JPH067564Y2 - 密閉形ニツケル・カドミウム蓄電池 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池に関し、
特に極板と集電リード板との接続部分の改良に関するも
のである。

［従来の技術］ 密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池は、その極板特性に
より高率放電を可能としているが、それに伴い極板から
集電端子への集電構造を効率よい構造にしており、その
構造を示す密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池を第３図
を参照して説明する。陰極端子を兼ねる外装罐１内には
セパレータ２により隔離された陽極板３と陰極板４とが
渦巻き状に巻き取られてなる電極群５が収納されてい
る。各極板は幅方向の両端部に極性により突出方向を違
えて突出する芯材露出部３ａ，４ａを有しており、各芯
材露出部３ａ，４ａには対応する陽極集電リード板６或
いは陰極集電リード板７の一方の板面６ａ或いは７ａが
それぞれスポット溶接されている。各集電リード板６，
７は耐アルカリ性を有する金属のプレス加工打抜き板
で、一般には鉄板にニッケルメッキを施したニッケルメ
ッキ鉄板が用いられている。陽極集電リード板６は外装
罐１の開口部を閉塞する封口蓋８に溶接され、封口蓋８
に取付けられた陽極端子９に電気的に接続されている。
陰極集電リード板７は外装罐１の底部に溶接されてい
る。このように構成された密閉形ニッケル・カドミウム
蓄電池において、従来の陽極集電リード板６および陰極
集電リード板７の一方の板面６ａ，７ａは第４図（便宜
上陽極集電リード板６のみを示す。）に示されているよ
うに平面状で表面が滑かに形成されていた。しかしなが
ら、このような密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池にお
いては、第５図（ａ）および（ｂ）に示すように、各極
の集電リード板６，７の一方の板面６ａ，７ａが平面状
で表面が滑かであること、また各集電リード板６，７は
強度および電流容量を大きくとるために厚く形成され、
これに対し各極板３，４の芯材露出部３ａ，４ａは薄く
形成されていて熱容量に違いがあること等の理由によ
り、それぞれ対応する芯材露出部３ａ，４ａと各集電リ
ード板６，７の一方の板面６ａ，７ａとをスポット溶接
した時に、芯材露出部３ａ，４ａは十分に溶けても各集
電リード板６，７の一方の板面６ａ，７ａが十分に溶け
きれず、溶接強度が不十分で、且つ溶接強度にバラツキ
が生ずる問題点があった。

そこで特開昭５５−８０２６９号公報及び特開昭５７−
７０６２号公報に示されるように、集電リード板を網、
ラス板、エキスパンデッドメタル、パンチングメタル、
繊維状金属を用いた多孔性焼結体等の多孔性金属により
形成することが提案された。このように集電リード板を
多孔性金属により形成すると、集電リード板の熱容量が
従来に比べて小さくなり、且つ表面が平滑でなくなるた
め、抵抗溶接時に芯材露出部と各集電リード板とがそれ
ぞれ十分に溶けて強固に溶接でき且つ溶接強度のバラツ
キを抑制することができる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、集電リード板全体を多孔性金属により形
成すると、集電リード板内に形成される各通電路の断面
積が小さくなって集電リード板の電気抵抗が大きくな
り、蓄電池の集電特性が低下するという問題が生じる。

本考案の目的は、蓄電池の集電特性を低下させることな
く、各極板の芯材露出部と各集電リード板との抵抗溶接
部を十分な強度とし且つ強度のバラツキを抑制した密閉
形ニッケル・カドミウム蓄電池を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案を、その実施例を示す第１図、第２図（ａ），
（ｂ）を参照して説明すると、本考案はセパレータ２に
よって隔離された陽極板３および陰極板４の各芯材露出
部３ａ，４ａが、それぞれ対応する各集電リード板６，
７の一方の板面６ａ，７ａに抵抗溶接されてなる密閉形
ニッケル・カドミウム蓄電池を対象とする。本考案にお
いては、各集電リード板６，７が板状集電部１０，１１
の一方の面に多孔発泡金属１２を結合した構造を有して
いる。そして各集電リード板６，７の多孔発泡金属１２
が、それぞれ対応する各芯材露出部３ａ，４ａに抵抗溶
接されている。

