JPH0676661U - 圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボルトの締結を必要とせず，コンプレッサ内
部の設計の自由度を向上させるとともに内部スペースを
有効に活用することができる圧縮機を提供すること。 【構成】 圧縮機の互いに接合されるフロントハウジン
グ１０１，リアハウジング１０２，フロントシリンダヘ
ッド１１１，リアシリンダヘッド１２１等のハウジング
の接合部の外周に沿って締結部１０，２０，３０を設け
た。この締結部１０，２０，３０は，ハウジングの一方
の接合部の外周に設けられた捩子部１０１ａ，１０２ｂ
と，ハウジングの他方の接合部に設けられた係合部１１
１ａ又は補助リング３と，環状のネジ部材２，２´とを
備えている。環状のネジ部材２，２´は，捩子部１０１
ａ，１０２ｂに螺合する捩子部２ａ，２ａ´を一端内側
に有し，係合部１１１ａ又は補助リング３と係合する係
合部２ｂ´を他端に有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，例えば，自動車用空調装置の冷凍回路等に用いられる圧縮機に関し ，特に，ケーシングもしくはハウジング等と呼ばれる外筐部分の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来，冷凍回路用圧縮機としては，両斜板式圧縮機，片斜板式圧縮機，スクロ ール式圧縮機，及びベーンロータリー式圧縮機等が知られている。これらの圧縮 機は，本体又は外筐部分を形成する少なくとも２つのケーシング又はハウジング （以下，これらをハウジングと総称する）とこれらの内部に配置された圧縮機構 部とを含んでいる。これらのハウジングは，軸方向に隣接処理され，互いに締結 されている。

【０００３】 図８は，従来例に係る両斜板式圧縮機を示す断面図である。図８で示すように ，フロンハウジング１０１及びリアハウジング１０２は，軸方向に互いに当接し ，内部にクランク室１０３を形成している。このクランク室１０３には，回転軸 １００に連結された斜板１０８が配置されている。フロントハウジング１０１及 びリアハウジング１０２内部には，クランク室１０３の周囲に，この回転軸１０ ０に平行な複数のシリンダボア１０５及び１０７が回転軸１００を囲むように設 けられ，これらのシリンダボア１０５及び１０７の各々にピストン５０が滑動可 能に配置されている。ピストン５０に設けられた凹部５１内には，斜板１０８の 周縁部が両端面に設けられたシュー５２，５３とともに収容されている。斜板１ ０８の中央両端面は，スラスト軸受１１６，１１７を介してスリーブ部材１１８ ，及び１１９によって，摺動可能に支持されている。

【０００４】 フロントハウジング１０１の開口端には，弁板装置１１２を介してフロントシ リンダヘッド１２１が接合されている。リアハウジング１０２の開口端には，弁 板装置１１４を介してリアシリンダヘッド１２１が当接する。

【０００５】 このような圧縮機において，フロントハウジング１０１，フロントシリンダヘ ッド１１１，リアシリンダヘッド１２１，及びリアハウジング１０２の締結は， 軸方向にのびたボルト１０９によって行われている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら，ボルトで締結を実施する構造の場合には，ボルトを配するため の領域が必要であり，設計上の制約を受けていた。また，特に，フロントシリン ダヘッド及びリアシリンダヘッド各々に吸入，吐出の各室を十分に確保して能力 向上を計るにも障害となっている。

【０００７】 そこで，本考案の技術的課題は，ボルトの締結を必要とせず，内部の設計の自 由度を向上させるとともに内部領域を有効に活用することができる圧縮機を提供 することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば，互いに接合される少なくとも２つのハウジングを有する圧縮 機において，前記ハウジングの接合部の外周に沿って設けられた締結部を有し， 前記締結部は，前記ハウジングの一方の接合部の外周に設けられた捩子部と，前 記ハウジングの他方の接合部に設けられた係合部と，前記捩子部に螺合する捩子 部を一端内側に有し前記係合部と係合する係合部を他端に有する環状のネジ部材 とを備えたことを特徴とする圧縮機が得られる。

【０００９】 本考案によれば，互いに接合される少なくとも２つのハウジングを有する圧縮 機において，前記締結部は，前記ハウジングの一方の接合部の外周に設けられ， 外周に捩子部を有する突起部と，前記ハウジングの一方の接合部の外周に設けら れた突起部と，前記突起部に当接する補助リングと，前記捩子部に螺合する捩子 部を一端内側に有し前記補助リングと係合する係合部を他端に有する環状のネジ 部材とを備えたことを特徴とする圧縮機が得られる。

