回転して逆転方向側へ移動している(図14参照)。
【0035】 そのため、上記車両前進時と異なり、各デフピニオン2の歯先面6と両ピニオ ン支承プレート5の支承凹曲面7との間には、正転側でも逆転側でも間隙T1 , T2 が生じることになり(図14参照)、圧接状態にならない。
【0036】 同時にこの場合には、各デフピニオン2がデフケース1の内曲面17との間の 接触を強める方向へ動くこともないので、各デフピニオン2とデフケース1の内 曲面17との間での圧接状態も生じなくなる。
【0037】 さらに、上記各ピニオンピン8が係合した各ピン受孔9の正転方向側はピン外 径とぼぼ等しいので、各ピニオンピン8はその係合した状態で動きを規制される ことになる。そのため、各ピニオンピン8に軸支された各デフピニオン2も、従 来のピニオンシャフトで軸支された場合と同様に、フローティング状態が無くな り、各デフピニオン2のクサビ作用が生じないし、トルク伝達距離も短くなって いる。
【0038】 その結果、デフケース1が逆転時には正転時と異なり、各デフピニオン2の歯 先面6と各ピニオン支承プレート5の支承凹曲面7との間、各デフピニオン2と デフケース1の内曲面17との間の各圧接状態による大きな摩擦トルクは生じな い。また各デフピニオン2と各サイドギヤ4間のクサビ作用やトルク伝達距離の 差による大きな摩擦トルクも生じていない。したがって、車両の後退時には、自 動的に差動制限力が抑止されることになり、差動制限がなく後退運転が容易にな っている。
【0039】 C 上記第2の自動差動制限装置は、ABSを搭載した車両でも有効である。 即ち、ABSは左右の車輪の回転数差からスリップ率を読み取り、正しいブレ ーキ圧を判断している。差動制限装置が左右の車輪の回転数に差が生じるのを制 限すると、ABSが正しく作動しないことになる。そこで従来は、例えばバイア ス比を小さくすることで対処していたが、そのような差動制限装置は差動制限力 が不十分になり勝ちである。
【0040】 上記第2の自動差動制限装置では、ABSを搭載した車両でブレーキをかけた 際に、エンジンブレーキが作用すると、上記の車両後退時と同様の作動状態にな る。即ち、エンジンブレーキが作用した際には、デフケース1は上記後退時と同 じく逆転することになるので、各ピン受孔9をデフケース1の正転方向側が各ピ ニオンピン8の外径とほぼ等しく、逆転方向側でやや大径としただるま孔形に形 成してあることにより、上記の車両後退時と同様にデフケース1の逆転時には摩 擦トルクが殆ど生じない。
【0041】 そのため、自動的に差動制限力が抑止されることになり、その結果として、A BSは左右の車輪の回転数差からスリップ率を正確に読み取ることができ、正し いブレーキ圧を判断してABSを確実に作動させることになる。
【0042】 なお、上記第2の自動差動制限装置では、各デフピニオン2にピニオンピン8 を設け、それを係合する各ピン受孔9をだるま孔形にすることで、車両後退時や ABS作動時に差動制限力を抑止するようにしてある。ただし、各ピン受孔9を だるま孔形でなく単なる長孔とした場合でも、デフケース1の逆転時に各デフピ ニオン2とデフケース1の内曲面17との圧接状態は生じなくなるので、車両後 退時やABS作動時に差動制限力をかなり抑制した自動差動制限装置となる。
【0043】
【実施例】
図1および図2は、本考案に係る第1の自動差動制限装置の実施例を示してい る。
【0044】 公知の差動制限装置と同様に、エンジンの駆動力によりドライブピニオン(図 示略)・リングギヤ10等を介して回転するデフケース1内に、該デフケース1 と共に回転する一対のデフピニオン2と、該各デフピニオン2に噛合して回転す る一対のサイドギヤ4とが設けてある。上記各サイドギヤ4は、左右の車輪に連 結される各出力軸3に軸装してある。
【0045】 この第1の自動差動制限装置の構成上の特徴は、デフピニオン2の支持に従来 のピニオンシャフトを用いず、各デフピニオン2の歯先面6に対応する支承凹曲 面7をもつ一対のピニオン支承プレート5を設け、各デフピニオン2を両側から 抱持支承する如く一体化したことにある。