［作用］ 本考案の密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池において
は、電池の放電時に集電リード板６，７を流れる電流
は、電気抵抗の大きい多孔発泡金属１２を厚み方向に流
れて、電気抵抗の小さい板状集電部１０，１１へと流れ
る。したがって集電時に電気抵抗の大きい多孔発泡金属
１２を電流が流れる距離が短くなるため、端子部から離
れた部分からも、大きな抵抗損失を生じさせること無く
効率よく集電できる。そのため本考案によれば、蓄電池
の集電特性を低下させることなく、各極体の芯材露出部
と各集電リード板との抵抗溶接部を十分な強度とし且つ
強度のバラツキを抑制することができる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

第１図および第２図（ａ），（ｂ）は本考案の実施例を
示し、この実施例を説明する。この実施例の密閉形ニッ
ケル・カドミウム蓄電池において、各極の集電リード板
６，７は鉄板にニッケルメッキを施したニッケルメッキ
鉄板１０，１１（板状集電部）の一方の板面１０ａ，１
１ａにニッケル粉末を焼結結合してニッケル粉末焼結体
１２（多孔発泡金属）を形成したものからなっている。
このニッケル粉末焼結体１２はニッケルメッキ鉄板１
０，１１にニッケル粉末を焼結結合したままのものでも
よく、或いは、ニッケルメッキ鉄板１０，１１にニッケ
ル粉末を焼結結合した後、このニッケル粉末をプレス等
で潰したものでもよい。このような構造の各集電リード
板６，７でも熱容量が従来に比べて小さくなり、且つそ
の表面は平滑でなくなっている。この各集電リード板
６，７のニッケル粉末焼結体１２の板面６ａ，７ａは、
対応する極板３，４の芯材露出部３ａ，４ａの渦巻状の
端縁部に押圧されて該芯材露出部３ａ，４ａの複数個所
にスポット溶接されている。尚、第２図（ａ），（ｂ）
において、各集電リード板６，７のニッケル粉末焼結体
１２と芯材露出部３ａ，４ａとの溶接部分を符号Ａで示
す。

ニッケルメッキ鉄板１０，１１の片面に粒子径が約１０
μ程度のニッケル粉末を０．３mmの厚さで約１２００℃
に加熱することにより焼結結合して各極の集電リード板
６，７を構成した上記実施例のものを容量１２００ｍＡ
ｈ、ＫＲ−ＳＣ形の電池に適用したところ、溶接強度に
ついては従来のものの約１．５倍の強度を示し、強度の
バラツキは第３図〜第５図に示した従来のもと比べて約
２２％に減少した。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、各集電リード板を板状
集電部の一方の面に多孔発泡金属を結合した構造とし、
各集電リード板の多孔発泡金属をそれぞれ対応する各芯
材露出部に抵抗溶接するため、蓄電池の集電特性を低下
させることなく、各極板の芯材露出部と各集電リード板
との抵抗溶接部を十分な強度とし且つ強度のバラツキを
抑制することができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例で用いる陽極集電リード板の縦
断面図、第２図（ａ）および（ｂ）はそれぞれ本実施例
において各極板の芯材露出部と各集電リード板との溶接
部分を示す断面図、第３図は本考案が適用される密閉形
ニッケル・カドミウム蓄電池を示す縦断面図、第４図は
従来のニッケル・カドミウム蓄電池の陽極集電リード板
を示す斜視図、第５図（ａ）および（ｂ）はそれぞれ従
来のニッケル・カドミウム蓄電池の極板と集電リード板
との溶接部分を示す断面図である。 ２……セパレータ、３……陽極板、４……陰極板、３
ａ，４ａ……極板の芯材露出部、６，７……集電リード
板、１０，１１……ニッケルメッキ鉄板（板状集電
部）、１２……ニッケル粉末焼結体（多孔発泡金属）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】セパレータによって隔離された陽極板およ
   び陰極板の各芯材露出部が、それぞれ対応する各集電リ
   ード板の一方の板面に抵抗溶接されてなる密閉形ニッケ
   ル・カドミウム蓄電池において、 前記各集電リード板は板状集電部の一方の面に多孔発泡
   金属が結合された構造を有しており、 前記各集電リード板の前記多孔発泡金属が、それぞれ対
   応する前記各芯材露出部に抵抗溶接されていることを特
   徴とする密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池。