【００１０】 本考案によれば，前記圧縮機において，前記補助リングは，前記係合部と係合 する円環部と，前記突起部と係合する係合爪と，前記円環部と前記係合部との間 に前記ハウジングに沿って延在する延在部とを備えたことを特徴とする圧縮機が 得られる。

【００１１】 尚，本考案においては，ハウジングを構成する複数のシリンダブロック間の締 結にも実施できる。

【００１２】

【実施例】

以下，本考案の実施例について，図面を参照して説明する。

【００１３】 図１は，本考案の実施例に係る斜板式圧縮機を示す断面図である。

【００１４】 図１で示すように，フロントハウジング１０１とリアハウジング１０２とが， シール部材１３３を介在させて軸方向に互いに突き合わされている。フロントハ ウジング１０１は，フロントシリンダブロック１０４を一体に有する。フロント シリンダブロック１０４には，回転軸１００と平行なフロント側のシリンダ１０ ５が複数形成されている。これらのシリンダ１０５は，スリーブ１１８を介して 回転軸１００を取り囲むようにして，等間隔に形成されている。

【００１５】 一方，リアハウジング部材１０２は，リアシリンダブロック１０６を一体に有 する。リアシリンダブロック１０６は，回転軸１００と平行なリア側のシリンダ １０７が複数形成されている。これらのシリンダ１０７は，フロント側のシリン ダ１０５に対向し，且つ回転軸１００をスリーブ１１９を介して取り囲むように して等間隔で形成されている。

【００１６】 フロントハウジング１０１の前面には，フロント側弁板装置１１２を介在させ てフロントシリンダヘッド１１１が取り付けられている。フロントシリンダヘッ ド１１１には，吸入室１１３及び吐出室１１５が画成されている。

【００１７】 一方，リアハウジング部材１０２の後面には，リア側弁板装置１１４を介して リアシリンダヘッド１２１が設けられている。リアシリンダヘッド１２１は，吸 入室１２３及び吐出室１２２が設けられている。上述のフロントハウジング１０ １，リアハウジング１０２，フロントシリンダヘッド１１１，及びリアシリンダ ヘッド１２１でハウジング部材全体の外殻が形成されている。

【００１８】 回転軸１００は，フロント小径部９１，大径部９２，リア小径部９３を有する 。フロント小径部２１は，フロントシリンダ内に備えられたラジアルニードルベ アリング９４によって回転自在に支持されている。

【００１９】 回転軸１００の大径部９２の周囲には，この主軸１００に対して所定角度をも って傾斜した斜板１０８が設けられている。この斜板１０８の軸周囲の中央部１ ０８ａの両端面は，軸に対して直交しており，それぞれスラストベアリング１１ ６，１１７に当接している。これらのスラストニードルベアリング１１６，１１ ７は，スリーブ１１８，１１９を介して支持されている。

【００２０】 両頭ピストン５０は，その一端部がフロント側のシリンダ１０５に摺動自在に 挿入され，その他端部がリア側のシリンダ１０７に摺動自在に挿入されている。 両頭ピストン５０の中央部には，球面に対応した湾曲面を有する凹部５１が形成 されている。この凹部５１内には，球面を有する二つのシュー５２，５３が備え られている。これらのシュー５２，５３の間には，斜板１０８の周縁部が摺動自 在に差し挟まれている。したがって，斜板１０８が回転軸１００とともに回転す ると，両頭ピストン５０は，斜板１０８の傾斜角に応じた量だけ軸方向に往復動 し，圧縮動作を行う。尚，符号６１，６２はエンジン室に取り付けるためのボス 部を示している。

【００２１】 図１の圧縮機は，フロントシリンダヘッド１１１とフロントハウジング１０１ との突合部，フロントハウジング１０１とリアハウジング１０２との突合部，及 びリアハウジング１０２とリアシリンダヘッド１２１との突合部の周囲に締結部 が各々設けられている点で，図８に示す従来例の圧縮機とは異なっている。

【００２２】 フロントシリンダヘッド１１１とフロントハウジング１０１との突合部の周囲 には，第１締結部１０が設けられている。第１締結部１０は，フロントハウジン グ１０１の一端周囲に設けられた捩子部１０１ａと，フロントシリンダヘッド１ １１の段部１１１ａと，環状のネジ部材２とを備えている。ネジ部材２は，一端 内側に捩子部１０１ａに螺合する捩子部２ａ及び他端部には半径方向内側に突出 し段部１１１ａと係合する係合部２ｂを備えている。