【0046】 即ち、デフケース1内で各出力軸3と直交するデフケース1の中心線上Xの両 側に、各デフピニオン2の歯先面6に対応する支承凹曲面7をもつ対称形の一対 のピニオン支承プレート5を設け、各デフピニオン2を可回転に抱持支承する状 態で、該各ピニオン支承プレート5間に貫設したボルト通挿孔11に、締付けボ ルト12を通してナット13で締付けて一体化してある。
【0047】 上記各ピニオン支承プレート5は、その一部をデフケース1の一部14で掛止 されており、デフケース1と共に回転するようにしてある。なお該各ピニオン支 承プレート5の各サイドギヤ4と対向する側面に、半円弧状の凹溝15を形成し て、初期設定トルク発生用の皿バネ16を係合させてある。
【0048】 この自動差動制限装置は、従来のノーマルデフと殆ど変わらぬ構造・大きさで ありながら、自動的に充分な差動制限力が発生しており、例えばフロント側に設 けた場合に、差動制限の程度を示すバイアス比が2ないし2.5程度になった。
【0049】 次に図3および図4は、本考案に係る第2の自動差動制限装置の実施例を示し ている。
【0050】 この装置も、公知の差動制限装置と同様に、デフケース1内に、該デフケース 1と共に回転する一対のデフピニオン5と、該各デフピニオン2に噛合して回転 する一対サイドギヤ4とを設け、かつ該各サイドギヤ4を、左右の車輪に連結さ れる各出力軸3に軸装してある。
【0051】 上記第1の自動差動制限装置と同様に、デフケース1内で各出力軸3と直交す るデフケース1の中心線上Xの両側に、各デフピニオン2の歯先面6に対応する 支承凹曲面7をもつ対称形の一対のピニオン支承プレート5を設け、各デフピニ オン2を可回転に抱持支承した状態で、両ピニオン支承プレート5に貫通したボ ルト通挿孔11に、締付けボルト12を貫通させナット13で締付けて一体化し てある。また該各ピニオン支承プレート5に、初期設定トルク発生用の皿バネ1 6が係合する半円弧状の凹溝15を形成してある。
【0052】 この第2の自動差動制限装置の構成が、上記第1の自動差動制限装置と異なる 点は、一対のピニオン支承プレート5の他に、デフピニオン2を各々軸支するピ ニオンピン8を別に設け、該各ピニオンピン8が係合するデフケース1のピン受 孔9を、デフケース1の正転方向側で該ピン8の外径とほぼ等しく、逆転方向側 でやや大径としてだるま孔形の形状に形成してあることである。
【0053】 この実施例では、各ピン受孔9を、デフケース1の正転方向側で該各ピニオン ピン8の外径とほぼ等しく、逆転方向側でやや大径としただるま孔形の形状にし たことにより、該差動制限装置が停止時(中立時)には、ピン受孔9の長手方向 の中心位置は、デフケース1の中心線Xよりやや逆転方向側へずれた位置になっ ている(図9参照)。
【0054】 この第2の自動差動制限装置で、デフケース1のピン各受孔9と各ピニオンピ ン8との間隙Sや、各デフピニオン2の歯先面6と各ピニオン支承プレート5の 支承凹曲面7との間隙Tの関係は、例えば次のようにしておけばよい。
【0055】 即ち、例えば中立時(デフケース停止時)の正転側の間隙S1 を0.5,逆転 側の間隙S2 を2、また正転側の間隙T1 を1,逆転側間隙T2 を1となるよう にした場合に(図9・図12参照)、車両前進時(デフケース正転時)のS1 は 1.5、S2 は1、またT1 は2、T2 は0となり(図10・図13参照)、車 両後退時(デフケース逆転時)のS1 は0、S2 は2.5、またT1 は0.5、 T2 は1.5となる(図11・図14参照)ように設定しておけばよい。但し上 記間隙S,Tの数値は理解を助けるために示した一例であり、これに限るもので ないことは勿論である。
【0056】
【考案の効果】
以上で明らかな如く、本考案の内で第1の自動差動制限装置によれば、従来の 差動制限機構のないノーマルデフの基本構造を殆ど変えることなく、小型でシン プルな構造であり、コストおよび重量もノーマルデフと殆ど同じでありながら、 差動制限が必要な場合には自動的に、多板クラッチ式とほぼ等しいバイアス比を 得ることができ、充分な差動制限効果(LSD効果)を発揮することができる。
【0057】 また本考案の内で第2の自動差動制限装置においても、従来のノーマルデフの 基本構造を殆ど変えることなく、小型でシンプルな構造であり、コストおよび重 量も差動制限機構のない差動装置と殆ど同じでありながら、差動制限が必要な場 合には自動的に、多板クラッチ式と同等またはそれ以上のバイアス比を得ること ができ、充分な差動制限作用(LSD作用)を発揮することができる。