【００２３】 また，フロントハウジング１０１とリアハウジング１０２との突合部の周囲に は，第２締結部２０が設けられている。第２締結部２０は，フロントハウジング １０１の他端周囲に設けられた突起部１０１ｂと，リアハウジング１０２の一端 の突起部１０２ａの外周に設けられた捩子部１０２ｂと，突起部１０１ｂに一端 から他端方向に当接する補助リング３と，上記第１締結部１０の環状のネジ部材 ２と同様な形状で径の大きな環状のネジ部材２´を備えている。この環状のネジ 部材２´は，一端内側には捩子部１０２ｂに螺合する捩子部２ａ´及び他端部に は補助リング３と係合する係合部２ｂ´を備えている。

【００２４】 また，リアシリンダヘッド１２１とリアハウジング１０２との突合部の周囲に は，第３締結部３０が設けられている。第３締結部３０は第１締結部１０と同様 の構成であり，リアハウジング１０２の他端周囲に設けられた捩子部１０２ｂと ，リアシリンダヘッド１２１の段部１２１ａと，環状のネジ部材２とを備えてい る。ネジ部材２は，一端内側に捩子部１０２ｂに螺合する捩子部２ａ及び他端部 には半径方向内側に突出し段部１２１と係合する係合部２ｂを備えている。

【００２５】 図２は，図１の環状のネジ部材２，２´の形状を示す図で，（ａ）は正面図， （ｂ）は（ａ）の半断面図である。図２で示すように，環状のネジ部材２，２´ の一端内側には，一端からほぼ中央部まで軸方向に沿って捩子部２ａ，２ａ´が 形成され，他端部には内側に向かって折曲った係合部２ｂ，２ｂ´が形成されて いる。

【００２６】 図３はハウジング１０１，１０２の一例として，エンジン取付用のボス部６０ が設けられた場合を示している。この場合，ボス部６０が取り付けられているの で，図２で示したネジ部材２，２´は，ハウジングの接合部に対向する側からネ ジ部材２，２´を挿入しても，取付用のボス部６０があるために，ハウジングの 接合部側に移動することができない。したがって，このようにボス部６０が設け られている場合は，図４及び図５で示すような締結部を形成する。

【００２７】 図４は，締結部として突起付ハウジングを示す図で，（ａ）は正面図，（ｂ） は側面図，（ｃ）は底面図である。図４（ａ），（ｂ）及び（ｃ）で示すように ，環状のネジ部材２，２´の突合部１０１ｃ付近の外周円を等分割する位置に， この外周円に沿って突起部１０１ｂが形成されている。

【００２８】 図５は，図２の環状のネジ部材２，２´との図４の突起部１０１ｂに当接する 補助リング３を示す図で，（ａ）は正面図，（ｂ）は側面図である。図５（ａ） 及び（ｂ）で示すように，補助リング３は内側に突出した突出部３ａと，この突 出部３ａに続いて半径方向外方に向かって窪んだ凹部３ｂとが円周に沿って交互 に形成されている。また，図４で示すハウジングの外周と，図５で示す補助リン グ３の内周とは，輪郭がほぼ一致するように形成されている。

【００２９】 図６（ａ），（ｂ）及び（ｃ）は，図４及び図５で示す突起付ハウジング１０ １及び補助リング３を用いた締結部の組立方法を順に示す図である。まず，図６ （ａ）で示すように，環状のネジ部材２´の内側にその捩子部側から補助リング ３を挿入して，補助リング３の外周端面をネジ部材２´の係合部２ｂ´に係合さ せる。

【００３０】 次に図６（ｂ）で示すように，フロントハウジング１０１の突起部１０１ｂと 補助リング３の凹部３ｂとの位置を対応させて，補助リング３を装着した状態に ある環状のネジ部材２´軸方向に移動させて，突起部１０１ｂ間に補助リングを 通過させる。尚，環状のネジ部材２´にも，図１で示したものと同様の他方のハ ウジング１０２の一端の捩子部１０２ｂに螺合するの捩子部２ａ´が設けられて いる。

【００３１】 次に図６（ｃ）で示すように，補助リング３を，例えば，環状のネジ部材２´ とともに，矢印６５で示す方向に回転させて，突出部３ａと突起部１０１ｂとが 一致するように重合せ，この補助リング３を固定する。以上の操作によってハウ ジング１０１側の締結部が完成する。この状態から，図示しないもうひとつのハ ウジングの一端と，このハウジング１０１の一端を合わせて，環状のネジ部材２ ´を回すと，他方のハウジングの捩子部に，捩子部２ａ´が螺合して，ハウジン グの一端同士が突き合わされて締結部が形成され締結が完了する。