【0058】 しかも、この第2の自動差動制限装置では、車種によっては後退時に差動制限 が不要な場合があるが、そのような場合に差動制限作用を自動的に抑止すること ができるので、後退時の運転を容易に行えるようにできる。またABS付き車両 では、ブレーキをかけた際に差動制限作用を自動的に抑止できるので、左右車輪 の回転数差からのスリップ率の読み取りを正しくでき、ブレーキ圧を正確に制御 してABSを作動させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る第1の自動差動制限装置の実施例
の縦断側面図である。
【図2】図1で示す実施例の一部切り欠き正面図であ
る。
【図3】本考案に係る第2の自動差動制限装置の実施例
の縦断側面図である。
【図4】図3で示す実施例の一部切り欠き正面図であ
る。
【図5】図1・図3で示す両実施例で用いたピニオン支
承プレートを一体化した状態の平面図である。
【図6】図1・図3で示す両実施例で用いたピニオン支
承プレートを一体化した状態の一部縦断側面図である。
【図7】図1・図3で示す両実施例で用いたピニオン支
承プレートの斜視図である。
【図8】デフピニオンがピニオン支承プレート間でフロ
ーティング状態時を示す平面図である。
【図9】図3で示す実施例で、デフケース停止時のピニ
オンピンとピン受孔との位置関係を示す拡大平面図であ
る。
【図10】図3で示す実施例で、デフケース正転時のピ
ニオンピンとピン受孔との位置関係を示す拡大平面図で
ある。
【図11】図3で示す実施例で、デフケース逆転時のピ
ニオンピンとピン受孔との位置関係を示す拡大平面図で
ある。
【図12】図3で示す実施例で、デフケース停止時の要
部の縦断側面図である。
【図13】図3で示す実施例で、デフケース正転時の要
部の縦断側面図である。
【図14】図3で示す実施例で、デフケース逆転時の要
部の縦断側面図である。
【符号の説明】
1−デフケース 2−デフピニオン 3−出力軸 4−サイドギヤ 5−ピニオン支承プレート 6−歯先面 7−支承凹曲面 8−ピニオンピン 9−ピン受孔 10−リングギヤ 11−ボルト通挿孔 12−締付けボル
ト 13−ナット 14−デフケース
の一部 15−凹溝 16−皿バネ 17−内曲面 S−間隙 T−間隙 X−中心線

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】デフケース1内に、該デフケース1と共に
    回転する一対のデフピニオン2と、両側の各出力軸3に
    軸装され上記各デフピニオン2に噛合して回転する一対
    のサイドギヤ4とを設けた差動制限装置において、 デフケース1内に、両デフピニオンを支持するピニオン
    シャフトに代えて、各デフピニオン2の歯先面6に対応
    する支承凹曲面7をもつ一対のピニオン支承プレート5
    を対向状に設け、 該両ピニオン支承プレート5を、各デフピニオン2を抱
    持支承する如く一体化してなる、自動差動制限装置。
  2. 【請求項2】デフケース1内に、該デフケース1と共に
    回転する一対のデフピニオン2と、両側の各出力軸3に
    軸装され上記各デフピニオン2に噛合して回転する一対
    のサイドギヤ4とを設けた差動制限装置において、 デフケース1内に、両デフピニオンを支持するピニオン
    シャフトに代えて、各デフピニオン2の歯先面6に対応
    する支承凹曲面7をもつ一対のピニオン支承プレート5
    を対向状に設け、該両ピニオン支承プレート5を、各デ
    フピニオン2を抱持支承する如く一体化し、 かつ、上記各デフピニオン2を可回動に軸支するピニオ
    ンピン8を設け、該各ピニオンピン8が係合するデフケ
    ース1の各ピン受孔9を、デフケース1の正転方向側で
    該ピニオンピン8の外径とほぼ等しく、逆転方向側でや
    や大径としただるま孔形の形状にしてなる、自動差動制
    限装置。
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