【００３２】 図７（ａ）及び（ｂ）は補助リングの他の実施例を示す図で，（ａ）は正面図 ，（ｂ）は側面図である。また，図７（ｃ）は図７（ａ）及び（ｂ）の補助リン グを用いた締結部を示す断面図である。図７（ａ）及び（ｂ）で示すように，補 助リング３´は，円環部３ａ´とこの円環部３ａ´から軸方向に延在する延在部 ３ｂ´と，延在部３ｂ´先端で内側に折曲った係合爪３ｃ´とを備えている。

【００３３】 図７で示すように，ハウジング１０１，１０２を締結する際には，図６で示す ものと同様，補助リングの円環部３ａ´にネジ部材の係合部２ｂ´を係合させる とともに，補助リングの係合爪３ｃ´を突起部１０１ｂに係合させ，ネジ部材２ ´を回転させる。ネジ部材２´の係合部に補助リング３´の円環部３ａ´が係合 するとともに，ネジ部材２´の捩子部２ａが突起部１０２ａに螺合する。また， 補助リング３´の係合爪３ｃ´が突起部１０１ｂと係合して，締結部が完成され る。

【００３４】

【考案の効果】

以上，説明したように，本考案によれば，ボルト接合方式から，本方式に変更 することにより，ボルト孔加工が廃止され，製造工程を簡略化することができる 圧縮機を提供することができる。

【００３５】 また，本考案によれば，ボルト部分に使用する容積を無視することができるの で，コンプレッサー内部の設計の自由度が向上し，最適な冷媒流路の設計が可能 になる圧縮機を提供することができる。

【００３６】 また，本考案によれば，ネジ部材によって，均一な締結圧力が得られるので， ハウジングの接合部からの洩れが低減される圧縮機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る斜板式圧縮機を示す断面
図である。

【図２】図１の環状のネジ部材２，２´の形状を示す図
で，（ａ）は正面図，（ｂ）は（ａ）の半断面図であ
る。

【図３】ハウジングにエンジン取付用のボス部６１，６
２が設けられた場合を示す図である。

【図４】突起付ハウジングを示す図で，（ａ）は正面
図，（ｂ）は側面図，（ｃ）は底面図である。

【図５】図４の突起部１０１ｂに当接する補助リング３
を示す図で，（ａ）は正面図，（ｂ）は側面図である。

【図６】（ａ），（ｂ），及び（ｃ）は，図４及び図５
で示す突起付ハウジング及び補助リング３を用いた締結
部の組立方法を順に示す図である。

【図７】（ａ），（ｂ）及び（ｃ）は図５（ａ），及び
（ｂ）で示した補助リングの他の実施例を示す図で，
（ａ）は正面図，（ｂ）は側面図，（ｃ）は断面図であ
る。

【図８】従来例に係る両斜板式圧縮機を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

２ ネジ部材 ２ａ 捩子部 ２ｂ 係合部 ２´ ネジ部材 ２ａ´ 捩子部 ２ｂ´ 係合部 ３ 補助リング ３ａ 突出部 ３ｂ 凹部 ３´ 補助リング ３ａ´ 円環部 ３ｂ´ 延在部 ３ｃ´ 係合爪 １０ 第１締結部 ２０ 第２締結部 ６０，６１，６２ ボス部 １０１ フロントハウジング １０１ａ 捩子部 １０１ｂ 突起部 １０１ｃ 突合部 １０２ リアハウジング １０２ａ 突起部 １０２ｂ 捩子部 １１１ フロントシリンダヘッド １１１ａ 段部 １２１ リアシリンダヘッド １２１ａ 段部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに接合される少なくとも２つのハウ
   ジングを有する圧縮機において，前記ハウジングの接合
   部の外周に沿って設けられた締結部を有し， 前記締結部は，前記ハウジングの一方の接合部の外周に
   設けられた捩子部と， 前記ハウジングの他方の接合部に設けられた係合部と， 前記捩子部に螺合する捩子部を一端内側に有し前記係合
   部と係合する係合部を他端に有する環状のネジ部材とを
   備えたことを特徴とする圧縮機。
2. 【請求項２】 互いに接合される少なくとも２つのハウ
   ジングを有する圧縮機において，前記締結部は，前記ハ
   ウジングの一方の接合部の外周に設けられ，外周に捩子
   部を有する突起部と，前記ハウジングの一方の接合部の
   外周に設けられた突起部と，前記突起部に当接する補助
   リングと，前記捩子部に螺合する捩子部を一端内側に有
   し前記補助リングと係合する係合部を他端に有する環状
   のネジ部材とを備えたことを特徴とする圧縮機。
3. 【請求項３】 請求項２記載の圧縮機において，前記補
   助リングは，前記係合部と係合する円環部と，前記突起
   部と係合する係合爪と，前記円環部と前記係合部との間
   に前記ハウジングに沿って延在する延在部とを備えたこ
   とを特徴とする圧縮機。